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特許7296347電気掃除機用管理装置、電気掃除機およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】電気掃除機用管理装置、電気掃除機およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/19 20060101AFI20230615BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
A47L9/19 Z
A47L9/28 A
A47L9/28 G
A47L9/28 P
A47L9/28 Q
A47L9/28 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020123151
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019363
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則和
(72)【発明者】
【氏名】寺山 勝則
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-168826(JP,A)
【文献】特開平10-248776(JP,A)
【文献】特開2019-193792(JP,A)
【文献】特開2018-064265(JP,A)
【文献】特開2013-132510(JP,A)
【文献】特開2005-296511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/19
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機に装着された集塵フィルタにおける塵蓄積度を推定する塵蓄積度推定部と、
前記塵蓄積度に基づいて前記集塵フィルタの交換を促す交換報知部と、
使用済の前記集塵フィルタの数を計数する枚数管理部と、
前記枚数管理部の計数結果に基づいて前記集塵フィルタの発注を促す発注処理部と、を備え
前記電気掃除機は、前記集塵フィルタに対して送風するファンと、前記ファンを駆動するモータと、入力された交流電圧に対して点弧角制御を行った電圧を前記モータに印加するモータ駆動回路と、を備えるものであり、
前記塵蓄積度推定部は、前記集塵フィルタに塵が無い状態において前記モータに流れる入力電流を第1の電流とし、前記集塵フィルタが目詰まり状態の場合における前記入力電流を第2の電流とし、前記第1の電流と前記第2の電流と現在の前記入力電流とに基づいて前記塵蓄積度を推定する
ことを特徴とする電気掃除機用管理装置。
【請求項2】
集塵フィルタを装着する集塵室と、
前記集塵フィルタにおける塵蓄積度を推定する塵蓄積度推定部と、
前記塵蓄積度に基づいて前記集塵フィルタの交換を促す交換報知部と、
使用済の前記集塵フィルタの数を計数する枚数管理部と、
前記枚数管理部の計数結果に基づいて前記集塵フィルタの発注を促す発注処理部と、
前記集塵フィルタに対して送風するファンと、
前記ファンを駆動するモータと、
入力された交流電圧に対して点弧角制御を行った電圧を前記モータに印加するモータ駆動回路と、を備え、
前記塵蓄積度推定部は、前記集塵フィルタに塵が無い状態において前記モータに流れる入力電流を第1の電流とし、前記集塵フィルタが目詰まり状態の場合における前記入力電流を第2の電流とし、前記第1の電流と前記第2の電流と現在の前記入力電流とに基づいて前記塵蓄積度を推定する
ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
コンピュータを、
電気掃除機に装着された集塵フィルタにおける塵蓄積度を推定する塵蓄積度推定手段、
前記塵蓄積度に基づいて前記集塵フィルタの交換を促す交換報知手段、
使用済の前記集塵フィルタの数を計数する枚数管理手段、
前記枚数管理手段の計数結果に基づいて前記集塵フィルタの発注を促す発注処理手段、
として機能させるためのプログラムであって、
前記電気掃除機は、前記集塵フィルタに対して送風するファンと、前記ファンを駆動するモータと、入力された交流電圧に対して点弧角制御を行った電圧を前記モータに印加するモータ駆動回路と、を備えるものであり、
前記塵蓄積度推定手段は、前記集塵フィルタに塵が無い状態において前記モータに流れる入力電流を第1の電流とし、前記集塵フィルタが目詰まり状態の場合における前記入力電流を第2の電流とし、前記第1の電流と前記第2の電流と現在の前記入力電流とに基づいて前記塵蓄積度を推定する
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機用管理装置、電気掃除機およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、下記特許文献1の明細書段落0106には、「また、この実施例では、小風量側領域(Q<Q6)における集塵室7内の集塵フィルタ6の目詰りを報知する手段28を設け、集塵フィルタ6の目詰りを報知している。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2953296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1の技術では、ユーザに対して集塵フィルタの購入を促すことができない。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、ユーザに対して集塵フィルタの購入を促すことができる電気掃除機用管理装置、電気掃除機およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の電気掃除機用管理装置は、電気掃除機に装着された集塵フィルタにおける塵蓄積度を推定する塵蓄積度推定部と、前記塵蓄積度に基づいて前記集塵フィルタの交換を促す交換報知部と、使用済の前記集塵フィルタの数を計数する枚数管理部と、前記枚数管理部の計数結果に基づいて前記集塵フィルタの発注を促す発注処理部と、を備え、前記電気掃除機は、前記集塵フィルタに対して送風するファンと、前記ファンを駆動するモータと、入力された交流電圧に対して点弧角制御を行った電圧を前記モータに印加するモータ駆動回路と、を備えるものであり、前記塵蓄積度推定部は、前記集塵フィルタに塵が無い状態において前記モータに流れる入力電流を第1の電流とし、前記集塵フィルタが目詰まり状態の場合における前記入力電流を第2の電流とし、前記第1の電流と前記第2の電流と現在の前記入力電流とに基づいて前記塵蓄積度を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザに対して集塵フィルタの購入を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】好適な実施形態による電気掃除機管理システムのブロック図である。
図2】電気掃除機の模式的な側面図である。
図3】操作・表示部の詳細を示す図である。
図4】携帯端末における表示画面の例を示す図である。
図5】紙パック式の電気掃除機における風量および入力電流の関係を示す図である。
図6】風量、入力電力および吸込仕事率の関係を示す図である。
図7】モータ駆動回路がモータに印加する電圧波形の例を示す図である。
図8】紙パック式電気掃除機管理ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈実施形態の構成〉
図1は、好適な実施形態による電気掃除機管理システムSの構成を示すブロック図である。
電気掃除機管理システムSは、一または複数の(M台の)電気掃除機10-1~10-M(以下、電気掃除機10と総称することがある)と、一または複数の(N台の)携帯端末20-1~20-N(コンピュータ、以下、携帯端末20と総称することがある)と、を備える。
【0009】
電気掃除機10と、携帯端末20とは、LAN52を介して通信することができ、LAN52とWAN54とを介して通信することができる。LAN52は、例えば家庭内の無線LANであり、WAN54は、例えばインターネットである。データ・サーバ56は、例えば、電気掃除機10のメーカが運営するサーバ機であり、WAN54に接続され、電気掃除機10および携帯端末20から電気掃除機10に関する各種情報を収集する。
【0010】
電気掃除機10-1は、使い捨て紙パック式の集塵フィルタ80を用いる紙パック式の電気掃除機であり、制御部11P(コンピュータ、電気掃除機用管理装置)と、記憶部12と、通信部13と、操作・表示部14と、吸口61と、ホース62と、集塵室64と、ファンモータ66と、センサ部67と、モータ駆動回路68と、を備えている。
【0011】
ここで、集塵室64には、紙パック式の集塵フィルタ80が装着される。ファンモータ66は、モータ66aと、ファン66bと、を備えており、両者の軸は一体成型されている。ファンモータ66の詳細構成については図示を省略するが、例えば特許第6371235号に記載されているものを適用することができる。モータ駆動回路68は、制御部11Pから供給される制御信号に基づいて、例えば商用電源等の交流電圧に対して点弧角制御を行い、点弧角制御後の電圧をモータ66aに印加する。センサ部67は、電気掃除機10内の各部の風量、風圧、風速、電流、電圧等を計測し、計測結果を制御部11Pに供給する。
【0012】
制御部11Pは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等、一般的なコンピュータとしてのハードウエアを備えており、ROMには、CPUによって実行される制御プログラムや、各種データ等が格納されている。記憶部12は、各種情報を記憶する。通信部13は、LAN52を介して、携帯端末20等と通信する。操作・表示部14は、ユーザに対して電気掃除機10の各種状態を表示するユーザが入力した各種コマンドを制御部11Pに供給する。
【0013】
図1において、制御部11Pの内部は、制御プログラム等によって実現される機能を、ブロックとして示している。すなわち、制御部11Pは、枚数管理部910(枚数管理手段)と、交換報知部912(交換報知手段)と、発注処理部914(発注処理手段)と、塵蓄積度推定部916(塵蓄積度推定手段)と、を備えている。ここで、枚数管理部910は、使用済の集塵フィルタ80の枚数をカウントする。
【0014】
また、塵蓄積度推定部916は、集塵フィルタ80における塵蓄積度Kを推定する。この塵蓄積度Kは、集塵フィルタ80が目詰まり状態であるか否かを判定する基準になる。また、交換報知部912は、塵蓄積度Kに基づいて、ユーザに対して集塵フィルタ80の交換を促す。また、発注処理部914は、枚数管理部910がカウントした、使用済みの集塵フィルタ80の枚数に基づいて、ユーザに対して集塵フィルタ80の発注を促す。
【0015】
また、電気掃除機10-2は、使い捨ての紙パックが不要なサイクロン式の電気掃除機であるが、上述した紙パック式の電気掃除機10-1と同様に、記憶部12と、通信部13と、操作・表示部14と、吸口61と、ホース62と、ファンモータ66と、センサ部67と、モータ駆動回路68と、を備えている。これらの機能は、電気掃除機10-1のものと同様である。
【0016】
また、電気掃除機10-2は、電気掃除機10-1における制御部11Pおよび集塵室64に代えて、制御部11Sと、サイクロン70と、塵ケース72と、塵フィルタ74と、を備えている。サイクロン70は、塵と空気とを分離し、分離した塵を塵ケース72に蓄積する。但し、分離した空気にも若干の塵が残存しているため、塵フィルタ74は残存した塵を濾過し、清浄になった空気を外部に排出する。
【0017】
また、携帯端末20は、制御部21(コンピュータ、電気掃除機用管理装置)と、記憶部22と、通信部23と、操作・表示部24と、撮影部26と、マイク27と、を備えている。操作・表示部24は、フラットパネル・ディスプレイと、その表面に設けられたタッチセンサと、を備えており、ユーザに対して各種情報を表示するとともに、ユーザが各種コマンドを入力することが可能になっている。通信部23は、LAN52またはWAN54を介して電気掃除機10等と通信する。
【0018】
記憶部22は、各種情報を記憶する。なお、記憶部12,22が記憶するデータは必ずしも電気掃除機10や携帯端末20の内部に記憶しておく必要はなく、サーバ等の別機器に、これらのデータを記憶する記憶装置を設けて、LAN52やWAN54経由でアクセス可能にしてもよい。撮影部26は、制御部21からの指令に基づいて、動画または静止画を撮影する。マイク27は、音声を集音する。
【0019】
制御部21は、CPU、RAM、ROM等、一般的なコンピュータとしてのハードウエアを備えており、ROMには、CPUによって実行される制御プログラムや、各種データ等が格納されている。各携帯端末20は、何れかの電気掃除機10に対応付けることができる。これにより、各携帯端末20は、対応付けられた電気掃除機10から各種情報を収集し、該電気掃除機10を管理することができる。また、1台の携帯端末20を複数台の電気掃除機10に対応付けることができ、複数台の携帯端末20を1台の電気掃除機10に対応付けることができる。
【0020】
データ・サーバ56は、携帯端末20または電気掃除機10から各種データを収集し、電気掃除機10が置かれている地域や季節毎の、塵の溜まり量等のデータを蓄積する。そして、データ・サーバ56は、蓄積したデータをビッグデータとして、塵の溜まり量等の傾向を分析する。また、データ・サーバ56は、黄砂や花粉等がどの地域まで飛来しているかを分析する。また、データ・サーバ56は、塵が多い地域(換言すれば埃が蓄積しやすい地域)を分析する。これらの分析結果は、ユーザが引っ越しを希望する場合に、引っ越し先の地域を選定するための参考データとして用いることができる。
【0021】
また、データ・サーバ56は、塵フィルタ74や集塵フィルタ80が目詰まりする電気掃除機10の使用時間を学習し、いつごろ塵を捨てるべきか、電気掃除機10のユーザに報知することもできる。また、小売業者サーバ58は、小売業者が運営するサーバ機である。小売業者サーバ58は、携帯端末20と通信することにより、各種物品の受注・販売処理を行う。
【0022】
図2は、電気掃除機10-1の模式的な側面図である。
図2において、電気掃除機10-1は、図1に示した構成要素に加えて、筐体102と、延長管104と、グリップハンドル106と、を備えている。筐体102は、図1に示した制御部11P、記憶部12、通信部13、集塵室64、ファンモータ66、センサ部67、モータ駆動回路68等を収納する。
【0023】
延長管104は、吸口61とホース62との間に挿入されている。グリップハンドル106は、ユーザによって把持される物であり、ホース62の先端部分に装着されている。図1に示した操作・表示部14は、図2に示すように、グリップハンドル106に装着される手元操作部14aと、筐体102の上面に装着される本体表示部14bとを有している。
【0024】
図3は、操作・表示部14の詳細を示す図である。
上述したように、操作・表示部14は、手元操作部14aと、本体表示部14bと、を備えている。そして、手元操作部14aは、通信ボタン32と、強中弱ボタン34と、eco・これっきりボタン36と、切ボタン38と、を備えている。
【0025】
通信ボタン32は、当該電気掃除機10と、対応する携帯端末20との通信をトグルでオン/オフするボタンである。強中弱ボタン34は、電気掃除機10の「強」「中」「弱」の動作モードをトグルで切り替えるものである。また、eco・これっきりボタン36は、床面の状態等に応じて、「強」「中」「弱」の動作モードを自動的に切り替える自動運転モードを指示するものである。また、切ボタン38は当該電気掃除機10の運転を停止させるボタンである。
【0026】
また、本体表示部14bは、本体ランプ40と、通信ランプ42と、本体ランプ説明部44と、を備えている。通信ランプ42は、該電気掃除機10の通信部13と、対応する携帯端末20の通信部23とが通信状態であるときに点灯する。本体ランプ40は、制御部11Pの制御に基づいて、緑色または赤色に点灯する。
【0027】
本体ランプ40が緑色で連続点灯している場合は、上述した自動運転モードが選択されていることを示す。また、本体ランプ40が緑色で点滅している場合は、当該電気掃除機10が所定のアイドリング状態、またはストップ状態であることを示す。また、本体ランプ40が赤色で点滅している場合は、使い捨ての紙パックで構成された集塵フィルタ80が目詰まり状態であることを示す。本体ランプ説明部44は、上述した本体ランプ40の状態と、対応する事象との関係を簡単に説明するものである。
【0028】
図4は、携帯端末20における表示画面の例を示す図である。
集塵フィルタ発注画面V02は、紙パック式の電気掃除機10-1に対応付けられている携帯端末20に表示される画面の一例であり、ユーザが集塵フィルタ80を発注する際に表示される。また、紙パック式の電気掃除機10-1は、集塵フィルタ80が目詰まり状態になると、対応する携帯端末20に対して該集塵フィルタ発注画面V02を自動的に表示させる。紙パックフィルタ発注画面V02は、複数の商品案内画像132と、複数の購入ボタン134(図中には1個のみ図示する)と、スクロールバー136と、が含まれている。
【0029】
集塵フィルタ80は、一般的には複数の集塵フィルタ80を梱包したパッケージ単位で販売される。複数の商品案内画像132は、これらパッケージの種類毎に設けられる。購入ボタン134は、商品案内画像132に一対一に対応して設けられ、該商品案内画像132に対応するパッケージの購入を指示するものである。すなわち、ユーザが何れかの購入ボタン134をタップすると、該携帯端末20は小売業者サーバ58(図1参照)と通信し、該パッケージの発注処理を行う。スクロールバー136は、集塵フィルタ発注画面V02をスクロールするものである。
【0030】
また、塵フィルタ洗浄推奨画面V04は、紙パックが不要なサイクロン式の電気掃除機10-2に対応付けられている携帯端末20に表示される画面の一例である。
サイクロン式の電気掃除機10-2の制御部11S(図1参照)は、運転が終了する毎に、運転が終了する直前のモータ66aへの入力電流Iを記録する。そして、次回、電気掃除機10-2を起動した際に、前回記録した入力電流Iと、今回起動した際の入力電流Iとを比較し、その結果に基づいて、塵ケース72に塵が溜まり過ぎているか否かを判定する。塵が溜まり過ぎている場合、制御部11Sは対応する携帯端末20に対して、塵捨てを促す塵捨て推奨画面(図示せず)を表示させる。そして、塵捨て推奨画面が所定回数表示されたことを条件として、制御部11Sは、対応する携帯端末20に対して、塵フィルタ洗浄推奨画面V04を表示させる。
【0031】
図5は、紙パック式の電気掃除機10-1における風量Qと、入力電流I(実効値)との関係を示す図である。風量Qは、単位時間あたりにファンモータ66が送風する空気の体積であり、その単位は、例えば「m3/min」になる。交換したばかりの紙パック(集塵フィルタ80)のように塵が全く無い場合、風量Qは所定のQAになり、入力電流Iは所定のIAになる。電気掃除機10の使用に応じて集塵フィルタ80に塵が溜まってくると、風量Qも入力電流Iも下がってゆく。そして、風量Qが所定のQBになると、入力電流Iは所定のIBになる。ここで、「I<IB」の状態は、塵が溜まり過ぎている状態であり、この状態を「目詰まり状態」と呼ぶ。
【0032】
図6は、紙パック式の電気掃除機10-1における風量Q、入力電力W02および吸込仕事率W04の関係を示す図である。
図6において入力電力W02は、モータ駆動回路68からモータ66aに入力される電力である。また、風量QA,QBの意味は、図5のものと同様である。また、風量QCは、電気掃除機10の吸込仕事率W04が最大になる風量である。風量Qが風量QCよりも大きい場合には、入力電力W02が所定値Ptになる。この所定値Ptは、例えば電気掃除機10の定格電力である。
【0033】
図7は、紙パック式の電気掃除機10-1においてモータ駆動回路68がモータ66aに印加する電圧波形の例を示す図である。
電圧波形C1,C2,C3において、横軸は時間tであり、縦軸はモータ駆動回路68が出力する電圧Vの瞬時値である。また、電圧波形C1,C2,C3は、何れも1周期あたりの電圧波形の例を示す。風量Qが風量QB(図6参照)以下である場合には、電気掃除機10内に塵が溜まっており、ファンモータ66が過負荷状態になりやすい状態であると考えられる。風量Qが風量QB以下である場合、制御部11Pは、モータ駆動回路68に対して、比較的大きな点弧角を指令する。これにより、電圧Vは、例えば電圧波形C1のようになり、電圧Vの実効値が小さくなる。これにより、ファンモータ66を過負荷から保護することができる。
【0034】
また、風量Qが「QB<Q≦QC」(図6参照)の範囲である場合には、ファンモータ66のファン66bの負荷が小さく、ファンモータ66に電力を入力しにくい状態であると考えられる。風量Qが「QB<Q≦QC」である場合、制御部11Pは、モータ駆動回路68に対して、0°の点弧角を指令する。これにより、電圧Vは、例えば電圧波形C2のようになり、ファンモータ66に電力を入力しやすくなる。
【0035】
また、風量Qが風量QC(図6参照)よりも大きい場合には、制御部11Pは、モータ駆動回路68に対して、入力電力W02が所定値Ptになる点弧角を指令する。図5に示したように、風量QがQB以上であれば、風量Qが大きくなるほど入力電流Iが大きくなる。従って、制御部11Pは、風量Qが大きくなるほど点弧角を大きくし、電圧Vの実効値を下げ、入力電力W02を所定値Ptに保つ。その際の電圧Vは、例えば電圧波形C3のようになる。
【0036】
〈実施形態の動作〉
次に、本実施形態の動作を説明する。
図8は、紙パック式の電気掃除機10-1の制御部11Pにおいて実行される紙パック式電気掃除機管理ルーチンのフローチャートである。
図8において処理がステップS2に進むと、枚数管理部910は、集塵フィルタ枚数nを取得する。ここで、集塵フィルタ枚数nとは、ユーザが購入した集塵フィルタ80の枚数を表すものである。集塵フィルタ枚数nは、例えば携帯端末20に対するユーザのマニュアル操作によって入力することができる。また、ユーザが購入した集塵フィルタ80のパッケージにバーコードが印刷されている場合には、該バーコードを携帯端末20によって読み取ることによって集塵フィルタ枚数nを取得することができる。
【0037】
さらに、発注処理(ステップS16、詳細は後述する)によって集塵フィルタ80のパッケージを発注した場合は、このパッケージに梱包されている集塵フィルタ80の枚数を集塵フィルタ枚数nにする。次に、処理がステップS4に進むと、枚数管理部910は、変数Countを「1」に設定する。ここで、変数Countは、既に使用した集塵フィルタ80の枚数を計数する変数である。次に、処理がステップS6に進むと、塵蓄積度推定部916は、入力電流I(図5参照)がIB以上であるか否かを判定する。
【0038】
ステップS6において「Yes」と判定されると、処理はステップS10に進む。ここでは、塵蓄積度推定部916は、現在の入力電流Iと、所定の電流IA,IB(図5参照)と、に基づいて、「K=(I-IB)/(IA-IB)」によって塵蓄積度Kを算出し、算出した塵蓄積度Kを、対応付けられた携帯端末20に送信する。該携帯端末20は、受信した塵蓄積度Kを操作・表示部24(図1参照)に表示する。これにより、ユーザは、次に集塵フィルタ80を交換すべき時期の目安を知ることができる。そして、処理はステップS6に戻り、以降は入力電流IがIB以上である限り、ステップS6,S10の処理が繰り返される。
【0039】
その後、集塵フィルタ80(図1参照)に塵が溜まり、入力電流IがIB未満、すなわち目詰まり状態になると、ステップS6において「No」と判定され、処理はステップS8に進む。ステップS8において、枚数管理部910は、変数Countを「1」だけインクリメントする。次に、処理がステップS12に進むと、枚数管理部910は、変数Countが「n-1」未満であるか否かを判定する。
【0040】
ここで「Yes」と判定されると、処理はステップS14に進む。すなわち、交換報知部912は、対応付けられた携帯端末20に対して、集塵フィルタ80の交換を推奨するメッセージを表示させる。ユーザが集塵フィルタ80を交換すると、入力電流IがIA(図5参照)付近に戻るため、塵蓄積度推定部916は、目詰まり状態が解消したと判定し、処理はステップS6に戻る。
【0041】
以後、ステップS6~S14の処理が繰り返される。そして、変数Countが「集塵フィルタ枚数n-1」以上になると、ステップS12において「No」と判定され処理はステップS16に進む。ステップS16において、発注処理部914は、紙パック発注処理を行う。すなわち、対応付けられた携帯端末20に対して、集塵フィルタ発注画面V02(図4参照)を表示させる。
【0042】
また、ステップS16においては、上述したステップS14と同様に、交換報知部912は、対応付けられた携帯端末20に対して、集塵フィルタ80の交換を促すメッセージを表示させる。ユーザが、この集塵フィルタ発注画面V02において何れかのパッケージを発注すると、処理はステップS2に戻る。このように、ステップS16経由でステップS2が実行される場合には、集塵フィルタ枚数nは、発注したパッケージに含まれる集塵フィルタ80の枚数に設定される。以下、上述した処理と同様の処理が繰り返される。
【0043】
[実施形態の効果]
以上のように好適な実施形態による電気掃除機用管理装置(11P,21)は、電気掃除機10-1に装着された集塵フィルタ80における塵蓄積度Kを推定する塵蓄積度推定部916と、塵蓄積度Kに基づいて集塵フィルタ80の交換を促す交換報知部912と、使用済の集塵フィルタ80の数を計数する枚数管理部910と、枚数管理部910の計数結果に基づいて集塵フィルタ80の発注を促す発注処理部914と、を備える。これにより、ユーザに対して集塵フィルタ80の購入を促すことができる。
【0044】
また、電気掃除機10-1は、集塵フィルタ80に対して送風するファン66bと、ファン66bを駆動するモータ66aと、入力された交流電圧に対して点弧角制御を行った電圧をモータ66aに印加するモータ駆動回路68と、を備えるものであり、塵蓄積度推定部916は、モータ駆動回路68からモータ66aに入力される入力電流Iに基づいて塵蓄積度Kを推定すると一層好ましい。入力電流Iは安価な構成で計測できるため、これによって塵蓄積度Kを簡易に計測できる。
【0045】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成に他の構成を追加してもよく、構成の一部について他の構成に置換をすることも可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
【0046】
(1)上記実施形態において、塵蓄積度推定部916は、モータ駆動回路68からモータ66aへの入力電流Iに基づいて塵蓄積度Kを算出した。しかし、塵蓄積度Kは、それ以外の物理量、例えば風速、風圧、塵の重量等に基づいて求めてもよい。
【0047】
(2)上記実施形態においては、紙パック式電気掃除機管理ルーチン(図8)は、紙パック式の電気掃除機10-1の制御部11Pが実行した。しかし、本ルーチンは、紙パック式の電気掃除機10-1に対応付けられた携帯端末20の制御部21において実行してもよい。
【0048】
(3)上記実施形態における制御部11P、制御部21のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、図8に示したフローチャート、その他上述した各種処理を実行するプログラム等を記憶媒体に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
【0049】
(4)図8に示した処理、その他上述した各処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10-1 電気掃除機
11P,21 制御部(コンピュータ、電気掃除機用管理装置)
64 集塵室
66a モータ
66b ファン
68 モータ駆動回路
80 集塵フィルタ
910 枚数管理部(枚数管理手段)
912 交換報知部(交換報知手段)
914 発注処理部(発注処理手段)
916 塵蓄積度推定部(塵蓄積度推定手段)
I 入力電流
K 塵蓄積度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8