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特許7296356OFケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備
<図1>
  • 特許-OFケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備 図1
  • 特許-OFケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】OFケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20230615BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20230615BHJP
【FI】
B09B3/30
B09B3/40
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020177506
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2022068692
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】597118016
【氏名又は名称】光和精鉱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 一雄
(72)【発明者】
【氏名】岡野 哲也
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-253464(JP,A)
【文献】特開2013-69584(JP,A)
【文献】米国特許第10625399(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の導体が金属シース及び外皮からなる被覆部で覆われ、内部にPCBを含有する絶縁油が満たされたOFケーブルの処理方法において、
前記OFケーブルが巻回されたボビンを回転させて前記OFケーブルを巻解き、該巻解かれた前記OFケーブルを予め設定した長さで切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された前記OFケーブルから、前記外皮を切断することなく前記導体をその軸心方向に押出し、前記導体と前記被覆部とに分離する分離工程と、
前記分離工程で分離された前記導体と前記被覆部とを、個別の処理容器にそれぞれ装入して加熱処理を行う無害化処理工程とを有することを特徴とするOFケーブルの処理方法。
【請求項2】
金属製の導体が金属シース及び外皮からなる被覆部で覆われ、内部に絶縁油が満たされたOFケーブルの処理方法において、
前記OFケーブルが巻回されたボビンを回転させて前記OFケーブルを巻解き、該巻解かれた前記OFケーブルを予め設定した長さで切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された前記OFケーブルから、前記外皮を切断することなく前記導体をその軸心方向に押出し、前記導体と前記被覆部とに分離する分離工程とを有することを特徴とするOFケーブルの処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のOFケーブルの処理方法において、前記切断工程での前記OFケーブルの切断は、該OFケーブルの軸心に直交する面内で行うことを特徴とするOFケーブルの処理方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のOFケーブルの処理方法に用いる処理設備であって、
前記ボビンより下流側に配置され、該ボビンに巻回された前記OFケーブルを巻解きながら下流側へ送出す送出し機と、
前記送出し機より下流側に配置され、前記OFケーブルを予め設定した長さで切断する切断機と、
前記切断機で切断された前記OFケーブルから前記導体をその軸心方向に押出す押出し機とを有することを特徴とするOFケーブルの処理方法に用いる処理設備。
【請求項5】
請求項4記載のOFケーブルの処理方法に用いる処理設備において、前記押出し機は、切断された前記OFケーブルの位置決めを行う固定部と、前記導体の軸心方向一側から軸心方向に沿って該導体を押圧する押圧シリンダとを有することを特徴とするOFケーブルの処理方法に用いる処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に絶縁油が満たされたOF(Oil Filled)ケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、変圧器やコンデンサ、遮断機等の廃電気機器は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含有していることから特別管理廃棄物に指定され、安全かつ確実に処理することが義務付けられている。
また、OFケーブルと呼ばれる地中送電線の絶縁油からも、微量のPCBが検出されている。本来、PCBは、誘電率が大きく、OFケーブル用絶縁油には不適合なため、高濃度のPCBが使用されることは一切なかったが、1975年以前に受け入れた鉱物油に起因して、OFケーブルの製造に際し微量のPCBが混入したことによるものと推定される(PCBの検出濃度は概ね0.5~5ppmの範囲にあり、最大値で125ppmである)。なお、過去の調査から、低濃度のPCBを含有する絶縁油(PCB油)に汚染されたOFケーブルは、日本国内に約1400km(絶縁油量は約3600キロリットル)存在すると推定される。
【0003】
OFケーブルの主成分は銅(導体)であり、無害化処理後のリサイクルの付加価値は非常に高いため、例えば、特許文献1の記載のように、所定の長さに切断したOFケーブルを、ドラム缶等に装入して加熱処理を行い、無害化処理している。
しかし、OFケーブルは、銅の周囲が金属シース(アルミニウム等)と外皮(樹脂)で順次覆われていることから、切断されたOFケーブルをそのままの状態でドラム缶に装入して加熱処理を行った場合、銅に金属シースの成分が付着して銅の品位が低下する。
このため、作業者が、加熱処理を行う前の処理として、例えば、OFケーブルの外皮の剥取り(剥線)や、各部材(銅、金属シース、外皮等)ごとの分別等を行った後、銅と金属シースをドラム缶に装入していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-56504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、OFケーブルには多くの種類があり、その線径も様々であるため、作業者が上記した前処理を行うのは作業性が悪く非効率であった(例えば、OFケーブルの1日の処理量は40m程度)。このため、処理費用も高くなることから、これまであまり処理が進んでいないものと推定される。
なお、上記した前処理に伴う作業性の悪さは、PCB油に汚染されたOFケーブルのみならず、PCB油を含まない絶縁油が内部に満たされたOFケーブルでも同様であった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来よりも、作業性よく効率的に処理でき、高品位の導体を回収可能なOFケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係るOFケーブルの処理方法は、金属製の導体が金属シース及び外皮からなる被覆部で覆われ、内部にPCBを含有する絶縁油が満たされたOFケーブルの処理方法において、
前記OFケーブルが巻回されたボビンを回転させて前記OFケーブルを巻解き、該巻解かれた前記OFケーブルを予め設定した長さで切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された前記OFケーブルから、前記外皮を切断することなく前記導体をその軸心方向に押出し、前記導体と前記被覆部とに分離する分離工程と、
前記分離工程で分離された前記導体と前記被覆部とを、個別の処理容器にそれぞれ装入して加熱処理を行う無害化処理工程とを有する。
【0008】
前記目的に沿う第2の発明に係るOFケーブルの処理方法は、金属製の導体が金属シース及び外皮からなる被覆部で覆われ、内部に絶縁油が満たされたOFケーブルの処理方法において、
前記OFケーブルが巻回されたボビンを回転させて前記OFケーブルを巻解き、該巻解かれた前記OFケーブルを予め設定した長さで切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された前記OFケーブルから、前記外皮を切断することなく前記導体をその軸心方向に押出し、前記導体と前記被覆部とに分離する分離工程とを有する。
【0009】
第1、第2の発明に係るOFケーブルの処理方法において、前記切断工程での前記OFケーブルの切断は、該OFケーブルの軸心に直交する面内で行うことが好ましい。
【0010】
前記目的に沿う第3の発明に係るOFケーブルの処理方法に用いる処理設備は、第1、第2の発明に係るOFケーブルの処理方法に用いる処理設備であって、
前記ボビンより下流側に配置され、該ボビンに巻回された前記OFケーブルを巻解きながら下流側へ送出す送出し機と、
前記送出し機より下流側に配置され、前記OFケーブルを予め設定した長さで切断する切断機と、
前記切断機で切断された前記OFケーブルから前記導体をその軸心方向に押出す押出し機とを有する。
【0011】
第3の発明に係るOFケーブルの処理方法に用いる処理設備において、前記押出し機は、切断された前記OFケーブルの位置決めを行う固定部と、前記導体の軸心方向一側から軸心方向に沿って該導体を押圧する押圧シリンダとを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るOFケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備は、予め設定した長さに切断されたOFケーブルから、外皮を切断することなく導体をその軸心方向に押出し、導体と外皮及び金属シースとに分離するので、従来のように、作業者が、OFケーブルの外皮の剥取りや各部材ごとの分別等を行う必要がなくなる。
従って、従来よりも、作業性よく効率的に処理でき、高品位の導体を回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係るOFケーブルの処理方法の説明図、(B)は同OFケーブルの処理方法で処理されるOFケーブルの説明図である。
図2】同OFケーブルの処理方法の分離工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、図1(A)、(B)、図2を参照しながら、本発明の一実施の形態に係るOFケーブルの処理方法に用いる処理設備(以下、単に処理設備とも記載)10について説明した後、OFケーブルの処理方法について説明する。
【0015】
処理設備10で処理されるOFケーブル(油浸紙絶縁ケーブル)11は、図1(B)に示す従来公知のものであり、例えば、複数の金属製の線(銅線等)で構成された3つの導体12と、この各導体12の周囲に巻かれた絶縁体(クラフト紙や半合成紙等の油浸紙)13と、それぞれ絶縁体13で巻かれた3つの導体12をその外側から覆う金属シース(アルミニウムや鉛等)14と、この金属シース14の外周面を覆う外皮(ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ポリエチレン等の樹脂)15とを有し、内部(金属シース14の内側部)がPCBを含む絶縁油で満たされたものである。なお、金属シース14と外皮15とで被覆部が構成される。
【0016】
OFケーブル11は、断面円形のものであり、その外径(直径)が、小さいもので、例えば3~5cm程度、また、大きいもので、例えば15~20cm程度のものであるが、特に限定されるものではない。
なお、図1(B)に示すOFケーブル11は、3つの導体12を有する3芯のものであるが、例えば、中心から半径方向外側に向かって、導体、絶縁体、金属シース、及び、外皮が、同心円状に形成された1芯でもよく、導体と金属シースと外皮を有し、その内部がPCBを含む絶縁油で満たされていれば、特に限定されるものではない。
【0017】
処理設備10には、図1(A)、図2に示すように、OFケーブル11が巻回されたボビン20の設置場所21が設けられ、この設置場所21より下流側に、送出し機22と切断機23と押出し機24が、上流側から下流側へかけて順次配置されている。
ボビン20は、円筒状の回転ドラム25を備えるものであり、その周面にOFケーブル11が巻回されている。なお、回転ドラム25は、その軸心を水平にした状態で、設置場所21に回転可能に支持されている。また、設置場所21には、OFケーブル11から漏出す絶縁油を受けるパレット(図示しない)等を設置するのがよい。
【0018】
送出し機22は、ボビン20に巻回された状態で搬入されたOFケーブル11を、ボビン20から巻解きながら下流側へ送出すものであり、平面視して、OFケーブル11の送出し方向を、回転ドラム25の軸心とは直交させている。
この送出し機22は、間隔(隙間)を有して対向配置された対となる2つの回転体26を有し、この各回転体26の軸心は鉛直方向を向いている。使用にあっては、2つの回転体26を互いに逆方向に回転させることで、対向する回転体26の間に挿入されたOFケーブル11を下流側に送出すことができる。
【0019】
切断機23は、OFケーブル11を、予め設定した長さで輪切りにして切断するものである。
切断機23は、OFケーブル11の切断面(特に、導体12や金属シース14の切断面)がきれいな状態(切断時に発生し易いダレ等がない状態)となるように切断できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、回転刃を備えた高速切断機(高速カッタ)等を使用できる。
【0020】
押出し機24は、切断機23で切断されたOFケーブル11aから導体12aをその軸心方向に押出すものである。
押出し機24は、切断されたOFケーブル11aの外皮15aの位置決めを行う固定部27と、エアシリンダ(押圧シリンダの一例)28とを有している。このエアシリンダ28は、シリンダチューブ29と、その内部を往復移動するピストンロッド30とを有し、ピストンロッド30により、導体12aの軸心方向一側から軸心方向に沿って導体12aを押圧できるものである。なお、押出し機の構成は、導体12aを押出すことができれば特に限定されるものではなく、例えば、油圧シリンダ等を用いることもできる。
【0021】
ピストンロッド30の先端部(導体12aとの接触部)31は、導体12aの切断面のみ(切断面の一部又は全部)に接触可能な大きさを有すればよい。
また、ピストンロッド30の長さ(シリンダチューブ29からの突出長さ)は、必ずしもOFケーブル11aから導体12a全体を押出すことができる長さを有する必要はなく、一部のみを押出すことができる程度の長さでもよい。なお、導体12aの一部のみを押出した場合は、例えば作業者が、押出された部分を引張り、OFケーブル11aから導体12a全体を引張り出すのがよい。
【0022】
上記した切断機23と押出し機24は、送出し機22に隣接する1つの作業台32上に配置されている。これにより、OFケーブル11の切断作業から、OFケーブル11aと導体12aとの分離作業までを、一連の流れで実施できるため、作業性が良好になると共に、作業効率を向上できる。
なお、図1(A)に示す符号33は、分離された金属シース14a及び外皮15a(被覆部)と導体12aとを、作業台32から降ろすためのローラコンベア(搬送手段)であり、作業台32から降ろした金属シース14a及び外皮15a(被覆部)と導体12aはそれぞれ、個別のドラム缶(処理容器の一例:図示しない)に装入され、後述する無害化処理がなされる。
【0023】
続いて、本発明の一実施の形態に係るOFケーブルの処理方法について、前記した処理設備10を参照しながら説明する。
(準備工程)
OFケーブル11が巻回されたボビン20を処理設備10に搬入し、設置場所21に回転可能に支持する。
次に、ボビン20に巻回されたOFケーブル11を巻解き、その巻解き方向先側を、下流側に配置された送出し機22まで搬送して、対向配置された対となる2つの回転体26の間に挿入する。
【0024】
(切断工程)
送出し機22の各回転体26を、互いに逆方向(OFケーブル11の送出方向に向かって左側の回転体26は反時計回りに、右側の回転体26は時計回り)に回転させることで、ボビン20に巻回されたOFケーブル11を巻解き、切断機23まで搬送する。
切断機23では、巻解かれたOFケーブル11を予め設定した長さで切断する。
ここで、OFケーブル11の切断は、OFケーブル11の軸心に直交する面内で行う。なお、直交する面内とは、必ずしもOFケーブル11の軸心に対して90度である必要はなく、多少の傾きがあってもよい(例えば、±5度程度の範囲内で傾いてもよい)。
【0025】
また、予め設定した長さとは(即ち、切断されたOFケーブル11aの長さは)、50~100cm(好ましくは、下限が60cm、上限が90cm)程度であることが好ましい。
ここで、切断されたOFケーブルの長さが50cm未満の場合、例えば、切断機23での切断作業の頻度と、後述する押出し機24での押出し作業の頻度が多くなって作業性が悪くなるおそれがある。一方、切断されたOFケーブルの長さが100cm超の場合、例えば、長さが長過ぎて、押出し機24での押出し作業がしずらくなり、また、後述する無害化処理工程での絶縁油の除去がしづらくなるおそれがある。
なお、OFケーブルのサイズ、処理設備の規模等の条件によっては、上記の長さに限定されない。
【0026】
(分離工程)
切断機23で切断されたOFケーブル11aを、固定部27で位置決めし、エアシリンダ28のピストンロッド30により、OFケーブル11aから導体12aをその軸心方向に押出す。これにより、外皮15aを切断することなく、導体12aと被覆部(外皮15a及び金属シース14a)に分離できる。
なお、OFケーブル11aから押出された導体12aの周囲には、絶縁体13aが巻かれた状態であり、導体12aが押出された後の外皮15aの内側には、金属シース14aが残存している。
従って、金属シース14aは外皮15aと共に、導体12aから分離される。
【0027】
(無害化処理工程)
押出し機24で分離された導体12a及び絶縁体13aと、外皮15a及び金属シース14aとを、個別のドラム缶にそれぞれ装入して、加熱処理を行う。
このドラム缶は、例えば、加熱処理を行う焼却炉内で熱等に耐え得る材質(例えば、鉄等)で構成され、その形状は、上方が開放し、切断されたOFケーブル11aを立設させた状態で貯留できる形状となっている。このように、ドラム缶を上方が開放された状態で使用することにより、絶縁体13aが巻かれた導体12aと、金属シース14aが残存する外皮15aをそれぞれ別のドラム缶の上方から投入でき、その投入状態を視認できて配置位置の修正がし易くなり、また、熱により発生する絶縁油に起因したガスがOFケーブル11aから抜け易くなる。
【0028】
なお、上記した加熱処理は、導体12aと金属シース14aを無害化処理できれば、特に限定されるものではないが、例えば、600~900℃(ここでは850℃)程度で3時間以上(ここでは4時間程度)行うことが好ましい。
この加熱処理により、導体12aと絶縁体13aを装入したドラム缶には、無害化処理された導体12a(例えば、銅)のみが、また、外皮15aと金属シース14aを装入したドラム缶には、無害化処理された金属シース14a(例えば、アルミニウム)のみが、それぞれ残存する。
これにより、高品位の導体12aと金属シース14aを回収してリサイクルできる。
【0029】
上記した送出し機22、切断機23、及び、押出し機24は、例えば、作業者が各機器を操作(手動操作)することで、動作させることができるが、制御手段(例えば、コンピュータ等)で一括して管理することにより、各機器を自動で動作させることもできる。ここで、各機器を自動で動作させる場合(即ち、処理設備10を自動運転する場合)は、作業性と作業効率の更なる向上が図れる。
以上のことから、本発明のOFケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備10を使用することで、従来よりも、作業性よく効率的に処理でき、高品位の導体を回収できる。例えば、OFケーブルの1日の処理量は、従来40m程度であったが、200~250m程度まで長くすることができる(処理量を5倍以上に増やすことができる)。
【0030】
なお、前記実施の形態においては、内部がPCBを含む絶縁油で満たされたOFケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備について説明したが、PCBを含まない絶縁油で満たされたOFケーブルについても、略同様の処理方法及びこれに用いる処理設備で処理できる。
具体的には、回収したOFケーブルに対し、前記した切断工程と分離工程を順次行った後、無害化処理工程を行うことなく、分離した導体(更には絶縁体)と、金属シース(更には外皮)とを、そのままリサイクルすることもできる。
【0031】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明のOFケーブルの処理方法及びこれに用いる処理設備を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、OFケーブルの切断機と押出し機を別々に設け、切断機より下流側位置に押出し機を配置した場合について説明したが、切断機と押出し機を一体とし、切断機によるOFケーブルの切断が終了した後すぐに、切断されたOFケーブルから導体を押出すこともできる。
【符号の説明】
【0032】
10:OFケーブルの処理方法に用いる処理設備、11、11a:OFケーブル、12、12a:導体、13、13a:絶縁体、14、14a:金属シース、15、15a:外皮、20:ボビン、21:設置場所、22:送出し機、23:切断機、24:押出し機、25:回転ドラム、26:回転体、27:固定部、28:エアシリンダ(押圧シリンダ)、29:シリンダチューブ、30:ピストンロッド、31:先端部、32:作業台、33:ローラコンベア
図1
図2