(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】弾性繊維用処理剤及びその利用
(51)【国際特許分類】
D06M 13/256 20060101AFI20230615BHJP
D06M 13/02 20060101ALI20230615BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20230615BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20230615BHJP
D06M 101/38 20060101ALN20230615BHJP
【FI】
D06M13/256
D06M13/02
D06M13/224
D06M15/643
D06M101:38
(21)【出願番号】P 2020501688
(86)(22)【出願日】2019-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2019004922
(87)【国際公開番号】W WO2019163585
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2018029282
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000188951
【氏名又は名称】松本油脂製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安永 和史
(72)【発明者】
【氏名】中川 幹生
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-133489(JP,A)
【文献】特開2008-24908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
C10M101/00-177/00
D06M13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物油(A1)、シリコーン油(A2)及びエステル油(A3)から選ばれる少なくとも1種のベース成分(A)と、塩基性のアルカリ土類金属スルホネートである成分(B)とを含む弾性繊維用処理剤であって、前記弾性繊維用処理剤に対する前記ベース成分(A)の重量割合が50~99.9重量%であ
り、前記成分(B)を構成するスルホン酸がアルキル芳香族スルホン酸を含む、弾性繊維用処理剤。
【請求項2】
前記成分(B)を構成するスルホン酸が、平均分子量が350g/mol~700g/molのアルキル芳香族スルホン酸である、請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項3】
前記成分(B)の全塩基価が1~700KOHmg/gである請求項1又は2に記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項4】
処理剤に対する前記成分(B)の重量割合が0.1~20重量%である、請求項1~3のいずれかに記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項5】
弾性繊維本体に、請求項1~4のいずれかに記載の処理剤が付与されてなる、弾性繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性繊維用処理剤及び該処理剤が付与された弾性繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性繊維は、紡糸工程において、処理剤を付与した後、チーズ形状に巻き取られ、捲糸体(以下、チーズということもある)となる。弾性繊維は、粘弾性を有するために膠着し易い繊維である。特に捲糸体の内層部においては、巻き取り時にかかる圧力により膠着が経時的に進行する。そのため、弾性繊維捲糸体を使用する際、解舒不良となり糸切れを引き起こす。この解舒不良を改良するために、種々の弾性繊維用処理剤が開発されている。
例えば、特許文献1には、シリコーンレジン(MQレジン)を含有する弾性繊維用処理剤が記載され、特許文献2には、カルボキシアミド変性シリコーンを含有し、高級脂肪酸マグネシウム塩の凝集や沈降を抑えた弾性繊維用処理剤が記載されている。特許文献3には、平均粒子径0.01~5μmにあり、且つ針状である高級脂肪酸の金属塩を含有した弾性繊維用処理剤が記載されている。
【0003】
しかし、これら従来技術に記載された弾性繊維用処理剤は、捲糸体の内層部における繊維の膠着防止性には優れるものの、その処理剤の有する繊維/繊維間摩擦の低下作用により、捲糸体の外層部においては捲き崩れが生じたり、綾落ちなどの解舒性不良を生じたりするという問題が発生する場合があった。
基本的に上記捲糸体の内層部における繊維の膠着防止性と、外層部における捲き崩れ防止性は、一方を重視すると他方が悪化するというトレードオフの関係にあり、従来技術においては両者のバランスを取りつつ適用するというのが実情であり、両者を満足する弾性繊維用処理剤が切望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開平09-078460号公報
【文献】日本国特開平11-12950号公報
【文献】日本国特開2005-179874号公報
【文献】日本国特開2006-009221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、捲糸体の内層部における繊維の膠着防止性と、外層部における捲き崩れ防止性の両方に優れる弾性繊維用処理剤及び該処理剤が付与された弾性繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記実情に鑑み、捲糸体の内層部における繊維の膠着防止性と、外層部における捲き崩れ防止性を両立できる弾性繊維用処理剤について鋭意検討した結果、特定のベース成分と、特定の成分(B)を含有する弾性繊維用処理剤であれば上記課題を解決できる事を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の弾性繊維用処理剤は、鉱物油(A1)、シリコーン油(A2)及びエステル油(A3)から選ばれる少なくとも1種のベース成分(A)と、塩基性のアルカリ土類金属スルホネートである成分(B)とを含む弾性繊維用処理剤であって、前記弾性繊維用処理剤に対する前記ベース成分(A)の重量割合が50~99.9重量%である。
【0007】
前記成分(B)を構成するスルホン酸が、平均分子量が350g/mol~700g/molのアルキル芳香族スルホン酸であると好ましい。
前記成分(B)の全塩基価が1~700KOHmg/gであると好ましい。
処理剤に対する前記成分(B)の重量割合が0.1~20重量%であると好ましい。
【0008】
本発明の弾性繊維は、弾性繊維本体に、上記処理剤が付与されてなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の弾性繊維用処理剤が付与されてなる弾性繊維は、捲糸体の内層部における繊維の膠着防止性と、外層部における捲き崩れ防止性の両方に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ループ評価方法の測定方法を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の弾性繊維用処理剤は、弾性繊維を製造する際に用いられ、鉱物油(A1)、シリコーン油(A2)及びエステル油(A3)から選ばれる少なくとも1種のベース成分(A)と、特定の成分(B)を含むものである。以下に詳細に説明する。
【0012】
(ベース成分(A))
前記ベース成分(A)は、鉱物油(A1)、シリコーン油(A2)及びエステル油(A3)より選ばれる少なくとも1種である。該ベース成分(A)は、上記弾性繊維用処理剤に必須な成分であり、繊維/金属間の摩擦を低減する剤である。
【0013】
処理剤に対する鉱物油(A1)の重量割合は、10重量%以上が好ましく、15~85重量%がさらに好ましく、20~80重量%が特に好ましい。鉱物油が10重量%未満であると、成分(B)とベース成分との溶解性が極端に低下する場合がある。
【0014】
処理剤に対するシリコーン油(A2)の重量割合は、0~90重量%が好ましく、15~85重量%がさらに好ましく、20~80重量%が特に好ましい。シリコーン油が90重量%より多いと、塩基性金属スルホネート(B)とベース成分との相溶性が極端に低下する場合がある。
【0015】
鉱物油(A1)としては、特に限定はないが、マシン油、スピンドル油、流動パラフィン等を挙げることができ、1種又は2種以上を使用してもよい。鉱物油の30℃における粘度は、30秒~350秒が好ましく、35秒~200秒がより好ましく、40秒~150秒がさらに好ましい。鉱物油としては、臭気の発生が低いという理由から、流動パラフィンが好ましい。鉱物油の粘度が30秒未満であると、得られる弾性繊維の品質が低下することがある。一方、鉱物油の粘度が350秒を超えると処理剤に配合される他成分の溶解性が悪くなることがある。
【0016】
シリコーン油(A2)としては、特に限定はないが、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等を挙げることができ、1種又は2種以上を使用してもよい。シリコーン油の25℃における粘度は、2~100mm2/sが好ましく、5~70mm2/sがより好ましく、5~50mm2/sがさらに好ましい。該粘度が2mm2/s未満であるとシリコーン油が揮発する場合があり、100mm2/sを超えると、処理剤に配合される他成分の溶解性が悪くなることがある。シリコーン油のシロキサン結合(SiOR1R2:R1及びR2は、それぞれ独立して、有機基を示す)の平均結合量は、3~100が好ましく、7~60がより好ましく、7~50がさらに好ましい。R1、R2の有機基は、炭素数1~24の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等を挙げることができ、特に、メチル基、フェニル基が好ましい。
【0017】
エステル油(A3)としては、特に限定はないが、脂肪酸とアルコールとから製造されるエステルを挙げることができる。エステル油(A3)としては、たとえば、下記から選ばれる脂肪酸とアルコールとから製造されるエステルを例示できるが、下記脂肪酸やアルコールを原料としないエステルであってもよい。エステル油(A3)は、1種または2種以上を併用してもよい。
【0018】
脂肪酸は、その炭素数、分岐の有無、価数等について特に制限はなく、高級脂肪酸であってもよく、環状の脂肪酸であってもよく、芳香族環を含有する脂肪酸であってもよい。前記脂肪酸としては、たとえば、カプリル酸、2-エチルヘキシル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセレン酸、アジピン酸、セバチン酸、安息香酸等が挙げられる。
【0019】
アルコールは、その炭素数、分岐の有無、価数等について特に制限はなく、高級アルコールであっても、環状のアルコールであっても、芳香族環を含有するアルコールであっても良い。前記アルコールとしては、たとえば、カプリルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、ソルビトール、ソルビタン等が挙げられる。
【0020】
上記1価カルボン酸としては、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2-エチルヘキシル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セチロン酸、安息香酸等が挙げられる。
【0021】
エステル油(A3)の具体例としては、吉草酸ヘプチル、カプロン酸ヘプチル、カプロン酸オクチル、カプリル酸セチル、ラウリン酸イソオクチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ラウリン酸オレイル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸トリデシル、ステアリン酸イソブチル、オレイン酸メチル、オレイン酸イソブチル、オレイン酸ヘプチル、オレイン酸オレイル等が挙げられる。
【0022】
エステル油(A3)の粘度(25℃)は、5mm2/s以上が好ましく、5~50mm2/sがより好ましく、5~30mm2/sがさらに好ましい。粘度(25℃)が5mm2/s未満であると、糸を膨潤させることがあり、好ましくない。ベース成分全体に占めるエステル油(A3)の割合は、特に限定はないが、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。エステル油(A3)が50重量%超であると、糸の平滑性が不足することがある。
【0023】
(成分(B))
成分(B)は、塩基性のアルカリ土類金属スルホネートである。
成分(B)は、弾性繊維捲糸体の内層部における膠着防止と捲き崩れ抑制の2つの機能を同時に発揮する成分である。
成分(B)は、ベースオイルに溶解、分散する。
【0024】
成分(B)は、弾性繊維の表面に効率よく吸着し、弾性繊維同士の直接的な接触を妨げるため、捲糸体の内層部における膠着を防止すると考えられる。成分(B)が弾性繊維の表面に効率よく吸着する理由は定かではないが、高極性であるため、弾性繊維表面に吸着し、被覆するためと推定している。
【0025】
入手方法は、特に限定されるものではなく、市販品のそのままの使用や、反応により構造の一部を修飾しての使用も可能である。
【0026】
処理剤に対する前記成分(B)の重量割合は、0.01~20重量%が好ましく、0.5~10.0重量%がさらに好ましく、1.0~5.0重量%が特に好ましい。0.01重量%未満であると、十分な膠着防止性が得られない場合があり、20重量%より多くなると、処理剤の粘度が上昇し過ぎて、紡糸および後加工工程で弾性繊維を走行させる際、粘着性によって走行ローラーに糸が巻き付き、糸切れを生じる場合がある。
【0027】
前記成分(B)を構成するスルホン酸はアルキル芳香族スルホン酸であると好ましい。
前記アルキル芳香族スルホン酸の平均分子量は、好ましくは350~700g/molであり、より好ましくは400~600g/molである。アルキル芳香族スルホン酸の分子量が350g/mol~700g/molの範囲から外れる場合、処理剤との相溶性が悪く、安定性が損なわれる場合があったり、十分な均一解舒性が得られなかったりする場合がある。
【0028】
アルキル芳香族スルホン酸としては、例えば、いわゆる石油スルホン酸や合成スルホン酸が挙げられる。ここでいう石油スルホン酸としては、鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルホン化したものや、ホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸等が挙げられる。また、合成スルホン酸の一例としては、洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントにおける副生成物を回収すること、もしくは、ベンゼンをポリオレフィンでアルキル化することにより得られる、直鎖状または分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したものを挙げることができる。合成スルホン酸の他の一例としては、ジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルホン化したものを挙げることができる。また、これらアルキル芳香族化合物をスルホン化する際のスルホン化剤としては、特に制限はなく、例えば発煙硫酸や無水硫酸を用いることができる。
【0029】
用語「塩基性」とはスルホン酸とアルカリ土類金属とが反応して塩を生成するのに必要な量よりも過剰にアルカリ土類金属を含んだスルホン酸塩であることを示す。成分(B)の全塩基価は、1~700KOHmg/gが好ましく、さらに好ましくは1~650KOHmg/g、特に好ましくは10~600KOHmg/gである。成分(B)の全塩基価が700KOHmg/gより大きくなった場合、処理剤との相溶性が悪化し、安定性が損なわれる場合があり、全塩基価が1よりも小さい場合は十分な膠着防止性が得られない場合がある。
【0030】
アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、ベリリウム等が挙げられ、マグネシウム、バリウムまたはカルシウムが好ましい。
前記成分(B)は、炭酸塩(例えば炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩。)で塩基化されていてもよく、ホウ酸塩(例えばホウ酸カルシウムやホウ酸マグネシウム等のアルカリ土類金属ホウ酸塩。)で塩基化されていてもよい。
炭酸塩で塩基化された金属スルホネートを得る方法は特に限定されるものではないが、例えば、炭酸ガスの存在下で、金属スルホネートの金属の塩基(例えば金属の水酸化物、酸化物等。)と反応させることにより得ることができる。
ホウ酸塩で塩基化された金属スルホネートを得る方法は特に限定されるものではないが、ホウ酸もしくは無水ホウ酸またはホウ酸塩の存在下で、金属スルホネートの中性塩を金属の塩基(例えば金属の水酸化物、酸化物等。)と反応させることにより得ることができる。
【0031】
(その他の成分)
本発明の弾性繊維用処理剤は、平滑性や解舒性の性能向上という観点から、上記で説明した各成分以外に、アルキル変性シリコーン、エステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びメルカプト変性シリコーン、シリコーンレジン(C)、高級脂肪酸金属塩(D)、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはアニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一種のその他成分をさらに含有してもよい。その他成分は、1種または2種以上を使用してもよい。
【0032】
上記変性シリコーンとは、一般には、ジメチルシリコーン(ポリジメチルシロキサン)等のポリシロキサンの両末端、片末端、側鎖、側鎖両末端の少なくとも1ヶ所において、反応性(官能)基または非反応性(官能)基が少なくとも1つ結合した構造を有するものをいう。
【0033】
上記変性シリコーンとしては、より詳細には、長鎖アルキル基(炭素数6以上のアルキル基や2-フェニルプロピル基等)を有する変性シリコーン等のアルキル変性シリコーン;エステル結合を有する変性シリコーンであるエステル変性シリコーン;ポリオキシアルキレン基(たとえば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレンオキシプロピレン基等)を有する変性シリコーンであるポリエーテル変性シリコーン等;アミノプロピル基やN-(2-アミノエチル)アミノプロピル基等を有する変性シリコーンである、アミノ変性シリコーン;アルコール性水酸基を有する変性シリコーンであるカルビノール変性シリコーン;グリシジル基または脂環式エポキシ基等のエポキシ基を有する変性シリコーンであるエポキシ変性シリコーン;カルボキシル基を有する変性シリコーンであるカルボキシ変性シリコーン;メルカプト基を有する変性シリコーンであるメルカプト変性シリコーン等を挙げることができる。
【0034】
上記シリコーンレジン(C)とは、オルガノポリシロキサン樹脂のことで、3次元架橋構造を有するシリコーンを意味する。シリコーンレジンは、一般に、1官能性構成単位(M)、2官能性構成単位(D)、3官能性構成単位(T)および4官能性構成単位(Q)から選ばれた少なくとも1種の構成単位からなっている。
【0035】
上記シリコーンレジンとしては、特に限定されないが、例えば、MQシリコーンレジン、MQTシリコーンレジン、Tシリコーンレジン、DTシリコーンレジン等のシリコーンレジン等を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記MQシリコーンレジンとしては、たとえば、1官能性構成単位であるRaRbRcSiO1/2(但し、Ra、RbおよびRcはいずれも炭化水素基である。)と、4官能性構成単位であるSiO4/2と含むシリコーンレジン等を挙げることができる。
【0037】
上記MQTシリコーンレジンとしては、たとえば、1官能性構成単位であるRaRbRcSiO1/2(但し、Ra、RbおよびRcはいずれも炭化水素基である。)と、4官能性構成単位であるSiO4/2と、3官能性構成単位であるRSiO3/2(但し、Rは炭化水素基である。)と含むシリコーンレジン等を挙げることができる。
【0038】
上記Tシリコーンレジンとしては、たとえば、3官能性構成単位であるRSiO3/2(但し、Rは炭化水素基である。)を含むシリコーンレジン(その末端は炭化水素基のほか、シラノール基やアルコキシ基となっていても良い。)等を挙げることができる。
【0039】
上記DTシリコーンレジンとしては、たとえば、2官能性構成単位であるRaRbSiO2/2(但し、Ra、およびRbはいずれも炭化水素基である。)と、3官能性構成単位であるRSiO3/2(但し、Rは炭化水素基である。)等を挙げることができる。
【0040】
R、Ra、RbおよびRcの炭化水素基としては、炭素数1~24の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等を挙げることができ、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、フェニル基が好ましい。
【0041】
シリコーンレジン(C)を含有する場合、シリコーンレジン(C)の処理剤全体に対する配合比率は、0.1~9が好ましく、0.2~5がより好ましく、0.3~3がさらに好ましい。前記配合比率が、0.1未満の場合、シリコーンレジン(C)の添加による、膠着防止性の向上効果が十分に得られない場合がある。前記配合比率が、9より大きい場合は、膠着防止性には優れるものの、外層部における捲き崩れが発生しやすくなる場合がある。
【0042】
上記高級脂肪酸金属塩(D)としては、炭素数8~22の脂肪酸の2価又は3価の金属塩を挙げることができる。高級脂肪酸金属塩(D)としては、例えば、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ミリスチン酸バリウム、パルミチン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、2-エチルヘキシル酸マグネシウム、ベヘニン酸亜鉛、トリベヘニン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、2-エチルヘキシル酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、カプリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等を挙げることができる。
【0043】
上記高級脂肪酸金属塩(D)の平均粒子径について、特に限定はないが、0.01~5μmが好ましく、0.02~3μmがさらに好ましく、0.05~2μmが特に好ましい。高級脂肪酸金属塩(D)の平均粒子径が0.01μm未満であると、添加による効果が見られないことがある。一方、高級脂肪酸金属塩(D)の平均粒子径が5μm超であると、繊維表面から脱落しやすく、紡糸後の工程でスカムの原因となる場合がある。
【0044】
上記高級脂肪酸金属塩(D)の形状について、特に限定はないが、針状が好ましい。高級脂肪酸金属塩の形状が針状の場合、その縦方向と横方向との比は、解舒性の観点から、10:1~2:1が好ましく、8:1~3:1がさらに好ましい。
【0045】
上記ノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、炭素数8~22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル(EO1~20モル)、炭素数8~22のアルキル基を有するポリオキシプロピレンアルキルエーテル(PO1~20モル)、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのEO付加物(EO1~20モル)、ソルビタン脂肪酸エステルのPO付加物(PO1~20モル)、炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルフェノール、炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルフェノールのEO付加物(EO1~20モル)、脂肪酸ポリオキシエチレングリコールエステル(EO1~20モル)、脂肪酸ポリオキシプロピレングリコールエステル(PO1~20モル)等が挙げられる。
【0046】
上記カチオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、1級アミン、2級アミンや3級アミン等のアルキルアミン又はその塩、及び4級アンモニウム塩がある。具体的には、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ジエチルアミン、ジオクチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、ポリオキシプロピレン付加ラウリルアミン、ポリオキシエチレン付加ラウリルアミン、ポリオキシエチレン付加ステアリルアミン、ポリオキシエチレン付加オレイルアミン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ラウリルエタノールアミン、オレイルプロピレンジアミン、トリオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジデシルジメチルアンモニウム塩、デシルトリメチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩、オクチルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0047】
上記アニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルカンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、またはこれらの成分の塩、アルキルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸、またはこれらの成分の塩がある。具体的には、炭素数6~22のアルキル基を有するアルカンスルホン酸及び/またはそのアルカリ金属塩、炭素数6~22のアルキル基を有するジアルキルスルホコハク酸及び/またはそのアルカリ金属塩、炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、炭素数1~20のアルキル基を有するアルキル硫酸及び/またはその塩、炭素数6~22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸及び/またはその塩、炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルリン酸、炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルリン酸のアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩、炭素数が6~22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、炭素数が6~22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、炭素数が6~22のアルキル基を有するアルキルカルボン酸、炭素数が6~22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩等が挙げられる。上述したアニオン界面活性剤の中でも、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、またはこれらの成分の塩を含有すると、平滑性や解舒性の性能バランスが良くなり好ましい場合がある。
【0048】
〔弾性繊維用処理剤〕
本発明の弾性繊維用処理剤の30℃における粘度は、好ましくは5~50mm2/s、より好ましくは5~40mm2/s、さらに好ましくは6~20mm2/sである。粘度が低すぎると、紡糸及び後加工工程で弾性繊維を走行させる際に処理剤が霧状に飛散し、周辺を汚したり作業者が吸入したりする場合がある。また、粘度が高すぎると、紡糸および後加工工程で弾性繊維を走行させる際、粘着性によって走行ローラーに糸が巻き付き、糸切れを生じる場合がある。
【0049】
本発明の弾性繊維用処理剤の製造方法については、特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、いくつかの成分を予め配合していて、それ以外の成分と混合する方法でもよく、全成分を一挙に混合する方法でもよい。また、本発明の弾性繊維用処理剤が高級脂肪酸金属塩を含有する場合、既に粉砕された高級脂肪酸金属塩をベース成分等と混合して製造してもよく、ベース成分等に高級脂肪酸金属塩を混合し、従来公知の湿式粉砕機を用いて、所定の平均粒子径になるように粉砕して製造してもよい。
【0050】
弾性繊維用処理剤に対するベース成分(A)の重量割合としては50~99.99重量%が好ましく、55~99.9重量%がより好ましく、60~99重量%がさらに好ましく、65~98重量%が特に好ましい。ベース成分(A)の割合が少なすぎると平滑性が低下し、布製品の品位低下を引き起こす場合がある。
【0051】
弾性繊維用処理剤がその他成分を含有する場合、処理剤を使用する際の流動性を維持するという見地から、弾性繊維用処理剤全体に占めるその他成分の重量割合は、好ましくは0.01~15重量%、より好ましくは0.1~13重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5~10重量%である。
【0052】
〔弾性繊維〕
本発明の弾性繊維は、弾性繊維本体に、本発明の弾性繊維用処理剤が付与されたものである。弾性繊維全体に占める弾性繊維用処理剤の付着割合は特に限定は無いが、0.1~15重量%が好ましく、0.5~10重量%がさらに好ましい。弾性繊維本体に本発明の弾性繊維用処理剤を付与する方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。
【0053】
本発明の弾性繊維(弾性繊維本体)は、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリアミドエラストマー等を使用した弾性を有する繊維であり、その伸度は通常300%以上である。
【0054】
本発明の弾性繊維としては、PTMGやポリエステルジオールと有機ジイソシアネートを反応させ、次いで、1,4ブタンジオール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ペンタンジアミンなどで鎖延長した、ポリウレタンあるいはポリウレタンウレアから構成されるものが挙げられる。例えば、ポリウレタンウレア弾性繊維は、分子量1000~3000のポリテトラメチレングリコール(PTMG)とジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを用意し、PTMG/MDI=1/2~1/1.5(モル比)でジメチルアセトアミドやジメチルホルムアミド等の溶媒中で反応させ、エチレンジアミン、プロパンジアミン等のジアミンで鎖延長して得られるポリウレタンウレアポリマーの20~40%溶液を乾式紡糸で、紡糸速度400~1200m/minで紡糸することにより製造できる。弾性繊維本体の適応繊度は、特に制限はない。
【0055】
本発明の弾性繊維本体は、酸化チタン、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、二価の金属石鹸等の無機物を含有してもよい。二価の金属石鹸としては、2-エチルヘキシル酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、カプリン酸亜鉛、ベヘニン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。無機物は、1種又は2種以上を用いてもよい。
【0056】
弾性繊維本体が無機物を含有する場合、均一解舒性が不良になる場合があるが、弾性繊維本体に本発明の処理剤を付与することにより、均一解舒性を良好にすることができる。従って、本発明の弾性繊維用処理剤は、弾性繊維本体が無機物を含有する場合に好適に使用できる。弾性繊維本体に占める無機物の含有量は特に限定は無いが、0.01~5重量%が好ましく、0.1~3重量%がさらに好ましい。
【0057】
本発明の弾性繊維の用途として、CSY、シングルカバリング、PLY、エアーカバリング等のカバリング糸等の加工糸や、丸編み、トリコット等により、布帛として使用することができる。また、これらの加工糸、布帛を使用してストッキング、靴下、下着、水着等の伸縮性が必要とされる製品や、ジーンズ、スーツ等のアウターウェア等に快適性のために伸縮性を付与させる目的でも使用される。さらに最近では、紙おむつにも適用される。
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はここに記載した実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例に示される「パーセント(%)」及び「部」は、特に限定しない限り、「重量%」及び「重量部」を示す。なお、実施例及び比較例において、弾性繊維用処理剤の各特性の評価は次の方法に従って行った。
【0059】
(解舒速度比)
図1において、解舒速度比測定機の解舒側に処理剤を付与した繊維のチーズ(1)をセットし、巻き取り側紙管(2)をセットする。巻取速度を一定速度にセットした後、ローラー(3)および(4)を同時に起動させる。この状態では糸(5)に張力はほとんどかからないため、糸はチーズ上で膠着して離れず、解舒点(6)は
図1に示す状態にある。解舒速度を変えることによって、チーズからの糸(5)の解舒点(6)が変わるので、この点がチーズとローラーとの接点(7)と一致するように解舒速度を設定する。解舒速度比は下記式(1)によって求める。この値が小さいほど、解舒性が良いことを示す。
解舒速度比(%)=((巻取速度-解舒速度)/解舒速度)×100(1)
経時後の解舒速度比とは、20℃65%RHの条件下で、6ヶ月経時後の解舒速度比を示す。
【0060】
(繊維間摩擦係数(F/FμS))
図3において、処理剤が付与されたポリウレタン弾性繊維のモノフィラメントを50~60cm程取り、一方の端に荷重T1(20)を吊り、ローラー(19)を介して、Uゲージ(18)にもう一方の端を掛けて定速(例えば、3cm/分)で引っ張り、そのときの2次張力T2をUゲージ(18)で測定し、下式(2)により、繊維間摩擦係数を求める。
摩擦係数(F/FμS)=1/θ・ln(T2/T1)式(2)
(式(2)において、θ=2π、ln=自然対数、T1は22dtex当り1g)
【0061】
(指標)
(膠着防止性)
○:内層部の解舒速度比が100未満である場合。
×:内層部の解舒速度比が100以上である場合。
(捲き崩れ防止性)
○:外層部の解舒速度比が20以上かつ、繊維間摩擦係数が0.22以上。
×:外層部の解舒速度比が20未満または繊維間摩擦係数が0.22未満。
【0062】
[実施例1~11及び比較例1~13]
(紡糸原液の調整)
数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールと4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比率1:2で反応させ、次いで1,2-ジアミノプロパンのジメチルホルムアミド溶液を用いて鎖延長し、ポリマー濃度27%のジメチルホルムアミド溶液を得た。30℃での濃度は1500mPaSであった。
【0063】
ポリウレタン紡糸原液を190℃のN2気流中に吐出して乾式紡糸した。紡糸中走行糸に
表2及び表3に記載の成分を用いて作製した表2及び表3記載の処理剤(表中の配合量は重量部)をオイリングローラーにより繊維に対して6重量%付与した後、毎分500mの速度でボビンに巻き取り、44dtexモノフィラメントチーズ(巻き量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。油剤性能の評価結果を表2及び表3に示した。なお、表1及び表2中の使用した成分は次の通りである。
塩基性金属スルホネート成分(B)の全塩基価の測定方法については、まず処理剤に対してゴム膜透析法にて塩基性金属スルホネート成分(B)を分離し、分離した塩基性金属スルホネート成分(B)に対しJIS K2501(塩酸法)で全塩基価を測定した。
平均分子量については液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)によって測定した。
(成分(A))
流動パラフィン60秒:コスモピュアセイフティー10(コスモ石油株式会社製)
ジメチルシリコーン10mm2/s:DOW CORNING TORAY SH200 FLUID 10 CS(東レダウコーニング製)
(成分(B))
塩基性Ba石油スルホネート(全塩基価=9KOHmg/g、スルホン酸化合物の平均分子量=392g/mol、アルキル芳香族スルホネート)
塩基性Ca石油スルホネート(全塩基価=23KOHmg/g、スルホン酸化合物の平均分子量=510g/mol、アルキル芳香族スルホネート)
塩基性Mg石油スルホネート(全塩基価=612KOHmg/g、スルホン酸化合物の平均分子量=654g/mol、アルキル芳香族スルホネート)
(成分(C))
シリコーンレジン(MQレジン)(500mm2/s(25℃))
シリコーンレジン(Tレジン)(300mm2/s(25℃))
(成分(D))
ステアリン酸マグネシウム:平均粒子径0.5μm、針状(1:5)
(その他成分)
中性Naドデシルベンゼンスルホネート(全塩基価=0KOHmg/g、スルホン酸化合物の分子量=324g/mol、アルキル芳香族スルホネート)
中性Caドデシルベンゼンスルホネート(全塩基価=0KOHmg/g、スルホン酸化合物の分子量=324g/mol、アルキル芳香族スルホネート)
中性NaC15アルカンスルホネート(全塩基価=0KOHmg/g、スルホン酸化合物の分子量=262g/mol、非アルキル芳香族スルホネート)
イソステアリルアルコール:ファインオキソコール180T(日産化学工業製)
イソステアリルリン酸エステル
イソトリデシルリン酸エステル
ポリオキシエチレン(3)モル付加ドデカノール
アミノ変性シリコーン(70mm2/s(25℃))
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
表1~3から分かるように、実施例1~11の場合は鉱物油(A1)、シリコーン油(A2)及びエステル油(A3)から選ばれる少なくとも1種のベース成分(A)と、塩基性のアルカリ土類金属スルホネートである成分(B)を含む弾性繊維用処理剤を用いているので、捲糸体の内層部における繊維の膠着防止性、外層部における捲き崩れ防止性に優れる。
比較例1~13の場合はチーズの内層部の解舒速度比が大きい、内外層差が大きく均一解舒性が不足している、繊維間摩擦係数が小さいなどの理由から、本願の課題である捲糸体の内層部における繊維の膠着防止性、外層部における捲き崩れ防止性のいずれかが解決できていない。比較例9~13については特許文献4に記載のスルホン酸塩系のアニオン界面活性剤を用いているが、いずれも中性の金属スルホネートであり、成分(B)を用いていないために内外層差が大きく均一解舒性が不足している。
【符号の説明】
【0068】
1チーズ
2巻き取り用紙管
3ローラー
4ローラー
5走行糸条
6解舒点
7チーズとローラーの接点
8Uゲージ
9ローラー
10荷重