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特許7296382ロータリーダンパー、特に車両のサスペンション用ロータリーダンパー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】ロータリーダンパー、特に車両のサスペンション用ロータリーダンパー
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/26 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
F16F9/26
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020529275
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018083960
(87)【国際公開番号】W WO2019110794
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】102017000141538
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】503336534
【氏名又は名称】マレッリ・サスペンション・システムズ・イタリー・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARELLI SUSPENSION SYSTEMS ITALY S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン・タロン
(72)【発明者】
【氏名】ピエロ・アントニオ・コンティ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ・コット
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダーノ・グレコ
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0208446(US,A1)
【文献】ベルギー国特許発明第423599(BE,A)
【文献】特開2008-185069(JP,A)
【文献】特開平01-269737(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00340563(GB,A)
【文献】実開平05-042784(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00- 9/58
B60G 1/00- 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーダンパー(10)であって、
回転機構部材(14)と共に回転軸(x)周りに回転するように、前記回転機構部材(14)に結合されるための回転入力部材(12)と、
前記回転軸(x)の反対側において、互いに同軸に配置されている第1シリンダー(16)及び第2シリンダー(18)と、
前記第1シリンダー(16)の内側に摺動可能に取り付けられ、非圧縮性の第1作動流体を収容する第1作業チャンバー(26)を前記第1シリンダー(16)と共に形成する第1ピストン(24)と、
前記第2シリンダー(18)の内側に摺動可能に取り付けられ、非圧縮性の第2作動流体を収容する第2作業チャンバー(30)を前記第2シリンダー(18)と共に形成する第2ピストン(28)と、
前記回転入力部材(12)の前記回転軸(x)周りの回転運動を、互いに同期している前記第1ピストン(24)及び前記第2ピストン(28)の往復運動に変換するように、前記回転入力部材(12)と、前記第1ピストン(24)及び前記第2ピストン(28)との間に配置されている運動変換手段(32,34,36,38)とを備えており、
前記回転軸(x)周りの第1方向における前記回転入力部材(12)の回転運動により、前記第1作業チャンバー(26)の容積は減少して、且つ前記第2作業チャンバー(30)の容積は増加する一方、
前記第1方向と対向する前記回転軸(x)周りの第2方向における前記回転入力部材(12)の回転運動により、前記第1作業チャンバー(26)の容積は増加して、且つ前記第2作業チャンバー(30)の容積は減少するように構成されており、
前記ロータリーダンパーは、
第3シリンダー(40)と、
第4シリンダー(42)と、
前記第3シリンダー(40)の内側に摺動可能に配置され、且つ前記第3シリンダー(40)の容積を第1主要チャンバー(48)と第1補助チャンバー(50)とに分割する第3ピストン(46)とを備えており、
前記第1主要チャンバー(48)は、前記第1作業チャンバー(26)に流体連結して、前記第1作動流体を充填されており、
前記第1補助チャンバー(50)は、前記第1主要チャンバー(48)内の前記第1作動流体の圧力により前記第3ピストン(46)に与えられる第1圧力に対向する第1弾性力を前記第3ピストン(46)に与えるように構成されている第1ばね手段を含んでおり、
前記第3ピストン(46)は、前記第3ピストンに与えられる前記第1弾性力と前記第1圧力の合力に応じて、前記第3シリンダー(40)内で摺動するフローティングピストンとして構成されており、
前記第1作業チャンバー(26)の容積が減少するとき、前記第1方向における前記回転入力部材(12)の回転により、前記第3ピストン(46)は前記第1補助チャンバー(50)の容積を減少するように動かされ、前記第1補助チャンバーに含まれる前記第1ばね手段を圧縮して、前記第1ばね手段により前記第3ピストン(46)に与えられる前記第1弾性力を増加するように構成されており、
前記ロータリーダンパーは、前記第4シリンダー(42)の内側に摺動可能に配置され、且つ前記第4シリンダー(42)の容積を第2主要チャンバー(54)と第2補助チャンバー(56)とに分割する第4ピストン(52)を備えており、
前記第2主要チャンバー(54)は、前記第2作業チャンバー(30)に流体連結して、前記第2作動流体を充填されており、
前記第2補助チャンバー(56)は、前記第2主要チャンバー(54)内の前記第2作動流体の圧力により前記第4ピストン(52)に与えられる第2圧力に対向する第2弾性力を前記第4ピストン(52)に与えるように構成されている第2ばね手段を含んでおり、
前記第4ピストン(52)は、前記第4ピストンに与えられる前記第2弾性力と前記第2圧力の合力に応じて、前記第4シリンダー(42)内で摺動するフローティングピストンとして構成されており、
前記第2作業チャンバー(30)の容積が減少するとき、前記第2方向における前記回転入力部材(12)の回転により、前記第4ピストン(52)は前記第2補助チャンバー(56)の容積を減少するように動かされ、前記第2補助チャンバーに含まれる前記第2ばね手段を圧縮して、前記第2ばね手段により前記第4ピストン(52)に与えられる前記第2弾性力を増加するように構成されており、
前記第1作業チャンバー(26)と前記第2作業チャンバー(30)は互いに流体的に分離され、
前記第1補助チャンバー(50)と前記第2補助チャンバー(56)は、互いに、且つ前記第1作業チャンバー(26)と前記第2作業チャンバー(30)から流体的に分離され、
前記第1作動流体は、前記第1作業チャンバー(26)から、前記第2作業チャンバー(30)と前記第1補助チャンバー(50)と前記第2補助チャンバー(56)とに向けて流れることを防がれ、
前記第2作動流体は、前記第2作業チャンバー(30)から、前記第1作業チャンバー(26)と前記第1補助チャンバー(50)と前記第2補助チャンバー(56)とに向けて流れることを防がれ
前記ロータリーダンパー(10)は、
前記第3シリンダー(40)の前記第1補助チャンバー(50)とつながる第5シリンダー(58)と、
前記第5シリンダー(58)の内側に摺動可能に配置され、前記第5シリンダー(58)と共に第3補助チャンバー(67)を囲む第5ピストン(66)と、
前記第3補助チャンバー(67)に含まれ、前記第1補助チャンバー(50)に含まれる前記第1ばね手段により前記第5ピストン(66)に与えられる第4弾性力に対向する第3弾性力を前記第5ピストン(66)に与えるように構成されている第3ばね手段とを備えており、
前記第5ピストン(66)は、前記第5ピストン(66)に与えられる前記第3弾性力と前記第4弾性力の合力に応じて、前記第5シリンダー(58)内で摺動するフローティングピストンとして構成されている、ことを特徴とするロータリーダンパー。
【請求項2】
同一の非圧縮性流体が、前記第1作業チャンバー(26)と前記第1主要チャンバー(48)に充填する前記第1作動流体として、且つ前記第2作業チャンバー(30)と前記第2主要チャンバー(54)に充填する前記第2作動流体として用いられることを特徴とする、請求項1に記載のロータリーダンパー。
【請求項3】
前記第1ばね手段は、前記第1補助チャンバー(50)を充填する第1圧縮性流体により形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロータリーダンパー。
【請求項4】
前記第1ばね手段は、少なくとも1つの第1弾性機構要素(51)により形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロータリーダンパー。
【請求項5】
前記第2ばね手段は、前記第2補助チャンバー(56)を充填する第2圧縮性流体により形成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のロータリーダンパー。
【請求項6】
前記第2ばね手段は、少なくとも1つの第2弾性機構要素(57)により形成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のロータリーダンパー。
【請求項7】
前記第1補助チャンバー(50)と前記第2補助チャンバー(56)内の第1圧縮性流体と第2圧縮性流体の圧力を調整するように構成されている圧力調整手段を備える、請求項3を引用する請求項5に記載のロータリーダンパー。
【請求項8】
前記第3ばね手段は、
前記第3補助チャンバー(67)を充填する第3圧縮性流体、
又はコイルスプリングのような少なくとも1つの第3弾性機構要素(69)により形成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のロータリーダンパー。
【請求項9】
同一の圧縮性流体が、前記第1補助チャンバー(50)を充填する前記第1圧縮性流体として、前記第2補助チャンバー(56)を充填する前記第2圧縮性流体として、且つ前記第3補助チャンバー(67)を充填する前記第3圧縮性流体として用いられることを特徴とする、請求項3と請求項5を引用する請求項8に記載のロータリーダンパー。
【請求項10】
前記圧力調整手段は、前記第3補助チャンバー(67)内の前記第3圧縮性流体の圧力を調整するように構成されていることを特徴とする、請求項7を引用する請求項8に記載のロータリーダンパー。
【請求項11】
前記第1作業チャンバー(26)と前記第1主要チャンバー(48)との間の前記第1作動流体の流量を制御するための第1流量制御バルブ手段(70,72)、
及び/又は前記第2作業チャンバー(30)と前記第2主要チャンバー(54)との間の前記第2作動流体の流量を制御するための第2流量制御バルブ手段(82,84)を備える、請求項1~10のいずれかに記載のロータリーダンパー。
【請求項12】
前記第1作業チャンバー(26)と前記第1主要チャンバー(48)との間の前記第1作動流体の流量から電力を生じるように構成されている第1発電装置(74,76,78)、
及び/又は前記第2作業チャンバー(30)と前記第2主要チャンバー(54)との間の前記第2作動流体の流量から電力を生じるように構成されている第2発電装置(86,88,90)を備える、請求項1~11のいずれかに記載のロータリーダンパー。
【請求項13】
前記第1ピストン(24)が前記第1作業チャンバー(26)内の前記第1作動流体を圧縮するように移動するとき、前記第1ピストン(24)の運動エネルギーを液圧により分散させるため、前記第1作業チャンバー(26)内に配置されている第1液圧バンプストップ手段(92,94)、
前記第2ピストン(28)が前記第2作業チャンバー(30)内の前記第2作動流体を圧縮するように移動するとき、前記第2ピストン(28)の運動エネルギーを液圧により分散させるため、前記第2作業チャンバー(30)内に配置されている第2液圧バンプストップ手段(92,94)を備える、請求項1~12のいずれかに記載のロータリーダンパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、振動するレバー又はアームのような、回転機構部材の回転運動を減衰するように構成されているロータリーダンパーに関する。
【0002】
本発明のロータリーダンパーは、特に、サスペンションアームの回転運動を減衰するように、車両のサスペンション用に形成されている。本発明は、この特定の適用に限定されることなく、機構部材の回転運動を減衰することが必要である他の機械システムに適用され得る。
【0003】
本発明は、特に、
回転機構部材と共に回転軸周りに回転するように、前記回転機構部材に結合されるための回転入力部材と、
前記回転軸の反対側において、互いに同軸に配置されている第1シリンダー及び第2シリンダーと、
前記第1シリンダー及び前記第2シリンダーの内側に摺動可能にそれぞれ取り付けられ、第1作業チャンバー及び第2作業チャンバーを前記第1シリンダー及び前記第2シリンダーと共にそれぞれ形成する第1ピストン及び第2ピストンとを備えるロータリーダンパーに関する。
前記第1作業チャンバー及び前記第2作業チャンバーは、共に非圧縮性流体である第1作動流体及び第2作動流体をそれぞれ収容する。
前記ロータリーダンパーは、前記回転入力部材の前記回転軸周りの回転運動を、互いに同期している前記第1ピストン及び前記第2ピストンの往復運動に変換するように、前記回転入力部材と、前記第1ピストン及び前記第2ピストンとの間に配置されている運動変換手段とを備える。
前記回転軸周りの第1方向における前記回転入力部材の回転運動により、前記第1作業チャンバーの容積は減少して、且つ前記第2作業チャンバーの容積は増加する一方、前記第1方向と対向する前記回転軸周りの第2方向における前記回転入力部材の回転運動により、前記第1作業チャンバーの容積は増加して、且つ前記第2作業チャンバーの容積は減少する。
【背景技術】
【0004】
この種類のロータリーダンパーは、例えば、英国公告特許340563号から知られている。この公知の方法によれば、ロータリーダンパーは、第1シリンダー及び第2シリンダーに対して平行に伸びて、それぞれの小さな穴を介して、第1作業チャンバー及び第2作業チャンバーと連結しているバイパスチャンバーを有する。したがって、第1作業チャンバー及び第2作業チャンバーに収容されている(液体により形成される)作動流体は、バイパスチャンバーを通して、第1作業チャンバーから第2作業チャンバーに、また第2作業チャンバーから第1作業チャンバーに流れる。バイパスチャンバーを通る作動流体の流量を利用することにより得られるダンピングレベルは、調整スクリュープラグにより決まり得る。この調整スクリュープラグは、2つの小さな穴の一方に接続して、手動調整流量制御バルブを与える。このように、同じ調整が、反発段階と圧縮段階の両方のダンピングレベルに対して可能である。
【0005】
一方、この公知のロータリーダンパーの第1の不利な点は、作動流体による作業容積の容易且つ完全な充填を保証しないことである。また、この公知のロータリーダンパーは、作動中の温度上昇により引き起こされる作動流体の必然的な膨張を補うことができない。このような作動流体の膨張により、ダンパー内の過剰な圧力を生じて、ダンパー自体の破裂を潜在的に引き起こし得る。さらに、この公知のロータリーダンパーは、ばね効果を回転機構部材に与えることができない。そのため、車両のサスペンションに用いられるいずれかの従来のダンパーと異なり、回転機構部材の回転が減衰されなければならない。最後に、上述のように、この公知のロータリーダンパーは、圧縮段階と反発段階において、ダンピングレベルを独立して調整することができない。
【0006】
また、上述の種類のロータリーダンパーは、ベルギー特許423599号から知られている。さらに、この場合、第1作業チャンバーと第2作業チャンバーは互いに流体連結している。そのため、第1作業チャンバーと第2作業チャンバー内の作動流体は、一方のチャンバーから他方のチャンバーに向けて流れ得る。
また、ベルギー特許423599号に記載のロータリーダンパーは、
第3シリンダーの内側に摺動可能に配置され、且つ前記第3シリンダーの容積を第1主要チャンバーと第1補助チャンバーとに分割する第3ピストンを備えており、
前記第1主要チャンバーは、第1チェックバルブを通して、前記第1作業チャンバーに接続しており、
前記第1補助チャンバーは、前記第1主要チャンバー内の流体の圧力に対向する前記第3ピストンに作用するばねを収容しており、
前記ロータリーダンパーは、第4シリンダーの内側に摺動可能に配置され、且つ前記第4シリンダーの容積を第2主要チャンバーと第2補助チャンバーとに分割する第4ピストンを備えており、
前記第2主要チャンバーは、第2チェックバルブを通して、前記第2作業チャンバーに接続しており、
前記第2補助チャンバーは、前記第2主要チャンバー内の流体の圧力に対向する前記第4ピストンに作用するばねを収容している。
この第1補助チャンバーと第2補助チャンバーは、互いに流体連結しており、また第1作業チャンバーと第2作業チャンバー、及び第1主要チャンバーと第2主要チャンバーに流体連結している。
【0007】
したがって、この公知のロータリーダンパーは、英国公告特許340563号に関連している上述の不利な点、特に、作動流体による作業容積の完全な充填を保証しないことにより、悪影響を及ぼされる。この公知のロータリーダンパーは、作動中の温度上昇により引き起こされる作動流体の熱膨張を補うことができない。また、ロータリーダンパーは、ばね効果を機構に与えることができない。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上述の先行技術の不利な点により悪影響を及ぼされない、上述の種類のロータリーダンパーを提供することである。
【0009】
本発明によれば、この目的と他の目的は、独立請求項1に定められているロータリーダンパーにより完全に達成される。
【0010】
本発明の有利な実施形態は独立請求項の主題を生じる。この主題の内容は、以下に記載の一体部分を構成することを目的としている。
【0011】
つまり、本発明は、上述の種類のロータリーダンパーを提供する意図に基づいている。
このロータリーダンパーにおいて、前記第1作業チャンバーと前記第2作業チャンバーは互いに流体的に分離され、
前記第1補助チャンバーと前記第2補助チャンバーは、互いに、且つ前記第1作業チャンバーと前記第2作業チャンバーから流体的に分離され、
前記第1作動流体は、前記第1作業チャンバーから、前記第2作業チャンバーと前記第1補助チャンバーと前記第2補助チャンバーとに向けて流れることを防がれ、
前記第2作動流体は、前記第2作業チャンバーから、前記第1作業チャンバーと前記第1補助チャンバーと前記第2補助チャンバーとに向けて流れることを防がれる。
【0012】
互いに流体連結していない第1作業チャンバーと第2作業チャンバーにより、作動流体の流れが、この2つのチャンバーの間にない。すなわち、回転入力部材の回転により生じる第1ピストンと第2ピストンの線形運動のため、第1作業チャンバーと第2作業チャンバーの容積の変化は、それぞれ、第3シリンダーと第4シリンダー内の第3ピストンと第4ピストンの移動により、補われない。この要領の変化は、第1作動流体と第2作動流体が、第1作業チャンバーと第2作業チャンバーに向けて流れて、且つ第1作業チャンバーと第2作業チャンバーから流れることをもたらす。
【0013】
この発明は、第1作動流体と第2作動流体による作業容積の容易且つ完全な充填を得て、作動中の温度上昇により引き起こされる第1作動流体と第2作動流体の必然的な膨張を補うことができる。
【0014】
また、この発明は、第1ばね手段と第2ばね手段により与えられる(プレロードと剛性に関係する)弾性力を適切に設定することによって、ばね効果を有するロータリーダンパーを提供することができる。
【0015】
また、後述されるように、2つのばね剛性効果は、回転入力部材の回転の大きさに応じて、ロータリーダンパーに与えられ得る。
【0016】
好ましくは、同じ非圧縮性流体が、第1作動流体と第2作動流体として用いられる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、上記第1ばね手段と上記第2ばね手段は、それぞれ、第1補助チャンバーと第2補助チャンバーに充填する第1圧縮性流体と第2圧縮性流体により形成されている。この場合、第3ピストンと第4ピストンに与えられる弾性力の調整は、それぞれの補助チャンバー内の第1圧縮性流体と第2圧縮性流体の圧力レベルを適切に設定することにより得られてもよい。このため、ダンパーは、例えば、空気圧コンプレッサー、及び第1補助チャンバーと第2補助チャンバー内の第1圧縮性流体と第2圧縮性流体の圧力を変えるように構成されている1組の空気圧バルブを備えてもよい。このように、車両のサスペンションに対してロータリーダンパーを適用する場合、車高を変えることができる。
【0018】
また、上記第1ばね手段と上記第2ばね手段は、圧縮性流体の代わりに、コイルスプリング又はエラストマー材料の部材のような、弾性機械的要素により形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の別の特徴と利点が、添付図面を参照して、非限定的な例によりもたらされる以下の詳細な記述から明らかになる。
図1図1は、本発明の実施形態に記載のロータリーダンパー、すなわちサスペンションアームに接続されているロータリーダンパーの斜視図である。
図2図2は、サスペンションアームの第1位置における図1のロータリーダンパーの側面図である。
図3図3は、部分的に透過している、上記第1位置におけるサスペンションアームを備える図1のロータリーダンパーの斜視図である。
図4図4は、サスペンションアームの第2位置における図1のロータリーダンパーの側面図である。
図5図5は、部分的に透過している、上記第2位置におけるサスペンションアームを備える図1のロータリーダンパーの斜視図である。
図6図6は、上記第1位置と上記第2位置の間の中間位置におけるサスペンションアームを備える図1のロータリーダンパーの上方断面図である。
図7図7は、上記第1位置におけるサスペンションアームを備える図1のロータリーダンパーの上方断面図である。
図8図8は、上記第2位置におけるサスペンションアームを備える図1のロータリーダンパーの上方断面図である。
図9図9は、図1のロータリーダンパーの第1流量制御バルブを詳細に示す、長手方向の軸を通る断面の斜視図である。
図10図10は、図1のロータリーダンパーの第2流量制御バルブを詳細に示す、長手方向の軸を通る断面の斜視図である。
図11図11は、部分的に透過している、図1のロータリーダンパーの発電装置を詳細に示す斜視図である。
図12図12は、部分的に透過している、本発明の実施形態に記載のロータリーダンパーの斜視図である。
図13図13は、部分的に透過している、本発明の別の実施形態に記載のロータリーダンパーの斜視図である。
図14A図14Aは、圧縮移動の中間位置における、図13のロータリーダンパーの圧縮液圧バンプストップを詳細に示す拡大上方断面図である。
図14B図14Bは、圧縮移動の終端における、図13のロータリーダンパーの圧縮液圧バンプストップを詳細に示す拡大上方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述のように、本発明のロータリーダンパーは、特に、車両のサスペンションに用いるために形成されて、この特定の適用に関して後述される。一方、そのような適用は、実施例により提供されるだけであり、本発明の範囲を限定するとみなされないことが分かる。本発明に記載のロータリーダンパーの他の適用は、例えば、軍車両、戦車、飛行機、ヘリコプター、列車、ロボットなどである。
【0021】
図1~5を参照して、本発明の実施形態に記載の(以下、「ダンパー」と簡略に呼称する)ロータリーダンパーを符号10で示す。
【0022】
ダンパー10は、回転機構部材14と共に回転軸x周りに回転するように、回転機構部材14に結合されるための回転入力部材12を備える。
【0023】
実施形態において、回転入力部材12と回転機構部材14は、それぞれ、シャフトとサスペンションアームであり、以下、簡単のため、シャフト12とサスペンションアーム14と呼称される。一方、回転入力部材12と回転機構部材14は、ダンパー10の特定の適用に応じて、他の適切な部材により形成され得ることが分かる。
【0024】
車両のボディに関するいずれかの方向における車両のホイール(図示せず)の相対的な垂直移動の結果として、サスペンションアーム14とシャフト12は、回転軸x周りのいずれかの方向に回転する。特に、本明細書において、車両のホイールの圧縮移動、すなわち車両のボディに向かう車両のホイールの移動は、回転軸x周りの第1の方向(図1~5を見る視点に関して反時計方向)におけるサスペンションアーム14の回転移動をもたらすことが前提となる。そのため、サスペンションアーム14は、図2,3に示すような第1位置に達するまで、上向きに回転する。一方、車両のホイールの反発移動、すなわち車両のボディから離れる車両のホイールの移動は、回転軸x周りの第2の方向(図1~5を見る視点に関して時計方向)におけるサスペンションアーム14の回転移動をもたらす。そのため、サスペンションアーム14は、図4,5に示すような第2位置に達するまで、下向きに回転する。
【0025】
また、ダンパー10は、回転軸xの反対側において、互いに同軸に配置されている第1シリンダー16と第2シリンダー18を備える。第1シリンダー16と第2シリンダー18の軸は符号yで示す。
【0026】
図示する実施形態において、第1シリンダー16と第2シリンダー18は、符号20で示す同じチューブ状ケーシングにより形成される。一方、代替として、第1シリンダー16と第2シリンダー18は、独立したケーシングにより形成され得る。図示する実施形態において、ケーシング20はまた、シャフト12が、(図示しない公知の軸受手段により)回転軸x周りの回転に対して支持されている中央部22を形成する。車両のサスペンションに対して適用する場合、ダンパーのケーシングはまた、車両のフレームに完全に組み込まれ得るため、パッケージングに関して、非常に有利な点を保証する。
【0027】
好ましくは、第1シリンダー16と第2シリンダー18は、同じ内径と同じ長さを有する。
【0028】
第1ピストン24は、軸yに沿って往復するように、第1シリンダー16内に摺動可能に取り付けられている。第1ピストン24は、第1シリンダー16と共に、第1作業チャンバー26を形成する。この第1作業チャンバー26の容積は、第1ピストン24が軸yに沿って移動するにつれて、変化する。第1作業チャンバー26は、油のような非圧縮性流体である第1作動流体を充填されている。
【0029】
同様に、第2ピストン28は、軸yに沿って往復するように、第2シリンダー18内に摺動可能に取り付けられている。第2ピストン28は、第2シリンダー18と共に、第2作業チャンバー30を形成する。この第2作業チャンバー30の容積は、第2ピストン28が軸yに沿って移動するにつれて、変化する。第2作業チャンバー30は、油のような非圧縮性流体である第2作動流体を充填されている。好ましくは、同じ流体、例えば同じ油は、第1作動流体と第2作動流体の両方として用いられる。第2作業チャンバー30は、第1作業チャンバー26から流体的に分離されている。すなわち、第1作業チャンバー26と第2作業チャンバー30の間の第1作動流体と第2作動流体の流れは常に妨げられる。
【0030】
ダンパー10はまた、シャフト12の回転軸x周りの回転運動を、互いに同期している、すなわち軸yに沿う同じ方向における第1ピストン24及び前記第2ピストン28の往復運動に変換するように、シャフト12と、第1ピストン24及び第2ピストン28との間に配置されている運動変換機構を備える。
【0031】
図示する実施形態において、回転軸x周りの上記第1方向(反時計方向)におけるシャフト12とサスペンションアーム14の回転運動は、圧縮段階の間、運動変換機構により、第1ピストン24と第2ピストン28の軸yに沿う左向きの線形運動に変換される。したがって、第1作業チャンバー26の容積が減少する一方、第2作業チャンバー30の容積は増加する。一方、回転軸x周りの上記第2方向(時計方向)におけるシャフト12とサスペンションアーム14の回転運動は、反発段階の間、運動変換機構により、第1ピストン24と第2ピストン28の軸yに沿う右向きの線形運動に変換される。したがって、第2作業チャンバー30の容積が減少する一方、第1作業チャンバー26の容積は増加する。
【0032】
図示する実施形態において、運動変換機構は、回転軸x周りに回転するため、シャフト12に結合されているホイール32と、ホイール32に固定されて、回転軸xから離れている偏心ピン34と、偏心ピン34により、第1ピストン24と第2ピストン28にそれぞれ接続する1対の接続ロッド36,38とを備える。必然的に、運動変換機構が、回転軸x周りのシャフト12の回転運動を、第1ピストン24と第2ピストン28の軸yに沿って同期している線形運動に変換する場合、運動変換機構の異なる構成が考えられる。
【0033】
ダンパー10はまた、第3シリンダー40と第4シリンダー42を含む。
【0034】
図示する実施形態において、第3シリンダー40と第4シリンダー42は、互いに同軸に配置されている。(符号y’で示す)第3シリンダー40及び第4シリンダー42の軸は、好ましくは、第1シリンダー16及び第2シリンダー18の軸yと平行に向けられる。
【0035】
好ましくは、第3シリンダー40と第4シリンダー42は、それぞれ、第1シリンダー16と第2シリンダー18に隣接して配置されている。特に、図示する実施形態において、第3シリンダー40と第4シリンダー42は、第1シリンダー16と第2シリンダー18を形成するチューブ状ケーシング20と隣接して、且つ平行に配置されている同じチューブ状ケーシング44により形成される。したがって、ダンパー10は平坦な双チューブ構造を有する。
【0036】
一方、本明細書に示す構成は、本発明の目的に対して必須ではなく、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、他の構成は、可能である一方、簡潔さのため、本明細書において開示されない。
【0037】
図6~8を参照して、第3ピストン46は、第3シリンダー40の内側に摺動可能に配置されており、第3シリンダー40の容積を、第1主要チャンバーと第1補助チャンバーとしてそれぞれ後述される2つのチャンバー48,50に分離する。
【0038】
第1主要チャンバー48は、第1作業チャンバー26と流体連結しており、第1作動流体を含む。第1主要チャンバー48内の第1作動流体の圧力により、圧力は、第1補助チャンバー50の容積を減少させるように第3ピストン46を移動するため、(すなわち、図6~8を見る視点に関して、第3ピストン46を右向きに動かすため)第3ピストン46に与えられる。
【0039】
第1補助チャンバー50は、左向きの、すなわち第1主要チャンバー48内の第1作動流体の圧力により第3ピストン46に与えられる圧力に対向する弾性力を第3ピストン46に与えるように構成されている第1ばね手段を含む。
【0040】
第3ピストン46は、上記圧力と第3ピストン46に与えられる弾性力の合力に応じて、第3シリンダー40内で摺動するフローティングピストンである。
【0041】
本発明の実施形態によれば、図1~11に示すように、第1補助チャンバー50は、第1ばね手段として作用する第1圧縮性流体(すなわち空気又はガス)を充填される。
【0042】
代替として、図12に示すように、第1補助チャンバー50は、コイルスプリングのような、第1弾性機械要素51を収容する。第1弾性機械要素はまた、エラストマー材料の部材であってもよい。
【0043】
この構成は、上記圧縮段階の間、第1方向におけるシャフト12の回転の結果として、第1作業チャンバー26の容積が減少するとき、第1作業チャンバー26から第1主要チャンバー48に向かう第1作動流体の流れにより、第1補助チャンバー50の容積を減少するため、第1主要チャンバー48の容積は増加して、第3ピストン46は(図6~8を見る視点によれば)右向きに動く。これにより、第1補助チャンバー50に収容されている第1圧縮性流体又は第1弾性機械要素51を圧縮する。
【0044】
図6~8を参照して、第4ピストン52は、第4シリンダー42の内側に摺動可能に配置されており、第4シリンダー42の容積を、第2主要チャンバーと第2補助チャンバーとしてそれぞれ後述される2つのチャンバー54,56に分離する。
【0045】
第2主要チャンバー54は、第2作業チャンバー30と流体連結しており、第2作動流体を含む。第2主要チャンバー54内の第2作動流体の圧力により、圧力は、第2補助チャンバー56の容積を減少させるように第4ピストン52を移動するため、(すなわち、図6~8を見る視点に関して、第4ピストン52を左に動かすため)第4ピストン52に与えられる。
【0046】
第2補助チャンバー56は、右向きの、すなわち第2主要チャンバー54内の第2作動流体の圧力により第4ピストン52に与えられる圧力に対向する弾性力を第4ピストン52に与えるように構成されている第2ばね手段を含む。
【0047】
第4ピストン52は、第3ピストン46のように、上記圧力と第4ピストン52に与えられる弾性力の合力に応じて、第4シリンダー42内で摺動するフローティングピストンである。
【0048】
本発明の実施形態によれば、図1~11に示すように、第2補助チャンバー56は、第2ばね手段として作用する第2圧縮性流体(すなわち空気又はガス)を充填される。
【0049】
代替として、図12に示すように、第2補助チャンバー56は、コイルスプリングのような、第2弾性機械要素57を収容する。第2弾性機械要素はまた、エラストマー材料の部材であってもよい。
【0050】
この構成は、上記反発段階の間、第2方向におけるシャフト12の回転の結果として、第2作業チャンバー30の容積が減少するとき、第2作業チャンバー30から第2主要チャンバー54に向かう第2作動流体の流れにより、第2補助チャンバー56の容積を減少するため、第2主要チャンバー54の容積は増加して、第4ピストン52は(図6~8を見る視点によれば)左方向に移動する。これにより、第2補助チャンバー56に収容されている第2圧縮性流体又は第2弾性機械要素57を圧縮する。
【0051】
本発明の好ましい実施形態によれば、図示するように、ダンパー10は、第3シリンダー40と第4シリンダー42の間に配置されている第5シリンダー58を備えて、好ましくは、チューブ状ケーシング44により形成される。
【0052】
第5シリンダー58は、第3シリンダー40又は第4シリンダー42の一方と連結している。
【0053】
特に、図示する実施形態において、第5シリンダー58は、第5シリンダー58と第3シリンダー40を分離する壁部62に設けられている開口部60を通して、第3シリンダー40と連結している。一方、第5シリンダー48は、他のシリンダー、すなわち閉じた壁部64により分離されている第4シリンダー42と連結しない。
【0054】
第5ピストン66は、第5ピストン66に作用する合力に応じて浮動するように、第5シリンダー58の内側に摺動可能に配置されている。特に、第5ピストン66は、反対方向の2つの力を受ける。一方、第5ピストン66は、壁部62に設けられている開口部60を通して、第3シリンダー40の第1補助チャンバー50に収容されている第1ばね手段(第1圧縮性流体又は第1弾性機械要素51)により与えられる弾性力を受ける。他方、第5ピストン66は、第5ピストン66と壁部64の間に形成されている(第3補助チャンバーとして後述される)チャンバー67に収容されている第3ばね手段により与えられる弾性力を受ける。有利になるように、第3ばね手段は、図6に示すように、上記第1位置と上記第2位置の間のサスペンションアーム14の中間位置において、第1ばね手段により与えられる力より大きな力を第5ピストン66に作用するように構成されている。したがって、第5ピストン66は、(すなわち、図6を見る視点に関して、第5シリンダー58内の左端において)壁部62と接触して保持されている。
【0055】
図1~11に示す実施形態において、第3ばね手段は、第3補助チャンバー67を充填して、好ましくは、第1圧縮性流体、及び/又は第2圧縮性流体と同じ流体である第3圧縮性流体により形成される。
【0056】
有利になるように、第3補助チャンバー67内の第3圧縮性流体の圧力は、第1補助チャンバー50内の第1圧縮性流体の圧力より大きい。したがって、第1補助チャンバー50と第3補助チャンバー67の間の圧力の差により、第5ピストン66は、通常、壁部62と接触して保持されている。
【0057】
代替として、図12に示すように、第3ばね手段は、コイルスプリング又はエラストマー材料の部材のような、第3弾性機械要素69により形成されている。
【0058】
ダンパー10はまた、第1シリンダー16が配置されているチューブ状ケーシング20の端部、及び第3シリンダー40が配置されているチューブ状ケーシング44の端部に固定されている第1エンドチューブ68を備えて、第1作業チャンバー26と第1主要チャンバー48の間において、第1作動流体のための流路を形成する。
【0059】
好ましくは、手動調整バルブとして形成されている第1流量制御バルブ70が、第1エンドチューブ68に取り付けられて、圧縮段階の間、第1作業チャンバー26から第1主要チャンバー48に向けて、また、反発段階の間、第1主要チャンバー48から第1作業チャンバー26に向けて流れる第1作動流体の圧力低下を調整できる。
【0060】
第1流量制御バルブ70は、例えば、図9に詳細に示す構造を有する。第1流量制御バルブ70は、このような構造と共に、圧縮段階に対する3つの独立した設定、及び反発段階に対する3つの独立した設定ができる。第1流量制御バルブ70の異なる構造が、当然、考えられる。第1流量制御バルブ70は、例えば、固定シムスタックを備える従来のバルブ、又は手動調整バルブの代わりに、電制ソレノイドバルブであってもよい。
【0061】
第1チェックバルブ72がまた、第1流量制御バルブ70と平行な第1エンドチューブ68に取り付けられて、反発段階の間、第1主要チャンバー48から第1作業チャンバー26に向かう方向の第1作動流体の流れができる。したがって、第1作動流体は、圧縮段階の間、第1作業チャンバー26から、第1流量制御バルブ70を通過して、第1主要チャンバー48に向けて流れるように付勢される。一方、第1作動流体は、反発段階の間、第1流量制御バルブ70と第1チェックバルブ72の設定に応じて、第1主要チャンバー48から、第1流量制御バルブ70、及び/又は第1チェックバルブ72を通して、第1作業チャンバー26に向けて流れ得る。
【0062】
好ましくは、ダンパー10はまた、第1作動流体が、圧縮段階の間、第1作業チャンバー26から第1主要チャンバー48に向けて流れるとき、及び第1作動流体が、反発段階の間、反対方向、すなわち第1主要チャンバー48から第1作業チャンバー26に向けて流れるとき、第1作業チャンバー26と関連して、第1作動流体の流れから電力を生じるように構成されている第1発電装置を備える。
【0063】
図示する実施形態において、第1発電装置は、第1作業チャンバー26と第1主要チャンバー48の間の流路に配置されて、好ましくは軸yと平行な回転軸を有する第1液圧モーター74、及び第1発電機76を備える。この第1発電機76のローターは、特に第1伝達シャフト78により、回転に対して、第1液圧モーター74と駆動連結している。第1液圧モーター74の構造は、圧縮段階の間、第1作動流体が、第1作業チャンバー26から第1主要チャンバー48に向けて流れるとき、第1作動流体により駆動して、所定の方向に回転するように構成されている。これにより、第1伝達シャフト78及び第1発電機76のローターの同じ方向の回転を生じる。
【0064】
好ましくは、第1液圧モーター74はまた、反発段階の間、第1主要チャンバー48から、第1チェックバルブ72を通して、第1作業チャンバー26に向かう方向に流れる第1作動流体により駆動して、回転するように、第1チェックバルブ72の下流に隣接して配置されている。簡単のため、第1液圧モーター74は、概略のみ図示する。
【0065】
ダンパー10はまた、第2シリンダー18が配置されているチューブ状ケーシング20の端部、及び第4シリンダー42が配置されているチューブ状ケーシング44の端部に固定されている第2エンドチューブ80を備えて、第2作業チャンバー30と第2主要チャンバー54の間において、第2作動流体のための流路を形成する。
【0066】
好ましくは、電制ソレノイドバルブとして形成されている第2流量制御バルブ82が、第2エンドチューブ80に取り付けられて、反発段階の間、第2作業チャンバー30から第2主要チャンバー54に向けて、また、圧縮段階の間、第2主要チャンバー54から第2作業チャンバー30に向けて流れる第2作動流体の圧力低下を調整できる。
【0067】
第2流量制御バルブ82は、例えば、図10に詳細に示す構造を有する。一方、第2流量制御バルブ82の異なる構造が考えられる。第2流量制御バルブ82は、例えば、電制ソレノイドバルブの代わりに、手動調整バルブであってもよい。または、第2流量制御バルブ82は、磁性流体若しくは電気粘性流体に対する制約を含み得る。
【0068】
第2チェックバルブ84がまた、第2流量制御バルブ82と平行な第2エンドチューブ80に取り付けられて、圧縮段階の間、第2主要チャンバー54から第2作業チャンバー30に向かう方向の第2作動流体の流れができる。したがって、第2作動流体は、反発段階の間、第2作業チャンバー30から、第2流量制御バルブ82を通過して、第2主要チャンバー54に向けて流れるように付勢される。一方、第2作動流体は、圧縮段階の間、第2流量制御バルブ82と第2チェックバルブ84の設定に応じて、第2主要チャンバー54から、第2流量制御バルブ82、及び/又は第2チェックバルブ84を通して、第2作業チャンバー30に向けて流れ得る。
【0069】
好ましくは、ダンパー10はまた、第2作動流体が、反発段階の間、第2作業チャンバー30から第2主要チャンバー54に向けて流れるとき、及び第2作動流体が、圧縮段階の間、反対方向、すなわち第2主要チャンバー54から第2作業チャンバー30に向けて流れるとき、第2作業チャンバー30と関連して、第2作動流体の流れから電力を生じるように構成されている第2発電装置を備える。
【0070】
図示する実施形態において、第2発電装置は、第1発電装置と実質的に同じ構造を有しており、第2作業チャンバー30と第2主要チャンバー54の間の流路に配置されて、好ましくは軸yと平行であり、且つ第1液圧モーター74の回転軸と同軸である回転軸を有する第2液圧モーター86、及び第2発電機88を備える。この第2発電機88のローターは、特に第2伝達シャフト90により、回転に対して、第2液圧モーター86と駆動連結している。第2液圧モーター86の構造は、反発段階の間、第2作動流体が、第2作業チャンバー30から第2主要チャンバー54に向けて流れるとき、第2作動流体により駆動して、所定の方向に回転するように構成されている。これにより、第2伝達シャフト90及び第2発電機88のローターの同じ方向の回転を生じる。
【0071】
好ましくは、第2液圧モーター86はまた、圧縮段階の間、第2主要チャンバー54から、第2チェックバルブ84を通して、第2作業チャンバー30に向かう方向に流れる第2作動流体により駆動して、回転するように、第2チェックバルブ84の下流に隣接して配置されている。
【0072】
したがって、第1発電装置及び第2発電装置は、回転機構部材14(例えばサスペンションアーム)の運動エネルギーの一部を電気エネルギーに変換し得る。この回転機構部材14の回転は減衰される必要がある。そのような電気エネルギーは、車両の場合、車両のバッテリーを再充電する、又は電制ソレノイドバルブの制御手段に供給するため、用いられて、エネルギーの観点から自律しているセミアクティブ減衰制御を実行し得る。
【0073】
図6~8を参照して、ダンパー10の作動を説明する。
【0074】
図7に示すように、圧縮段階の間、すなわちサスペンションアーム14が上向きに回転して、シャフト12が上記第1方向(反時計方向)に回転するとき、第1ピストン24と第2ピストン28は、運動伝達機構により、例えば図6の中間点から(図7を見る視点に関して)左方向に同期して移動する。結果として生じる第1作業チャンバー26の容積の減少により、(第1チェックバルブ72が、この方向における流体の流れを妨げるとき)第1作業チャンバー26に収容されている第1作動流体は、第1流量制御バルブ70を通過して、第3シリンダー40の第1主要チャンバー48に向けて流れる。第1作業チャンバー26から第1主要チャンバー48に向けて流れる流体により生じる圧力低下は、第1発電機76により、第1液圧モーター74に与えられるブレーキトルクを通して、第1発電装置の設定と共に、第1流量制御バルブ70により決まる。第1主要チャンバー48は、第1作業チャンバー26からもたらされる第1作動流体を充填されるとき、第1主要チャンバー48の容積は増加して、第3ピストン46は右向きに、すなわち壁部62に向けて動く。したがって、第1補助チャンバー50に収容されている第1圧縮性流体は圧縮される。また、第5ピストン66を付勢する圧力は増加する。この圧力が、第3補助チャンバー67に収容されている第3圧縮性流体により、第5ピストン66に与えられる圧力よりも大きくなるとき、第5ピストン66は、右向きに動いて、第3補助チャンバー67に収容されている第3圧縮性流体を圧縮する。
【0075】
同時に、第2ピストン28の左向きの移動は、第2作業チャンバー30の容積の増加を生じる。したがって、第4シリンダー42の第2主要チャンバー54に収容されている第2作動流体は、第2流量制御バルブ82と第2チェックバルブ84の設定に応じて、第2流量制御バルブ82、及び/又は第2チェックバルブ84を通過して、第2作業チャンバー30に向けて流れるように付勢される。第2作動流体が第2主要チャンバー54から流れるとき、第2主要チャンバー54の容積は減少する。したがって、第4ピストン52は、右向きに、すなわち壁部64から離れるように動かされる。
【0076】
図8に示すように、反発段階の間、すなわちサスペンションアーム14が下向きに回転して、シャフト12が上記第2方向(時計方向)に回転するとき、第1ピストン24と第2ピストン28は、運動伝達機構により、例えば図6の中間点から(図8を見る視点に関して)右方向に同期して移動する。結果として生じる第2作業チャンバー30の容積の減少により、(第2チェックバルブ84が、この方向における流体の流れを妨げるとき)第2作業チャンバー30に収容されている第2作動流体は、第2流量制御バルブ82を通過して、第4シリンダー42の第2主要チャンバー54に向けて流れる。第2作業チャンバー30から第2主要チャンバー54に向けて流れる流体により生じる圧力低下は、第2発電機88により、第2液圧モーター86に与えられるブレーキトルクを通して、第2発電装置の設定と共に、第2流量制御バルブ82により決まる。第2主要チャンバー54は、第2作業チャンバー30からもたらされる第2作動流体を充填されるとき、第2主要チャンバー54の容積は増加する。したがって、第4ピストン52は、左向きに、すなわち壁部64に向けて動いて、第4シリンダー42の第2補助チャンバー56に収容されている第2圧縮性流体を圧縮する。
【0077】
同時に、第1ピストン24の右向きの移動は、第1作業チャンバー26の容積の増加を生じる。したがって、第3シリンダー40の第1主要チャンバー48に収容されている第1作動流体は、第1流量制御バルブ70と第1チェックバルブ72の設定に応じて、第1流量制御バルブ70、及び/又は第1チェックバルブ72を通過して、第1作業チャンバー26に向けて流れるように付勢される。第1作動流体が第1主要チャンバー48から流れるとき、第1主要チャンバー48の容積は減少する。したがって、第3ピストン46は、左向きに、すなわち壁部62から離れるように動かされる一方、第5ピストン66は、壁部62と接触するまで、左向きに動かされる。
【0078】
圧縮段階及び反発段階の間、第1作業チャンバー26から第3シリンダー40の第1主要チャンバー48に向かう、また第3シリンダー40の第1主要チャンバー48から第1作業チャンバー26に向かう第1作動流体の流れは、第1発電装置により、電力を生じるために用いられ得る。同様に、反発段階及び圧縮段階の間、第2作業チャンバー30から第4シリンダー42の第2主要チャンバー54に向かう、また第4シリンダー42の第2主要チャンバー54から第2作業チャンバー30に向かう第2作動流体の流れは、第2発電装置により、電力を生じるために用いられ得る。
【0079】
補助チャンバー50,56,67を、空気圧コンプレッサーと適切な1組の空気圧バルブを備える空気圧回路(図示せず)に接続することにより、補助チャンバー50,56,67に収容されている3つの圧縮性流体の圧力を変えることができる。このように、本発明の装置を車両のサスペンションに適用する場合、車高を変えることができる。
【0080】
図12の実施形態において、上述のように、図1~11の部品及び要素と同じ又は類似する部品及び要素を同じ符号で示す。ダンパー10は、第1ばね手段として作用する第1弾性機械要素51、第2ばね手段として作用する第2弾性機械要素57、及び第3ばね手段として作用する第3弾性機械要素69を有する。
【0081】
特に、図12に示す実施形態において、第1弾性機械要素51、第2弾性機械要素57、及び第3弾性機械要素69は、すべて、コイルスプリングとして形成されている。第1弾性機械要素51を形成するコイルスプリングは、第1補助チャンバー50内に配置されて、第3ピストン46に対向する一方の端部(左側の端部)、及び開口部60を通して第5ピストン66に対向する反対側の端部(右側の端部)に隣接する。第2弾性機械要素57を形成するコイルスプリングは、第2補助チャンバー56内に配置されて、壁部64に対向する一方の端部(左側の端部)、及び第4ピストン52に対向する反対側の端部(右側の端部)に隣接する。最後に、第3弾性機械要素69を形成するコイルスプリングは、第3補助チャンバー67内に配置されて、第5ピストン66に対向する一方の端部(左側の端部)、及び壁部64に対向する反対側の端部(右側の端部)に隣接する。
【0082】
一方、図12の実施形態に記載のダンパーの構造及び作動は、図1~11を参照して記載されている実施形態に係るダンパーの構造及び作動と同じである。
【0083】
図13,14A,14Bを参照して、図1~11の部品及び要素と同じ又は類似する部品及び要素を同じ符号で示す。本発明に記載のロータリーダンパーの別の実施形態が記載されている。
【0084】
この実施形態は、図1~11の実施形態と異なる。この実施形態のダンパー10は、圧縮段階の間における第1ピストン24の運動エネルギー、及び圧縮段階の最後の部分の間におけるサスペンションアーム14の運動エネルギーを液圧により分散させるような方法で作用するため、第1作業チャンバー26内に配置されている第1液圧バンプストップと、反発段階の間における第2ピストン28の運動エネルギー、及び反発段階の最後の部分の間におけるサスペンションアーム14の運動エネルギーを液圧により分散させるような方法で作用するため、第2作業チャンバー30内に配置されている第2液圧バンプストップとを備える。
【0085】
図示する実施形態において、ダンパー10は、第1液圧バンプストップと第2液圧バンプストップの両方を備える一方、第1液圧バンプストップと第2液圧バンプストップのいずれかだけを備えることもできる。
【0086】
(特に第1液圧バンプストップを示す一方、同様に第2液圧バンプストップに当てはまる)図14A,14Bに詳細に示すように、第1液圧バンプストップと第2液圧バンプストップは、基本的に、それぞれ、オス部92と協働するメス部94とを備える。
【0087】
オス部92は、それぞれの作業チャンバー(第1液圧バンプストップに対する第1作業チャンバー26、及び第2液圧バンプストップに対する第2作業チャンバー30)の底面、すなわちそれぞれのピストン(第1ピストン24及び第2ピストン28)から離れるそれぞれの作業チャンバーの面に配置されている。オス部92は、環状フランジ部96、及び環状フランジ部96からそれぞれのピストン(第1ピストン24又は第2ピストン28)に向けて軸方向に突出している中心突出部98を有する円盤状部材である。
【0088】
環状フランジ部96は、第1液圧バンプストップが関連する限り、第1作動流体が、第1主要チャンバー48から第1作業チャンバー26に向かう方向にだけ流れて、同様に第2液圧バンプストップが関連する限り、第2作動流体が、第2主要チャンバー54から第2作業チャンバー30に向かう方向にだけ流れ得るように構成されているチェックバルブ100を備える。
【0089】
中心突出部98は、貫通する穴102を有する。好ましくは、中心突出部98は、それぞれのピストン24,28に向けて先細になる円錐台形状を有する。
【0090】
メス部94は、それぞれのピストン24,28と共に単一の部品として軸yに沿って移動するように、それぞれの接続ロッド36,38と対向するそれぞれのピストン24,28の面に取り付けられている。
【0091】
メス部94は、ダンパーが(図14Bに示すような)圧縮段階の終了時、又は反発段階の終了時であるとき、それぞれのオス部92の中心突出部98に向けて開口しており、それぞれのオス部92の中心突出部98全体を受容して、中心突出部98の外側面と座部104の内側面との間における小さな環状ギャップ106を備えるように構成されている円筒座部104を有する。図示する実施形態において、円錐台形状を有する中心突出部98の場合、環状ギャップ106の径方向の大きさは、一定ではなく、中心突出部98が座部104に入るにつれて、次第に小さくなる。
【0092】
図14A,14Bを参照して、圧縮段階の間における第1液圧バンプストップの(一方、反発段階の間における第2液圧バンプストップに当てはまる)作動を以下に示す。
【0093】
オス部92の中心突出部98がメス部94の座部104に入らない限り、第1作動流体は、実質的に流量制限なく、中心突出部98における穴102を通過して、第1作業チャンバー26から第1主要チャンバー48に向けて自由に流れる。オス部92の中心突出部98がメス部94の座部104に入り始めると、第1作動流体は、穴102に達して、第1主要チャンバー48に向けて流れる前に、環状ギャップ106を通して流れるように付勢されて、流量制限と消費エネルギーを生じる。
【0094】
第1ピストン24の移動方向が変わるとき、少なくとも初期段階において、(すなわち、オス部92の中心突出部98がメス部94の座部104にある限り)第1主要チャンバー48からチェックバルブ100を通して第1作業チャンバー26に向かう第1作動流体の流れが、実質的に流量制限なく、起こる。
【0095】
一方、図13,14A,14Bの実施形態に記載のダンパーの構造及び作動は、図1~11を参照して記載されている実施形態に係るダンパーの構造及び作動と同じである。
【0096】
図示しない別の実施形態によれば、第5ピストン及び第3補助チャンバーと連動する第5シリンダーはなくなり、第1補助チャンバーと第2補助チャンバーは互いに連結している。この場合、同じばね手段は、第3ピストンに弾性力を与える第1ばね手段のように、また第4ピストンに弾性力を与える第2ばね手段のように、同時に作用する。つまり、第1ばね手段は第2ばね手段と一致している。例えば、第1補助チャンバーと第2補助チャンバーは、互いに流体連結して、第1ばね手段及び第2ばね手段として同時に作用する同じ圧縮性流体を収容し得る。
【0097】
本発明に記載のダンパーにより、以下の有利な点が得られてもよい。
【0098】
まず、本発明に記載のロータリーダンパーは、第1作動流体と第2作動流体を収容しているすべての作業容積(すなわち、第1作業チャンバー26と第2作業チャンバー30、及び第1主要チャンバー48と第2主要チャンバー54)の容易且つ完全な充填を得ることができる。
【0099】
また、ばね効果が、第1補助チャンバー50と第2補助チャンバー56に収容されている第1圧縮性流体と第2圧縮性流体の圧力レベルを適切に設定することにより、又は第3ピストン46と第4ピストン52に作用するコイルスプリング51とコイルスプリング57の剛性を適切に設定することにより、本発明のロータリーダンパーにもたらされ得る。
【0100】
さらに、2つのばね効果が、第5シリンダー58の内側に摺動可能に配置されている第5ピストン66により第1補助チャンバー50から分離している第3補助チャンバー67があるため、回転入力部材の回転の大きさに応じて、本発明のロータリーダンパーにもたらされ得る。第3補助チャンバー67に収容されている第3圧縮性流体の初期圧力が、第1補助チャンバー50に収容されている第1圧縮性流体の初期圧力より大きいため、この方法は、第5ピストン66が壁部62と接触している限り作動するガススプリング(すなわち、第1補助チャンバー50に収容されている第1圧縮性流体を有する第1補助チャンバー50)を1つだけ有してもよい。この状態は、回転入力部材の回転の大きさが所定の閾値よりも小さい限り、起こる。また、この方法は、第5ピストン66が壁部62から離れ始めるとき、一連の2つのガススプリング(すなわち、第3補助チャンバー67に収容されている第3圧縮性流体を有する第3補助チャンバー67と共に、第1補助チャンバー50に収容されている第1圧縮性流体を有する第1補助チャンバー50)を有してもよい。この状態は、回転入力部材の回転の大きさが上記閾値よりも大きくなるとき、起こる。これは、サスペンションの静的な構造周りに大きな剛性を生じるため、ロータリーダンパーが車両のサスペンションに取り付けられているとき、有用であってもよく、ストロークの終端において、過剰なばね力を生じることなく、ロール防止装置として作用して、衝突時の乗員の快適さを向上する。
【0101】
最後に、空気圧コンプレッサーと適切な1組の空気圧バルブをロータリーダンパーに接続することにより、補助チャンバー内の圧力を変えることもできる。このように、ロータリーダンパーを車両のサスペンションに適用する場合、車高を変えることもできる。
【0102】
必然的に、本発明の原理が変わらなければ、実施形態と構造的詳細は、添付されている請求項に定められているような発明の範囲から逸脱することなく、非限定的な実施例により単に記載されて、図示された実施形態と構造的詳細から広く変わり得る。
【0103】
例えば、第5シリンダー58がなくなり、(図示する実施形態において、第3シリンダー40と第5シリンダー58の間の連結を可能にする開口部60を有する)壁部62が閉じる異なる実施形態が考えられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B