(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】ポリヌクレオチドシーケンシングに使用するための組成物
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20230615BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230615BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230615BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
C12N15/10 Z
(21)【出願番号】P 2020572478
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019084166
(87)【国際公開番号】W WO2020126593
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-08
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】ピエトロ ガッティ ラフランコーニ
(72)【発明者】
【氏名】ヘレン サンソム
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ハンコック
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0127809(US,A1)
【文献】米国特許第09765384(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-3/00
C12M 1/00-3/10
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むポリヌクレオチドシーケンシング方法:
(a)ブロック化標識化ヌクレオチドを、テンプレートポリヌクレオチド鎖の少なくとも一部と相補的なコピーポリヌクレオチド鎖の中へ取り込むこと;
(b)前記ブロック化標識化ヌクレオチドを、第1のバッファー組成物の存在下で識別すること;
(c)標識およびブロッキング部分を、コピー鎖の中へ取り込まれた前記ブロック化標識化ヌクレオチドから化学的に除去すること;および
(d)化学的に除去された標識およびブロッキング部分を、前記コピー鎖から、前記第1のバッファー組成物を含む洗浄溶液で洗い流すことであって、前記洗い流すことは、低減したエラー率またはフェージングの結果を生じる、洗い流すこと、
であって、前記第1のバッファー組成物は、酸化防止剤およびスカベンジャー化合物を含
み、
前記スカベンジャー化合物が、3,3’-ジチオジプロピオン酸(DDPA)である、
ポリヌクレオチドシーケンシング方法。
【請求項2】
ステップ(a)~(d)を、前記テンプレートポリヌクレオチド鎖の前記一部の配列が決定されるまで繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標識およびブロッキング部分をコピーポリヌクレオチド鎖の中へ取り込まれた前記ブロック化標識化ヌクレオチドから除去することが、前記コピー鎖をtris(ヒドロキシメチル)ホスフィンと接触させることを含む、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のバッファー組成物が、アスコルビン酸塩、アセトバニロン、および6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸からなる群から選択される酸化防止剤を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記テンプレートポリヌクレオチド鎖が、固体支持体と結合している、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
テンプレートポリヌクレオチドがフローセルと結合している、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
以下を含むポリヌクレオチドシーケンシング方法:
標識およびブロッキング部分を、テンプレートポリヌクレオチド鎖の少なくとも一部と相補的であるコピーポリヌクレオチド鎖の中へ取り込まれたブロック化標識化ヌクレオチドから除去すること;および
除去したラベルおよびブロッキング部分を、3,3’-ジチオジプロピオン酸(DDPA)を含む洗浄溶液でコピー鎖から洗い流すことであって、前記洗い流すことは、低減したエラー率またはフェージングの結果を生じる、洗い流すこと。
【請求項8】
以下:
前記ブロック化標識化ヌクレオチドを化学的に除去する前に、コピー鎖の中へ取り込まれたブロック化標識化ヌクレオチドを識別すること、
をさらに含み、
前記ブロック化標識化ヌクレオチドの同一性を検出することが、DDPAを含むバッファー組成物の存在下で行われる、
請求項
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本開示は、とりわけ、ポリヌクレオチドのシーケンシングに関する。
【背景技術】
【0002】
(序文)
テンプレートポリヌクレオチド鎖のシーケンシングは、サイクルごとに1つの検出可能なヌクレオチドがテンプレート鎖と相補的なコピー鎖に取り込まれるステップの複数のサイクルを通して起こり得る。検出可能なヌクレオチドは、通常、サイクルごとに複数の検出可能なヌクレオチドの取り込みを防ぐためにブロックされる。インキュベーション時間の後、洗浄ステップが、通常、実行されて取り込まれていない検出可能なヌクレオチドを除去する。次いで、コピー鎖に取り込まれた検出可能なヌクレオチドの同一性が決定される検出ステップを、実行し得る。次に、ブロッキング剤がコピー鎖に最後に取り込まれたヌクレオチドから除去され、検出可能な部分がコピー鎖に取り込まれた最後のヌクレオチドから切断またはマスキングされる、脱ブロッキングステップおよび切断またはマスキングステップが実行される。いくつかの例では、ブロッキング部分を除去するステップはまた、検出可能な部分も除去する。次いで、取り込みステップでブロックされた検出可能なヌクレオチドを導入することにより、このサイクルが繰り返される。
【0003】
種々の組成物が、シーケンシングのサイクルの各ステップで使用される。例えば、ポリメラーゼおよびヌクレオチドを含む取込み組成物が、取込みステップ中に使用される。とりわけ、ヌクレオチドが検出用のフルオロフォア標識を含む場合、検出ステップ中に光誘起損傷からポリヌクレオチドを保護するための酸化防止剤を含み得る走査組成物。取り込まれたヌクレオチドからブロッキング部分を切断するための試薬を含む脱ブロッキング組成物が、脱ブロッキングステップ中に使用される。脱ブロッキングステップで使用される、または脱ブロッキングステップから生じる反応性化合物からポリヌクレオチド、酵素または他のシーケンシング試薬を保護するためのスカベンジャー化合物を含み得る切断後洗浄組成物は、脱ブロッキングステップの後に使用され得る。
【0004】
パフォーマンスを最適化するために、シーケンシングの各ステップで使用される組成物を開発するために、通常、多くの試行錯誤と考慮が採用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(要旨)
本開示は、とりわけ、検出ステップおよび切断後洗浄ステップの両方に単一の組成物を使用するポリヌクレオチドシーケンシング方法を記載する。同じ組成物が検出ステップおよび切断後洗浄ステップに使用される場合、シーケンシングプロセスで使用される組成物の数を減少し得、これは1以上の利点を提供し得る。例えば、試薬または組成物の数を減少することは、複数の組成物について適正製造基準および組成物または試薬の安定性を確保する負担を減少し得る。さらに、シーケンシング中のより少ない組成物の使用は、シーケンシング機器およびシーケンシング機器と共に使用される構成要素の複雑さを軽減し得、これは、機器および構成要素の信頼性を改善し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドシーケンシング方法は、(a)ブロック化標識化ヌクレオチドを、テンプレートポリヌクレオチド鎖の少なくとも一部と相補的なコピーポリヌクレオチド鎖の中へ取り込むこと;(b)前記ブロック化標識化ヌクレオチドの同一性を、第1のバッファー組成物の存在下で検出すること;(c)標識およびブロッキング部分を、コピー鎖の中へ取り込まれた前記ブロック化標識化ヌクレオチドから除去すること;(d)除去された標識およびブロッキング部分を、前記コピー鎖から、前記第1のバッファー組成物を含む洗浄溶液で洗い流すことを含む。前記第1のバッファー組成物は、酸化防止剤およびスカベンジャー化合物を含む。ステップ(a)~(d)は、前記テンプレートポリヌクレオチド鎖の前記一部の配列が決定されるまで繰り返され得る。
【0007】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、シーケンシング装置と共に使用するためのカートリッジは、複数の組成物を含む複数の複数のチャンバーを含む。各チャンバーは、単一の組成物を含み、組成物群は以下からなる:(a)ブロック化標識化ヌクレオチドを、テンプレートポリヌクレオチド鎖の少なくとも一部と相補的なコピーポリヌクレオチド鎖の中へ取り込むための試薬;(b)酸化防止剤およびスカベンジャーを含むバッファー組成物;(c)標識およびブロッキング部分を、コピー鎖の中へ取り込まれた前記ブロック化標識化ヌクレオチドから化学的に除去するための試薬;および(d)洗浄バッファー。
【0008】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、シーケンシング装置と共に使用するためのキットは、複数の組成物を含む複数のチャンバーを含む。各チャンバーは単一の組成物を含み、組成物群は以下からなる:(a)ブロック化標識化ヌクレオチドを、テンプレートポリヌクレオチド鎖の少なくとも一部と相補的なコピーポリヌクレオチド鎖の中へ取り込むための試薬;(b)酸化防止剤およびスカベンジャーを含むバッファー組成物;(c)標識およびブロッキング部分を、コピー鎖の中へ取り込まれた前記ブロック化標識化ヌクレオチドから化学的に除去するための試薬;および(d)洗浄バッファー。
【0009】
本開示はまた、スカベンジャーとして3,3’-ジチオジプロピオン酸(DPPA)を含む切断後洗浄組成物を記載する。本明細書に示されるように、DPPAは、リポ酸等の現在使用されているスカベンジャーと比較して改善された性能を提供し得る。改善は、走査工程および切断後洗浄工程に単一の組成物を使用するシーケンシング法を実施する場合に特に効果的となり得る。効果的なスカベンジャーの使用は、ポリヌクレオチド、酵素、または他のシーケンシング化合物を、脱ブロッキングステップに関連する試薬または反応生成物による損傷から保護し得る。シーケンシング中のポリヌクレオチド、酵素、または他のシーケンシング構成要素への損傷を防ぐことにより、シグナルが分解する前に、シーケンスのより長いラン(より多くのサイクル)を完了し得る。
【0010】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドシーケンシング法は、(i)標識およびブロッキング部分を、テンプレートポリヌクレオチド鎖の少なくとも一部と相補的であるコピーポリヌクレオチド鎖の中へ取り込まれたブロック化標識化ヌクレオチドから除去すること;および(ii)除去したラベルおよびブロッキング部分を、3,3’-ジチオジプロピオン酸(DDPA)を含む洗浄溶液でコピー鎖から洗い流すことを含む。スカベンジャー化合物はDPPAを含む。標識およびブロッキング部分の除去は、部分を化学的に除去することを含み得る。
【0011】
1以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に示される。他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0012】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、本開示の主題の実施形態を提示し、本開示の主題の性質および特徴を理解するための概要またはフレームワークを提供することを、クレームされるように意図していることを理解されたい。添付の図面は、本開示の主題のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本開示の主題の種々の実施形態を示し、説明とともに、本開示の主題の原理および動作を説明するのに役立つ。さらに、図面および説明は、単に例示を意図するものであり、いかなる方法でも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0013】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むときに最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、種々のステップで用いられるいくつかの組成物を例示するシーケンシングプロセスのいくつかのステップのスキーム型ダイヤグラムである。
【
図2】
図2は、種々のステップで用いられるいくつかの組成物を例示するシーケンシングプロセスのいくつかのステップのスキーム型ダイヤグラムである。
【
図3】
図3は、種々のステップで用いられるいくつかの組成物を例示するシーケンシングプロセスのいくつかのステップのスキーム型ダイヤグラムである。
【
図4】
図4は、本明細書に開示される種々の実施形態従ったシーケンシングのための組成物を含むカートリッジのスキーム型上面図である。
【
図5】
図5は、本明細書に提示された教示に従って用いられ得るフローセルの実施形態のスキーム型平面図である。
【
図6】
図6は、走査ステップ、切断後洗浄ステップ、または走査ステップと切断後洗浄ステップにおいて異なる組成物を用いるフェージングの速度のプロットである。
【
図7A】
図7Aは、走査ステップ、切断後洗浄ステップ、または走査ステップと切断後洗浄ステップにおいて異なる組成物を用いるエラー率のプロットである。
【
図7B】
図7Bは、走査ステップ、切断後洗浄ステップ、または走査ステップと切断後洗浄ステップにおいて異なる組成物を用いるプレフェージングのプロットである。
【
図7C】
図7Cは、走査ステップ、切断後洗浄ステップ、または走査ステップと切断後洗浄ステップにおいて異なる組成物を用いるフェージングのプロットである。
【
図8】
図8は、異なる組成物が走査工程、切断後洗浄工程、または走査工程および切断後洗浄工程で用いられた場合のフェージングの効果のプロットを示す。
【
図9A】
図9Aは、異なる組成物が走査工程、切断後洗浄工程、または走査工程および切断後洗浄工程で使用された場合のフェージングのプロットを示す。
【
図9B】
図9Bは、異なる組成物が走査工程、切断後洗浄工程、または走査工程および切断後洗浄工程で使用された場合のプレフェージングのプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
スキーム型図面は、必ずしも縮尺どおりでない。図で使用されている同様の番号は、同様の構成要素、ステップ等を指す。しかしながら、所与の図の構成要素を参照するために番号を使用することは、同じ番号でラベル付けされた別の図の構成要素を制限することを意図していないことが理解されよう。また、構成要素を参照するために異なる番号を使用することは、異なる番号の構成要素が他の番号の構成要素と同じまたは類似であり得ないことを示すことを意図しない。
【0016】
(詳細な説明)
ここで、本開示の主題の種々の実施形態をより詳細に参照し、そのいくつかの実施形態を添付の図面に示す。
【0017】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的用語は、特に明記しない限り、当技術分野で一般的に使用される意味を有する。本明細書で提供される定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。
【0018】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「テンプレートポリヌクレオチド配列」への言及は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、2つ以上のそのような「テンプレートポリヌクレオチド配列」を有する例を含む。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「または」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、「および/または」を含むその意味で一般に使用される。用語「および/または」は、リストされた要素の1つまたはすべて、あるいはリストされた要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。「および/または」の使用は、他の場合の「または」の使用が「および/または」を意味し得ないことを暗示しない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」等は、それらのオープンエンドの包括的な意味で使用され、概して「含むがこれらに限定されない(include, but not limited to)」、「含むがこれらに限定されない(includes, but not limited to)」、または「含むがこれらに限定されない(including, but not limited to)」を意味する。
【0021】
「任意の(Optional)」または「任意で(optionally)」とは、後で記載するイベント、状況、または構成要素が発生し得るかし得ないことを意味し、記載は、イベント、状況、または構成要素が発生する例および発生しない例を含む。
【0022】
「好ましい」および「好ましくは」の語は、特定の状況下で特定の利益をもたらし得る本開示の実施形態を指す。しかしながら、同じまたは他の状況下では、他の実施形態もまた好ましくなり得る。さらに、1以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、本発明の技術の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0023】
また、エンドポイントによる数値範囲のここでの引用には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。値の範囲が「より大きい」、「より小さい」等の特定の値である場合、その値は範囲内に含まれる。
【0024】
特に明記しない限り、本明細書に記載の方法が、そのステップが特定の順序で実行されることを要求すると解釈されることを決して意図するものではない。したがって、方法クレームが実際にそのステップが従うべき順序を記載していない場合、またはステップが特定の順序に限定されることがクレームまたは説明に具体的に記載されていない場合、いかなる特別な順序が推測されることを意図するものではない。しかしながら、提示された順序は、方法が実行され得る順序の一実施形態であることが理解されよう。任意の1つの請求項に記載された単一または複数の特徴または態様は、他の請求項に記載された他の記載された特徴または態様と組み合わせるか、または並べ替えることができる。
【0025】
特定の実施形態の種々の特徴、要素またはステップは、「含む(comprising)」移行句を使用して開示され得るが、「からなる(consisting)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」移行句を使用して説明され得るものを含む、代替の実施形態が理解されるべきである。暗示されます。したがって、例えば、取り込みステップ、検出ステップ、脱保護ステップ、および1以上の洗浄ステップを含む方法の暗黙の代替実施形態は、方法が列挙されたステップからなる実施形態および方法が本質的に列挙されたものからなる実施形態を含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、化合物、組成物、または物品の文脈で「提供する」とは、化合物、組成物、または物品を製造すること、化合物、組成物または物品を購入すること、またはさもなければ化合物、組成物または物品を入手することを意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「鎖伸長酵素」は、ポリヌクレオチドをテンプレート鎖として使用して、ポリヌクレオチドのコピー複製を生成する酵素である。例えば、鎖伸長酵素は、ポリメラーゼ活性を有する酵素であり得る。通常、DNAポリメラーゼはテンプレート鎖に結合し、テンプレート鎖を下に移動して、核酸の成長する鎖の3’末端にある遊離ヒドロキシル基にヌクレオチドを順次追加する。DNAポリメラーゼは通常、DNAテンプレートから相補DNA分子を合成し、RNAポリメラーゼは通常、DNAテンプレートからRNA分子を合成する(転写)。ポリメラーゼは、プライマーと呼ばれる短いRNAまたはDNA鎖を使用して、鎖の成長を開始し得る。一部のポリメラーゼは、鎖に塩基を付加している部位の上流の鎖を置換し得る。このようなポリメラーゼは鎖置換であると言われ、ポリメラーゼによって読み取られているテンプレート鎖から相補鎖を除去する活性を持っていることを意味する。鎖置換活性を有する例示的なポリメラーゼとしては、Bst(Bacillus stearothermophilus)ポリメラーゼのラージフラグメント、exo-KlenowポリメラーゼまたはシーケンシンググレードT7エキソポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかのポリメラーゼは、それらの前の鎖を分解し、それを後ろの成長する鎖で効果的に置き換える(5’エキソヌクレアーゼ活性)。一部のポリメラーゼは、背後の鎖を分解する活性(3’エキソヌクレアーゼ活性)を有する。いくつかの有用なポリメラーゼは、突然変異またはその他のいずれかによって、3’および/または5’エキソヌクレアーゼ活性を低減または排除するように改変されている。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「プライマー」およびその誘導体は、一般に、目的の標的配列にハイブリダイズし得る任意のポリヌクレオチドを指す。典型的には、プライマーは、ヌクレオチドがポリメラーゼによって重合され得る基質として機能する。しかしながら、いくつかの実施形態では、プライマーは、合成されたポリヌクレオチド鎖に取り込まれ、別のプライマーがハイブリダイズして、合成された核酸分子と相補的な新しい鎖のプライム合成を行うことができる部位を提供し得る。プライマーは、ヌクレオチドまたはその類似体の任意の組み合わせから構成され得る。いくつかの実施形態において、プライマーは、一本鎖オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。
【0029】
用語「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、本明細書中で互換的に使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指し、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらの類似体、またはそれらの混合物を含み得る。この用語は、分子の一次構造のみを指す。したがって、この用語には、三本鎖、二本鎖、および一本鎖デオキシリボ核酸(「DNA」)、ならびに三本鎖、二本鎖、および一本鎖リボ核酸(「RNA」)が含まれる。本明細書で使用される場合、「増幅された標的配列」およびその誘導体は、一般に、標的特異的プライマーおよび本明細書で提供される方法を使用して標的配列を増幅することによって生成されるポリヌクレオチド配列を指す。増幅された標的配列は、標的配列に関して同じ意味(すなわち、正の鎖)またはアンチセンス(すなわち、負の鎖)のいずれかであり得る。
【0030】
提供される方法で使用するのに適したヌクレオチドとしては、デオキシヌクレオチド三リン酸、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、およびデオキシグアノシン三リン酸(dGTP)が挙げられるが、これらに限定されない。任意で、提供される方法で使用されるヌクレオチドは、標識されているかどうかにかかわらず、鎖伸長を阻害する可逆的ターミネーター部分等のブロッキング部分を含み得る。標識ヌクレオチドで使用するのに適した標識としては、ハプテン、放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光標識、化学発光標識、および発色剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
ポリヌクレオチドは一般にホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、核酸類似体は、例えば、ホスホルアミド(Beaucage et al., Tetrahedron 49(10): 1925 (1993)およびその中の参考文献; Letsinger, J. Org. Chem. 35:3800 (1970); Sprinzl et al., Eur. J. Biochem. 81:579 (1977); Letsinger et al., Nucl. Acids Res. 14:3487 (1986); Sawai et al, Chem. Lett. 805 (1984), Letsinger et al., J. Am. Chem. Soc. 110:4470 (1988);およびPauwels et al., Chemica Scripta 26:141 91986))、ホスホロチオエート(Mag et al., Nucleic Acids Res. 19:1437 (1991);および米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオエート(Briu et al., J. Am. Chem. Soc. 111:2321 (1989)、O-メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Pressを参照)、およびペプチド核酸骨格および結合(see Egholm, J. Am. Chem. Soc. 114:1895 (1992); Meier et al., Chem. Int. Ed。他のアナログ核酸には、ポジを有するものが含まれる有効なバックボーン(Denpcy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6097 (1995)(1995);非イオン性骨格(米国特許第5,386,023号、第5,637,684号、第5,602,240号、第5,216,141号および第4,469,863号;Kiedrowshi et al., Angew. Chem. Intl. Ed. English 30:423 (1991); Letsinger et al., J. Am. Chem. Soc. 110:4470 (1988); Letsinger et al., Nucleoside & Nucleotide 13:1597 (1994); Chapters 2 and 3, ASC Symposium Series 580, ”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”, Ed. Y.S. Sanghui and P. Dan Cook; Mesmaeker et al., Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4:395 (1994); Jeffs et al., J. Biomolecular NMR 34:17 (1994); Tetrahedron Lett. 37:743 (1996))および非-米国特許第5,235,033号および第5,034,506号、およびChapters 6 and 7, ASC Symposium Series 580, ”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”, Ed. Y.S. Sanghui and P. Dan Cook.。ポリヌクレオチドの定義には、1以上の炭素環糖を含むポリヌクレオチドも含まる(Jenkins et al., Chem. Soc. Rev. (1995) pp169-176参照)。いくつかのポリヌクレオチド類似体は、 Rawls, C & E News June 2, 1997 page 35に記載されている。これらの参考文献はすべて、参照により本明細書に明示的に取り込まれる。リボース-リン酸骨格のこれらの修飾は、標識の付加を容易にするために、または生理学的環境におけるそのような分子の安定性および半減期を増加させるために行われ得る。
【0032】
ポリヌクレオチドは一般に4つのヌクレオチド塩基の特定の配列を含む:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);とチミン(T)。ウラシル(U)は、例えば、核酸がRNAである場合、チミンの天然の代替物として存在し得る。ウラシルはDNAにも使用し得る。ポリヌクレオチドはまた、天然または非天然の塩基を含み得る。これに関して、天然のデオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、アデニン、チミン、シトシンまたはグアニンからなる群から選択される1以上の塩基を有し得、リボ核酸は、ウラシル、アデニン、シトシンまたはグアニンからなる群から選択される1以上の塩基を有し得る。本明細書に記載の方法または組成物で使用されるデオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、例えば、ウラシル塩基を含み得、リボ核酸は、例えば、チミン塩基を含み得ることが理解されよう。ネイティブバックボーンまたはアナログ構造を有するかどうかにかかわらず、核酸に含まれ得る例示的な非ネイティブ塩基には、限定されないが、イノシン、キサタニン、ヒポキササニン、イソシトシン、イソグアニン、2-アミノプリン、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、2-アミノアデニン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニン、2-プロピルグアニン、2-プロピルアデニン、2-チオリラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、15-ハロウラシル、15-ハロシトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-ウラシル、4-チオウラシル、8-ハロアデニンまたはグアニン、8-アミノアデニンまたはグアニン、8-チオールアデニンまたはグアニン、8-チオアルキルアデニンまたはグアニン、8-ヒドロキシルアデニンまたはグアニン、5-ハロ置換ウラシルまたはシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、8-アザグアニン、8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン等が含まれ得る。任意で、イソシトシンおよびイソグアニンは、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる米国特許第5,681,702号に一般的に記載されるように、非特異的ハイブリダイゼーションを低減するために核酸に含まれ得る。
【0033】
ポリヌクレオチドで使用される非天然塩基は、他の天然に存在する塩基と塩基対形成することができるように、普遍的な塩基対形成活性を有し得る。普遍的な塩基対形成活性を有する例示的な塩基としては、3-ニトロピロールおよび5-ニトロインドールが挙げられる。使用され得る他の塩基としては、シトシン、アデニン、またはウラシルと塩基対を形成するイノシン等の天然に存在する塩基のサブセットとの塩基対形成活性を有するものが挙げられる。
【0034】
ヌクレオチドのポリヌクレオチド鎖への取り込みは、ヌクレオチドの5’リン酸基とのホスホジエステル結合の形成を介した、ヌクレオチドのポリヌクレオチド鎖の遊離3’ヒドロキシル基への結合を指す。シーケンシングされるポリヌクレオチドテンプレートは、DNAまたはRNA、あるいはデオキシヌクレオチドとリボヌクレオチドの両方を含むハイブリッド分子でさえあり得る。ポリヌクレオチドは、天然に存在するおよび/または天然に存在しないヌクレオチド、ならびに天然または非天然の骨格結合を含み得る。
【0035】
本開示は、とりわけ、シーケンシング方法で使用するためのポリヌクレオチドシーケンシング方法および組成物を記載する。方法および組成物は、より長いシーケンシングラン、より短いサイクル時間、またはより長いシーケンシングランおよびより短いサイクル時間を可能にし得る。
【0036】
本開示はまた、現在のシーケンシング方法よりも少ない組成物を使用するポリヌクレオチドシーケンシング方法、組成物、キット、およびカートリッジについて説明する。より少ない組成物を使用することは、商品の潜在的な全体原価の減少およびシーケンシング方法および機器の信頼性の改善を含む多くの利点を提供し得る。特に、本開示は、検出工程中および切断後洗浄工程中に使用することができる組成物を記載している。組成物は、ヌクレオチド同一性を検出するための走査ステップ中の光誘発損傷からオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを保護するための酸化防止剤を含む。組成物はまた、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、酵素、および他の試薬を、脱ブロッキングステップで使用され得る、またはその結果として生じ得る反応性化合物から保護するためのスカベンジャーを含む。
【0037】
とりわけ、本開示は、スカベンジャーとして3,3’-ジチオジプロピオン酸(DPPA)を含む切断後洗浄組成物を記載している。DPPAは、リポ酸等の現在使用されているスカベンジャーと比較して、向上したパフォーマンスを提供し得る。DPPAは、酸化防止剤も含む組成物中に存在し得、その結果、組成物は、走査工程および切断後洗浄工程の両方で使用され得る。
【0038】
脱ブロッキング工程中にブロッキング部分を除去すると、好ましくは、標識部分も除去される。いくつかの実施形態では、ブロッキング部分は、標識された部分を含む。いくつかの実施形態では、ブロッキング部分は化学的に除去される。本開示の目的のために、ブロッキング部分の「化学的」除去は、切断剤とブロックされたヌクレオチドとの間の化学反応を含み、ブロッキング部分をヌクレオチドから除去させる。本開示の目的のために、ブロッキング部分の化学的除去は、熱のみ、光のみ、または熱と光のみを含むプロセスにおけるブロッキング部分の除去を含まない。ブロッキング部分の化学的除去はまた、本開示の目的のための酵素的除去を含まない。
【0039】
好ましくは、ブロッキング部分および標識部分が別個の部分である場合、ブロッキング部分および標識部分は両方とも同じプロセスによって切断される。例えば、ブロッキング部分および標識部分は、同じまたは類似の連結基によってヌクレオチドに結合され得、これは、同じ試薬または条件によって切断または除去され得る。これにより、ラベルとブロックの両方を削除するために1回の処理のみが必要になるため、脱ブロッキングとラベル付け解除のプロセスがより効率的になります。もちろん、ブロッキング部分および標識部分は、完全に異なる化学的条件下で切断され得る。
【0040】
洗浄組成物は、脱ブロッキングステップで使用されるか、または脱ブロッキングステップから生じる反応性化合物と、シーケンシングプロセスで使用される、またはシーケンシングプロセスから生成されるポリヌクレオチド、酵素、または他の化合物との相互作用を阻害するスカベンジャー化合物を含む。したがって、スカベンジャー化合物の存在は、ポリヌクレオチド、酵素、または他の化合物への損傷を低減し得、これは、洗浄組成物にスカベンジャー化合物を含まないシーケンシングプロセスと比較して、シーケンシングの追加サイクルを実行することを可能にし得る。
【0041】
洗浄組成物に使用されるスカベンジャー化合物は、脱ブロッキング工程で使用される試薬、脱ブロッキング工程から生成される反応生成物、または脱ブロッキング工程で使用される試薬および脱ブロッキング工程から生成される反応生成物に依存し得、ブロッキング部分、標識部分、またはブロッカー部分とリンカー部分をヌクレオチドに結合するために使用されるリンカーに依存し得る。
【0042】
ブロッキング部分、標識部分、またはブロッキング部分および標識部分分子は、任意の適切なリンカーによってヌクレオチドに連結され得る。リンカーは、ジスルフィド、ジオール、ジアゾ、エステル、スルホンアジド、アリルおよびシリルエーテル、アジドおよびアルコキシ基を含むがこれらに限定されない、1以上の切断可能な基を含み得る。好ましい実施形態では、リンカーは、リンカーとして、アジド、アルコキシ、およびジスルフィド基のうちの1以上を含む。リンカーへのジスルフィド結合の取り込みは、例えば、米国特許第7,771,973号記載されているか、またはHermanson, Bioconjugate Techniques, Second Edition, Academic Press(その全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載されているように、いくつかの方法で達成することができる。
【0043】
より一般的には、適切なリンカーとしては、ジスルフィドリンカー、酸に不安定なリンカー(ジアルコキシベンジルリンカー、シーバーリンカー、インドールリンカー、およびt-ブチルシーバーリンカーを含む)、求電子的に切断可能なリンカー、求核的に切断可能なリンカー、光切断可能なリンカー、還元条件下、酸化条件下、セーフティキャッチリンカーの使用による切断、および除去メカニズムによる切断が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
任意の適切な求電子的に切断可能なリンカーを使用することができる。求電子的に切断可能なリンカーは、通常、プロトンによって切断され、酸に敏感な切断を含む。適切な求電子的に切断可能なリンカーには、トリチル、p-アルコキシベンジルエステルおよびp-アルコキシベンジルアミド等の修飾されたベンジル系が含まれる。他の適切な求電子的に切断可能なリンカーとしては、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)基およびアセタール系が含まれる。
【0045】
チオアセタールまたは他の硫黄含有保護基の切断におけるニッケル、銀または水銀等のチオフィリック金属の使用もまた、適切な求電子的に切断可能なリンカー分子の調製のために考慮され得る。
【0046】
任意の適切な求核性切断リンカーを使用し得る。求核性切断は、リンカー分子の調製においてよく認識されている方法である。水中で不安定である(すなわち、塩基性pHで単純に切断され得る)エステルおよび非水性求核試薬に対して不安定である基等の基を使用し得る。フッ化物イオンは、トリイソプロピルシラン(TIPS)やt-ブチルジメチルシラン(TBDMS)等のグループのシリコン-酸素結合を切断するために使用し得る。
【0047】
任意の適切な光切断可能なリンカーを使用し得る。光切断可能なリンカーは、糖質化学で広く使用されてきている。切断を活性化するために必要な光が、修飾ヌクレオチドの他の成分に影響を及ぼさないことが好ましい。例えば、フルオロフォアが標識として使用される場合、これがリンカー分子を切断するために必要とされるものとは異なる波長の光を吸収することが好ましい。適切なリンカーには、O-ニトロベンジル化合物およびニトロベラトリル化合物に基づくリンカーが含まれる。ベンゾイン化学に基づくリンカーも使用することができる(Lee et al., J. Org. Chem. 64:3454-3460, 1999)。
【0048】
還元条件下で切断する任意の適切なリンカーを使用することができる。還元的切断を受けやすい多くのリンカーが知られている。例えば、パラジウムベースの触媒を使用する接触水素化は、ベンジルおよびベンジルオキシカルボニル基を切断するために使用されてきた。さらなる例として、ジスルフィド結合の還元も当該分野で公知である。
【0049】
酸化条件下で切断する任意の適切なリンカーを使用し得る。酸化ベースのアプローチは当該分野で周知である。これらとしては、p-アルコキシベンジル基の酸化と硫黄およびセレンリンカーの酸化が挙げられる。ジスルフィドおよび他の硫黄またはセレンベースのリンカーを切断するための水性ヨウ素の使用もまた、本発明の範囲内である。
【0050】
任意の適切なセーフティキャッチリンカーを使用し得る。セーフティキャッチリンカーは、2ステップで切断するリンカーである。好ましい系では、第1のステップは、反応性求核中心の生成であり、続いて、切断をもたらす分子内環化を含む第2のステップである。例えば、レブリン酸エステル結合をヒドラジンまたは光化学で処理して活性アミンを放出し、次にこれを環化して分子内の他の場所でエステルを切断することができる(Burgess et al., J. Org. Chem. 62:5165-5168, 1997)。
【0051】
排除メカニズムによって切断され得る任意の適切なリンカーを使用し得る。例えば、Fmocやシアノエチル等の塩基触媒による脱離、およびパラジウム触媒によるアリル系の還元的脱離を使用し得る。
【0052】
リンカーは、切断部位に加えて、1以上のスペーサーを含み得る。スペーサーは、例えば、切断部位または標識またはブロッキング部分からヌクレオチド塩基を離す。リンカーの長さは、ブロッキング部分が切断された後、鎖伸長酵素によってヌクレオチドがコピー鎖に取り込まれ得るという条件で、一般に重要ではない。
【0053】
使用できる適切なリンカー、ヌクレオチド、ブロッキング部分の例は、米国特許第7,541,444号;国際公開第03/048387号;米国特許公開第2013/0079232A1号;および米国特許第7,414,116号に記載されている。これらのそれぞれは、本開示と矛盾しない範囲で、それぞれの全体が本明細書に組み込まれる。特に好ましいリンカーは、ホスフィン切断可能なアジド含有リンカーである。標識された部分は、フルオロフォアを含み得る。
【0054】
切断剤は、シーケンシング手順に適切な時期に添加して、リンカーの切断基を切断して、コピー鎖に取り込まれたヌクレオチドからブロッキング部分、標識部分、またはブロッキング部分および標識部分を除去し得る。例えば、切断剤は、シーケンシングの現在のサイクルにおいてコピー鎖に取り込まれたヌクレオチドの同一性の検出後に添加され得る。添加される切断剤は、存在する切断基に依存する。例えば、ジスルフィド結合または他の還元的切断基の切断は、還元剤によって達成され得る。ジスルフィド結合の還元は、ヌクレオチドからの結合分子の放出をもたらす。本明細書に記載の実施形態を実施するのに有用な還元剤としては、ホスフィン化合物、水溶性ホスフィン、窒素含有ホスフィンおよびそれらの塩および誘導体、ジチオエリスリトール(DTE)、ジチオスレイトール(DTT)(それぞれ、2,3-ジヒドロキシ-1,4-ジチオールブタンのシスおよびトランス異性体)、2-メルカプトエタノールまたはβ-メルカプトエタノール(BME)、2-メルカプトエタノールまたはアミノエタンチオール、グルタチオン、チオグリコール酸またはチオグリコール酸、2,3-ジメルカプトプロパノールおよびトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン(THP)およびβ-[トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン]プロピオン酸(THPP)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるようにリンカーにおいてジスルフィド結合を切断するために使用される還元剤は、DTTである。いくつかの実施形態では、ジスルフィド結合を切断するために利用される還元剤、例えばDTTの濃度は、少なくとも1~1000mM、少なくとも20~800mM、少なくとも40~500mM、好ましくは少なくとも50~200mMである。
【0055】
いくつかの実施形態において、アリルまたはアジド基を含むリンカーまたは切断可能なリンカーにおいてジスルフィド結合を切断するために使用される還元剤は、ホスフィン試薬、水溶性ホスフィン試薬、窒素含有ホスフィン試薬およびそれらの塩および誘導体である。例示的なホスフィン試薬としては、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン(THP)、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン(TMP)、並びに、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、スルホン酸塩含有ホスフィンおよびカルボン酸塩含有ホスフィンおよび誘導体化水溶性ホスフィンといった、米国特許公開第2009/0325172号(参照によりその全体が本明細書に取り込まれる)に記載されるものが挙げられるがこれらに限定されない。切断剤として使用し得る他のホスフィンとしては、米国特許第7,414,116号に記載されてるものが挙げられ、これは、本開示と矛盾しない範囲で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、利用されるホスフィンの濃度は、約0.5mM~約500mM、例えば、約5mM~約50mM、好ましくは約10mM~約40mMである。本明細書に記載の方法および組成物は、特定の切断基によって限定されず、代替物は当業者には容易に明らかであり、本開示の範囲内であると見なされる。
【0056】
当業者は、3’-OHとの相互作用を遮断するために、ヌクレオチドのリボース環に適切な遮断基を結合する方法を理解するであろう。ブロッキング基は、3’位置に直接結合され得、または2’位置に結合され得る(ブロッキング基は、3’位置での相互作用を遮断するのに十分なサイズまたは電荷である)。あるいは、ブロッキング基は、3’および2’位置の両方で結合され得、そして3’OH基を露出するために切断され得る。
【0057】
適切なブロッキング基は当業者には明らかであり、「Protective Groups in Organic Synthesis」, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd Ed., Wiley Interscience, New Yorkに開示されている任意の適切な保護基から形成することができ、これは、本開示と矛盾しない範囲で、その全体を参照することにより本明細書に取り込まれる。ブロッキング基は、好ましくは、3’OH基を生成するために除去可能(または修飾可能)である。3’OH基を得るために使用されるプロセスは、任意の適切な化学反応または酵素反応であり得る。
【0058】
ブロッキング部分は、米国特許第7,414,116号に記載されているとおりであり得、これは、本開示と矛盾しない範囲で、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0059】
ブロッキング部分がどのように除去されるかに関係なく、洗浄組成物は、脱ブロッキングステップで使用されるまたは結果として生じる反応性化合物と、シーケンシングプロセスで使用または生成されるポリヌクレオチド、シーケンシングプロセスで使用される酵素、またはシーケンシングプロセスで使用される他の試薬との相互作用を阻害するスカベンジャー化合物を含む。よって、スカベンジャー化合物の存在は、ポリヌクレオチド、酵素、または他の試薬への損傷を低減し得、これは、洗浄組成物にスカベンジャー化合物を含まないシーケンシングプロセスと比較して、シーケンシングの追加サイクルを実行することを可能にし得る。
【0060】
洗浄組成物は、任意の適切なスカベンジャー化合物を含み得、これは、脱ブロッキングステップで使用される試薬または脱ブロッキングステップから生じる反応生成物に依存し得る。
【0061】
本明細書で使用される場合、「スカベンジャー化合物」は、脱ブロッキングステップで使用されるまたは結果として生じる反応性化合物と、シーケンシングプロセスで使用されるまたは生成されるポリヌクレオチド、シーケンシングプロセスで使用される酵素、またはシーケンシングプロセスで使用される他の試薬または化合物との相互作用を阻害する化合物である。いくつかの実施形態では、スカベンジャー化合物は、シーケンシング手順の条件下で還元剤である切断剤を酸化する化合物である。好ましくは、スカベンジャー化合物は、室温で、50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)バッファー~1M Trisバッファー中でホスフィンを酸化可能である。例えば、スカベンジャー化合物は、室温で、50mM Trisバッファー~1M Trisバッファー中でトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンをトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンオキシドに酸化することができる。
【0062】
任意の適切なスカベンジャー化合物を、洗浄組成物に含め得る。還元剤を酸化し得るスカベンジャー化合物の例としては、ジスルフィド部分またはアジド部分を含む化合物が挙げられる。好ましくは、スカベンジャーは、ジスルフィド部分を含む。いくつかの例では、スカベンジャー化合物は、シスチン、リポ酸、3,3’-ジチオジプロピオン酸(DPPA)、および以下の式Iに従う化合物といったpeg化アジドからなる群から選択される:
【化1】
とりわけ好ましいスカベンジャー化合物は、DPPAである。
【0063】
スカベンジャー化合物は、任意の適切な濃度で洗浄組成物中に存在し得る。例えば、スカベンジャー化合物は、約0.1mMから約50mM、例えば、約0.5mMから約20mM、または約1mMから約10mMの濃度で洗浄組成物中に存在し得る。
【0064】
洗浄組成物は、他の適切な成分を含み得る。好ましくは、洗浄組成物は、シーケンシング手順の後続のステップ;例えば、配列中の次なるブロック化標識化ヌクレオチドの取り込み、と互換性のあるバッファーを含む。
【0065】
例えば、スカベンジャーを含む洗浄組成物は、Trisバッファーといったバッファーを含み得る。バッファーは、任意の適切な濃度で存在し得る。例えば、バッファーは、約10mmから約1.5M、または約50mMから約1M等、約5mMから約2Mの濃度で存在し得る。いくつかの好ましい実施形態では、洗浄組成物は、約75mMから約250mM、例えば、約100mMから約200mM、または約150mMの濃度のTrisバッファーを含む。
【0066】
スカベンジャーを含む洗浄組成物は、界面活性剤を含み得る。任意の適切な界面活性剤が、洗浄組成物に含まれ得る。例えば、洗浄組成物は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性または非イオン性界面活性剤を含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、洗浄組成物は、非イオン性界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤の例は、Tween20(ThermoFischer Scientificから入手可能)である。界面活性剤は、任意の適切な濃度で洗浄組成物中に存在し得る。例えば、界面活性剤は、約0.01重量%から約0.5重量%、例えば、約0.02重量%から約0.1重量%、または約0.03重量%から約0.07重量%で。洗浄組成物中に存在し得る。いくつかの好ましい実施形態では、洗浄組成物は、約0.03重量%から約0.07重量%、または約0.5重量%の濃度でTween20を含む。
【0067】
スカベンジャーを含む洗浄組成物は、キレート剤を含み得る。任意の適切なキレート剤が、洗浄組成物に含まれ得る。例えば、洗浄組成物は、ジヒドロキシエチルグリシン(HEG)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含み得る。キレート剤は、任意の適切な濃度で存在し得る。例えば、キレート剤は、約0.1mMから約50mM、例えば、約0.5mMから約20mMの濃度で洗浄組成物中に存在し得る。いくつかの好ましい実施形態では、洗浄組成物は、約5mMから約15mM、例えば約10mMの濃度のHEGを含む。
【0068】
スカベンジャーを含む洗浄組成物は、塩を含み得る。例えば、洗浄組成物は、塩化ナトリウムを含み得る。塩は、任意の適切な濃度で洗浄組成物中に存在し得る。例えば、塩は、約10mMから約250mM、例えば、約25mMから約100mM、約30mMから約70mM、または約50mMの濃度で存在し得る。
【0069】
スカベンジャー化合物を含む洗浄組成物は、洗浄組成物が標的およびコピー鎖を通過して連続的に流れるのではなく、一定期間、標的およびコピー鎖と共にインキュベートされ得ることが理解されるであろう。もちろん、スカベンジャーを含む洗浄組成物は、脱ブロッキングに続いて、標的およびコピーストランドを通過して連続的に流れ得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、スカベンジャーを含む洗浄組成物は、切断後(脱ブロッキング)洗浄および検出洗浄の両方に使用される。そのような実施形態では、洗浄組成物は、好ましくは、光誘起損傷を防止するための酸化防止剤をさらに含む。組成物は、任意の適切な量の酸化防止剤を含み得る。例えば、組成物は、約2mMから約50mM、例えば、約5mMから約40mM、または約15mMから約25mM、または約20mMの合計酸化防止剤濃度に1以上の酸化防止剤を含み得る。適切な酸化防止剤としては、アスコルビン酸塩、アセトバニロン、および6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(トロロックス)が挙げられる。いくつかの好ましい実施形態では、洗浄組成物はアスコルビン酸ナトリウムを含む。
【0071】
同じ組成物が切断後(脱ブロッキング)洗浄のためにおよび走査(検出)ステップにおいて使用される場合、シーケンシングプロセスで使用される組成物の数は、減少し得、このことは1以上の利点を提供し得る。例えば、試薬または組成物の数を減らすことは、適正製造基準および組成物または試薬の安定性を確保する負担を減少し得る。カートリッジサイズおよびシーケンシング機器の複雑さを減少し得る。失敗モードがより少なくなり、商品のコストについて節約し得る。これらおよび他の利点は、ポリヌクレオチドシーケンシング技術の当業者に明らかであろう。
【0072】
いくつかの実施形態では、切断後の洗浄および走査に適した組成物は、バッファー、酸化防止剤、界面活性剤、およびキレート剤を含む。例えば、組成物は、以下の表1に記載されるような成分を含み得る:
【0073】
【0074】
切断後の洗浄および走査に適した組成物のいくつかの成分のより具体的な例を、以下の表2に提供する:
【0075】
【0076】
切断後の洗浄および走査に適した組成物のいくつかの成分のさらにより具体的な例を、以下の表3に提供する:
【0077】
【0078】
全体を通して議論されるように、提供されるのは、ポリヌクレオチドをシーケンシングするための改善された方法である。例示的なシーケンシング方法は、例えば、Bentley et al., Nature 456:53-59 (2008)、国際公開第04/018497号;米国特許第7,057,026号;国際公開第91/06678号;国際公開第07/123744;米国特許第7,329,492号;米国特許第7,211,414号;米国特許第7,315,019号;米国特許第7,405,281号、および米国特許出願公開第2008/0108082号に記載され、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。ハイスループットまたは迅速なシーケンスのための1つの有用な方法は、合成によるシーケンシング(SBS)である。SBS技術としては、Genome Analyzerシステム(Illumina Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)およびTrue Single Molecule Sequencing(tSMS)(商標)システム(Helicos BioSciences Corporation、マサチューセッツ州ケンブリッジ)が挙げられるが、これらに限定されない。簡単に言えば、合成反応によるいくつかのシーケンシングを使用して、標的配列内の標的位置にある複数の塩基の同一性を解明する。これらの反応はすべて、少なくとも2つのドメイン;シーケンシングプライマーがハイブリダイズする第1のドメイン、および配列情報が必要な隣接する第2のドメインを持つ標的核酸配列の使用に依存する。アッセイ複合体の形成時に、伸長酵素を使用して、最初のドメインにハイブリダイズするシーケンシングプライマーにデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を追加し、dNTPの各追加を読み取って、追加されたdNTPのIDを決定する。これは多くのサイクルの最中で進行し得る。 Genome Analyzerシステム(Illumina Inc.、マサチューセッツ州サンディエゴ)やTrue Single Molecule Sequencing(tSMS)(商標)システム(Helicos BioSciences Corporation、マサチューセッツ州ケンブリッジ)といったSBS技術は、標識ヌクレオチドを利用して標的核酸分子の配列を決定する。標的核酸分子は、プライマーとハイブリダイズし、ポリメラーゼおよびブロッキング基を含む標識ヌクレオチドの存在下でインキュベートし得る。プライマーは、ヌクレオチドが取り込まれるように拡張される。ブロッキング基の存在は、1ラウンドの取り込み、すなわち単一ヌクレオチドの取り込みのみを可能にする。標識の存在により、取り込まれたヌクレオチドの同定が可能になる。 True Single Molecule Sequencing(tSMS)(商標)システム(Helicos BioSciences Corporation、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)で使用されているように、各サイクル中に複数の均一な単一ヌクレオチド塩基を追加し得る。ゲノムアナライザーシステム(Illumina Inc.、San Diego、CA)で使用されているように、特に各塩基が識別可能なラベルに関連付けられている場合は、同時にサイクルする。対応する標識によって取り込まれたヌクレオチドを同定した後、標識およびブロッキング基の両方を除去することができ、それにより、その後の取り込みおよび同定のラウンドが可能になる。追加されたヌクレオチド塩基の同一性を決定することは、いくつかの実施形態において、特定のヌクレオチド塩基、すなわち、dATP、dCTP、dGTPまたはdTTPの追加により検出可能な発光を誘導することができる光源の新たに追加された標識塩基の反復曝露を含む。本明細書に開示される方法および組成物は、そのようなSBS技術に特に有用である。さらに、本明細書に記載の方法および組成物は、核酸のアレイからのシーケンシングに特に有用であり得、各位置の各ヌクレオチドは、その識別可能な標識に基づいて識別できるので、アレイ上の複数の位置から複数の配列を同時に読み取り得る。例示的な方法は、米国特許出願公開第2009/0088327号;米国特許出願第2010/0028885号;および米国特許出願第2009/0325172号に記載され、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
ここで、
図1~3を参照すれば、SBSプロセスのいくつかのステップの概要が示されている。SBSプロセスの異なる段階で使用される組成物が示される。
図1に示されるように、組成物は、取込み組成物(Inc.)、走査組成物(Scan)、脱ブロッキング組成物(De-Block)、および切断後洗浄組成物(PCW)を含む。取込み組成物(Inc.)は、ブロック化標識化ヌクレオチドを含み、鎖伸長酵素を含み得る。ブロック化標識化ヌクレオチドは、取り込みステップでテンプレート鎖および鎖伸長酵素とともにインキュベートされ、テンプレート鎖の配列に基づいて適切なヌクレオチドをコピー鎖に取り込む。
【0080】
取り込みステップに続いて、取り込まれなかったブロック化標識化ヌクレオチドを洗い流し得、コピー鎖に取り込まれたヌクレオチドの同一性を決定し得る。走査組成物(Scan)は、取り込まれたブロック化標識化ヌクレオチドの同一性の検出の最中に存在する。走査組成物は、検出ステップ中に光によって誘発し得る損傷からテンプレート鎖およびコピー鎖を保護するための酸化防止剤を含む。例えば、米国特許第9,115,353号および第9,217,178号を参照されたい。これらは、本開示と矛盾しない範囲で、それぞれの全体が参照により本明細書に取り込まれる。走査組成物の導入前に、取り込まれていないブロック化標識化ヌクレオチドを洗い流すためにユニバーサル洗浄組成物(示さず)を使用し得、または走査組成物の導入は、取り込まれていないブロック化標識化ヌクレオチドを洗い流すのに役立ち得る。
【0081】
検出ステップに続いて、切断剤を含む脱ブロッキング組成物(De-Block)を導入することにより、コピー鎖に取り込まれたヌクレオチドからブロッキング部分および標識部分を除去し得る。好ましくは、切断剤は、ブロッキング部分および標識部分の両方を除去する。例えば、標識された部分は、ブロッキング部分として機能し得、標識された部分は、ブロッキング部分上にあり得、標識された部分は、ブロッキング部分等と同じリンカーによってヌクレオチドに結合され得る。
【0082】
脱ブロッキングステップの後、除去されたブロッキング部分および切断剤は、洗浄組成物(PC Wash)で洗い流され、このプロセスを繰り返し得る。PCW洗浄組成物は、
図2に示されるようなスカベンジャー(Scav Wash)を含み得る。Scav Washは、テンプレート鎖とコピー鎖の環境で一定時間インキュベートして、スカベンジャーがブロック解除ステップから生じる1つ以上の反応性化合物と相互作用できるようにするか、あるいは、Scav Washは、テンプレート鎖およびとコピー鎖の環境を通じて連続的に洗浄し得る。切断後の洗浄工程はまた、Scav Washに加えて、ユニバーサルバッファーによる1回または複数の洗浄を含み得る。
【0083】
図3に示されるように、単一の組成物、ScavScanは、走査(検出)ステップおよびPCWステップの両方に使用され得る。ScavScan組成物は、走査ステップ中の潜在的な光誘起損傷を低減するための酸化防止剤を含み、脱ブロッキングステップ中またはその結果として生じる反応性化合物と相互作用するスカベンジャーを含む。
【0084】
ユニバーサル洗浄バッファーまたはスカベンジャーを含まない別の組成物での洗浄を含むPCW洗浄ステップは、任意の適切な時間の長さであり得る。スカベンジャーを使用すると、洗浄にスカベンジャーを含まないシーケンシングプロセスと比較して、全体的なPCW洗浄ステップ時間を短縮することを可能にするべきである。なぜならば、スカベンジャーの存在により、より少ない洗浄量で脱ブロッキングステップからの反応性生成物の影響が減少するからである。
【0085】
脱ブロッキングステップに続く時間から取り込みステップが開始する時間までの総PCW洗浄ステップは、任意の適切な長さの時間であり得る。PCW洗浄ステップの時間は、使用するシーケンス機器とプラットフォームによって異なり得る。いくつかの例では、PCW洗浄ステップの合計時間は、約1秒から約120秒、例えば、約1秒から約90秒、約1秒から約20秒、約5秒から60秒等であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、PCW洗浄ステップは、スカベンジャーを含む洗浄組成物がテンプレート鎖およびコピー鎖と接触されるステップを含み、ユニバーサルウォッシュ等のスカベンジャーを含まない洗浄組成物が含まれるステップを含む。バッファーは、テンプレート鎖およびコピー鎖を通過して流れる。スカベンジャーを使用した洗浄ステップとスカベンジャーを使用しない洗浄ステップには、適切な相対時間がかかり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、PCW洗浄ステップは、スカベンジャーを含まない組成物での2回以上の洗浄を使用する。例えば、PCW洗浄の第1の成分は、スカベンジャーを含まない組成物を用いた第1の洗浄、スカベンジャーを含む組成物を用いた第2の洗浄、およびスカベンジャーを含まない組成物を用いた第3の洗浄であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、PCW洗浄ステップは、スカベンジャーを含まない組成物での洗浄、およびスカベンジャーを含む組成物での洗浄を使用する。例えば、PCW洗浄の第1の成分は、スカベンジャーを含まない組成物を用いた第1の洗浄、およびスカベンジャーを含む組成物を用いた第2の洗浄であり得る。別の例として、PCW洗浄の第1の成分は、スカベンジャーを含む組成物を用いた第1の洗浄、およびスカベンジャーを含まない組成物を用いた第2の洗浄であり得る。
【0089】
洗浄組成物の任意の適切な総量を、PCWステップで使用し得る。使用される総量は、使用されるシーケンシング機器およびプラットフォームに依存し得る。いくつかの実施形態では、洗浄組成物の総量は、約100マイクロリットルから約1000マイクロリットル、例えば、約200マイクロリットルから約900マイクロリットルである。
【0090】
PCW洗浄でスカベンジャーを使用すると、ポリヌクレオチド、酵素、およびその他の試薬への損傷が、洗浄にスカベンジャーを含まないシーケンシングプロセスと比較して減少するべきであるため、より長い実行を可能にするべきである。もちろん、PCW洗浄においてスカベンジャーを使用するシーケンシングプロセスは、取り込み、検出、および脱ブロッキングの任意の適切な数のサイクルを含み得る。したがって、本明細書に記載の方法としては、約50サイクルから約1,000サイクル、例えば、約100サイクルから約500サイクル、または約100サイクルから約300サイクルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
いくつかの実施形態において、シーケンシング機器と共に使用するためのカートリッジは、酸化防止剤およびスカベンジャーを含む組成物が、走査工程および切断後洗浄工程で使用するために取り出されるかまたは排出され得るチャンバーを含み得る。例えばおよび
図4を参照すると、複数のチャンバー110、120、130、140を含むカートリッジ100が示される。各チャンバー110、120、130、140は、単一の組成物を含む。テンプレートポリヌクレオチド鎖の少なくとも一部と相補的なコピーポリヌクレオチド鎖にブロック化標識化ヌクレオチドを取り込むための試薬を含む組成物は、第1のチャンバー110に配置される。酸化防止剤およびスカベンジャーを含む組成物は、第2のチャンバー120に配置される。第2のチャンバー120に配置された組成物は、走査(検出)ステップおよび切断後洗浄ステップの両方に使用し得る。コピー鎖に取り込まれたブロック化標識化ヌクレオチドから標識およびブロッキング部分を化学的に除去するための試薬を含む組成物は、第3のチャンバー130に配置される。ユニバーサル洗浄バッファーは、第4のチャンバー140に配置される。
【0092】
本明細書に記載のシーケンシング方法は、任意の適切な装置を使用して、任意の適切な方法で実施し得る。いくつかの実施形態では、シーケンシング法は、複数のテンプレートポリヌクレオチド鎖が固定化されている固体支持体を使用する。本明細書で使用される固定化という用語は、共有結合または非共有結合を介した固体支持体への直接的または間接的な付着を包含することを意図している。特定の実施形態において、必要とされるのは、例えば、核酸増幅および/またはシーケンシングを必要とする用途において、支持体を使用することが意図される条件下で、ポリヌクレオチドが固定化または支持体と結合したままであるということだけである。例えば、オリゴヌクレオチドまたはプライマーは、3’末端が酵素的伸長に利用可能であるように、および/または配列の少なくとも一部が相補的配列にハイブリダイズすることができるように固定化され得る。固定化は、表面と結合したプライマーへのハイブリダイゼーションを介して起こり得、その場合、固定化されたプライマーまたはオリゴヌクレオチドは、3’-5’方向にあり得る。あるいは、固定化は、共有結合等の非塩基対ハイブリダイゼーションによって起こり得る。
【0093】
例として、ポリヌクレオチドは、プライマーのパッチ内の1以上のプライマーへのハイブリダイゼーションまたはアニーリングによって表面と結合され得る。ハイブリダイゼーションは、例えば、アダプターをテンプレートポリヌクレオチドの末端に連結することによって達成し得る。アダプターの核酸配列は、プライマーの核酸配列に相補的であり得、したがって、アダプターが表面上のプライマーに結合またはハイブリダイズすることを可能にする。任意で、ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であり得、アダプターは、ポリヌクレオチドの5’および/または3’末端に付加され得る。任意で、ポリヌクレオチドは二本鎖であり得、アダプターは二本鎖ポリヌクレオチドの3’末端に連結され得る。任意で、ポリヌクレオチドは、アダプターなしで使用し得る。いくつかの実施形態において、テンプレートポリヌクレオチドは、相補的プライマーへのハイブリダイゼーション以外の相互作用によって表面と結合され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、クリックケミストリーまたはストレプトアビジン-ビオチン結合等の受容体-リガンド相互作用から生じるもの等の化学結合を使用して表面に共有結合され得る。
【0094】
プライマーオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプライマーは、全体を通して交換可能に使用され、増幅またはシーケンシングされる1以上のポリヌクレオチドテンプレートに特異的にアニーリングすることが可能であるポリヌクレオチド配列である。概して、プライマーオリゴヌクレオチドは一本鎖または部分的に一本鎖である。プライマーはまた、非天然の実体がプライマーの機能を妨害しない限り、非天然の塩基、非ヌクレオチドの化学修飾、または非天然の骨格結合の混合物を含み得る。任意で、固体支持体の表面上のプライマーのパッチは、1以上の異なる複数のプライマー分子を含み得る。例として、パッチは、第1、第2、第3、第4、またはそれ以上の複数のプライマー分子を含み得、各複数は、異なる配列を有する。単一のパッチに異なる複数のプライマーを有する実施形態では、異なる複数のプライマーの少なくとも一部の間に配列の違いがある限り、異なる複数のプライマーが共通の配列を共有し得ることが理解されるであろう。例えば、第1の複数のプライマーは、複数のプライマーが他の複数のプライマーには見いだされない異なる配列を有する限り、第2の複数のプライマーと配列を共有し得る。
【0095】
テンプレートポリヌクレオチドは、固体支持体の表面で増幅され得る。ポリヌクレオチド増幅は、テンプレートおよび/またはその相補体の1以上のコピーを生成することによって、存在するポリヌクレオチドテンプレートおよび/またはその相補体の数を増幅または増加させるプロセスを含む。増幅は、サーモサイクリング増幅または等温増幅が挙げられるがこれらに限定されない条件下で、種々の公知の方法により実施し得る。例えば、増幅を実施するための方法は、米国公開第2009/0226975号;国際公開第98/44151号;国際公開第00/18957号;国際公開第02/46456号;国際公開第06/064199号;および国際公開第07/010251号に記載され、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。簡単に言えば、提供された方法において、増幅は、ポリヌクレオチド分子が付着している表面で起こり得る。このタイプの増幅は、固相増幅と呼ばれ得、これは、ポリヌクレオチドに関して使用される場合、表面(例えば、固体支持体)上でまたはそれに関連して実行される任意のポリヌクレオチド増幅反応を指す。通常、増幅産物の全部または一部は、固定化されたプライマーの伸長によって合成される。固相増幅反応は、増幅プライマーの少なくとも1つが表面(例、固体支持体)に固定化されることを除いて、標準溶液相増幅に類似する。
【0096】
適切な条件としては、ポリヌクレオチドを増幅するための適切なバッファー/溶液を提供することが挙げられる。このような溶液としては、例えば、ポリメラーゼ活性を有する酵素、ヌクレオチド三リン酸、および任意で、DMSOまたはベタイン等の添加剤が挙げられる。任意で、増幅は、米国特許第7,485,428号に記載されているようにリコンビナーゼ剤の存在下で実施され、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、熱融解なしで増幅を可能にする。簡単に説明すると、E.coli由来のRecAタンパク質(または他の門由来のRecA)等のリコンビナーゼ剤は、例えばATP、dATP、ddATP、UTP、またはATPγSの存在下で、単鎖DNA(例、プライマー)の周りに核タンパク質フィラメントを形成するであろう。この複合体が相同配列と接触すると、リコンビナーゼ剤は鎖侵入反応およびプライマーと標的DNAの相同鎖とのペアリングを触媒するであろう。元のペアリング鎖は鎖の侵入によって置き換えられ、その領域に一本鎖DNAの泡が残り、増幅のテンプレートとして機能する。
【0097】
固相増幅は、表面に固定化されたオリゴヌクレオチドプライマーの1つの種のみを含むポリヌクレオチド増幅反応を含み得る。あるいは、表面は、複数の第1および第2の異なる固定化オリゴヌクレオチドプライマー種を含み得る。固相核酸増幅反応は、概して、2つの異なるタイプの核酸増幅、界面および表面(またはブリッジ)増幅のうちの少なくとも1つを含む。例えば、界面増幅において、固体支持体は、固定化オリゴヌクレオチドプライマーへのハイブリダイゼーションによって固体支持体に間接的に固定化されるテンプレートポリヌクレオチドを含み、固定化プライマーは、ポリメラーゼ触媒によるテンプレート指向伸長反応の過程で伸長され得る(例えば、プライマー伸長)は、固体支持体と結合したままである固定化ポリヌクレオチドを生成する。伸長段階の後、ポリヌクレオチド(例えば、テンプレートおよびその相補的生成物)は、テンプレートポリヌクレオチドが溶液中に放出され、別の固定化オリゴヌクレオチドプライマーへのハイブリダイゼーションに利用できるように変性される。テンプレートポリヌクレオチドは、1、2、3、4、5ラウンド以上のプライマー伸長で利用可能にし得るか、または1、2、3、4、5ラウンド以上のプライマー伸長後に反応から洗い流し得る。
【0098】
表面(またはブリッジ)増幅では、固定化されたポリヌクレオチドが固定化されたオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズする。固定化されたポリヌクレオチドの3’末端は、固定化されたオリゴヌクレオチドプライマーから伸長する、ポリメラーゼが触媒するテンプレート指向の伸長反応(例えば、プライマー伸長)のためのテンプレートを提供する。結果として得られた二本鎖産物は2つのプライマーを「ブリッジ」し、両方の鎖が支持体に共有結合する。次のサイクルでは、固体支持体に固定化された一本鎖のペア(固定化テンプレートおよび伸長プライマー生成物)を生成する変性に続いて、両方の固定化鎖が新しいプライマー伸長のテンプレートとして機能し得る。
【0099】
増幅は、固定化されたポリヌクレオチドのコロニーを生成するために使用され得る。例えば、この方法は、米国特許第7,115,400号;米国公開番号2005/0100900号;国際公開第00/18957号;および国際公開第98/44151号に記載されているものと類似した、ポリヌクレオチドコロニーのクラスター化されたアレイを生成することができ、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。「クラスター」および「コロニー」は交換可能に使用され、表面と結合した同じ配列および/またはその相相補体を有するポリヌクレオチドの複数のコピーを指す。通常、クラスターは、それらの5’末端を介して表面と結合した、同じ配列および/またはその相相補体を有するポリヌクレオチドの複数のコピーを含む。クラスターを構成するコピーポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の形態であり得る。
【0100】
したがって、複数のテンプレートポリヌクレオチドはクラスター内にあり得、各クラスターは同じ配列のテンプレートポリヌクレオチドを含む。複数のクラスターをシーケンシングし得、各クラスターは同じ配列のポリヌクレオチドを含む。任意で、第1のクラスター中のポリヌクレオチドの配列は、第2のクラスターの核酸分子の配列とは異なる。任意で、クラスターは、固体表面上のプライマーにテンプレートポリヌクレオチドをアニーリングし、条件下でテンプレートポリヌクレオチドを増幅して、同じ配列の複数のテンプレートポリヌクレオチドを含むクラスターを形成することによって形成される。増幅は熱的または等温的であり得る。
【0101】
各コロニーは、同じ配列のポリヌクレオチドを含み得る。特定の実施形態では、1つのコロニーのポリヌクレオチドの配列は、別のコロニーのポリヌクレオチドの配列とは異なる。したがって、各コロニーは、異なる核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む。コロニー内に固定化されたすべてのポリヌクレオチドは、通常、同じポリヌクレオチドの増幅によって生成される。いくつかの実施形態において、固定化ポリヌクレオチドのコロニーは、固定化ポリヌクレオチドを含まない1つ以上のプライマーを含み、遊離または非結合ポリヌクレオチドを含む溶液の追加の適用時に、異なる配列の別のポリヌクレオチドが結合し得る。しかしながら、コロニー内に十分な数の遊離プライマーがないため、この第2のまたは侵入するポリヌクレオチドは有意な数に増幅し得ない。第2のまたは侵入するポリヌクレオチドは、典型的には、単一コロニー内のポリヌクレオチドの総集団の1、0.5、0.25、0.1、0.001または0.0001%未満である。したがって、第2のまたは侵入するポリヌクレオチドは、光学的に検出され得ないか、第2のまたは侵入するポリヌクレオチドの検出は、バックグラウンドノイズと見なされるか、またはコロニー内の元の固定化ポリヌクレオチドの検出を妨害しない。そのような実施形態では、コロニーは、コロニーを検出するために使用される方法または装置の解像度に従って、明らかに均質または均一となるであろう。
【0102】
クラスターは、使用する条件に応じて、さまざまな形状、サイズ、密度を有し得る。例えば、クラスターは、実質的に円形、多面、ドーナツ形、またはリング形の形状を有し得る。クラスターの直径または最大断面は、約0.2μmから約6μm、約0.3μmから約4μm、約0.4μmから約3μm、約0.5μmから約2μm、約0.75μmから約1.5μm、または任意の介在直径であり得る。任意で、クラスターの直径または最大断面は、少なくとも約0.5μm、少なくとも約1μm、少なくとも約1.5μm、少なくとも約2μm、少なくとも約2.5μm、少なくとも約3μm、少なくとも約4μm、少なくとも約5μm、または少なくとも約6μmであり得る。クラスターの直径は、クラスターを生成する際に実行される増幅サイクルの数、ポリヌクレオチドテンプレートの長さ、ポリヌクレオチドテンプレートのGC含有量、プライマーが付着しているパッチ、またはクラスターが形成される表面と結合しているプライマーの密度が挙げられるがこれらに限定されない、いくつかのパラメーターの影響を受け得る。しかしながら、前述のように、すべての場合において、クラスターの直径は、クラスターが形成されるパッチより大きくなり得ない。例えば、パッチがビーズである場合、クラスターサイズは、ビーズの表面積より大きくなり得ない。クラスターの密度は、少なくとも約0.1/mm2、少なくとも約1/mm2、少なくとも約10/mm2、少なくとも約100/mm2、少なくとも約1,000/mm2、少なくとも約10,000/mm2から少なくとも約100,000/mm2の範囲にあり得る。任意で、クラスターの密度は、たとえば、100,000/mm2~1,000,000/mm2または1,000,000/mm2~10,000,000/mm2である。本明細書で提供される方法は、ほぼ等しいサイズのコロニーを生成し得る。これは、異なる配列のポリヌクレオチドの増幅効率の違いに関係なく発生する。
【0103】
クラスターは、例えば、共焦点イメージングデバイスまたは電荷結合デバイス(CCD)またはCMOSカメラ等の適切なイメージング手段を使用して検出し得る。例示的な画像化デバイスには、米国特許第7,329,860号; 米国特許第5,754,291号;および米国特許第5,981,956号;および国際公開第2007/123744号に記載されているものが含まれるが、これらに限定されず、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。画像化装置は、1または複数のクラスター(1または複数のクラスターの位置、境界、直径、面積、形状、重なり、および/または中心等および/またはそこから発生する検出可能な信号の)におけるクラスターまたは表面上の複数のクラスター内の基準位置を決定するために使用され得る。そのような基準位置は、意味のある情報を生成するために、記録され、文書化され、注釈が付けられ、解釈可能な信号等に変換され得る。
【0104】
本明細書で使用される場合、支持体という用語は、ポリヌクレオチドを付着させるための基質を指す。支持体は、ポリヌクレオチドを付着させることができる、または核酸を合成および/または修飾することができる、剛性または半剛性の表面を有する材料である。支持体としては、任意の樹脂、ゲル、ビーズ、ウェル、カラム、チップ、フローセル、メンブレン、マトリックス、プレート、フィルター、ガラス、制御された細孔ガラス(CPG)、ポリマーサポート、メンブレン、紙、プラスチック、プラスチックチューブまたはタブレット、プラスチック、ビーズ、ガラスビーズ、スライド、セラミック、シリコンチップ、マルチウェルプレート、ナイロンメンブレン、光ファイバー、およびPVDFメンブレンが挙げられる。
【0105】
支持体は、任意の平坦なウェーハ様基板、および96ウェルプレートを含むマイクロタイタープレート等のウェルを有する平坦な基板を含み得る。例示的な平坦な基板としては、チップ、スライド、エッチングされた基板、マイクロタイタープレート、およびフローセルリアクターが挙げられ、cBotシーケンシングワークステーションで使用される8チャンネルフローセルなどの複数のマイクロ流体チャンネルを有するマルチレーンフローセルリアクターが挙げられる(Illumina, Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア州)。例示的なフローセルは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2007/123744号に記載されている。任意で、フローセルは、パターン化されたフローセルである。適切なパターン化されたフローセルとしては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/157640号に記載されているフローセルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
支持体はまた、磁気ビーズ、中空ビーズ、および固体ビーズを含むビーズを含み得る。ビーズはフラットサポートと組み合わせて使用し得、そのようなフラットサポートは任意でウェルも含む。ビーズ、あるいはミクロスフェアは、一般に、剛性または半剛性の材料で作られた小さな物体を指す。物体は、例えば、球、楕円形、微小球、または規則的または不規則な寸法を有するかどうかにかかわらず他の認識された粒子形状として特徴付けられる形状を有し得る。特に、ビーズのサイズとしては、直径で約1μm、約2μm、約3μm、約5μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約60μm、約100μm、約150μm、または約200μmが挙げられるが、これらに限定されない。他の粒子は、ビーズおよびミクロスフェアについて本明細書に記載されているものと同様の方法で使用し得る。
【0107】
支持体の組成は、例えば、フォーマット、化学および/または付着の方法、および/または核酸合成の方法に応じて変化し得る。本開示に従って使用することができる支持材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ナイロン、金属、および他の適切な材料が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な組成物としては、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/または有機部分の合成に使用される、支持体、およびそれに付与される化学的機能性が挙げられる。このような組成物としては、例えば、プラスチック、セラミック、ガラス、ポリスチレン、メラミン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性材料、トリアゾル、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックス、またはSepharose(商標)、セルロース、ナイロン、架橋といった架橋デキストランス、リンクされたミセルおよびTeflon(商標)、ならびに例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Bangs Laboratories, Fishers INからの「Microsphere Detection Guide」に記載されていることが見出され得る他の任意の材料が挙げられる。支持粒子は、架橋デンプン、デキストランス、セルロース、タンパク質、ポリスチレンおよびメチルスチレンを含むスチレンポリマーを含む有機ポリマー、ならびに他のスチレンコポリマー、プラスチック、ガラス、セラミック、アクリルポリマー、磁気応答性材料、コロイド、トリアソル、カーボングラファイト、二酸化チタン、ナイロン、ラテックス、またはTEFLON(登録商標)から作製され得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Bangs Laboratories, Fishers, Inc.からの「Microsphere Detection Guide」は、有用なガイドである。本開示の範囲内のさらなる例示的な支持体としては、例えば、米国特許出願公開第02/0102578号および米国特許第5,088,096号に記載されているものが含まれ、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0108】
例えば、および
図5を参照すると、フローセルといった固体支持体200の実施形態が示される。固体支持体200は、同じヌクレオチド配列を有する複数のテンプレートポリヌクレオチド鎖を含むクラスター300が固体支持体210の表面210に結合される表面210を有する。固体支持体200の表面210は、平面であり得る。
【0109】
試薬、洗浄バッファー等を含む流体組成物は、固体支持体200の表面210上を流れて、クラスター300内のテンプレートポリヌクレオチドと相互作用し得る。組成物の流れは、
図5の矢印によって示される方向といった、任意の方向に発生し得る。
【0110】
フローセル300が使用され得るシーケンシング装置は、クラスター300内のテンプレート鎖と相互作用するように表面210を横切って試薬および組成物を流すように構成され得る。例えば、装置は、鎖伸長酵素、シーケンシングプライマー、ヌクレオチド、洗浄組成物、ブロッキング解除試薬、切断後洗浄組成物等が、フローセル等の固体支持体200の表面210を横切って流れ、適切な時間にクラスター300内のテンプレートポリヌクレオチドと相互作用して、テンプレートストランドのシーケンシングを実行し得る。
【0111】
各クラスター300は、別のクラスター300と同じテンプレートポリヌクレオチドまたは異なるポリヌクレオチドを含み得る。
【0112】
シーケンシングされるテンプレートポリヌクレオチドは、公知の日常的な方法を使用して、任意の生物学的サンプルから取得し得る。適切な生物学的サンプルとしては、血液サンプル、生検標本、組織外植片、器官培養、生物液または他の組織または細胞調製物、あるいはそれらの画分または誘導体、またはそれらから単離されたものが挙げられるが、これらに限定されない。生物学的サンプルは、染色体に取り込まれたまたはエピソームの組換え核酸配列を含み得る遺伝子操作された細胞株、不死化または不死化可能な細胞株、体細胞ハイブリッド細胞株、分化または分化可能細胞株、形質転換細胞株、幹細胞、生殖細胞(例、精子、卵母細胞)、形質転換細胞株等が挙げられるがこれらに限定されない、初代細胞培養物または培養適応細胞株であり得る。例えば、ポリヌクレオチド分子は、初代細胞、細胞株、新たに単離された細胞または組織、凍結細胞または組織、パラフィン包埋細胞または組織、固定細胞または組織、および/またはレーザー解剖された細胞または組織から取得し得る。生物学的サンプルは、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、脊椎動物および無脊椎動物を含むヒトまたは非ヒト動物を含む任意の対象または生物源から取得し得、また、任意の多細胞生物または真核生物(植物および藻類を含む)または原核生物、古細菌、微生物(例えば、細菌、古細菌、真菌、プロティスト、ウイルス)、および水生プランクトン等の単細胞生物であり得る。
【0113】
いったんポリヌクレオチドが得られたら、提供された方法で使用するための異なる配列の複数のポリヌクレオチド分子を、利用可能で公知の種々の標準的な技術を使用して調製し得る。ポリヌクレオチド分子調製の例示的な方法としては、Bentley et al., Nature 456:49-51 (2008);米国特許第7,115,400号;および米国特許出願公開第2007/0128624号;米国特許出願公開第2009/0226975号;米国特許出願公開第2005/0100900号;米国特許出願公開第2005/0059048号;米国特許出願公開第2007/0110638号;および米国特許出願公開第2007/0128624号、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる、に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。テンプレートポリヌクレオチドは、普遍的な配列および公知または未知の配列が挙げられるがこれらに限定されない種々の配列を含み得る。例えば、ポリヌクレオチドは、5’および/または3’末端に位置する公知の配列の1以上の領域(例えば、アダプター)を含み得る。このようなテンプレートポリヌクレオチドは、未知の配列のポリヌクレオチドの末端にアダプターを付着させることによって形成し得る。ポリヌクレオチドが5’および3’末端に公知の配列を含む場合、公知の配列は同じまたは異なる配列であり得る。任意で、ポリヌクレオチドの5’および/または3’末端に位置する公知の配列は、表面に固定化された1以上のプライマーにハイブリダイズし得る。例えば、5’公知の配列を含むポリヌクレオチドは、第1の複数のプライマーにハイブリダイズし得、一方、3’の公知の配列は、第2の複数のプライマーにハイブリダイズし得る。任意で、ポリヌクレオチドは、1以上の検出可能な標識を含む。 1以上の検出可能な標識は、5’末端、3’末端、および/またはポリヌクレオチド分子内の任意のヌクレオチド位置でポリヌクレオチドテンプレートと結合され得る。提供される方法で使用するためのポリヌクレオチドは、増幅および/またはシーケンシングされるポリヌクレオチド、および任意で、5’および/または3’末端の短い核酸配列を含み得る。
【0114】
ポリヌクレオチドの5’および/または3’末端に付加される短い核酸配列は、普遍的な配列であり得る。ユニバーサル配列は、2つ以上のポリヌクレオチドに共通である、すなわち、2つ以上のポリヌクレオチドによって共有されるヌクレオチド配列の領域であり、2つ以上のポリヌクレオチドはまた、配列の違いの領域を有する。複数のポリヌクレオチドの異なるメンバーに存在し得る普遍的な配列は、普遍的な配列と相補的な単一の普遍的なプライマーを使用して、複数の異なる配列の複製または増幅を可能にし得る。同様に、ポリヌクレオチドのコレクションの異なるメンバーに存在し得る少なくとも1つ、2つ(例、ペア)またはそれ以上の普遍的な配列は、ユニバーサル配列と相補的な少なくとも1つ、2つ(例、ペア)またはそれより多い単一ユニバーサルプライマーを使用する複数の異なる配列の複製または増幅を可能にし得る。したがって、ユニバーサルプライマーは、そのようなユニバーサル配列に特異的にハイブリダイズし得る配列を含む。ポリヌクレオチドは、ユニバーサルアダプター(例えば、非標的核酸配列)を異なる標的配列の一端または両端と結合させるように改変され得、アダプターは、ユニバーサルプライマーのハイブリダイゼーションのための部位を提供する。このアプローチには、生成、増幅、シーケンシング、および/またはその他の方法で分析する各ポリヌクレオチドに対して特定のプライマーペアを設計する必要がないという利点を有し;各ポリヌクレオチドがその5’および3’末端に同じユニバーサルプライマー結合配列を付加することによって修飾されるという条件で、プライマーの単一のペアを異なるポリヌクレオチドの増幅に使用し得る。
【0115】
ポリヌクレオチドはまた、標準的な公知の方法を使用して望ましい任意の核酸配列を含むように改変され得る。そのような追加の配列は、例えば、所与の核酸配列の増幅産物の同定を可能にするために、制限酵素部位、またはインデックスタグを含み得る。
【0116】
本明細書で使用される場合、2つ以上のポリヌクレオチドに関して使用される場合に異なるという用語は、2つ以上のポリヌクレオチドが同じではないヌクレオチド配列を有することを意味する。例えば、2つのポリヌクレオチドは、他のポリヌクレオチドと比較して、1つのポリヌクレオチドの配列中のヌクレオチドの含有量および順序が異なり得る。この用語は、ポリヌクレオチドがコピー、アンプリコン、テンプレート、ターゲット、プライマー、オリゴヌクレオチド等と呼ばれるかどうかを説明するために使用し得る。
【0117】
開示されているのは、開示された方法および組成物に使用し得る、組み合わせて使用し得る、準備に使用し得る、または製品である材料、組成物、および構成要素である。これらおよび他の資料は本明細書に開示され、これらの資料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等が開示される場合、それぞれの種々の個々および集合的な組み合わせおよび順列の特定の参照は明示的に開示し得ないが、各々が本明細書で具体的に企図され、説明される。例えば、方法が開示および議論され、方法ステップに加え得るいくつかの修正が議論される場合、方法ステップのあらゆる組合せおよび順列、ならびに可能な修正は、特に反対に示されない限り、具体的に企図される。同様に、これらのサブセットまたは組み合わせも具体的に企図され、開示される。この概念は、この開示のすべての側面に適用される。したがって、実行できる種々の追加のステップがある場合、これらの追加のステップのそれぞれは、開示された方法の任意の特定の方法ステップまたは方法ステップの組合せで実施し得、そのような各組合せまたは組合せのサブセットが理解され、具体的に検討され、開示されていると見なされるべきである。
【0118】
この出願全体を通して、種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の全体の開示は、参照により本出願に組み込まれる。
【実施例】
【0119】
Illumina, Inc.の2チャンネルプラットフォームの現在のシーケンスプロトコルとしては、取込み組成物、走査組成物、脱ブロッキング組成物、およびユニバーサルウォッシュ組成物の使用が挙げられる。取込み組成物は、ブロック化標識化ヌクレオチドを含み、走査組成物は、酸化防止剤を含み、脱ブロッキング組成物は、切断剤を含む。ユニバーサルウォッシュ組成物は、切断後洗浄(「PCW」)と呼ばれるステップで脱ブロッキングした後に使用される。場合によっては、リポ酸がスカベンジャーとして含まれる。ユニバーサルウォッシュ組成物は、(脱ブロッキングと取り込みとの間だけでなく)他のステップ間でも使用し得る。例えば、ユニバーサル洗浄組成物は、取り込みステップと走査(検出)ステップとの間、または走査ステップと脱ブロッキングステップとの間で使用され得る。
【0120】
PCWでのスカベンジャーの効果をテストし、シーケンシングプロセスで使用される試薬の数を減らすために、次の組成物を用いた:BB2(50mM Trisバッファーを含むユニバーサル洗浄組成物);BB7(BB2+リポ酸)、BB2+(150mM Trisバッファーを含むユニバーサルウォッシュ組成物);Scan Mix(VSM);ScavScan(VSM+リポ酸)。
【0121】
VSM、ScavScan、BB2、BB7、およびBB2+の組成を、以下の表4~8に示す。
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
「BB7」と呼ばれる組成物におけるユニバーサル洗浄組成物へのリポ酸(スカベンジャー)の添加は、ユニバーサル洗浄組成物単独と比較して、フェージングを減少させ、洗浄量を減少させる。フェージングが減少すると、シーケンシングのラン時間が長くなる(サイクルが増える)ことを可能にし得る。洗浄量が減少すると、より速いシーケンシング時間を可能にし得る。
【0128】
シーケンシングプロセスで使用される試薬の数を効果的に減らすことができるかどうかをテストするために(BB7等のスカベンジャー組成物を追加する場合と比較して)、スカベンジャーをScan Mixと組み合わせてScavScan組成物を生成し、走査(検出)およびPCWステップの両方でScavScan組成物を使用した。これらのテストのPCWステップは、走査ステップにScan Mix(VSM)を使用し、ベースラインとしてPCWステップにBB7を使用した場合と比較した。より具体的には、ベースラインPCWは、BB2での第1の洗浄、BB7での第2の洗浄、およびBB2での第3の洗浄を含んだ(例、BB2/BB7/BB2=ベースライン)。
【0129】
走査ステップとPCWステップの両方で「ScavScan」ミックスを使用した場合、走査ミックスでスカベンジャー化合物を使用したにもかかわらず、ベースラインよりも約20%多くのフェージングが観察された。フェージング速度が縦軸に沿って示されている、
図5を参照されたい。より具体的には、PCWは、ScavScanでの第1の洗浄およびBB2での第2の洗浄(例、ScavScan/BB2)を含んだ。
【0130】
PCW洗浄ステップでScavSvanを使用する場合のフェージングの増加を中和するために、3つの代替戦略を評価した:
・ScavScanで洗浄した後に実施するユニバーサルバッファー(「BB2」)洗浄の量を100uLから200uLに増加する;
・BB2バッファーのバッファー強度を普遍的に50mMから150mM(「BB2+」)に増加する;および
・走査ミックスを再製剤化する。
【0131】
図6のプロットに示されるように、BB2洗浄の量を2倍にし、BB2バッファー強度(BB2+)を増加すると、ベースラインと比較してフェージングが減少した。つまり、PCWステップには、ScavScanによる第1の洗浄および2倍のBB2(例、ScavScan/2xBB2 vol)による第2の洗浄を含んだ。BB2洗浄液の量を250uLまたは500uLにさらに増やしても、フェージングのさらなる改善(減少)の結果は生じなかった(データは示さず)。
【0132】
洗浄量を2倍にすると、サイクル時間が増大する結果となり得、状況によっては、BB2バッファー強度(BB2+)を上げるよりも望ましくない場合があることに注意されたい。また、BB2の容量を2倍にすると、より大きなバッファーカートリッジまたはコンテナーが必要となる結果を生じ得、カートリッジまたはコンテナーを使用するシーケンス装置のフットプリントまたはサイズが望ましくなく増加し得、カートリッジ、コンテナー、および組成物の出荷および製造のコストが増加し得る。
【0133】
バッファー強度を上げると、BB2洗浄量を2倍にするよりもフェージングが少なくなることにも注意されたい。
図6を参照されたい。したがって、特定の状況では、洗浄量を増やすよりも、ユニバーサルバッファーのバッファー強度を上げる方が望ましくなり得る。しかしながら、ユニバーサルウォッシュバッファーはシーケンスのさまざまな段階以降で使用され得るため(例、フローセルでのクラスタリング)、ユニバーサルバッファーのバッファー強度を上げる効果は、特にユニバーサルバッファーが1つしか採用されない場合は、慎重に検討する必要がある。
【0134】
我々は、エラー率、プレフェージング率、およびフェージング率を、ベースライン条件(走査用に、Scan mix、VSM、およびPCW用にBB7とBB2洗浄)、ScavScan/BB2+条件(走査用にScavScan、およびPCW用にScavScanとBB2+)、およびBB2+条件(走査用に、Scan Mix、VSM、およびPCW用にBB7/BB2+)を使用して、決定した。250サイクルのシーケンシングを、Illumina, Inc. MiniSeq(登録商標)シーケンサーで実施した(シーケンサーは250サイクルを許可するように改変した)。結果を、
図7A~C(エラー率を
図7Aに、プレフェージングを
図7Bに、およびフェージングを
図7Cに)に示す。結果は、BB2+がBB2をユニバーサルに置き換える場合、特にScavScanで使用する場合、許容可能なエラー率での長い読み取りが可能であることを示す。
【0135】
我々は、PCWでスカベンジャーを使用せずにユニバーサルバッファー濃度を増大する効果を確認した。即ち、走査用にScan Mix(VSM)を用い、PCWには以下の組成物を用いた:BB2のみと10mMリポ酸(即ち、BB7)、BB2+のみと10mMリポ酸、BB2++のみと10 mMリポ酸、BB2+++単独、および10mMリポ酸との併用。BB2++が300mM Trisを有する点を除き、BB2++はBB2+と同じである。BB2 +++が600mM Trisを有する点を除き、BB2+++はBB2+と同じである。プレフェージングの改善(減少)は、スカベンジャーなしのユニバーサル洗浄組成物の緩衝強度を増加させることで起こる。しかしながら、プレフェージングは、スカベンジャーを使用した最低バッファー強度のユニバーサル洗浄(BB2)よりも高いままである。また、バッファー強度の増加(BB2+、BB2++、およびBB2+++)により、さらなる改善が観察された。スカベンジャーを含まない洗浄組成物とは異なり、スカベンジャーを含む洗浄組成物は、バッファー強度のさらなる増加を伴う追加の改善の結果を生じなかった(例、BB2++およびBB2+++はBB2+と実質的に相違しなかった)。
【0136】
我々は、シーケンシングを改善するリポ酸以外のスカベンジャーの能力を評価した。具体的には、我々は、BB7およびScavScanバッファーのリポ酸を1mMシスチン、10mM 3,3’-ジチオジプロピオン酸(DPPA)、および10mMペグ化(C8)アジドに置き換えた。シスチンおよびペグ化アジドは、BB7およびScavScanの両方と比較してプレフェージングの増加の結果となったが、一方、DPPAは同様のフェージングの結果となった。
【0137】
PCW洗浄で種々のDDPA組成物を使用した場合のフェージングの結果を
図8に示す。示されるように、DPPAは、リポ酸と同様のフェージング効果を有していた。右上のプロットに示されるように、DPPAは低いTrisバッファー強度(BB2用に50mM Tris、走査用に1M Tris)でより良好なパフォーマンスを示した。
図8に示される結果を生成するために用いた切断後洗浄条件は、以下のとおりであった:
・ベースライン(BB7とBB2洗浄)
・ScavScan/2x BB2(ScavScanと2倍体積(ベースラインに対して)のBB2洗浄)
・BB2+(ベースラインとユニバーサル洗浄、BB2、150mM Trisを有するように改変)
・BB2++(ベースラインとユニバーサル洗浄、BB2、300mM Trisを有するように改変)
・ScavScan/BB2+(ScavScanとBB2+洗浄)
・ScavScan BB2 150mM Tris 2:ScavScan/BB2+の繰り返し
・DPPA/走査(10mM DPPAをScan Mix、VSMに追加)
・DPPA/BB2(10mM DPPAをBB2に追加)
【0138】
我々はまた、フェージングおよびプレフェージングを、スカベンジャーとしてリポ酸を含むPCW洗浄とスカベンジャーとしてDPPAを含むPCW洗浄との間で比較した。具体的には、Illumina, Inc. MiniSeq(登録商標)シーケンサーでの250サイクルを、PCW洗浄ステップに次の組成物を使用して実行した:
・ベースライン(BB7とBB2洗浄)
・BB2+(BB7とユニバーサル洗浄、BB2、150mM Trisを有するように改変)
・ScavScan/BB2+(ScavScanとBB2+洗浄)
・DPPA(10mM DPPAをBB2、BB2洗浄に追加)
【0139】
図1および
図2に示すように。
図9Aおよび9Bに示すように、DPPAは、ベースラインおよびScavScan/BB2+の両方よりも低いフェージングおよびプレフェージングの結果を生じた。
【0140】
いくつかの実施形態が説明されてきた。それにもかかわらず、種々の修正がなされ得ることが理解されるであろう。よって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。