(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】外鉄型変圧器用の内部支持体
(51)【国際特許分類】
H01F 27/02 20060101AFI20230615BHJP
H01F 27/10 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
H01F27/02 D
H01F27/10
H01F27/02 150
(21)【出願番号】P 2021526361
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 EP2019081239
(87)【国際公開番号】W WO2020099517
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-07-08
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アギルレ,ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサレス-ガルシア,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】パチェコ,パブロ
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501593(JP,A)
【文献】特開平11-243018(JP,A)
【文献】実開昭60-002813(JP,U)
【文献】特開2008-053262(JP,A)
【文献】実開昭56-141433(JP,U)
【文献】実開平05-082022(JP,U)
【文献】国際公開第2014/174915(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/101634(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/025392(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00-27/22
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器相を含む三相変圧器の能動部品を収容するための、外鉄型変圧器用の変圧器タンクであって、
底板を含む底タンク部および壁を含む中間タンク部と、
カバープレートと、
前記壁に接合された補強梁と、
隣接する変圧器相間で、前記変圧器タンクのある壁から反対側の壁まで延在する前記変圧器タンクの下部空間に配置され、かつ前記補強梁に結合される相間プレートと、
前記カバープレートを強化するための強化支持体とを備え、各支持体は、相間プレートに結合され、前記相間プレートと前記カバープレートとの間の前記変圧器タンクの上部空間において延在して、前記カバープレートと協動
し、
前記強化支持体との協動のための連結部分と、前記カバープレートの上に配置された連結筐体とをさらに備える、変圧器タンク。
【請求項2】
前記強化支持体は、相間プレートに結合される近位端と、前記カバープレートと協動するように配置された遠位端とを有する長尺形状を含む、請求項1に記載の変圧器タンク。
【請求項3】
前記強化支持体は、空洞の支持体である、請求項1または2に記載の変圧器タンク。
【請求項4】
前記強化支持体は、冷却液を循環させるための導管を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の変圧器タンク。
【請求項5】
前記強化支持体は、相間プレートに結合される第1の部分と、前記カバープレートと協動するように配置される第2の部分とを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の変圧器タンク。
【請求項6】
前記強化支持体はさらに、前記第1の部分と前記第2の部分とを互いに連結する相補的な結合部を含む、請求項5に記載の変圧器タンク。
【請求項7】
前記強化支持体はさらに、前記相間プレートに結合される前記近位端においてねじスタッドを含む、請求項2に記載の変圧器タンク。
【請求項8】
前記強化支持体の前記近位端は、電気応力を最小限にするために丸みを付けられている、請求項2に記載の変圧器タンク。
【請求項9】
前記連結部分は、T形状部分または長尺ロッドである、請求項
1~8のいずれか1項に記載の変圧器タンク。
【請求項10】
前記カバープレートは、外部補強リブを有さない、請求項1~
9のいずれか1項に記載の変圧器タンク。
【請求項11】
前記変圧器タンクは、各相間プレートと前記カバープレートとの間に取付けられた少なくとも2つの強化支持体を含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載の変圧器タンク。
【請求項12】
前記連結筐体と前記強化支持体との間に配置される偏心部をさらに備える、請求項
1~11のいずれか1項に記載の変圧器タンク。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の変圧器タンクを備える三相外鉄型変圧器。
【請求項14】
請求項
8または
9に記載の変圧器を組立てるための方法であって、
各強化支持体の近位端を相間プレートに固定することと、
各強化支持体の遠位端が連結筐体の底壁の開口部を介して導入されるように、前記変圧器タンクを前記カバープレートで閉鎖することと、
各強化支持体の前記遠位端において連結部分を挿入することと、
各連結筐体
の取外し可能なカバーを閉鎖することとを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外鉄型変圧器用のタンクに関し、より具体的には、三相外鉄型変圧器用のタンクに関する。
【0002】
本開示は、2018年11月14日に出願されたEP 18 382 802.9号の利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
変圧器タンクは通常、たとえば約0.09mmHgの真空にさらされており、このため、機械的応力が極限引張強度を上回ると破断し得る、カバーなどのタンクの特定の領域または部分が、内向きに変形する場合がある。
【0004】
さらに、電力変圧器は、内部故障の際は内部アークエネルギーにさらされる場合がある。その後、変圧器の能動部品を取り囲む絶縁流体は、蒸発し、膨張する気泡を生成して、変圧器タンクを外側に向かって破損させる超過圧力を生じる場合がある。
【0005】
内部アークの場合、結果として生じる超過圧力によって、タンクの少なくとも特定の領域または部分、たとえばカバーの極限引張強度を超えることもある機械的応力がタンク内に生成されて、内部アークのエネルギーレベルが低いと、カバーが許容できない応力を受ける、変形および/または破断する場合がある。
【0006】
いずれにしても、タンクが破裂するとオイルがこぼれ、火災が発生する危険がある。
それゆえ、変圧器タンクは、動作真空によって生じる負荷および内部アークの故障によって生じる機械適応力に対する耐性を有するように設計される。
【0007】
内部動作真空によって、および/もしくは、内部アークの故障の場合はたとえば溶接による外部補強梁またはリブの追加によるカバープレートの強化によって生じるタンクのカバープレートの変形ならびに/または破裂の問題に対処するために、いくつかの解決策が策定されている。しかしながら、外部リブまたは梁は、保守要員の移動を妨げることがあり、変圧器カバーの上を歩くのに危険であることさえある。さらに、タンクのカバーを補強することによって、柔軟性が低下した機械構成を有する重い構造になり、製造コストも高くなる。主に空気によって冷却されるこの解決策は、適切に設計されない場合、高電流リード付近で過熱の問題を生じることもある。
【0008】
結論として、安全で破裂に強いと同時に、軽量構造で低製造コストの変圧器タンクを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
変圧器相を含む三相変圧器の能動部品を収容するための、外鉄型変圧器用の変圧器タンクが提供される。タンクは、底板を含む底タンク部および壁を含む中間タンク部と、カバープレートと、壁に接合された補強梁と、相間プレートと、カバープレートを強化するための強化支持体とを備える。相間プレートは、隣接する変圧器相間で、タンクのある壁から反対側の壁まで延在するタンクの下部空間に配置され、かつ補強梁に結合される。各強化支持体は、相間プレートに結合され、相間プレートとカバープレートとの間のタンクの上部空間において延在して、カバープレートと協動する。
【0010】
タンク内に配置されたそのような強化支持体を用いることによって、動作真空によって生じる負荷および/または応力がカバープレートからシフトし、その結果、強化支持体は、応力に対する耐性を有すること、ならびにカバープレートの変形および/または破裂を防止することを助け得る。
【0011】
強化支持体は、カバープレートの内側の撓みに対してより強い強度をもたらし、これによって、外部支持体が不要になり得る。カバープレートの上にはより少ない数の障害物が配置されるため、たとえば、オペレータがタンクを検査するときの安全性が向上する。さらに、カバープレートは外部支持体を必要とせず、より可撓性を有し得るため、結果として生じる構造はより軽量で、低製造コストである。
【0012】
カバープレートが変形すると、たとえば内側に変形すると、強化支持体はカバープレートに接触可能である。この接触は、直接的なものでも、または中間部分を介したものでもよい。
【0013】
また、強化支持体は、少なくとも内向きの変形を防止するように、直接、または中間部を介してカバープレートに結合されてもよい。
【0014】
カバーの外向きの大きな変形、たとえば、超過圧力も防止する場合、強化支持体の実施形態も、そのような内部の陽圧に対して耐性を有するように設計されてもよい。
【0015】
カバーの大きな外向きの変形を認める必要がある場合、たとえば、内部アークの超過圧力の場合、強化支持体の実施形態は、そのような変形を認めるように設計されてもよい。
【0016】
タンクの壁は、2つの対向する短い壁または側壁、および2つの対向する長い壁または前壁を含んで、矩形断面の4壁構造を形成可能である。このような場合、補強梁はまた、タンクの側壁に、すなわち、タンク壁の短い壁に配置された側方梁と、前壁、すなわち、タンク壁の長い壁に取付けられた主梁とを含んでもよい。これに加えて、タンクの下方空間において、隣接する変圧器相間に配置される相間プレートは、タンクのある前壁から反対側の前壁まで延在し、主梁に結合されてもよい。
【0017】
一例では、強化支持体は、冷却液を再循環させるための導管を含んで、磁束によって生じる熱を減らすことが可能な空洞支持体である。
【0018】
一例では、各強化支持体は、相間プレートに結合される第1の部分と、カバープレートと協動するように配置される第2の部分とを含む。2つの部分を有する強化支持体を用いることによって、たとえばタンクの寸法によって組立てられたタンクの搬送が可能でない場合、タンクの搬送および組立てが容易になる。
【0019】
一例では、カバープレートは、強化支持体と協動する連結部分を配置可能な連結筐体を備える。連結部分は、T形状部分または長尺ロッドでもよく、これによってそれぞれ、支持体が真空および超過圧力の状態で、または単に真空状態のみで動作可能になって、カバーを部分的に撓ませる。
【0020】
一例では、カバープレートは外部補強リブを有していないため、たとえば入/出力接続部を修理する、またはこれにアクセスするためにカバープレート上を歩くオペレータは、より快適かつ安全に作業することが可能になる。
【0021】
第2の態様によると、開示された例のいずれかに記載の変圧器タンクを備える三相外鉄型変圧器が提供される。
【0022】
第3の態様によると、変圧器タンクを組立てるための方法が提供される。まず、各強化支持体が相間プレートに固定される。次に、各強化支持体の遠位端が連結筐体の底壁の開口部を通って導入されるように、タンクがカバープレートで閉鎖される。連結部分はその後、各強化支持体の遠位端において挿入され、各連結筐体の取外し可能なカバーが閉鎖される。
【0023】
本発明の装置の特定の実施形態について、添付の図面を参照して、非制限的な例として以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】ある例に係る3相外鉄型変圧器およびタンクを備えるシステムを模式的かつ簡潔に示す断面図である。
【
図1B】ある例に係る3相外鉄型変圧器およびタンクを備えるシステムを模式的かつ簡潔に示す断面図である。
【
図3A】ある例に係る強化支持体を示す模式側面図である。
【
図3B】ある例に係る強化支持体を示す模式側面図である。
【
図4A】ある例に係る連結筐体を示すきわめて模式的な断面図である。
【
図4B】ある例に係る連結筐体を示すきわめて模式的な断面図である。
【
図5】ある例に係る変圧器を組立てるための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
図1Aおよび
図1Bは、外鉄型変圧器200、たとえば、三相201および磁気回路202を有する三相外鉄型変圧器コアと、内部の負圧を保証するために、ひとたび閉じられるとたとえば約0.09mmHgの真空にさらされ得る変圧器タンク100A、100B(本明細書では「タンク」)とを備え得る変圧器1の例を示す。
【0026】
タンク100A、100Bは、底タンク部104と、中間タンク部103A、103Bとを備えてもよい。底タンク部104および中間タンク部103A、103Bは、底板130および壁120を含んで、空洞または空隙を画成してもよい。それゆえ、タンク100A、100Bは、たとえば溶接によって、または他の好適な方法で、互いに接合可能な底板130および4つの壁120を備えてもよい。
【0027】
一例では、タンク壁は異なる長さを含んでもよい、すなわち、タンクは、2つの短い壁または側壁、および2つの長い壁または前壁を含んで、矩形断面のタンクを形成してもよい。
【0028】
これに加えて、タンク100A、100Bは、たとえば溶接によって、たとえば中間タンク部においてタンクの壁120に接合され得る補強梁160を備えてもよい。補強梁160は、空洞の周り全てに配設されてリング形状構造を生成してもよく、タンクに剛性を与え、短絡負荷に対する耐性を助長してもよい。
【0029】
一例では、補強梁160は、タンクの側壁に、すなわち、短い壁に取付け得る側方梁と、タンクの前壁に、すなわち、長い壁に取付け得る主梁とを含んでもよい。側方梁はしたがって、主梁よりも短くてもよい。
【0030】
タンク100A、100Bはさらに、壁120の上部に配置されてタンクを閉鎖するカバープレート110A、100Bを備えてもよい。カバープレート110A、110Bは、個別に製造され取扱われ得る、かつ、後の段階で壁120と底板130とによって形成される構造に接合、たとえば溶接され得る独立した部分でもよい。その結果、タンク100A、100Bは、部分的に分解されて所定場所に搬送されてもよい。変圧器の能動部品、すなわち、位相および磁気回路は、底タンク部に搭載され収容される。中間タンク部は、その後能動部品の上方に搭載されてもよく、その後、中間部および底タンク部は、たとえば溶接によって互いに接合されてもよい。補強梁は、変圧器の能動部品の搭載後に接合されてもよい。これらの動作は、工場で行われてもよい。現場で、カバープレートは、たとえば溶接によって、ねじ留めによって、または他の好適な方法によって、壁に接合されてもよい。その後、入/出力接続部が準備されてもよく、タンクに冷却液が満たされてもよく、真空にされてもよい。
【0031】
カバープレート110A、110Bは、たとえば生成された電流の入/出力、冷却液の注入/抽出用の入/出力などのための複数の開口部および/またはプラグ(図示せず)を含んでもよい。これに加えて、カバープレート110A、110Bは、側壁141、開口部を含む底壁142、および取外し可能な蓋143を含む連結筐体140を含んで、空隙を画成してもよい(
図2を参照)。蓋143は、取外し可能であり、タンクの空隙にアクセスするために、たとえばねじを用いた連結筐体に対する取付け/取外しが可能である。
【0032】
カバープレート110A、100Bは、たとえば炭素鋼または他の非金属材料など、安全にタンクを閉鎖することができタンク内の動作圧力に対する耐性を有し得るが特定の応力を受けて曲がるのに十分な可撓性を有する材料で構成されてもよい。これに加えて、カバープレート110A、110Bは、カバープレートが自重で曲がることを防ぎ、かつ、カバープレートが破断することなく、標準動作超過圧力および真空に耐えることができるのに十分な厚さである、約2~3.5cmの所定の厚さを有してもよい。
【0033】
一例では、タンクの壁120、底壁130、補強梁およびカバープレート110は、同じ材料、たとえば炭素鋼で構成されてもよい。
【0034】
いくつかの例では、
図1Aに示すもののように、カバープレート110Aは平板でもよい。代替的な例では、
図1Bに示すもののように、カバープレート110Bは、平坦部111B、フランジ112B、およびカバープレート110Bの壁120への接合を容易にし得る外側延在部113Bを含み得るU形状カバーでもよい。
【0035】
タンク100A、100Bはさらに、タンク100A、100Bのある壁から反対側の壁120まで延在する下部空間に配置可能な相間プレート150を含んでもよい。タンク壁が側壁および前壁を含む例では、相間プレート150は、タンクのある前壁から反対側の前壁まで延在してもよい。
【0036】
相間プレート150は、たとえば溶接によって補強梁160に接合されてもよい。補強梁が主梁および側方梁を含む例では、相間プレート150は主梁に接合されてもよい。
【0037】
使用中、すなわち、ひとたび変圧器相が搭載されると、各相間プレート150は、2つの隣接する変圧器相201間に配置され、その後、それらに対して、各相間プレートが取付けられる、たとえば主梁に溶接される。一例では、相間プレート150は、たとえば炭素鋼などの材料で構成され得る平坦なおよび/または実質的に矩形のシートでもよい。相間プレート150は、タンクに剛性を与え、短絡負荷に対する耐性を有するのを助ける。
【0038】
一例では、相間プレート150は、相の磁束を収集しその方向を変えるために、変圧器相に面する各表面上に磁気シールド153(
図2を参照)を含み得る。
【0039】
図1Aまたは
図1Bの例のいずれかのタンク100A、100Bはさらに、タンクの構造を強化するために長尺の強化支持体300、400を含んでもよい。強化支持体300、400は、近位端320、420および遠位端330、430(
図3Aおよび
図3Bを参照)を含んでもよい。近位端320、420は、ねじ穴などの相補的な結合部を含み得る相間プレート150に強化支持体300、400を結合するために、結合素子340、440、たとえばねじスタッドを含んでもよい。強化支持体と相間プレートとの間の協動によって、機械的応力の耐応力部分がカバープレートから変位される。そのため、カバープレートに対する負荷およびその変位の低減が可能であり、その結果、カバーの(外)面に補強梁またはリブを追加しなくてもよい。
【0040】
一例では、近位端320、420は、強化支持体300、400と相間プレート150との間の連結部における電気応力を最小限にするように丸みをつけられてもよい。
【0041】
強化支持体300、400は、相間プレートとカバープレートとの間のタンクの上部空間に配置され、カバープレートの連結筐体140と揃えられてもよく、それによって、強化支持体はカバープレートと協動するように配置されてもよい。強化支持体300、400は、底壁142における開口部を通って連結筐体の空隙に挿入されてもよい(
図4Aおよび
図4Bを参照)。これに加えて、連結筐体における強化支持体の適切な調節を保証するために、調節素子700、たとえばガラス繊維または他の好適な材料で構成される偏心部701、702の対を、強化支持体の周囲の連結筐体において導入してもよい(
図4Aおよび
図4Bを参照)。調節素子700はそのため、強化支持体と連結筐体との間に配置されてもよい。
【0042】
図2は、相間プレート150に結合され、かつ、連結筐体140を介してカバープレート110A、110Bと協動するように配置された強化支持体300、400を示す簡潔な詳細図である。相間プレート150は、2つの変圧器相201間に配置されてもよく、変圧器相201に面する表面上に磁気シールド153を含んでもよい。強化支持体300、400は、相間プレートに結合される結合素子340、440、たとえばねじスタッドを含んでもよい。強化支持体と相間プレートとの間の結合部を保護するために、結合部の周囲に誘電体素子134を追加してもよい。
【0043】
カバープレート110A、110Bの連結筐体140は、取外し可能な蓋143、側壁141および底壁142を含み、空隙を形成してもよい。連結筐体は、強化支持体のずれを修正する調節素子700を含んでもよい。
【0044】
強化支持体300、400は、遠位端(
図3Aおよび
図3Bを参照)に凹部331、431を含んでもよく、冷却液を循環させるための導管350、450を含んでもよい。一例では、これに加えて、強化支持体300、400は、磁気絶縁層(図示せず)で被覆されてもよい。
【0045】
図3Aは、近位端320と、凹部331を含み得る遠位端330とを含む1つの連続した部分でもよい強化支持体300を示す。近位端320は電気応力を最小限にするために丸みをつけられてもよく、強化支持体を相間プレートに固定するために結合素子340、たとえばねじスタッドを含んでもよい。強化支持体300は、冷却液、たとえばオイルを循環させるための導管350も含んでもよい。
【0046】
一般に、タンク100A、100Bは、たとえばトラックによって工場から稼動場所まで搬送される。しかしながら、地元の交通規制および/またはトラックの容積によって、最大許容サイズを超えるため、タンクの寸法が(組立てられた)タンク全体を搬送するのに好適でない場合がある。
【0047】
そのような場合、搬送要件に従うために、カバープレートは、
図1Bに示すようなU形状プレート110Bでもよく、それによって、フランジ112Bを設けることによって、カバーが平坦であったなら同じ部分が有するであろう高さに対して、中間タンク部および底タンク部の高さを減らすことが可能になる。
【0048】
トラックに搭載される前に、変圧器の相201および磁気回路は、底タンク部104内に積重ねられてもよい。その後、補強梁および相間プレートを有する中間タンク部103Bが、底部に搭載され接合されてもよい。組立品はその後、冷却液で満たされ、搬送カバープレート(図示せず)で閉鎖された後に真空にされて、稼動場所まで搬送されてもよい。ひとたびタンクが現場に設けられると、搬送カバープレートは取除かれ、U形状カバープレート110Bがたとえば溶接によって取付けられて、タンク100B全体が組立てられてもよい。
【0049】
搬送中、真空および/または冷却液によって生じる標準超過圧力は、変形を避けるために強化する必要な場合もあるカバープレートに応力を生じることがある。同様に、ひとたび搬送カバープレートが取除かれカバープレートが配置されると、少なくとも動作圧力、すなわち真空および冷却液の超過圧力によって生じる応力に対する耐性を有する必要がある場合もある。本開示に係る強化支持体のある実施形態は、これらの目的のために使用されてもよい。
【0050】
一例では、強化支持体は、第1の部分および第2の部分に分割されてもよい。第1の部分は、搬送中に相間プレートと搬送カバープレートとの間に配置されるのに好適な長さを有してもよく、ひとたび一緒に組立てられると、第1の部分に結合される第2の部分は、相間プレートと搬送カバープレートとの間に配置される強化支持体を形成してもよい。
【0051】
図3Bの例は、相間プレートに結合される第1の部分401と、たとえば連結部分を介してカバープレート110と協動するように配置される第2の部分402とに分割され得る強化支持体400を示す(
図4Aおよび
図4Bに関して以下を参照)。第1の部分401と第2の部分402とは両方とも、両方の部分を互いにしっかり接続、たとえばねじ留めするために、向かい合う端部で相補的な連結部425を含んでもよい。
【0052】
これに加えて、強化支持体400の第1の部分401は、たとえばねじ穴を介して相間プレート150に第1の部分を固定するための結合素子440、たとえばねじスタッドを含んでもよい。
図3Aの例と同様に、第2の部分402は凹部を含んでもよく、連結部分500、600(
図4Aおよび
図4Bに関して以下を参照)が結合されてもよい。
【0053】
強化支持体400の第1の部分401の長さはそれゆえ、相間プレートから搬送カバープレートまでの距離に対応してもよい。第2の部分402は、両方の部分401、402がひとたび互いに接続されると、相間プレート150からカバープレート110Bの平坦部110Bまでの距離に対応する長さを有する強化支持体400を得ることが可能な長さを有してもよい。
【0054】
第1の部分および第2の部分を含む強化支持体を用いることによって、異なる長さの2つの強化支持体を製造しなくてもおよび/または取替えなくてもよいため、製造コストおよび組立時間が減少する。
【0055】
タンクに配置されてもよい強化支持体300、400の数は、たとえばカバープレートの寸法に応じて変わってもよい、すなわち、表面が広いほど、より多い数の強化支持体が必要になる場合がある。
【0056】
一例では、各相間プレート150は、その内部に配置された強化支持体300、400を含み得る。そのような例では、強化支持体は、タンク壁間で実質的に中央に配置されてもよい、たとえば、側壁および前壁を含む例では側壁間で中央に配置されてもよい。
【0057】
いくつかの例では、タンクの各相間プレート150は、2つ以上の強化支持体を含んでもよい。
【0058】
タンク100はさらに、独立した別々の連結部分500、600を含んでもよい。各連結部分は、強化支持体300、400の遠位端303、430の凹部331、431で結合されて、内部補強構造を完成してもよい。そのような内部強化構造は、相間プレート、強化支持体および連結部分を含んでもよく、たとえば超過圧力または動作真空の場合は、カバープレートの撓みに対するより大きな力をもたらしてもよい。連結部分500、600の形状に応じて、連結部分がカバープレートを補強する条件が異なってもよい。
【0059】
ある例では(
図4Aを参照)、連結部分500はT形状連結部分でもよい。T形状連結部分は、側方突出頭部502および長尺部501を含んでもよい。そのような連結部分は、効率的なものでもよい、つまり、動作真空状態ではすなわち内側に引っ張る力で、および、超過圧力の場合はすなわち外側に押す力で、カバープレートの変形を防止可能である。
【0060】
他の例では(
図4B)、連結部分600は、動作真空状態では特に効果的だが超過圧力の場合はカバープレートの変形をもたらし得る長尺ロッドでもよい。
【0061】
図4Aは、開口部を有する底壁142、側壁141、およびたとえばねじ(図示せず)によって側壁141に固定され得る取外し可能な蓋143を有する連結筐体140の空隙を、きわめて模式的に示す断面図である。連結筐体140の空隙には、強化支持体300、400の遠位端、強化支持体の凹部331、431に挿入されたT形状連結部分500、および調節素子700、たとえば強化支持体の遠位端の周囲に結合された偏心部701、702の対を配置可能である。
【0062】
この例では、T形状部分500の長尺部501は、たとえばねじ込みによって強化支持体300、400の凹部331、431に結合されてもよく、T形状部分の頭部502は、調節素子700に載っていてもよい。T形状部分はそれゆえ、強化支持体に結合固定されてもよい。
【0063】
これに加えて、たとえば段ボール紙または圧縮紙560で構成された1つの層または複数の層が、連結筐体140の取外し可能な蓋143とT形状部分500の頭部502との間に追加されて、連結筐体内でT形状連結部分にぴったり嵌合してもよい。T形状連結部分にぴったり嵌合することによって、頭部502と取外し可能な蓋143との間の直接接続が可能になり、これによって、両方の表面が接触するときの衝撃を減らすことが可能である。
【0064】
動作真空状態で、カバープレート110は内側に曲がる傾向がある。内側への変形によって、連結筐体の取外し可能な蓋143は、段ボール紙560および連結部分の頭部501に対して押圧され得る。連結部分500の頭部が調節素子700に直接接触し強化支持体に固定可能であるため、応力をカバープレートから強化支持体にシフト可能である。それゆえ、カバープレート110がさらに変形することを防止可能である。
【0065】
標準超過圧力の場合、カバープレート110は外側に変形する傾向がある。それによって、調節素子700は、底壁142によって上方向に押されて、調節素子700に連結部分500の頭部を押させることが可能である。連結部分500を強化支持体に固定し得るため、カバープレート110の負荷をそれゆえ、強化支持体300、400にシフト可能であり、それによって、応力に対する耐性をもたらして、カバープレート110がさらに変形することを防止可能である。
【0066】
図4Bの例では、連結筐体140の空隙のきわめて模式的な断面図が示され、ここでは、
図4Aの例とは対照的に、連結部分600は長尺ロッドである。この例では、強化支持体300、400の遠位端、強化支持体の凹部331、431に挿入されねじ留めされた長尺ロッド600、および調節素子700、たとえば、強化支持体の遠位端の周囲で結合された偏心部701、702の対が、連結筐体140の空隙に配置されてもよい。
【0067】
この例では、たとえば段ボール紙または圧縮紙660で構成された1つの層または複数の層を、連結筐体140の取外し可能な蓋143と長尺部分600との間に追加してもよく、両方の表面が接触するときの衝撃を低減可能である。
【0068】
動作真空状態では、カバープレート110は内側に変形する傾向がある。連結筐体の取外し可能な蓋143はそのため、強化支持体に対して押されるであろう連結部分600と接触することがある。段ボール紙または圧縮紙の複数の層を含む例では、カバープレート143は、最初に複数の層と接触することがある。その結果、カバープレートの応力は負荷に対する耐性を有する強化支持体にシフト可能であり、カバープレート110がさらに内側に変形することを防止可能である。
【0069】
超過圧力の場合、
図4Aの例とは対照的に、連結部分600によってカバープレート110の移動に制限が課されないため、タンクのカバープレート110は外側に曲がる場合がある。内部アークの場合、タンクおよびカバーはこれによって、膨張したガスのエネルギーの一部を吸収し、タンクの破裂を防止可能である。
【0070】
一例では、タンク100はさらに、たとえば壁の外面に強化構造(図示せず)、たとえば強化囲い、複数の補強梁、個別のC形状のクランプなどを含んで、タンクをさらに補強可能である。
【0071】
図5は、変圧器を組立てるための方法のフローチャートである。一例では、そのような組立ては、たとえば、トラックによって常設場所まで、内部に相間プレートが配置された組立て後の底および中間タンク部を搬送した後で、および、ひとたび変圧器の能動部品もその内部に積重ねられると、行われてもよい。
【0072】
まず、ブロック801で、各強化支持体の近位端を、たとえば結合素子によって相間プレートに固定可能である。強化カバープレートが支持体が第1のおよび第2の部分に分割される例では、方法はさらに、第1の部分を相間プレートに固定した後に、第2の部分を第1の部分に接合して強化支持体を組立てることを備えてもよい。
【0073】
タンクはその後、壁にカバープレートを配置および固定、たとえば溶接することによって閉鎖可能である。ブロック802で、各強化支持体の遠位端が連結筐体の底壁の開口部を介して導入されるように、タンクをカバープレートで閉鎖可能である。強化支持体はこれによって、カバープレートと協動するように連結筐体の空隙内に配置されることがある。
【0074】
一例では、調節部分、たとえば組立てられた偏心部の対を、強化支持体の周囲に結合可能である。調節部分、たとえば偏心部は、連結筐体に対して強化支持体の位置を正確に調節するように、すなわち、いかなるずれも修正するように、操作可能である。ブロック803で、連結部分はその後、各強化支持体の遠位端に、たとえば凹部に挿入可能である。いくつかの例では、連結部分はまた、たとえばねじ込むことによって支持体に固定可能である。ブロック804で、各連結筐体の取外し可能な蓋は、たとえば連結筐体の側壁にねじ込むことによって、閉鎖可能である。
【0075】
本明細書では複数の特定の実施形態および例のみを開示したが、当業者であれば、開示されたイノベーションならびにその明白な修正例および均等例の他の代替的な実施形態および/または使用が可能であると理解するであろう。さらに、本開示は、説明された特定の実施形態のすべての可能な組合せをカバーする。本開示の範囲は、特定の実施形態によって制限されるべきではなく、以下の請求項を公正な解釈によってのみ判断されるべきである。