(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】ホーム工事用覆工板
(51)【国際特許分類】
E01C 9/08 20060101AFI20230615BHJP
E01F 1/00 20060101ALI20230615BHJP
E01F 9/553 20160101ALI20230615BHJP
B61B 1/02 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
E01C9/08 A
E01F1/00
E01F9/553
B61B1/02
(21)【出願番号】P 2022196857
(22)【出願日】2022-12-09
【審査請求日】2023-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591075641
【氏名又は名称】東鉄工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227146
【氏名又は名称】日綜産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹川 透
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 浩行
(72)【発明者】
【氏名】岩井 俊且
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 暁伸
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-157794(JP,A)
【文献】特開2013-083116(JP,A)
【文献】特開昭49-104849(JP,A)
【文献】特開2007-277892(JP,A)
【文献】実開平02-125004(JP,U)
【文献】特開2019-163641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0362054(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 9/08
E01C 9/10
E01F 1/00
E01F 9/553
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ所定の隙間を介して並列に並べられ、長手方向に所定長を有する複数の角形パイプと、
前記複数の角形パイプのうち少なくとも一部の隣接する角形パイプ間を連結する連結部材と、
前記連結された複数の角形パイプの上面の前記長手方向の中央部分を覆う中央蓋板と、
前記連結された複数の角形パイプの上面の前記長手方向の端部領域を覆い、前記連結された複数の角形パイプに固定部材で固定される端部蓋板と、
前記連結された複数の角形パイプの下面側に設けられ、覆工桁に固定される桁固定部材と、
前記複数の角形パイプのうち少なくとも1つの隣接する角形パイプの間の前記端部蓋板が固定される領域に設けられ、メス側弾性ツメを有するメス側ラッチと、
前記端部蓋板の裏面に設けられ、前記メス側ラッチの前記メス側弾性ツメにラッチするオス側弾性ツメを有するオス側ラッチとを有し、
覆工板の両端部をホーム工事用の覆工板桁に固定した後、前記端部蓋板の前記オス側ラッチを前記メス側ラッチにラッチして前記端部蓋板を前記
隣接する角形パイプに固定させ、前記覆工板を復旧するホーム工事用覆工板。
【請求項2】
前記メス側ラッチは一対の前記メス側弾性ツメを有し、
前記一対のメス側弾性ツメは、前記隣接する角形パイプの間に設けられた状態で、前記隣接する角形パイプの前記所定の隙間を介して対抗する一対の縦方向の壁との間に、ラッチされた前記オス側ラッチが設けられた端部蓋板を前記長手方向に交差する方向に移動可能にする前記連結部材の位置合わせ用ギャップを有する、請求項1に記載のホーム工事用覆工板。
【請求項3】
前記端部蓋板に、前記端部蓋板の取り外し工具が挿入される工具挿入孔が設けられ、前記取り外し工具を前記工具挿入孔に挿入して前記取り外し工具を引き上げ、前記メス側ラッチとオス側ラッチのラッチ状態を解除する、請求項1に記載のホーム工事用覆工板。
【請求項4】
前記オス側ラッチは一対の前記オス側弾性ツメを有し、
前記端部蓋板に取り付けられ、前記一対のオス側弾性ツメより高い形状を有し前記一対のオス側弾性ツメの破損を防止する破損防止部材を有する、請求項1に記載のホーム工事用覆工板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道のホーム工事中に工事状態を覆うホーム工事用覆工板に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅のホームにホームドアを設置する工事などで、ホームドアの重量に耐えうる構造や、ホームドアの制御装置への電源や信号ケーブルを設置する構造を設けることが行われる。このようなホームドア設置工事は、営業運転が停止される深夜に行われる。一方、鉄道サービスが提供される時間帯には、ホーム工事箇所を覆う覆工板がホーム表面に敷設される。
【0003】
ホームドア設置工事は、終電から始発までの2~3時間の短い時間で行われ、更に、工事開始時にホームに敷設した覆工板を撤去し、工事終了時に撤去した覆工板をホームに敷設して復旧することが行われる。そのため、ホーム工事時間を長く確保するためには、覆工板の撤去と敷設を効率的に行い短時間で完了することが要請される。
【0004】
以下の特許文献1、2には、ホーム工事用覆工板について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4880797号公報
【文献】特開2022-102004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
覆工板の敷設及び撤去作業の効率化の観点から、ホーム上の歩行者などの重量に耐えることができると共に軽量化された覆工板が使用される。ホーム工事では、例えば、幅300~500mm、長さ2000~2500mmの細長い覆工板を、ホームの幅方向に複数枚並べ、ホーム長さ方向に連続して敷設される。覆工板は、軽量化の目的で、複数本の角形鋼管を所定間隔で並列に並べて連結し、その表面側を蓋板で被覆し、両端を帯状固定部材で所定間隔に固定する構造を有する。覆工桁への固定のために、複数本の角形鋼管の裏面側は底板で被覆しない構造をとる。
【0007】
ホーム工事では、ホームの線路側先端の表面にある先端タイルや警告ブロックを撤去し、その下の盛土を取り除いて空間を確保し、更に覆工板を載せる覆工桁を設け、覆工板を覆工桁の間に渡すと共に、覆工板両端を覆工桁に固定する。覆工板を覆工桁に固定するために、覆工桁間に渡した覆工板端部の蓋板を剥がし、角形鋼管を覆工桁にクランプなどで固定する。固定後に、覆工板端部の蓋板を角形鋼管の表面にネジなどで固定して、覆工板のホームへの復旧が完了する。
【0008】
しかしながら、ホーム工事時間が短いため、始発前の覆工板のホームへの敷設作業時間が短くなり、作業員による覆工板端部の蓋板の固定作業の忘れによる蓋板の固定不良が発生することが想定される。万が一蓋板の固定不良が発生すると、営業運転中にホームの線路から拭き上がる風圧や列車通過時の列車風により、蓋板が剥がれる事故が発生することが想定される。
【0009】
そこで、本実施の形態の第1の側面の目的は、蓋板の固定不良の発生を抑制するホーム工事用覆工板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施の形態の第1の側面は、それぞれ所定の隙間を介して並列に並べられ、長手方向に所定長を有する複数の角形パイプと、前記複数の角形パイプのうち少なくとも一部の隣接する角形パイプ間を連結する連結部材と、前記連結された複数の角形パイプの上面の前記長手方向の中央部分を覆う中央蓋板と、前記連結された複数の角形パイプの上面の前記長手方向の端部領域を覆い、前記連結された複数の角形パイプに固定部材で固定される端部蓋板と、前記連結された複数の角形パイプの下面側に設けられ、覆工桁に固定される桁固定部材と、前記複数の角形パイプのうち少なくとも1つの隣接する角形パイプの間の前記端部蓋板が固定される領域に設けられ、メス側弾性ツメを有するメス側ラッチと、前記端部蓋板の裏面に設けられ、前記メス側ラッチの前記メス側弾性ツメにラッチするオス側弾性ツメを有するオス側ラッチとを有し、覆工板の両端部をホーム工事用の覆工板桁に固定した後、前記端部蓋板の前記オス側ラッチを前記メス側ラッチにラッチして前記端部蓋板を前記一対の角形パイプに固定させ、前記覆工板を復旧するホーム工事用覆工板である。
【発明の効果】
【0011】
第1の側面によれば、蓋板の固定不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ホーム工事開始前のプラットホームの構造例を示す断面図である。
【
図2】本実施の形態の覆工板を使用するホーム工事中断時のプラットホームの構造例を示す断面図である。
【
図3】ホーム工事中断時での覆工板と覆工桁の構造を示す側面図である。
【
図4】ホームドア工事完了後のプラットホームの構造例を示す図である。
【
図5】本実施の形態における覆工板構造をなす3枚の覆工板の概略平面図である。
【
図7】本実施の形態の覆工板に設けられたオス側ラッチとメス側ラッチとを示す斜視図である。
【
図8】第1の覆工板P1の平面、底面、正面及び断面を示す図である。
【
図9】第3の覆工板P3の平面、底面、正面及び断面を示す図である。
【
図10】第1の覆工板P1と第3の覆工板P3の側面及び断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、ホーム工事開始前のプラットホームの構造例を示す断面図である。
図1に示す例は、盛土式の鉄道プラットホームの断面構造である。盛土式プラットホームでは、地面10に盛り付けた盛土11が線路側19に設けた擁壁13で保護される。擁壁13は複数のブロックで構成される。そして、擁壁13と盛土11上の線路側に笠石14が設けられ、ホームの線路側と反対側に設けた鋼管杭(図示せず)とRC板14と盛土11の上にアスファルト舗装15及び敷モルタル16が設けられる。敷モルタル16の上には、線路側に先端タイル18が、ホーム側に警告ブロック17が、それぞれ設けられる。
【0014】
盛土式プラットホーム上にホームドアを設置する場合、ホームドアを開閉するドア開閉制御装置をホーム上に設置し、ドア開閉制御装置に接続する電源及び制御信号のケーブルをホーム下に配置する。そのため、ホームをドア開閉制御装置の重量に耐えられるようにし、ホーム下にケーブルを配置できるようにするために、盛土式プラットホームを改造する必要がある。
【0015】
図2は、本実施の形態の営業運転中の覆工板を使用するプラットホームの構造例を示す断面図である。始発電車から終電までの間の営業運転中はホーム工事が中断されている時である。
【0016】
ホーム工事が始まると、
図1のホーム工事開始前の状態から、施設される鋼管杭21の位置のアスファルト舗装15とその下の盛土11を掘削し、鋼管杭21が施設される。それと共に、ホーム先端部では、警告ブロック17と先端タイル18と敷モルタル16と笠石14が撤去される。更に、笠石14の下側の盛土11を掘削し、盛土11と擁壁13の上に覆工板を支える仮桁として覆工桁20Cが設けられる。覆工桁20Cは、ホームの長さ方向(紙面に垂直な方向)に、所定の間隔で複数設けられる。鋼管杭21は、ホーム長さ方向に所定間隔で設けられる覆工桁21の間に位置する。
【0017】
覆工桁20Cの上には、高さ調整桁12を介して、ホームの長さ方向に延びる長方形の覆工板P1、P2、P3が、ホームの線路側19の先端位置に、線路に沿って並列に載せられる。ホーム先端に配置される覆工板P1には、線路側にホーム先端を表示するCPラインの帯状オレンジ舗装が施される。ホーム側に配置される覆工板P3の表面の蓋板には警告ブロックの線状突起及び点状突起45が形成される。
【0018】
図3は、営業運転中(ホーム工事中断時)の覆工板と覆工桁の構造を示す側面図である。
図3は、線路側からホームを見た側面図である。前述の通り、擁壁13と擁壁13の上に設けられた複数の覆工桁20Cの上に、3枚の覆工板P1、P2、P3が紙面垂直方向に並列に載置される。そして、覆工板P1、P2、P3それぞれは、図示しないクランプにより覆工桁20Cに固定される。覆工桁20Cは、例えば、H型鋼を横方向にして擁壁13等の上に設けられる。
図3の側面図では、前述の鋼管杭21は見えないので省略される。
【0019】
図1、
図2、
図3に示すように、ホーム先端の警告ブロック17、先端タイル18、敷モルタル16及び笠石14を撤去し、新たに覆工桁20Cを設置し、覆工桁20Cの間に覆工板P1、P2、P3を渡す構造にする。このような構造にすることで、ホームドア工事中は、終電後に覆工板P1、P2、P3を撤去してホーム構造の改築を行い、始発前に覆工板P1、P2、P3を覆工桁20Cに敷設、固定して復旧する。従って、覆工板の撤去と復旧の作業性を高くすることが要請される。
【0020】
図4は、ホームドア工事完了後のプラットホームの構造例を示す図である。ホームドア工事が完了した状態では、覆工桁20Cが横桁20として、鋼管杭21と擁壁13の上に、ホーム長さ方向に沿って所定間隔に設けられる。横桁20は、例えば、H鋼が使用される。また、横桁20には、ケーブル通し穴25が設けられる。そして、ホーム長さ方向に沿って所定間隔に設けられた1対の横桁20を渡すように、プレキャスト・プレストレスト・コンクリート板(PPC板)22が設けられる。PPC板はホームドアを設置する基板である。
【0021】
そして、PPC板22とホームのアスファルト舗装15(
図1、2参照)の上には、警告ブロック23と先端タイル24が設けられ、先端タイル24上にドア開閉制御装置31が設置される。開閉するホームドアの1対の扉32は、1対のドア開閉制御装置31内から移動して閉じた状態となり、また、1対のドア開閉制御装置31内に移動して開いた状態となる。ドア開閉制御装置31はホームドアを構成し、ドアを収容する筐体の機能と、ドアの開閉を制御する制御装置の機能とを有する。ホームドアであるドア開閉制御装置31は、ホームドア設置基板であるPPC板22にアンカーボルトにより固定される。
【0022】
ホームドア工事で新たに設けられた鋼管杭21と横桁20とPPC板22の構造により、重量が大きなドア開閉制御装置31をホーム先端部に設置できるようになる。また、横桁20にケーブル通し穴25を設けたことで、ドア開閉制御装置31に接続されるケーブル26を収容することができ、掘削する盛土の量を最小限に抑制できる。
【0023】
[本実施の形態における覆工板]
図5は、本実施の形態における覆工板構造をなす3枚の覆工板の概略平面図である。
図2に示したとおり、ホーム先端に設置される覆工板構造は、ホーム先端側から第1の覆工板P1と、第2の覆工板P2と、第3の覆工板P3を有する。
図2では、3つの覆工板P1、P2、P3の長辺E1、E2、E3、E4が接触して設置されているが、
図5では、説明の都合上3つの覆工板P1、P2、P3の長辺E1、E2、E3、E4を離して各覆工板の平面構造を示す。
【0024】
ホーム先端側に配置される第1の覆工板P1は、短辺長D11を有し、長辺E0側にオレンジ色の帯状のCPラインCPが塗装される。第1の覆工板P1の表面視には、左右両端の端部連結部材53と、左右の端部連結部材53の間の3枚の中央蓋板40と2枚の端部蓋板40aが設けられる。端部連結部材53は、背面に隠れている複数の角形鋼管(角形パイプ)の端部を固定する部材である。
【0025】
3枚の中央蓋板40は、それぞれ左右の辺の固定ネジ孔46に挿入された1対の固定ネジにより、中央蓋板40の背面側に隠れている角形鋼管に固定される。また、2枚の端部蓋板40aは、外側の辺には端部連結部材53の裏側に挿入される1対の挿入ツメ49を有し、内側の辺には1対の固定ネジが挿入される固定ネジ孔46を有する。更に、2枚の端部蓋板40aの内側の辺の上下中央部に、端部蓋板の裏側に設けられ隠れているオス側ラッチ58を固定する1対のラッチ固定ネジ47と、端部蓋板40aを開けるための取り外し工具が挿入される工具挿入孔48が設けられる。
【0026】
第1の覆工板P1に隣接する第2の覆工板P2は、短辺長D12が第1の覆工板P1の短辺長D11より短いことと、蓋板の背面側に隠れている角形鋼管の本数が少ないこと以外は、第1の覆工板P1と同様の構成を有する。
【0027】
ホーム側に配置される第3の覆工板P3は、短辺長D13を有し、両端の端部連結部材53の表面とその内側の6枚の蓋板41の表面に、点状突起42と線状突起43が形成される。つまり、蓋板41は警告ブロックを兼ねた蓋板である。6枚の蓋板のうち端部連結部材53に隣接する端部蓋板41aには、当該蓋板裏面にオス側ラッチ58を固定する1対のラッチ固定ネジ47と、端部蓋板40aを開けるための取り外し工具が挿入される工具挿入孔48が設けられる。
【0028】
図6は、本実施の形態の覆工板の斜視図である。
図6には、第1の覆工板P1の斜視図が示され、右側は蓋板40、40aが表面に固定されている覆工板P1の斜視図であり、左側は蓋板が取り外された覆工板P1の斜視図である。左右ともに覆工板P1の端部が図示しないクランプにより覆工桁20Cに取り付けられている。
【0029】
左側の斜視図には、それぞれ所定間隔を隔てて並列に配置された4本の角形パイプSP1~SP4と、複数の角形パイプのうち隣接する角形パイプSP2とSP3との間の端部の下面側に設けられ、覆工桁に覆工板を取り付けるためのクランプが挿入される桁固定部材52_2と、同じ隣接する角形パイプSP2とSP3との間の端部蓋板40aが固定される領域に設けられたメス側ラッチ59とが示される。メス側ラッチ59は、角形パイプSP2とSP3の下面側にそれぞれ設けられたガイド部材52_1上に固定される。右側の斜視図には、端部蓋板40aの内側の辺の中央部に裏面に設けるオス側ラッチを固定するラッチ固定ネジ47と、工具挿入孔48が示される。
【0030】
中央蓋板40と端部蓋板40aに設けられた固定ネジ孔46により、固定ネジでこれら蓋板を角形パイプに固定する。これら固定ネジ孔46は、角形パイプSP1とSP2を連結する連結部材の固定ネジ孔(
図6には図示せず)と一致する位置にあり、これら固定ネジ孔に固定ネジを挿入して、蓋板を角形パイプを連結する連結部材に固定する。
【0031】
4本の角形パイプは角形鋼管である。4本の角形パイプは長方形の角形パイプであるが、長方形に限らず、上辺と底辺が平行な台形や正六角形などでもよい。
【0032】
図7は、本実施の形態の覆工板に設けられたオス側ラッチとメス側ラッチとを示す斜視図である。
図7は、右側に端部蓋板40aが開かれた状態の構成を、左側に端部蓋板40aが閉じられた状態の構成を示す。いずれも覆工板の端部蓋板40aの一部分のみを示す。
【0033】
右側の端部蓋板40aが開かれた状態に示すとおり、端部蓋板40aの裏面にオス側ラッチ58が設けられ、オス側ラッチ58は1対のオス側弾性ツメ58aと、1対のオス側弾性ツメ58aの間に設けられた破損防止部材58bを有する。端部蓋板40aの裏面には工具挿入孔48が見える。メス側ラッチ59は、左右のメス側弾性ツメ59aを有し、連結された複数の角形パイプのうち少なくとも1つの隣接する角形パイプSP2、SP3の間のガイド部材52_1上に固定される。
【0034】
始発前の営業開始前になると、ホーム工事中断となり覆工板が覆工桁20Cに固定される。覆工板を覆工桁に固定するとき、覆工板の端部蓋板40aが取り外された状態で、覆工板の両端部の桁固定部材52_2(
図6)が覆工桁にクランプ等で取り付けられる。覆工桁への固定が終わると、端部蓋板40aの挿入ツメ49を端部連結部材53の下に挿入し、端部蓋板40aを
図7右の開いた状態から左の閉じた状態にして、端部蓋板40aが連結された複数の角形パイプの表面を覆う。
【0035】
左側に示すように端部蓋板40aが閉じられると、端部蓋板40aの裏面に設けられたオス側ラッチ58が、隣接する角形パイプSP2、SP3の間の下面側に設けられたガイド部材52_1上に取り付けられたメス側ラッチ59にラッチする。これにより端部蓋板40aが連結された複数の角形パイプに仮固定される。その後、蓋固定ネジ挿入孔46に蓋固定ネジを挿入し締め付けることで端部蓋板40aが角形パイプに本固定される。
【0036】
オス側ラッチとメス側ラッチの係合により端部蓋板40aを角形パイプに仮固定することで、蓋固定ネジよる固定作業が省略されても、ホームに吹き上げる風により端部蓋板40aが覆工板から外れる事故を抑制できる。端部蓋板40aの挿入ツメ49を端部連結部材53の下に挿入し端部蓋板を閉じるだけで仮固定できるので、覆工板の復旧を短時間で行うことができる。
【0037】
[第1の覆工板P1と第3の覆工板P3の構成]
図8は、第1の覆工板P1の平面、底面、正面及び断面を示す図である。
図9は、第3の覆工板P3の平面、底面、正面及び断面を示す図である。
図10は、第1の覆工板P1と第3の覆工板P3の側面及び断面を示す図である。
【0038】
第1の覆工板P1について、
図8は、覆工板の平面
図1.1、蓋板40、40aを取り外した状態の覆工板の内部平面
図1.2、覆工板の底面
図1.3、覆工板の正面
図1.4、覆工板の矢印1.5における断面
図1.5を示す。また、
図10(1)は、覆工板の
図8の矢印1.6の断面
図1.6、
図8の矢印1.7の断面
図1.7、
図8の矢印1.8の断面
図1.8、覆工板の右側面
図1.9を示す。左側面図は右側側面
図1.9と同じであり、背面図は正面
図1.4と同じであり省略する。
【0039】
図8の覆工板の平面
図1.1、内部平面
図1.2によれば、覆工板P1は、所定の間隔を介して並列に並べられた4本の角形鋼管(角形パイプ)SP1~SP4が両端の端部連結部材53で連結され、更に、角形パイプSP1とSP2及びSP3とSP4が、角形パイプの表面側4箇所に設けられた4個の連結部材50で連結される。端部連結部材53には、角形パイプSP1~SP4を固定するための固定ネジを挿入する4つの固定ネジ孔46が設けられ、角形パイプSP1とSP2の間、SP3とSP4の間にそれぞれ、覆工板の高さ調整ネジを挿入する高さ調整ネジ孔56と、覆工板保持工具を挿入する覆工板保持工具孔57が設けられる。高さ調整ネジは覆工板を覆工桁20C上に載置したとき、覆工板の表面を平坦するためのものである。覆工板保持工具は覆工板を搬送するときに利用する工具である。
【0040】
覆工板P1の連結された複数の角形パイプの表面には、3枚の中央蓋板40と2枚の端部蓋板40aが固定されて、覆工板表面が平坦になっている。蓋板40、40aに記載される実線63は、蓋板を意味するための製図の線であり、蓋板の形状を示すものではない。
【0041】
中央蓋板40の左右辺には1対の蓋板固定ネジ孔46が設けられ、端部蓋板40aの中央側辺にも1対の蓋板固定ネジ穴46が設けられる。同様に、角形パイプSP1とSP2及びSP3とSP4とを表面側で連結する連結部材50にも対応する蓋板固定ネジ孔46が設けられる。中央蓋板40の固定ネジ孔46に挿入され固定された固定ネジが取り外されることは通常の使用ではない。一方、端部蓋板40aは、覆工板を覆工桁に固定する場合と固定を解除する場合に取り外され、作業員が覆工板の表面側から桁固定部材52_2にアクセスして、クランプ等で桁固定部材52_2を覆工桁20Cに固定または固定解除する。覆工桁への固定が行われた後、端部蓋板40aの裏面側に設けた挿入ツメ49を端部連結部材53の下に挿入し、当該端部蓋板40aを閉じて連結された複数の角形パイプの表面を被覆する。
【0042】
前述の通り、端部蓋板40aを閉じて角形パイプ表面を覆うと、端部蓋板40aの裏面の覆工板の長手方向の中央側に取り付けられたオス側ラッチ58が、連結された角形パイプSP2とSP3との間に取り付けられたメス側ラッチ59に係合される。メス側ラッチ59は、角形パイプSP2とSP3との間の底面側に設けられたガイド部材52_1上に取り付けられる。
【0043】
覆工板を覆工桁から取り外す場合、端部蓋板40aのオス側ラッチ58のラッチ固定ネジ孔47の間に設けられた工具挿入孔48に蓋板引き上げ工具のピンを挿入し、端部引き上げ工具で端部蓋板40aを引き上げる。これによりオス側ラッチとメス側ラッチの係合状態が解除され、端部蓋板40aの中央側を引き上げ、挿入ツメ49を引き抜くと、端部蓋板40aを連結された角形パイプから取り外すことができる。
【0044】
角形パイプSP2とSP3との間には、連結部材50が設けられていないが、それに代えて、角形パイプSP2とSP3との間に垂直方向の帯板60が取り付けられ、角形パイプSP2とSP3との間を所定間隔に保つようにされる。また、角形パイプSP2とSP3のガイド部材52_1の上に、メス側ラッチ59が固定される。このメス側ラッチ59が、端部蓋板40aの裏面に固定されたオス側ラッチ58と係合し、端部蓋板40aを連結された角形パイプに仮固定される。
【0045】
図10の断面
図1.6には、角形パイプSP1とSP2及びSP3とSP4をそれぞれ結合する結合部材50が示され、角形パイプSP2とSP3の間には帯板60が示される。断面
図1.7は、オス側ラッチ58とメス側ラッチ59が係合された状態を示す。断面
図1.8は、端部連結部材53に設けられた高さ調整ネジ孔56と覆工板保持工具孔57を示す。そして、側面
図1.9は、角形パイプの間にパイプ蓋61が示される。各角形パイプは、連結される覆工板の角形パイプ間を連結するために開口状態となっている。
【0046】
第2の覆工板P2は、第1の覆工板P1より幅が狭く、3本の角形パイプを連結することが、第1の覆工板P1と異なる。
【0047】
第3の覆工板P3について、
図9は、覆工板の平面
図2.1、蓋板40、40aを取り外した状態の覆工板の内部平面
図2.2、覆工板の底面
図2.3、覆工板の正面
図2.4、覆工板の矢印2.5における断面
図2.5を示す。また、
図10(2)は、覆工板の
図9の矢印2.6の断面
図2.6、
図8の矢印2.7の断面
図2.7、
図9の矢印2.8の断面
図2.8、覆工板の右側面
図2.9を示す。左側面図は右側側面
図2.9と同じであり、背面図は正面
図2.4と同じであり省略する。
【0048】
図9の覆工板の平面
図2.1、内部平面
図2.2によれば、覆工板P3は、覆工板P1と同様に、4本の角形パイプSP1~SP4を、端部連結部材53と連結部材50とで連結し、連結された複数の角形パイプの表面に、5枚の中央警告ブロック蓋板41と2枚の端部警告ブロック蓋板41aが固定される。つまり、これらの警告ブロック蓋板41、41aは、蓋板固定ネジ孔46に固定ネジを挿入し連結部材50に固定される。そして、警告ブロック蓋板41、41aと、端部連結部材53の表面には、警告ブロックの点状突起42と線状突起43が設けられる。
【0049】
上記の警告ブロック蓋板以外の構成は、第1の覆工板P1と同様である。例えば、端部警告ブロック蓋板41aには、端部側の辺の裏側に1対の挿入ツメ49が、中央側の辺の裏側にオス側ラッチ58が設けられ、これら挿入ツメ49とオス側ラッチ58の作用は、第1の覆工板P1と同等である。
【0050】
図9の蓋板40、40aを取り外した状態の覆工板の内部平面
図2.2、覆工板の底面
図2.3、覆工板の正面
図2.4、覆工板の矢印2.5における断面
図2.5、また、
図10(2)の断面図及び側面
図2.6~2.9に示す構成は、蓋板に点状突起と線状突起が設けられていること以外は第1の覆工板P1と同等の構成である。尚、正面
図2.4、断面
図2.5には点状突起と線状突起が省略されている。
【0051】
第3の覆工板P3の覆工桁への固定と端部警告ブロック蓋板41aの覆工板への取り付け方法は、第1の覆工板P1で説明したのと同様である。
【0052】
[オス側ラッチとメス側ラッチ]
図11は、オス側ラッチの構成を示す図である。
図11には、オス側ラッチ58の破損防止部材58bが設けられていない平面図、正面図(1)、底面図(1)、側面図(1)と、破損防止部材58の正面図(2)、底面図(2)が示される。但し、正面図(1)、底面図(1)、側面図(1)には破損防止部材58が破線で示され、正面図(2)、底面図(2)にはオス側ラッチ58の本体とオス側弾性ツメ58aが破線で示される。
【0053】
平面図、正面図(1)、底面図(1)、側面図(1)に示されるとおり、オス側ラッチ58は、正面図(1)の左右に広がる1対のオス側弾性ツメ58aと、平面図の工具挿入孔48と、ラッチ固定ネジ孔47とを有する。更に、正面図(2)、底面図(2)に示されるとおり、オス側ラッチ58の1対のオス側弾性ツメ58aの内側に、破損防止部材58bが設けられる。破損防止部材58bは、オス側弾性ツメ58aの垂直方向の高さより高い。オス側ラッチ58が取り付けられた端部蓋板40a、端部警告ブロック蓋板41aが平置きされた状態で、人がオス側ラッチを直接または蓋板から間接に踏みつけるなどして垂直方向に圧力が加えられても、破損防止部材58bはオス側弾性ツメ58aが破損されることを防止する。
【0054】
図12は、メス側ラッチの構成を示す図である。
図12には、(1)にメス側ラッチの平面図、正面図、底面図、側面図が、(2)にメス側ラッチにオス側ラッチが係合した状態の平面図と正面図が示される。(1)において背面図は正面図と同じであり、側面図は左右の側面図が同じであるので左側面図が省略されている。
【0055】
メス側ラッチ59は、(1)の正面図に示すとおり、左右端で垂直に伸び、一旦内側に曲がって外側に曲がる形状を有する一対のメス側弾性ツメ59aと、メス側ラッチ59をガイド部材52_1に取り付けるための固定ネジ孔59bとを有する。(2)の係合状態において、メス側弾性ツメ59aは、その両側の角形パイプSP2、SP3の間の対抗する縦方向の壁62との間に、端部蓋板40a、41aを左右方向に移動可能にするギャップ59cを有する。このギャップ59cは、端部蓋板40a、41aの蓋板固定ネジ孔46を連結部材50の固定ネジ孔46の位置に合わせるために端部蓋板を左右方向に移動可能にする位置合わせ用ギャップである。
【0056】
(2)に示すとおり、メス側弾性ツメ59aの垂直方向の高さは、ほぼ角形パイプの縦方向の壁62の高さと同じである。それに対して、オス側弾性ツメ58aの垂直方向の高さは、メス用弾性ツメ59aの高さの半分以下と低い。このようにすることで、オス側ラッチ58が取り付けられた端部蓋板40a、41aを、覆工板から取り外し複数枚積層することが容易になる。それにより、ホーム工事の効率向上を図ることができる。
【0057】
以上のとおり、本実施の形態のホーム工事用の覆工板によれば、覆工板を覆工桁に固定する際に取り外された端部蓋板を、覆工桁に固定した後に覆工板に取り付ける工程において、端部蓋板の挿入ツメを端部連結部材の下に挿入し、端部蓋板の端部連結部材とは反対側の辺を覆工板表面に閉じることで、オス側ラッチとメス側ラッチが係合し仮固定することができる。これにより、ホームを吹き上げる風圧により端部蓋板がめくれて覆工板から外れる事象を抑制でき、覆工板の復旧工程を短縮することができる。
【符号の説明】
【0058】
10:地面 11:盛土 13:擁壁
14:笠石 15:アスファルト舗装
16:敷モルタル 17:警告ブロック
18:先端タイル 19:線路側
12:高さ調整桁 20:横桁
20C:覆工桁(仮桁) 21:鋼管杭
22:PPC板 23:警告ブロック
24:先端タイル 25:ケーブル通し穴
26:ケーブル 28:ホーム表面
30:ホームドア 31:ドア開閉制御装置
P1, P2, P3:覆工板 100:覆工板構造
40:中央蓋板 40a:端部蓋板
41:警告ブロック蓋板 41a:端部警告ブロック蓋板
42:点状突起 43:線状突起
46:蓋板固定ネジ孔 47:ラッチ固定ネジ孔
48:工具挿入孔 49:挿入ツメ
E0, E1, E2:長辺 SP1, SP2, SP3, SP4:角形パイプ(角形鋼管)
50:連結部材 52_1:ガイド部材
52_2:桁固定部材 53:端部連結部材
56:高さ調整ネジ孔 57:覆工板保持工具孔
58:オス側ラッチ 58a:オス側弾性ツメ
58b:破損防止部材 59:メス側ラッチ
59a:メス側弾性ツメ 59b:ラッチ固定ネジ孔
59c:位置合わせギャップ 60:帯板
61:パイプ蓋 62:縦方向壁
【要約】 (修正有)
【課題】蓋板の固定不良を抑止するホーム工事用の覆工板の提供。
【解決手段】長手方向に所定長を有する複数の角形パイプSPと、前記複数の角形パイプのうち少なくとも一部の隣接する角形パイプ間を連結する連結部材と、前記連結された複数の角形パイプの上面の前記長手方向の中央部分を覆う中央蓋板と、前記連結された複数の角形パイプの上面の前記長手方向の端部領域を覆い、前記連結された複数の角形パイプに固定部材で固定される端部蓋板40aと、前記連結された複数の角形パイプの下面側に設けられ、覆工桁に固定される桁固定部材52と、前記複数の角形パイプのうち少なくとも1つの隣接する角形パイプの間の前記端部蓋板が固定される領域に設けられ、メス側弾性ツメを有するメス側ラッチ59と、前記端部蓋板の裏面に設けられ、前記メス側ラッチの前記メス側弾性ツメにラッチするオス側弾性ツメを有するオス側ラッチ58とを有するホーム工事用覆工板。
【選択図】
図7