(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】浴室洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20230616BHJP
E03C 1/12 20060101ALI20230616BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
E03C1/12 Z
B08B3/02 F
(21)【出願番号】P 2019175591
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】市丸 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】小幡 恭士
(72)【発明者】
【氏名】中塚 悠介
(72)【発明者】
【氏名】濱田 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤原 克博
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-313381(JP,A)
【文献】特開2017-148256(JP,A)
【文献】特開2008-307076(JP,A)
【文献】特開平06-030884(JP,A)
【文献】特開2003-070868(JP,A)
【文献】特開2004-057569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00、4/00
E03C 1/12
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄ノズルに湯水を供給するための湯水流路の途中箇所に設けられて、前記湯水流路の一部をなし、かつ前記湯水流路の上流側から供給されてくる湯水を貯留可能な湯水貯留部と、
この湯水貯留部の湯水を前記洗浄ノズル側に送り出すことが可能なポンプと、
を備えている、浴室洗浄装置であって、
前記湯水貯留部に湯水が貯留されているときに、この湯水を前記湯水貯留部の外部に常時排出する微量排水路を、さらに備えていることを特徴とする、浴室洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室洗浄装置であって、
前記微量排水路の一端部は、前記湯水流路のうち、前記湯水貯留部の底部と略同一高さ、またはそれよりも低い高さの部位に繋がっている、浴室洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の浴室洗浄装置であって、
前記微量排水路は、パイプを用いて構成されており、前記微量排水路を通過した湯水を浴室の排水口に導くことが可能とされている、浴室洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室洗浄装置の具体例として、特許文献1に記載されたものがある。
同文献に記載された浴室洗浄装置においては、洗浄ノズルに湯水を供給するための湯水流路の途中箇所に、浴室洗浄用の湯水を貯留するためのタンクが設けられている。また、このタンクの下流側には、タンク内の湯水を洗浄ノズル側に送り出すためのポンプがさらに設けられている。このような構成によれば、湯水流路の湯水供給圧(たとえば水道圧)が低い場合であっても、ポンプを利用して湯水を高い圧力で洗浄ノズルに供給することができる。したがって、洗浄ノズルから湯水を浴槽に向けて強い勢いで噴出させ、洗浄能力を高めることが可能である。
【0003】
一方、前記したような浴室洗浄装置においては、浴室洗浄処理が長期間にわたって不実行とされ、タンク内に湯水が貯留されたままであると、タンク内が不衛生となる虞がある。これに対し、特許文献1においては、浴室洗浄処理が終了した後においてもポンプを運転させることにより、タンク内の湯水の全量をタンクの外部に排出し、タンクを空の状態にしている。このことにより、タンク内が不衛生になることを抑制することができる。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0005】
すなわち、タンク内を空にすべくポンプを運転させている途中、あるいはポンプを運転させる前に、停電やその他の事情によりポンプを運転させることが困難となった場合、もはやタンク内の湯水を外部に排出させることは困難となる。これでは、タンク内に湯水が長時間にわたって貯留されたままとなり、不衛生となる虞がある。
また、タンク内の湯水を排水させるには、必ずポンプを運転させる必要があるため、ポンプの運転に要するランニングコストが嵩む不具合も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、タンクなどの湯水貯留部に湯水が長期間にわたって溜まったままとなって、湯水貯留部が不衛生になることを、適切に防止または抑制することが可能な浴室洗浄装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される浴室洗浄装置は、洗浄ノズルに湯水を供給するための湯水流路の途中箇所に設けられて、前記湯水流路の一部をなし、かつ前記湯水流路の上流側から供給されてくる湯水を貯留可能な湯水貯留部と、この湯水貯留部の湯水を前記洗浄ノズル側に送り出すことが可能なポンプと、を備えている、浴室洗浄装置であって、前記湯水貯留
部に湯水が貯留されているときに、この湯水を前記湯水貯留部の外部に常時排出する微量排水路を、さらに備えていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、湯水貯留部に湯水が貯留されているときには、この湯水は、微量排水路を介して湯水貯留部の外部に微量ずつ常時排水される。したがって、たとえば停電などに起因してポンプを運転させることが困難になった場合であっても、湯水貯留部を空の状態(または空に近い状態)にすることができる。その結果、湯水貯留部に湯水が長時間にわたって貯留されたままになることが防止され、湯水貯留部を衛生的なものにすることができる。
第2に、湯水貯留部から湯水を排水させる手段として、必ずしもポンプを運転させる必要はない。したがって、ランニングコストを低減することも可能である。
第3に、ポンプを利用した排水時にはポンプの運転音が発生する虞があるが、微量排水路を利用した排水時には、そのような音は発生しない。したがって、静寂性にも優れる。
なお、湯水貯留部に湯水を貯留し、ポンプを運転させることによって、前記湯水を洗浄ノズルに供給する洗浄処理を実行している最中においても、湯水貯留部の湯水は微量排水路を介して外部に排出されるため、これが無駄となる。ただし、洗浄処理はさほど長時間にわたって行なわれる訳ではなく、また微量排水路の流路径をかなり小さくことにより、前記した無駄は、実質的には無視できる程度の少ないものにすることが可能である。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記微量排水路の一端部は、前記湯水流路のうち、前記湯水貯留部の底部と略同一高さ、またはそれよりも低い高さの部位に繋がっている。
【0012】
このような構成によれば、湯水貯留部の湯水の略全量を排水させることが可能となる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記微量排水路は、パイプを用いて構成されており、前記微量排水路を通過した湯水を浴室の排水口に導くことが可能とされている。
【0014】
このような構成によれば、湯水貯留部の湯水の排水処理を簡便に図ることができる。
【0015】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る浴室洗浄装置の一例を示す概略説明図である。
【
図2】
図1に示す浴室洗浄装置の要部概略説明図である。
【
図3】本発明の他の例を示す要部概略説明図である。
【
図4】本発明の他の例を示す要部概略説明図である。
【
図5】本発明の他の例を示す要部概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
図1に示す浴室洗浄装置Aは、浴槽1を洗浄するための浴槽洗浄装置として構成されている。具体的には、この浴室洗浄装置Aは、浴槽1の底部に取付けられ、かつ洗剤混合湯水や非洗剤混合湯水を浴槽1に向けて噴出するための洗浄ノズル10、この洗浄ノズル10に湯水供給を行なうための湯水流路3、この湯水流路3の途中に設けられた加圧装置B、ベンチュリ部4、洗剤タンク60からベンチュリ部4に液体の洗剤を供給するための洗剤供給路6、およびこの浴室洗浄装置Aの各部の動作制御を実行する制御部5を備えている。
加圧装置Bは、後述するように、本発明でいう湯水貯留部としてのタンク7、およびポ
ンプPを備えている。
【0019】
湯水流路3には、給湯装置WHから加熱湯水を供給可能とされている。ただし、本実施形態においては、湯水流路3の上流側に設けられた方向切替え弁V2(三方弁)に、水道管(湯水供給源の一例)からの非加熱湯水の供給が可能な配管部31が接続されている。方向切替え弁V2の切替え動作により、湯水流路3には、給湯装置WHからの加熱湯水、および水道管からの非加熱湯水のいずれかを選択的に供給可能である。
湯水流路3のうち、加圧装置Bの下流側には、ベンチュリ部4や洗浄ノズル10などへの湯水供給のオン・オフ切替えを行なうための注湯開閉弁V0、および流量調整弁V1も設けられている。注湯開閉弁V0は、たとえば電磁開閉弁であり、後述する他の開閉弁も同様である。
【0020】
ベンチュリ部4は、その詳細については省略するが、内部流路を部分的に絞った絞り部と、この絞り部に交差して繋がった連通路とを備えており、前記絞り部を湯水が高速で流れることにより前記連通路に負圧を生じさせるものである。前記連通路には、洗剤供給路6の終端が接続されており、前記負圧の作用により、洗剤供給路6からベンチュリ部4内に洗剤が円滑に流入し、この洗剤と湯水とが混合した洗剤混合湯水が生成される。洗剤供給路6には、ベンチュリ部4への洗剤供給のオン・オフを切替えるための洗剤開閉弁Vaが設けられている。
【0021】
加圧装置Bは、既述したように、タンク7、およびポンプPを備えており、かつこれらがケース8内に収容され、全体がユニット化された構成である。ただし、このようなユニット化が図られていなくてもよい。
【0022】
図2によく表れているように、タンク7は、たとえばブロー成形により形成された樹脂製のタンク本体部70を備えており、このタンク本体部70は、略直方体の中空状またはこれに類する形状であり、その内側に仕切部74が適宜設けられている。
タンク7には、湯水供給口71、通気用開口部72、湯水流出口73、オーバフロー用流出口75a、微量排水口77a、および水位検出用の電極20a,20bが設けられている。さらに、タンク7には、オーバフロー用流路75を構成するオーバフロー用パイプ75A、微量排水路77を構成するパイプ77A(好ましくは、フレキシブル性を有するホース)、および通気用パイプ76が付属して設けられている。
【0023】
湯水供給口71は、タンク本体部70の上壁部70aに設けられており、この湯水供給口71には、ケース8に設けられた入水用接続口80に到達した湯水が配管部30を介して供給される。配管部30には、開閉弁V3および流量調整弁V4が設けられており、開閉弁V3の開閉制御により、タンク7内への湯水供給のオン・オフが切替え可能である。
湯水流出口73は、タンク本体部70の底部70bに設けられており、この湯水流出口73には、ポンプPの吸入側が配管接続されている。ポンプPの運転により、タンク7内の湯水は、ケース8に設けられた出水用接続口81を経て加圧装置Bの下流側に送られ、最終的には洗浄ノズル10から浴槽1に向けて噴出する。
【0024】
オーバフロー用流出口75aは、湯水流出口73と同様に、タンク本体部70の底部70bに設けられている。このオーバフロー用流出口75aには、オーバフロー用パイプ75Aの基端部が接続されている。オーバフロー用パイプ75Aの内側領域は、オーバフロー用流路75である。オーバフロー用パイプ75Aは、その基端部近傍領域から上向きに立ち上がった立ち上がり部を有しており、その上端部またはその近傍部分からケース8の外部にオーバフロー湯水を排出可能に設定されている。オーバフロー用流路75のオーバフロー高さHは、タンク7内の上部に吐水口空間S(
図2の高さ幅Lの領域)が形成される高さである。吐水口空間Sは、タンク7内に貯留された湯水と、配管部30(上水配管
)とを縁切りする役割を果たす。
【0025】
微量排水口77aは、タンク本体部70の底部70bに設けられている。この微量排水口77aには、可撓性を有する小内径のパイプ77Aの一端部が接続されている。このパイプ77Aの内側領域が、微量排水路77であり、微量排水口77aが微量排水路77の一端部に相当する。微量排水路77は、タンク7内に湯水が貯留されているときに、この湯水をタンク7の外部に、常時、微量流量(たとえば3ml/分程度)で排出するための排水路である。したがって、その流路径はかなりの小径である。この微量排水路77は、ケース8を貫通し、かつ
図1に示すように、浴室の排水口11まで延びており、微量排水路77を通過した湯水は排水口11に排水されるように構成されている。
【0026】
通気用開口部72は、タンク本体部70の上壁部70aに設けられており、この通気用開口部72には、通気用パイプ76が接続されている。好ましくは、通気用パイプ76の内部は、ケース8の外部に開放されている。通気用開口部72および通気用パイプ76は、タンク7内における湯水量の増減時に吐水口空間Sに大きな圧力変化が生じることを回避するのに役立つ。
【0027】
水位検出用の電極20a,20bは、タンク7内の水位を検出するためのものである。浴槽洗浄処理の実行時においては、ポンプPが運転され、タンク7内の湯水が消費される。その際、基本的には、上側の電極20aによる水位検出(湯水の検出)がなされているときには、オーバフローを防止すべく開閉弁V3が閉状態とされ、また下側の電極20bによる水位検出(湯水の検出)がなくなると、湯水切れを防止すべく開閉弁V3が開状態とされる制御が実行される。ただし、本実施形態においては、流量調整弁V4が設けられているため、この流量調整弁V4の流量制御により、湯水供給口71からタンク7への湯水の流入流量が、ポンプPの吐出流量と略均衡するように設定され、開閉弁V3が頻繁に開閉することは回避されるように構成されている。
【0028】
制御部5は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており、不図示のスイッチ操作部などを備えている。この制御部5は、所定のスイッチ操作がなされ、あるいは予め設定された所定の時期が到来すると、洗浄ノズル10から洗剤混合湯水を噴出させる洗剤洗浄処理や、非洗剤混合湯水を噴出させるすすぎ処理などの浴槽洗浄処理を所定の手順で実行させる。
【0029】
次に、前記した浴室洗浄装置Aの作用について説明する。
【0030】
浴槽1の洗浄処理を行なう場合には、開閉弁V3を開状態としてタンク7に湯水を供給して貯留させた状態で、ポンプPを運転させ、タンク7の湯水をベンチュリ部4および洗浄ノズル10に向けて送り出す。ベンチュリ部4において、前記湯水に洗剤を混合させることにより、洗浄ノズル10には、洗剤混合湯水が供給され、これが浴槽1に向けて噴出する。このような洗浄処理を終えた後には、洗剤タンク60からベンチュリ部4への洗剤供給を停止し、湯水のみを洗浄ノズル10に向けて供給し、この洗浄ノズル10からは浴槽1に向けて前記湯水を噴出させるすすぎ処理を実行させる。
【0031】
前記すすぎ処理を終了する際において、開閉弁V3を閉状態としてタンク7への湯水供給を停止した状態で、ポンプPを運転させ続ければ、タンク7内の湯水の略全量をすすぎ処理に利用し、タンク7を空にすることが可能である。ただし、その際に停電などのトラブルが発生し、ポンプPが途中で停止すると、タンク7を空にできない。タンク7内に湯水が残留し、かつこの状態が長期間に及ぶと、タンク7の内部が不衛生となる虞がある。これに対し、本実施形態によれば、ポンプPが途中で停止したとしても、タンク7の湯水は、微量ずつではあるものの、微量排水路77を介してタンク7外に導かれ、浴室の排水
口11に排水される。したがって、前記した虞は適切に解消される。
【0032】
一方、本実施形態によれば、ポンプPを利用しなくても、タンク7を空にすることができるために、次のような制御を行なうことも可能となる。
すなわち、すすぎ処理を終了する際において、開閉弁V3を閉状態としてタンク7への湯水供給を停止させると同時に、ポンプPの運転も停止させる。このような制御がなされた場合、タンク7内には比較的多くの湯水が残るが、この湯水は微量排水路77を介して外部に微量ずつ排水される。したがって、前記湯水の全量を排水するには比較的長い時間を要するものの、タンク7を空にすることが可能である。その結果、この場合においても、タンク7内に湯水が長期間にわたって残留することは回避され、タンク7の内部が不衛生にならないようにすることが可能である。また、ポンプPを利用すると、その運転音が発生するが、微量排水路77を利用した排水によれば、そのような音は発生せず、静寂性を得ることも可能である。
【0033】
タンク7の湯水が微量排水路77を介して外部に排水される現象は、浴槽1の洗浄処理時およびすすぎ処理時においても発生する。ただし、微量排水路77を介しての排水流量は微量であるため、前記した洗浄処理やすすぎ処理に支障を生じることはなく、また湯水の無駄が多く発生することもない。本実施形態の浴室洗浄装置Aにおいては、タンク7を空にすることを目的としてポンプPを運転させる必要がなく、ポンプPの稼働率を下げることができるため、浴室洗浄装置Aのランニングコストを下げることが可能である。
【0034】
図3~
図5は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0035】
図3に示す実施形態においては、タンク7にボールタップ9が付属して設けられている。ボールタップ9は、従来既知のものと同様であり、支持軸90に支持されたフロート91の上下変位によってボールタップ本体部92のピストンバルブ(不図示)が開閉し、湯水供給口71からタンク7内への湯水の供給をオン・オフ切替え可能とするものである。
【0036】
本実施形態によれば、ボールタップ9を用いてタンク7内の水位を制御することができるため、水位検出用の電極20a,20bを不要にし、製造コストを廉価にすることが可能である。なお、タンク7内の湯水を、微量排水路77を利用して外部に排水する際には、開閉弁V3を閉状態に設定してタンク7内への湯水の流入を阻止しておけばよい。
【0037】
図4に示す実施形態においては、上述した実施形態のタンク7に代えて、管状部材78を用いて構成された湯水貯留部7Aが具備されている。管状部材78は、フレキシブル性を有しており、適宜に曲げ変形させることが可能である。湯水貯留部7Aの下部の湯水流出口73には、オーバフロー用流路75の基端部(オーバフロー用流出口75a)、ポンプP、および微量排水路77が接続されている。湯水貯留部7Aの上部には、湯水を供給してくる配管部30が接続されている。湯水貯留部7Aの上部内には、吐水口空間Sが形成可能であり、この吐水口空間Sには通気用パイプ76の内部が連通している。
【0038】
本実施形態によれば、湯水貯留部7Aが管状部材78を用いて構成されているため、湯水貯留部7Aの全体の構成をシンプルかつコンパクトなものとすることができる。とくに、管状部材78は、フレキシブル性を有しているため、この湯水貯留部7Aが配置される場所の形状や大きさに応じて管状部材78の形状を変えることができる。したがって、設置に際して融通性に富み、便利である(なお、好ましくは、オーバフロー用パイプ75Aを伸縮可能なものとし、湯水貯留部7Aの形状変更に応じて、オーバフロー高さHを変更可能とされる)。
【0039】
図5に示す実施形態においては、ポンプPの接続配管部3aに、微量排水路77の一端部が分岐接続されている。このような構成によれば、タンク7に貯留された湯水を、湯水流出口73から接続配管部3aに流れ込ませた後に、微量排水路77を介して外部に排出させることができる。湯水流出口73は、タンク7の底部70bに設けられており、かつ微量排水路77の一端部はタンク7の底部70bよりも低い位置に接続されているため、タンク7内の湯水の略全量を微量排水路77を介して外部に適切に排水することが可能である。
【0040】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る浴室洗浄装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0041】
本発明でいう湯水貯留部は、上述した実施形態から理解されるように、非管状部材を用いたタンク、あるいは管状部材を用いた部位として構成することが可能であり、要は、内部に湯水を貯留することが可能であればよい。ただし、湯水貯留部内の上部に吐水口空間が形成される構成が好ましい。
【0042】
微量排水路77は、できる限り流路径を小さくして排水流量を少なくすることが好ましいが、その具体的な流路径は問わない(ただし、少なくとも、湯水供給口71や湯水流出口73よりも小径であることが望まれる)。
湯水貯留部に貯留された湯水の略全量を外部に排出させる観点からすると、微量排水路の一端部は、湯水貯留部の底部と略同一高さ、またはそれよりも低い高さの部位に繋げられることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。たとえば、湯水貯留部の周辺温度が高く、少量の湯水であれば、比較的短期間で全量が蒸発して湯水貯留部内が乾燥する場合などには、洗浄処理やすすぎ処理を終えた後において、湯水貯留部に少々の湯水が残留したとしてもとくに問題はないと考えられる。したがって、微量排水路の一端部が、湯水貯留部の底部よりもやや高い箇所に繋げられ、湯水貯留部の湯水の全量を排出することが困難な構成とされていてもよく、このような構成も、本発明の技術的範囲に包摂される。
微量排水路を利用した湯水の排水先は、浴室の排水口以外の箇所とすることもできる。
ポンプの具体的な種類なども限定されない。
【0043】
本発明に係る浴室洗浄装置の洗浄対象は、浴槽に限定されず、これ以外として、たとえば浴室の床面、側壁面、天井、浴槽蓋などとすることが可能である。また、洗浄ノズルとして、複数の洗浄ノズルを設け、一部の洗浄ノズルを浴槽洗浄用とし、かつ他の一部を浴槽以外の部分の洗浄用とすることもできる。
【符号の説明】
【0044】
A 浴室洗浄装置
P ポンプ
1 浴槽
10 洗浄ノズル
11 排水口(浴室の)
3 湯水流路
7 タンク(湯水貯留部)
70b 底部(タンクの)
7A 湯水貯留部
77 微量排水路
77A パイプ