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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20230616BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20230616BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230616BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B17/55
H04N23/50
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021095197
(22)【出願日】2021-06-07
(62)【分割の表示】P 2021039397の分割
【原出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022140213
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】才木 淳
(72)【発明者】
【氏名】阿部 篤嗣
(72)【発明者】
【氏名】増田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】北川 裕次郎
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029779(JP,A)
【文献】特開2019-158982(JP,A)
【文献】特開2018-170337(JP,A)
【文献】特開平03-188589(JP,A)
【文献】特開2017-139589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/55
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられ、記録媒体が取り外し可能に収容される記録媒体収容部と、
前記記録媒体収容部から離れた位置に設けられた放熱板と、
前記放熱板に固定される第1の部分および前記記録媒体収容部に接触する第2の部分を備える熱伝導シートと、
前記熱伝導シートの第2の部分を前記記録媒体収容部に向かって付勢し、前記熱伝導シートの第2の部分と前記記録媒体収容部との間の接触を維持するクッション部材と、
前記クッション部材を支持するクッション部材支持部材と、
を有する、撮像装置。
【請求項2】
前記放熱板が、前記記録媒体収容部から離れて前記基板に設けられている発熱源に対して前記基板の厚さ方向に対向して接触している、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置が、前側に位置するフロントユニットと後側に位置するリアユニットとに分解可能であって、
前記基板が、前記フロントユニットに含まれ、
前記放熱板、前記熱伝導シート、および前記クッション部材支持部材が、前記リアユニットに含まれる、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記リアユニットに含まれ、前記放熱板を冷却するファンを有する、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記熱伝導シートが、グラファイトシートである、請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記記録媒体が、メモリーカードである、請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、カード型の記録媒体が取り外し可能に挿入されるコネクタを備える撮像装置が開示されている。コネクタは、スロット基板(基板)とスロット基板上に設けられて記録媒体を収容するスロットカバー(記録媒体収容部)とから構成されている。スロット基板は、伝熱手段にビスで固定されている。記録媒体から発生した熱は、スロット基板を介して伝熱手段に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-148024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、取り外し可能なカード型の記録媒体は大容量化が進んでいる。それにより、撮像装置は、長時間で高解像度の撮影動画を記録媒体に保存することができる。しかし、その結果として、カード型の記録媒体は、連続的な書き込みによって発熱し続ける。そのため、撮像装置は、記録媒体に対して高い放熱性能を備えることが必要とされている。
【0005】
また、長時間で高解像度の撮影が可能な撮像装置は、安定した撮影能力を長期間維持するために、プロのカメラマンなどから高いメンテナンス性(すなわち分解および組み立てのしやすさ)が求められている。
【0006】
そこで、本開示は、取り外し可能な記録媒体に撮影動画などを保存する撮像装置において、記録媒体に対する高い放熱性能を確保しつつ、高いメンテナンス性を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
基板と、
前記基板に設けられ、記録媒体が取り外し可能に収容される記録媒体収容部と、
前記記録媒体収容部から離れた位置に設けられた放熱板と、
前記放熱板に固定される第1の部分および前記記録媒体収容部に接触する第2の部分を備える熱伝導シートと、
前記熱伝導シートの第2の部分を前記記録媒体収容部に向かって付勢し、前記熱伝導シートの第2の部分と前記記録媒体収容部との間の接触を維持するクッション部材と、
前記クッション部材を支持するクッション部材支持部材と、
を有する、撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、取り外し可能な記録媒体に撮影動画などを保存する撮像装置において、記録媒体に対する高い放熱性能を確保しつつ、高いメンテナンス性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の前方斜視図
図2】チルトベースが格納位置に位置する状態の撮像装置の後方斜視図
図3】チルトベースが傾いた状態の撮像装置の後方斜視図
図4】メンテナンスのために分解された状態の撮像装置の後方斜視図
図5】吸気口カバーを取り外した状態の撮像装置の後方斜視図
図6】サイドケーシングを取り外した状態の撮像装置の側方斜視図
図7】フロントユニットとリアユニットとに分解された状態の撮像装置の前方斜視図
図8A】フロントユニットとリアユニットとを熱的に接続する伝熱要素を示す撮像装置の前方斜視図
図8B】フロントユニットとリアユニットとを熱的に接続する伝熱要素を示す撮像装置の後方斜視図
図9A】放熱板が取り外された状態のリアユニットの後方斜視図
図9B】放熱板が取り外された状態のリアユニットの側方斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
以下、本開示の実施の形態に係る撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置の前方斜視図である。また、図2は、チルトベースが格納位置に位置する状態の撮像装置の後方斜視図である。そして、図3は、チルトベースが傾いた状態の撮像装置の後方斜視図である。
【0014】
なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示を限定するものではない。X軸方向は撮像装置の前後方向を示し、Y軸方向は撮像装置の左右方向を示し、Z軸方向は高さ方向を示している。また、本明細書においては、撮像装置の被写体が存在する側を「前側」とし、被写体に対して撮像装置が存在する側を「後側」としている。
【0015】
図1図3に示すように、本実施の形態の場合、撮像装置10の筺体は、前側に位置するフロントケーシング12と、上側に位置するトップケーシング13と、後側に位置するリアケーシング14と、左側に位置するサイドケーシング16とから構成されている。
【0016】
図1に示すように、フロントケーシング12には、レンズ取り付け部が設けられている。なお、図面では、レンズキャップ18によってレンズ取り付け部は隠れている。また、フロントケーシング12には、ユーザの右手によって把持されるハンドグリップ部12aが設けられている。さらに、フロントケーシング12には複数のマンマシンインターフェースが設けられている。
【0017】
トップケーシング13には、シャッターボタン20などの複数のマンマシンインターフェースが設けられている。
【0018】
図2および図3に示すように、リアケーシング14には、ビューファインダ22が設けられている。また、リアケーシング14には、ダイヤル24などの複数のマンマシンインターフェースが設けられている。なお、ダイヤル24などのいくつかのマンマシンインターフェースは、ハンドグリップ部12aを把持するユーザの右手の親指で操作できるように、リアケーシング14の外側面(すなわち撮像装置10のリア面)における右側部分に配置されている。
【0019】
さらに、図2および図3に示すように、本実施の形態の場合、リアケーシング14の外側面における左側部分には、モニタ26が搭載されている。具体的には、モニタ26は、矩形板状のチルトベース28にヒンジ30を介して取り付けられている。リアケーシング14の外側面には、平坦な頂面14aを備える隆起部14bが形成されている。その隆起部14bの頂面14aに対して傾動可能にチルトベース28は設けられている。具体的には、チルトベース28は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に延在する回転中心線を中心にして回動する。なお、図2は、チルトベース28が隆起部14bの頂面14aに最も近づいた状態、すなわち格納位置に位置するチルトベース28を示している。
【0020】
モニタ26は、例えば、表示面26aを備える液晶モニタである。例えば、モニタ26は、撮像素子で撮像され、画像処理部で画像処理された画像データが示す画像(スルー画像)を表示する。モニタ26は、チルトベース28に対して重なる位置と離れる位置との間を移動可能にチルトベース28に設けられている。具体的には、モニタ26は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に延在する回転中心線C1を中心にして回動可能にヒンジ30に支持されている。ヒンジ30は、その回転中心線C1に対して直交しつつチルトベース28に対して平行な回転中心線C2を中心にして回動可能にチルトベース28に支持されている。このようなヒンジ30により、モニタ26は、図2に示すようにその表示面26aがチルトベース28に対して重なる状態で格納される。また、図3に示すように、モニタ26は、チルトベース28から離れて且つ表示面26aが撮像装置10の後方に向いた姿勢をとることができる。
【0021】
なお、図2に示す格納状態からモニタ26を回転中心線C2を中心にして回転しやすくするために、チルトベース28の右端には、円弧状の凹部28aが形成されている。この凹部28aにより、チルトベース28に重なるモニタ26の表示面22aの一部分が露出される。それにより、露出部分、すなわちモニタ26の自由端(すなわちヒンジ30から左右方向(Y軸方向)に遠い遠位端)にユーザの指がかかりやすくなり、その結果、ユーザはモニタ26を容易に回転することができる(凹部28aがない場合に比べて)。
【0022】
また、このチルトベース28の凹部28aにより、ダイヤル24を回転させるユーザの右手の親指がチルトベース28に接触することが抑制される。それにより、ユーザはダイヤル24をストレスを感じることなくスムーズに回転させることができる。言い換えると、この凹部28aの存在により、ダイヤル24をチルトベース28の近くに配置することが可能になり、その結果として、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)のサイズを小さくすることができる。
【0023】
さらにまた、本実施の形態の場合、リアケーシング14には吸気口および排気口が設けられている。
【0024】
図4は、メンテナンスのために分解された状態の撮像装置の後方斜視図である。また、図5は、吸気口カバーを取り外した状態の撮像装置の後方斜視図である。そして、図6は、サイドケーシングを取り外した状態の撮像装置の側方斜視図である。なお、図4では、トップケーシング13が取り付けられた状態のフロントケーシング12が示されている。
【0025】
図4および図5に示すように、リアケーシング14には、外気を撮像装置10の内部に吸気するための吸気口14cが設けられている。具体的には、リアケーシング14の隆起部14bの頂面14aからダイヤル24側の隆起部14bの側面14dにわたって、吸気口14cが形成されている。
【0026】
また、吸気口14cへの大きな異物の侵入を防止するために、吸気口14cには、吸気口カバー32が取り付けられている。本実施の形態の場合、吸気口14c近傍の撮像装置10の内部を清掃しやすくするために、吸気口カバー32は、一つのねじ34でリアケーシング14に固定されている。ねじ34は、撮像装置10の前後方向(X軸方向)にリアケーシング14に取り付けられている。また、図2に示すように、ねじ34は、図2に示すように格納状態のチルトベース28によって覆われる位置に設けられ、且つ、図5に示すようにチルトベース28が傾いた状態のときにねじ34を回転させる工具がそのねじ34に対して前後方向(X軸方向)にアクセスできる位置に設けられている。
【0027】
なお、図2に示すように、チルトベース28の凹部28aは、吸気口カバー32上に位置する。説明すると、図2に示すようにチルトベース28が格納状態であるとき、そのチルトベース28の右側端部が吸気口カバー32(すなわち吸気口14c)の一部分を覆う。それにより、図3に示すようにチルトベース28が隆起部14bの頂面14aから離れて傾いている場合に比べて、吸気口14cの吸気効率が低下する。このチルトベース28が格納状態であるときの吸気効率の低下を抑制するために、格納状態のチルトベース28の凹部28aが吸気口カバー32上に位置する。
【0028】
図6に示すように、リアケーシング14には、吸気口12cを介して撮像装置10の内部に吸気された外気を排気するための排気口14eが設けられている。具体的には、リアケーシング14の左側部分に、排気口14eが形成されている。
【0029】
排気口14eは、サイドケーシング16に形成された排気口カバー部16aによって大きな異物の侵入が防止されている。本実施の形態の場合、排気口14e近傍の撮像装置10の内部を清掃しやすくするために、サイドケーシング16は三つのねじ36によってフロントケーシング12とリアケーシング14とに取り付けられている。なお、サイドケーシング16には、イヤホンジャック38を保護するための扉状のカバー40と、USB端子コネクタ42およびHDMI(登録商標)コネクタ44を保護するための扉状のカバー46とが設けられている。
【0030】
図4に示すように、撮像装置10は、メンテナンスを考慮して、フロントユニット50とリアユニット52とに分解可能に構成されている。例えば、複数のねじ(図示せず)を外すことにより、撮像装置10がフロントユニット50とリアユニット52とに分解される。
【0031】
図7は、フロントユニットとリアユニットとに分解された状態の撮像装置の前方斜視図である。なお、図7では、トップケーシング13が取り付けられた状態のフロントケーシング12が示されている。
【0032】
図4および図7に示すように、フロントユニット50はフロントケーシング12に複数の構成要素を組み込むことによって構成され、リアユニット52はリアケーシング14に複数の構成要素を組み込むことによって構成されている。なお、図4および図7では、フロントユニット50とリアユニット52とを電気的に接続するフレキシブルケーブルなどは省略されている。
【0033】
図4に示すように、フロントユニット50の内部には、基板54が設けられている。本実施の形態の場合、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)についてフロントケーシング12全体にわたって、基板54は設けられている。基板54のリア面(撮像装置10のリア側の表面)には、DRAMなどのメモリ56、画像処理を行うICチップ58などが搭載されている。本実施の形態の場合、メモリ56とICチップ58は、基板54の左側部分に設けられている。
【0034】
また、基板54のリア面には、取り外し可能に記録媒体Mが挿入されるカードコネクタ60が設けられている。記録媒体Mは、カード型の記録媒体(いわゆるメモリーカード)であって、例えばCFexpressカードである。具体的には、カードコネクタ60は、概略、記録媒体Mの端子と電気的に接続する端子(図示せず)が設けられた基板54の一部分と、その基板54の一部分を記録媒体Mが入るスペースをあけた状態で覆って基板54上の端子と記録媒体Mの端子との接触を維持するコネクタフレーム(記録媒体収容部)62とから構成されている。コネクタフレーム62は、ステンレスなどの金属の薄板を加工することによって作成されている。本実施の形態の場合、カードコネクタ60は、メモリ56、ICチップ58から離れた、基板54の右側部分に設けられている。なお、記録媒体Mのカードコネクタ60へのアクセスは、撮像装置10の右側部分に設けられたコネクタカバー64を開くことによって可能になる。
【0035】
図7に示すように、リアユニット52の内部には、放熱板66が設けられている。放熱板66は、高い熱伝導率を備える銅などの金属材料から作製された板状の部材である。放熱板66は、カードコネクタ60のコネクタフレーム62から熱を吸収することにより、カードコネクタ60に挿入されている記録媒体Mを冷却する。また、本実施の形態の場合、放熱板66は、メモリ56およびICチップ58(発熱源)から熱を吸収することにより、これらを冷却する。なお、本実施の形態の場合、放熱板66は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)についてリアケーシング14全体にわたって設けられておらず、リアケーシング14の中央部分から左側部分にかけて設けられている。
【0036】
フロントユニット50に設けられたメモリ56、ICチップ58、およびカードコネクタ60と、リアユニット52に設けられた放熱板66とを熱的に接続する伝熱要素を、撮像装置10は有する。
【0037】
図8Aおよび図8Bは、フロントユニットとリアユニットとを熱的に接続する伝熱要素を示す撮像装置の斜視図である。図8Aは前方斜視図であって、図8Bは後方斜視図である。なお、図8Aおよび図8Bでは、トップケーシング13が取り付けられた状態のフロントケーシング12が示されている。
【0038】
図8Aおよび図8Bに示すように、放熱板66は、メモリ56およびICチップ58に対して、基板54の厚さ方向、すなわち撮像装置10の前後方向(X軸方向)に対向している。したがって、メモリ56およびICチップ58と放熱板66とを熱的に接続するために、これらの間に、高い熱伝導率および柔軟性を備えるシリコン粘着シート68、70が配置されている。シリコン粘着シート68、70は、メモリ56およびICチップ58に対して面接触するとともに、放熱板66のフロント面66a(撮像装置10のフロント側の面)に対して面接触する。また、メモリ56およびICチップ58近傍の基板54の部分と放熱板66との間にも、シリコン粘着シート72が配置されている。シリコン粘着シート72は、基板54に対して面接触するとともに放熱板66に面接触する。これらのシリコン粘着シート68,70、および72を介して、メモリ56、ICチップ58、および基板54の熱が放熱板66に伝達される。
【0039】
なお、シリコン粘着シート68、70、および72は、繰り返し貼り付け可能な自己粘着性を備えている。そのため、メンテナンスのためにフロントユニット50とリアユニット52とに撮像装置10を分解したとき、シリコン粘着シート68、70、および72は、図4に示すように、メモリ56、ICチップ58、および基板54に残る(または、放熱板66に残る)。そして、メンテナンスが終了してフロントユニット50とリアユニット52とを再び合体させると、シリコン粘着シート68、70、および72が、メモリ56、ICチップ58、および基板54と放熱板66とを再度熱的に接続する。したがって、撮像装置10は、メモリ56、ICチップ58、および基板54に対して高い放熱性を確保しつつ高いメンテナンス性(分解および組み立てのしやすさ)を備える。すなわち、フロントユニット50とリアユニット52とに分解するだけでメモリ56、ICチップ58、および基板54と放熱板66との間の熱的な接続が解除される。また、フロントユニット50とリアユニット52とを合体させるだけで、メモリ56、ICチップ58、および基板54と放熱板66との間の熱的な接続が確立される。その結果、ユーザが、メモリ56、ICチップ58、および基板54と放熱板66との間の熱的な接続に関して何らかの作業を行う必要がない。
【0040】
一方、図8Aおよび図8Bに示すように、放熱板66は、カードコネクタ60のコネクタフレーム62に対して、基板54の厚さ方向、すなわち撮像装置10の前後方向(X軸方向)に対向していない。具体的には、放熱板66は、カードコネクタ60のコネクタフレーム62に対して左側に離れた位置に設けられている。このように離れているカードコネクタ60のコネクタフレーム62と放熱板66とを熱的に接続する手段として、撮像装置10は熱伝導シート74を有する。
【0041】
図8Aに示すように、熱伝導シート74は、高い熱伝導率を備える可撓性のシートであって、本実施の形態の場合、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に延在する帯状の薄いシートである。また、本実施の形態の場合、熱伝導シート74は、グラファイトシートである。グラファイトシートは、高い熱伝導率を備えるグラファイトを薄いシート状に加工したものである。
【0042】
図7および図8Aに示すように、熱伝導シート74の一端(第1の部分)74aが、接着シート76を介して、リアユニット52に含まれる放熱板66の右端に貼り付けられて固定されている。その結果として、熱伝導シート74は、リアユニット52に含まれている。
【0043】
フロントユニット50とリアユニット52とに容易に分解するために、熱伝導シート74は、フロントユニット50に含まれるカードコネクタ60のコネクタフレーム62に対しては固定されていない。熱伝導シート74は、単に、その他端(第2の部分)74bを介して、コネクタフレーム62の天板部62aに面接触する。その面接触を維持するために、熱伝導シート74の他端74bをコネクタフレーム62の天板部62aに向かって付勢するクッション部材78を、撮像装置10は有する。
【0044】
クッション部材78は、発砲ウレタンなどの弾性材料から作製され、コネクタフレーム62に比べて低い剛性を備える。本実施の形態の場合、クッション部材78は、熱伝導シート74の第2の部分74bに接着シート80を介して貼り付けられている。また、クッション部材78は、リアケーシング14に設けられ、リアケーシング14に設けられたダイヤル24などのマンマシンインターフェースが取り付けられたベース板(クッション部材支持部材)82に支持されている。
【0045】
フロントユニット50とリアユニット52とが合体した状態のとき、コネクタフレーム62の天板部62aとクッション部材78との間に熱伝導シート74の第2の部分74bが挟まれる。その状態で、クッション部材78は、コネクタフレーム62とベース板82との間で圧縮変形する。それにより、クッション部材78がコネクタフレーム62を変形させない付勢力で熱伝導シート74の第2の部分74bをコネクタフレーム62に向かって付勢する。それにより、熱伝導シート74とコネクタフレーム62との間の接触が維持される。その結果、コネクタフレーム62が、熱伝導シート74を介して、放熱板66に熱的に接続される。
【0046】
メンテナンスのためにフロントユニット50とリアユニット52とに撮像装置10を分解すると、熱伝導シート74の第2の部分74bがコネクタフレーム62の天板部62aから離れる。メンテナンスが完了してフロントユニット50とリアユニット52とを再び合体させると、熱伝導シート74の第2の部分74bがコネクタフレーム62の天板部62aに再び面接触する。したがって、撮像装置10は、コネクタフレーム62に対して、具体的にはコネクタフレーム62に挿入された記録媒体Mに対して高い放熱性を確保しつつ高いメンテナンス性(分解および組み立てのしやすさ)を備える。すなわち、フロントユニット50とリアユニット52とに分解するだけでコネクタフレーム62と放熱板66との間の熱的な接続が解除される。また、フロントユニット50とリアユニット52とを合体させるだけで、コネクタフレーム62と放熱板66との間の熱的な接続が確立される。その結果、修理などのメンテナンス時に、コネクタフレーム62と放熱板66との間の熱的な接続に関して何らかの作業を行う必要がない。また、リアユニット52の取り外し時に熱伝導シート74が破れることなく、再利用が可能である。
【0047】
なお、本実施の形態の場合、クッション部材78は、熱伝導シート74の第2の部分74bに接着シート80を介して貼り付けられている。これに代わって、クッション部材78は、熱伝導シート74に貼り付けされずに、ベース板82に貼り付けられてもよい。また、ベース板82に代わって、クッション部材78を支持する別の部材をリアユニット52に設けてもよい。
【0048】
本実施の形態の場合、放熱板66は、外気によって冷却される。
【0049】
図9Aおよび図9Bは、放熱板が取り外された状態のリアユニットを示している。図9Aは前方斜視図であって、図9Bは後方斜視図である。なお、図9Aおよび図9Bにおいて、モニタ26、チルトベース28、およびヒンジ30は省略されている。
【0050】
上述したようにまた図9Aに示すように、リアユニット52のリアケーシング14には、吸気口14cが設けられている。吸気口14cを通過した外気は、放熱板66とリアケーシング14との間に流入する。このような外気の流入を発生させるために、リアケーシング14と対向する放熱板66のリア面66bにはファン84が取り付けられている。すなわち、ファン84はリアユニット52に含まれている。
【0051】
本実施の形態の場合、図9Bに示すように、ファン84は、シロッコファンである。具体的には、ファン84は、吸い込み口84aを介してファンの回転中心線Rの延在方向(X軸方向)に外気を吸い込む。また、ファン84は、その吸い込んだ外気を、吹き出し口84bを介して、回転中心線Rの延在方向に対して直交する方向(Y軸方向)に吹き出す。なお、ファン84は、その回転中心線Rの延在方向が撮像装置10の前後方向と平行になるように、リアユニット52に設けられている。
【0052】
また、ファン84の吹き出し口84bの前方には、ヒートシンク86が配置されている。ヒートシンク86は、放熱板66のリア面66bに取り付けられて熱的に接続されている。また、ヒートシンク86は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)にそれぞれ延在し、間隔をあけて高さ方向(Z軸方向)に並んでいる複数のフィン86aを備える。
【0053】
ファン84が回転すると、リアケーシング14の吸気口14c(吸気口カバー32)を介して外気が撮像装置10内に吸気される。吸気された外気は、吸い込み口84aを介してファン84内に入り、吹き出し口84bを介して吹き出される。吹き出された外気は、ヒートシンク86の複数のフィン86aの間を通過する。そのとき、外気は、放熱板66からヒートシンク86に伝達された熱を複数のフィン86aを介して奪う。そして、熱を奪って高温状態の外気は、リアケーシング14の排気口14e(排気口カバー部16a)を介して撮像装置10の外部に排出される。このような外気の流れにより、放熱板が冷却され、その結果として放熱板66に熱的に接続されているカードコネクタ60のコネクタフレーム62、メモリ56、ICチップ58、および基板54が冷却される。
【0054】
以上のような本実施の形態によれば、取り外し可能な記録媒体に撮影動画などを保存する撮像装置において、記録媒体に対する高い放熱性能を確保しつつ高いメンテナンス性を実現することができる。すなわち、メンテナンスのために撮像装置を複数のユニットに分解したときに記録媒体のコネクタと放熱板とが別々のユニットに含まれていても、コネクタのコネクタフレームと放熱板との間の熱的な接続を容易に復元可能に解除することができる。
【0055】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限定されない。
【0056】
例えば、上述の実施の形態の場合、図8Aおよび図8Bに示すように、カードコネクタ60のコネクタフレーム62と放熱板66とを熱的に接続する熱伝導シート74は、グラファイトシートであるが、本開示の実施の形態はこれに限らない。熱伝導シート74は、例えば、シート状の薄い銅板であってもよい。ただし、図8Aおよび図8B示すように、熱伝導シート74を曲げる必要がある場合、および/またはコネクタフレーム62の天板部62aに凹凸がある場合には、より高い可撓性を備えるグラファイトシートが好ましい。
【0057】
また、上述の実施の形態の場合、カードコネクタ60が設けられている基板54がフロントユニット50に含まれ、放熱板66がリアユニット52に含まれている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、カードコネクタが設けられている基板がリアユニットに含まれ、放熱板66がフロントユニットに含まれてもよい。
【0058】
さらに、上述の実施の形態の場合、放熱板66は、メモリ56、ICチップ58、および基板54から熱を吸収するためにこれらに対して基板54の厚さ方向に対向している。そして、そのような放熱板66に、熱伝導シート74を介して、放熱板66から離れて設けられているカードコネクタ60のコネクタフレーム62が熱的に接続されている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。カードコネクタのコネクタフレーム専用の放熱板が別途設けられてもよい。
【0059】
さらにまた、上述の実施の形態の場合、放熱板66は、ヒートシンク86を介して、ファン84によって強制冷却されている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、記録媒体Mを十分に冷却できるのであれば、放熱板はファンレスで冷却されてもよい。
【0060】
加えて、上述の実施の形態の場合、撮像装置10に対して取り外し可能な記録媒体Mは、カード型の記録媒体、すなわちメモリーカードの一例であるCFexpressカードである。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。記録媒体は、基板に設けられた記録媒体収容部に取り外し可能に収容される記録媒体であればよい。例えば、記録媒体は、SDカード、microSDカードなどのメモリーカードであってもよい。
【0061】
すなわち、本開示の実施の形態に係る撮像装置は、広義には、基板と、前記基板に設けられ、記録媒体が取り外し可能に収容される記録媒体収容部と、前記記録媒体収容部から離れた位置に設けられた放熱板と、前記放熱板に固定される第1の部分および前記記録媒体収容部に接触する第2の部分を備える熱伝導シートと、前記熱伝導シートの第2の部分を前記記録媒体収容部に向かって付勢し、前記熱伝導シートの第2の部分と前記記録媒体収容部との間の接触を維持するクッション部材と、前記クッション部材を支持するクッション部材支持部材と、を有する。
【0062】
なお、選択的に、本開示の実施の形態に係る撮像装置は、筺体のリア面に設けられた吸気口と、前記リア面に対して傾動可能であって、前記リア面に最も近づいた状態のときに前記吸気口の少なくとも一部分を覆う端部を備えるチルトベースと、前記チルトベースに対して重なる第1の位置と離れる第2の位置との間を移動可能に前記チルトベースに設けられたモニタと、を有し、前記チルトベースの端部には、前記モニタが前記第1の位置に位置するときに前記チルトベースに対向する前記モニタの表面の一部分を露出させる凹部を備え、前記チルトベースが前記リア面に最も近づいた状態のときに、前記凹部が前記吸気口上に位置する、撮像装置であってもよい。
【0063】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0064】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示は、取り外し可能な記録媒体を冷却する撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 撮像装置
54 基板
62 記録媒体収容部(コネクタフレーム)
74 熱伝導シート
74a 第1の部分
74b 第2の部分
78 クッション部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B