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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】投影システム、投影装置及び投影方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20230616BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230616BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20230616BHJP
   G09G 5/22 20060101ALI20230616BHJP
   G09G 5/32 20060101ALI20230616BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
G09G5/00 550C
G09G5/00 510B
G09G5/00 510H
G09G5/22 680Z
G09G5/32 640Z
H04N5/74 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019067670
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166161
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-01-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】林 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】西 哲也
(72)【発明者】
【氏名】原 啓介
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-117582(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103543(WO,A1)
【文献】米国特許第09723248(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 - 21/64
G09G 3/00 - 5/42
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場における複数の作業箇所の各々で作業を行う作業者の位置を認識する位置認識部と、
前記複数の作業箇所を示す設計データと、前記位置認識部によって認識された位置と、前記複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、前記作業者の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と前記対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定するデータ処理部と、
前記対象箇所に前記対象図面を投影する投影装置とを備え
前記データ処理部は、さらに、前記複数の作業箇所の各々を前記対象箇所として決定する順序を、前記位置認識部によって認識された位置と前記複数の作業箇所の位置情報とに基づいて決定し、
前記投影装置は、前記データ処理部によって決定された順序で、前記対象箇所に前記対象図面を投影する
投影システム。
【請求項2】
さらに、前記作業者からの作業終了の指示を受け付ける受付部を備え、
前記位置認識部は、前記受付部によって前記指示が受け付けられた後、前記作業者の位置を認識し、
前記データ処理部は、前記位置認識部によって前記作業者の位置が認識される度に、前記対象箇所及び前記対象図面を決定する
請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記投影装置は、さらに、前記対象箇所の近傍に作業順序を表す番号を投影する
請求項1又は2に記載の投影システム。
【請求項4】
前記投影装置は、さらに、前記投影装置の姿勢を変更する駆動部を有し、
前記駆動部は、前記複数の作業箇所に含まれる第1の作業箇所と第2の作業箇所とにこの順で図面の投影を行う場合において、前記第2の作業箇所が、前記投影装置によって投影可能な画角の範囲外に位置している場合、前記第1の作業箇所での作業が終了した後に、前記第2の作業箇所が前記画角の範囲に入るように前記投影装置の姿勢を変更する
請求項1~のいずれか1項に記載の投影システム。
【請求項5】
前記位置認識部は、前記作業現場を撮影するカメラを含む
請求項1~のいずれか1項に記載の投影システム。
【請求項6】
前記位置認識部は、前記作業者が所持する通信端末から送信される無線信号を受信する受信機を含む
請求項1~のいずれか1項に記載の投影システム。
【請求項7】
作業現場における複数の作業箇所の各々で作業を行う作業者の位置を認識する位置認識部と、
前記複数の作業箇所を示す設計データと、前記位置認識部によって認識された位置と、前記複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、前記作業者の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と前記対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定するデータ処理部と、
前記対象箇所に前記対象図面を投影する投影部とを備え
前記データ処理部は、さらに、前記複数の作業箇所の各々を前記対象箇所として決定する順序を、前記位置認識部によって認識された位置と前記複数の作業箇所の位置情報とに基づいて決定し、
前記投影部は、前記データ処理部によって決定された順序で、前記対象箇所に前記対象図面を投影する
投影装置。
【請求項8】
作業現場における複数の作業箇所の各々で作業を行う作業者の位置を認識するステップと、
前記複数の作業箇所を示す設計データと、前記作業者の位置と、前記複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、前記作業者の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と前記対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定するステップと、
投影装置が前記対象箇所に前記対象図面を投影するステップとを含み、
前記決定するステップでは、さらに、前記複数の作業箇所の各々を前記対象箇所として決定する順序を、前記認識するステップで認識された位置と前記複数の作業箇所の位置情報とに基づいて決定し、
前記投影するステップでは、前記順序で、前記対象箇所に前記対象図面を投影する
投影方法。
【請求項9】
さらに、前記作業者からの作業終了の指示を受け付けるステップを含み、
前記認識するステップでは、前記指示が受け付けられた後、前記作業者の位置を認識し、
前記決定するステップでは、前記作業者の位置が認識される度に、前記対象箇所及び前記対象図面を決定する
請求項に記載の投影方法。
【請求項10】
前記投影するステップでは、さらに、前記対象箇所の近傍に作業順序を表す番号を投影する
請求項8又は9に記載の投影方法。
【請求項11】
前記投影装置は、前記投影装置の姿勢を変更する駆動部を有し、
さらに、前記複数の作業箇所に含まれる第1の作業箇所と第2の作業箇所とにこの順で図面の投影を行う場合において、前記第2の作業箇所が、前記投影装置によって投影可能な画角の範囲外に位置している場合、前記第1の作業箇所での作業が終了した後に、前記第2の作業箇所が前記画角の範囲に入るように前記投影装置の姿勢を前記駆動部が変更するステップを含む
請求項~1のいずれか1項に記載の投影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影システム、投影装置及び投影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンなどに画像を投影することができる投影装置が知られている。投影装置に関連する技術として、特許文献1には、設計案のオブジェクトを部屋の境界壁面に表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-522905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、作業箇所が多い場合に作業を効率良く行うことができない。
【0005】
そこで、本発明は、作業者に効率良く作業を行わせることができ、工期の短縮及び作業者の負担を軽減することができる投影システム、投影装置及び投影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る投影システムは、作業現場における複数の作業箇所の各々で作業を行う作業者の位置を認識する位置認識部と、前記複数の作業箇所を示す設計データと、前記位置認識部によって認識された位置と、前記複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、前記作業者の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と前記対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定するデータ処理部と、前記対象箇所に前記対象図面を投影する投影装置とを備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る投影装置は、作業現場における複数の作業箇所の各々で作業を行う作業者の位置を認識する位置認識部と、前記複数の作業箇所を示す設計データと、前記位置認識部によって認識された位置と、前記複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、前記作業者の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と前記対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定するデータ処理部と、前記対象箇所に前記対象図面を投影する投影部とを備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る投影方法は、作業現場における複数の作業箇所の各々で作業を行う作業者の位置を認識するステップと、前記複数の作業箇所を示す設計データと、前記作業者の位置と、前記複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、前記作業者の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と前記対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定するステップと、投影装置が前記対象箇所に前記対象図面を投影するステップとを含む。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記投影方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現することができる。あるいは、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る投影装置などによれば、作業者に効率良く作業を行わせることができ、工期の短縮及び作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る投影システムの概要を説明するための図である。
図2図2は、実施の形態に係る投影システムを構成する装置の外観図である。
図3図3は、実施の形態に係る投影システムの機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態に係る投影システムの動作を示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態に係る投影システムによる図面の投影順序の一例を示す図である。
図6図6は、実施の形態に係る投影システムにおける投影装置の姿勢を変更する様子を示す図である。
図7図7は、実施の形態の変形例1に係る投影システムによる図面の投影順序の一例を示す図である。
図8図8は、実施の形態の変形例2に係る投影システムの動作を示すフローチャートである。
図9図9は、実施の形態の変形例3に係る投影システムの動作を示すフローチャートである。
図10図10は、実施の形態の変形例4に係る投影装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施の形態に係る投影システム、投影装置及び投影方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
(実施の形態)
[概要]
実施の形態に係る投影システムの概要について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る投影システムの概要を示す図である。図2は、本実施の形態に係る投影システムを構成する装置の外観図である。
【0015】
本実施の形態に係る投影システム10は、投影装置20を備える。図1に示されるようい、投影装置20は、建築中の建物内の作業現場100に設置される。投影装置20は、作業現場100を構成する構造物に図面110を投影する。構造物は、具体的には、床、壁、柱又は天井などである。図面110は、例えば、作業現場100における作業箇所101に投影される図面である。作業者120は、図面110に従って作業を行うことで、容易かつ正確に作業を行うことができる。
【0016】
作業は、例えば、墨出し作業である。例えば、投影される図面110は、墨出し線を作業者120が描くべき位置に設計通りの長さで投影される光の線又は図形である。作業者120は、図面110が示す光の線又は図形をなぞるだけで容易に墨出し線を描くことができる。なお、光の線又は図形が墨出し線を描くためのガイドとして使用されることは必須ではない。光の線又は図形そのものが墨出し線として用いられてもよい。また、作業は、墨出し作業でなくてもよく、穴を開ける作業であってもよく、特に限定されない。
【0017】
作業現場100には、作業者120が作業を行うべき作業箇所が複数存在する。例えば、図1に示されるように、作業現場100には、3つの作業箇所101、102及び103が存在する。本実施の形態に係る投影システム10は、3つの作業箇所101、102及び103の各々に適切な順序で図面110を投影することにより、作業者120に効率良く作業を行わせることができる。
【0018】
[システム構成]
次に、本実施の形態に係る投影システム10の具体的な機能構成について、図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る投影システムの機能構成を示すブロック図である。図2及び図3に示されるように、投影システム10は、投影装置20と、データ処理装置30と、端末装置40とを備える。
【0019】
[投影装置]
投影装置20は、例えば、図1及び図2に示されるように、三脚に取り付けられて作業現場100の床に設置される。あるいは、投影装置20は、作業現場100の壁又は天井に設置されてもよい。図3に示されるように、投影装置20は、通信部21と、測距部22と、投影部23と、認識部24と、制御部25と、記憶部26と、駆動部27とを備える。
【0020】
通信部21は、投影装置20がデータ処理装置30及び端末装置40と通信を行うための通信インタフェースである。通信部21は、データ処理装置30及び端末装置40の各々と無線通信を行うが、有線通信を行ってもよい。通信部21が行う通信の規格については、特に限定されない。
【0021】
測距部22は、投影装置20から作業現場100を構成する構造物までの距離を測定する。測距部22は、例えば、TOF(Time Of Flight)センサなどの距離画像センサである。距離画像センサは、距離の測定結果として、距離画像を生成する。距離画像を構成する複数の画素の各々の画素値は、測距部22からの距離を示している。なお、測距部22は、位相差検出方式を用いた測距センサ、又は、三角測距方式を用いた測距センサなど、その他の測距センサであってもよい。図3に示されるように、測距部22は、測距用光源22aと、検知部22bとを備える。
【0022】
測距用光源22aは、構造物に向けて光を発する光源である。測距用光源22aは、例えば、赤外光を発する発光素子である。あるいは、測距用光源22aは、可視光を発する発光素子であってもよい。なお、測距用光源22aは、投影部23が有する光源23aと別体である必要はなく、投影部23が有する光源23aが測距用光源22aとして用いられてもよい。つまり、測距部22は、測距用光源22aを有していなくてもよく、検知部22bのみを有するセンサであってもよい。
【0023】
検知部22bは、測距用光源22aが発した光の構造物による反射光を検知する受光素子である。検知部22bは、例えば、フォトダイオードアレイによって構成されるイメージセンサである。
【0024】
投影部23は、図面110を投影面に投影するための投影モジュールである。投影部23は、光源23aと、走査部23bとを備える。なお、図示されていないが、投影部23は、レンズ及びミラーなどの光学部品を備えていてもよい。
【0025】
光源23aは、例えば、可視光の光を出射する半導体レーザ素子である。あるいは、光源23aは、LED(Light Emitting Diode)であってもよい。光源23aは、発光色を変更できる構成を有してもよい。例えば、光源23aは、発光色が異なる複数の発光素子を含んでもよい。複数の発光素子には、例えば、青色発光素子、緑色発光素子及び赤色発光素子が含まれる。
【0026】
走査部23bは、光源23aが発する光を構造物上で走査する。走査部23bは、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー、若しくはガルバノスキャナ等である。
【0027】
本実施の形態では、投影部23は、複数の作業箇所101、102及び103のうち、データ処理装置30によって決定された作業箇所である対象箇所に、当該対象箇所に投影する図面である対象図面を投影する。例えば、図1に示される例では、投影部23は、作業箇所101に図面110を投影している。
【0028】
また、投影部23によって投影可能な画角111には制限がある。例えば、画角111は、投影装置20が水平面に設置された場合において、水平方向に約40°で、かつ、垂直方向に約20°の範囲に投影が可能である。このため、図1に示される例では、作業箇所101及び102には図面110の投影が可能であるが、作業箇所103には図面110の投影ができない。作業箇所103に図面110を投影するためには、投影装置20の姿勢を自動又は手動で変更する必要がある。本実施の形態では、駆動部27によって投影装置20の姿勢が変更されることにより、投影部23による投影方向及び投影可能な範囲が変更される。
【0029】
認識部24は、作業者120の位置を認識する位置認識部の一例である。認識部24は、カメラ24aと、受信機24bとを含む。
【0030】
カメラ24aは、作業現場100を撮影する。カメラ24aは、赤外線又は可視光を検出するイメージセンサを含む。カメラ24aは、例えば、作業者120だけでなく、複数の作業箇所101、102及び103を含む範囲を撮影する。カメラ24aによって撮影された画像に対して、輪郭抽出処理などを行うことにより画像内における作業者120の位置を認識することができる。認識部24は、撮影された画像と設計データとを比較することにより、作業現場100における作業者120の位置を認識する。
【0031】
受信機24bは、作業者120が所持する端末装置40から送信される無線信号を受信する。無線信号は、例えば、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)又は赤外線を用いて端末装置40から送信されるビーコン信号である。あるいは、無線信号は、端末装置40が有するRFID(Radio Frequency IDentifier)タグから送信されるID情報を含む電波信号であってもよい。
【0032】
なお、カメラ24aは、測距部22が有する検知部22bと別体である必要はなく、測距部22が有する検知部22bが認識部24のカメラ24aとして用いられてもよい。また、受信機24bは、通信部21と別体である必要はなく、通信部21が認識部24の受信機24bとして用いられてもよい。
【0033】
また、認識部24は、カメラ24a及び受信機24bの一方を含まなくてもよい。認識部24がカメラ24aを含む場合には、作業者120が各作業箇所で実際に作業を正しく行ったか否かを認識することができる。認識部24が受信機24bを含む場合には、カメラ24aの撮影範囲外に作業者120が居るとき、及び、作業現場100が暗くて作業者120が画像に映らないときであっても、作業者120の位置を認識することができる。
【0034】
また、無線信号は、電波を用いた信号ではなく、可視光を用いた信号であってもよい。例えば、端末装置40の通信部41は、可視光通信を行う発光部であってもよく、認識部24は、可視光受信機であってもよい。認識部24は、可視光に含まれるID情報を取得することで、端末装置40の位置を認識してもよい。
【0035】
制御部25は、投影面に図面110を投影するために、測距部22、投影部23、認識部24及び駆動部27を制御する制御装置である。制御部25は、例えば、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)によって実現される。なお、集積回路はLSIに限られず、専用回路又は汎用プロセッサで実現されてもよい。例えば、制御部25は、マイクロコンピュータによって実現されてもよい。また、制御部25には、プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内部の回路セルの接続及び設定が再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサが利用されてもよい。
【0036】
記憶部26は、制御部25によって実行される制御プログラムであって、図面110を投影するための制御プログラムが記憶された記憶装置である。記憶部26は、例えば、不揮発性メモリであり、半導体メモリなどによって実現される。
【0037】
駆動部27は、投影装置20の姿勢を変更するための駆動機構である。駆動部27は、投影装置20の姿勢を変更することで、投影可能な方向を変更する。例えば、駆動部27は、投影装置20の姿勢を、パン(水平方向)、チルト(垂直方向)及びロール(回転方向)の各々に対して変更することができる。駆動部27は、例えば、ステッピングモータなどによって実現される。
【0038】
本実施の形態では、複数の作業箇所の各々に図面を投影する順序が定められる。例えば、図1に示される例において、作業箇所102(第1の作業箇所)と作業箇所103(第2の作業箇所)とにこの順で図面の投影が行われる場合を想定する。この場合、駆動部27は、作業箇所103が、投影装置20によって投影可能な画角111の範囲外に位置している場合、作業箇所102での作業が終了した後に、作業箇所103が画角111の範囲に入るように投影装置20の姿勢を変更する。これにより、作業者120が投影装置20の姿勢を変更しなくても、自動的に姿勢が変更されて、次の作業箇所103に図面110が投影される。
【0039】
作業の終了は、例えば、作業者120が操作する端末装置40から送信される信号に基づいて、制御部25によって判定される。あるいは、制御部25は、認識部24のカメラ24aによって撮影された画像に基づいて作業の終了を判定してもよい。
【0040】
駆動部27は、制御部25によって制御される。制御部25は、投影装置20の現在の姿勢と次の作業箇所103の位置とに基づいて、作業箇所103が画角111の範囲内に入るように投影装置20の姿勢の移動方向及び移動量を決定する。制御部25は、決定した移動方向及び移動量で駆動部27を制御することで、駆動部27が投影装置20の姿勢を変更する。なお、作業箇所103の後に作業を行う1つ以上の作業箇所が存在する場合、制御部25は、作業箇所103と、作業順序で作業箇所103から連続する1つ以上の作業箇所とを含む複数の作業箇所が画角111の範囲内に入るように、移動方向及び移動量を決定してもよい。これにより、1回の姿勢の変更によって複数の作業箇所を画角111の範囲内に入れることができるので、姿勢の変更回数を削減することができる。
【0041】
[データ処理装置]
次に、データ処理装置30について説明する。データ処理装置30は、図面を投影する作業箇所と、当該作業箇所に投影される対象図面とを決定する情報処理装置である。データ処理装置30は、例えば、コンピュータ機器である。データ処理装置30は、図3に示されるように、通信部31と、データ処理部32と、制御部33と、記憶部34とを備える。
【0042】
通信部31は、データ処理装置30が投影装置20及び端末装置40と通信を行うための通信インタフェースである。通信部31は、投影装置20及び端末装置40の各々と無線通信を行うが、有線通信を行ってもよい。通信部31が行う通信の通信規格については、特に限定されない。
【0043】
データ処理部32は、図面110の投影する順序を決定する処理を行う。データ処理部32は、例えば、マイクロコンピュータ又はプロセッサである。データ処理部32は、具体的には、設計データと、認識部24によって認識された位置と、複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と、対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定する。
【0044】
設計データは、複数の作業箇所を示すデータである。具体的には、設計データは、作業現場100の大きさ、及び、形状を示す三次元データである。例えば、設計データは、三次元CAD(Computer Aided Design)データである。設計データには、作業現場100の間取りを示す二次元データ、及び、複数の作業箇所を示す二次元データも含まれる。設計データでは、複数の作業箇所の各々と、投影される図面とが対応付けられている。作業箇所が対象箇所として決定されることにより、設計データを参照することで、対象箇所に投影される対象図面が決定される。
【0045】
データ処理部32は、例えば、設計データと実際の作業現場100との対応付けを行う。実際の作業現場100は、例えば、投影装置20が作業現場100に設置された後、周囲の構造物までの距離を測距することにより得られた空間データによって示される。対応付けを行うことにより、設計データ上での投影装置20の設置位置及び姿勢(向き)が特定される。なお、作業者120又は作業の管理者などのユーザが、設置された投影装置20の設計データ上での位置を入力してもよい。つまり、投影装置20は、作業現場100の測距を行わなくてもよい。
【0046】
データ処理部32は、設計データと実際の作業現場100との対応関係に基づいて、認識部24によって得られた作業者120の位置を設計データ上で特定する。データ処理部32は、作業者120の位置と複数の作業箇所との位置関係に基づいて、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所を対象箇所として決定する。例えば、データ処理部32は、作業者120の位置から複数の作業箇所の各々までの移動距離を算出し、算出した移動距離が最短になる作業箇所を対象箇所として算出する。作業者120の位置と作業箇所との間に柱又は壁などの障害物が存在する場合は、移動距離は、当該障害物を避けて移動する場合の最短距離になる。例えば、データ処理部32は、作業者120の位置から障害物までの直線距離と、障害物から作業箇所までの直線距離と、障害物を回り込むのに要する障害物の縁に沿った長さとの合計を、作業者120の位置から作業箇所までの距離として算出する。なお、移動距離の算出方法は、特に限定されない。
【0047】
制御部33は、対象箇所及び対象図面を決定するために、通信部31、データ処理部32及び記憶部34を制御する制御装置である。制御部33は、例えば、集積回路であるLSIによって実現される。なお、集積回路はLSIに限られず、専用回路又は汎用プロセッサで実現されてもよい。例えば、制御部33は、マイクロコンピュータによって実現されてもよい。また、制御部33には、プログラム可能なFPGA、又は、LSI内部の回路セルの接続及び設定が再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサが利用されてもよい。
【0048】
記憶部34は、データ処理部32及び制御部33で実行される、対象箇所及び対象図面を決定するための制御プログラムが記憶された記憶装置である。記憶部34は、例えば、不揮発性メモリであり、半導体メモリなどによって実現される。記憶部34は、さらに、設計データ、及び、投影される図面を示す図面データを記憶している。
【0049】
[端末装置]
次に、端末装置40について説明する。端末装置40は、作業者120の位置の認識に用いられる装置である。また、端末装置40は、作業者120が投影装置20を遠隔操作するためのリモートコントローラとしても機能する。例えば、端末装置40は、投影装置20の専用リモートコントローラである。あるいは、端末装置40は、専用のアプリケーションプログラムがインストールされたスマートフォン又はタブレット端末などの携帯端末であってもよい。図3に示されるように、端末装置40は、通信部41と、操作受付部42と、表示部43と、制御部44と、記憶部45とを備える。
【0050】
通信部41は、端末装置40が投影装置20及びデータ処理装置30と通信を行うための通信インタフェースである。通信部41は、投影装置20及びデータ処理装置30の各々と無線通信を行うが、有線通信を行ってもよい。通信部41が行う通信の通信規格については、特に限定されない。
【0051】
また、通信部41は、例えば、ビーコン信号を定期的に送信してもよい。ビーコン信号は、作業者120の位置の認識に用いられる。あるいは、通信部41は、RFIDタグを含んでもよく、端末装置40に固有の識別情報を送信してもよい。
【0052】
操作受付部42は、作業者120の操作を受け付けるユーザインタフェース装置である。操作受付部42は、例えば、1つ以上の物理的なボタンによって実現されるが、タッチパネルなどであってもよい。
【0053】
表示部43は、投影装置20の動作状況などを示す画像を表示する。表示部43は、例えば、液晶表示パネル又は有機EL(Electro Luminescence)表示パネルである。
【0054】
制御部44は、通信部41、操作受付部42、表示部43及び記憶部45を制御する制御装置である。制御部44は、集積回路であるLSIによって実現される。なお、集積回路はLSIに限られず、専用回路又は汎用プロセッサで実現されてもよい。例えば、制御部44は、マイクロコンピュータによって実現されてもよい。また、制御部44には、プログラム可能なFPGA、又は、LSI内部の回路セルの接続及び設定が再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサが利用されてもよい。
【0055】
具体的には、制御部44は、操作受付部42によって受け付けられた操作に応じて投影装置20を動作させるための信号を通信部41に投影装置20へ送信させる。例えば、制御部44は、作業終了の指示を受け付ける操作を作業者120から操作受付部42が受け付けた場合に、作業終了を示す終了信号を通信部41に投影装置20へ送信させる。
【0056】
記憶部45は、制御部44によって実行される制御プログラムが記憶された記憶装置である。記憶部45は、例えば、不揮発性メモリであり、半導体メモリなどによって実現される。記憶部45は、端末装置40に固有の識別情報を記憶していてもよい。
【0057】
[動作]
続いて、本実施の形態に係る投影システム10の動作について、図4図6を用いて説明する。
【0058】
図4は、本実施の形態に係る投影システム10の動作を示すフローチャートである。図4に示されるように、まず、投影装置20が設置される(S10)。例えば、作業者120が作業現場100の床などに投影装置20を設置する。投影装置20が設置された後、データ処理装置30は、実際の作業現場100と設計データとの対応付けを行う。
【0059】
次に、投影装置20の認識部24は、作業者120の位置を認識する(S11)。例えば、認識部24のカメラ24aが作業者120を撮影することで、作業者120の位置を認識する。認識された位置は、通信部21及び通信部31を介して、データ処理装置30のデータ処理部32に送信される。
【0060】
次に、データ処理部32は、認識された作業者120の位置と設計データとを照合し、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所を対象箇所として決定する(S12)。具体的には、データ処理部32は、認識された作業者120の位置を設計データ上で特定する。データ処理部32は、作業者120の位置から複数の作業箇所の各々までの移動距離を算出し、算出した移動距離が最短になる作業箇所を対象箇所として決定する。データ処理部32は、さらに、決定した対象箇所に投影される図面である対象図面を決定する。例えば、データ処理部32は、作業箇所と図面との対応情報を参照することで、対象図面を決定する。決定した対象箇所及び対象図面は、通信部21及び通信部31を介して、投影装置20の制御部25に送信される。
【0061】
次に、制御部25は、対象箇所が投影の画角111内であるか否かを判定する(S13)。対象箇所が投影の画角111内でない場合(S13でNo)、制御部25は、駆動部27を制御することで、投影装置20の姿勢を変更する(S14)。これにより、投影装置20による投影の画角111内に対象箇所が入り、図面110の投影が可能な状態になる。対象箇所が投影の画角111内である場合(S13でYes)、駆動部27は、投影装置20の姿勢を変更せずに、そのままの状態で維持する。
【0062】
次に、投影装置20の投影部23は、決定された作業箇所である対象箇所に対応図面を投影する(S15)。作業者120は、表示された図面110に基づいて墨出し作業などの作業を行う。作業が終了した後、作業者120は、端末装置40を操作することで、作業終了を指示する。作業終了が指示されるまで(S16でNo)、作業箇所には図面110が投影され続ける。作業終了が指示された後(S16でYes)、次の作業箇所が存在する場合(S17でYes)、ステップS11に戻り、認識部24が作業者120の位置を認識する。以降、全ての作業箇所での作業が終了するまで(S17でNo)、上述したステップS11~S17の処理が繰り返される。
【0063】
以下では、図1に示される作業現場100で、上述した動作が適用された場合の具体例について、図5及び図6を用いて説明する。
【0064】
図5は、本実施の形態に係る投影システム10による図面110の投影順序の一例を示す図である。図6は、本実施の形態に係る投影システム10における投影装置20の姿勢を変更する様子を示す図である。
【0065】
図5の(a)に示される例では、作業者120の位置から3つの作業箇所101、102及び103の各々までの移動距離を算出する。作業箇所101が作業者120に最も近い位置に位置しているので、作業箇所101が対象箇所として決定され、図面110が作業箇所101に投影される。このため、作業者120は、図面110を確認して作業箇所101で作業を行う。
【0066】
作業箇所101での作業が終了した後、作業者120は、端末装置40を操作することで、作業終了の指示を入力する。これにより、認識部24で作業者120の位置が認識され、認識された位置からの移動距離が最短になる作業箇所が対象箇所として決定される。例えば、図5の(a)には、移動距離が最短になる移動経路を破線の矢印で表している。作業箇所102が対象箇所として選択されるので、図5の(b)に示されるように、作業箇所102に図面110が投影される。
【0067】
作業箇所102での作業が終了した後、作業箇所103が対象箇所として決定される。このとき、図6の(a)に示されるように、作業箇所103は、投影装置20による投影の画角111の範囲外に位置している。このため、図6の(b)に示されるように、駆動部27が投影装置20の姿勢を変更することにより、作業箇所103が画角111の範囲内に含まれる。そして、図5の(c)に示されるように、作業箇所103に図面110が表示されるので、作業者120は、作業箇所103で作業を行うことができる。
【0068】
このように、本実施の形態では、作業箇所での作業が終了する度に、作業者120の位置の認識と、対象箇所及び対象図面の決定とが行われる。これにより、作業者120が作業を終了した時点での位置に最も近い作業箇所が対象箇所として決定されるので、作業者120が効率良く移動することができる。
【0069】
なお、作業箇所101で作業を終了した後に、作業者120が作業箇所101とは異なる位置に移動することが想定される。例えば、作業道具の交換又は休憩などのために、作業者120が作業箇所101から離れる場合がある。この場合、移動後の作業者120の位置で作業終了を指示することにより、移動後の位置が認識されるので、移動後の位置からの移動距離が最短になる作業箇所が対象箇所として決定される。例えば、作業者120が作業箇所101で作業を終了した後、投影装置20の近くまで移動し、その後に作業終了の指示を行った場合、作業箇所103が対象箇所として選択されて、作業箇所103に図面110が投影される。この場合は、作業箇所101、作業箇所103、作業箇所102の順に図面が表示される。
【0070】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る投影システム10は、作業現場100における複数の作業箇所の各々で作業を行う作業者120の位置を認識する認識部24と、複数の作業箇所を示す設計データと、認識部24によって認識された位置と、複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定するデータ処理部32と、対象箇所に対象図面を投影する投影装置20とを備える。
【0071】
これにより、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所に図面が投影されるので、作業者120は、図面が投影された作業箇所に移動して作業を行えばよい。移動距離が最短であるので、作業者120に効率良く作業を行わせることができ、工期の短縮及び作業者120の負担を軽減することができる。
【0072】
また、例えば、投影システム10は、さらに、作業者120からの作業終了の指示を受け付ける操作受付部42を備える。認識部24は、操作受付部42によって指示が受け付けられた後、作業者120の位置を認識する。データ処理部32は、認識部24によって作業者120の位置が認識される度に、対象箇所及び対象図面を決定する。
【0073】
これにより、作業箇所での作業が終了する度に、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所に図面110が投影されるので、作業者120は、図面110が投影された場所を確認して移動し、作業を行うことを繰り返せばよい。このように、作業者120に複数の作業箇所での作業を効率良く行わせることができる。
【0074】
また、例えば、投影装置20は、さらに、投影装置20の姿勢を変更する駆動部27を有する。駆動部27は、複数の作業箇所に含まれる第1の作業箇所と第2の作業箇所とにこの順で図面の投影を行う場合において、第2の作業箇所が、投影装置20によって投影可能な画角111の範囲外に位置している場合、第1の作業箇所での作業が終了した後に、第2の作業箇所が画角111の範囲に入るように投影装置20の姿勢を変更する。
【0075】
これにより、作業者120が投影装置20の姿勢を変更する必要がないので、作業者120の負担を軽減することができる。
【0076】
また、例えば、認識部24は、作業現場100を撮影するカメラ24aを含む。
【0077】
これにより、カメラによって作業者120の位置を容易かつ精度良く認識することができる。また、カメラが作業者120だけでなく作業箇所101も撮影することにより、墨出し作業が実際に行われたか否かを検出することができる。このため、作業の進捗状況を確認することができ、作業の抜け漏れを抑制することができる。
【0078】
また、例えば、認識部24は、作業者120が所持する端末装置40から送信される無線信号を受信する受信機24bを含む。
【0079】
これにより、作業現場100が暗い場合などの、作業者120がカメラで撮影できない場合においても、作業者120の位置を容易かつ精度良く認識することができる。
【0080】
また、例えば、本実施の形態に係る投影方法は、作業現場100における複数の作業箇所の各々で作業を行う作業者120の位置を認識するステップと、複数の作業箇所を示す設計データと、作業者120の位置と、複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定するステップと、投影装置20が対象箇所に対象図面を投影するステップとを含む。
【0081】
これらによれば、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所に図面が投影されるので、作業者120は、図面が投影された作業箇所に移動して作業を行えばよい。移動距離が最短であるので、作業者120に効率良く作業を行わせることができ、工期の短縮及び作業者120の負担を軽減することができる。
【0082】
また、例えば、投影方法は、さらに、作業者120からの作業終了の指示を受け付けるステップを含む。認識するステップでは、指示が受け付けられた後、作業者120の位置を認識する。決定するステップでは、作業者120の位置が認識される度に、対象箇所及び対象図面を決定する。
【0083】
これにより、作業箇所での作業が終了する度に、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所に図面110が投影されるので、作業者120は、図面110が投影された場所を確認して移動し、作業を行うことを繰り返せばよい。このように、作業者120に複数の作業箇所での作業を効率良く行わせることができる。
【0084】
また、例えば、投影装置20は、投影装置20の姿勢を変更する駆動部27を有する。投影方法は、さらに、複数の作業箇所に含まれる第1の作業箇所と第2の作業箇所とにこの順で図面の投影を行う場合において、第2の作業箇所が、投影装置20によって投影可能な画角111の範囲外に位置している場合、第1の作業箇所での作業が終了した後に、第2の作業箇所が画角111の範囲に入るように投影装置20の姿勢を駆動部27が変更するステップを含む。
【0085】
これにより、作業者120が投影装置20の姿勢を変更する必要がないので、作業者120の負担を軽減することができる。
【0086】
(変形例)
続いて、上記実施の形態の変形例について説明する。以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0087】
[変形例1]
例えば、投影システム10の投影装置20は、図面110を投影する対象箇所の近傍に作業順序を表す番号を投影してもよい。図7は、本変形例に係る投影システム10による図面110の投影順序の一例を示す図である。図7の(a)~(c)に示されるように、投影装置20は、作業箇所101、作業箇所102、作業箇所103の順に図面110を投影する。この順序は、上述した実施の形態と同様に、作業者120の移動距離が最短になるように定められる。
【0088】
このとき、図7の(a)~(c)に示されるように、投影装置20は、投影される図面110とともに、作業順序を表す番号112を投影する。作業順序は、投影順序に相当する。番号112は、例えば、丸囲み数字であるが、四角囲み数字であってもよく、数字単独であってもよい。数字は、アラビア数字に限らず、ローマ数字又は漢数字であってもよい。また、番号112は、数字でなくてもよく、アルファベット順、あいうえお順、イロハ順などの順序を間接的に表せる文字であってもよい。
【0089】
番号112の投影位置は、図面110の近傍であればよい。番号112は、図面110に重ならないように投影される。例えば、番号112と図面110との距離は、数cmから数十cm以下の範囲であってもよい。
【0090】
以上のように、本変形例に係る投影システム10では、例えば、投影装置20は、さらに、対象箇所の近傍に作業順序を表す番号112を投影する。また、例えば、本変形例に係る投影方法では、例えば、投影するステップでは、さらに、対象箇所の近傍に作業順序を表す番号112を投影する。
【0091】
これにより、作業者120が作業順序を常に確認することができるので、効率良く作業を行うことができる。
【0092】
[変形例2]
また、例えば、データ処理部32は、複数の作業箇所の各々を対象箇所として決定する順序を決定してもよい。具体的には、データ処理部32は、作業者120の位置が認識された場合に、その位置に基づいて作業者120が作業を行う全ての作業箇所の作業順序を決定してもよい。投影装置20は、データ処理部32によって決定された順序で、対象箇所に対象図面を投影する。
【0093】
図8は、本変形例に係る投影システム10の動作を示すフローチャートである。図8に示されるように、投影装置20を設置し、作業者120の位置が認識されるまでの処理(S10及びS11)は、実施の形態と同じである。
【0094】
データ処理部32は、認識部24によって認識された位置に基づいて、移動距離が最短になる作業箇所の順序を決定する(S22)。作業者120の位置に基づいて最初の作業箇所を対象箇所として決定する処理は、実施の形態と同じである。以降、対象箇所を作業者120の位置に置き換えて、当該位置からの移動距離が最短になる作業箇所を対象箇所として順に決定する。これにより、複数の作業箇所の各々を対象箇所として決定される順序が決定される。あるいは、データ処理部32は、認識部24によって認識された位置から複数の作業箇所の全てを辿る場合の移動距離が最短になる順序を決定してもよい。
【0095】
以降は、実施の形態1と同様に、ステップS13~ステップS16までの動作が行われる。1つの作業箇所での作業が終了した後(S16でYes)、次の作業箇所が存在する場合(S27でYes)、次の対象箇所が既に定められているので、ステップS13~S16が繰り返される。
【0096】
以上のように、本変形例に係る投影システム10では、例えば、データ処理部32は、さらに、複数の作業箇所の各々を対象箇所として決定する順序を決定する。投影装置20は、データ処理部32によって決定された順序で、対象箇所に対象図面を投影する。また、本変形例に係る投影方法では、例えば、決定するステップでは、さらに、複数の作業箇所の各々を対象箇所として決定する順序を決定する。投影するステップでは、決定された順序で、対象箇所に対象図面を投影する。
【0097】
これにより、作業者120の位置の認識処理が1回で済むので、認識に要する演算量を少なくすることができ、消費電力を削減することができる。また、例えば、図面の投影順序が最初に決定されるので、投影装置20は、複数の図面と、各々の順序を表す番号とを合わせて同時に投影することもできる。この場合、作業者120に対して、次の作業箇所とその次の作業箇所とが提示されるので、移動する方向を前もって知らせることができ、作業者120の作業効率を更に高めることができる。
【0098】
[変形例3]
また、例えば、投影装置20は、駆動部27を備えなくてもよい。つまり、投影装置20は、姿勢を自動で変更する機能を有しなくてもよい。この場合、図9に示されるように、投影装置20による画角111の範囲内に対象箇所が存在するか否かを判定しなくてもよい。なお、図9は、本変形例に係る投影システム10の動作を示すフローチャートである。図4に示される動作と比較して、ステップS13及びS14が省略されている。
【0099】
投影装置20が駆動部27を備えないことにより、投影装置20の構成を簡素化及び軽量化することができる。例えば、作業現場100が狭い場合で、画角111の範囲内に全ての作業箇所が含まれる場合に、本変形例に係る投影装置20は、有用である。また、作業箇所が画角111の範囲外である場合には、作業者120の手動によって投影装置20の姿勢又は姿勢が変更されてもよい。
【0100】
[変形例4]
また、例えば、上記の実施の形態では、投影装置20と、データ処理装置30と、端末装置40とが別体である例を示したが、これらが一体化されていてもよい。図10は、本変形例に係る投影装置220の機能構成を示すブロック図である。
【0101】
図10に示される投影装置220は、図3に示される実施の形態に係る投影装置20と比較して、データ処理部32と、操作受付部42とを新たに備える。データ処理部32及び操作受付部42はそれぞれ、実施の形態と同じ機能を有する。また、投影装置220は、通信部21を備えていない。また、投影装置220の記憶部26には、設計データ及び図面データが記憶されている。
【0102】
本変形例では、作業者120が端末装置40を所持していない。この場合、作業の終了は、例えば、認識部24による認識結果に基づいて判定される。具体的には、作業者120を撮影することで、作業者120の動作及び作業箇所での作業の終了を判定することができる。例えば、作業者120が墨出し作業を行う場合、作業箇所における墨出しが完了したことを検出できた場合に、作業終了の指示を受け付けたものとみなすことができる。これにより、データ処理部32は、次の対象箇所及び対象図面の決定を行う。
【0103】
以上のように、本変形例に係る投影装置220は、作業現場100における複数の作業箇所の各々で作業を行う作業者120の位置を認識する認識部24と、複数の作業箇所を示す設計データと、認識部24によって認識された位置と、複数の作業箇所の位置情報とに基づいて、作業者120の移動距離が最短になる作業箇所である対象箇所と対象箇所に投影される図面である対象図面とを決定するデータ処理部32と、対象箇所に対象図面を投影する投影部23とを備える。
【0104】
これにより、データ処理装置30及び端末装置40との通信を行わなくてもよく、投影装置220のみを設置するだけで、作業者120に効率良く作業を行わせることができ、工期の短縮及び作業者の負担を軽減することができる。
【0105】
なお、投影システム10を構成する投影装置20と、データ処理装置30と、端末装置40とのうち、データ処理装置30と端末装置40とが一体化されていてもよい。例えば、端末装置40がデータ処理部32を備えてもよい。具体的には、端末装置40の記憶部45には、設計データが記憶されていてもよく、端末装置40が対象図面を決定してもよい。
【0106】
また、投影装置20と端末装置40とが一体化されていてもよい。あるいは、投影装置20とデータ処理装置30とが一体化されていてもよい。
【0107】
(その他)
以上、本発明に係る投影システム、投影装置及び投影方法について、上記の実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0108】
例えば、認識部24は、カメラ及び受信機を含んでいなくてもよい。例えば、認識部24は、複数の方向に対して指向性を有するマイクロフォンであってもよく、作業者120が発する声又は作業音を検出することにより、作業者120の位置を認識してもよい。
【0109】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間で無線通信が行われる場合、無線通信の方式(通信規格)は、例えば、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は、無線LAN(Local Area Network)などの近距離無線通信である。あるいは、無線通信の方式(通信規格)は、インターネットなどの広域通信ネットワークを介した通信でもよい。また、装置間においては、無線通信に代えて、有線通信が行われてもよい。有線通信は、具体的には、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)又は有線LANを用いた通信などである。
【0110】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、投影システムが備える構成要素の複数の装置への振り分けは、一例である。例えば、一の装置が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。また、投影システムは、単一の装置として実現されてもよい。
【0111】
例えば、上記実施の形態において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、又は、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するプロセッサは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
【0112】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0113】
また、制御部などの構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0114】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)などが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0115】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0116】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0117】
10 投影システム
20、220 投影装置
23 投影部
24 認識部
24a カメラ
24b 受信機
27 駆動部
30 データ処理装置
32 データ処理部
40 端末装置(通信端末)
42 操作受付部(受付部)
100 作業現場
101、102、103 作業箇所
110 図面
111 画角
112 番号
120 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10