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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】位置認識システム
(51)【国際特許分類】
   G01D 21/00 20060101AFI20230616BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230616BHJP
【FI】
G01D21/00 B
G05D1/02 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019101167
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020194485
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グエン ジュイヒン
(72)【発明者】
【氏名】安藤 健
(72)【発明者】
【氏名】笹井 裕之
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-351540(JP,A)
【文献】特開2006-103857(JP,A)
【文献】特開2011-76357(JP,A)
【文献】特表2009-512088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
G01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体を搭載し、自律移動する移動体と、
前記移動体が移動するエリアに設置され、前記移動体を撮影するカメラと、
前記移動体における前記発光体の設置位置と、前記エリアにおける前記カメラの設置位置および向きを記憶しており、前記移動体および前記カメラのそれぞれと通信を行うサーバと、を有し、
前記移動体には、前記発光体が4つ以上搭載されており、
前記移動体は、
前記4つ以上の発光体のうち少なくとも2つを選択し、
選択された発光体の識別情報、該発光体の発光色、該発光体を発光させるタイミングを示す発光制御情報を前記サーバへ送信し、その後、該発光制御情報に基づいて前記選択された発光体を発光させる制御を実行し、
前記サーバは、
前記発光体の設置位置と、前記カメラの設置位置および向きと、前記カメラにより撮影された前記発光体が発光したときの前記移動体の画像データと、前記発光制御情報とに基づいて前記移動体の位置を算出し、該位置を示す位置情報を前記移動体へ送信し、
前記発光制御情報に基づいて、前記制御が実行されたときの前記画像データを取得し、該画像データにおいて前記発光色を認識し、該発光色が認識された位置を前記画像データ上の前記発光体の位置として認識し、
前記画像データ上の前記発光体の位置と、予め記憶している前記発光体の設置位置とに基づいて、前記画像データ上の前記移動体の位置および向きを算出し、
予め記憶している前記カメラの設置位置および向きに基づいて、算出された前記画像データ上の前記移動体の位置および向きを、前記エリアにおける前記移動体の位置および向きに変換する、
位置認識システム。
【請求項2】
前記移動体は、
前記選択された発光体の数だけ前記制御を実行し、
前記制御毎に、前記選択された発光体の発光色が互いに異なるように制御し、
前記サーバは、
前記制御が実行される毎に前記画像データを取得し、該画像データ毎に前記発光色を認識し、異なる発光色が認識された同一の位置を前記画像データ上の前記発光体の位置として認識する、
請求項に記載の位置認識システム。
【請求項3】
前記サーバは、
前記移動体に搭載された全ての前記発光体に対して前記制御が実行されていない場合、前記制御を実行するように前記移動体へ指示し、
前記移動体は、
全ての前記発光体のうち、前記制御が実行されていない少なくとも2つの発光体を新たに選択し、
新たに選択された発光体を発光させる制御に関する前記発光制御情報を前記サーバへ送信し、その後、該発光制御情報に基づいて前記新たに選択された発光体を発光させる制御を実行する、
請求項1または2に記載の位置認識システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記画像データ上の前記発光体の位置を4つ以上認識できない場合、旋回を実行するように前記移動体へ指示し、
前記移動体は、
旋回を行った後、前記発光制御情報を前記サーバへ送信し、その後、前記制御を実行する、
請求項からのいずれか1項に記載の位置認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律移動するロボットの位置を認識する位置認識システムおよび位置認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自律移動するロボット(以下、単にロボットという)は、自律移動を開始する際、ロボットの絶対位置を何らかの手段を用いて認識する必要がある。
【0003】
屋外でロボットを用いる場合では、絶対位置を計測できる既存システムとして、例えばGPS(Global Positioning System)システムを用いることができる。例えば、GPS受信機をロボットに搭載することにより、そのロボットは、GPS衛星から受信された信号に基づいて絶対位置を認識することができる。
【0004】
一方、屋内では、GPSシステムのような既存システムを用いることができない。よって、屋内でロボットを用いる場合では、人間がロボットに対して絶対位置を教示する操作を行えばよいが、ロボットが移動を開始する度に操作を行う必要があり、利便性に欠ける。
【0005】
そこで、例えば特許文献1に開示されているシステムを用いることで、利便性を確保することが考えられる。特許文献1のシステムは、屋内においてロボットの絶対位置を計測することができるシステムである。
【0006】
ここで、図6を用いて、特許文献1のシステムの概要について説明する。図6は、特許文献1のシステムを示す模式図である。
【0007】
図6に示すように、天井には、固有のIDが割り当てられた2次元マーカ201a~201dが設置されている。また、自律移動するロボット202は、2次元マーカ201a~201dを撮影するためのカメラ203を備えている。ロボット202は、2次元マーカ201a~201dそれぞれのIDと、各IDに対応付けられている2次元マーカ201a~201dそれぞれの位置情報とを予め記憶している。
【0008】
ロボット202は、自律移動中、カメラ203を用いて2次元マーカ201a~201dのうちの少なくとも2つ以上を撮影し、画像を取得する。そして、ロボット202は、画像上の二次元マーカの座標と、予め記憶している位置情報とに基づいて、屋内空間におけるロボット202の位置を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5079703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、屋内に複数の2次元マーカを設置する必要があるため、多大な導入コストがかかってしまうという課題がある。
【0011】
本開示の一態様の目的は、利便性の確保および導入コストの低減の両立を実現できる位置認識システムおよび位置認識装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様に係る位置認識システムは、発光体を搭載し、自律移動する移動体と、前記移動体が移動するエリアに設置され、前記移動体を撮影するカメラと、前記移動体における前記発光体の設置位置と、前記エリアにおける前記カメラの設置位置および向きを記憶しており、前記移動体および前記カメラのそれぞれと通信を行うサーバと、を有し、前記移動体は、前記発光体の識別情報、該発光体の発光色、該発光体を発光させるタイミングを示す発光制御情報を前記サーバへ送信し、その後、該発光制御情報に基づいて前記選択された発光体を発光させる制御を実行し、前記サーバは、前記発光体の設置位置と、前記カメラの設置位置および向きと、前記カメラにより撮影された前記発光体が発光したときの前記移動体の画像データと、前記発光制御情報とに基づいて前記移動体の位置を算出し、該位置を示す位置情報を前記移動体へ送信する。
【0013】
本開示の一態様に係る位置認識装置は、発光体を搭載し、自律移動する移動体、および、前記移動体が移動するエリアに設置され、前記移動体を撮影するカメラのそれぞれと通信を行う通信部と、前記移動体における前記発光体の設置位置と、前記エリアにおける前記カメラの設置位置および向きを記憶する記憶部と、前記発光体の設置位置と、前記カメラの設置位置および向きと、前記カメラにより撮影された前記発光体が発光したときの前記移動体の画像データとに基づいて前記移動体の位置を算出し、該位置を示す位置情報を前記移動体へ送信するように前記通信部を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、利便性の確保および導入コストの低減の両立を実現できる位置認識システムおよび位置認識装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施の形態に係る位置認識システムを示す模式図
図2A】本開示の実施の形態に係るロボットの左側面図
図2B】本開示の実施の形態に係るロボットの正面図
図3】本開示の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図
図4】本開示の実施の形態に係るサーバの構成を示すブロック図
図5】本開示の実施の形態に係る位置認識システムの動作の流れを示す図
図6】特許文献1のシステムを示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において共通する構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0017】
<位置認識システム100の構成>
まず、本実施の形態の位置認識システム100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態の位置認識システム100を示す模式図である。
【0018】
図1に示すように、位置認識システム100は、カメラ110、サーバ120、およびロボット130を有する。
【0019】
カメラ110は、例えば、ロボット130が移動する屋内空間(例えば、建物内の区画スペース等)の天井等に設置される。カメラ110は、複数設置される。なお、図1では、2つのカメラ110を図示しているが、カメラ110は、2つ以上であってもよい。
【0020】
カメラ110は、屋内空間の地面を移動(走行といってもよい)するロボット130を撮影し、その画像データを所定のネットワークを介してサーバ120へ送信する。カメラ110によって撮影される画像は、例えば、カラーの動画像である。
【0021】
サーバ120は、カメラ110およびロボット130のそれぞれと通信を行い、各種処理を行う情報処理装置である。サーバ120の構成および動作の詳細については、後述する。サーバ120は、位置認識装置の一例に相当する。
【0022】
ロボット130は、屋内空間の地面を自律移動するロボット(移動体の一例)である。ロボット130は、サーバ120と通信を行い、各種処理を行う。ロボット130の構成および動作の詳細については、後述する。
【0023】
なお、本実施の形態では、ロボット130は、人間が搭乗可能な車椅子型の移動体である場合を例に挙げて説明するが、これに限定されない。すなわち、ロボット130は、自律移動する移動体であれば、人間が搭乗不可能な移動体であってもよいし、車椅子型以外の形状の移動体であってもよい。
【0024】
<ロボット130の構成>
次に、ロボット130の構成について、図2A図2Bを用いて説明する。図2Aは、ロボット130の左側面図である。図2Bは、ロボット130の正面図である。なお、以下の説明では、図2Aにおける左側を「前方」といい、図2Aにおける右側を「後方」という。また、図2Bにおける右側を「左方」または「左側」といい、図2Bにおける左側を「右方」または「右側」という。
【0025】
図2A図2Bに示すように、ロボット130は、筐体部1、座面部2、背もたれ部3、肘置き部4a、4b、足置き部5、駆動輪6a、6b、駆動輪用フレーム部7a、7b、従輪8a、8b、従輪用フレーム部9a、9b、および制御装置20を有する。さらに、ロボット130は、レーザ測域センサ10a、10b、発光体11a、11b、11c、11d、11e、11fを有する。
【0026】
筐体部1は、その内部に、駆動輪6a、6bを回転させたり、舵角を変更したりするアクチュエータ(図示略)、ロボット130の動作を制御する制御装置20、アクチュエータおよび制御装置20へ電力を供給する電源(例えば、バッテリ。図示略)等を備える。制御装置20の構成および動作の詳細については、後述する。
【0027】
座面部2は、筐体部1の上部において水平または略水平に設けられている。座面部2は、搭乗者(図示略)の臀部および大腿部を支える。
【0028】
背もたれ部3は、筐体1の上部において座面部2に対して垂直または略垂直に設けられている。背もたれ部3は、搭乗者の背部を支える。
【0029】
肘置き部4a、4bそれぞれの一端は、背もたれ部3に固定されている。肘置き部4a、4bは、搭乗者の肘から先の部分を支える。
【0030】
なお、図示は省略するが、肘置き部4a、4bの先端部分には、搭乗者がロボット130に対する種々の指示(例えば、加減速や移動方向の指示)を行うことができる操作部が設けられてもよい。
【0031】
足置き部5の一端は、筐体1の前方に固定されている。足置き部5は、搭乗者の足裏を支える。
【0032】
駆動輪6aは、筐体1の左方に設けられている。駆動輪6bは、筐体1の右方に設けられている。また、駆動輪6a、6bそれぞれの中央部分には、駆動輪用フレーム部7a、7bが設けられている。駆動輪用フレーム部7a、7bは、筐体部1に対して固定的に設けられているため、回転しない。
【0033】
駆動輪6a、6bは、アクチュエータによって回転力を与えられることにより、矢印a(図2A参照)の方向に回転する。これにより、ロボット130は、矢印b(図2A参照)の方向へ移動(前進)する。また、駆動輪6a、6bは、アクチュエータによって回転力を与えられることにより、矢印aとは逆の方向に回転する。これにより、ロボット130は、矢印bとは逆の方向へ移動(後退)する。
【0034】
また、駆動輪6a、6bは、互いに異なる方向に回転することも可能である。例えば、駆動輪6a、6bを互いに逆方向に等速回転させることにより、ロボット130は、超信地旋回を行うことができる。超信地旋回では旋回半径を小さくできるため、後述する旋回動作の実行(図5のステップS12)の際に、ロボット130がその周辺に存在する人や物へ衝突したり、段差に躓いたりすることを回避しやすくなる。
【0035】
また、駆動輪6a、6bの舵角は、アクチュエータにより変更される。これにより、ロボット130は、前進時または後退時に、右方向への旋回または左方向への旋回を行うことができる。
【0036】
従輪8aは、筐体1の前方かつ左方に設けられている。従輪8bは、筐体1の前方かつ右方に設けられている。具体的には、従輪8aは、筐体1の前方かつ左方に設けられた従輪用フレーム部9aに支持されている。また、従輪8bは、筐体1の前方かつ右方に設けられた従輪用フレーム部9bに支持されている。
【0037】
従輪8a、8bは、アクチュエータからの回転力を受けずに、駆動輪6a、6bの回転に伴って回転する。
【0038】
レーザ測域センサ10a、10bは、それぞれ、従輪用フレーム部9a、9bの上部に設けられている。
【0039】
レーザ測域センサ10a、10bは、ロボット130の周辺にレーザを照射し、その反射波を受信することにより、ロボット130の周辺環境に係る測定を行う。レーザ測域センサ10a、10bによって測定された情報(以下、測定情報という)は、制御装置20に出力され、制御装置20において、障害物の有無の判断や、ロボット130の進行方向の決定などに用いられる。レーザ測域センサ10a、10bとしては、例えば、レーザセンサ、超音波センサ、またはミリ波センサなどのデバイスを用いることができるが、それらに限定されない。
【0040】
なお、ロボット130に搭載されるレーザ測域センサの数および位置は、図2A図2Bに示す数および位置に限定されない。
【0041】
発光体11a~11fは、例えば、複数の色を発光するフルカラーLED(Light Emitting Diode)である。発光体11a~11fは、制御装置20により制御される。
【0042】
発光体11a、11dは、それぞれ、レーザ測域センサ10a、10bの上部に設けられている。発光体11b、11eは、それぞれ、駆動輪用フレーム部7a、7bの上部かつやや後方に設けられている。発光体11cは、背もたれ部3の上端部の左方に設けられている。発光体11fは、背もたれ部3の上端部の右方に設けられている。
【0043】
ロボット130における発光体の設置位置は、図2A図2Bの図示に限定されない。また、本実施の形態では、ロボット130に設けられる発光体の数が6個である場合を例に挙げたが、発光体の数は、4個以上であればよい。発光体の設置数を4個以上とする理由は、後述するロボット130の位置の算出(具体的には、PnP問題の解法)に必要であるからである。
【0044】
また、発光体の形状は、図2A図2Bの図示に限定されない。ただし、カメラ110により撮影された画像データにおいて発光体の一部が欠けて映っていたとしても、サーバ120において発光体として認識される形状である必要がある。
【0045】
また、発光体は、フルカラーLEDに限定されず、複数の色を発光または点灯する光源であればよい。
【0046】
<制御装置20の構成>
次に、制御装置20の構成について、図3を用いて説明する。図3は、制御装置20の構成を示すブロック図である。
【0047】
図3に示すように、制御装置20は、通信部21、記憶部22、入力部23、および制御部24を有する。
【0048】
通信部21は、無線通信により、サーバ120との間で種々の情報(詳細は後述)の送受信を行う。
【0049】
記憶部22は、サーバ120から受信した情報(詳細は後述)や、ロボット130の移動に必要な情報等を記憶する。後者の情報としては、例えば、目的地の位置を示す目的地位置情報や、移動経路を示す移動経路情報等が挙げられる。目的地位置情報は、予めユーザにより設定される。移動経路情報は、予めユーザにより設定されてもよいし、制御部24により算出されてもよい。
【0050】
入力部23は、レーザ測域センサ10a、10bから測定情報を受け取る。
【0051】
制御部24は、通信部21、記憶部22、発光体11a~11f(図2A図2B参照)、およびアクチュエータ等を制御する。
【0052】
例えば、制御部24は、目的地位置情報や移動経路情報に基づいてロボット130が移動するようにアクチュエータを制御する。また、このとき、制御部24は、測定情報に基づいて、移動経路上に存在する人や物体等を回避するようにアクチュエータを制御する。
【0053】
制御部24が行うその他の制御については、後述する。
【0054】
<サーバ120の構成>
次に、サーバ120の構成について、図4を用いて説明する。図4は、サーバ120の構成を示すブロック図である。
【0055】
図4に示すように、サーバ120は、通信部31、記憶部32、および制御部34を有する。
【0056】
通信部31は、有線通信または無線通信により、カメラ110から画像データを受信する。
【0057】
また、通信部31は、無線通信により、ロボット130との間で種々の情報(詳細は後述)の送受信を行う。
【0058】
記憶部32は、カメラ110から受信した画像データや、ロボット130から受信した情報(詳細は後述)等を記憶する。
【0059】
また、記憶部32は、ロボット130における発光体11a~11fの設置位置を示す発光体設置情報、および、屋内空間におけるカメラ110の設置位置および設置向きを示すカメラ設置情報を記憶する。発光体設置情報およびカメラ設置情報は、予めユーザにより設定される。なお、発光体設置情報は、発光体11a~11fそれぞれの識別情報と対応付けられて記憶されている。また、カメラ設置情報は、カメラ110それぞれの識別情報と対応付けられて記憶されている。
【0060】
制御部34は、通信部31および記憶部32を制御する。
【0061】
例えば、制御部34は、カメラ110から受信した画像データ、発光体設置情報およびカメラ設置情報に基づいて、ロボット130の位置を算出する。
【0062】
制御部34が行うその他の制御については、後述する。
【0063】
以上、ロボット130の制御装置20およびサーバ120の構成について説明した。図示は省略するが、制御装置20およびサーバ120は、ハードウェアとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)、コンピュータプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有する。そして、本実施の形態において説明する制御装置20およびサーバ120の各部の機能は、CPUがROMから読み出したコンピュータプログラムを実行することにより実現される。また、このコンピュータプログラムは、所定の記録媒体に記録されて、ユーザ等に提供されてもよい。
【0064】
<位置認識システム100の動作>
次に、本実施の形態の位置認識システム100の動作について、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態の位置認識システム100の動作の流れを示すフロー図である。
【0065】
ステップS1において、制御装置20の制御部24は、発光体11a~11fのうち少なくとも2つを選択し、選択された発光体を発光制御の対象に決定する。発光制御とは、選択された発光体を所定の色で発光させる制御である。そして、制御部24は、発光制御に関する発光制御情報(詳細は後述)をサーバ120へ送信するように通信部21を制御する。これにより、通信部21は、発光制御情報をサーバ120へ送信する。
【0066】
本実施の形態では例として、選択された発光体が発光体11a、11d(図2B参照)であり、発光制御が2回行われる場合を例に挙げて説明する。最初に行われる発光制御を「第1の発光制御」といい、その後に行われる発光制御を「第2の発光制御」という。また、第1の発光制御が実行されるタイミングを「第1のタイミング」といい、第2の発光制御が実行されるタイミングを「第2のタイミング」という。また、ここでいうタイミングとは、例えば時刻である。第1のタイミングおよび第2のタイミングは、例えば、発光制御情報が送信されてから所定時間(例えば、数秒)経過後の時刻である。
【0067】
また、発光制御で用いられる発光色は、選択された発光体の数と同数であり、互いに異なる色である。よって、選択された発光体が2つである場合、2種類の色(以下、第1の色、第2の色という)が用いられる。
【0068】
本実施の形態では例として、制御部24は、第1の発光制御では、発光体11aを第1の色で発光させ、発光体11dを第2の色で発光させる場合を例に挙げて説明する。また本実施の形態では例として、制御部24は、第2の発光制御では、発光体11aを第2の色で発光させ、発光体11dを第1の色で発光させる場合を例に挙げて説明する。
【0069】
発光体制御情報は、例えば、発光体識別情報、発光色情報、および発光タイミング情報を含む。
【0070】
発光体識別情報は、制御部24により選択された発光体を識別可能な情報である。本実施の形態では、発光体識別情報が発光体11a、11bそれぞれの識別情報である場合を例に挙げて説明する。
【0071】
発光色情報は、発光制御毎にどの発光体がどの色で発光するかを示す情報である。本実施の形態では、発光色情報が、第1の発光制御では発光体11aが第1の色で発光するとともに、発光体11dが第2の色で発光し、第2の発光制御では発光体11aが第2の色で発光するとともに、発光体11dが第1の色で発光する旨を示す情報である場合を例に挙げて説明する。
【0072】
発光タイミング情報は、発光制御それぞれが実行されるタイミングを示す情報である。本実施の形態では、発光タイミング情報が第1のタイミングおよび第2のタイミングを示す情報である場合を例に挙げて説明する。
【0073】
上述した発光制御情報を受信したサーバ120(制御部34)は、ロボット130において実行される発光制御の詳細について認識することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、発光制御情報が第1の発光制御および第2の発光制御それぞれを示す情報である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第1の発光制御に係る発光制御情報と、第2の発光制御に係る発光制御情報とが別々にサーバ120へ送信されてもよい。ただし、制御装置20とサーバ120との通信回数を低減するためには、本実施の形態のように、発光制御情報が第1の発光制御および第2の発光制御それぞれを示す情報であることが好ましい。
【0075】
ステップS2において、サーバ120の制御部34は、通信部31により受信された発光制御情報を記憶部32に記憶させる。
【0076】
ステップS3において、制御部24は、第1の発光制御を実行する。第1の発光制御が実行されるタイミングは、例えば、上述した第1のタイミングである。
【0077】
上述したとおり、第1の発光制御により、発光体11aは第1の色で発光するとともに、発光体11dは第2の色で発光する。
【0078】
なお、ここでは例として、制御部24は、第1のタイミングで第1の発光制御が実行される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、制御部24は、発光制御情報を受信したサーバ120からレスポンスを受信した場合に、第1の発光制御を実行してもよい。その場合、後述する第2の発光制御は、例えば、第1の発光制御が終了してから直ちにまたは所定時間経過後に行われもよい。
【0079】
ステップS4において、制御部24は、第2の発光制御を実行する。第2の発光制御が実行されるタイミングは、例えば、上述した第2のタイミングである。
【0080】
上述したとおり、第2の発光制御により、発光体11aは第2の色で発光するとともに、発光体11dは第1の色で発光する。
【0081】
ステップS5において、制御部34は、通信部31がカメラ110から受信した画像データにおいて、制御部24により選択された発光体を認識する。この認識処理の詳細については後述する。
【0082】
ここで、例えば、ロボット130が屋内空間のどの場所に位置するか分からない場合(換言すれば、ロボット130の初期位置が認識されていない場合)、制御部34は、屋内空間に設置された各カメラ110から受信した画像データごとに認識処理を行ってもよい。また、制御部34は、例えばBlouetooth(登録商標)ビーコンやWifi(登録商標)などを用いた屋内空間における従来の位置推定システムを用いてロボット130の大まかな初期位置を推定し、その初期位置に基づいてカメラ110を特定し、そのカメラ110から受信した画像データに対して認識処理を行ってもよい。
【0083】
ステップS6において、制御部34は、ロボット130に設置された全ての発光体が発光したか否かを判定する。
【0084】
例えば、制御部34は、記憶部32において発光体設置情報に対応付けられて記憶されている発光体の識別情報と、記憶部32に記憶された発光制御情報に含まれている発光体の識別情報とを比較することにより、全ての発光体が発光したか否かを判定する。
【0085】
全ての発光体が発光したと判定した場合(ステップS6:YES)、フローは、ステップS9へ進む。ステップS9については後述する。
【0086】
一方、全ての発光体が発光していないと判定した場合(ステップS6:NO)、制御部34は、発光指示情報を制御装置20へ送信するように通信部31を制御する。
【0087】
ステップS7において、通信部31は、制御装置20へ発光指示情報を送信する。
【0088】
ステップS8において、制御部24は、サーバ120から発光指示情報を受信したか否かを判定する。
【0089】
サーバ120から発光指示情報を受信しない場合(ステップS8:NO)、フローは、ステップS11へ進む。ステップS11については後述する。
【0090】
一方、サーバ120から発光指示情報を受信した場合(ステップS8:YES)、フローは、ステップS1へ戻る。
【0091】
例えば、発光体11a~11fのうち、最初に選択された発光体が発光体11a、11dである場合、制御部24は、残りの発光体11b、11c、11e、11fから2つの発光体を選択する。そして、新たに選択された2つの発光体に対して、ステップS1~S5の処理が行われる。このようにして、発光体11a~11fの全部が制御部24により選択され、かつ、制御部34により認識されるまで、ステップS7、S8は、繰り返し行われる。
【0092】
ステップS9において、制御部34は、認識した発光体の数が4つ以上あるかを判定する。
【0093】
ここで、認識した発光体の数が4つ以上とする理由は、後述するロボット130の位置の算出(具体的には、PnP問題の解法)に必要であるからである。
【0094】
認識した発光体の数が4つ以上ある場合(ステップS9:YES)、フローは、ステップS13へ進む。ステップS13については後述する。
【0095】
認識した発光体の数が4つ以上ない場合(ステップS9:NO)、制御部34は、旋回指示情報を制御装置20へ送信するように通信部31を制御する。
【0096】
ステップS10において、通信部31は、制御装置20へ旋回指示情報を送信する。
【0097】
ステップS11において、制御部24は、サーバ120から旋回指示情報を受信したか否かを判定する。
【0098】
サーバ120から旋回指示情報を受信しない場合(ステップS11:NO)、フローは、ステップS15へ進む。ステップS15については後述する。
【0099】
サーバ120から旋回指示情報を受信した場合(ステップS11:YES)、フローは、ステップS12へ進む。
【0100】
ステップS12において、制御部24は、ロボット130が旋回動作を実行するようにアクチュエータを制御する。これにより、ロボット130は、一定角度だけ旋回する旋回動作を実行する。
【0101】
ここで、一定角度は、予め設定された角度でもよいし、認識できた発光体の数に基づいて決まる角度であってもよい。
【0102】
また、制御部24は、レーザ測域センサ10a、10bからの測定情報を用いて、ロボット130の周辺に存在する人や物体にロボット130が接触しないように旋回動作を実行させる。ここで、ロボット130が一定角度旋回すると人や物体に接触する場合には、制御部24は、一定角度より小さい角度だけロボット130を旋回させる。
【0103】
ステップS12の後、フローは、ステップS1へ戻る。
【0104】
ステップS13において、制御部34は、ロボット130の位置を算出する。この位置算出処理の詳細については後述する。
【0105】
ステップS14において、制御部34は、ロボット130の位置を示す位置情報を制御装置20へ送信するように通信部31を制御する。これにより、通信部31は、制御装置20へ位置情報を送信する。
【0106】
ステップS15において、通信部21により受信された位置情報を記憶部22に記憶させる。
【0107】
以上のフローにより、ロボット130は、自己の位置を認識する。
【0108】
なお、上記説明では、制御部24により、発光体が2つずつ選択され、発光制御が2回ずつ行われる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、制御部24により3つずつ発光体が選択される場合では、発光制御が3回ずつ行われる。
【0109】
<発光体の認識処理>
以下、図5のステップS5における発光体の認識処理の詳細について説明する。
【0110】
まず、サーバ120の制御部34は、ロボット130の制御装置20から受信した発光制御情報に基づいて、どのタイミングで行われるのか、および、各発光制御においてどの発光体がどの色で発光するのかを、認識する。
【0111】
次に、制御部34は、第1のタイミングで撮影された画像データ(以下、第1の画像データという)をカメラ110から通信部31を介して取得する。
【0112】
次に、制御部34は、第1の画像データにおいて第1の色および第2の色を認識する。
【0113】
次に、制御部34は、第1の色が存在する領域を領域Aに決定し、第2の色が存在する領域を領域Bに決定する。領域A、Bは、第1の画像データ上の座標の集合である。
【0114】
次に、制御部34は、第2のタイミングで撮影された画像データ(以下、第2の画像データという)をカメラ110から通信部31を介して取得する。
【0115】
次に、制御部34は、第2の画像データにおいて第1の色および第2の色を認識する。
【0116】
次に、制御部34は、第1の色が存在する領域を領域Cに決定し、第2の色が存在する領域を領域Dに決定する。領域C、Dは、第2の画像データ上の座標の集合である。
【0117】
次に、制御部34は、領域Aと領域Dとに重なり合う箇所が存在するか否かを判定し、重なり合う箇所が存在した場合、少なくとも重なり合う箇所に含まれる座標を発光体11aが存在する座標として認識する。ここで、発光体11aが存在する座標は、例えば、領域Aと領域Dとの重なり合う箇所における中心もしくは重心である。
【0118】
また、制御部34は、領域Bと領域Cとに重なり合う箇所が存在するか否かを判定し、重なり合う箇所が存在した場合、少なくとも重なり合う箇所に含まれる座標を発光体11dが存在する座標として認識する。ここで、発光体11aが存在する座標は、例えば、領域Bと領域Cとの重なり合う箇所における中心もしくは重心である。
【0119】
なお、制御部34は、2つの領域に重なり合う箇所が存在しない場合、その発光体について認識が失敗したと判定する。
【0120】
制御部34は、上述した一連の処理を、図5のステップS6において全ての発光体が発光したと判定するまで繰り返す。すなわち、上述した一連の処理は、ロボット130に設けられた全ての発光体の数(例えば、6個)を、1回の認識で発光させる発光体の数(例えば、2個)で割った回数(例えば、3回)分、繰り返される。これにより、制御部34は、ロボット130に設けられた全ての発光体を認識することができる。
【0121】
<位置算出処理>
以下、図5のステップS13におけるロボット130の位置算出処理の詳細について説明する。
【0122】
まず、サーバ120の制御部34は、記憶部32から発光体設置情報およびカメラ設置情報を読み出す。
【0123】
次に、制御部34は、上述した認識処理(図5におけるステップS5)により認識された各発光体の画像データ上の座標と、発光体設置情報に示される各発光体の設置位置とを対応させる。
【0124】
次に、制御部34は、画像データにおけるロボット130の位置および向きを算出する。具体的には、制御部34は、カメラ110を原点とした座標に対するロボット130の位置および向きを、PnP問題を解くことにより算出する。
【0125】
次に、制御部34は、カメラ設置情報に示されるカメラ110の設置位置および設置向きに基づいて、算出された画像データにおけるロボット130の位置および向きを、屋内空間におけるロボット130の位置および向きに変換する。
【0126】
このようにして算出された屋内空間におけるロボット130の位置および向きは、位置情報としてサーバ120から制御装置20へ送信され(図5のステップS14)、制御装置20の記憶部21に記憶される(図5のステップS15)。これにより、屋内空間において、ロボット130が自己の位置を認識することができる。
【0127】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ユーザがロボットにその位置を教示する操作を行ったり、屋内空間において2次元マーカ等を設置したりすることなく、ロボットが自己の位置を認識することができる。よって、本実施の形態では、利便性の確保および導入コストの低減の両立を実現できる位置認識システムを提供することができる。
【0128】
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本開示の位置認識システムおよび位置認識装置は、所定のエリア(屋内空間または屋外空間)を自律移動する移動体(例えば、ロボット、車両等)の位置の認識に有用である。
【符号の説明】
【0130】
1 筐体部
2 座面部
3 背もたれ部
4a、4b 肘置き部
5 足置き部
6a、6b 駆動輪
7a、7b 駆動輪用フレーム部
8a、8b 従輪
9a、9b 従輪用フレーム部
10a、10b レーザ測域センサ
11a、11b、11c、11d、11e、11f 発光体
20 制御装置
21、31 通信部
22、32 記憶部
23 入力部
24、34 制御部
100 位置認識システム
110 カメラ
120 サーバ
130 ロボット
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6