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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】走行リフト装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/14 20060101AFI20230616BHJP
   B66F 9/06 20060101ALN20230616BHJP
【FI】
A61G7/14
B66F9/06 S
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018190050
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020058457
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2020-05-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】514161419
【氏名又は名称】株式会社ビック・バン
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀山 貞義
(72)【発明者】
【氏名】亀山 義弘
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】大谷 光司
【審判官】中村 則夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0027794(US,A1)
【文献】特開2016-202712(JP,A)
【文献】特開2000-245784(JP,A)
【文献】実開昭49-69797(JP,U)
【文献】実開平7-21028(JP,U)
【文献】登録実用新案第3215690(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G1/00-7/16
A61H33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベース上に立設される支柱と、
前記支柱の上端部に回動可能に取り付けられるアームと、
前記支柱と前記アームとの間に介装されるアーム駆動手段と、
前記ベースの側方両側に設けられ、前後方向へ延びる対称軸を有する一対の脚と、
前記ベースと前記一対の脚とを連結させる連結手段と、
前記一対の脚の両端部に設けられる車輪と、
を備える走行リフト装置であって、
前記一対の脚は、前記連結手段から前側部を長尺部、前記連結手段から後側部を短尺部とし、
前記長尺部は、前端と前記連結手段とを結ぶ直線上にあり、
前記一対の脚の長尺部は、前記対称軸に対して平行な位置から外側へ、および前記対称軸に対して平行な位置から内側へ、前記連結手段を中心に回動可能であり、
前記長尺部には、長さ方向の中間位置にステーを介して第1補助輪が設けられ、
前記第1補助輪は、前記長尺部に対して外側に配置され
前記ステーは、前記長尺部の外側面に固定された基端部から、前記長尺部が前記対称軸に対して平行な位置で斜め後方に向かって延びていることを特徴とする走行リフト装置。
【請求項2】
前記一対の脚の前記ベースとの連結部近傍に第2補助輪が設けられ、
前記第2補助輪は、前記一対の脚に対して外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の走行リフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護を受ける者(以下「被介護者」)を移乗させるための走行リフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行リフト装置は、例えば、被介護者をベッドと車椅子との間で移乗させるときに使用される。特許文献1には、被介護者を吊上げた状態で走行可能な走行リフト装置(介護リフト)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-245784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、被介護者を吊上げた状態で、走行リフト装置を、トイレが設置された間口が狭いクロゼットに進入させる場合、当該間口と走行リフト装置の一対の脚の前端部(進行方向前側端部)とのクリアランスが小さいことに加え、走行リフト装置を操作する者(以下「介護者」)が走行リフト装置の一対の脚の前端部を視認し難いため、介護者は、走行リフト装置を円滑に侵入させることが困難である。
【0005】
本発明は、狭い場所での取回し性を向上させた走行リフト装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の走行リフト装置は、ベースと、前記ベース上に立設される支柱と、前記支柱の上端部に回動可能に取り付けられるアームと、前記支柱と前記アームとの間に介装されるアーム駆動手段と、前記ベースの側方両側に設けられ、前後方向へ延びる対称軸を有する一対の脚と、前記ベースと前記一対の脚とを連結させる連結手段と、前記一対の脚の両端部に設けられる車輪と、を備える走行リフト装置であって、前記一対の脚は、前記連結手段から前側部を長尺部、前記連結手段から後側部を短尺部とし、前記長尺部は、前端と前記連結手段とを結ぶ直線上にあり、前記一対の脚の長尺部は、前記対称軸に対して平行な位置から外側へ、および前記対称軸に対して平行な位置から内側へ、前記連結手段を中心に回動可能であり、前記長尺部には、長さ方向の中間位置にステーを介して第1補助輪が設けられ、前記第1補助輪は、前記長尺部に対して外側に配置され、前記ステーは、前記長尺部の外側面に固定された基端部から、前記長尺部が前記対称軸に対して平行な位置で斜め後方に向かって延びていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、狭い場所での取回し性を向上させた走行リフト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る走行リフト装置の斜視図である。
図2】カバーが取り外された状態のベース周辺を示す斜視図である。
図3】第1実施形態の説明図であって、一対の脚が開かれた状態を示す平面図である。
図4】第1実施形態の説明図であって、一対の脚が対称軸に対して平行をなす状態を示す平面図である。
図5】第1実施形態の説明図であって、一対の脚が閉じられた状態を示す平面図である。
図6】第1実施形態の説明図であって、当該走行リフト装置を折り畳むときの手順を説明するための側面図である。
図7】第1実施形態の説明図であって、図6に示される状態からアームを回動させて支柱に沿わせた状態を示す側面図である。
図8】第1実施形態の説明図であって、当該走行リフト装置の折り畳みが完了した状態を示す側面図である。
図9】第1実施形態の説明図であって、一対の脚が閉じられた走行リフト装置をトイレが設置されたクロゼットに進入させている状態を示す平面図である。
図10】第1実施形態の説明図であって、クロゼット内で当該走行リフト装置の一対の脚を開いた状態を示す平面図である。
図11】第1実施形態の説明図であって、被介護者をトイレに移乗させる状態を示す平面図である。
図12】第2実施形態に係る走行リフト装置の斜視図である。
図13】第2実施形態の説明図であって、一対の脚が開かれた状態を示す平面図である。
図14】第2実施形態の説明図であって、一対の脚が対称軸に対して平行をなす状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を添付した図を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る走行リフト装置1の斜視図である。便宜上、前後方向、左右方向、および上下方向を、図1に矢印で示す方向とする。図1に示されるように、走行リフト装置1は、ベース2(図2参照)と、該ベース2上に立設される支柱3と、該支柱3の上端部に取り付けられるアーム4とを有する。
【0010】
支柱3には、角形鋼管が用いられる。図2に示されるように、支柱3の下端部は、ベース2の上面2Aに接合されたソケット5に着脱可能に嵌合され、クランプレバー6の操作によってソケット5、延いてはベース2に締め付け固定される。また、支柱3の下端部の左右側面には、支柱3に沿って上下方向へ延びる一対の長穴7,7(図2に左側面の長穴7のみ表示)が形成される。長穴7,7には、左端部がクランプレバー6に係合されたねじ軸8が挿通される。ねじ軸8の右端部は、角形鋼管からなるソケット5の右側面に接合されたナット9(図1参照)に螺合される。
【0011】
ソケット5の前後側面には、上端が開口する切欠き10,10(図2に前側面の切欠き10のみ表示)が形成される。この構成により、本実施形態では、クランプレバー6を緩めた状態で、支柱3の長穴7,7をねじ軸8に対して上方向へ移動させるようにして支柱3をソケット5から引き抜き、この状態で、ねじ軸8を中心に支柱3を前方へ倒すように回動させることが可能である。なお、ソケット5の後側面側の切欠き10(図示省略)は、支柱3を前方へ倒すときに当該支柱3の回動運動を阻害しないように切欠き長さが設定される。また、支柱3の上部には、一対のハンドル11,11(図1参照)が左右対称に設けられる。
【0012】
アーム4には、角形鋼管が用いられる。図1に示されるように、アーム4は、前後方向へ延び、支柱3に接続される側である基部4A側に湾曲部12が形成される。アーム4の基部4Aは、中心線が左右方向に対して平行に配置された軸13によって支柱3の上端部に接続される。これにより、アーム4は、軸13を回動中心として支柱3に対して回動可能である。他方、アーム4の先端部4Bには、ハンガー14が着脱可能に取り付けられる。なお、ハンガー14の両端部には、スリングシート(図示省略)を掛けるためのフック14A,14Aが形成される。
【0013】
支柱3とアーム4との間には、電動アクチュエータ15(アーム駆動手段)が介装される。電動アクチュエータ15は、シリンダ部15Aと、該シリンダ部15Aに対して伸縮可能なロッド部15Bとを有する。シリンダ部15Aは、受金具16を介して支柱3に取り付けられる。シリンダ部15Aは、受金具16によって支持された軸17を中心に揺動可能である。他方、ロッド部15Bは、円形鋼管からなるソケット18を介してアーム4に取り付けられる。ロッド部15Bは、アーム4とソケット18とを接続する軸19を中心に揺動可能である。なお、軸17と軸19とは、左右方向に対して平行をなす。
【0014】
図2に示されるように、ベース2は、左右方向長さが前後方向長さに対して長い箱形に形成される。ベース2には、前後方向に分割されたカバー66,67(図1図3参照)が取り付けられる。なお、図2は、カバー66,67が取り外された状態を示す。そして、図3に示されるように、ベース2の左右両側(側方両側)には、一対の脚21,41が設けられる。一対の脚21,41には、角形鋼管が用いられる。
【0015】
図3に示されるように、一対の脚21,41は、床面に沿うように延びて、平面視で、ベース2の左右方向両端の中心を通って前後方向へ延びる直線を対称軸Lとして左右対称である。一対の脚21,41は、ブラケット25,45(連結手段)を介してベース2の左右両側部に連結される連結部22,42を有する。ここでは、一対の脚21,41の連結部22,42から前側部分を長尺部23,43とし、一対の脚21,41の連結部22,42から後側部分を短尺部24,44とする。
【0016】
一対の脚21,41は、ブラケット25,45によって支持された軸26,46(連結手段)を中心に回動可能である。軸26,46は、上下方向に対して平行をなす。走行リフト装置1は、一方の脚21の軸26を中心とする回動運動に連動させて、他方の脚41を軸46を中心に回動させる連動機構(図示省略)を有する。連動機構には、リンク機構や歯車機構等の既存の機構を適宜用いることができる。
【0017】
図2に示されるように、一対の脚21,41間には、電動アクチュエータ61が介装される。電動アクチュエータ61は、シリンダ部61Aと、該シリンダ部61Aに対して伸縮可能なロッド部61Bとを有する。シリンダ部61Aは、受金具62を介して、左側の脚21の長尺部23の内側面の連結部22近傍に取り付けられる。シリンダ部61Aは、受金具62によって支持された軸63を中心に揺動可能である。他方、ロッド部62Bは、受金具64を介して、右側の脚41の長尺部43の内側面の連結部42近傍に取り付けられる。ロッド部61Bは、受金具64によって支持された軸65を中心に揺動可能である。なお、軸63と軸65とは、上下方向に対して平行をなす。
【0018】
図3に示されるように、走行リフト装置1は、リモートコントローラ(図示省略)を操作して電動アクチュエータ61のロッド部61Bを伸長させることにより、一対の脚21,41が軸26,46を中心に回動して前端部間の間隔が広がる(以下「一対の脚21,41が開く」)。他方、図5に示されるように、走行リフト装置1は、リモートコントローラ(図示省略)を操作して電動アクチュエータ61のロッド部61Bを縮長させることにより、一対の脚21,41が軸26,46を中心に回動して前端部間の間隔が狭まる(以下「一対の脚21,41が閉じる」)。なお、第1実施形態における一対の脚21,41は、電動アクチュエータ61のロッド部61Bのストロークの範囲内で開閉される。
【0019】
図1に示されるように、脚21および脚41(長尺部23および長尺部43)の前端部には、長さ方向(前後方向)に間隔をあけて配置されたキャスタ27,28およびキャスタ47,48(車輪)が設けられる。他方、脚21,41(短尺部24,44)の後端部には、キャスタ29,49が設けられる。なお、キャスタ29,49は、ベース2に対して後方の位置に配置される。また、キャスタ29,49の耐荷重は、キャスタ27,28およびキャスタ47,48の耐荷重に対して大きく設定される。
【0020】
図1図3に示されるように、脚21,41には、ステー32,52を介して第1補助輪31,51が設けられる。第1補助輪31,51は、脚21,41の外側で長尺部23,43の長さ方向(前後方向)の略中間位置に配置される。ステー32,52は、基端部(第1補助輪31,51が取り付けられる側とは反対側の端部)が長尺部23,43の外側面に固定され、基端部から斜め後方に向かって延びる。
【0021】
図1図3に示されるように、脚21,41には、ステー34,54を介して第2補助輪33,53が設けられる。第2補助輪33,53は、脚21,41の外側で、軸26,46に対して後方かつキャスタ29,49に対して前方に配置される。ステー34,54は、基端部(第2補助輪33,53が取り付けられる側とは反対側の端部)が、長尺部23,43の外側面の連結部22,42近傍(連結部近傍)に固定され、基端部から斜め後方に向かって延びる。
【0022】
一方、走行リフト装置1は、折り畳み可能に構成される。以下、走行リフト装置1を折り畳む手順を説明する。まず、図6に示されるように、ハンガー14をアーム4から取り外しておく。なお、図7に示されるように、アーム4から取り外されたハンガー14は、両端のフック14A,14Aが支柱3に設けられたボス71,71(図6参照)によって支持されるとともに、中央のフック14B(図6参照)が左側のハンドル11に設けられたリング72(図6参照)によって支持される。
【0023】
次に、アーム4を、軸13を中心に図6における時計回り方向へ回動させるようにして持ち上げることにより、電動アクチュエータ15(アーム駆動手段)のロッド部15Bの先端部をアーム4に取り付けられたソケット18から引き抜く。次に、電動アクチュエータ15のロッド部15Bの先端部を、支柱3に設けられた把持部73によって把持する。この状態で、電動アクチュエータ15のシリンダ部15Aおよびロッド部15Bは、支柱3に設けられた緩衝パッド74,74に押し付けられる。
【0024】
次に、図7に示されるように、アーム4を、軸13を中心に図7における反時計回り方向へ回動させることにより、当該アーム4を支柱3に対して略平行の状態にする。次に、クランプレバー6を緩めて支柱3をソケット5から引き抜き、この状態で、支柱3を、ねじ軸8を中心に図7における反時計回り方向へ回動させる。これにより、図8に示されるように、支柱3、アーム4、および一対の脚21,41が略平行に重ね合わされる。そして、図8に示される折り畳まれた状態を、抑制帯75,75によって保持する。
【0025】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
ここでは、当該走行リフト装置1を利用して、介護者が被介護者をクロゼット77(レストルーム内の個室)に設置されたトイレ78(図9参照)へ移乗させる場合を説明する。なお、クロゼット77は、車椅子での進入を想定した間取りになっている。また、図9ないし図11においては、支柱3を正方形で示すとともに、被介護者を含む支柱3によって支持される構成の図示を省略する。
【0026】
まず、介護者は、リモートコントローラを操作し、スリングシートに乗せた被介護者をアーム4によって吊り上げる。次に、介護者は、支柱3の後側から両手でハンドル11,11を操作し、走行リフト装置1を移動(前進)させる。介護者は、クロゼット77の手前で走行リフト装置1を停止させ、リモートコントローラを操作して一対の脚21,41を閉じる。第1実施形態では、一対の脚21,41を対称軸Lに対して平行な位置(図4参照)よりも内側へ閉じる(回動させる)ことにより、図9に示されるように、一対の脚21,41の前端部をクロゼット77の開口部77Aに接触させることなく、走行リフト装置1をクロゼット77内へ容易に進入させることが可能である。
【0027】
介護者は、走行リフト装置1をクロゼット77内へ進入させた後、リモートコントローラを操作し、図10に示されるように、一対の脚21,41を対称軸Lに対して平行な位置(図4参照)よりも外側へ開く(回動させる)。次に、図11に示されるように、介護者は、被介護者(図示省略)をトイレ78の上方の移乗位置に位置決めさせた後、リモートコントローラを操作し、スリングシートによって支持された被介護者をトイレ78の弁座に着座させる。なお、前述した操作と逆の手順で、被介護者をクロゼット77(個室)から退出させることが可能である。
【0028】
第1実施形態は以下の効果を奏する。
第1実施形態によれば、ベースと、ベース上に立設される支柱と、支柱の上端部に回動可能に取り付けられるアームと、支柱とアームとの間に介装されるアーム駆動手段と、ベースの側方両側に設けられ、前後方向へ延びる対称軸を有する一対の脚と、ベースと一対の脚とを連結させる連結手段と、一対の脚の両端部に設けられる車輪と、を備える走行リフト装置であって、一対の脚は、対称軸に対して平行な位置から外側および内側へ回動可能である。
これにより、一対の脚を対称軸に対して平行な位置から内側へ回動させることにより、一対の脚の前端部の間隔を狭めることが可能であり、当該走行リフト装置の狭い場所での取回し性を向上させることができる。
また、一対の脚を対称軸に対して平行な位置から外側へ回動させることにより、一対の脚の前端部の間隔を広げることが可能であり、被介護者の移乗時における当該走行リフト装置の安定性を向上させることができる。
【0029】
また、走行リフト装置の一対の脚を閉じた場合、すなわち、一対の脚の前端部の間隔を狭めた場合、左右方向への重心移動に対して相対的に不安定になりやすいが、第1実施形態では、一対の脚の延び方向中間位置に第1補助輪を設け、第1補助輪を、一対の脚に対して外側に配置したので、一対の脚を閉じた場合の当該走行リフト装置の安定性を保つことができる。
【0030】
また、走行リフト装置の一対の脚を開いた場合、すなわち、一対の脚の前端部の間隔を広げた場合、斜め後方への重心移動に対して相対的に不安定になりやすいが、第1実施形態では、一対の脚のベースとの連結部近傍に第2補助輪を設け、第2補助輪を、一対の脚に対して外側に配置したので、一対の脚を開いた場合の当該走行リフト装置の安定性を保つことができる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、図12図14を参照して、第2実施形態に係る走行リフト装置91を、第1実施形態に係る走行リフト装置1(図1参照)との相違部分について説明する。なお、第1実施形態に係る走行リフト装置1との共通部分については、同一の称呼および符号を用い、重複する説明を省略する。
【0032】
第1実施形態に係る走行リフト装置1では、一対の脚21,41が、前端と後端とを結ぶ直線上にある、すなわち、長尺部23,43と短尺部24,44とが一直線上に位置している。これに対し、第2実施形態に係る走行リフト装置91では、一対の脚21,41が、連結部22,42近傍が内側(対称軸L側)へ折れ曲がった屈曲形状に形成される。第2実施形態に係る走行リフト装置91においては、一対の脚21,41の屈曲部(連結部22,42)から前側が長尺部23,43であり、屈曲部から後側が短尺部24,44である。
【0033】
図13に示されるように、第2実施形態に係る走行リフト装置91は、一対の脚21,41を開いたとき、第1実施形態に係る走行リフト装置1と比較して、一対の脚21,41の後端部のキャスタ29,49間の間隔(トレッド)を広くなる。これにより、第2実施形態に係る走行リフト装置91では、第1実施形態の走行リフト装置1の一対の脚21,41に設けられていた第2補助輪33,53を用いることなく、一対の脚21,41を開いたときの安定性を保つことが可能であり、部品点数、延いては製造コストを削減することができる。
【0034】
同様に、第2実施形態に係る走行リフト装置91では、図14に示されるように、一対の脚21,41が対称軸Lに対して平行であるとき、一対の脚21,41の後端部のキャスタ29,49間の間隔(トレッド)が、連結手段の軸間距離(軸26と軸46との間隔)よりも大きい、換言すると、キャスタ29,49が長尺部23,43よりも外側に位置している。これにより、第2実施形態に係る走行リフト装置91では、一対の脚21,41が対称軸Lに対して略平行であるときも、第2補助輪33,53(図4参照)を用いることなく、安定性を保つことができる。
【0035】
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば、次のように構成することができる。
図8に示されるように、走行リフト装置1(91)を折り畳んだ状態(立てた状態)で移動させるときに接地させる左右一対の車輪81,81(図8には左側に配置される車輪81のみ表示)を設けることができる。車輪81,81は、例えば、一対の脚21,41を上下方向へ貫通するキャスタ29,49の軸82,82(図8には左側に配置される軸82のみ表示)によって回転可能に支持される。
【符号の説明】
【0036】
1 走行リフト装置、2 ベース、3 支柱、4 アーム、15 電動アクチュエータ(アーム駆動手段)、21,41 脚、25,45 ブラケット(連結手段)、26,46 軸(連結手段)、27,47 キャスタ(車輪)、28,48 キャスタ(車輪)、29,49 キャスタ(車輪)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14