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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 9/40 20180101AFI20230616BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20230616BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20230616BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20230616BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20230616BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230616BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230616BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20230616BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20230616BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230616BHJP
【FI】
F21V9/40
F21S8/04 100
F21V3/00 510
F21V3/08
F21V9/38
G02B5/20
H01L33/00 L
H01L33/50
F21Y113:13
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019139329
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021022523
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 綾香
(72)【発明者】
【氏名】清水 正則
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-123429(JP,A)
【文献】特開2016-027644(JP,A)
【文献】特開2007-214603(JP,A)
【文献】特開2011-222517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 9/40
H01L 33/50
H01L 33/00
F21S 8/04
F21V 3/00
F21V 3/08
F21V 9/38
G02B 5/20
F21Y 113/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光を発する第1発光部と、
前記第1光よりも、低い相関色温度の第2光を発する第2発光部と、
CIE xy色度図において、前記第1光の色度座標及び前記第2光の色度座標を結ぶ直線とによって黒体放射軌跡を挟む位置の色度座標を有する第3光を発する第3発光部と、
前記第1発光部、前記第2発光部及び前記第3発光部のそれぞれの光量を調整する制御部と、を備え、
前記第1光及び前記第2光の少なくとも一方の色域面積比が100以下であり、
前記第3光の発光スペクトルは、波長520nm以上540nm以下のピーク及び波長620nm以上650nm以下のピークを有する、
照明装置。
【請求項2】
第1光を発する第1発光部と、
前記第1光よりも、低い相関色温度の第2光を発する第2発光部と、
CIE xy色度図において、前記第1光の色度座標及び前記第2光の色度座標を結ぶ直線とによって黒体放射軌跡を挟む位置の色度座標を有する第3光を発する第3発光部と、
前記第1発光部、前記第2発光部及び前記第3発光部のそれぞれの光量を調整する制御部と、を備え、
前記第1光及び前記第2光それぞれの色域面積比が100より大きく、
前記第3光の発光スペクトルは、波長520nm以上540nm以下のピークを有する、
照明装置。
【請求項3】
前記第1発光部は、第1発光素子、及び、前記第1発光素子が発する光の少なくとも一部を波長変換する第1蛍光部材を有し、前記第1発光素子が発する光、及び、前記第1蛍光部材に波長変換された光を混合して前記第1光を発し、
前記第2発光部は、第2発光素子、及び、前記第2発光素子が発する光の少なくとも一部を波長変換する第2蛍光部材を有し、前記第2発光素子が発する光、及び、前記第2蛍光部材に波長変換された光を混合して前記第2光を発し、
前記第3発光部は、第3発光素子、及び、前記第3発光素子が発する光の少なくとも一部を波長変換する第3蛍光部材を有し、前記第3発光素子が発する光、及び、前記第3蛍光部材に波長変換された光を混合して前記第3光を発し、
CIE xy色度図において、前記第1光の色度座標及び前記第2光の色度座標を結ぶ直線の少なくとも一部が、色偏差Duvが0より小さい領域に存在し、
前記第3光の色度座標は、CIE xy色度図において、色偏差Duvが0より大きい領域に位置する色度座標であり、
前記第3光の発光スペクトルは、前記第3蛍光部材から発せられる光に由来する少なくとも2つ以上のピークを有する、
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第3光の色度座標は、CIE xy色度図において、色偏差Duvが0より大きい領域に位置する色度座標である、
請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第3光の色度座標は、CIE xy色度図において、色偏差Duvが10以上の領域に位置する色度座標である、
請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第3光の色度座標は、CIE xy色度図において、(x,y)=(0.28,0.68)、(x,y)=(0.2,0.62)、(x,y)=(0.08,0.54)、(x,y)=(0.07,0.46)、(x,y)=(0.14,0.38)、(x,y)=(0.29,0.38)、(x,y)=(0.51,0.48)及び(x,y)=(0.28,0.68)
の点に囲まれた領域内に位置する色度座標である、
請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第3光の色度座標は、CIE xy色度図において、(x,y)=(0.28,0.68)、(x,y)=(0.2,0.62)、(x,y)=(0.08,0.54)、(x,y)=(0.07,0.46)、(x,y)=(0.14,0.38)、(x,y)=(0.29,0.38)、(x,y)=(0.41,0.58)及び(x,y)=(0.28,0.68)
の点に囲まれた領域内に位置する色度座標である、
請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用目的又は使用状況等に応じて照明光の相関色温度を変化させることができる機能を有する照明装置が知られている。相関色温度を変化させることができる機能を有する照明装置は、例えば、光色の異なる2つ以上の発光部を備え、それぞれの発光部の光量の比率を変更することにより、放射する白色光の相関色温度を変化させる。特許文献1では、色度座標において弧状の曲線である黒体軌跡に沿って、放射する白色光の色度座標を変化させるため、光色の異なる3つの光源を備える照明装置が開示されている。特許文献1の照明装置では、黒体軌跡近傍の色度座標を有し、相関色温度の異なる2つの光源と、黄色領域内の色度座標を有する光源とが、備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-123429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
相関色温度を変化させることができる照明装置において、使用用途によっては、黒体軌跡の色度座標の白色光であると同時に、照明空間に存在する物体の色を忠実に表現できる白色光、すなわち、演色性の高い白色光であることが求められる場合がある。
【0005】
例えば、従来、光源に黒体放射を発光原理とした電球が使用されていたような場面では、スタジオ照明等は、調光により、明るさが変化するとともに、黒体放射軌跡(以下では、黒体(放射)軌跡又は黒体軌跡と簡略に記される場合もある)に沿って相関色温度も変化する。このような場面を、相関色温度が異なる2色のLED(Light Emitting Diode)光源を使用し、光の混合比率を変化させることで疑似しようとしても、混合された光の色度は、黒体放射軌跡には沿わず、設定した2色の色度座標(例えばxy色度座標)の間を直線的に変化するのみとなる。
【0006】
そこで、本発明では、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る照明装置は、第1光を発する第1発光部と、前記第1光よりも、低い相関色温度の第2光を発する第2発光部と、CIE xy色度図において、前記第1光の色度座標及び前記第2光の色度座標を結ぶ直線とによって黒体放射軌跡を挟む位置の色度座標を有する第3光を発する第3発光部と、前記第1発光部、前記第2発光部及び前記第3発光部のそれぞれの光量を調整する制御部と、を備え、前記第3光は、前記第1光及び前記第2光それぞれの色域面積比に応じた発光スペクトルを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る照明装置によれば、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る照明装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明装置の第1発光部、第2発光部及び第3発光部の断面を示す模式図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明装置の第1光、第2光及び第3光の色度座標の一例を示すCIE xy色度図である。
図4A図4Aは、実施例1における照明装置の第1光の発光スペクトルを示す図である。
図4B図4Bは、実施例1における照明装置の第2光の発光スペクトルを示す図である。
図4C図4Cは、実施例1における照明装置の第3光の発光スペクトルを示す図である。
図4D図4Dは、実施例1における照明装置が放射する光の色偏差Duvを示す図である。
図4E図4Eは、実施例1における照明装置が放射する光の演色評価数を示す図である。
図5A図5Aは、実施例2における照明装置の第1光の発光スペクトルを示す図である。
図5B図5Bは、実施例2における照明装置の第2光の発光スペクトルを示す図である。
図5C図5Cは、実施例2における照明装置の第3光の発光スペクトルを示す図である。
図5D図5Dは、実施例2における照明装置が放射する光の色偏差Duvを示す図である。
図6A図6Aは、実施例3における照明装置の第1光の発光スペクトルを示す図である。
図6B図6Bは、実施例3における照明装置の第2光の発光スペクトルを示す図である。
図6C図6Cは、実施例3における照明装置の第3光の発光スペクトルを示す図である。
図6D図6Dは、実施例3における照明装置が放射する光の色偏差Duvを示す図である。
図7A図7Aは、実施例4における照明装置の第1光の発光スペクトルを示す図である。
図7B図7Bは、実施例4における照明装置の第2光の発光スペクトルを示す図である。
図7C図7Cは、実施例4における照明装置の第3光の発光スペクトルを示す図である。
図7D図7Dは、実施例4における照明装置が放射する光の色偏差Duvを示す図である。
図8A図8Aは、実施例5における照明装置の第1光の発光スペクトルを示す図である。
図8B図8Bは、実施例5における照明装置の第2光の発光スペクトルを示す図である。
図8C図8Cは、実施例5における照明装置の第3光の発光スペクトルを示す図である。
図8D図8Dは、実施例5における照明装置が放射する光の色偏差Duvを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態)
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、本発明を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。
【0011】
また、本明細書において、色偏差Duvの数値は、JIS Z8725により定められる黒体(放射)軌跡からの色偏差の表記であるDuvの数値、つまり、duvの数値の1000倍である。言い換えると、本明細書において、色偏差Duvの数値は、特に言及がない限り、JIS Z8725に準じ、duvの数値の1000倍とする。
【0012】
[構成]
まず、本実施の形態に係る照明装置について説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る照明装置100の概略構成を示す図である。図1に示されるように、照明装置100は、第1発光部10、第2発光部20、第3発光部30及び制御部40を備える。照明装置100は、例えば、図1に示されるようなシーリングライトであり、ベースライト、ダウンライト、投光器等の器具形状、又は、電球等のランプ形状の照明装置であってもよい。
【0014】
第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30は、それぞれ、異なる色度の光を発する発光部である。第1発光部10は、第1光を発し、第2発光部20は、第1光よりも相関色温度が低い第2光を発する。第3発光部30は、CIE xy色度図において、第1光の色度座標及び第2光の色度座標を結ぶ直線とによって黒体軌跡を挟む位置の色度座標を有する第3光を発する。つまり、第3光の色度座標は、CIE xy色度図において、第3光の色度座標と第1光の色度座標及び第2光の色度座標を結ぶ直線の少なくとも一部とにより、黒体軌跡を挟むことができる色度座標である。また、CIE xy色度図において、第1光の色度座標及び第2光の色度座標を結ぶ直線の少なくとも一部が、色偏差Duvが0より小さい領域に存在し、第3光の色度座標は、色偏差Duvが0より大きい領域に位置する色度座標であってもよい。
【0015】
制御部40は、外部からの制御情報を受け付け、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30のそれぞれの光量の比率を調整する。これにより、第1光と第2光と第3光とが混合されて生成する白色光が調色される。なお、本明細書において、白色光とは、昼光色(記号D)、昼白色(記号N)、白色(記号W)、温白色(記号WW)及び電球色(記号L)の範囲、又は、それ以上若しくは以下の相関色温度を有する黒体放射軌跡や合成昼光の軌跡に沿った照明用の光色を意味し、光色の色度区分における白色(記号W)の狭義の範囲を意図するものでない。
【0016】
制御部40は、例えば、電源回路により第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30に独立して電力を供給し、個別に電流量を変化させることで、第1光、第2光及び第3光のそれぞれの光量を調整(すなわち調光)する。また、制御部40の制御には、点灯及び消灯が含まれる。制御部40は、具体的には、調光スイッチ、電源回路、電流制御回路、及び、調光回路等から構成される。制御部40は、さらに、プロセッサ、又はマイクロコンピュータ等を含んでいてもよい。また、制御部40は、遠隔操作で制御するための通信モジュール等を備えていてもよい。
【0017】
次に、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30について、詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る照明装置100の第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30の断面を示す模式図である。
【0018】
図2に示されるように、第1発光部10は、第1発光素子11、第1発光素子11が発する光の少なくとも一部を波長変換する第1蛍光部材12及び封止部材50を有する。第1発光部10は、COB(Chip On Board)型の発光モジュールであり、第1発光素子11が、基板60上に実装され、第1蛍光部材12が中に分散した封止部材50によって封止されている。また、図示はされていないが、第1発光素子11には、電力を供給するための金属配線等が設けられている。
【0019】
第2発光部20は、第2発光素子21、第2発光素子21が発する光の少なくとも一部を波長変換する第2蛍光部材22及び封止部材50を有する。また、第3発光部30は、第3発光素子31、第3発光素子31が発する光の少なくとも一部を波長変換する第3蛍光部材32及び封止部材50を有する。第2発光部20及び第3発光部30は、第1発光部10と同様の構造を有しているため、詳細な説明は省略する。第2発光部20及び第3発光部30は、第1発光部10とは別回路によって電力が供給される。
【0020】
また、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30は、SMD(Surface Mount Device)型の発光モジュールであってもよい。また、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30は、CSP(Chip Scale Package)型又はリモートフォスファー型等の発光モジュールであってもよい。また、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30が、リモートフォスファー型の発光モジュールである場合は、封止部材50による封止ではなく、真空封止のLEDパッケージ構造にするなどの変更が可能である。第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30の数は、使用目的に応じて適宜調整すればよい。
【0021】
第1発光部10は、第1発光素子11が発する光、及び、第1蛍光部材12に波長変換された光を混合して第1光を発する。第2発光部20は、第2発光素子21が発する光、及び、第2蛍光部材22に波長変換された光を混合して第2光を発する。第3発光部30は、第3発光素子31が発する光、及び、第3蛍光部材32に波長変換された光を混合して第3光を発する。
【0022】
第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、例えば、発光ピーク波長が420nm以上470nm以下の青色光を放射するLEDである。第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、同じ発光ピーク波長を有するLEDであってもよく、異なる発光ピーク波長を有するLEDであってもよい。電流電圧特性を同じにし、電源回路設計が容易になる観点からは、例えば、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、同じ発光ピーク波長を有する種類のLEDである。なお、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31を総称して単に「発光素子」と記載する場合がある。発光素子は、発光ピーク波長が近紫外又は紫外線の波長の光を放射するLEDであってもよい。
【0023】
第1蛍光部材12は、第1発光素子11の光の少なくとも一部によって励起され、第1発光素子11の光よりも長い波長の光を放射する。同様に、第2蛍光部材22は、第2発光素子21の光の少なくとも一部によって励起され、第2発光素子21の光よりも長い波長の光を放射する。第3蛍光部材は、第3発光素子31の光の少なくとも一部によって励起され、第3発光素子31の光よりも長い波長の光を放射する。なお、第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32を総称して単に「蛍光部材」と記載する場合がある。
【0024】
第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32のそれぞれは、例えば、青緑色から赤色のいずれかの光の波長範囲に発光ピークを有する蛍光体を含む。
【0025】
青緑色から緑色の光の波長範囲に発光ピークを有する蛍光体としては、例えば、ガーネット系蛍光体(LuAG蛍光体等)、シリケート系蛍光体(BOSE蛍光体等)及び窒化物系蛍光体(BaSiON蛍光体、βSiAlON蛍光体等)が挙げられる。本明細書において、青緑色から緑色の光の波長範囲とは、470nm以上540nm以下である。
【0026】
黄色の光の波長範囲に発光ピークを有する蛍光体としては、例えば、ガーネット系蛍光体(YAG蛍光体、LuAG蛍光体等)、シリケート系蛍光体(BOSE蛍光体等)及び窒化物系蛍光体(αSiAlON蛍光体、SLA蛍光体、LSN蛍光体等)等が挙げられる。本明細書において、黄色の光の波長範囲とは、540nm以上600nm以下である。なお、黄色の光色の光は、スペクトル幅の広い発光を呈すため、主たる発光強度が上記の540nm以上600nm以下の波長範囲であっても、発光ピーク位置は500nm以上540nm以下に位置する場合もある。そのため、本明細書においては、発光ピーク位置が500nm以上540nm以下の波長範囲に位置し、主たる発光強度が540nm以上600nm以下の波長範囲である光の光色も黄色と分類する。発光ピーク位置が500nm以上540nm以下の波長範囲に位置し、主たる発光強度が540nm以上600nm以下の波長範囲である光を発する黄色発光蛍光体の例としては、LuAG蛍光体及びLSN蛍光体等が挙げられる。
【0027】
赤色の光の波長範囲に発光ピークを有する蛍光体としては、例えば、窒化物系蛍光体(αSiAlON蛍光体、CASN蛍光体、SCASN蛍光体、SLA蛍光体、SALON蛍光体等)等が挙げられる。また、赤色の光の波長範囲に発光ピークを有する蛍光体は、窒化物系蛍光体に限らず、狭帯域発光を呈すフッ化物蛍光体(KFS蛍光体、MFG蛍光体等)であってもよい。本明細書において、赤色の光の波長範囲とは、600nm以上700nm以下である。
【0028】
第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32それぞれに含まれる蛍光体の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。第1光及び第2光の演色性を高める観点から、例えば、第1蛍光部材12及び第2蛍光部材22には、青緑色から緑色、黄色及び赤色の光の波長範囲に発光ピークを有する蛍光体のうち、2種類以上の蛍光体が含まれるとよい。
【0029】
第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32それぞれに含まれる蛍光体の種類、配合比率及び封止部材50中への配合量は、目的とする第1光、第2光及び第3光それぞれの発光スペクトル形状となるように調整される。具体的には、第1蛍光部材12及び第2蛍光部材22それぞれに含まれる蛍光体の種類、配合比率及び封止部材50中への配合量は、第2光が、第1光よりも、相関色温度が低くなるように調整される。また、第3蛍光部材32に含まれる蛍光体の種類、配合比率及び封止部材50中への配合量は、第3光が、CIE xy色度図において、黒体放射軌跡よりDuvがプラス側(色偏差Duvが0より大きい色度座標)、上方y値が高い側にあり、好ましくは、第1光の色度座標及び第2光の色度座標を結ぶ直線とによって黒体放射軌跡を挟む位置の色度座標になるように調整される。さらに、第3蛍光部材32に含まれる蛍光体の種類、配合比率及び封止部材50中への配合量は、第3光の発光スペクトルが目的の形状となるように、第1光及び第2光の色域面積比に応じて調整される。第3光の発光スペクトルの詳細については後述する。
【0030】
封止部材50は、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31をそれぞれ個別に封止する透光性樹脂材料である。透光性樹脂材料としては、第1発光素子11、第2発光素子21、第3発光素子31、第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32が発する光を透過する材料であれば、特に限定されない。透光性樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はユリア樹脂等が用いられる。なお、図2においては、第1発光部10と第2発光部20と第3発光部30とは、同じ種類の封止部材50を有しているが、第1発光部10と第2発光部20と第3発光部30とは、別の種類の封止部材を有していてもよい。
【0031】
基板60は、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30を実装する基板である。基板60は、例えば、樹脂基板、メタルベース基板、メタルコア基板、又はセラミック基板である。
【0032】
[動作]
次に、本実施の形態に係る照明装置100の動作について説明する。
【0033】
照明装置100は、電力が供給されると、制御部40による制御に基づいて第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30が発光する。つまり、照明装置100は、第1発光部10が発する第1光、第2発光部20が発する第2光、及び、第3発光部30が発する第3光が混合された白色光を放射する。
【0034】
第1光は、第1発光素子11及び第1蛍光部材12が発する光の混合光である。そのため、第1光の発光スペクトルは、第1発光素子11及び第1蛍光部材12の発光に由来するピークを有する。同様に、第2光の発光スペクトルは、第2発光素子21及び第2蛍光部材22の発光に由来するピークを有する。第3光の発光スペクトルは、第3発光素子31及び第3蛍光部材32の発光に由来するピークを有する。なお、蛍光部材が発光素子の光のほぼ全て吸収する場合には、第1光、第2光及び第3光の発光スペクトルは、発光素子由来の発光スペクトルのピークが測定判別不能な状況であってもよい。
【0035】
制御部40は、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30への電流量を個別に調整し、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30の光量を変化させることで、放射する白色光を調色する。なお、制御部40は、目的の光色によって、電力供給されていない発光部があってもよい。
【0036】
図3は、本実施の形態に係る照明装置100の第1光、第2光及び第3光の色度座標の一例を示すCIE xy色度図である。図3には、第1光が色度座標L1を有し、第2光が色度座標L2を有し、第3光が色度座標L3を有する例が示されている。図3に示されるように、第1光と第2光とは、相関色温度が異なる光であり、第2光の相関色温度は、第1光の相関色温度よりも低い。第3光の色度座標L3は、第1光の色度座標L1と第2光の色度座標L2とを結ぶ直線の少なくとも一部とによって黒体軌跡を挟む位置の色度座標である。
【0037】
ここで、照明装置100が照射する白色光について、第1光と第2光とを混合した光を第1白色光とし、第1白色光にさらに第3光を混合した光を第2白色光とした場合について説明する。第1白色光における第1光と第2光との混合比率、及び、第2白色光における第1白色光と第3光との混合比率は、制御部40により調整される。
【0038】
第1白色光は、第1光と第2光との混合比率に応じて、第1光の相関色温度と第2光の相関色温度との間の相関色温度の白色光に調色される。このとき、第1白色光の色度座標は、第1光の色度座標L1と第2光の色度座標L2とを結ぶ直線上の色度座標となる。黒体軌跡はCIE xy色度図において、上に凸の曲線であるため、第1白色光の色度座標は、相関色温度を変化させる場合に、黒体軌跡の色度座標から外れることになる。
【0039】
第1白色光にさらに第3光を混合した第2白色光の色度座標は、第1白色光の色度座標から、第3光の色度座標L3に向かって移動した色度座標となる。第3光の色度座標L3は、第1光の色度座標L1と第2光の色度座標L2とを結ぶ直線とによって黒体軌跡を挟む位置の色度座標である。そのため、第1白色光の色度座標が黒体軌跡から外れていた場合であっても、第2白色光は、第1白色光と第3光とが混合されることにより、黒体軌跡の色度座標に調整される。よって、照明装置100は、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させることができる。なお、調色したい相関色温度の範囲によって、第1光、第2光及び第3光の色度座標は、図3に示される例から変更されてもよい。
【0040】
また、図3に示されるように、第3光の色度座標L3は、色偏差Duvが0より大きい領域に位置する色度座標である。これにより、色偏差Duvがマイナスとなる領域の色度座標の光に第3光を混合させることで黒体軌跡の色度座標に調色することができる。また、第2白色光の色度座標を調整しやすくする観点から、第3光の色度座標L3は、色偏差Duvが10以上の領域の色度座標であってもよい。さらに、第3光の色度座標L3は、色偏差Duvが20以上の領域であってもよく、これにより、第3光を用いた調色がより行いやすくなる。
【0041】
また、例えば、第3光の色度座標L3は、CIE xy色度図において、(x,y)=(0.28,0.68)、(x,y)=(0.2,0.62)、(x,y)=(0.08,0.54)、(x,y)=(0.07,0.46)、(x,y)=(0.14,0.38)、(x,y)=(0.29,0.38)、(x,y)=(0.51,0.48)及び(x,y)=(0.28,0.68)の点に囲まれた領域内に位置する色度座標であってもよい。このような色度座標の第3光を発する第3発光部30は、第3蛍光部材32に含まれる蛍光体の種類、配合比率及び封止部材50中への配合量を調整することで容易に実現できる。
【0042】
また、例えば、第3光の色度座標L3は、CIE xy色度図において、(x,y)=(0.28,0.68)、(x,y)=(0.2,0.62)、(x,y)=(0.08,0.54)、(x,y)=(0.07,0.46)、(x,y)=(0.14,0.38)、(x,y)=(0.29,0.38)、(x,y)=(0.41,0.58)及び(x,y)=(0.28,0.68)の点に囲まれた領域内に位置する色度座標であってもよい。このような場合の色度座標の領域は、黄みの緑の光色が制限された色度座標であるため、第1光と第2光との混合光の光色を、第3光の追加で調整する幅がより大きくなる。
【0043】
上記第3光の色度座標範囲は、実施の際に調整可能である。例えば、上記第3光の色度座標範囲は、第3蛍光部材32に含まれる蛍光体として、緑色発光のBOSE蛍光体等のシリケート系蛍光体BOSE、及び、βSiAlON蛍光体、BaSiON蛍光体等の窒化物系蛍光体を単数又は複数使用し、赤色発光のCASN蛍光体、SCASN蛍光体等の窒化物系蛍光体を単数または複数使用し、これら緑色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体を組み合わせることで、実現可能である。なお、赤色発光蛍光体にKFS蛍光体及びMFG蛍光体などの狭帯域な発光ピークを有する蛍光体を使用してもよい。
【0044】
さらに、上記緑色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体の組み合わせに、緑色発光蛍光体より発光ピークの半値幅が相対的に広く、広い波長帯域に発光する黄色発光のYAG蛍光体などを付加し、実用上の調整をしてもよい。上記付加する広い波長帯域に発光する黄色発光蛍光体が、LuAG蛍光体又はLSN蛍光体などの発光スペクトルのピーク位置が500nm以上540nm以下に位置し、主たる発光強度が540nm以上600nm以下の波長範囲である光を発する黄色発光蛍光体である場合、当該黄色発光蛍光体は、黄みの緑の光色が制限された色度座標の領域に第3光の色度座標を調整するための使用に好適である。なお、第3蛍光部材32に含まれる蛍光体として、LuAG蛍光体又はLSN蛍光体などの発光スペクトルのピーク位置が500nm以上540nm以下に位置し、主たる発光強度が540nm以上600nm以下の波長範囲である光を発する黄色発光蛍光体と、CASN蛍光体、SCASN蛍光体等の窒化物系蛍光体等の赤色発光蛍光体と、を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
また、第3蛍光部材32に含まれる蛍光体として、発光ピークの半値幅の狭いBOSE蛍光体、βSiAlON蛍光体等の緑色発光蛍光体と、発光ピークの半値幅の広いYAG蛍光体、LuAG蛍光体等の黄色発光蛍光体とを混合し、CASN蛍光体、SCASN蛍光体等の赤色発光蛍光体と組み合わせてもよい。
【0046】
また、図3に示されるように、第1光及び第2光が黒体軌跡近傍の色度座標を有する。これにより、第1白色光の黒体軌跡からのずれが小さくなり、第2白色光を黒体軌跡の色度座標に調色するための第3光の混合比率を少なくできるため、調色の精度が向上する。さらに、第1光及び第2光が黒体軌跡近傍の色度座標を有する場合、第1白色光の色度座標は、幅広い相関色温度の範囲において、色偏差Duvがマイナスとなる領域に位置する。そのため、第2白色光を黒体軌跡の色度座標の光に調色するためには、第3光の色度座標は、色偏差Duvが0より大きい領域であるとよい。なお、本明細書において、黒体軌跡近傍の色度座標とは、色偏差Duvの絶対値が3以下の領域の色度座標である。色偏差Duvは、JIS Z8725に記載の方法により算出される。
【0047】
また、第3光は、第1光及び第2光それぞれの色域面積比に応じた発光スペクトルを有する。第3光の発光スペクトルは、第3蛍光部材32から発せられる光に由来する少なくとも2つ以上のピークを有していてもよい。制御部40が、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30のそれぞれの光量の比率を調整することで、第2白色光の平均演色評価数が第1白色光の平均演色評価数以上になる。色域面積比及び平均演色評価数は、JIS Z8726に記載の方法により算出される。色域面積比は、光の演色の鮮やかさを評価する指標である。色域面積比の値が大きい光ほど、照射される物体の色がより鮮やかに見える。また、平均演色評価数は、色再現の忠実性、すなわち演色性を表す指標である。平均演色評価数の値が大きい光ほど、演色性が高く、照射される物体の色が忠実に再現される。
【0048】
具体的には、色域面積比の値が100を超える光は、基準光よりも照射される物体の色を鮮やかに見せる彩度の高い光である。第1光及び第2光が彩度の高い光であるかどうかによって、第1光及び第2光の発光スペクトル形状の特徴が変化するため、混合することで演色性に影響する光の波長も変化する。そのため、第3光の発光スペクトルが、第1光及び第2光の発光スペクトル形状の特徴に応じたピークを有するスペクトルの場合には、第1白色光に第3光を混合させることで、第2白色光の平均演色評価数が高められる。よって、照明装置100は、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができる。
【0049】
例えば、第1光及び第2光の少なくとも一方の色域面積比が100以下である場合、第3光の発光スペクトルは、波長520nm以上540nm以下のピーク及び波長620nm以上650nm以下のピークを有する。第3光の発光スペクトルにおける波長520nm以上540nm以下のピーク及び波長620nm以上650nm以下のピークは、例えば、第3蛍光部材32の発光に由来するピークである。第1光及び第2光の少なくとも一方の色域面積比が100以下である場合、第1白色光において、波長520nm以上540nm以下の光の成分及び波長620nm以上650nm以下の光の成分が相対的に少なくなりやすい。そのため、第3光がこのような発光スペクトルを有することにより、第2白色光の平均演色評価数が第1白色光の平均演色評価数以上になる。なお、第3光の発光スペクトルは、第3発光素子31の発光に由来するピークを有していてもよい。
【0050】
また、例えば、第1光及び第2光それぞれの色域面積比が100より大きい場合、第3光の発光スペクトルは、波長520nm以上540nm以下のピークを有する。第3光の発光スペクトルにおける波長520nm以上540nm以下のピークは、例えば、第3蛍光部材32の発光に由来するピークである。第1光及び第2光の色域面積比が100より大きい場合、第1白色光において、波長520nm以上540nm以下の光の成分が相対的に少なくなりやすい。そのため、第3光がこのような発光スペクトルを有することにより、第2白色光の平均演色評価数が第1白色光の平均演色評価数以上になる。
【0051】
以上のように、本実施の形態に係る照明装置100は、第1光を発する第1発光部10と、第2光を発する第2発光部20と、第3光を発する第3発光部30と、制御部40とを備える。制御部40は、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30のそれぞれの光量を調整する。第1光の相関色温度よりも、第2光の相関色温度が低い。そのため、第1光と第2光とが混合された第1白色光は、第1光の相関色温度と第2光の相関色温度との間の相関色温度の白色光に調色される。また、第3光の色度座標は、第1光の色度座標と第2光の色度座標とを結ぶ直線とによって黒体軌跡を挟む位置の色度座標である。これにより、第1白色光の色度座標が黒体軌跡から外れた場合でも、第1白色光に第3光が混合された第2白色光は、黒体軌跡の色度座標の白色光に調色される。
【0052】
また、第3光は、第1光及び第2光それぞれの色域面積比に応じて設定される発光スペクトルを有する。これにより、第3光の発光スペクトルが、第1光及び第2光の発光スペクトル形状の特徴に応じて、第2白色光の演色性を高めることができる発光スペクトルに設定されることができる。そのため、第3光がそのような発光スペクトルを有する場合には、第1白色光に第3光を混合させた第2白色光の平均演色評価数が高められる。よって、照明装置100は、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができる。
【0053】
[実施例]
次に、本実施の形態に係る照明装置の実施例について説明する。なお、以下に示す実施例は一例であって、本発明は以下の実施例のみに限定されない。以下の複数の実施例における照明装置は、それぞれ、上記の照明装置100と同様の構成である。
【0054】
(1)実施例1
まず、実施例1における照明装置100について説明する。実施例1における照明装置100では、第1光及び第2光の色域面積比Gaが、どちらも100以下である。実施例1において、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、いずれも発光ピーク波長が約450nmのLEDである。第1蛍光部材12は、発光ピーク波長が約560nmの蛍光体と発光ピーク波長が約600nmの蛍光体とにより構成されている。第2蛍光部材22は、発光ピーク波長が約560nmの蛍光体と発光ピーク波長が約610nmの蛍光体とにより構成されている。第3蛍光部材32は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体と発光ピーク波長が約620nmの蛍光体とにより構成されている。
【0055】
図4Aは、実施例1における照明装置100の第1光の発光スペクトルを示す図である。図4Bは、実施例1における照明装置100の第2光の発光スペクトルを示す図である。図4Cは、実施例1における照明装置100の第3光の発光スペクトルを示す図である。また、実施例1における照明装置100の第1光、第2光及び第3光それぞれの色度座標及び色偏差Duvを表1に示す。これらの色度座標、色偏差Duv及び発光スペクトルは、第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32それぞれに含まれる蛍光体の配合比率及び封止部材50中への配合量を調整することで実現される。第1光の、相関色温度は6500Kであり、平均演色評価数Raは84であり、色域面積比Gaは92である。第2光の、相関色温度は2700Kであり、平均演色評価数Raは82であり、色域面積比Gaは94である。図4Cに示されるように、第3光の発光スペクトルは、波長520nm及び波長620nmに、第3蛍光部材32の発光に由来するピークを有する。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例1における照明装置100は、制御部40により、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30のそれぞれの光量の比率が調整される。第1白色光は、第1光と第2光との混合比率に応じて、第1光の相関色温度と第2光の相関色温度との間の相関色温度の白色光に調色される。第2白色光は、第1白色光にさらに第3光が混合されることにより、黒体軌跡の色度座標の白色光に調色される。第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30のそれぞれの光量の比率を調整することにより、実施例1における照明装置100が発する光の相関色温度を変化させた場合の、演色評価数及び色偏差Duvの結果を表2に示す。表2には、第1白色光及び第2白色光のそれぞれの、平均演色評価数であるRa、演色評価数のうちR9、及び、色偏差Duvが示されている。図4Dは、実施例1における照明装置100が放射する光の色偏差Duvを示す図である。具体的には、図4Dの(a)には、第1白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。図4Dの(b)には、第2白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。図4Eは、実施例1における照明装置100が放射する光の演色評価数を示す図である。具体的には、図4Eの(a)には、第1白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の演色評価数(各試験色の演色評価数R1~R15及び平均演色評価数Ra)が示されている。図4Eの(b)には、第2白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の演色評価数(各試験色の演色評価数R1~R15及び平均演色評価数Ra)が示されている。なお、相関色温度6500K及び6000Kに調色した第1白色光の色度座標は、第3光と同様にDuvがプラス側の色度座標であるため、第3光を混合しても黒体軌跡の色度座標の白色光に調光できない。また、相関色温度2700Kに調色した第1白色光の色度座標は、略黒体軌跡の色度座標の白色光であるため調光する必要がない。そのため、相関色温度6500K、6000K及び2700Kについては、第1白色光に第3光を混合していない白色光の結果が、第2白色光の結果として示されている。
【0058】
【表2】
【0059】
表2及び図4Dに示されるように、第1白色光は、どの相関色温度においても、Duvがプラスの値又はマイナスの値である。つまり、2つの発光部のみで調色される第1白色光は、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができない。それに対して、第2白色光は、相関色温度3000K以上5000K以下の範囲で、Duvが0.0である。つまり、第1白色光に第3光を混合した第2白色光は、相関色温度3000K以上5000K以下の範囲で、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができる。
【0060】
また、表2に示されるように、第1白色光に第3光を混合した第2白色光のRa及びR9は、第1白色光のRa及びR9以上である。また、図4Eに示されるように、相関色温度が3000Kから5000Kの範囲で、第2白色光のRa及びR9を含めた各色の演色評価数についても、第1白色光の演色評価数よりも高くなり、各色の演色評価数間の数値の差も小さくなっている。
【0061】
よって、実施例1における照明装置100は、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができる。
【0062】
(2)実施例2
次に、実施例2における照明装置100について説明する。実施例2における照明装置100では、第1光の色域面積比Gaが100より大きく、第2光の色域面積比Gaが100以下である。実施例2において、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、いずれも発光ピーク波長が約450nmのLEDである。第1蛍光部材12は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体と発光ピーク波長が約560nmの蛍光体と発光ピーク波長が約620nmの蛍光体とにより構成されている。第2蛍光部材22は、発光ピーク波長が約560nmの蛍光体と発光ピーク波長が約610nmの蛍光体とにより構成されている。第3蛍光部材32は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体と発光ピーク波長が約620nmの蛍光体とにより構成されている。
【0063】
図5Aは、実施例2における照明装置100の第1光の発光スペクトルを示す図である。図5Bは、実施例2における照明装置100の第2光の発光スペクトルを示す図である。図5Cは、実施例2における照明装置100の第3光の発光スペクトルを示す図である。また、実施例2における照明装置100の第1光、第2光及び第3光それぞれの色度座標及び色偏差Duvを表3に示す。これらの色度座標、色偏差Duv及び発光スペクトルは、第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32それぞれに含まれる蛍光体の配合比率及び封止部材50中への配合量を調整することで実現される。第1光の、相関色温度は6500Kであり、平均演色評価数Raは94であり、色域面積比Gaは107である。第2光の、相関色温度は2700Kであり、平均演色評価数Raは82であり、色域面積比Gaは94である。図5Cに示されるように、第3光の発光スペクトルは、波長520nm及び波長620nmに、第3蛍光部材32の発光に由来するピークを有する。
【0064】
【表3】
【0065】
実施例1と同様に、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30のそれぞれの光量の比率を調整することにより、実施例2における照明装置100が発する光の相関色温度を変化させた場合の、演色評価数及び色偏差Duvの結果を表4に示す。表4には、第1白色光及び第2白色光のそれぞれの、平均演色評価数であるRa、演色評価数のうちR9、及び、色偏差Duvが示されている。図5Dは、実施例2における照明装置100が放射する光の色偏差Duvを示す図である。具体的には、図5Dの(a)には、第1白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。図5Dの(b)には、第2白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。なお、相関色温度6500Kに調色した第1白色光の色度座標は、第3光と同様にDuvがプラス側の色度座標であるため、第3光を混合しても黒体軌跡の色度座標の白色光に調光できない。また、相関色温度2700Kに調色した第1白色光の色度座標は、略黒体軌跡の色度座標の白色光であるため調光する必要がない。そのため、相関色温度6500K及び2700Kについては、第1白色光に第3光を混合していない白色光の結果が、第2白色光の結果として示されている。
【0066】
【表4】
【0067】
表4及び図5Dに示されるように、第1白色光は、どの相関色温度においても、Duvがプラスの値又はマイナスの値である。つまり、2つの発光部のみで調色される第1白色光は、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができない。それに対して、第2白色光は、相関色温度3000K以上6000K以下の範囲で、Duvが0.0である。つまり、第1白色光に第3光を混合した第2白色光は、相関色温度3000K以上6000K以下の範囲で、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができる。
【0068】
また、表4に示されるように、第1白色光に第3光を混合した第2白色光のRaは、第1白色光のRa以上である。第2白色光のR9は、相関色温度が6000Kの場合を除き、第1白色光のR9以上である。
【0069】
よって、実施例2における照明装置100は、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができる。
【0070】
(3)実施例3
次に、実施例3における照明装置100について説明する。実施例3における照明装置100では、第1光の色域面積比Gaが100以下であり、第2光の色域面積比Gaが100より大きい。実施例3において、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、いずれも発光ピーク波長が約450nmのLEDである。第1蛍光部材12は、発光ピーク波長が約560nmの蛍光体と発光ピーク波長が約600nmの蛍光体とにより構成されている。第2蛍光部材22は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体と発光ピーク波長が約560nmの蛍光体と発光ピーク波長が約625nmの蛍光体とにより構成されている。第3蛍光部材32は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体と発光ピーク波長が約620nmの蛍光体とにより構成されている。
【0071】
図6Aは、実施例3における照明装置100の第1光の発光スペクトルを示す図である。図6Bは、実施例3における照明装置100の第2光の発光スペクトルを示す図である。図6Cは、実施例3における照明装置100の第3光の発光スペクトルを示す図である。また、実施例3における照明装置100の第1光、第2光及び第3光それぞれの色度座標及び色偏差Duvを表5に示す。これらの色度座標、色偏差Duv及び発光スペクトルは、第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32それぞれに含まれる蛍光体の配合比率及び封止部材50中への配合量を調整することで実現される。第1光の、相関色温度は6500Kであり、平均演色評価数Raは84であり、色域面積比Gaは92である。第2光の、相関色温度は2700Kであり、平均演色評価数Raは95であり、色域面積比Gaは102である。図6Cに示されるように、第3光の発光スペクトルは、波長520nm及び波長620nmに、第3蛍光部材32の発光に由来するピークを有する。
【0072】
【表5】
【0073】
実施例1と同様に、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30のそれぞれの光量の比率を調整することにより、実施例3における照明装置100が発する光の相関色温度を変化させた場合の、演色評価数及び色偏差Duvの結果を表6に示す。表6には、第1白色光及び第2白色光のそれぞれの、平均演色評価数であるRa、演色評価数のうちR9、及び、色偏差Duvが示されている。図6Dは、実施例3における照明装置100が放射する光の色偏差Duvを示す図である。具体的には、図6Dの(a)には、第1白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。図6Dの(b)には、第2白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。なお、相関色温度6500K及び6000Kに調色した第1白色光の色度座標は、第3光と同様にDuvがプラス側の色度座標であるため、第3光を混合しても黒体軌跡の色度座標の白色光に調光できない。また、相関色温度2700Kに調色した第1白色光の色度座標は、黒体軌跡の色度座標の白色光であるため調光する必要がない。そのため、相関色温度6500K、6000K及び2700Kについては、第1白色光に第3光を混合していない白色光の結果が、第2白色光の結果として示されている。
【0074】
【表6】
【0075】
表6及び図6Dに示されるように、第1白色光は、相関色温度2700Kの場合を除き、Duvがプラスの値又はマイナスの値である。つまり、2つの発光部のみで調色される第1白色光は、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができない。それに対して、第2白色光は、相関色温度2700K以上5000K以下の範囲で、Duvが0.0である。つまり、第1白色光に第3光を混合した第2白色光は、相関色温度2700K以上5000K以下の範囲で、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができる。
【0076】
また、表6に示されるように、第1白色光に第3光を混合した第2白色光のRaは、第1白色光のRa以上である。第2白色光のR9は、第1白色光のR9以上である。
【0077】
よって、実施例3における照明装置100は、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができる。
【0078】
(4)実施例4
次に、実施例4における照明装置100について説明する。実施例4における照明装置100では、第1光及び第2光それぞれの色域面積比Gaが100より大きく、且つ、平均演色評価数Raが90より大きい。つまり、実施例4における照明装置100は、高演色型の第1発光部10及び第2発光部20を備える。実施例4において、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、いずれも発光ピーク波長が約450nmのLEDである。第1蛍光部材12は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体と発光ピーク波長が約560nmの蛍光体と発光ピーク波長が約620nmの蛍光体とにより構成されている。第2蛍光部材22は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体と発光ピーク波長が約560nmの蛍光体と発光ピーク波長が約625nmの蛍光体とにより構成されている。第3蛍光部材32は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体により構成されている。
【0079】
図7Aは、実施例4における照明装置100の第1光の発光スペクトルを示す図である。図7Bは、実施例4における照明装置100の第2光の発光スペクトルを示す図である。図7Cは、実施例4における照明装置100の第3光の発光スペクトルを示す図である。また、実施例4における照明装置100の第1光、第2光及び第3光それぞれの色度座標及び色偏差Duvを表7に示す。これらの色度座標、色偏差Duv及び発光スペクトルは、第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32それぞれに含まれる蛍光体の配合比率及び封止部材50中への配合量を調整することで実現される。第1光の、相関色温度は6500Kであり、平均演色評価数Raは93であり、色域面積比Gaは106である。第2光の、相関色温度は2700Kであり、平均演色評価数Raは96であり、色域面積比Gaは102である。図7Cに示されるように、第3光の発光スペクトルは、波長520nmに、第3蛍光部材32の発光に由来するピークを有する。
【0080】
なお、表7において、一般的に用いられる値よりも大きい値の第3光の色偏差Duvが記載されている。通常、色偏差Duvは、値がおよそ±20である、常用の白色光として使用される範囲の光色について計算されることが多いが、計算上は、通常より広い範囲の色みの強い光色まで計算できる。本明細書では、色偏差Duvについて、通常より広い範囲の値であっても数値を記載し、統一的に比較できる様にしている。
【0081】
【表7】
【0082】
実施例1と同様に、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30のそれぞれの光量の比率を調整することにより、実施例4における照明装置100が発する光の相関色温度を変化させた場合の、演色評価数及び色偏差Duvの結果を表8に示す。表8には、第1白色光及び第2白色光のそれぞれの、平均演色評価数であるRa、演色評価数のうちR9、及び、色偏差Duvが示されている。図7Dは、実施例4における照明装置100が放射する光の色偏差Duvを示す図である。具体的には、図7Dの(a)には、第1白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。図7Dの(b)には、第2白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。なお、相関色温度6500Kに調色した第1白色光の色度座標は、第3光と同様にDuvがプラス側の色度座標であるため、第3光を混合しても黒体軌跡の色度座標の白色光に調光できない。また、相関色温度2700Kに調色した第1白色光の色度座標は、黒体軌跡の色度座標の白色光であるため調光する必要がない。そのため、相関色温度6500K及び2700Kについては、第1白色光に第3光を混合していない白色光の結果が、第2白色光の結果として示されている。
【0083】
【表8】
【0084】
表8及び図7Dに示されるように、第1白色光は、相関色温度2700Kの場合を除き、Duvがプラスの値又はマイナスの値である。つまり、2つの発光部のみで調色される第1白色光は、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができない。それに対して、第2白色光は、相関色温度2700K以上6000K以下の範囲で、Duvが0.0である。つまり、第1白色光に第3光を混合した第2白色光は、相関色温度2700K以上6000K以下の範囲で、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができる。
【0085】
また、表8に示されるように、第1白色光に第3光を混合した第2白色光のRaは、第1白色光のRa以上である。第2白色光のR9は、相関色温度が3000K及び3500Kの場合を除き、第1白色光のR9以上である。
【0086】
よって、実施例4における照明装置100は、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができる。
【0087】
(5)実施例5
次に、実施例5における照明装置100について説明する。実施例5における照明装置100では、第1光及び第2光それぞれの色域面積比Gaが100より大きく、且つ、平均演色評価数Raが90以下である。つまり、実施例5における照明装置100は、高彩度型の第1発光部10及び第2発光部20を備える。実施例5において、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、いずれも発光ピーク波長が約450nmのLEDである。第1蛍光部材12は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体と発光ピーク波長が約620nmの蛍光体とにより構成されている。第2蛍光部材22は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体と発光ピーク波長が約620nmの蛍光体とにより構成されている。第3蛍光部材32は、発光ピーク波長が約520nmの蛍光体により構成されている。
【0088】
図8Aは、実施例5における照明装置100の第1光の発光スペクトルを示す図である。図8Bは、実施例5における照明装置100の第2光の発光スペクトルを示す図である。図8Cは、実施例5における照明装置100の第3光の発光スペクトルを示す図である。また、実施例5における照明装置100の第1光、第2光及び第3光それぞれの色度座標及び色偏差Duvを表9に示す。これらの色度座標、色偏差Duv及び発光スペクトルは、第1蛍光部材12、第2蛍光部材22及び第3蛍光部材32それぞれに含まれる蛍光体の配合比率及び封止部材50中への配合量を調整することで実現される。第1光の、相関色温度は6500Kであり、平均演色評価数Raは84であり、色域面積比Gaは116である。第2光の、相関色温度は2700Kであり、平均演色評価数Raは84であり、色域面積比Gaは109である。図8Cに示されるように、第3光の発光スペクトルは、波長520nmに、第3蛍光部材32の発光に由来するピークを有する。
【0089】
【表9】
【0090】
実施例1と同様に、第1発光部10、第2発光部20及び第3発光部30のそれぞれの光量の比率を調整することにより、実施例5における照明装置100が発する光の相関色温度を変化させた場合の、演色評価数及び色偏差Duvの結果を表10に示す。表10には、第1白色光及び第2白色光のそれぞれの、平均演色評価数であるRa、演色評価数のうちR9、及び、色偏差Duvが示されている。図8Dは、実施例5における照明装置100が放射する光の色偏差Duvを示す図である。具体的には、図8Dの(a)には、第1白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。図8Dの(b)には、第2白色光をそれぞれの相関色温度に調色した場合の色偏差Duvが示されている。なお、相関色温度6500K及び2700Kに調色した第1白色光の色度座標は、黒体軌跡の色度座標の白色光であるため調光する必要がない。そのため、相関色温度6500K及び2700Kについては、第1白色光に第3光を混合していない白色光の結果が、第2白色光の結果として示されている。
【0091】
【表10】
【0092】
表10及び図8Dに示されるように、第1白色光は、相関色温度が2700K及び6500Kの場合を除き、Duvがマイナスの値である。つまり、2つの発光部のみで調色される第1白色光は、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができない。それに対して、第2白色光は、相関色温度2700K以上6500K以下の範囲で、Duvが0.0である。つまり、第1白色光に第3光を混合した第2白色光は、相関色温度2700K以上6500K以下の範囲で、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができる。このように、第1光及び第2光の色偏差Duvを0以下であり、第3光の色偏差Duvが0より大きい場合には、第1光の相関色温度と第2光の相関色温度の間の全ての範囲で、黒体軌跡の色度座標に沿って相関色温度を変化させることができる。
【0093】
また、表10に示されるように、第1白色光に第3光を混合した第2白色光のRaは、第1白色光のRa以上である。第2白色光のR9は、第1白色光のR9以上である。
【0094】
よって、実施例5における照明装置100は、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができる。
【0095】
以上のように、実施例1から実施例3における照明装置100では、第1光及び第2光の少なくとも一方の色域面積比Gaが100以下である。さらに、実施例1から実施例3における照明装置100では、第3光の発光スペクトルは、波長520nm以上540nm以下のピーク及び波長620nm以上650nm以下のピークを有する。また、実施例4及び実施例5における照明装置100では、第1光及び第2光それぞれの色域面積比Gaが100より大きく、第3光の発光スペクトルは、波長520nm以上540nm以下のピークを有する。このように、実施例1から実施例5における照明装置100では、第1光及び第2光それぞれの色域面積比Gaに応じた発光スペクトルを有する第3光が、第1白色光に混合される。これにより、黒体軌跡の色度座標に沿って放射する白色光の相関色温度を変化させると同時に、放射する白色光の演色性を高めることができている照明装置が実現されている。
【0096】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る照明装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0097】
例えば、上記実施の形態において、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、青色光を放射するLEDであったが、これに限らない。第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31には、青色光を放射するLEDと青色以外の色の光を放射するLEDとが含まれていてもよい。また、第1発光素子11、第2発光素子21及び第3発光素子31は、紫外光を放射するLEDであってもよい。
【0098】
また、例えば、上記実施の形態において、第1発光部10と第2発光部20と第3発光部30とは、同じ基板60上に実装されていたが、これに限らない。第1発光部10と第2発光部20と第3発光部30とが、別の基板に実装されていてもよい。また、第1発光部10と第2発光部20と第3発光部30とが個別に備えられた複数の照明装置を組み合わせてもよい。
【0099】
また、例えば、上記実施の形態において、CIE xy色度図において、第3光の色度座標は、色偏差Duvが0より大きい領域の色度座標であったが、これに限らない。第1光の色度座標と第2光の色度座標とを結ぶ直線が、色偏差Duvが0より大きい領域に存在する場合には、第3光の色度座標が、色偏差Duvがマイナスの領域の色度座標であることで、第2白色光が黒体軌跡の色度座標の白色光に調色される。
【0100】
その他、上記各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
10 第1発光部
11 第1発光素子
12 第1蛍光部材
20 第2発光部
21 第2発光素子
22 第2蛍光部材
30 第3発光部
31 第3発光素子
32 第3蛍光部材
40 制御部
100 照明装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D