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特許7296596ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスのアルゴリズム、デバイス及びコンピュータ可読記憶媒体
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  • 特許-ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスのアルゴリズム、デバイス及びコンピュータ可読記憶媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスのアルゴリズム、デバイス及びコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/32 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
H04L9/32 200Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021572369
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 CN2019127705
(87)【国際公開番号】W WO2020244197
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】201910491737.0
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521530794
【氏名又は名称】西安郵電大学
(73)【特許権者】
【識別番号】521530808
【氏名又は名称】西安安盟智能科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 鋒
(72)【発明者】
【氏名】馮 景瑜
【審査官】行田 悦資
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0097807(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0128240(US,A1)
【文献】CHEN, J. and MICALI, S.,Algorand,v9,arXiv,2017年05月26日,pp.1-75,<DOI:10.48550/arXiv.1607.01341>
【文献】ANTONOPOULOS, A. M,ビットコインとブロックチェーン,第1版,NTT出版株式会社,2016年07月21日,p.117
【文献】結城 浩,暗号技術入門,第1版,SBクリエイティブ株式会社,2015年09月01日,p.399
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスのアルゴリズムであって、
第1のブロードキャストユニットが、トランザクションをすべてのノードにブロードキャストするステップと、
第1の収集ユニットが、各前記ノード記トランザクションを前記ブロックに収集可能にさせるステップと、
第1の取得ユニットが、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するステップと、
第1の選択ユニットが、前記評価結果に従って、前記ノードのうちの正直な鉱山労働者を選択するステップと、
第2の取得ユニットが、ネゴシエーションルールを取得するステップと、
第2のブロードキャストユニットが、前記正直な鉱山労働者前記ネゴシエーションルールに従って前記ブロックを作成可能にさせ、前記ブロックをすべての前記ノードにブロードキャスト可能にさせるステップと、
第1の添加ユニットが、前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ実行さていない場合、前記ブロックを受け取り、前記ブロックをブロックチェーンに追加するステップと、
を含み
前記第2のブロードキャストユニットが、前記正直な鉱山労働者に前記ネゴシエーションルールに従って前記ブロックを作成可能にさせ、前記ブロックをすべての前記ノードにブロードキャスト可能にさせるステップは、
前記評価結果に基づいて、前記ノードからそれぞれ提案者と検証者を選択することと、
前記検証者のID情報を含み、且つ他の提案者のID情報を含まない第1の暗号化情報を前記提案者に送信することと、
すべての前記検証者とすべての前記提案者のID情報を含む第2の暗号化情報を前記検証者に送信することと、
前記第1の暗号化情報と前記第2の暗号化情報に従って、前記ブロックをすべての前記ノードにブロードキャストすることと、を含むことを特徴とするアルゴリズム。
【請求項2】
前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得する前記ステップは、
すべての前記ノードの中から前記ブロックの提案者を選択することと、
前記提案者の信頼値を取得することと、
すべての前記ノードの中から前記ブロックの検証者を選択することと、
前記検証者の信頼値を取得することと、
前記提案者の信頼値と前記検証者の信頼値に基づいて、評価結果を取得することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルゴリズム。
【請求項3】
前記提案者の信頼値を取得することは、
前記ノードが前記提案者である場合、前記ノードの信頼値評価式は、
【数1】
であり、
ここで、パラメータ(ri、fi)はそれぞれ、前記提案者によって提供された正しいブロックと間違ったブロックの数を表し、θは信頼しきい値を表し、η1はシステムが前記提案者が間違ったブロックを送信することを許容する回数を表すことを含むことを特徴とする請求項2に記載のアルゴリズム。
【請求項4】
前記検証者の信頼値を取得することは、
前記ノードが前記検証者である場合、前記ノードの信頼値評価式は、
【数2】
であり、
ここで、パラメータ(ci、wi)はそれぞれ、前記検証者によって提供された正しい及び間違った投票数を表し、θは信頼しきい値を表し、η2は前記検証者が間違った結果を送信することをシステムが許容する回数を表すことを含むことを特徴とする請求項2に記載のアルゴリズム。
【請求項5】
前記提案者の信頼値と前記検証者の信頼値に基づいて、評価結果を取得する前記式は、
【数3】
であり、
ここで、θは信頼しきい値を表し、η1はシステムが前記提案者による間違ったブロックの送信を許容する回数を表し、η2はシステムが前記検証者による間違った結果の送信を許容する回数を表し、fiは前記提案者によって提供された間違ったブロックの数を表し、wiは前記検証者によって提供された間違った投票の数を表すことを特徴とする請求項2に記載のアルゴリズム。
【請求項6】
前記評価結果に基づいて、前記正直な鉱山労働者を選択した後、
前記正直な鉱山労働者の信頼値とライフサイクルを取得することと、
前記信頼値とライフサイクルに従って前記正直な鉱山労働者を更新することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルゴリズム。
【請求項7】
前記ネゴシエーションルールは同時に、
ネットワーク内の鉱山労働者の数|Φ|>n/2、ここでΦは鉱山労働者の数を表し、nはブロックチェーンネットワーク内のノードの数を表すルール(1)と、
鉱山労働者は、それらの信頼値とライフサイクルに従って更新する必要があり、信頼値がしきい値を下回るか、寿命が切れると、これらの鉱山労働者は排除されるルール(2)と、
前記ブロックの作成では、提案者及び検証者は、信頼値の高い鉱山労働者からランダムに選択する必要があるルール(3)と、
前記ブロックの作成では、異なる提案者がお互いを理解したり干渉したりしないように、前記ブロックの提案を担当する複数の提案者を選択する必要があるルール(4)と、
前記ブロックの作成では、検証者としていくつかの鉱山労働者を選択し、前記ブロックの有効性を検証して、検証結果を相互に送信し、選択された鉱山労働者は、提案者及び検証者の役割の1つのみを演じることができるルール(5)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルゴリズム。
【請求項8】
ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスデバイスであって、
ランザクションをすべてのノードにブロードキャストするために用いられる第1のブロードキャストユニットと、
各前記ノードが、前記トランザクションを一つのブロックに収集するために用いられる第1の収集ユニットと、
前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するために用いられる第1の取得ユニットと、
前記評価結果に従って、正直な鉱山労働者を選択するために用いられる第1の選択ユニットと、
ネゴシエーションルールを取得するために用いられる第2の取得ユニットと、
前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って前記ブロックを作成し、前記ブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするために用いられる第2のブロードキャストユニットと、
前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ実効されていない場合、前記ブロックを受け取り、前記ブロックをブロックチェーンに追加する第1の添加ユニットと、を含み、
前記第2のブロードキャストユニットは、
前記評価結果に基づいて、前記ノードからそれぞれ提案者と検証者を選択し、
前記検証者のID情報を含み、且つ他の提案者のID情報を含まない第1の暗号化情報を前記提案者に送信し、
すべての前記検証者とすべての前記提案者のID情報を含む第2の暗号化情報を前記検証者に送信し、
前記第1の暗号化情報と前記第2の暗号化情報に従って、前記ブロックをすべての前記ノードにブロードキャストすることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータプログラムが保存され、該プログラムがプロセッサによって実行される時、
ランザクションをすべてのノードにブロードキャストするステップと、
各前記ノードが、前記トランザクションをブロックに収集するステップと、
前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するステップと、
前記評価結果に従って、正直な鉱山労働者を選択するステップと、
ネゴシエーションルールを取得するステップと、
前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って前記ブロックを作成し、前記ブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップと、
前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ実効されていない場合、前記ブロックを受け取り、前記ブロックをブロックチェーンに追加するステップと、を含み、
前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って前記ブロックを作成し、前記ブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップは、
前記評価結果に基づいて、前記ノードからそれぞれ提案者と検証者を選択することと、
前記検証者のID情報を含み、且つ他の提案者のID情報を含まない第1の暗号化情報を前記提案者に送信することと、
すべての前記検証者とすべての前記提案者のID情報を含む第2の暗号化情報を前記検証者に送信することと、
前記第1の暗号化情報と前記第2の暗号化情報に従って、前記ブロックをすべての前記ノードにブロードキャストすることと、を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2019年6月6日に中国国家知識産権局に出願番号201910491737.0で提出された中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は参照により本出願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、ブロックチェーン技術の分野、特に、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスのアルゴリズム及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ブロックチェーンは当初ビットコインの基礎技術として注目され、現在ではさまざまな分野で応用され、世界市場価値を生み出している。ブロックチェーンは、データ暗号化、タイムスタンプ、コンセンサスメカニズム、スマートコントラクトなどのテクノロジーを通じて、分散システムでの分散型の信頼できるピアツーピアトランザクション、調整と協力を実現し、これは、一元化された機関におけるデータストレージの高コスト、低効率、および安全でないという問題に対する解決手段を提供する。
【0004】
ブロックチェーンは、メインフレームコンピュータ、パーソナルコンピュータ、インターネット、モバイルソーシャルインタラクションに続く5番目の破壊的なコンピューティングパラダイムであり、血縁者のクレジット、貴金属のクレジット、中央銀行の紙のクレジットに続く人間のクレジットの進化の歴史の中で4番目のマイルストーンと見なされている。将来的にビットコインはなくなるかもしれないが、その幅広いアプリケーションの見通しにより、ブロックチェーンテクノロジーはより大きな役割を果たす。
【0005】
既存のブロックチェーンシステムのコンセンサスメカニズムで鉱山労働者を選択する場合、鉱山労働者の信頼値は考慮されないため、悪意のあるノードがブロックの作成に参加することになり、コンセンサスメカニズムのセキュリティを保証できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既存のブロックチェーンシステムのコンセンサスメカニズムにおいて鉱山労働者を選択するときに、鉱山労働者の信頼値が考慮されないため、悪意のあるノードがブロックの作成に参加し、コンセンサスメカニズムの効率が保証できないという技術的課題を解決するために使用される、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスアルゴリズム及びデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を考慮して、この出願の実施例は、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスのアルゴリズム及びデバイスを提供するために提案される。
【0008】
第1の態様では、本発明は、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスアルゴリズムを提供する。前記アルゴリズムは、新しいトランザクションをすべてのノードにブロードキャストするステップと、各前記ノードが、前記新しいトランザクションを一つのブロックに収集するステップと、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するステップと、前記評価結果に従って、正直な鉱山労働者を選択するステップと、ネゴシエーションルールを取得するステップと、前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップと、前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ発効しない場合、前記新しいブロックを受け取り、前記新しいブロックをブロックチェーンに追加するステップと、を含む。
【0009】
好ましくは、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得する前記ステップは、すべての前記ノードから前記新しいブロック提案者を取得することと、前記新しいブロック提案者の信頼値を取得することと、すべての前記ノードから前記新しいブロック検証者を取得することと、前記新しいブロック検証者の信頼値を取得することと、前記提案者の信頼値と前記検証者の信頼値に基づいて、評価結果を取得することと、を含む。
【0010】
好ましくは、前記新しいブロック提案者の信頼値を取得する前記ことは、前記ノードが前記新しいブロック提案者である場合、前記ノードの信頼値評価式は、
【数1】
であり、
ここで、パラメータ(ri、fi)はそれぞれ、前記提案者によって提供された正しいブロックと間違ったブロックの数を表し、θは信頼しきい値を表し、この値より下では、悪意のあるノードと見なされ、η1はシステムが前記提案者が間違ったブロックを送信することを許容する回数を表すことを含む。
【0011】
好ましくは、前記新しいブロック検証者の信頼値を取得することは、前記ノードが前記新しいブロック検証者である場合、前記ノードの信頼値評価式は、
【数2】
であり、
ここで、パラメータ(ci、wi)はそれぞれ、前記検証によって提供された正しい及び間違った投票数を表し、θは信頼しきい値を表し、η2は前記検証者が間違った結果を送信することをシステムが許容する回数を表すことを含む。
【0012】
好ましくは、前記提案者の信頼値と前記検証者の信頼値に基づいて、評価結果を取得する前記式は、
【数3】
であり、
ここで、θは信頼しきい値を表し、η1はシステムが前記提案者による間違ったブロックの送信を許容する回数を表し、η2はシステムが前記検証者による間違った結果の送信を許容する回数を表し、fiは前記提案者によって提供された間違ったブロックの数を表し、wiは前記検証によって提供された間違った投票の数を表す。
【0013】
好ましくは、前記正直な鉱山労働者は、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップは、前記評価結果に基づいて、前記ノードからそれぞれ提案者と検証者を選択することであって、ここで、前記提案者と検証者はそれぞれ異なるノードであることと、第1の暗号化情報を前記提案者に送信することであって、ここで、前記第1の暗号化情報は前記検証者のID情報を含み、且つ前記第1の暗号化情報は他の提案者のID情報を含まないことと、前記検証者に第2の暗号化情報を送信することであって、ここで、前記第2の暗号化情報は、すべての前記検証者とすべての前記提案者のID情報を含むことと、前記第1の暗号化情報と前記第2の暗号化情報に従って、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストすることと、を含む。
【0014】
好ましくは、前記評価結果によると、前記正直な鉱山労働者を選択した後、前記正直な鉱山労働者の信頼値とライフサイクルを取得することと、前記信頼値とライフサイクルに従って、前記正直な鉱山労働者を更新することと、を含む。
【0015】
第2の態様では、本発明は、ブロックの迅速な生成用の分散型コンセンサスデバイスを提供する。前記装置は、新しいトランザクションをすべてのノードにブロードキャストするために用いられる第1のブロードキャストユニットと、各前記ノードが、前記新しいトランザクションを一つのブロックに収集するために用いられる第1の収集ユニットと、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するために用いられる第1の取得ユニットと、前記評価結果に基づいて、正直な鉱山労働者を選択するために用いられる第1の選択ユニットと、ネゴシエーションルールを取得するために用いられる第2の取得ユニットと、前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするために用いられる第2のブロードキャストユニットと、前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ発効しない場合、前記新しいブロックを受け取り、前記新しいブロックをブロックチェーンに追加する第1の添加ユニットと、を含む。
【0016】
好ましくは、前記装置はさらに、すべての前記ノードから新しいブロック提案者を取得するために用いられる第3の取得ユニットと、新しいブロックの提案者の信頼値を取得するために用いられる第4の取得ユニットと、すべての前記ノードから前記新しいブロック検証者を取得するために用いられる第5の取得ユニットと、前記新しいブロックの検証者の信頼値を取得するために用いられる第6の取得ユニットと、前記提案者の信頼値と前記検証者の信頼値に基づいて、評価結果を取得するために用いられる第7の取得ユニットと、を含む。
【0017】
好ましくは、前記装置はさらに、前記ノードが前記新しいブロック提案者である場合、前記ノードの信頼値評価式は、
【数4】
であり、
ここで、パラメータ(ri、fi)はそれぞれ、前記提案者によって提供された正しいブロックと間違ったブロックの数を表し、θは信頼しきい値を表し、この値より下では、悪意のあるノードと見なされ、η1はシステムが前記提案者が間違ったブロックを送信することを許容する回数を表すために用いられる第1の計算ユニットを含む。
【0018】
好ましくは、前記装置はさらに、前記ノードが前記新しいブロック検証者である場合、前記ノードの信頼値評価式は、
【数5】
であり、
ここで、パラメータ(ci、wi)はそれぞれ、前記検証によって提供された正しい及び間違った投票数を表し、θは信頼しきい値を表し、η2は前記検証者が間違った結果を送信することをシステムが許容する回数を表すために用いられる第2の計算ユニットを含む。
【0019】
好ましくは、前記装置はさらに第3の計算ユニットを含み、前記第3の計算ユニットは、
【数6】
を計算するために用いられ、
ここで、θは信頼しきい値を表し、η1はシステムが前記提案者による間違ったブロックの送信を許容する回数を表し、η2はシステムが前記検証者による間違った結果の送信を許容する回数を表し、fiは前記提案者によって提供された間違ったブロックの数を表し、wiは前記検証によって提供された間違った投票の数を表す。
【0020】
好ましくは、前記装置はさらに、前記評価結果に基づいて、前記ノードからそれぞれ提案者と検証者を選択するために用いられ、ここで、前記提案者と検証者はそれぞれ異なるノードである第1の抽出ユニットと、前記検証者のID情報を含み、且つ他の提案者のID情報を含まない第1の暗号化情報を前記提案者に送信するために用いられる第1の送信ユニットと、すべての前記検証者とすべての前記提案者のID情報を含む第2の暗号化情報を前記検証者に送信するために用いられる第2の送信ユニットと、前記第1の暗号化情報と前記第2の暗号化情報に従って、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするために用いられる第3のブロードキャストユニットと、を含む。
【0021】
好ましくは、前記装置はさらに、前記正直な鉱山労働者の信頼値とライフサイクルを取得するために用いられる第8の取得ユニットと、前記信頼値とライフサイクルに応じて前記正直な鉱山労働者を更新する第1の更新ユニットと、を含む。
【0022】
第3の態様では、本発明は、ブロックの迅速な生成用の分散型コンセンサスデバイスを提供する。メモリ、プロセッサ、およびメモリに保存され、プロセッサ上で実行できるコンピュータプログラムを含み、前記プロセッサは、前記プログラムを実行するときに、新しいトランザクションをすべてのノードにブロードキャストするステップと、各前記ノードが、前記新しいトランザクションを一つのブロックに収集するステップと、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するステップと、前記評価結果に基づいて、正直な鉱山労働者を選択するステップと、ネゴシエーションルールを取得するステップと、前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップと、前記ノード内のすべてのトランザクションが有効で発効しない場合、前記新しいブロックを受け取り、前記新しいブロックをブロックチェーンに追加するステップと、を含む。
【0023】
第4の態様では、本発明は、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータプログラムが保存され、該プログラムがプロセッサによって実行される時、新しいトランザクションをすべてのノードにブロードキャストするステップと、各前記ノードが、前記新しいトランザクションを一つのブロックに収集するステップと、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するステップと、前記評価結果に基づいて、正直な鉱山労働者を選択するステップと、ネゴシエーションルールを取得するステップと、前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップと、前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ発効しない場合、前記新しいブロックを受け取り、前記新しいブロックをブロックチェーンに追加するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施例における上記の1つまたは複数の技術的解決手段は、以下の技術的効果のうちの少なくとも1つまたは複数を有する。
【0025】
本発明の実施例によって提供される、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスのアルゴリズム及びデバイスは、新しいトランザクションをすべてのノードにブロードキャストするステップと、各前記ノードが、前記新しいトランザクションを一つのブロックに収集するステップと、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するステップと、前記評価結果に基づいて、正直な鉱山労働者を選択するステップと、ネゴシエーションルールを取得するステップと、前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップと、前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ発効しない場合、前記新しいブロックを受け取り、前記新しいブロックをブロックチェーンに追加するステップと、を含む。
【0026】
これにより既存のブロックチェーンシステムのコンセンサスメカニズムで鉱山労働者を選択する場合、鉱山労働者の信頼値は考慮されないため、悪意のあるノードがブロックの作成に参加することになり、コンセンサスメカニズムのセキュリティを保証できなくなる技術的課題を解決する。ノードの信頼値評価を導入することにより、悪意のある鉱山労働者を効果的に特定することによってコンセンサスメカニズムの効率を向上させるという技術的効果を達成する。
【0027】
上記の説明は、本発明の技術的解決手段の概要に過ぎない。本発明の技術的手段をより明確に理解するために、本発明の明細書の内容に従って、上記を行うために実施することができる。本発明の上記及び他の目的、特徴および利点をより明白かつ理解可能にするために、以下は、本発明の発明を実施するための形態を具体的に列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施例による、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスアルゴリズムのプロセス模式図である。
図2】本発明の実施例におけるブロックの迅速な生成用の分散型コンセンサスデバイスの構造模式図である。
図3】本発明の実施例におけるブロックの迅速な生成用の分散型コンセンサスデバイスの別の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施例は、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスのアルゴリズム及びデバイスを提供し、既存のブロックチェーンシステムのコンセンサスメカニズムで鉱山労働者を選択する場合、鉱山労働者の信頼値は考慮されないため、悪意のあるノードがブロックの作成に参加することになり、コンセンサスメカニズムのセキュリティを保証できなくなるという技術的課題を解決するために用いられる。
【0030】
本発明の実施例における技術的解決手段の一般的な考え方は、新しいトランザクションをすべてのノードにブロードキャストするステップと、各前記ノードが、前記新しいトランザクションを一つのブロックに収集するステップと、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するステップと、前記評価結果に基づいて、正直な鉱山労働者を選択するステップと、ネゴシエーションルールを取得するステップと、前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップと、前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ発効しない場合、前記新しいブロックを受け取り、前記新しいブロックをブロックチェーンに追加するステップと、を含む。ノードの信頼値評価を導入することにより、悪意のある鉱山労働者を効果的に特定することによってコンセンサスメカニズムの効率を向上させるという技術的効果を達成する。
【0031】
本発明の実施例に記載のコンセンサスメカニズムは、ブロックチェーントランザクションにおいて分散コンセンサスを達成するためのアルゴリズムを指すことを理解されたい。
【0032】
本発明の実施例に記載のブロックチェーンは、分散化された分散型台帳システムであり、デジタル資産、財産権証明書、ポイントなどの登録と発行、およびポイントツーポイント方式での送金、支払い、取引に使用できることを理解されたい。従来の集中型台帳システムと比較して、ブロックチェーンシステムには、完全にオープンで、改ざんされない、複数の支払いを防ぐなどの利点があり、信頼できるサードパーティに依存しない。
【0033】
本発明の実施例に記載の鉱山労働者は、コンセンサスメカニズムにおいてブロックを作成することに責任があるノードであることを理解されたい。
【0034】
以下に図面および具体的な実施例を通じて本発明の技術的解決手段を、詳細に説明する。本出願の実施例および実施例における具体的な特徴は、本出願の技術的解決手段に対する制限ではなく、本出願の技術的解決手段の詳細な説明であることを理解されたい。矛盾がない場合、本出願の実施例および実施例の技術的特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0035】
本明細書の「及び/又は」という用語は、関連付けられたオブジェクトを説明する関連付け関係にすぎず、3つのタイプの関係が存在する可能性があることを示している。たとえば、A及び/又はBは、次のことを意味する。Aのみ、AとBを同時に、Bのみの3つのケースがある。さらに、本明細書の文字「/」は、通常、前後の関連オブジェクトが「又は」の関係にあることを意味する。
【0036】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例による、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスアルゴリズムのプロセス模式図である。図1に示すように、前記アルゴリズムは、以下のステップを含む。
【0037】
新しいトランザクションをすべてのノードにブロードキャストするステップ110。具体的に言えば、ブロックチェーン(Blockchain)はビットコインの重要な概念であり、本質的に分散型データベースである。同時に、ビットコインの基盤となるテクノロジーとして、暗号化方式を使用して関連付けられた一連のデータブロックであり、各データブロックには、ビットコインネットワークトランザクション情報のバッチが含まれている。これは、情報の有効性を検証し(偽造防止)、次のブロックを生成するために使用される。前記新しいトランザクションは、上記ブロックチェーンに記載のビットコインネットワークトランザクションであり、当業者は、この出願に記載のノードがブロックチェーンでよく知られている単語であることを理解する必要がある。
【0038】
各前記ノードが、前記新しいトランザクションを一つのブロックに収集するステップ120。具体的に言えば、前記ブロックチェーンは前記ブロックで構成され、前記ブロックはノードによって収集された新しいトランザクション情報を含む。
【0039】
前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するステップ130。前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得する前記ステップは、すべての前記ノードから前記新しいブロック提案者を取得することと、前記新しいブロック提案者の信頼値を取得することと、すべての前記ノードから前記新しいブロック検証者を取得することと、前記新しいブロック検証者の信頼値を取得することと、前記提案者の信頼値と前記検証者の信頼値に基づいて、評価結果を取得することと、を含む。
【0040】
具体的に言えば、本出願の実施例は、信頼管理をブロックチェーンネットワークに導入して、新しいブロックの生成のためのセキュリティ保証を提供する。信頼値が高いということは、鉱山労働者が提案者または検証者の役割を果たすことが許容されることを意味する。鉱山労働者が常に正直に行動するとき、彼らは高い信頼値を得る。一部の鉱山労働者が悪意のある行動を始めると、彼らの信頼値は急速に低下する。提案者はブロック提案に責任があり、ブロックを検証者に送信する。検証者はブロックの正しさをチェックし、ほとんどの検証者は検証に合格すると、該ブロックを受け入れ、新しいブロックをブロックチェーンにリンクする。悪意のある鉱山労働者が提案者または検証者として選出された場合、間違ったブロックを提出した場合、または間違った投票を送信した場合に考慮する必要がある。悪意のある鉱山労働者と正直な鉱山労働者を区別するために、信頼管理を使用して鉱山労働者の信頼性を評価できる。悪意のある鉱山労働者が多くの場合、誤ったブロックや間違った投票を提供する場合、彼らは正直な鉱山労働者よりも低い信頼値を取得する。この場合、新しい信頼評価スキームがブロックチェーンネットワーク用に設計される。
【0041】
さらに、前記新しいブロック提案者の信頼値を取得する前記ことは、前記ノードが前記新しいブロック提案者である場合、前記ノードの信頼値評価式は、
【数7】
であることを含む。
ここで、パラメータ(ri、fi)はそれぞれ、前記提案者によって提供された正しいブロックと間違ったブロックの数を表し、θは信頼しきい値を表し、この値より下では、悪意のあるノードと見なされ、η1はシステムが前記提案者による間違ったブロックの送信を許容する回数を表す。
【0042】
具体的に言えば、例としてi番目の鉱山労働者(Mi)を取り上げると、パラメータ(ri、fi)はそれぞれ、Miによって提供される正しいブロックと間違ったブロックの数を表す。検証者がMiによって提供されたブロックを偽として検証する場合、fiは1増加する。検証が真の場合、riは1増加し、一部の環境では、システムは偽のブロックを送信する行為に非常に敏感である。この場合、η1は1に設定する必要がある。これは、Miが偽のブロックを提供した場合、システムがMiを提案者として再度選択しないことを意味する。ブロック詐欺の許容度が高い場合は、η1>1に設定できる。
【0043】
さらに、前記新しいブロック検証者の信頼値を取得することは、前記ノードが前記新しいブロック検証者である場合、前記ノードの信頼値評価式は、
【数8】
であることを含む。
ここで、パラメータ(ci、wi)はそれぞれ、前記検証によって提供された正しい及び間違った投票数を表し、θは信頼しきい値を表し、η2は前記検証者による間違った結果の送信をシステムが許容する回数を表す。具体的に言えば、システムが間違った投票行動に非常に敏感な場合は、η2を低い値に設定する必要がある。その逆も同様である。本出願では、η2に設定された特定の値を特に制限しない。
【0044】
さらに、前記提案者の信頼値と前記検証者の信頼値に基づいて、評価結果を取得する前記式は、
【数9】
である。
ここで、θは信頼しきい値を表し、η1はシステムが前記提案者による間違ったブロックの送信を許容する回数を表し、η2はシステムが前記検証者による間違った結果の送信を許容する回数を表し、fiは前記提案者によって提供された間違ったブロックの数を表し、wiは前記検証によって提供された間違った投票の数を表す。
【0045】
具体的に言えば、上記の式から、Miに不正な動作がない場合、つまりfi=wi=0の場合、MiのPTi、VTi、およびTiは常にθよりも大きいことがわかる。たとえば、悪意のある鉱山労働者と戦うために、3つの罰戦略を採用することができる。-P1:PTi<θの場合、Miを提案者として選択することはできない。-P2:VTi<θの場合、Miを検証者として選択することはできない。-P3:Ti<θの場合、鉱山労働者チームからMiを削除する。
【0046】
評価結果に基づいて、正直な鉱山労働者を選択するステップ140。
【0047】
具体的に言えば、正直な鉱山労働者を選択するということは、ネットワーク内のほとんどのノードで構成される鉱山労働者のチームから新しいブロックを作成するための提案者および検証者を選択することを意味する。新しいブロックを作成するための提案者および検証者として、鉱山労働者のチームから信頼値の高い鉱山労働者を選択することは、信頼できるランダム選択アルゴリズムという。信頼できるランダム選択アルゴリズムを使用すると、信頼値の高い提案者及び検証者を選択できるだけでなく、信頼値のレベルによって、鉱山労働者が正直な鉱山労働者であるかどうかが決まる。また、コンセンサスメカニズムを高める通信の過負荷を回避することもできる。新しいブロックを作成するための提案者及び検証者を同時選択し、前記正直な鉱山労働者には、提案者及び検証者が含まれる。提案者はブロックの提案に責任を持ち、ブロックを検証者に送信する。検証者はブロックの正しさをチェックし、相互に検証投票を送信する。ほとんどの検証者は検証に合格すると、該ブロックを受け入れ、新しいブロックをブロックチェーンにリンクする。
【0048】
ネゴシエーションルールを取得するステップ150。具体的に言えば、分散システムに高速で効果的なコンセンサスメカニズムを実装するには、ブロックチェーンネットワーク内のすべての鉱山労働者がスマートコントラクトによって実行されるネゴシエーションルールに従う必要がある。
【0049】
具体的なルールは以下のとおりである。
ルール(1):ネットワーク内の鉱山労働者の数|Φ|>n/2、ここでΦは鉱山労働者の数を表し、nはブロックチェーンネットワーク内のノードの数を表す。
ルール(2):鉱山労働者は、信頼値とライフサイクルに従って更新する必要がある。信頼値がしきい値を下回るか、寿命が切れると、これらの鉱山労働者は排除される。
ルール(3):新しいブロックの作成では、提案者と検証者は、信頼値の高い鉱山労働者からランダムに選択する必要がある。
ルール(4):新しいブロックの作成では、異なる提案者がお互いを理解したり干渉したりしないようにしながら、新しいブロックの提案を担当する複数の提案者を選択する必要がある。
ルール(5):新しいブロックの作成では、検証者としていくつかの鉱山労働者を選択し、新しいブロックの有効性を検証して、検証結果を相互に送信する。選択された鉱山労働者は、提案者及び検証者の役割の1つのみを演じることができる。
【0050】
ネゴシエーションルールが得られた後、ネゴシエーションルールに従って、コンセンサスメカニズムを実行できる。
【0051】
前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップ160。前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップは、前記評価結果に基づいて、正直な鉱山労働者を選択することである。ここで、前記提案者と検証者はそれぞれ異なるノードであることと、前記検証者のID情報を含み、且つ他の提案者のID情報を含まない第1の暗号化情報を前記提案者に送信することと、すべての前記検証者とすべての前記提案者のID情報を含む前記検証者に第2の暗号化情報を送信することと、前記第1の暗号化情報と前記第2の暗号化情報に従って、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストすることと、を含む。
【0052】
具体的に言えば、ブロックチェーンネットワークが形成されたばかりのとき、すべてのノードの動作は不明であった。したがって、ネットワークから51%を超えるノードをランダムに選択して、鉱山労働者チーム(Φ)を形成する。ブロックチェーンネットワークの開発に伴い、鉱山労働者チームの最適化を継続する。ブロックチェーンネットワークでは、すべての鉱山労働者が新しいブロックの作成に参加するためのコンセンサスプロトコルの実装を許可されている場合、ネットワーク内のほとんどのノードが常に情報を送信しているため、鉱山労働者が固定化されるだけでなく、コンセンサスメカニズムの通信過負荷を引き起こす。したがって、提案者及び検証者としては、新しいブロックの作成に参加するために、鉱山労働者チーム(Φ)から信頼値の高い鉱山労働者を選択し、新しいブロックの作成に参加させると同時に、選択された鉱山労働者がお互いを理解しないことを保証して、迅速かつ効果的なコンセンサスメカニズム実現することができる。
【0053】
ブロック作成の現在のラウンドの終わりに、次のラウンドの提案者及び検証者を選択する。選択する方法は2つある。1つはスマートコントラクトを使用してブロックチェーンネットワーク全体を実行し続けることで、スマートコントラクトを使用してアルゴリズムを実行できる。もう1つは、信頼値が最も高い鉱山労働者を使用してアルゴリズムを実行する方法である。同じ最高の信頼値を持つ複数の鉱山労働者が存在する場合、そのうちの1つをランダムに選択する。
【0054】
次のブロック提案者及び検証者が選択されると、第1の暗号化情報が前記提案者に送信され、前記第2の暗号化情報が前記検証者に送信される。送信のセキュリティを確保するには、すべての通知メッセージを公開鍵で暗号化する必要がある。ルール4によれば、提案者Miが選択され、検証者IDを含む暗号化された通知メッセージである前記第1の暗号化情報を受信するが、第1の暗号化情報は、他の提案者IDを含まない。Miは、秘密鍵を使用して通知メッセージを復号化できる。Miは他の提案者のIDを知らないため、提案者間の共謀により偽のブロックを提出することを回避できる。ルール5によれば、Mjなどの検証者が選択され、検証者および提案者IDを含む暗号化されたメッセージである第2の暗号化情報を受信する。Mjは秘密鍵を使用して通知メッセージを復号化できる。Mjはすべての提案者IDを知っているため、悪意のあるノードが提案者になりするのを防ぐことができる。
【0055】
さらに、前記評価結果に基づいて、前記正直な鉱山労働者を選択した後、前記正直な鉱山労働者の信頼値とライフサイクルを取得することと、前記信頼値とライフサイクルに従って前記正直な鉱山労働者を更新することと、を含む。具体的に言えば、鉱山労働者チームは、ブロックチェーンネットワークの開発に伴って継続的に更新される。ルール1とルール2を使用すると、鉱山労働者チームΦを更新できる。
【0056】
前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ発効しない場合、前記新しいブロックを受け取り、前記新しいブロックをブロックチェーンに追加するステップ170。
【0057】
具体的に言えば、ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ発効しない場合、他のノードは新しいブロックを受け取り、他のノードは新しいブロックを受け取りかつ新しいブロックをブロックチェーンに追加し、新しいブロックのハッシュ値を次のブロックのヘッドハッシュとして使用する。ハッシュ関数(またはハッシュアルゴリズム、英語:Hash Functionとも呼ばれる)とも呼ばれるハッシュ値は、あらゆる種類のデータから小さなデジタル「指紋」を作成する方法である。ハッシュ関数は、メッセージまたはデータをダイジェストに圧縮するため、データの量が少なくなり、データの形式が固定される。この関数は、データをスクランブルして混合し、ハッシュ値(hash values、hash codes、hash sums、又はhashes)と呼ばれる指紋を再作成する。ハッシュ値は通常、ランダムな文字と数字からなる短い文字列で表される。
【0058】
本出願の実施例によって提供される技術的解決手段を通じて、信頼管理がブロックチェーンネットワークに導入され、新しいブロックの生成にセキュリティ保証が提供される。ネットワーク内のほとんどのノードで構成される鉱山労働者のチームから新しいブロックを作成する提案者と検証者を選択し、信頼できるランダム選択アルゴリズムを使用すると、信頼値の高い提案者と検証者を選択できるだけでなく、コンセンサスメカニズムを高める通信の過負荷を回避することもでき、異なる提案者は互いに干渉しないため、複数の提案者が共謀して偽造するのを防ぐことができ、同時に鉱山労働者チームをリアルタイムで更新できる。これにより、コンセンサスメカニズムの効率を向上させると同時に、ブロックチェーンネットワークで迅速に実行されるコンセンサスメカニズムの技術的効果を確保する。
【0059】
(実施例2)
前述の実施例におけるブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスアルゴリズムと同じ発明概念に基づいて、本発明はまた、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスデバイスを提供する。図2に示すように、前記装置は、新しいトランザクションをすべてのノードにブロードキャストするために用いられる第1のブロードキャストユニット11と、各前記ノードが、前記新しいトランザクションを一つのブロックに収集するために用いられる第1の収集ユニット12と、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するために用いられる第1の取得ユニット13と、前記評価結果に基づいて、正直な鉱山労働者を選択するために用いられる第1の選択ユニット14と、ネゴシエーションルールを取得するために用いられる第2の取得ユニット15と、前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするために用いられる第2のブロードキャストユニット16と、前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ発効しない場合、前記新しいブロックを受け取り、前記新しいブロックをブロックチェーンに追加する第1の添加ユニット17と、を含む。
【0060】
好ましくは、前記装置はさらに、すべての前記ノードから新しいブロック提案者を取得するために用いられる第3の取得ユニットと、新しいブロックの提案者の信頼値を取得するために用いられる第4の取得ユニットと、すべての前記ノードから前記新しいブロック検証者を取得するために用いられる第5の取得ユニットと、前記新しいブロックの検証者の信頼値を取得するために用いられる第6の取得ユニットと、前記提案者の信頼値と前記検証者の信頼値に基づいて、評価結果を取得するために用いられる第7の取得ユニットと、を含む。
【0061】
好ましくは、前記装置はさらに、前記ノードが前記新しいブロック提案者である場合、前記ノードの信頼値評価式は、
【数10】
であり、
ここで、パラメータ(ri、fi)はそれぞれ、前記提案者によって提供された正しいブロックと間違ったブロックの数を表し、θは信頼しきい値を表し、この値より下では、悪意のあるノードと見なされ、η1はシステムが前記提案者が間違ったブロックを送信することを許容する回数を表すために用いられる第1の計算ユニットを含む。
【0062】
好ましくは、前記装置はさらに、前記ノードが前記新しいブロック検証者である場合、前記ノードの信頼値評価式は
【数11】
であり、
ここで、パラメータ(ci、wi)はそれぞれ、前記検証によって提供された正しいおよび間違った投票数を表し、θは信頼しきい値を表し、η2は前記検証者が間違った結果を送信することをシステムが許容する回数を表すために用いられる第2の計算ユニットを含む。
【0063】
好ましくは、前記装置はさらに第3の計算ユニットを含み、前記第3の計算ユニットは、
【数12】
を計算するために用いられる。
ここで、θは信頼しきい値を表し、η1はシステムが前記提案者による間違ったブロックの送信を許容する回数を表し、η2はシステムが前記検証者による間違った結果の送信を許容する回数を表し、fiは前記提案者によって提供された間違ったブロックの数を表し、wiは前記検証によって提供された間違った投票の数を表す。
【0064】
好ましくは、前記装置はさらに、前記評価結果に基づいて、前記ノードからそれぞれ提案者と検証者を選択するために用いられる第1の抽出ユニットであって、ここで、前記提案者と検証者はそれぞれ異なるノードであることと、前記検証者のID情報を含み、且つ他の提案者のID情報を含まない第1の暗号化情報を前記提案者に送信するために用いられる第1の送信ユニットと、すべての前記検証者とすべての前記提案者のID情報を含む第2の暗号化情報を前記検証者に送信するために用いられる第2の送信ユニットであって、ここで、前記第2の暗号化情報は、すべての前記検証者とすべての前記提案者のID情報を含むことと、前記第1の暗号化情報と前記第2の暗号化情報に従って、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするために用いられる第3のブロードキャストユニットと、を含む。
【0065】
好ましくは、前記装置はさらに、前記正直な鉱山労働者の信頼値とライフサイクルを取得するために用いられる第8の取得ユニットと、前記信頼値とライフサイクルに応じて前記正直な鉱山労働者を更新するために用いられる第1の更新ユニットと、を含む。
【0066】
前述の図1の実施例1におけるブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスアルゴリズムの様々な変更および特定の実施例は、本実施例におけるブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスデバイスにも適用可能である。ブロックの迅速な生成用の分散型コンセンサスアルゴリズムの前述の詳細な説明を通じて、当業者は、この実施例におけるブロックの迅速な生成用の分散型コンセンサスデバイスの実装アルゴリズムを明確に知ることができる。したがって、明細書の簡潔にするために、ここでは詳しく説明しない。
【0067】
(実施例3)
前述の実施例におけるブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスアルゴリズムと同じ発明概念に基づいて、本発明はまた、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスデバイスを提供する。コンピュータプログラムが保存され、該プログラムがプロセッサによって実行されるとき、前述のブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスアルゴリズムの任意のアルゴリズムのステップを実現する。
【0068】
ここで、図3において、バスアーキテクチャ(バス300で表される)、バス300は、任意の数の相互接続されたバスおよびブリッジを含み得る。バス300は、プロセッサ302によって表される1つまたは複数のプロセッサと、メモリ304によって表されるメモリとを含む様々な回路を互いにリンクする。バス300はまた、周辺機器、電圧調整器、および電力管理回路などの様々な他の回路をリンクすることができる。これらはすべて当技術分野で知られているため、本明細書ではこれ以上説明しない。バスインタフェース306は、バス300と受信機301および送信機303との間にインタフェースを提供する。受信機301および送信機303は、同じ要素であるトランシーバーであってもよい。これにより、伝送媒体上の様々な他のデバイスと通信するためのユニットを提供する。
【0069】
プロセッサ302は、バス300および一般的な処理を管理する責任があり、メモリ304は、操作を実行するときにプロセッサ302に使用されるデータを格納するために使用することができる。
【0070】
本発明の実施例における上記の1つまたは複数の技術的解決手段は、以下の技術的効果のうちの少なくとも1つまたは複数を有する。
【0071】
本発明の実施例によって提供される、ブロックの迅速な生成用の分散コンセンサスのアルゴリズム及びデバイスが、新しいトランザクションをすべてのノードにブロードキャストするステップと、各前記ノードが、前記新しいトランザクションを一つのブロックに収集するステップと、前記ノードの信頼値を評価し、評価結果を取得するステップと、前記評価結果に基づいて、正直な鉱山労働者を選択するステップと、ネゴシエーションルールを取得するステップと、前記正直な鉱山労働者が、前記ネゴシエーションルールに従って新しいブロックを作成し、前記新しいブロックをすべての前記ノードにブロードキャストするステップと、前記ノード内のすべてのトランザクションが有効でかつ発効しない場合、前記新しいブロックを受け取り、前記新しいブロックをブロックチェーンに追加するステップと、を含む。これにより既存のブロックチェーンシステムのコンセンサスメカニズムで鉱山労働者を選択する場合、鉱山労働者の信頼値は考慮されないため、悪意のあるノードがブロックの作成に参加することになり、コンセンサスメカニズムのセキュリティを保証できなくなるという技術的課題を解決する。ノードの信頼値評価を導入することにより、悪意のある鉱山労働者を効果的に特定することによってコンセンサスメカニズムの効率を向上させるという技術的効果を達成する。
【0072】
当業者は、本発明の実施例が、アルゴリズム、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供され得ることを理解すべきである。したがって、本発明は、完全なハードウェアの実施例、完全なソフトウェアの実施例、またはソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施例の形態を採用することができる。かつ、本発明は一つの又は複数のその中にコンピュータ使用可能プログラムコードを含むコンピュータ使用可能記憶媒体(ディスク記憶装置、CD-ROM、光学記憶装置等を含むが限定されない)に実施されるコンピュータプログラム製品の形式を採用することができる。
【0073】
本発明は、本発明の実施例による、アルゴリズム、デバイス(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。コンピュータプログラム命令によってフローチャート及び/又はブロック図における各プロセス及び/又はブロック、及びフローチャート及び/又はブロック図におけるプロセス及び/又はブロックの結合を実現するように理解すべきである。これらのコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ又はその他のプログラミング可能なデータ処理機器のプロセッサに提供することにより一つの機器を生成し、それによりコンピュータ又はその他のプログラミング可能なデータ処理機器のプロセッサが実行する命令によりフローチャートの一つのプロセス又は複数のプロセス及び/又はブロック図の一つのブロック又は複数のブロックに指定された機能を実現するための装置を生成する。
【0074】
これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ又はその他のプログラミング可能なデータ処理機器が特定の方式で作業するようにガイドするコンピュータ読み出し可能な記憶装置に記憶されてもよく、それにより該コンピュータ読み出し可能な記憶装置に記憶された命令は命令装置を含む製造品を生成し、該命令装置はフローチャートの一つのプロセス又は複数のプロセス及び/又はブロック図の一つのブロック又は複数のブロックに指定された機能を実現する。
【0075】
これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ又はその他のプログラミング可能なデータ処理機器にアップロードしてもよく、それによりコンピュータ又はその他のプログラマブルデバイスに一連の操作ステップを実行することによりコンピュータによって実現する処理を生成し、それによりコンピュータ又はその他のプログラマブルデバイスに実行する命令はフローチャートの一つのプロセス又は複数のプロセス及び/又はブロック図の一つのブロック又は複数のブロックに指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【0076】
明らかに、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えることができる。当業者は本発明に対して各種の変動及び変形を行うことができ本発明の精神及び範囲から逸脱しない。このように、本発明のこれらの修正および変形が本発明およびそれらの同等の技術の特許請求の範囲内にある場合、本発明はまた、これらの修正および変形を含むことを意図する。
【符号の説明】
【0077】
第1のブロードキャストユニット11、第1の収集ユニット12、第1の取得ユニット13、第1の選択ユニット14、第2の取得ユニット15、第2のブロードキャストユニット16、第1の添加ユニット17、バス300、受信機301、プロセッサ302、送信機303、メモリ304、バスインタフェース306。
図1
図2
図3