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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】演奏用ペダル装置
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/32 20060101AFI20230616BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
G10H1/32 A
G10H1/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019123179
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2021009232
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】319004537
【氏名又は名称】株式会社エフノート
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】森 良彰
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124415(JP,A)
【文献】特開2014-077875(JP,A)
【文献】特開2010-210890(JP,A)
【文献】特開2003-316355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 13/00-13/24
G10H 1/00- 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者が足で踏み込み操作可能なペダルと、
前記ペダルの踏み込み操作に応じて軸方向に移動可能なロッドと、
前記ロッドの移動量を検出して当該移動量に応じた検出信号を出力可能な検出手段と、
を具備した演奏用ペダル装置であって、
前記検出手段は、前記ロッドの軸方向の変位量を非接触にて検出し得る非接触センサから成るとともに、
前記ロッドの任意の位置に取り付けられ、前記ペダルが最大踏み込み位置まで踏み込まれたときに前記ロッドの移動を規制するストッパ部材と、
前記ストッパ部材に取り付けられて前記ロッド及びストッパ部材と一体的に移動可能とされるとともに、当該ロッド及びストッパ部材の位置を前記検出手段にて検出させ得る被検出部材と、
を備えたことを特徴とする演奏用ペダル装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、所定の重量を有してウェイトとして機能し得ることを特徴とする請求項1記載の演奏用ペダル装置。
【請求項3】
前記ストッパ部材は、前記ロッドの軸方向に案内されて当該ロッドと共に移動可能とされたことを特徴とする請求項記載の演奏用ペダル装置。
【請求項4】
前記ペダル及び前記ロッドは、前記ペダルの揺動動作を前記ロッドの直線移動に変換可能なリンク部材により連結されたことを特徴とする請求項1~の何れか1つに記載の演奏用ペダル装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記被検出部材に向けて光を照射するとともに、当該被検出部材からの反射光を受けて前記ロッド及びストッパ部材の位置を検出可能な光センサから成ることを特徴とする請求項1~の何れか1つに記載の演奏用ペダル装置。
【請求項6】
前記被検出部材は、円板状の反射板から成り、前記ロッドを中心として回転可能に取り付けられたことを特徴とする請求項記載の演奏用ペダル装置。
【請求項7】
前記ロッドを付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力を調整可能に保持する付勢保持部と、
を具備したことを特徴とする請求項1~の何れか1つに記載の演奏用ペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏者が足で踏み込み操作可能なペダルと、ペダルの踏み込み操作に応じて軸方向に移動可能なロッドと、ロッドの移動量を検出して当該移動量に応じた検出信号を出力可能な検出センサとを具備した演奏用ペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子ドラムの中には、演奏に伴って演奏者が足で踏み込み操作可能なペダルを有した演奏用ペダル装置を具備したものがある。例えば、従来の演奏用ペダル装置として、ペダルと、ペダルの踏み込み操作に応じてペダルと一体的に回動するシャフトと、ペダルの踏み込み量を検出可能な検出手段とを具備するものが挙げられる(特許文献1参照)。かかる従来の演奏用ペダル装置における検出手段は、ペダルが踏み込み操作されるとセンサーラバーを介してセンサーパターンに押圧力が加えられ、これによりセンサーパターンの電気抵抗が変化するよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-97075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、ペダルの踏み込み操作に伴ってセンサーラバーを介してセンサーパターンに押圧力を加えるものであったため、センサーラバーの弾力が演奏者に伝達されてしまい、ドラム演奏が心地よく感じるようなしっかりとした底付き感を得ることができないという不具合があった。また、ペダルの踏み込み力を緩めた際、センサーラバーの復元速度がペダルの操作速度に追従せず、演奏者の演奏意図を素早く反映させることができないという不具合があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ペダルの踏み込み操作時の操作感を向上させ得るとともに、演奏者の演奏意図を素早く反映させることができる演奏用ペダル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、演奏者が足で踏み込み操作可能なペダルと、前記ペダルの踏み込み操作に応じて軸方向に移動可能なロッドと、前記ロッドの移動量を検出して当該移動量に応じた検出信号を出力可能な検出手段とを具備した演奏用ペダル装置であって、前記検出手段は、前記ロッドの軸方向の変位量を非接触にて検出し得る非接触センサから成るとともに、前記ロッドの任意の位置に取り付けられ、前記ペダルが最大踏み込み位置まで踏み込まれたときに前記ロッドの移動を規制するストッパ部材と、前記ストッパ部材に取り付けられて前記ロッド及びストッパ部材と一体的に移動可能とされるとともに、当該ロッド及びストッパ部材の位置を前記検出手段にて検出させ得る被検出部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項記載の発明は、請求項1記載の演奏用ペダル装置において、前記ストッパ部材は、所定の重量を有してウェイトとして機能し得ることを特徴とする。
【0009】
請求項記載の発明は、請求項記載の演奏用ペダル装置において、前記ストッパ部材は、前記ロッドの軸方向に案内されて当該ロッドと共に移動可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項1~の何れか1つに記載の演奏用ペダル装置において、前記ペダル及び前記ロッドは、前記ペダルの揺動動作を前記ロッドの直線移動に変換可能なリンク部材により連結されたことを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、請求項1~の何れか1つに記載の演奏用ペダル装置において、前記検出手段は、前記被検出部材に向けて光を照射するとともに、当該被検出部材からの反射光を受けて前記ロッド及びストッパ部材の位置を検出可能な光センサから成ることを特徴とする。
【0012】
請求項記載の発明は、請求項記載の演奏用ペダル装置において、前記被検出部材は、円板状の反射板から成り、前記ロッドを中心として回転可能に取り付けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項1~の何れか1つに記載の演奏用ペダル装置において、前記ロッドを付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢力を調整可能に保持する付勢保持部とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、検出手段は、ロッドの軸方向の変位量を非接触にて検出し得る非接触センサから成るので、ペダルの踏み込み操作時の操作感を向上させ得るとともに、演奏者の演奏意図を素早く反映させることができる。
【0015】
さらに、ロッドの任意の位置に取り付けられ、ペダルが最大踏み込み位置まで踏み込まれたときにロッドの移動を規制するストッパ部材と、ストッパ部材に取り付けられてロッド及びストッパ部材と一体的に移動可能とされるとともに、当該ロッド及びストッパ部材の位置を検出手段にて検出させ得る被検出部材とを備えたので、ロッドに対するストッパ部材の取付位置を任意に調整することにより、ペダルの踏み込みストロークを任意に調整することができるとともに、ロッドの下限位置においては、ストッパ部材の取付位置に関わらず、検出手段と被検出部材との離間寸法を一定に維持することができる。したがって、ロッドに対するストッパ部材の取付位置を任意調整しても、ペダルの最大踏み込み位置における検出手段の設定変更を不要とすることができる。
【0016】
請求項の発明によれば、ストッパ部材は、所定の重量を有してウェイトとして機能し得るので、ペダルの踏み込み操作時に慣性を持たせることができ、演奏者の操作感をより向上させることができるとともに、ストッパ部材が操作感を向上させるウェイト機能とペダルの最大踏み込み位置におけるロッドの規制機能とを兼ね備えることができる。
【0017】
請求項の発明によれば、ストッパ部材は、ロッドの軸方向に案内されて当該ロッドと共に移動可能とされたので、ロッドの摺動方向に沿ってウェイトを移動させることができ、操作感をより向上させることができる。
【0018】
請求項の発明によれば、ペダル及びロッドは、ペダルの揺動動作をロッドの直線移動に変換可能なリンク部材により連結されたので、ペダルの踏み込み操作を確実且つ良好にロッドの直線移動に変換させることができる。
【0019】
請求項の発明によれば、検出手段は、被検出部材に向けて光を照射するとともに、当該被検出部材からの反射光を受けてロッド及びストッパ部材の位置を検出可能な光センサから成るので、安定且つ確実にロッドの軸方向の変位量を非接触にて検出することができる。
【0020】
請求項の発明によれば、被検出部材は、円板状の反射板から成り、ロッドを中心として回転可能に取り付けられたので、ロッドが軸周りに回転しても光センサから照射された光を確実に受けて反射させることができる。
【0021】
請求項の発明によれば、ロッドを付勢する付勢手段と、付勢手段の付勢力を調整可能に保持する付勢保持部とを具備したので、ペダルの踏み込み操作時の感覚を任意に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る演奏用ペダル装置(踏み込み操作前)の外観全体を示す斜視図
図2】同演奏用ペダル装置(踏み込み操作前)を示す3面図
図3図2におけるIII-III線断面図
図4図2におけるIV-IV線断面図
図5】同演奏用ペダル装置(踏み込み操作後)の外観全体を示す斜視図
図6】同演奏用ペダル装置(踏み込み操作後)を示す3面図
図7図6におけるVII-VII線断面図
図8図6におけるVIII-VIII線断面図
図9】同演奏用ペダル装置におけるストッパ部材を示す4面図
図10】同演奏用ペダル装置における連結部材を示す4面図
図11】同演奏用ペダル装置における反射板を示す正面図及び平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る演奏用ペダル装置1は、制御部16を介して電子ドラム等(演奏部17)と接続されたもので、図1~8に示すように、底板2と、ペダル4と、ロッド6と、ストッパ部材7と、連結部材8と、反射板9(被検出部材)と、光センサ10(検出手段)と、付勢手段11と、収容部材12と、ケース13と、被当接部材15a、15bとを有して構成されている。
【0024】
底板2は、床面に載置可能な板状部材から成り、その基端部に取付部3が固定されるとともに、先端部に収容部材12が取り付けられている。取付部3には、軸Laを介してペダル4の基端部が取り付けられており、当該ペダル4が軸Laを中心として揺動操作可能に支持されている。また、収容部材12は、ABS又はナイロン等の樹脂成形品から成るもので、その内部にロッド6が軸方向Lに対して移動可能とされつつ収容されている。
【0025】
ペダル4は、演奏者が足で踏み込み操作可能なもので、足の形状に倣って形成されたアルミ製の板状部材から成る。このペダル4の先端部は、下方に向かって屈曲形成されており、その屈曲部には、軸Lbを介してスチール製のリンク部材5の一端が取り付けられている。かかるリンク部材5は、その一端が軸Lbを介してペダル4の先端部に取り付けられるとともに、他端が軸Lcを介してロッド6に取り付けられている。
【0026】
すなわち、リンク部材5は、ペダル4の先端部に対して軸Lbを中心に回動可能に連結されるとともに、ロッド6に対して軸Lcを中心に回動可能に連結されており、ペダル4の揺動動作をロッド6の直線移動に変換可能とされている。これにより、演奏者がペダル4を足で踏み込んで揺動操作すると、その踏み込み力がリンク部材5を介してロッド6に伝達され、当該ロッド6が軸方向L(長手方向)に直線移動するようになっている。
【0027】
ロッド6は、ペダル4の踏み込み操作に応じて軸方向Lに移動可能な断面円形のスチール製の棒状部材から成り、その下端部には、付勢手段11が取り付けられている。かかる付勢手段11は、ロッド6を上方に向かって付勢するコイルスプリングから成り、図3、4に示すように、ケース13に形成された収容空間13a内に収容され、ロッド6が下降するのに伴って付勢力を付与し得るよう構成されている。なお、ケース13には、収容空間13a内にロッド6の下端部を挿通させ得る挿通孔13cが形成されており、ロッド6が当該挿通孔13cの開口縁にて案内されて下降及び上昇し得るようになっている。
【0028】
また、本実施形態においては、収容空間13aにおける付勢手段11の下部に付勢保持部gが取り付けられている。かかる付勢保持部gは、付勢手段11の付勢力を調整可能に保持するもので、図3に示すように、外周面に形成された雄ネジ部g1と、付勢手段11の下端を受ける受け部g2とを有して構成されている。また、付勢保持部gは、収容空間13aの内周壁面に形成された雌ネジ部13aaに雄ネジ部g1が螺合して組み付けられている。
【0029】
これにより、付勢保持部gを回転させると、当該付勢保持部gが収容空間13a内で上下に移動するので、付勢手段11の付勢力を調整することができる。したがって、ロッド6を付勢する付勢手段11と、付勢手段11の付勢力を調整可能に保持する付勢保持部gとを具備したので、ペダル4の踏み込み操作時の感覚を任意に変更することができる。
【0030】
ストッパ部材7は、ロッド6の上端部における任意の位置に取り付けられ、ペダル4が最大踏み込み位置まで踏み込まれたとき(図5~8参照)にロッド6の移動を規制するスチール製の部材から成るもので、図9に示すように、錘部7aと、当接部7bと、錘部7aに形成された連通孔7cと、ストッパ部材7における中央にて上下方向に貫通して形成された貫通孔7dと、ストッパ部材7の下端部に形成された取付溝7eと、摺動面7fとを有して構成されている。
【0031】
かかるストッパ部材7は、貫通孔7dにロッド6を挿通させるとともに、ロッド6の所望の位置にて連通孔7cに挿入されたネジ等の調整部材14を当該ロッド6の外周面に対して締め上げることにより、ロッド6の任意位置に取り付け可能とされている。そして、ストッパ部材7は、ロッド6の任意位置に取り付けられた状態で収容部材12に形成された挿通孔12bに挿通して組み付けられ、ペダル4の踏み込み操作に伴ってロッド6が軸方向Lに移動すると、摺動面7fが挿通孔12bの開口縁部に案内されつつ摺動し得るようになっている。
【0032】
当接部7bは、錘部7aと摺動面7fとの間の境界に形成された段部から成り、ペダル4の踏み込み操作に伴ってロッド6及びストッパ部材7が軸方向Lに移動する過程において、ペダル4が最大踏み込み位置まで踏み込まれたときに、収容部材12の上面に形成された被当接部材15aと当接して更なるロッド6の移動を規制し得るよう構成されている。
【0033】
すなわち、ストッパ部材7がロッド6の任意位置に取り付けられると、図3、4に示すように、当接部7bと被当接部材15aとが寸法h離間することとなり、ペダル4を踏み込み操作すると、当接部7bが寸法h内を移動する過程においてロッド6の下降が許容されるとともに、当接部7bが寸法hまで下降すると、図7、8に示すように、被当接部材15aと当接してロッド6の更なる下降が規制されるのである。なお、本実施形態に係る被当接部材15aは、圧縮フェルト又は硬質ゴムにて構成されており、スチール製のロッド6の当接部7bが当接すると、硬質部材どうしが接触し、しっかりとした底付き感を得ることができる。
【0034】
また、錘部7aは、ストッパ部材7の上部に形成された大径部位から成り、所定の重量を有してウェイトとして機能し得るようになっている。なお、錘部7の重量は、その大きさに応じて変化するものとされ、付勢手段の付勢力とともに、演奏に最適な感覚が得られるよう適宜設定されるものとする。なお、本実施形態では、ストッパ部材7の重量は約400gであり、250~1000g程度が適切である。そして、ストッパ部材7は、ペダル4が踏み込み操作されると、収容部材12に形成された挿通孔12bの開口縁部によってロッド6の軸方向Lに案内されて当該ロッド6と共に移動可能とされている。
【0035】
さらに、取付溝7eは、ストッパ部材の下部に形成された溝形状から成り、ABS製の連結部材8が取り付けられるよう構成されている。かかる連結部材8は、図10に示すように、略円板状部材から成り、中央に円環状に突出形成された突出部8aと、連結部材8を上下方向に貫通した貫通孔8bと、取付面8cと、貫通孔8b内に形成された突起部8dとを有して構成されている。
【0036】
そして、突出部8a内にストッパ部材7の下部を挿通させ、取付溝7eに突起部8dを嵌入して係止させることにより、ストッパ部材7の下部に連結部材8が取り付けられるとともに、連結部材8の取付面8cには、反射板9(被検出部材)が取り付けられるよう構成されている。これにより、反射板9が取付部材8を介してストッパ部材7の下部に取り付けられるようになっている。
【0037】
かかる反射板9は、ストッパ部材7に取り付けられてロッド6及びストッパ部材7と一体的に移動可能とされるとともに、当該ロッド6及びストッパ部材7の位置を光センサ10(検出手段)にて検出させ得る白色発泡PVCから成るもので、図11に示すように、連結部材8の取付面8cに合致して固定される取付面9bと、光センサ10と対向した反射面9cとを有した円板状の部材から成る。
【0038】
反射面9cは、ケース13内に取り付けられた光センサ10から照射された光を反射するための円環状の面から成り、例えば反射を確実且つ良好に行わせるために、鏡面加工が施されたり或いは白色系のPVC発泡シート等を貼着するのが好ましい。また、本実施形態に係る反射板9(被検出部材)は、その中央位置に挿通孔9aが形成され、その挿通孔9aにロッド6が挿通して取り付けられており、ロッド6を中心として回転可能に取り付けられている。
【0039】
光センサ10(検出手段)は、ロッド6の移動量を検出して当該移動量に応じた検出信号を出力端子fを介して出力可能なもので、ロッド6の軸方向Lの変位量を光学的に検出することにより非接触にて検出し得る非接触センサである。具体的には、本実施形態に係る光センサ10は、光を反射板9に照射する発光部と、その反射光を受ける受光部とを有しており、底板2に固定されたケース13内に配設されるとともに、ケース13に形成された開口部13bを介して照射光及び反射光を通過させることにより、ロッド6の位置を検出してその変位量を検出可能とされている。例えば、発光部は、赤外線を発光するLEDから成り、反射板9からの反射光をフォトトランジスタから成る受光部にて受光すると、その受光した光の光量に応じた電気信号が出力され、ロッド6の変位量が検出されるようになっている。
【0040】
すなわち、ペダル4が踏み込み操作される前においては、図3に示すように、光センサ10と反射板9との間の離間寸法H1(例えば50mm)を検出することにより、ロッド6及びストッパ部材7が初期位置にあることを検出し得るとともに、ペダル4が最大踏み込み位置まで踏み込まれると、図7に示すように、光センサ10と反射板9との間の離間寸法H2(例えば30mm)を検出することにより、ロッド6及びストッパ部材7が最大下降位置にあることを検出することができる。
【0041】
なお、本実施形態に係る光センサ10は、ケース13内の固定側に配設されるとともに、反射板9がストッパ部材7に取り付けられているが、ストッパ部材7に光センサ10が取り付けられるとともに、ケース13等の固定側に反射板9が配設されたものであってもよい。すなわち、光センサ10は、ストッパ部材7側及び固定側の少なくとも一方に配設されるとともに、ストッパ部材7側及び固定側の他方において当該光センサ10から照射された光を反射可能な反射板9が配設されるものである。
【0042】
収容部材12は、その内部にケース13が取り付けられるとともに、開口12aを介してリンク部材5を挿通可能とされている。かかる開口12aにおける上縁部には、ペダル4に対する踏み込み操作がされない状態において、リンク部材5と当接し得る被当接部材15bが取り付けられている。すなわち、ペダル4に対する踏み込み操作がされない状態においては、リンク部材5が被当接部材15bに当接してロッド6が所定位置に保持されるとともに、ペダル4が最大踏み込み位置まで踏み込まれたとき、当接部7bが被当接部材15aに当接して更なるロッド6の下降を規制するようになっている。なお、本実施形態に係る被当接部材15bは、フェルト又は硬質ゴムにて構成されており、スチール製のリンク部材5が当接した際のノイズを防ぐことができる。
【0043】
一方、光センサ10の検出信号は、出力端子fを介して制御部16に出力されるようになっている。かかる制御部16は、電子ドラム等の演奏部17と接続されており、光センサ10の検出信号と演奏部17の検出信号に基づいて楽音信号を生成して外部スピーカに出力させ得るよう構成されている。すなわち、制御部16は、演奏部17に対する叩打によって生じる検出信号と、光センサ10から取得した検出信号とを合わせて処理し、外部スピーカから出力すべき強さ及び音色の最適な楽音信号を生成する。
【0044】
本実施形態によれば、ロッド6の移動量を検出して当該移動量に応じた検出信号を出力可能な検出手段は、ロッド6の軸方向の変位量を非接触にて検出し得る非接触センサ(光センサ10)から成るので、ペダル4の踏み込み操作時の操作感を向上させ得るとともに、演奏者の演奏意図を素早く反映させることができる。特に、本実施形態に係る検出手段は、被検出部材(反射板9)に向けて光を照射するとともに、当該被検出部材(反射板9)からの反射光を受けてロッド6及びストッパ部材7の位置を検出可能な光センサ10から成るので、安定且つ確実にロッド6の軸方向Lの変位量を非接触にて検出することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る被検出部材は、円板状の反射板9から成り、ロッド6を中心として回転可能に取り付けられたので、ロッド6が軸周りに回転しても光センサ10から照射された光を確実に受けて反射させることができる。なお、ロッド6の断面形状が円形でなく異形であり軸周りに回転できない場合、反射板9(被検出部材)がロッド6を中心として回転可能とする必要はない。
【0046】
さらに、ロッド6の任意の位置に取り付けられ、ペダル4が最大踏み込み位置まで踏み込まれたときにロッド6の移動を規制するストッパ部材7と、ストッパ部材7に取り付けられてロッド6及びストッパ部材7と一体的に移動可能とされるとともに、当該ロッド6及びストッパ部材7の位置を検出手段(光センサ10)にて検出させ得る反射板9(被検出部材)とを備えたので、ロッド6に対するストッパ部材7の取付位置を任意に調整することにより、ペダル4の踏み込みストロークを任意に調整することができるとともに、ロッド6の下限位置においては、ストッパ部材7の取付位置に関わらず、検出手段(光センサ10)と被検出部材(反射板9)との離間寸法H2(図7参照)を一定に維持することができる。
【0047】
すなわち、ストッパ部材7のロッド6に対する取付位置を任意に調整した場合、ロッド6の上限位置(ペダル4を踏み込み操作する前の位置)においては、検出手段(光センサ10)と被検出部材(反射板9)との離間寸法H1(図3参照)が変化するのに対し、ロッド6の下限位置(ペダル4が最大踏み込み位置まで踏み込まれたとき、検出手段(光センサ10)と被検出部材(反射板9)との離間寸法H2(図7参照)は一定に維持されるのである。したがって、ロッド6に対するストッパ部材7の取付位置を任意調整しても、ペダル4の最大踏み込み位置における検出手段(光センサ10)の設定変更を不要とすることができる。
【0048】
またさらに、本実施形態に係るストッパ部材7は、所定の重量を有してウェイトとして機能し得るので、ペダル4の踏み込み操作時に慣性を持たせることができ、演奏者の操作感をより向上させることができるとともに、ストッパ部材7が操作感を向上させるウェイト機能とペダル4の最大踏み込み位置におけるロッド6の規制機能とを兼ね備えることができる。また、本実施形態に係るストッパ部材7は、ロッド6の軸方向Lに案内されて当該ロッド6と共に移動可能とされたので、ロッド6の摺動方向(軸方向L)に沿ってウェイトを移動させることができ、操作感をより向上させることができる。
【0049】
加えて、本実施形態に係るペダル4及びロッド5は、ペダル4の揺動動作(軸Laを中心として揺動動作)をロッド6の直線移動(軸方向Lに対する直線移動)に変換可能なリンク部材5により連結されたので、ペダル4の踏み込み操作を確実且つ良好にロッド6の直線移動に変換させることができる。なお、リンク部材5に代えて、ペダル4の揺動動作をロッド6の直線移動に変換可能な他の手段(例えばカム部材等)によりペダル4及びロッド6を連結するようにしてもよい。
【0050】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば光センサ10に代えて、電極間の距離を測定する静電容量センサ、金属板と磁界による過電流を測定する過電流式変位センサ、レーザ測距センサなど、他の非接触センサとしてもよい。また、本実施形態に係る光センサ10を用いる場合、照射された光を反射させる反射板9(被検出部材)の反射面9cは、平面の他、効率的に光を集光して反射可能な凹形状の湾曲断面の反射面としてもよい。なお、本実施形態においては、制御部16が演奏部17に対する叩打によって生じる検出信号と、光センサ10から取得した検出信号とを合わせて処理しているが、光センサ10から取得した検出信号のみを用いて楽音を生成するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
検出手段は、ロッドの軸方向の変位量を非接触にて検出し得る非接触センサから成るとともに、ロッドの任意の位置に取り付けられ、ペダルが最大踏み込み位置まで踏み込まれたときにロッドの移動を規制するストッパ部材と、ストッパ部材に取り付けられてロッド及びストッパ部材と一体的に移動可能とされるとともに、当該ロッド及びストッパ部材の位置を検出手段にて検出させ得る被検出部材とを備えた演奏用ペダル装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 演奏用ペダル装置
2 底板
3 取付部
4 ペダル
5 リンク部材
6 ロッド
7 ストッパ部材
7a 錘部
7b 当接部
7c 連通孔
7d 貫通孔
7e 取付溝
7f 摺動面
8 連結部材
9 反射板(被検出部材)
10 光センサ(検出手段)
11 付勢手段(スプリング)
12 収容部材
12a 開口
13 ケース
13a 収容空間
13aa 雌ネジ部
13b 開口部
13c 挿通孔
14 調整部材
15a 被当接部材
15b 被当接部材
16 制御部
17 演奏部
f 出力端子
g 付勢保持部
g1 雄ネジ部
g2 受け部
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
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図11