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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】ビルトインコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/20 20060101AFI20230616BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20230616BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20230616BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
F24C15/20 D
F24C15/10 B
F24C3/00 L
A47J37/06 366
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019165377
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021042901
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】井本 琢磨
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-060962(JP,A)
【文献】特開平03-191219(JP,A)
【文献】実開平06-084209(JP,U)
【文献】特開2005-230162(JP,A)
【文献】特開2000-220846(JP,A)
【文献】特開平07-250767(JP,A)
【文献】実開昭61-041512(JP,U)
【文献】特開2006-255213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00-15/06
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口する筐体と、
前記筐体内で左右方向中央寄りに設けられるグリル庫と、
前記グリル庫の後方部に設けられ、上方へ延びる筒状を呈するグリル排気筒と、
前記グリル排気筒に接続する排気口が形成され、前記筐体の開口を閉塞するように前記筐体の上部に固定される天板と
を備え、キッチンのキャビネットに設けられた開口に上方から落とし込まれて設置されるビルトインコンロにおいて、
前記グリル排気筒は、
前記グリル庫の後部に固定され、前記グリル庫から流れる燃焼排気を受け入れる受入部と、
一端側が前記受入部に連結し、他端側の開口部であるグリル排気口が前記天板の前記排気口内に配置され、前記排気口を介し、前記受入部を流れた燃焼排気を前記筐体の外部に排出する排出部と
を有し、
前記グリル排気筒は、
前記排出部の一の形態であり、前記受入部に連結した場合に、前記受入部との連結位置から前記グリル排気口へ向けて、上方斜め後方に延びる第一排出部と、
前記排出部の他の形態であり、前記受入部に連結した場合に、前記受入部との連結位置から前記グリル排気口へ向けて上方斜め後方に延び、且つ前記グリル排気口が、前記筐体の前後方向において、前記第一排出部の前記グリル排気口の位置よりも後方側の位置する第二排出部と
を相互に差し替えて、前記受入部と連結可能に構成され、
且つ、
前記天板は、
前記グリル排気筒の前記排出部として前記第一排出部が使用された場合に、前記グリル排気口を前記排気口内で前方寄りの位置に配置可能な位置に前記排気口が形成された第一天板であり、
前記グリル排気筒の前記排出部として前記第二排出部が使用された場合に、前記グリル排気口を前記排気口内で前後方向の中央よりの位置に配置可能な位置に前記排気口が形成された第二天板と差し替え可能に構成されたこと
を特徴とするビルトインコンロ。
【請求項2】
前記グリル庫から外部への炎の溢れを防止するフレームトラップユニットと、
前記グリル排気筒の前記受入部の上端部であって、前記排出部との連結部分に、前記フレームトラップユニットを配置する配置部と
を備え、
前記排出部は、前記配置部に前記フレームトラップユニットを配置した状態で、前記受入部と連結することで、前記受入部との間に前記フレームトラップユニットを保持すること
を特徴とする請求項に記載のビルトインコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビルトインコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
グリル庫を備え、キッチンのキャビネットに設けられた開口に上方から落とし込まれて設置されるビルトインコンロが知られている(例えば、特許文献1参照)。グリル庫の後方部には、グリル庫内で生成される燃焼排気を外部に排出するグリル排気部が設けられる。グリル排気部は、グリル庫の後部から後方に対して斜め上方へ向けて筒状に延び、上部に横長のグリル排気口が形成される。グリル排気口は、天板の後部に設けられる排気口内に配置される。
【0003】
ビルトインコンロが設置されたキャビネットの下部に、オーブンが設置される場合がある。オーブンの上部後方部には、オーブン内で生成される燃焼排気を外部に排出するオーブン排気部が設けられる。オーブン排気部は、オーブンの上部から上方へ向けて筒状に延び、上部に横長のオーブン排気口が設けられる。ビルトインコンロは筐体の後板の一部が外されることで、後板に開口部が形成される。オーブン排気部は開口部から筐体内に挿入されて、グリル排気部の後側で上方へ延びる。オーブン排気口は、グリル排気口の後方において、天板の排気口内に配置される。天板上から見たとき、グリル排気口は排気口内で前寄りに位置し、その後側で、オーブン排気口は排気口内で後寄りに位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2109-5415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャビネットにオーブンが設置されない場合、排気口内にオーブン排気口は配置されないが、この場合においてもグリル排気口は排気口内の前寄りに位置する。天板上において排気口の前方にはコンロバーナが配置されており、排熱効率を考慮した場合、オーブンとは併設しないのであれば、グリル排気口とコンロバーナとを熱的に遠ざけたいという要望があった。
【0006】
本発明の目的は、天板の排気口とグリル排気口との位置関係を、オーブンとの併設の可不可に応じて最適化できるビルトインコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る発明のビルトインコンロは、上部が開口する筐体と、前記筐体内で左右方向中央寄りに設けられるグリル庫と、前記グリル庫の後方部に設けられ、上方へ延びる筒状を呈するグリル排気筒と、前記グリル排気筒に接続する排気口が形成され、前記筐体の開口を閉塞するように前記筐体の上部に固定される天板とを備え、キッチンのキャビネットに設けられた開口に上方から落とし込まれて設置されるビルトインコンロにおいて、前記グリル排気筒は、前記グリル庫の後部に固定され、前記グリル庫から流れる燃焼排気を受け入れる受入部と、一端側が前記受入部に連結し、他端側の開口部であるグリル排気口が前記天板の前記排気口内に配置され、前記排気口を介し、前記受入部を流れた燃焼排気を前記筐体の外部に排出する排出部とを有し、前記グリル排気筒は、前記排出部の一の形態であり、前記受入部に連結した場合に、前記受入部との連結位置から前記グリル排気口へ向けて、上方斜め後方に延びる第一排出部と、前記排出部の他の形態であり、前記受入部に連結した場合に、前記受入部との連結位置から前記グリル排気口へ向けて上方斜め後方に延び、且つ前記グリル排気口が、前記筐体の前後方向において、前記第一排出部の前記グリル排気口の位置よりも後方側の位置する第二排出部とを相互に差し替えて、前記受入部と連結可能に構成され、且つ、前記天板は、前記グリル排気筒の前記排出部として前記第一排出部が使用された場合に、前記グリル排気口を前記排気口内で前方寄りの位置に配置可能な位置に前記排気口が形成された第一天板であり、前記グリル排気筒の前記排出部として前記第二排出部が使用された場合に、前記グリル排気口を前記排気口内で前後方向の中央よりの位置に配置可能な位置に前記排気口が形成された第二天板と差し替え可能に構成されたことを特徴とする。
【0008】
【0009】
本発明の請求項に係る発明のビルトインコンロは、請求項に記載の発明の構成に加え、前記グリル庫から外部への炎の溢れを防止するフレームトラップユニットと、前記グリル排気筒の前記受入部の上端部であって、前記排出部との連結部分に、前記フレームトラップユニットを配置する配置部とを備え、前記排出部は、前記配置部に前記フレームトラップユニットを配置した状態で、前記受入部と連結することで、前記受入部との間に前記フレームトラップユニットを保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明のビルトインコンロによれば、キャビネットにおいてビルトインコンロの下方側に、例えばオーブンを設置した場合、オーブン内で生成される燃焼排気を外部に排出するためのオーブン排気筒が設けられる。オーブンの上方にはビルトインコンロがあるため、オーブン排気筒は、ビルトインコンロの天板の排気口を共用して燃焼排気を外部に排出する必要がある。オーブンとの併設が可能なタイプのビルトインコンロを製造する場合、グリル排気筒の排出部として、第一排出部を用いることができる。第一排出部のグリル排気口が、例えば天板の排気口内で前方寄りに位置するように天板に排気口を設ければ、オーブン排気筒の開口部であるオーブン排気口を、天板の排気口内でグリル排気口の後方側に配置することができる。よって第一排出部を用いれば、グリル排気口とオーブン排気口を共に天板の排気口内に配置することができる。一方、オーブンとは併設しないタイプのビルトインコンロを製造する場合、グリル排気筒の排出部として、第一排出部に差し替えて受入部に連結可能な第二排出部を用いることができる。第二排出部のグリル排気口は、第一排出部のグリル排気口の位置よりも後方側に位置する。すなわち、第二排出部のグリル排気口は、天板の排気口内で、第一排出部のグリル排気口が配置される場合の位置よりも後方側に配置される。よって、第二排出部のグリル排気口は、天板の排気口内で少なくとも前方寄りには位置しないので、天板上において排気口の前方に位置するコンロバーナからグリル排気口を後方へ遠ざけて配置することができる。これにより、グリル庫からの燃焼排気が排気口の少なくとも前方寄りの位置に偏って排出されないので、天板において排気口の前側縁部付近の温度上昇を抑制することができる。また、オーブンとの併設が可能なタイプのビルトインコンロと、オーブンとは併設しないタイプのビルトインコンロとの双方を提供する場合に、第一排出部と第二排出部とを相互に差し換えるだけで、他の部品を共通化して製造することができるので、製造コストおよび管理コストの上昇を抑えることができる。
【0011】
また、オーブンとの併設が可能なタイプのビルトインコンロを製造する場合、第一天板を用いることで、第一排出部のグリル排気口を排気口内で前方寄りに配置でき、オーブン排気口をグリル排気口の後方側に配置し、グリル排気口と共に排気口内に配置することができる。一方、オーブンとは併設しないタイプのビルトインコンロを製造する場合、第二天板を用いることで、第二排出部のグリル排気口を排気口内で中央寄りに配置することができるので、天板上において排気口の前方に位置するコンロバーナからグリル排気口を後方へ遠ざけて配置することができる。また、第二天板は、排気口の形成位置にオーブン排気口による制約がないので、第二排出部のグリル排気口の位置と共に、排気口の形成位置を、天板上に露出されるコンロバーナとの位置関係に応じた最適な位置に設定することができる。故にコンロバーナと排気口との位置関係において、熱的な面だけでなく、見栄えの面においても最適な位置関係を確保できるビルトインコンロを提供することができる。
【0012】
請求項に係る発明のビルトインコンロによれば、請求項に記載の発明の効果に加え、受入部の配置部に配置したフレームトラップユニットを排出部との間に保持することで、フレームトラップユニットの脱落を防止することができる。また、排出部を取り外すだけで配置部に配置しただけのフレームトラップユニットを受入部から取り外すことができるので、製造時やメンテナンス時に、フレームトラップユニットの組み付けや交換等を容易に行うことができる。
【0013】
なお、本発明は、請求項1または2の発明特定事項を任意に組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】排気口カバー7Aを外したコンロ1の平面図である。
図3】筐体2とグリル排気筒70の斜視図である。
図4】天板3とグリル排気筒70の分解斜視図である。
図5】キャビネットにコンロ1とオーブン50を併設した様子を示す図である。
図6】コンロ101の斜視図である。
図7】排気口カバー107Aを外したコンロ101の平面図である。
図8】筐体2とグリル排気筒170の斜視図である。
図9】天板103とグリル排気筒170の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0016】
図1図3を参照し、コンロ1の構造を説明する。コンロ1は、ビルトインコンロである。コンロ1は、筐体2、天板3を備える。筐体2は、上部が開口し、該開口部分に天板3が固定される。天板3の上面左側には左バーナ4、上面右側には右バーナ5、中央奥側には奥バーナ6、上面後側には排気口7が夫々設けられる。排気口7は左右方向に長く延びる略矩形状で、左側は左バーナ4の位置よりも天板3の左端部寄りの位置まで開口し、右側は右バーナ5の位置よりも天板3の右端部寄りの位置まで開口する。排気口7には排気口カバー7Aが嵌め込まれる。排気口カバー7Aは格子状に形成され、排気を導出する。
【0017】
筐体2前面の中央部には、グリル扉8が手前側に引き出し可能に設けられる。グリル扉8は、筐体2内部に設けられるグリル庫10(図3参照)の前側の開口を開閉する。グリル庫10内には、グリルバーナ(図示略)が設けられる。グリル庫10の後部にはグリル排気筒70(図3参照)が設けられ、排気口7に接続する。グリル庫10からの燃焼排気は、グリル排気筒70を介して排気口7から外部に排出される。
【0018】
グリル扉8の左側には、左フロントパネル15が設けられる。左フロントパネル15には、操作ボタン11,12が左右に並んで設けられる。操作ボタン11,12は、夫々、左バーナ4,奥バーナ6の点火、消火および対応するバーナへのガス供給量の調整を行う場合に操作される。グリル扉8の右側には、右フロントパネル16が設けられる。右フロントパネル16には、操作ボタン13,14が左右に並んで設けられる。操作ボタン13,14は、夫々、グリルバーナ,右バーナ5の点火、消火および対応するバーナへのガス供給量の調整を行う場合に操作される。また、筐体2内には、点滅装置、制御装置等の各種部品が収容される。
【0019】
図3図4を参照し、グリル庫10からの燃焼排気を排気口7から排熱するための構成について説明する。グリル庫10は、筐体2内で左右方向の中央寄りの位置に設けられる。グリル庫10の後方部には、筒状を呈し、上方斜め後方へ延びるグリル排気筒70が設けられる。グリル排気筒70は下部を構成する受入部80と、上部を構成する排出部90とを有する。受入部80は左右方向に長い矩形の筒状を呈し、下部が上方へ延び、上部が屈曲して上方斜め後方へ延びる。受入部80は、下面から下部前面にかけて開口し、開口部分をグリル庫10の後部に接続した状態で、グリル庫10にネジ(図示略)で固定される。受入部80は、グリル庫10から流れる燃焼排気を受け入れる。
【0020】
受入部80の上部は、上方斜め後方へ向けて開口する。受入部80の上部開口部分の内側は、フレームトラップユニット85を配置する配置部81として機能する。配置部81には、フレームトラップユニット85の受入部80内への落ち込みを防止するため、後面を内向きに突出させ、左右方向に長く延びる係止部82が形成される。フレームトラップユニット85は、左右方向に延びる板状の金属製網状体の前端部と後端部とを上下方向に屈曲させた、略U字溝状を呈する2つの略同一形状のフレームトラップ86,87を上下に反転させて組み合わせ、左右方向に延びる矩形の筒網状に構成したものである。フレームトラップユニット85は、万が一、グリル庫10内に投入された被調理物の油分等に引火した場合に、グリル排気筒70を介して排気口7から外部に火炎が溢れ出るのを防止する。
【0021】
受入部80の上部開口部分の外側は、排出部90を固定する固定部83として機能する。固定部83には、排出部90の下部後面を係止するため、後面を外向きに突出させた2つの係合部84が形成される。排出部90は、左右方向に長い矩形の筒状を呈する。排出部90の下部開口部分の内側は連結部91である。排出部90は、連結部91の後面を受入部80の係合部84に係合しつつ、連結部91を固定部83に嵌め込んで、前面を固定部83にネジ止めすることで、受入部80と連結する。排出部90は、連結部91においてフレームトラップユニット85を押さえ、受入部80の配置部81にフレームトラップユニット85を保持する。
【0022】
受入部80に連結した排出部90は、上方斜め後方へ向けて前後方向に狭窄しながら延びる。排出部90の上部開口部分であるグリル排気口95は、左右方向に細長く延びる。筐体2に天板3が固定されたとき、グリル排気口95は、排気口7内に配置される。排気口7内において、グリル排気口95は、排気口7の前側の縁部寄り且つ左右中央寄りに位置する(図2参照)。すなわち平面視で、排気口7の縁部とグリル排気口95との間には、グリル排気口95の後側に、前側よりも大きな間隙が設けられる。
【0023】
このように、排気口7内でグリル排気口95を前寄りに配置することで、コンロ1は、キッチンにおいて、オーブン50との併設が可能な仕様のビルトインコンロとして生産される。例えば図5に示すように、オーブン50は、上部にコンロ1が設置されたキャビネットの下部に設置することができる。コンロ1は、排気口7を介してオーブン50から排出される燃焼排気を外部に排出することが可能な構成を有する。
【0024】
オーブン50は略立方体形状の筐体50Aを有し、オーブン50内で生成される燃焼排気を排出するためのオーブン排気筒51が筐体50Aの上面後部に設けられる。オーブン排気筒51は上方へ延びる略矩形の筒状で、上部開口部分であるオーブン排気口55は、左右方向に細長く延びる。オーブン排気筒51の周囲には、冷却用の空気が流通する冷却筒52が設けられる。冷却筒52はオーブン排気筒51の周囲を囲い、オーブン排気筒51と共に上方へ延びる。冷却筒52の上部開口部分である冷却開口53は、オーブン排気口55を内側に配置し、排気口7の後側の縁部寄りに配置され、グリル排気口95の後側に位置する。
【0025】
冷却筒52とオーブン排気筒51を排気口7へ導くため、オーブン50を併設する場合、コンロ1の筐体2には、後壁の一部を取り外した開口部2Aが設けられる。コンロ1の下方に位置するオーブン50から延びる冷却筒52とオーブン排気筒51とは、開口部2Aを介して筐体2内に進入し、冷却開口53とグリル排気口95とを排気口7内に配置する。これにより、コンロ1は、排気口7の前側部分に配置されるグリル排気口95からグリル庫10内で生成される燃焼排気を排出し、排気口7の後側部分に配置されるオーブン排気口55からオーブン50で生成される燃焼排気を排出することができる。グリル排気筒70とオーブン排気筒51との間に設けられる冷却筒52は、空気が流通することで、グリル排気筒70とオーブン排気筒51との双方から排出される燃焼排気による筐体2内の温度上昇を抑えることができる。
【0026】
次に、図6図9を参照し、コンロ101の構造を説明する。コンロ101は、天板103、排気口カバー107A、およびグリル排気筒170の排出部190を除く他の部分の構成を、コンロ1と共通の構成とするビルトインコンロである。よって、コンロバーナ、筐体2、グリル庫10等、コンロ1と共通の構成部分についての説明は省略する。
【0027】
天板103の上面後側には、排気口107が設けられる。排気口107は左右方向に延びる長円形状で、左側は左バーナ4の位置付近まで開口し、右側は右バーナ5の位置付近まで開口する。排気口107は、コンロ1の排気口7よりも左右方向の開口幅が小さい。排気口107の左右方向の開口幅は、グリル排気筒170のグリル排気口195(後述)の左右方向の長さよりも僅かに大きく形成される。また、前後方向における排気口107の形成位置は、コンロ1の排気口7よりも後方にある。排気口107には排気口カバー107Aが嵌め込まれる。排気口カバー107Aは格子状に形成され、排気を導出する。
【0028】
筐体2内において、グリル庫10の後方部には、筒状を呈し、上方斜め後方へ延びるグリル排気筒170が設けられる。グリル排気筒170は、下部を構成する受入部80と、上部を構成する排出部190とを有する。受入部80は、コンロ1の受入部80と同一構成の筒状を呈し、上部が上方斜め後方へ向けて開口する。受入部80の上部開口部分の内側はフレームトラップユニット85の配置部81として機能し、外側は、排出部190を固定する固定部83として機能する。
【0029】
排出部190は、左右方向に長い矩形の筒状を呈する。排出部190の下部開口部分の内側は連結部191である。排出部190は、連結部191の後面を受入部80の係合部84に係合しつつ、連結部191を固定部83に嵌め込んで、前面を固定部83にネジ止めすることで、受入部80と連結する。排出部190は、連結部191においてフレームトラップユニット85を押さえ、受入部80の配置部81にフレームトラップユニット85を保持する。
【0030】
受入部80に連結した排出部190は、上方斜め後方へ向けて前後方向に狭窄しながら延びる。排出部190の上部開口部分であるグリル排気口195は、左右方向に細長く延びる。筐体2に天板103が固定されたとき、グリル排気口195は、排気口107内に配置される。排気口107内において、グリル排気口195は、排気口107の前後方向および左右方向において、略中央に位置する(図7参照)。前述したように、排気口107はコンロ1の排気口7よりも後方に設けられる。故に排出部190は、コンロ1の排出部90と比べて緩やかに、上方斜め後方へ向けて延びる。排出部190は、排出部90よりも前後方向に長く、上下方向および左右方向には同じ長さに形成される。よってコンロ101は、天板103上において排気口107の前方に位置する奥バーナ6から、グリル排気口195を後方へ遠ざけて配置できる。また、グリル庫10からの燃焼排気が排気口107の少なくとも前方寄りの位置に偏って排出されない。よってコンロ101、天板103において排気口107の前側縁部付近の温度上昇を抑制することができる。さらに、オーブン50とは併設しないので、排気口107の形成位置にオーブン排気口55による制約がない。よってコンロ101は、左バーナ4、右バーナ5および奥バーナ6との位置関係に応じた最適な位置に排気口107を形成し、コンロ101全体の見栄えを良くすることができる。
【0031】
このような構成のコンロ101は、キッチンにおいてオーブン50とは併設せず、単独で設置されるビルトインコンロとして生産される。コンロ1の天板3、排気口カバー7A、排出部90の代わりに、天板103、排気口カバー107A、排出部190を用いることでコンロ101を作製でき、他の部品を共通化できる。故に、コンロ1およびコンロ101の生産コストを低減でき、また、製造に必要な部品および補修用性能部品を保有するための管理コストを抑制することができる。
【0032】
以上説明したように、キャビネットにおいてコンロ1の下方側に、例えばオーブン50を設置した場合、オーブン50内で生成される燃焼排気を外部に排出するためのオーブン排気筒51が設けられる。オーブン50の上方にはコンロ1があるため、オーブン排気筒51は、コンロ1の天板3の排気口7を共用して燃焼排気を外部に排出する必要がある。オーブン50との併設が可能なタイプのコンロ1を製造する場合、グリル排気筒70の排出部として、排出部90を用いることができる。排出部90のグリル排気口95が、例えば天板3の排気口7内で前方寄りに位置するように天板3に排気口7を設ければ、オーブン排気筒51の開口部であるオーブン排気口55を、天板3の排気口7内でグリル排気口95の後方側に配置することができる。よって排出部90を用いれば、グリル排気口95とオーブン排気口55を共に天板3の排気口7内に配置することができる。一方、オーブン50とは併設しないタイプのコンロ101を製造する場合、グリル排気筒170の排出部として、排出部90に差し替えて受入部80に連結可能な排出部190を用いることができる。排出部190のグリル排気口195は、排出部90のグリル排気口95の位置よりも後方側に位置する。すなわち、排出部190のグリル排気口195は、天板103の排気口107内で、コンロ1の排出部90のグリル排気口95が配置される場合の位置よりも後方側に配置される。よって、排出部190のグリル排気口195は、天板103の排気口107内で少なくとも前方寄りには位置しないので、天板103上において排気口107の前方に位置する奥バーナ6からグリル排気口195を後方へ遠ざけて配置することができる。これにより、グリル庫10からの燃焼排気が排気口107の少なくとも前方寄りの位置に偏って排出されないので、天板103において排気口107の前側縁部付近の温度上昇を抑制することができる。また、オーブン50との併設が可能なタイプのコンロ1と、オーブン50とは併設しないタイプのコンロ101との双方を提供する場合に、排出部90と排出部190とを相互に差し換えるだけで、他の部品を共通化して製造することができるので、製造コストおよび管理コストの上昇を抑えることができる。
【0033】
オーブン50との併設が可能なタイプのコンロ1を製造する場合、天板3を用いることで、排出部90のグリル排気口95を排気口7内で前方寄りに配置でき、オーブン排気口55をグリル排気口95の後方側に配置し、グリル排気口95と共に排気口7内に配置することができる。一方、オーブン50とは併設しないタイプのコンロ101を製造する場合、天板103を用いることで、排出部190のグリル排気口195を排気口107内で中央寄りに配置することができるので、天板103上において排気口107の前方に位置する奥バーナ6からグリル排気口195を後方へ遠ざけて配置することができる。また、天板103は、排気口107の形成位置にオーブン排気口55による制約がないので、排出部190のグリル排気口195の位置と共に、排気口107の形成位置を、天板103上に露出されるコンロバーナとの位置関係に応じた最適な位置に設定することができる。故にコンロバーナと排気口107との位置関係において、熱的な面だけでなく、見栄えの面においても最適な位置関係を確保できるコンロ101を提供することができる。
【0034】
受入部80の配置部81に配置したフレームトラップユニット85を排出部90,190との間に保持することで、フレームトラップユニット85の脱落を防止することができる。また、排出部90,190を取り外すだけで配置部81に配置しただけのフレームトラップユニット85を受入部80から取り外すことができるので、製造時やメンテナンス時に、フレームトラップユニット85の組み付けや交換等を容易に行うことができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。コンロ1とコンロ101は、天板3を共用してもよい。この場合、グリル排気筒170の排出部190は、天板3の排気口7の前後方向および左右方向において略中央に、グリル排気口195が配置されるようにすればよい。グリル排気筒70は、受入部80と排出部90とが一体に形成された筒状体であってもよい。同様に、グリル排気筒170は、受入部80と排出部190とが一体に形成された筒状体であってもよい。なお、この場合、フレームトラップユニット85は、グリル排気筒70,170の中間部分に、例えば、差し込んで配置され、且つ固定されるようにしてもよい。
【0036】
上記説明において、コンロ1,101が本発明の「ビルトインコンロ」の一例である。
排出部90が本発明の「第一排出部」の一例であり、排出部190が本発明の「第二排出部」の一例である。天板3が本発明の「第一天板」の一例であり、天板103が本発明の「第二天板」の一例である。
【符号の説明】
【0037】
1 コンロ
2 筐体
3,103 天板
7,107 排気口
10 グリル庫
70,170 グリル排気筒
80 受入部
81 配置部
85 フレームトラップユニット
90,190 排出部
95,195 グリル排気口
図1
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