(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】吊金具
(51)【国際特許分類】
B66C 1/34 20060101AFI20230616BHJP
B66C 1/36 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B66C1/34 N
B66C1/36 Z
(21)【出願番号】P 2021215483
(22)【出願日】2021-12-31
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2021076512
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500463923
【氏名又は名称】株式会社田中信鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】田渕 元悟
(72)【発明者】
【氏名】吉原 幸治
(72)【発明者】
【氏名】山下 利春
(72)【発明者】
【氏名】横山 信啓
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-103584(JP,U)
【文献】特開2010-143706(JP,A)
【文献】特開昭50-094662(JP,A)
【文献】米国特許第05074608(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00- 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊りワイヤの下端に荷を係止し、前記吊りワイヤの前記下端を上下動及び水平移動させることで前記荷を所定場所へ移動させる荷役クレーン装置において、前記吊りワイヤの下端に取付けられ、しかも前記荷に固着されたベルト・ロープ又はワイヤを用いた複数の荷ベルトでもって荷を脱着自在に掛止ることができる吊金具であって、
前記荷役用クレーン装置の前記吊りワイヤの下端に取付けられるワイヤフック部の下方に下端を拡巾したストッパを有する鉛直軸を垂設し、前記ワイヤフック部とストッパとの間の前記鉛直軸に中央軸孔で前記鉛直軸を貫通させた吊金具本体を上位に,及び前記鉛直軸に中央で前記鉛直軸を貫通させた左右に長い制動盤を下位に前記鉛直軸に沿って上下動可能に配置し、前記吊金具本体の左右それぞれに前記荷に固着した前記荷ベルトを掛止して前記荷を吊ることができるU字状フック部
を前後方向に延びた水平軸まわりに回転自在に枢支し、しかも前記U字状フック部がその自重でU字状の上方開口が水平方向又は下方斜めに向くように付勢されるものとし、又吊金具本体の中央部に上端部が取付けられ,その中央部及び下端部が貫挿した前記鉛直軸の軸心から遠ざかるように折曲した着地用脚を複数設け、更に前記吊金具本体の上部には前記U字状フック部がそのU字状の上方開口が上向くような角度においてU字状の上方開口を閉鎖する水平部材を左右に張り出すように設け、加えて前記左右の各U字状フック部には前記水平軸まわりに手動操作で回動できる操作レバーを設けた構造とし、
荷を吊り上げ・吊り移動する場合は前記操作レバーを操作して、前記U字状フック部のU字状の上方開口が上向く角度として前記水平部材がその上方開口を閉鎖してU字状フック部に掛止した荷ベルトのフック部からの離脱をなくし、且つこの状態で吊りワイヤの下端を持ち上げることで上記制動盤が上昇して前記U字状フック部の底面を押上げてこの荷ベルトの閉鎖状態を強く保持して荷ベルトのフック部からの脱落が確実にないように吊ることができ、
荷を降す場合は、荷を吊った前記吊りワイヤの下端を降して荷の上面又は床面に向って下降させると、複数の着地用脚が荷上面又は床面に着地して着地用脚で脚立されて吊金具本体が定位置となり、更に吊りワイヤを下降させることで制動盤が下降して吊金具本体と制動盤との間隔が拡がって、U字状フック部はその水平軸まわりに自重のモーメントで閉鎖していた水平部材から離れるように自動的に回動して、フック部のU字状開口が水平方向又は下向き斜め方向に向き、U字状フック部に掛止していた荷ベルトはU字状フック部から外方向に移動して離脱して荷ベルトはフリーとなり荷が降された状態となることを特徴とする、吊金具
【請求項2】
吊りワイヤの下端に荷を係止し、前記吊りワイヤの前記下端を上下動及び水平移動させることで前記荷を所定場所へ移動させる荷役クレーン装置において、前記吊りワイヤの下端に取付けられ、しかも前記荷に固着されたベルト・ロープ又はワイヤを用いた複数の荷ベルトでもって荷を脱着自在に掛止ることができる複数のベルト掛けのU字状のフック部を有する吊金具であって、
前記吊りワイヤの下端に取付けられるワイヤフック部と、同ワイヤフック部から鉛直下方に延伸し且つ下端に拡巾したストッパを有する鉛直軸と、同鉛直軸を左右中央位置に設けた中央軸孔に貫挿させた平ブロック状の吊金具本体と、同吊金具本体と前記鉛直軸の下端のストッパとの間に設けられた前記鉛直軸を左右中央で貫挿させた左右に長い制動盤と、前記吊金具本体の前記中央軸孔から少し離れた左右それぞれの位置に設けた前後方向の水平軸まわりに回動可能に枢支されて前記荷ベルトを掛止できるU字状フック部と、同U字状フック部に取付けられて前記水平軸まわりに回動操作できるようにするための操作レバーと、前記吊金具本体の上部から左右それぞれの方向に水平に張り出して前記U字状の上方開口を閉鎖する水平部材である水平板でその中間にスリットを設けた水平スリット板と、前記中央軸孔に近い吊金具本体に上端部が鉛直に固着されて同上端部下方の中央部と下端部が前記軸孔から遠ざかるように折曲した複数本の着地用脚とを設けた構造を有し、
前記吊りワイヤの下端に荷を吊す場合は、前記吊りワイヤの下端を地面又は吊る荷の上部に向けて下降させて吊金具本体の複数本の着地用脚で地面又は荷上部に着地させて、吊金具本体を地面又は荷上部から所定高さに保持させ、この脚立状態から更に吊りワイヤの下端を下降させて制動盤を下降させて吊金具本体と制動盤との間隔を拡げて、前記U字状フック部をその前記水平軸まわりに自重のモーメントによって自動的に90°程回転させることで、U字状フック部のU字状の上方開口は水平方向又は下向き斜め方向に向きとし、この状態で荷の荷ベルトを外側からU字状フック部へ挿入してU字状フック部に掛止させた後、前記操作レバーを中央軸孔の方向に倒し込むことで左右ある前記U字状フック部のU字状の上方開口が上方向に向くように90°程回転してフック部のU字状の上方開口を形成する外側突出部を前記水平スリット板の前記スリットから上方に突出させる状態とし、その後前記吊りワイヤを少し上昇させることで前記制動盤は上昇する鉛直軸下端の前記ストッパとともに上昇して、前記U字状フック部の底面と当接して上方開口を上向きとした前記U字状フック部をこの状態で押上げて保持できることで、掛止された前記荷ベルトは前記U字状フック部と前記水平スリット板とで閉鎖されて、前記荷ベルトを安全に係止して前記吊りワイヤの下端の上下動・水平移動とともに前記荷が脱落することなく安全に移動させることができ、
更に前記吊りベルトの下端に吊った前記荷を降す場合は、前記吊りベルトの下端を下降させて荷設置地面又は下の荷の上部に前記着地用脚で脚立させた後更に前記吊りワイヤの下端を下降させて前記制動盤を下方に降下させることで吊り金具本体と制動盤とに大きな間隔を発生させてU字状フック部を前記水平軸まわりに回動させてU字状の上方開口を水平または下方斜めに向けるようにすることで、U字状フック部に掛止された荷ベルトはその傾斜で自動的に外れて自動荷降しを可能とすることを特徴とした、吊金具
【請求項3】
前記左右の操作レバーの自由端を中央軸孔の方向に倒した状態で、左右の操作レバーが互に交差して一方の操作レバーが他方の操作レバーの上位になる構造
とし、一方の操作レバーの押下げのみで他方の操作レバーを中央軸孔方向に倒し込んだ状態とし、左右のU字状フック部の上方開口を一方の操作レバーの押下げ操作で左右同時に上方向に向ける状態に保持できるものとした、請求項1又は2記載の吊金具
【請求項4】
前記左右の両操作レバーの自由端を中央軸孔の方向に倒しこんでU字状フック部のU字状の上方開口が水平方向又は下向き斜め方向に向きとする状態に、前記操作レバーの各自由端を同時に押し下げる水平部を上部に有する引っ掛け金具をその下端位置で吊金具本体に枢支するとともに、その下端の枢支軸まわりに前記水平部が前記自由端を押下げがない方向に回転させる錘またはスプリングの付勢力を与える構造の引っ掛け金具を設け、
前記左右の両操作レバーの自由端を中央軸孔の方向に倒す手動操作の後に、前記引っ掛け金具をその下端の枢支軸まわりに手作業で回転させて起立させることでその水平部が前記の操作レバーの各自由端を同時に押し下げるともにその反力によって荷ベルトを封止する角度位置で一時保持でき、作業者の手・指を離しても荷ベルトの封止する状態を一時的に保持でき、その後の吊りワイヤの吊り上げによつて前記制動盤がU字状フック部の底面を押し上げる位置になると左右の前記操作レバーの自由端が前記の係止角度位置から更に下方に押し下げられて前記水平部と前記自由端との抑止の係止接触が失われて、引っ掛け金具は保有する前記付勢力によりその下方の枢支軸まわりに外方向に回転して引っ掛け金具による前記操作レバーの自由端の押下げ係止状態は解消され、代って制動盤が荷ベルトを封止する状態にして荷ベルトの封止する状態は制動盤が吊りワイヤの吊り上げられている間保持するので安全であり、同時に前記引っ掛け金具がフリーになり、荷の吊降し作業において吊金具が降ろされて地面・荷の上部に脚で着地した後更に前記吊りワイヤを下降させると制動盤のみが下降して前記の通りU字状フック部の自重モーメントにより上方開口が水平又は斜め下向きとなる角度まで回転して荷ベルトが脱落して自動的に外すことが可能となる、前記引っ掛け金具により作業者の前記操作レバーの各自由端を同時に押し下げる手・指を離しても荷ベルトの封止する状態を一時的に保持でき引っ掛け金具で一時保持できて安全に荷吊り作業と荷降し作業の荷ベルトの自動的取り外しができることを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載の吊り金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クレーン装置の上下・水平に移動する吊りワイヤの下端に取付けられる吊金具であって、発明の吊金具に重量ある荷(土のう袋・コンテナ荷・その他袋内に重量物を納めた荷)を荷に固着したベルト・ロープ又はワイヤを使用した複数の吊りベルト・荷ベルトでもって掛止して荷を吊り、そしてクレーン装置で上下・水平に移動させて目的の位置に荷を吊り降して荷を着地させることで自動的に吊りベルトの掛止めが吊金具から外れる(解除される)吊金具に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン装置又は巻上機に使用される吊りワイヤの下端に取付けた吊り金具・吊りフック又は吊りリングに、複数本の荷ベルトを用いて荷を吊り下げ、クレーン装置又は巻上機で吊り上げ、上下・水平に移動させた後、吊りワイヤの下端の吊金具・吊りフック・吊りリングを下降して荷を目標の地面・物品・輸送船等に吊り降して、着地後に吊りワイヤの下端・吊りフック・吊りリングと荷ベルトの掛止めを解除して荷の分離・移動を行っていた。吊り金具・吊りフックまたは・吊りリングには荷ベルトを掛止させるとその掛止が外れるのを防止する掛止ロック機構が設けられ、移動中外れないようにし、又荷が降されるとこの吊りフック・吊りリングのロック機構を解除してベルトの掛止めを解放して次の荷の移動を可能としている。これらロック機構のロックとそのロック解除は荷ベルトによる荷掛止現場と荷を吊り降す目的地において手動操作でなされている。特許文献1にその吊り具の一例を示している。
【0003】
そのため、荷が目標位置に降されると作業員がその掛止ロックの解除の手作業と、掛止したベルトの外し作業を行わねばならなかった。そのため荷を降す目標位置に作業員を配置しなくてはならず、荷を現場に降すとワイヤ下端・吊りフック・吊りリングに荷を吊る次の現場に移動させるリターン作業に時間と手間がかかっていた。又、荷を吊り降す作業は荷との接触・荷の急降下のため作業員の人身事故の発生の恐れもあった。
【0004】
例えば、河川の特定の堤体個所に洪水防止又は河川氾濫防止に多数個の土のうを段積み又は多数個列設させる場合、土のう製造現場と土のうを設置する現場に二人の荷吊り・荷降しの作業員を配置し、吊りベルトを吊金具の土のう製造現場での掛止作業と河川の設置する現場での吊金具から土のう袋の吊りベルトの外し作業をせねばならなかった。
よって、従来の吊金具では二名の作業員が必要な上、土のうの吊り降しとその掛止解除作業は重量物であるので危険を伴う作業であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来の吊金具のロック機構のロックセット作業と、現場でのロック解除作業における手間・時間の工数を大巾に低減し、しかも荷降しを無人で行え、荷降し作業効率を大巾に向上し、荷降し作業での人身事故をなくせるようにした吊金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決した本発明の構成は
(1)吊りワイヤの下端に荷を係止し、前記吊りワイヤの前記下端を上下動及び水平移動させることで前記荷を所定場所へ移動させる荷役クレーン装置において、前記吊りワイヤの下端に取付けられ、しかも前記荷に固着されたベルト・ロープ又はワイヤを用いた複数の荷ベルトでもって荷を脱着自在に掛止ることができる吊金具であって、
前記荷役用クレーン装置の前記吊りワイヤの下端に取付けられるワイヤフック部の下方に下端を拡巾したストッパを有する鉛直軸を垂設し、前記ワイヤフック部とストッパとの間の前記鉛直軸に中央軸孔で前記鉛直軸を貫通させた吊金具本体を上位に,及び前記鉛直軸に中央で前記鉛直軸を貫通させた左右に長い制動盤を下位に前記鉛直軸に沿って上下動可能に配置し、前記吊金具本体の左右それぞれに前記荷に固着した前記荷ベルトを掛止して前記荷を吊ることができるU字状フック部を前後方向に延びた水平軸まわりに回転自在に枢支し、しかも前記U字状フック部がその自重でU字状の上方開口が水平方向又は下方斜めに向くように付勢されるものとし、又吊金具本体の中央部に上端部が取付けられ,その中央部及び下端部が貫挿した前記鉛直軸の軸心から遠ざかるように折曲した着地用脚を複数設け、更に前記吊金具本体の上部には前記U字状フック部がそのU字状の上方開口が上向くような角度においてU字状の上方開口を閉鎖する水平部材を左右に張り出すように設け、加えて前記左右の各U字状フック部には前記水平軸まわりに手動操作で回動できる操作レバーを設けた構造とし、
荷を吊り上げ・吊り移動する場合は前記操作レバーを操作して、前記U字状フック部のU字状の上方開口が上向く角度として前記水平部材がその上方開口を閉鎖してU字状フック部に掛止した荷ベルトのフック部からの離脱をなくし、且つこの状態で吊りワイヤの下端を持ち上げることで上記制動盤が上昇して前記U字状フック部の底面を押上げてこの荷ベルトの閉鎖状態を強く保持して荷ベルトのフック部からの脱落が確実にないように吊ることができ、
荷を降す場合は、荷を吊った前記吊りワイヤの下端を降して荷の上面又は床面に向って下降させると、複数の着地用脚が荷上面又は床面に着地して着地用脚で脚立されて吊金具本体が定位置となり、更に吊りワイヤを下降させることで制動盤が下降して吊金具本体と制動盤との間隔が拡がって、U字状フック部はその水平軸まわりに自重のモーメントで閉鎖していた水平部材から離れるように自動的に回動して、フック部のU字状開口が水平方向又は下向き斜め方向に向き、U字状フック部に掛止していた荷ベルトはU字状フック部から外方向に移動して離脱して荷ベルトはフリーとなり荷が降された状態となることを特徴とする、吊金具
(2)吊りワイヤの下端に荷を係止し、前記吊りワイヤの前記下端を上下動及び水平移動させることで前記荷を所定場所へ移動させる荷役クレーン装置において、前記吊りワイヤの下端に取付けられ、しかも前記荷に固着されたベルト・ロープ又はワイヤを用いた複数の荷ベルトでもって荷を脱着自在に掛止ることができる複数のベルト掛けのU字状のフック部を有する吊金具であって、
前記吊りワイヤの下端に取付けられるワイヤフック部と、同ワイヤフック部から鉛直下方に延伸し且つ下端に拡巾したストッパを有する鉛直軸と、同鉛直軸を左右中央位置に設けた中央軸孔に貫挿させた平ブロック状の吊金具本体と、同吊金具本体と前記鉛直軸の下端のストッパとの間に設けられた前記鉛直軸を左右中央で貫挿させた左右に長い制動盤と、前記吊金具本体の前記中央軸孔から少し離れた左右それぞれの位置に設けた前後方向の水平軸まわりに回動可能に枢支されて前記荷ベルトを掛止できるU字状フック部と、同U字状フック部に取付けられて前記水平軸まわりに回動操作できるようにするための操作レバーと、前記吊金具本体の上部から左右それぞれの方向に水平に張り出して前記U字状の上方開口を閉鎖する水平部材である水平板でその中間にスリットを設けた水平スリット板と、前記中央軸孔に近い吊金具本体に上端部が鉛直に固着されて同上端部下方の中央部と下端部が前記軸孔から遠ざかるように折曲した複数本の着地用脚とを設けた構造を有し、
前記吊りワイヤの下端に荷を吊す場合は、前記吊りワイヤの下端を地面又は吊る荷の上部に向けて下降させて吊金具本体の複数本の着地用脚で地面又は荷上部に着地させて、吊金具本体を地面又は荷上部から所定高さに保持させ、この脚立状態から更に吊りワイヤの下端を下降させて制動盤を下降して吊金具本体と制動盤との間隔を拡げて、前記U字状フック部を前記水平軸まわりに自重のモーメントによって自動的に90°程回転させることで、U字状フック部のU字状の上方開口は水平方向又は下向き斜め方向に向きとし、この状態で荷の荷ベルトを外側からU字状フック部へ挿入してU字状フック部に掛止させた後、前記操作レバーを中央軸孔の方向に倒し込むことで左右ある前記U字状フック部のU字状の上方開口が上方向に向くように90°程回転してフック部のU字状の上方開口を形成する外側突出部を前記水平スリット板の前記スリットから上方に突出させる状態とし、その後前記吊りワイヤを少し上昇させることで前記制動盤は上昇する鉛直軸下端の前記ストッパとともに上昇して、前記U字状フック部の底面と当接して上方開口を上向きとした前記U字状フック部をこの状態で押上げて保持できることで、掛止された前記荷ベルトは前記U字状フック部と前記水平スリット板とで閉鎖されて、前記荷ベルトを安全に係止して前記吊りワイヤの下端の上下動・水平移動とともに前記荷が脱落することなく安全に移動させることができ、
更に前記吊りベルトの下端に吊った前記荷を降す場合は、前記吊りベルトの下端を下降させて荷設置地面又は下の荷の上部に前記着地用脚で脚立させた後更に前記吊りワイヤの下端を下降させて前記制動盤を下方に降下させることで吊り金具本体と制動盤とに大きな間隔を発生させてU字状フック部を前記水平軸まわりに回動させてU字状の上方開口を水平または下方斜めに向けるようにすることで、U字状フック部に掛止された荷ベルトはその傾斜で自動的に外れて自動荷降しを可能とすることを特徴とした、吊金具
(3)前記左右の操作レバーの自由端を中央軸孔の方向に倒した状態で、左右の操作レバーが互に交差して一方の操作レバーが他方の操作レバーの上位になる構造とし、一方の操作レバーの押下げのみで他方の操作レバーを中央軸孔方向に倒し込んだ状態とし、左右のU字状フック部の上方開口を一方の操作レバーの押下げ操作で左右同時に上方向に向ける状態に保持できるものとした、前記(1)又は(2)記載の吊金具
(4)前記左右の両操作レバーの自由端を中央軸孔の方向に倒しこんでU字状フック部のU字状の上方開口が水平方向又は下向き斜め方向に向きとする状態に、前記操作レバーの各自由端を同時に押し下げる水平部を上部に有する引っ掛け金具をその下端位置で吊金具本体に枢支するとともに、その下端の枢支軸まわりに前記水平部が前記自由端を押下げがない方向に回転させる錘またはスプリングの付勢力を与える構造の引っ掛け金具を設け、
前記左右の両操作レバーの自由端を中央軸孔の方向に倒す手動操作の後に、前記引っ掛け金具をその下端の枢支軸まわりに手作業で回転させて起立させることでその水平部が前記の操作レバーの各自由端を同時に押し下げるともにその反力によって荷ベルトを封止する角度位置で一時保持でき、作業者の手・指を離しても荷ベルトの封止する状態を一時的に保持でき、その後の吊りワイヤの吊り上げによつて前記制動盤がU字状フック部の底面を押し上げる位置になると左右の前記操作レバーの自由端が前記の係止角度位置から更に下方に押し下げられて前記水平部と前記自由端との抑止の係止接触が失われて、引っ掛け金具は保有する前記付勢力によりその下方の枢支軸まわりに外方向に回転して引っ掛け金具による前記操作レバーの自由端の押下げ係止状態は解消され、代って制動盤が荷ベルトを封止する状態にして荷ベルトの封止する状態は制動盤が吊りワイヤの吊り上げられている間保持するので安全であり、同時に前記引っ掛け金具がフリーになり、荷の吊降し作業において吊金具が降ろされて地面・荷の上部に脚で着地した後更に前記吊りワイヤを下降させると制動盤のみが下降して前記の通りU字状フック部の自重モーメントにより上方開口が水平又は斜め下向きとなる角度まで回転して荷ベルトが脱落して自動的に外すことが可能となる、前記引っ掛け金具により作業者の前記操作レバーの各自由端を同時に押し下げる手・指を離しても荷ベルトの封止する状態を一時的に保持でき引っ掛け金具で一時保持できて安全に荷吊り作業と荷降し作業の荷ベルトの自動的取り外しができることを特徴とする、(1)ないし(3)いずれかに記載の吊り金具
にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クレーン装置の吊りワイヤの下端に上部にあるワイヤフック部を介して吊金具は取付けられる。荷を吊り下げない吊金具のみを取付けた状態は
図4,6の状態にある。即ち、吊りワイヤの下端の吊上げ状態はこのワイヤフック部とその下方の鉛直軸とこれを介してその下端の拡巾部のストッパを持ち上げ、更にストッパは制動盤を持ち上げている。一方、この状態では鉛直軸と上下動自在な吊金具本体の左右のU字状フック部はその水平軸まわりに回転して、フック部の側面が下位の制動盤の上面に当って左右のU字状フック部の上方開口は対称的に水平方向に向いた
図4の状態である(
図6参照)。
【0009】
(荷吊り作業/吊金具を下降させて脚で着地させる工程)
この吊金具本体のU字状フック部に荷ベルトを用いて掛止する荷吊り作業は、まず吊りワイヤの下端に上記の吊金具のみ吊し、地面又は床面に置かれた荷の荷上部又は地面に向って下降させる。
これによって、吊金具が下降して荷の上部に複数の着地用脚の脚下端が着地し、着地によって吊金具の吊金具本体は複数本の着地用脚によって着地した荷上部から所定高さに支持されて静止する(
図4参照)。尚、吊金具の脚による着地場所は荷のある地面(底面)に近くでも可能である。
【0010】
吊金具の吊金具本体が着地用脚によって所定高さ位置に支持された後、更に吊りワイヤの下端を下降させると、吊金具本体とこれに固着していないワイヤフック部及び鉛直軸・制動盤は前記脚で支持された吊金具本体に対して相対的に下降する。これによって、制動盤が自重によって鉛直軸のストッパに当るまで下降すると、吊金具本体に取付けられた荷ベルト掛けのU字状フック部と制動盤の上面との間に広目の空間(間隔)が発生し、吊金具本体の水平軸まわりに枢支された左右あるU字状フック部はその水平軸まわりに自重のモーメントによりそのU字状フック部の上方開口がより下斜めに向くまで回転する。この状態では、操作レバーは左右外方向に倒れるように上向きに突出している(
図4,6参照)。
【0011】
(荷ベルトのフック部掛け作業)
この状態で、土のう袋(荷)の近くにいる作業員は操作レバーを中央軸孔の方向に近くなるように手作業で45°程動かしてU字状フック部の上方開口が水平から外上方を向いた45°程となるように水平軸まわりに回転させて、荷の荷ベルトの折り返しの上端を閉鎖する水平部材の水平スリット板の下方から挿入してやや上面となったU字状フック部に掛止し(
図8参照)、その後左右の操作レバーを中央軸孔の方向にもっと水平になる方向に倒して上方開口が上向くまで回転させ(
図7,8,9参照)、水平部材の水平スリット板でその上方開口を閉鎖する(
図5,9,10参照)。実施例では、短い操作レバーを先に倒して、その後長い操作レバーを短い操作レバーの上に交差させて、片手で左右両方のU字状フック部を45°程上向かせる。その後、他方の片手で荷ベルトを挿入して掛止する。
【0012】
(荷ベルトの閉鎖作業)
左右の荷ベルトを左右のU字状フック部に掛けた後、手作業で左右の操作レバーを吊金具本体の中央軸孔の水平方向に強く倒せば、U字状フック部のU字状の上方開口が上方向に向けられ且つU字状を形成する外側の突出部の上部を閉鎖水平板である水平スリット板のスリットを貫通して上方に飛び出る状態にする。これによって、フック部に掛止された荷ベルトはこのフック部と水平板とによって閉鎖され、荷ベルトはフック部から外れることがないように掛止される(
図5,9,10参照)。尚、閉鎖水平板は実施例の水平スリット板に限るものではない。
【0013】
(荷ベルトの閉鎖ロックと荷の移動作業)
この荷ベルトの閉鎖後に吊りワイヤを上昇させることによって制動盤がU字状フック部の上方開口を上方に向ける状態でU字状フック部の底面と当接し、持ち上げられた制動盤によってU字状フック部を含む吊金具本体は吊りワイヤに引上げられ力が作用する間、U字状開口が上向く閉鎖状態を保持(ロック)できる(
図5,10参照)。
よって、荷ベルトのU字状フック部からの離脱・外れがない状態でクレーン装置を操作して吊りワイヤの上下動・水平移動に応じて荷ベルトで荷を吊り下がった状態で安全に上下・水平移動できることとなる。
【0014】
(荷降し工程,荷の別場所の設置位置へのタッチアンドゴーの変更作業)
このように、吊りワイヤの下端の上下・水平移動とともに荷ベルトが吊金具に吊された荷は上下・水平移動する。そして、荷を設置する現場に到達すれば吊りワイヤをゆっくりと下降させる。
すると、荷が先に所定地面・床面に着地し、次に吊金具本体の着地用脚が荷の上面に接触する(この着地の吊金具はまだ
図5の状態である)。この状態で着地して再び吊りワイヤを上昇させれば、荷ベルトで荷を吊った
図5の状態のまま上下動・水平移動でき、荷をタッチアンドゴーで別の荷降し場所へ移動できる。荷の設置位置の変更が自在な作業となる。
【0015】
(荷ベルトの自動外し工程)
この脚が接地した
図5の状態で、更に吊りワイヤの下端を下降させると吊金具本体は着地用脚で所定高さに静止されるが、鉛直軸・制動盤は更に下降し、吊金具本体と制動盤との間に更に広い空間が発生し、U字状フック部はその自重による回転モーメントが働いてその水平軸まわりに回動して、U字状フック部の上方開口は斜下方向に向いてこの状態で荷ベルトは斜め下方向に向いたU字状フック部から自動的に外れることとなる。
【0016】
(荷ベルトのフック部からの強制外し工程)
荷ベルトが外れにくい場合は、更に吊りワイヤを下降させればU字状開口は更に大きく下向きの斜下方向になって、荷ベルトは確実に外せるようになる。
【0017】
このように、本発明の吊金具を使用すれば荷ベルトで吊った荷は目的の地面に降した後、更に吊りワイヤを下降させることで、無人で荷ベルトは吊金具から自動的に外れて荷ベルト外しの手作業は不要になる。荷ベルトが外れれば、吊りワイヤを次の荷の吊す場所へそのまま移動できる。
【0018】
よって、本発明の吊金具を使用すれば、荷を降す場所に作業員がいなくても、吊りワイヤの操作のみで無人で安全に設置できる。又、荷上部に脚で着地した状態で吊りワイヤで上昇させて他の場所へ移動させることができ、荷の設置位置を自在に変更でき、荷の設置作業を容易且つ迅速にできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】
図4は実施例の荷ベルト掛けフック部が制動盤でU字状フック部の上方開口を水平又は下斜め方向にしている状態の説明図である。
【
図5】
図5は実施例の荷ベルト掛けフック部のU字状フック部の上方開口が上方に向っている荷ベルトを掛止して閉鎖している状態を示す説明図である。
【
図6】
図6は実施例の試作品の吊金具で荷を掛止するため吊金具を吊下げしている状態の説明図である。
【
図7】
図7は実施例の試作品の吊金具を荷の上に降して左側の短い操作レバーを押下げて左側の荷ベルトを掛止する状態を示す説明図である。
【
図8】
図8は実施例の試作品の吊金具本体を着地用脚で土のう上部で脚立させた状態で右手で短い操作レバー及び長い操作レバーを倒して左手で荷ベルトをU字状フック部に掛ける作業を示す説明図である。
【
図9】
図9は実施例の試作品の吊金具本体を着地用脚で脚立させて荷ベルトをU字状フック部に掛けて上方開口を上方にして荷ベルトを閉鎖する状態を示す説明図である。
【
図10】
図10は実施例の試作品の荷ベルト外しのために吊金具本体が土のう上部に脚立した状態を示す説明図である。
【
図11】
図11は実施例の試作品における荷降した後荷ベルトを外すためにU字状フック部の上方開口を斜め下方に向けて荷ベルトを自動的に外す状態を示す説明図である。
【
図12】
図12は実施例の試作品の左右の操作レバーを中央軸孔方向に大きく倒すことで互に交差させてU字状の上方開口を上向きにして荷ベルトを閉鎖状態とする交差状態を示す説明図である。
【
図13】
図13は実施例の土のう袋の河川堤体現場での設置作業の説明図である。
【
図14】
図14は引っ掛け金具を取り付けた他の実施例の引っ掛け金具の取り付け構造を示す説明図である。
【
図15】
図15は他の実施例の引っ掛け金具が左右操作レバーの自由を押下げて係止保持している状態を示す斜視図である。
【
図17】
図17は他の実施例の吊りワイヤが上昇して制動盤がU字状フック部の底面に接触して上方に持ち上げた位置での左右操作レバーが引っ掛け金具の重りによって外方向下降して引っ掛け金具との係止が外れた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の吊金具は荷の大きさ・重量に応じて適切な金属で所要の寸法にする。
吊金具には強度が必要であるので、鋳造・鍛造で製造することが好ましい。
【実施例】
【0021】
本発明を
図1~13に示す実施例でもって具体的に説明する。
【0022】
図1~13に示す実施例の吊金具Gは、河川の堤防の決壊防止に使用する土砂を1.5トン程収容した土のう袋(荷)Dを堤防の決壊の恐れがある堤体の作業現場近くに荷役クレーン装置Kを備えたクレーン車KCを停車させた後、トラックTの荷台に多数積載した土のう袋Dを堤体の土のう袋設置個所に吊り下げ降す作業に荷役クレーン装置Kの吊りワイヤK1の下端K11に本実施例の吊金具Gを使用して、土のう袋Dの設置作業を迅速且つ安全にする例である。特に、吊降し現場が水が貯った場所又は沼地状態の場合でも無人吊り降しができるので、本吊金具はきわめて有用である。
【0023】
(実施例の符号の説明)
図中、KはトラックTで現場に運んだトラック荷台上の多くの重量ある荷である1.5トン程の重量の土のう袋Dを河川の提体の河川水が残って水溜りとなった補修部に吊り降して設置する作業を行うクレーン車KCに備えた荷役クレーン装置、K1は同荷役クレーン装置の吊りワイヤ、K11は同吊りワイヤの下端、K2は吊りワイヤK1のウインチ装置、K3は荷役クレーン装置Kの吊りワイヤK1を支持する旋回・傾動・伸縮自在なマストである。
Gは本発明の実施例の吊金具、1は同吊金具のブロック状吊金具本体、10は同吊金具本体の左右中央に設けた中央軸孔、12は吊金具Gを吊りワイヤK1の下端K11に取付けるリング状の吊金具Gのワイヤフック部、13は同ワイヤフック部の下方に垂設された鉛直軸、131は同鉛直軸の下端に設けた拡巾したストッパである。尚、
図6~12に示す写真代用図面の試作品ではワイヤフック部材は一端を開放したフックとしている。
【0024】
112,113は前記吊金具本体1の左右それぞれに取付けられた荷ベルトである土のう袋Dの吊りベルトDBを掛止するU字状フック部、114,115は同U字状フック部を回転自在に枢支する水平軸、116,117は同水平軸114,115を軸支する吊金具本体1の軸受アーム、1161,1171はU字状フック部112,113のU字状を形成するU字状フック部の外側突出部、1162,1172はU字状フック部112,113のU字状を形成する底面、1163,1173はU字状フック部112,113のU字状を形成する側面、14は吊金具本体1の上面に取付けたU字状上方開口を閉鎖する水平部材である水平スリット板、140は同水平スリット板を吊金具本体1の上面に取付ける取付ボルト、141は水平スリット板14の中央に設けたスリット、5は鉛直軸13を貫挿した吊金具本体1の下方に配置した左右に長い制動盤、50は同制動盤の上面、51は制動盤5の中央に設けた鉛直軸13を貫挿する軸孔、6はU字状フック部112,113に取付けられたこれを回転操作するための操作レバー、60は同操作レバーをU字状フック部112,113に取付ける操作レバー取付部、7は吊金具本体1の中央軸孔10の近くに上端部70を固定した着地用脚、71は中央部及び下端部を中央軸孔から遠ざかるように折曲した折曲部である。
【0025】
Dは荷で土のう袋、DBは同土のう袋の上部に左右一対取付けられた吊りベルト(荷ベルト)である。
【0026】
(吊りベルト(荷ベルト)DBの掛止作業)
図4,6の状態で且つまだ荷(土のう袋)Dを吊していない状態で吊金具Gをワイヤフック部12に取付けた吊りワイヤK1の下端K11を地上に置かれた又はトラック床面に置かれた荷の上部に向けて下降させる。下降して複数ある着地用脚7が土のう袋Dの上部に着地すると、吊金具本体1はこの脚7によって土のう袋Dの上部の所定高さ位置で静止して脚立する(
図4参照)。この脚立後、更に吊りワイヤK1を下降させると、これに取付けたワイヤフック部12,鉛直軸13,制動盤5も自重で下降する。これによって、脚立した吊金具本体1と制動盤5との間隔は拡がる。これによって、吊金具本体1の水平軸114,115に枢支されたU字状フック部112,113は自重によるモーメントによって水平軸114,115まわりに更に回転し、そのU字状の上方開口は下斜め方向に向く角度となる。この斜めの方向の角度は吊りワイヤK1の下降量で制動盤5の高低位置に応じて角度調整できる。荷ベルトを掛止する場合は、上方開口をやや上向きの45°程にするのが荷ベルトを掛止し易いので、操作レバーを中央軸孔10の方向に傾ける角度を調整することで45°程とする。
【0027】
この状態で左右一対ある荷ベルトである土のう袋Dの左右ある吊りベルトDBのベルト上端を左右あるU字状フック部112,113に挿入して掛ける。その後、操作レバー6を中央軸孔10方向に水平30°程度まで傾ける。これによって、U字状フック部112,113はその水平軸114,115まわりに回転してその上方開口は上向きの
図5,9,10,12の状態になる。この状態では、U字状開口を形成するフック部の外側突出部1161,1171は水平スリット板14のスリット141に挿入され、水平スリット板14より上方に突出する。U字状フック部112,113に掛けられた土のう袋Dの吊りベルトDBはU字状フック部112,113と水平スリット板14によって閉じ込められて閉鎖された空間にあって、土のう袋Dの吊りベルトDBはU字状フック部112,113に掛止されている。そして、吊りワイヤK1の下端K11を上昇させて、制動盤5の上面50がU字状フック部112,113の底面1162,1172と吊金具本体1の底面と接触してこれを同時に押し上げて、U字状フック部112,113はこの閉鎖状態を保持(ロック)される(
図5参照)。これによって、吊りベルトDBが上下・水平移動しても吊金具本体1は土のう袋Dの吊りベルトDBを確実に掛止して外れることがないようにでき、吊り上下動・水平移動を可能としている。これで吊りワイヤK1を上昇させれば、荷Dは荷ベルトDBによって吊金具Gに吊って所要場所に移動できる。
【0028】
(荷降し作業)
現場にはクレーン車KCのクレーン装置Kと土のう袋Dを荷台に多数積載したトラックTを河川の道路に配置し、クレーン装置Kの吊りワイヤK1の下端K11に吊金具Gを取付け、同吊金具Gにトラック荷台の土のう袋Dを吊り、クレーン装置KのマストK3の回転と伸縮と傾動によりその土のう袋Dを堤体の補修の設置位置上方まで移動させて吊りワイヤK1の下端K11をゆっくりと下降させると、まず土のう袋Dが先に下降して水に濡れた現場地面に着地する。更に、下降させると吊金具本体1に取付けられた複数ある着地用脚7が着地した土のう袋Dの上部に着地する。すると、吊金具本体1はこの複数の脚7で土のう袋Dの上面から所定高さに保持される(
図5の状態)。この状態で更に吊りワイヤK1の下端K11を下降すると制動盤5はU字状フック部112,113の底面と接触していた位置から下降していき、静止した吊金具本体1と制動盤5との間隔が拡がり、吊金具本体1に枢支されているU字状フック部112,113はその自重によるモーメントによって水平軸114,115まわりに回転してU字状開口の開口は下斜め向きになり(
図4より更にフック部が下斜めに向くようにでき)、U字状フック部112,113に掛止していた吊りベルトDBは外方向に移動して吊りベルトDBはU字状フック部112,113から外れる。このように、荷降し作業は荷設置する現場に作業員がいなくとも、吊りワイヤK1の下端K11の上下動操作のみで荷降しが完了する。
【0029】
( 他の他の実施例の説明)
このように、本発明の吊金具を使用すれば荷を所定の現場に無人でもって吊り降しが可能となり、しかも荷ベルトの外し作業も無人で自動的にできるので安全・迅速に行える。特に、水位がある現場に土のう袋Dを無人で設置できる。
更に、
図14~17に示す例は、
図1~13に示す前記実施例の吊金具本体1の下部に下端で枢支された引っ掛け金具15を取り付けることで、左右の操作レバー6を同時に且つ一時的に水平から少し立ち上がった角度位置で押し下げるように保持できることで作業性を良くし、且つ安全性を高めるように改良された請求項4に係る本発明の他の例である。
引っ掛け金具15は
図14~17に示すように複数ある着地用脚7の上端部を吊金具本体1に取り付ける複数のL字状取付アーム118の間の空間に縦長の板状の引っ掛け金具15を配置して、その下端の枢支軸152で吊金具本体1の下部に枢支するように取り付けた実施例である。
【0030】
この引っ掛け金具15の上端には水平部151があって、その水平部151の下辺に左右の操作レバー6の各自由端を接触させて同操作レバー6の水平から少し立ち上がった角度位置で引っ掛け金具15が抑えてU字状フック部112,113の上方開口を上向きに近い状態にして水平部材14で荷ベルトDBを閉鎖できる状態に保持して、その脱落を防止するようにする。
【0031】
しかも吊りワイヤK1が更に持ち上げると制動盤5が上昇して前記U字状フック部112,113の底部1162,1172と接触して強く持ち上げられることで、引っ掛け金具15によって保持された操作レバー6の自由端は係止されていた角度位置からさらに水平方向に近くに押下げられ、荷ベルトは制動盤によって荷ベルトを外れないようにする。このように制動盤はU字状フック部112,113の上方開口をより上向きにして荷ベルトDBをより確実に閉鎖して安全に荷Dの上下と水平移動を可能とする。同時に引っ掛け金具15の水平部151の下方から操作レバー6の自由端はさらに下降して、引っ掛け金具15の水平部と操作レバー6との接触が失われ、引っ掛け金具15は下端の重り153などによる付勢力によってその枢支軸152まわりに外方向に回転して係止は自動的に失われフリーとなる。これによって荷吊り作業で、引っ掛け金具15の水平部151で操作レバー6の自由端を押下げ係止した時点から制動盤5が上昇して前記U字状フック部112,113の底部1162,1172と接触して強く持ち上げて荷ベルトを完全に封止することで封止の手段の交代継続がなされて、作業者は引っ掛け金具15によって操作レバー6の自由端を係止した後は、吊り現場位置から遠く離れた安全な場所に待機して、荷役クレーン装置Kの操作のみで安全に荷の吊り上げ、及び上下・左右・走行しても安全に移動作業ができる。しかも、荷降し時では引っ掛け金具15はフリーになつているので働かないので前記のとうり着地で荷ベルトは自動的に外すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は荷役クレーン装置の制御のみで荷降しが迅速且つ安全にできる。現場作業ばかりか工場内・港・交通運送の荷の荷積・荷降し作業にも使用できる。
【符号の説明】
【0033】
K 荷役クレーン
KC クレーン車
K1 荷役クレーン装置の吊りワイヤ
K11 吊りワイヤの下端
K2 ウインチ装置
K3 吊りワイヤを取付けるマスト
G 実施例の吊金具
1 吊金具本体
10 中央軸孔
112,113 U字状フック部
114,115 水平軸
116,117 U字状フック部の軸受アーム
1161,1171 U字状フック部の外側突出部
1162,1172 U字状フック部の底面
1163,1173 U字状フック部の側面
12 ワイヤフック部
13 鉛直軸
131 ストッパ
14 水平スリット板
140 水平スリット板の取付ボルト
141 水平スリット板の中間のスリット
5 制動盤
50 制動盤の上面
51 軸孔
6 操作レバー
60 操作レバー取付部
7 着地用脚
70 上端部
71 折曲部
D 土のう袋(荷)
DB 土のう袋の吊りベルト(荷ベルト)
T トラック
15 引っ掛け金具
151 水平部