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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】浴室カウンター収納構造
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20230616BHJP
   E04H 1/12 20060101ALN20230616BHJP
【FI】
A47K4/00
E04H1/12 301
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018163344
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020032106
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉原 新一朗
(72)【発明者】
【氏名】西澤 研一
(72)【発明者】
【氏名】澤▲崎▼ 美紀子
(72)【発明者】
【氏名】井口 隆磨
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-113778(JP,A)
【文献】特開2002-065495(JP,A)
【文献】特開平11-089735(JP,A)
【文献】米国意匠特許発明第00597773(US,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 4/00
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能な載置面を備え、浴室の壁面に対して着脱可能に構成された浴室カウンターと、
前記壁面に設けられ、前記載置面が上方に向いた使用状態で前記浴室カウンターを支持する支持ブラケットと、
前記浴室カウンターを前記載置面が前記使用状態とは異なる向きに配置された収納状態で保持する収納ブラケットと、
を備え、
前記使用状態では、前記支持ブラケットの上方に前記浴室カウンターが配置され、
前記収納状態では、前記浴室カウンターが、前記収納ブラケットに対して着脱可能に嵌合されて保持され、
前記収納ブラケットは、前記支持ブラケットを兼ねることを特徴とする浴室カウンター収納構造。
【請求項2】
前記浴室カウンターは、前記収納状態では前記載置面が前記壁面に沿って配置された状態で収納される
請求項1に記載の浴室カウンター収納構造。
【請求項3】
前記浴室カウンターは、前記収納状態において前記浴室カウンターの前記壁面に対する位置が保持される被支持部を備える
請求項1または請求項2に記載の浴室カウンター収納構造。
【請求項4】
前記被支持部は、前記収納状態において前記壁面に対する前記浴室カウンターの上下方向の位置を保持可能に構成されている
請求項3に記載の浴室カウンター収納構造。
【請求項5】
前記被支持部は、前記収納状態において前記壁面に対する前記浴室カウンターの奥行方向の位置を保持可能に構成されている
請求項3または請求項4に記載の浴室カウンター収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に着脱可能に取り付けられる浴室カウンター収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内の壁面には、石鹸、洗面器等、浴室で使用する物品を載置するカウンターが取り付けられている。例えば、シャワーや蛇口等の吐水装置の下方にカウンターが設けられ、カウンター上に石鹸、シャンプー、洗面器等を載置して使用する場合がある。
【0003】
このような浴室カウンターとして、浴室カウンター及びその周辺の清掃を行いやすくするために浴室の壁面から着脱可能なカウンターが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1のカウンターは、壁面への着脱が容易でありかつ軽量であるため、容易に清掃が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-51119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、浴室カウンターは浴室で使用する物品を載置するために便利である一方、例えば、幼児と大人が一緒に入浴する際に限られた洗い場スペースを広く使用したい場合や、浴室使用者がシャワーを浴びる場合に、洗い場をより広く利用したいというニーズがある。一方で、着脱可能なカウンターにおいて、壁面から取り外した浴室カウンターの置き場所については考慮されておらず、前述したニーズに応えられていなかった。また、浴室カウンターを壁部から外した場合、浴室カウンターを浴室の床等に置くことが想定されるが、浴室カウンターは縁部が曲線形状を有する場合が多く、安定的に置いておくことが難しい。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、着脱可能な浴室カウンターを取り外した場合に、使用者の動線を妨げない位置で保持可能な浴室カウンター収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る浴室カウンター収納構造は、物品を載置可能な載置面を備え、浴室の壁面に対して着脱可能に構成された浴室カウンターと、前記壁面に設けられ、前記載置面が上方に向いた使用状態で前記浴室カウンターを支持する支持ブラケットと、前記浴室カウンターを前記載置面が前記使用状態とは異なる向きに配置された収納状態で保持する収納ブラケットと、を備え、前記使用状態では、前記支持ブラケットの上方に前記浴室カウンターが配置され、前記収納状態では、前記浴室カウンターが、前記収納ブラケットに対して着脱可能に嵌合されて保持され、前記収納ブラケットは、前記支持ブラケットを兼ねることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、収納ブラケットにより浴室カウンターを収納状態で保持可能であるため、着脱可能な浴室カウンターを取り外した場合に、使用者の動線を妨げない位置で浴室カウンターを保持できる。したがって、例えば、浴室カウンターの下方の床面や壁面を清掃する際、浴室カウンターを壁面から取り外した後、浴室カウンターを収納ブラケットにより安定保持可能となる。また、浴室カウンターを使用しない場合に、浴室カウンターを収納ブラケットにより収納状態で保持できる。
【0009】
本発明に係る浴室カウンター収納構造では、前記浴室カウンターは、前記収納状態では前記載置面が前記壁面に沿って配置された状態で収納されてもよい。
【0010】
この発明によれば、収納状態では、浴室カウンターの載置面が浴室の壁面に沿って配置されるため、浴室カウンターの壁面からの突出量を抑えて収納できる。したがって、浴室カウンターを使用しない収納状態時、例えば、掃除時の浴室カウンターが使用者の動線を妨げることがない。
【0012】
この発明によれば、浴室カウンターが収納ブラケットに対して嵌合されて保持可能であるため、収納状態では、浴室カウンターを収納ブラケットで安定支持できる。また、浴室カウンターを収納ブラケットと嵌合させて保持するため、収納状態の浴室カウンターが動くことを防止できる。その結果、浴室カウンターあるいは収納ブラケットの取付位置周辺に傷がつくことを防止できる。また、浴室カウンターが収納ブラケットに対して着脱可能に嵌合されるため、ビス等の固定具が不要となる。その結果、浴室カウンターを収納ブラケットに容易着脱可能となる。
【0013】
本発明に係る浴室カウンター収納構造では、前記浴室カウンターは、前記収納状態において前記浴室カウンターが前記壁面に対する位置が保持される被支持部を備えてもよい。
【0014】
この発明によれば、浴室カウンターの収納状態では、浴室カウンターに被支持部を備えるため、収納状態において浴室カウンターの壁面に対する位置が保持される。その結果、収納状態の浴室カウンターを安定的に支持可能となる。
【0015】
本発明に係る浴室カウンター収納構造では、前記被支持部は、前記収納状態において前記壁面に対する前記浴室カウンターの上下方向の位置を保持可能に構成されていてもよい。
【0016】
この発明によれば、収納状態では、被支持部により、壁面に対する浴室カウンターの上下方向の位置が保持され、収納状態の浴室カウンターが安定的に支持可能となる。
【0017】
本発明に係る浴室カウンター収納構造では、前記被支持部は、前記収納状態において前記壁面に対する前記浴室カウンターの奥行方向の位置を保持可能に構成されていてもよい。
【0018】
この発明によれば、収納状態では、被支持部により、壁面に対する浴室カウンターの上下方向の位置が保持可能である。
【0019】
この発明によれば、収納状態では、被支持部により、壁面に対する浴室カウンターの奥行方向の位置が保持され、収納状態の浴室カウンターが安定的に支持可能となる。
【0021】
この発明によれば、収納ブラケットが支持ブラケットを兼ねるため、浴室カウンターを使用状態および収納状態で保持するブラケットの数を少なくすることができる。その結果、浴室内に取り付けるブラケットの数を抑えられるため、部品点数低減及び施工工数の低減によりコストを抑えられる。また、浴室カウンターが使用状態あるいは収納状態にあるときに、使用されないブラケットが外観上露出することがないため、浴室内の外観意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、脱可能な浴室カウンターを取り外した場合に、使用者の動線を妨げない位置で保持可能な浴室カウンター収納構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造を備える浴室ユニットの浴室カウンターの使用状態を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造を備える浴室ユニットの浴室カウンターの収納状態を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態の浴室ユニット内における浴室カウンターの収納状態の側面図である。
図4】本発明の一実施形態の浴室カウンターをブラケットに取り付ける態様を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態の浴室ユニット内におけるブラケットの側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造の浴室カウンターの斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造の浴室カウンターの裏面側の平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造の浴室カウンターをブラケットに取り付ける態様を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態の浴室ユニット内における浴室カウンターの使用状態の縦断面図である。
図10】本発明の一実施形態の浴室ユニット内における浴室カウンターの収納状態の縦断面図である。
図11】本発明の一実施形態の浴室ユニット内における浴室カウンター収納構造の第一変形例を示す斜視図である。
図12】本発明の一実施形態の浴室ユニット内における浴室カウンター収納構造の第二変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造について説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る浴室カウンター収納構造1を備える浴室ユニット100の斜視図である。図1は、浴室カウンター2の使用状態を示す図であり、図2は浴室カウンター2の収納状態を示す図である。図3は、浴室ユニット100内における浴室カウンター2の収納状態を示す側面図である。本実施形態に係る浴室カウンター収納構造1は、浴室空間BRの第一壁部103に対して着脱可能に構成された浴室カウンター2を、取り外して収納する際の収納構造である。以下では、浴室カウンター収納構造を用いた浴室ユニット100を例に説明する。なお、浴室カウンター収納構造1は浴室ユニット100に限らず、在来工法により施工された浴室においても適用可能である。
【0025】
浴室ユニット100は、建物の躯体内にフレームとパネルとを用いて、床、壁、天井及び浴槽等を組み立てて設置される。浴室ユニット100内に形成される浴室空間BR(浴室)には外枠形状が平面視で略長方形の浴槽101と、平面視略矩形であり、浴槽101と壁との間の床部を構成する洗い場(床面)102と、が設けられている。浴槽101の洗い場102との境界部分となる端部には、浴槽101の側面を覆うエプロン105が設けられ、洗い場102と浴槽101とは、エプロン105を介して接続されている。浴室空間BRは、四方に立設された複数の壁部により形成されている。
【0026】
本実施形態では、浴室ユニット100の複数の壁部のうち、シャワー器具109、水栓110、シャワーホルダ107が設けられた壁を第一壁部103と称する。また、浴槽101のエプロン105の表面は、第一壁部103と直交して配置されている。
【0027】
以下の説明において、第一壁部103の壁面に沿った水平方向を幅方向、幅方向に直交する水平方向を奥行方向とする。奥行方向のうち第一壁部103に近接する方向を奥行方向の奥側とし、第一壁部103と離間する方向を奥行方向の手前側とする。第一壁部103の幅方向のうち、使用者が第一壁部103に向かって立つ場合の左右をそれぞれ右側、左側と称する。本実施形態では、幅方向の左側に浴槽101が配置され、右側に洗い場102が配置されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、浴室カウンター2(以下、「カウンター」と記載する。)は、第一壁部103に取り付けられた後述するブラケット3(支持ブラケット、収納ブラケット)に対して着脱可能に構成されている。本実施形態では、第一壁部103の水栓110の下方、かつ、洗い場102の床面から上方に離間した位置に、カウンター2が取り付けられる。
【0029】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造1は、第一壁部103に対して着脱可能なカウンター2をブラケット3から取り外した際に、カウンター2を収納状態で保持する構造である。図1に示すように、天板41を上方に向けて配置してブラケット3に支持された状態をカウンター2の使用状態と称する。使用状態では、天板41は上方(天井側)を向いて第一壁部103からに略水平方向に突出して配置される。一方、図2に示すように、カウンター2の天板41が水平方向に向いて配置されて保持される状態を収納状態と称する。
【0030】
浴室カウンター収納構造1は、カウンター2と、ブラケット3(支持ブラケット、収納ブラケット)とを備え、カウンター2がブラケット3に着脱可能に保持される。
【0031】
カウンター2の構成について、使用状態の配置に基づき説明する。図10は、浴室ユニット100内におけるカウンター2の収納状態の縦断面図である。カウンター2は、物品を載置可能な天板(載置面)41を備える平板状の部材である。カウンター2は、使用状態において上側に配置される天板部材4と、下側に配置される底板部材5と、を有し、天板部材4と底板部材5とが接合されて構成されている(図7及び図10参照)。天板部材4および底板部材5は、それぞれ樹脂材料により形成されている。
【0032】
ブラケット3は、第一壁部103に取り付けられている。ブラケット3は、不図示の金属部材により第一壁部103に固定され、樹脂製のカバー部材により金属部材が覆われている。図3から図5に示すように、ブラケット3は、ベース体31と、アーム部32とを備えている。ベース体31およびアーム部32はカバー部材に一体に形成されている。ベース体31は、幅方向に長尺な部材であり、金属部材を覆い、裏面311が第一壁部103に当接している。図5に示すように、表面部312は、上部が上下方向に延びる平面形状であり、下部は下端側に向かって次第に奥行方向の厚みが薄くなるようにわずかに傾斜する傾斜面が形成されている。ベース体31の表面部312の幅方向両端部は、ベース体31より幅方向外側に僅かに突出する突出縁315,315を有する。
【0033】
アーム部32は、平面視略U字形状を有し、表面部312から手前側に向かって略水平方向に突出して設けられている。アーム部32は、幅方向に離間する2つの基部321,321がベース体31の表面部312から手前側に突出し、各基部321,321の手前側の端部間にバー322が架設されている。バー322は、表面部312と略平行に延設されている。図4に示すように、バー322の手前側の端面は長楕円形状を有する。バー322には、化粧パネル323が取り付けられている(図7参照)。基部321,321の幅方向外側の各端部には、幅方向に突出する突起34,34が形成されている。
【0034】
アーム部32と、ベース体31の表面部312との間には、係合孔33が形成されている。係合孔33は上下方向に貫通している。
【0035】
係合孔33の上方のベース体31の表面部312には、ベース体31の上面313よりも上方に突出する突出壁314が形成されている。突出壁314は、ベース体31の手前側に表面部312に沿って上方に延出するように突出している。突出壁314の左右上端部は幅方向外側に向かって下側に傾斜している。
【0036】
図5に示すように、ブラケット3は、水栓110の第一壁部103からの突出長よりも突出長が短い。
【0037】
カウンター2は、ブラケット3を介して浴室空間BRの第一壁部103に対して着脱可能に構成されている。図6は、浴室カウンター2の底板部材5側から見た斜視図である。図7は、カウンター2の裏面側の平面図である。図8は、カウンター2をブラケット3に取り付ける態様を示す斜視図である。図9は、浴室ユニット100内におけるカウンター2の使用状態の縦断面図である。図6に示すように、カウンター2は、厚さ方向から見た平面視における形状が略長方形であり、4つの角部は円弧形状を有する。天板部材4と底板部材5とは外周縁部同士が接合されている。カウンター2の外周縁部には、厚さ方向(上下方向)に厚みを有する外周側壁23が形成されている。外周側壁23は、略平面状の壁部である。
【0038】
使用状態では、カウンター2は、2つの長辺端部21,22のうちの一方の長辺端部側でブラケット3に係合され、第一壁部103から手前側に向かって突出している。2つの長辺端部のうち、使用状態において手前側に位置する長辺端部を第一長辺端部21と称し、被係合部52が設けられている側の長辺端部を第二長辺端部22と称する。
【0039】
カウンター2には、厚さ方向に貫通する排水口24が形成されている。排水口24は、第一長辺端部21の近傍であって、第一長辺端部21よりも奥側に形成され、第一長辺端部21と略平行に延びる長孔である。排水口24の幅方向の両端部は、円弧形状を有する。天板部材4及び底板部材5に、排水口24の形状に倣う貫通孔440,540がそれぞれ形成されている。各貫通孔440,540の周縁には、カウンター2の厚さ方向に立設されたリブ441,541が形成されている(図9参照)。天板部材4と底板部材5とが接合されると、リブ441,541同士が嵌合し、天板部材4と底板部材5との間に形成されるカウンター2の内部空間への浸水が防止されている。
【0040】
図1から図3に示すように、天板部材4の天板41は上面(載置面)が扁平に形成されている。天板41は、カウンター2の外周縁部から排水口24に向かって僅かに下降傾斜している(図9参照)。すなわち、天板41は、排水口24の縁部の高さが最も低く、カウンター2の外周縁部から排水口24に向かって緩やかに下降傾斜して形成されている。ただし、天板41の傾斜角度は、天板41上の水が排水口24に向かって流れ、物品を載置した際に、物品が自重で傾斜に沿って移動しない程度の僅かな傾斜である。
【0041】
図3に示すように、底板51は、幅方向(長辺方向)の中央部において、第一長辺端部21から第二長辺端部22に向かって下方に傾斜した傾斜面を備えている。
【0042】
図6に示すように、底板51の第二長辺端部22側の領域に被係合部52を備える。被係合部52は、第二長辺端部22の幅方向略中央部、かつ第二長辺端部22側の外周側壁23より下方に形成されている。底板51の被係合部52は、内側凹部55と、外側凹部56と、突条部53と、挿入穴54とを備える。
【0043】
内側凹部55は、底板51の幅方向略中央部に略矩形に形成された凹部である。内側凹部55の幅方向の長さは、排水口24の幅方向の長さと略等しい。また、内側凹部55の左右の側壁551,551間の距離は、ブラケット3のアーム部32の幅方向の寸法よりも僅かに大きい。図6に示すように、各側壁551,551には、係止凸部57,57が設けられている。係止凸部57,57は、それぞれ幅方向の中央側に向かって突出し、かつ奥行方向に延びる長尺な突起である。
【0044】
内側凹部55の第二長辺端部22側の端部に、突条部53が形成されている。突条部53は、略直方体形状であり、内側凹部55の底部553から下方に突出して形成されている。突条部53は、ブラケット3の係合孔33の平面視内周形状と相似する形状を有する。
【0045】
外側凹部56は、内側凹部55と第二長辺端部22との間に形成された凹部である。外側凹部56は、内側凹部55と連続して形成され、幅方向に長尺な略矩形の凹部である。外側凹部56は、内側凹部55よりも幅方向の開口寸法が長い。外側凹部56の幅方向の寸法は、ブラケット3のベース体31の表面部312の幅方向の寸法よりも僅かに長い。
【0046】
挿入穴54は、外側凹部56の底部561の幅方向中央部に、上方に向かって窪んで形成されている。挿入穴54は、突条部53と隣接する位置に形成されている。挿入穴54は、ブラケット3の突出壁314の形状と相似する形状を有する。
【0047】
外側凹部56の幅方向の左右の側壁562,562には、幅方向外側に窪むスリット563,563がそれぞれ形成されている。
【0048】
次に、カウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。カウンター2は、使用状態と収納状態でそれぞれブラケット3に係合可能に構成されている。まず、使用状態におけるカウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。
【0049】
図8は、使用状態におけるカウンター2をブラケット3へ取り付ける態様を示す斜視図である。図8に示すように、カウンター2の天板41を上方に向けて、底板51の被係合部52をブラケット3に上方から近付け、突条部53を係合孔33に挿入し、挿入穴54に突出壁314を挿入する。
【0050】
突条部53はアーム部32の係合孔33の平面視形状と相似し、内側凹部55の側壁551,551間の距離はブラケット3のアーム部32の幅方向の寸法よりも僅かに大きいため、図9に示すように、アーム部32と被係合部52とが係合する。また、内側凹部55の手前側壁部552(図6参照)と突条部53とにより、アーム部32のバー322が挟持される。さらに、突条部53の奥側壁531がブラケット3の表面部312に当接する。この結果、カウンター2の上方からの力に対して十分な耐荷重を備えて、カウンター2を使用状態で支持できる。
【0051】
アーム部32と被係合部52との係合時、内側凹部55の各側壁551,551に設けられた係止凸部57,57がアーム部32の基部321,321の突起34,34を乗り越え、係止凸部57,57が突起34,34に係止される。さらに、外側凹部56のスリット563,563にベース体31の表面部312の突出縁315,315が挿入される。
【0052】
使用状態におけるカウンター2の支持構造が、上述の構成を備える結果、カウンター2はブラケット3の上方から近付けて、被係合部52とアーム部32とを係合させる簡易な構成で、カウンター2をブラケット3に着脱可能に係合させることができる。つまり、ネジ等の固定部材を用いることなく、カウンター2をブラケット3に係合できる。また、カウンター2の使用中に上方向へ不慮の力が加わった場合でも、カウンター2がブラケット3から外れ難い。
【0053】
一方、カウンター2をブラケット3から取り外す場合は、使用者がカウンター2を把持しながら上方に持ち上げると、係止凸部57,57が突起34,34を乗り越えて被係合部52とブラケット3との係合が解除可能となり、カウンター2をブラケット3から取り外すことができる。
【0054】
一般に、浴室カウンターは、天板41上に洗面器(不図示)を載置して、水栓110やシャワー器具109からの吐水を溜める場合等の使用を想定している。本実施形態においても、水栓110の下方にカウンター2が使用状態で取り付けられると、第一壁部103からカウンター2の第一長辺端部21までの水平方向の寸法L1(第一寸法、図9参照)が水栓110の第一壁部103からの水平方向の突出寸法L3(図10参照)よりも長くなるように、カウンター2の奥行方向の寸法が設定されている。
【0055】
次に、収納状態におけるカウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。収納状態では、天板41の向きを使用状態と異なる向きに配置してブラケット3に保持する。図4に示すように、ブラケット3から取り外したカウンター2の天板41を水平方向に向け、底板51側をブラケット3に近付ける。このとき、第一長辺端部21が上側となるように配置し、排水口24をブラケット3のアーム部32に近付ける。排水口24の平面視開口形状は、アーム部32の正面視形状と相似し、排水口24の開口寸法がアーム部32の正面視形状よりもわずかに大きい。したがって、底板51側をアーム部32に対して奥行方向に近付けると、排水口24内にアーム部32が挿入可能となり、アーム部32が排水口24に係止される。この結果、カウンター2は、アーム部32に係止された状態で下垂して支持され、カウンター2がブラケット3に収納状態で保持される。なお、図10に示すように、収納状態では、突条部53(被支持部)および底板51の第二長辺端部22側の端部領域59(被支持部、図6図7参照)が第一壁部103に当接するように構成すると、カウンター2が上下方向の2か所で第一壁部103に支持されるため、カウンター2が収納状態で安定的に保持される。
【0056】
図10に示すように、収納状態では、カウンター2の天板41とブラケット3のアーム部32とが上下方向に略面一な状態で配置される。この結果、収納状態において、洗い場102におけるカウンター2の占有スペースを抑えることができ、洗い場102を広く使用できる。
【0057】
収納状態では、カウンター2の第一壁部103から天板41までの水平方向の寸法L2(第二寸法、図10参照)は、水栓110の第一壁部103からの水平方向の突出寸法L3よりも短い。したがって、収納状態時のカウンター2が使用状態時よりも第一壁部103からの水平方向の突出寸法を抑えることができる。その結果、着脱可能なカウンター2を使用しない場合に、使用者の動線を妨げない位置でカウンター2を保持できる。その結果、清掃時に、清掃者がカウンター2を支持することなく、第一壁部103に対して保持されたカウンター2を清掃できる。例えば、清掃者は一方の手でシャワーヘッドを保持し、他方の手でスポンジ等の清掃具を持ってカウンター2を容易に清掃できる。
【0058】
図2図3及び図10に示すように、収納状態では、カウンター2の被係合部52がブラケット3に係合された状態で、カウンター2の外周側壁23の全周(天板41の周縁全周)が第一壁部103に及び床面から離間した位置でブラケット3に保持されている。その結果、収納状態のカウンター2の全周を清掃できる。ブラケット3により浴室及びカウンター2の清掃時にカウンター2を安定的に支持できる。さらに、収納状態では、カウンター2を浴室の床面から上方に離間した位置で保持できる。その結果、着脱可能なカウンター2の清掃時にさらに清掃しやすく、清掃者の負担を軽減できる。
【0059】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、ブラケット3によりカウンター2を収納状態で保持可能であるため、着脱可能なカウンター2をブラケット3から取り外した場合に、使用者の動線を妨げない位置でカウンター2を保持できる。したがって、例えば、カウンター2の下方の床面や壁面を清掃する際、カウンター2を第一壁部103から取り外した後、カウンター2をブラケット3により安定保持可能となる。また、カウンター2を使用しない場合に、カウンター2をブラケット3により収納状態で保持できる。
【0060】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、収納状態では、カウンター2の天板41が第一壁部103に沿って配置されるため、カウンター2の第一壁部103からの突出量を抑えて収納できる。したがって、カウンター2を使用しない収納状態時、例えば、掃除時、カウンター2が使用者の動線を妨げることがない。
【0061】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、カウンター2がブラケット3に対して嵌合されて保持可能であるため、収納状態では、カウンター2をブラケット3で安定支持できる。また、カウンター2をブラケット3と嵌合させて保持するため、収納状態のカウンター2が動くことを防止できる。その結果、カウンター2あるいはブラケットの取付位置周辺の第一壁部103に傷がつくことを防止できる。また、カウンター2がブラケット3に対して着脱可能に嵌合されるため、ビス等の固定具が不要となる。その結果、カウンター2をブラケット3に容易に着脱可能となる。
【0062】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、カウンター2の収納状態では、カウンター2が、排水口24(被支持部)と底板51の第二長辺端部22側の突条部53(被支持部)および端部領域59(被支持部)とで支持される。すなわち、排水口24がブラケット3に係合されることにより、収納状態におけるカウンター2の上下方向の荷重がブラケット3に支持される。したがって、収納状態では、排水口24により、第一壁部103対するカウンター2の上下方向の位置が保持され、収納状態のカウンター2が安定的に支持可能となる。また、突条部53および端部領域59が第一壁部103に当接することにより、収納状態におけるカウンター2の奥行方向の荷重が第一壁部103に支持される。したがって、突条部53および端部領域59により、第一壁部103に対するカウンター2の上下方向の位置が保持可能である。
【0063】
本実施形態では、カウンター2の上下方向に離間する2カ所の被支持部にてカウンター2が支持される。その結果、収納状態のカウンター2をさらに安定的に支持可能となる。なお、被支持部を複数個所設ける必要は無い。例えば、収納状態でカウンター2がブラケット3に係止された際、ブラケット3に排水口24を係合させる構成によるカウンター2の上下方向の荷重の支持のみ、あるいは、端部領域59が第一壁部103に当接する構成によるカウンター2の奥行方向の荷重の支持のみが可能な構成であってもよい。さらに、一ヶ所でカウンター2の上下方向及び奥行方向の荷重を支持する構成であってもよい。また、本実施形態では、第二長辺端部22側の突条部53および端部領域59を第一壁部103に当接させてカウンター2を支持させる例を示したが、カウンター2の第二長辺端部22側を第一壁部103に当接させる場合の位置はこれに限定されない。例えば、突条部53または端部領域59のいずれか一方でカウンター2を支持してもよい。
【0064】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、ブラケット3が収納ブラケットと支持ブラケットを兼ねる。このため、カウンター2を使用状態および収納状態で保持するブラケットの数を少なくすることができる。その結果、浴室空間BR内に取り付けるブラケットの数を抑えられるため、部品点数低減及び施工工数の低減によりコストを抑えられる。また、カウンター2が使用状態あるいは収納状態にあるときに、使用されないブラケットが外観上露出することがないため、浴室空間BR内の外観意匠性を高めることができる。
【0065】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、使用状態では水栓の下方に設けられるカウンター2を使用しない場合は、収納状態でカウンター2をブラケット3に安定的に保持できる。したがって、例えば、カウンター2の下方の床面や第一壁部103を清掃する際、浴室カウンターを収納ブラケットにより収納状態で保持できる。そのため、浴室の床面清掃が容易となる。
【0066】
浴室カウンター収納構造1は上記実施形態の構成に限定されない。図11に、浴室ユニット100内における浴室カウンター収納構造の第一変形例を示す。なお、以下の説明において、上記実施形態と同様の構成には実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。上記実施形態では、ブラケット3を、カウンター2の使用状態の支持ブラケット及び収納状態の収納ブラケットとして兼用する例を示した。しかし、支持ブラケットと収納ブラケットとは別部材としてもよい。
【0067】
図11に示す第一変形例では、浴槽101の縁部1011に、上記ブラケット3と同様の構成のブラケットを取り付け、収納ブラケット3Aとして使用している。図11に示すように、上述の実施形態のブラケット3(支持ブラケット)に加えて、カウンター2の収納用の収納ブラケットを別途設けてもよい。また、図11に示す変形例のように、カウンター2を水栓110等の下方以外の場所に保持してもよい。
【0068】
このように、水栓110の下方以外の場所でカウンター2を収納状態で保持すると、シャワー器具の下方にカウンター2を収納状態で保持する場合に比べて、水栓110等の下方のスペースをより広く使用できる。例えば、洗い場102に椅子等を設置せず、使用者が起立状態でシャワー器具109を使用する場合に、使用者の動線を妨げず、使用者が快適に使用可能な浴室ユニットを提供できる。また、使用状態用のブラケット3を清掃する際に、カウンター2を浴槽101のエプロン105に沿って収納状態で保持できる。その結果、清掃時の使用者の負担を軽減できる。
【0069】
図12に、浴室ユニット100内における浴室カウンター収納構造の第二変形例を示す。図12に示す第二変形例では、洗い場102の床面にブラケット3Bを設けた例である。例えば、第一壁部103の右側に設けられた第二壁部104の近傍の床面に、床面から上方に突出する2つの収納ブラケット3B,3Bを設け、カウンター2を第二壁部104に沿って配置し、収納ブラケット3B,3Bと第二壁部104とにより収納状態で保持する構成であってもよい。
【0070】
なお、カウンター2は着脱可能であるため、使用者が着脱操作を円滑に行えるようにするため、軽量に形成されている。そのため、収納ブラケット3Bは一つであっても支持可能である。
【0071】
また、図12に示すように、カウンター2を長辺端部21,22が上下方向に延びるようにカウンター2を配置して収納状態で保持してもよい。
【0072】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 カウンター収納構造
2 カウンター(浴室カウンター)
3 ブラケット(支持ブラケット、収納ブラケット)
3A、3B 収納ブラケット
24 排水口(被支持部)
41 天板(載置面)
53 突条部(被支持部)
59 端部領域(被支持部)
図1
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