(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】流体制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 11/08 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
G05D11/08
(21)【出願番号】P 2018528201
(86)(22)【出願日】2016-08-17
(86)【国際出願番号】 US2016047441
(87)【国際公開番号】W WO2017031257
(87)【国際公開日】2017-02-23
【審査請求日】2019-08-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-02
(32)【優先日】2015-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518057228
【氏名又は名称】アイコール・システムズ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・リャン・バロス
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ・パトリック・マリガン
(72)【発明者】
【氏名】クリス・メルセル
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ペン
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】見目 省二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-234348(JP,A)
【文献】特開2001-259400(JP,A)
【文献】特開2014-78632(JP,A)
【文献】特開2004-91917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0093741(US,A1)
【文献】特開平6-252122(JP,A)
【文献】特開2000-42527(JP,A)
【文献】特開平1-174932(JP,A)
【文献】特開平7-145909(JP,A)
【文献】特開2000-303179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス室用のガス送達システムであって、
異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源と、
ガス流量を制御する少なくとも2つの調整可能制御弁であり、前記複数のガス源のうちのそれぞれのガス源からの流路内に配されるようにそれぞれが適合された少なくとも2つの調整可能制御弁と、
前記調整可能制御弁の下流の流路であり、この流路を通して、前記複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達され、前記流路は、前記調整可能制御弁と前記プロセス室との間に配され、かつ真空源に流体連結されたサイド・ストリームを備える、流路と、
前記サイド・ストリームに配された第1の弁であり、前記調整可能制御弁および前記プロセス室から前記真空源を分離するように構成された、第1の弁と、
前記サイド・ストリームおよび前記真空源に流体連結されたバイパス管路であり、前記第1の弁と前記真空源との間に配され、かつ前記サイド・
ストリームと前記真空源との間に配された第2の弁を含む、バイパス管路と、
前記バイパス管路と前記真空源の間の前記サイド・ストリーム内に配された濃度センサであり、前記ガス混合物中の少なくとも1つのガス種の濃度を決定するように構成された、濃度センサと、
前記ガス混合物中のそれぞれのガス種の決定された濃度に従って少なくとも1つのガス種の流量を制御するように前記調整可能
制御弁を調整するコントローラと
を備える、ガス送達システム。
【請求項2】
流量センサまたは圧力センサをさらに備え、前記コントローラがさらに、前記プロセス室に送達される前記ガス混合物の圧力を制御するように前記少なくとも2つの調整可能
制御弁を調整する、請求項1に記載のガス送達システム。
【請求項3】
プロセス室用のガス送達システムであって、
異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源と、
ガス流量を制御する少なくとも2つの調整可能制御弁であり、前記複数のガス源のうちのそれぞれのガス源からの流路内に配されるようにそれぞれが適合された少なくとも2つの調整可能制御弁と、
前記調整可能制御弁の下流の流路であり、この流路を通して、前記複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達され、前記流路は、前記調整可能制御弁と前記プロセス室との間に配され
、かつ真空源に流体連結されたサイド・ストリームを備える、流路と、
前記流路の前記サイド・ストリーム内に配された濃度センサであり、前記ガス混合物中の少なくとも1つのガス種の濃度を決定する濃度センサと、
前記サイド・ストリームに配された第1の弁であり、前記調整可能制御弁および前記プロセス室から前記濃度センサを分離するように構成される、第1の弁と、
前記サイド・ストリーム
および前記真空源に流体連結されたバイパス管路であり、前記第1の弁と前記濃度センサとの間に配された、バイパス管路と、
前記ガス混合物中のそれぞれのガス種の決定された濃度に従って少なくとも1つのガス種の流量を制御するように前記調整可能
制御弁を調整するコントローラと
を備え、
前記濃度センサからの出力が、第1のフィードバック・ループに対する制御パラメータとして使用され、前記第1のフィードバック・ループが、前記ガス混合物中の前記ガス種のうちの少なくとも1つのガス種の濃度を変化させるように、前記2つの調整可能
制御弁のうちの少なくとも1つの調整可能
制御弁を個別に調整することができる、
ガス送達システム。
【請求項4】
流量センサおよび/または圧力センサをさらに備え、前記流量センサおよび/または前記圧力センサからの出力が、第2のフィードバック・ループに対する制御パラメータとして使用され、前記第2のフィードバック・ループが、前記ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度を変化させることなく、前記プロセス室に送達される前記ガス混合物の圧力を増大または低減させるように、前記少なくとも2つの調整可能
制御弁を一様に調整する、請求項3に記載のガス送達システム。
【請求項5】
前記第1のフィードバック・ループに対する前記制御パラメータが、前記ガス混合物の測定された流量または成分ガスの測定された流量を含まない、請求項3
または4に記載のガス送達システム。
【請求項6】
前記第1のフィードバック・ループに対する前記制御パラメータが、測定されたガス圧を含まない、請求項3
または4に記載のガス送達システム。
【請求項7】
前記ガス源からのガスの流量を制御するために使用される
前記第1のフィードバック・ループに対する制御パラメータとして、前記ガス混合物の任意の成分ガスの測定された流量が使用されない、請求項
3から
6のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項8】
前記ガス源からのガスの流量を制御するために使用される
前記第1のフィードバック・ループに対する制御パラメータとして、測定された流量が使用されない、請求項
3から
7のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項9】
前記ガス源からのガスの流量を制御するために使用される
前記第1のフィードバック・ループに対する制御パラメータとして、測定された質量流量が使用されない、請求項
3から
8のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項10】
前記
第1のフィードバック・ループの中で使用され
るセンサ出力が、前記ガス混合物中の成分ガスの濃度を測定する1つまたは複数の濃度センサからの出力
のみである、請求項
3から
9のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項11】
前記プロセス室内の前記ガス混合物の圧力を決定するマノメータをさらに備える、請求項1から
10のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項12】
前記コントローラがさらに、前記プロセス室内の前記ガス混合物の圧力に従って前記調整可能
制御弁を調整する、請求項
11に記載のガス送達システム。
【請求項13】
前記コントローラがさらに、前記プロセス室内の前記ガス混合物の圧力に従って前記調整可能
制御弁を調整し、この調整が、前記ガス混合物の総流量を増大または低減させるように全ての調整可能
制御弁を一様に調整することによってなされる、請求項
11に記載のガス送達システム。
【請求項14】
前記濃度センサが、超音波センサおよび/または光学センサを含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項15】
前記濃度センサが、フーリエ変換赤外分光法および/または近赤外分光法を使用した光学センサを含む、請求項1から1
4のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項16】
前記濃度センサが質量分析計を含む、請求項1から1
5のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項17】
少なくとも1つのガス種または流体種が、危険なガスまたは流体を含む、請求項1から1
6のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項18】
少なくとも1つのガス種または流体種が、有毒のガスもしくは流体、腐食性のガスもしくは流体、または可燃性のガスもしくは流体を含む、請求項1から1
7のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項19】
前記プロセス室が半導体製造のために使用される、請求項1から1
8のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項20】
前記ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度が、質量流量センサまたは圧力センサを使用することなく制御される、請求項1から1
9のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項21】
前記ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度が、質量流量コントローラを使用することなく制御される、請求項1から
20のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項22】
前記ガス源からのガスの流量を制御するための制御変量として、測定されたガス濃度が使用される、請求項1から2
1のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項23】
前記調整可能
制御弁の制御が、前記ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度に基づくフィードバック
・ループの部分である、請求項1から2
2のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項24】
前記調整可能
制御弁を調整するために使用され
るセンサ出力が、前記ガス混合物中の成分ガスの濃度を測定する濃度センサからの出力、および前記プロセス室内のガス圧を測定する圧力センサからの出力
のみである、請求項1から2
3のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項25】
前記ガス混合物中のそれぞれのガスの百分率を制御するための制御変量として、ガス混合物中のそれぞれのガスの測定されたガス濃度が使用される、請求項1から2
4のいずれか一項に記載のガス送達システム。
【請求項26】
ガス混合物中の1種または数種のガスの濃度を制御する方法であって、
異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源を提供すること、
前記複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達されるように、前記複数のガス源からの前記ガスを流路に沿って流すことであって、前記流路は、前記複数のガス源と前記プロセス室との間に配され
、かつ、真空源に流体連結されたサイド・ストリームを備えることと、
前記流路の前記サイド・ストリーム内に配されて、前記ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度を決定する濃度センサを提供することであって、第1の弁は、前記サイド・ストリームに配され、かつ前記複数のガス源および前記プロセス室から前記真空源を分離するように構成され、バイパス管路は、前記サイド・ストリーム
および前記真空源に流体連結され、かつ前記第1の弁と前記濃度センサの間に配された、濃度センサを提供すること、
前記バイパス管路を通して前記ガス混合物を排出することと、
前記ガス混合物中の少なくとも1つのガス種の濃度を前記センサを使用して決定すること、および
前記ガス混合物中のそれぞれのガス種の決定された濃度に従ってそれぞれの異なるガス種の流量を制御するように、前記流路内の調整可能制御弁を調整すること
を含む、方法。
【請求項27】
前記複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達されるように、前記複数のガス源からの前記ガスを流路に沿って流すことが、計算された設定点を使用して、システム動作中に使用される流量よりも実質的に大きな流量で前記ガス混合物を前記プロセス室に送達することを含む、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達されるように、前記複数のガス源からの前記ガスを流路に沿って流すことが、計算された設定点を使用して、所望の成分ガス濃度と整合したそれぞれの調整可能
制御弁の最大流量の50%超、例えば60%超、75%超、90%超または99%超の流量で、前記ガス混合物を前記プロセス室に送達することを含む、請求項
26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている2015年8月17日に出願されたPhilip Ryan Barros他の「FLUID CONTROL SYSTEM」という名称の米国特許仮出願第62/206,267号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は一般に、流体混合物の濃度および圧力を制御する方法およびシステムに関し、より詳細には、流体混合物の成分の濃度を直接に制御する流体送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
流体送達の精確な制御は多くの産業において重要である。例えば、半導体の製造では、ドライ・エッチングまたは付着などのプロセス用のガスを精確に制御することが必要である。半導体製造における他の多くのプロセスでも、制御された条件下で2種類以上のガスを精確に反応させる必要がある。これらのタイプの処理ステップに関して、処理室に導入される流体の量(通常は圧力として表現される)および組成(比率としてまたは濃度に換算して表現される)は極めて重要なパラメータである。流体混合物の成分の圧力または濃度の変動は、これらのタイプの製造プロセスに深刻な影響を与えうる。半導体産業では半導体デバイスの小型化が継続しているため、半導体製造プロセスで使用されるガスの正確な流量制御に対する要求はよりいっそう差し迫ったものとなっている。製造プロセス時間をより短くすること、ならびにガスの量および流量をより精確にすることが求められている。
【0004】
最新の半導体製造に関して、流体流量の測定および調節は通常、1つまたは複数の質量流量コントローラ(MFC)を使用することによって達成されている。従来の質量流量コントローラ(MFC)は一般に主要な4つの部分、すなわち流量計、制御弁、弁アクチュエータおよびコントローラを含む。流量計は、流路内の流体の質量流量を測定し、その流量を示す電気信号を生成する。流量計は通常、質量流量センサおよびバイパスを含んでもよい。質量流量センサは、バイパスに流体連結されたセンサ導管内の流体の質量流量を測定する。センサ導管内の流体の質量流量は、バイパス内を流れている流体の質量流量に関係し、これらの2つの質量流量の和が、質量流量コントローラによって制御された流路を流れる総流量である。動作時、この流量は、電圧信号としてMFCに供給される。この信号は増幅および処理され、流量を修正する比例制御弁に供給される。この目的のため、MFCは、閉ループ制御システムを含む。この閉ループ制御システムは、質量流量センサからの信号を所定の値と比較し、この比較に基づいて比例制御弁を、所望の流れを達成するように調整する。
【0005】
残念なことに、現行技術の質量流量コントローラには多くの問題がある。MFCは、特定の流体種および特定の流量レベルに対して較正および調整されなければならず、そのような較正および調整は非常に時間がかかり、労働集約的である。典型的なMFCはさらに、信号ドリフト、代用の較正流体および動作条件を使用する必要性、限定されたダイナミック・レンジなどの因子に起因する固有の不正確さを欠点として有する。多数のMFCを使用して多数のガス成分を制御すると、個々の誤差が加算されるため、システムの不正確さがより大きくなる。
【0006】
多くの用途で、MFCの使用にまつわる別の重大な問題は、MFCデバイスによって決定されている変量であるシステム・ガス導管を流れる質量流量が、実際には、制御する必要があるプロセス変量ではないことである。多くの用途では、重要なプロセス変量が、混合物の成分ガスの濃度およびプロセス室内のガス混合物の全体圧力である。ガス濃度は、MFCを使用して間接的に制御されるだけであり、ガス圧は、絞り弁などの別個の機構によって制御しなければならない。重要なこれらのプロセス変量のこの間接制御は、正確さおよび効率を低下させ、したがって流体送達システムの全体性能を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、流体送達システム内の流体混合物の濃度および圧力を制御する改良されたシステムおよび方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明の実施形態が、プロセス室用のガス送達システムであって、異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源と、ガス流量を制御する少なくとも2つの調整可能な制御弁であり、異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源のうちのそれぞれのガス源からの流路内に配されるようにそれぞれが適合された少なくとも2つの調整可能制御弁と、調整可能制御弁の下流の流路であり、この流路を通して、複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達される流路と、流路内に配された濃度センサであり、ガス混合物中の少なくとも1つのガス種の濃度を決定する濃度センサと、ガス混合物中のそれぞれのガス種の決定された濃度に従って少なくとも1つのガス種の流量を制御するように調整可能弁を調整するコントローラとを備えるガス送達システムを提供する。
【0009】
別の態様では、本発明の実施形態が、ガス混合物中の1種または数種のガスの濃度を制御する方法であって、異なるガス種のガスをそれぞれのガス源が供給する複数のガス源を提供すること、複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達されるように、複数のガス源からのガスを流路に沿って流すこと、流路内に配された濃度センサであり、ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度を決定する濃度センサを提供すること、ガス混合物中の少なくとも1つのガス種の濃度をセンサを使用して決定すること、およびガス混合物中のそれぞれのガス種の決定された濃度に従ってそれぞれの異なるガス種の流量を制御するように、流路内の調整可能制御弁を調整することを含む方法を含むことができる。
【0010】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなりおおまかにかつ非限定的に概説した。以下では、本発明の追加の特徴および追加の利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するためのベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、そのような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0011】
添付図面を参照することによって、当業者には、本開示がより十分に理解され得、本開示の多数の特徴および利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】典型的な先行技術の流体送達システムを示す図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による流体送達システムの略図である。
【
図3】本発明の例示的な別の実施形態による流体送達システムの略図である。
【
図4】さまざまな入口圧力における、同じ弁および同じガスの典型的な流量対電圧特性曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を一定の尺度で描くことは意図されていない。これらの図面では、さまざまな図に示された同一の構成要素またはほぼ同一の構成要素がそれぞれ同様の符号によって表されている。分かりやすくする目的上、全ての図面の全ての構成要素に符号が付されているわけではない。
【0014】
本発明の実施形態は、例えばプロセス室に送達される流体混合物の成分の濃度を直接に制御する改良された流体送達システムおよび方法を対象としている。特定の実施形態では、プロセス室内の流体混合物の圧力も直接に制御される。今日の半導体製造において使用される事実上全ての流体送達システムは、質量流量コントローラを利用して濃度および圧力を間接的に制御している。本発明の実施形態によれば、流体混合物中の全て成分の濃度を測定することができる濃度センサを使用して、成分ガスの流量を変化させる目的に使用する信号を、閉ループ・フィードバック・システムの下で生成する。いくつかの実施形態ではさらに、1つまたは複数の圧力センサの信号出力を使用して、成分ガスの流量を変化させる目的に使用する信号を、閉ループ・フィードバック・システムの下で生成する。これらの2つの極めて重要なプロセス変量を直接に制御することによって、本発明の実施形態は、先行技術にはない測定の正確さにおける重大な利点を提供し、リアルタイム・プロセス制御を可能にし、システム・レベル応答時間を短縮し、設定面積がかなり縮小されたシステムを可能にする。
【0015】
以下の説明および図面は例示が目的であり、それらの説明および図面を、限定を意図したものと解釈すべきではない。徹底的な理解を提供するため、具体的な多数の詳細が記載される。しかしながら、ある場合には、説明を不明瞭にすることを避けるために、公知の詳細または従来の詳細が記載されない。本明細書で用語「流体」が使用されるとき、「流体」は、液体、気体およびスラリを含む、流動可能な任意の状態の任意のタイプの物質でありうる。単純かつ明瞭にするために、本明細書の説明の多くは、ガスおよびガス混合物を対象とするが、本明細書に記載された実施形態は、任意のタイプの流体送達システムに適用可能であり、ガス送達システムだけに限定されないことを理解すべきである。
【0016】
図1は、典型的な先行技術の流体送達システム100を示す。複数のガス供給源101が、質量(または体積)流量に関して、ガス質量流量コントローラ102によって、経時的に制御される。これらのMFCからのガスは混合マニホルド104に移動することができ、その結果生じたガス混合物が、ガス導管105を通ってプロセス室115に流れる。それらのそれぞれのガスの流量が、フィードバック制御ループの制御下で、可変流量弁103によって制御される。制御電子装置120は、それぞれのセンサを通る流量を示す信号をそれぞれのMFCから受け取る。所望のガス流量の設定点とそれぞれのMFCによって感知された実際の質量流量を示すフィードバック信号との差に基づいて制御信号が生成される。それぞれの成分ガスの質量流量を変化させるように、成分ガスの流体流路内(通常は質量流量センサの下流)に配置された可変流量弁103を制御する(例えば開いたりまたは閉じたりする)ことができる。通常は、ガス混合物全体の流量を制御するため、混合マニホルドの下流に、少なくとも1つの追加のMFCが配置される。
【0017】
重要なのは、それぞれの成分ガスの結合された質量流量が結合して、所望の濃度を有するガス混合物を形成するように、所望のガス流量の設定点を計算しなければならない。そのような計算方法は公知であり、今日の全ての半導体製造においてほぼ普遍的に使用されているが、数学的モデル化および/または計算は決して100%正確というわけではない。MFCの使用の改良を対象とする毎年出願されている多数の特許出願によって示されているように、どのタイプの流体流量の測定および制御に関しても、最新のMFCの使用が誤差の固有の原因をはらむことは、長く認識されてきた。加えて、所望の混合物中のガスの種類が増えるにつれて、それぞれのガスに関連した誤差の和は積み上がり、結果として生じる混合物は、所望の濃度からますます外れたものとなる。それにもかかわらず、半導体製造では依然として、プロセス・ツールに流入する流体の流量、特にガスの流量の調節に、MFCが至る所で排他的に使用されている。
【0018】
当技術分野において受け入れられている知識には反しているが、ガス混合物の成分ガスの濃度を直接に制御することによって重大な利点を達成することができることを本出願の出願人は認識した。このことに従って、本発明の実施形態は、1つまたは複数の濃度センサを使用してガス濃度を直接に測定し、次いで、成分ガスの流量を変化させる目的に使用する信号を、閉ループ・フィードバック・システムの下で生成する。いくつかの実施形態はさらに、圧力センサを使用してプロセス室ガス圧を直接に測定し、次いで、成分ガスの流量を変化させる目的に使用する信号を、閉ループ・フィードバック・システムの下で生成する。多数のMFCを使用してガス流量を制御することを排除することによって、測定の正確さをかなり高めることができる。いくつかの実施形態では、成分ガスの濃度の測定の正確さが、60PPM未満、40PPM未満、20PPM未満、または10PPM未満など、100PPM未満となる。さらに、典型的な先行技術のシステムに見られる多数のMFCを排除することによって、本発明の実施形態は、かなり小さな設定面積を有することができよう。
【0019】
図2は、本発明の例示的な実施形態の略図である。流体送達システム200は、ガス導管205を介してプロセス室215にガス混合物を供給する複数のガス源201-1から201-n(ひとまとめにして201と呼ぶ)を含む。ガス源201からのガスがプロセス室よりも高圧であることにより、ガスは、ガス源(流路の「上流」端)からプロセス室(流路の「下流」端)に流れるであろう。当業者には理解されることだが、流体送達システム200全体でこの圧力差を生み出すさまざまな方法が存在する。例えば、
図2の実施形態では、真空システム216を使用してプロセス室215内の圧力を低下させる。真空システム216は、プラズマ・エッチングなどのさまざまな処理ステップに必要であるだけでなく、システム全体でかなり大きな圧力差を生み出す。
【0020】
これらの複数のガス源201は、ガス混合物の成分ガスを供給する。高圧ガスシリンダ、バルク貯蔵タンク、パイプラインまたは直接ガス供給もしくは発生設備を含む適当な任意のタイプのガス源を使用することができる。
図3には、4つの異なるガス源(2011、2012、2013、...201n)が示されているが、任意の数のガス源を使用することができる。例えば、半導体製造中にシリコンに深いトレンチをプラズマ・エッチングするために、HBr、NF
3、O
2およびSF
6の混合物をプロセス室に送達することができる。
【0021】
ガス源201は、成分ガス導管202と調整可能制御弁203-1から203-n(ひとまとめにして203と呼ぶ)とによって混合マニホルド204に結合されている。ガス導管は、その中を流れるガスを封じ込めるのに任意の適した材料、例えば316L電解研磨ステンレス鋼管から形成することができる。導管のサイズは通常、その中を流れるガス流の量によって決められる。例えば0.25インチ(0.635cm)管が典型的である。本発明の実施形態は、当技術分野で知られているモジュール式ガス・ブロックによって実施することもできる。
【0022】
調整可能制御弁203は、ガス源201から混合マニホルド204へのガスの流量を制御する。混合マニホルド204では、成分ガスが結合してガス混合物を形成する。ガス混合物は次いで、下流ガス供給管路205を通って混合マニホルド204から流出する。いくつかの実施形態では、成分ガスが混合されて均質のガス混合物を形成する。混合マニホルド204は、異なる成分ガスを混ぜ合わせ、短い流路の中で均質のガス混合物を生成するように設計されている。いくつかの実施形態では、混合マニホルド204が、流れの中に強い乱流を発生させる静的ガス・ミキサを構成することができる。いくつかの場合には、乱流発生装置として機能する1つまたは複数の螺旋形要素を混合マニホルド204の中に収容することができる。いくつかの実施形態では、層流ガス(より大流量のキャリヤ・ガス)を妨害して乱流にするように設計された外部乱流発生装置を使用して、混合を促進する不安定な流動状態を生み出すことができる。いくつかの実施形態では、より小流量のガスの流速を増大させ、そのガスを、全体のキャリア・ガスの流れから90度の角度に導く噴射器を、流路内に配置することができる。
【0023】
調整可能制御弁203は、全開と全閉の間の範囲にわたって連続調整ができる比例制御弁であることが好ましい。
図2では、調整可能制御弁203が空気圧弁として示されているが、ガスの流量を所望の正確度で制御することができるものである限りにおいて、当技術分野で既知の他のタイプの弁(または弁タイプの組合せ)を使用することができる。調整可能制御弁203は、弁アクチュエータを使用して動作させることができる。弁アクチュエータの例には、ソレノイド・アクチュエータ、圧電アクチュエータ、ステッパ・アクチュエータなどがある。
【0024】
流体流路内には、濃度センサ206が、ガス供給管路205からガス混合物を受け取るように配置されている。
図2の実施形態では、濃度センサ206が、混合マニホルドからプロセス室まで延びる主ガス流路上に配置されている。代替として、
図3に示されたシステム300では、ガス流路のスリップ・ストリーム302(サイド・ストリーム)上に濃度センサ206を配置することもできる。ガスは、真空源304によって濃度センサ206を通して引っ張られ、次いで排気管(図示せず)を通して排出される。いくつかの実施形態では、絞りおよび遮断弁303を使用して、濃度センサを通過するガス/流体の圧力を制御することができる。
図2に示されているように、絞りおよび遮断弁303は単一のデバイスとすることができるが、他の実施形態では、絞りおよび遮断弁303が、固定されたオリフィスまたは調整可能なオリフィスと別個の遮断弁とを含むことができる。本明細書でこれらの用語が使用されたときには、これらのいずれの実施形態においても、たとえ濃度センサを通過するガスが実際にはプロセス室に移動しない場合であっても、濃度センサは、流体流路内にあるとみなされるであろう。
【0025】
特定の実施形態では濃度センサ206が質量分析計である。しかしながら、例えば超音波センサまたはフーリエ変換赤外分光法および/または近赤外分光法を使用した光学センサを含む、他のタイプの濃度センサを使用することもできる。いくつかの実施形態では、濃度センサ206が、たとえ多数の異なる成分を含む混合物であっても、混合物中の成分ガスの濃度を決定することができるセンサである。
【0026】
濃度センサとして使用される質量分析計は、ガス混合物の一部からイオン電流を発生させ、イオン電流を加速し、質量フィルタに通し、次いで検出器によって受け取らせる。検出器は、このイオン電流の強度に応じた信号を出力する。質量分析計からのリアルタイム信号は、(例えば200AMUまでの)原子質量の完全なスペクトル、特定の質量範囲だけ、または単一の質量のみを含むことができる。いくつかの実施形態では、濃度センサを四重極型質量分析計とすることができる。既知の濃度を有する較正用ガス化合物を使用して質量分析計を較正し、試料ガスの信号強度を比較することによって、濃度センサ206は、全ての成分ガスの濃度を含む試料ガスの詳細な化学分析を提供することができる。質量分析計の較正は例えば、それぞれの成分ガスを100%の濃度で(すなわち流路内に他のガスが一切存在しない状態で)断続的に流すことによって達成することができる。これによって、質量分析計は、濃度が100%であるときに、それぞれのガスの同位体の原子質量単位を確認し、その同位体に対する電流の振幅を較正することができる。この較正は、全てのガスについて連続して実行することができ、単一のガスに対して定期的に実行することができ、または全ての成分が規則正しく較正されるような態様で較正用ガスを回転させることによって定期的に実行することができる。
【0027】
図3に示された実施形態では、スリップ・ストリーム302上にバイパス管路330が、遮断弁303の下流、濃度センサ206の上流にあるように配置されている。このバイパス管路は、スリップ・ストリーム内の全部または大部分のガスを、非常に急速に排出することを可能にする。このことは、比較的に小さな流量のガスをセンサ自体に通す必要がある濃度センサに対して特に有用である。
【0028】
図2の実施形態では、流体流路内に流量センサ207が配置されており、流量センサ207は、ガス混合物の流量を測定するために使用される。
図2の実施形態では、流量センサ207を、主流体流路に沿ってプロセス室へ流れているガスの量を測定する目的に使用することができる任意の適当なタイプのセンサ、例えば熱式質量流量センサ、コリオリ式流量計などのセンサ、またはチョーク流れ圧力センサ、層流差圧センサなどの圧力センサとすることができる。特定の実施形態では、プロセス室自体の内部に、1つまたは複数の室圧力センサ217(例えばマノメータ)を配置することができる。後により詳細に説明するが、いくつかの実施形態では、流量センサ207または室圧力センサ217が存在するであろうが、両方は存在しないであろう。他の実施形態では、両方のタイプのセンサが存在しうる。後に説明するが、いくつかの実施形態では、流量センサおよび/または圧力センサを、総ガス流量を制御するための制御パラメータとしてのみ使用することができ、流量センサおよび/または圧力センサは、ガス混合物中のガスの比率を調整するために使用されるフィードバック制御ループに対する制御パラメータとしては使用されない。
【0029】
プロセス室215は、流体流路を出たガス混合物の行き先である。プロセス室215に入った後、ガス混合物は、処理目的でプロセス室215内に置かれた試料材料を処理するために使用される。そのような処理には、エッチング、付着、化学結合、コーティング、反応などが含まれる。一例として、このガス混合物を使用して、半導体製造中にシリコンをプラズマ・エッチングすることができる。プロセス室215は、処理する材料を保持するのに十分なサイズの容器であるべきである。半導体製造で使用されるプロセス室などのプロセス室の構造は、当技術分野で公知である。
【0030】
特定の実施形態では、2つ以上の下流制御弁218-1から218-n(ひとまとめにして218と呼ぶ)を使用して、プロセス室内の異なる領域または地帯に導かれるガス混合物流の部分を制御することができる。例えば、ある場合には、処理する試料の縁にプロセス・ガス(ガス混合物)の75%を導き、試料の中心にプロセス・ガスの25%を導くことが望ましい。分流器208を使用してガス流路を分割することができる。下流制御弁218が、分割されたそれぞれの管路を通る流量を制御する。分割された管路を、既知の供給管路の位置決めおよび配置を使用してプロセス室に導入して、2つの異なる地帯に所望通りにプロセス・ガスを導くことができる。調整可能制御弁203に関する上の説明と同様に、下流制御弁218も、弁アクチュエータを使用して動作させる、連続調整ができる比例制御弁とすることができる。
【0031】
制御電子装置220は、ガス混合物のそれぞれの成分ガスに対する所望の濃度を示す設定点と、それぞれの成分ガスの測定された実際の濃度を示す濃度センサから出力された電気信号とに従って、制御弁の弁位置を制御する。制御電子装置220は一般に、プロセッサとメモリとを有するホスト・コンピュータ210に結合されたコントローラ212を含む。そのようなデバイス(例えばプロセッサ、メモリ、データ記憶装置、入力および出力デバイス)の詳細は公知であり、分かりやすくするためそれらについては省略する。コントローラ212は、ソフトウェア、不揮発性メモリ、ハードウェアおよび/またはファームウェアによってまたはそれらの組合せによって実現することができ、本明細書にさらに記載された方法を実施する非一時的プロセッサ可読命令を含むことがある。
【0032】
一実施形態によれば、コントローラ212は一般に、調整可能制御弁の位置を制御するための制御信号を(濃度センサ206などの)センサからの出力信号に基づいて生成し、その制御信号を調整可能制御弁に伝達するように構成されている。濃度センサ206などのセンサは通常、特定の成分ガスの濃度などの特定の特性を示す未処理の信号を生成する。この未処理の信号は制御電子装置に伝達され、制御電子装置で信号は通常、調整される。すなわち正規化、線形化および動的応答に対する補償が実施される。
【0033】
調整された信号は次いで、それぞれの成分ガスの所望の濃度レベルを示す設定点信号(通常はホスト・コンピュータ210によって提供される)とともに、コントローラ212に提供される。コントローラ212は、このセンサ信号と混合物中のそれぞれのガスの設定点信号との差(誤差信号)に基づいて、それぞれの調整可能制御弁に対する駆動信号を生成する。いくつかの実施形態では、伝統的なフィードバック制御法を使用して、比例制御、積分制御、比例-積分(PI)制御、微分制御、比例-微分(PD)制御、積分-微分(ID)制御、および比例-積分-微分(PID)制御などの駆動信号を生成する。
【0034】
生成された後、それらの駆動信号は、それぞれの調整可能制御弁203を制御する弁アクチュエータに伝達される。それらの駆動信号に応答して、弁アクチュエータは、調整可能制御弁を開きまたは閉じ、そのようにして、特定の弁を通過するガス流を増大または低減させる。混合マニホルドに入る異なる成分ガスの流量の比率を変化させることによって、ガス混合物の組成(すなわちそれぞれの成分ガスの濃度)を、混合物中のそれぞれのガスの所望の濃度レベルに調整することができる。
【0035】
「インナー」制御ループと考えられることができる混合物の成分ガスの比率の制御に加えて、プロセス室に入るガスの量(通常は圧力として表現される)も制御しなければならない。総ガス流量は、「アウター」制御ループと考えることができる。流量センサ207または圧力センサ217から出力信号を受け取り、上述の手法と同じ手法でこのセンサ信号出力に少なくとも部分的に基づいて調整可能制御弁203の位置を制御するための制御信号を生成するように、コントローラ212を構成することもできる。しかしながら、特定の実施形態では、任意の駆動信号、または流量センサ信号出力と流量設定点とから生成された駆動信号に対する変更が、全ての成分ガス制御弁に一様に適用されるであろう。言い換えると、流量センサまたは圧力センサの信号出力は、ガス混合物の総流量を増大または低減させるアウター制御ループの部分としてのみ使用され、成分ガスの比率または任意の個々の成分ガスによって構成されたガス混合物の百分率を変化させない。
【0036】
いくつかの実施形態では、成分ガスの流量を制御する際に使用するフィードバック信号を提供するため、および/またはプロセス室の真空弁を真空弁コントローラを使用して制御するために、室圧力センサ217が使用される。そのような室圧力センサの使用は、重要なプロセス変量(プロセス室内のガス圧)の直接制御を可能にするという点で望ましい。いくつかの実施形態では、ガスの質量流量をモニタリングすること(例えば参照情報を提供すること、またはポンプ性能の低下もしくは室内のエネルギー・レベルの変化の表示を提供すること)を可能にするために、熱式流量センサまたはコリオリ式流量計などの流量センサもシステム内に存在しうるが、これらの流量センサからの出力は、ガス源からのガスの流量を制御するために使用される上述のインナー・フィードバック制御ループの制御パラメータとしては使用されない。したがって、本発明の実施形態は、調整可能制御弁を個別に調整してガス混合物中のガスの比率を制御するためのインナー・ループ制御パラメータとしての質量流量を完全に排除する。室圧力センサおよび/または質量流量センサからのフィードバックは、全ての成分ガス制御弁を一様に調整することによってガス混合物の総流量を増大または低減させるためのアウター・ループ制御パラメータとしてのみ使用することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、室圧力を(総ガス流量を低下させることによって)より低く、または(過剰ガス流が利用可能であり、それが例えば排気管に分流されているときに)より高く調整するように、流量センサ出力(室圧力センサ出力を含む)を使用して下流制御弁218を制御することもできる。
【0038】
特定の実施形態では、調整可能制御弁をフィード-フォワード制御モードで駆動することができる。上述のフィードバック論理を迂回して、固定設定点コマンドをそれぞれの制御弁に直接に送ることができる。ある場合には、システム始動後にプロセス室を急速に満たすために、特定の設定点によって、例えば、システム動作中に必要な流量よりもはるかに大きな流量でガス混合物を流すことができる。いくつかの実施形態では、この高速充填に使用する流量を、所望の成分ガス濃度と整合したそれぞれの調整可能弁の最大流量の50%超、例えば60%超、75%超、90%超または99%超とすることができる。これによって、始動時のシステム応答時間を先行技術に比べて大幅に短縮することができる。MFCを使用して成分ガスの質量流量を制御することによって濃度および圧力を間接的に制御するだけである典型的な先行技術のシステムでは通常、所望のガス流量の設定点がシステム始動時に入力され、変更されない。ガス流の総体積の大きな変化は、成分ガスの濃度の望ましくない変動を生み出しうる。その結果、システム始動時の高速充填の間、成分ガスの比率を保証することができなかった。しかしながら、本発明の実施形態によれば、濃度が直接に測定され、その濃度が制御パラメータとして使用されるため、全ての成分ガスの所望の濃度を維持しつつ、(プロセス室を急速に充填して所望の圧力にするために)総ガス流量を容易に増大させることができる。
【0039】
システム始動時のそのような高速充填の間に、高速充填プロセス中に使用する特定の設定点を、いくつかの異なる手法で決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、混合物中のそれぞれのガスの所望の濃度レベルに比例した量によって、(混合マニホルドに入る異なる成分ガスの流量を制御する)調整可能制御弁203を調整することができる。したがって、所望の比率が60/20/20である3種類のガスの混合物では、第1の弁を、そのフル・スケール(full scale)の60%まで開くことができ、他の2つの弁を、フル・スケールの20%まで開くことができる。総流量がそれぞれの弁のフル・スケールに大きく依存するため、この方法の結果、ガス比にかなりの誤差が生じる可能性があるが、環境によっては、このタイプの単純な設定点決定で十分である。
【0040】
他の実施形態では、下式に従ってそれぞれの弁のフル・スケールを考慮するように、個々の設定点を調整することができる。
【0041】
それぞれの弁の設定点=設定点比率×総流量/弁のフル・スケール
設定点が60、20および20%である上の例において、第1の弁が1000sccmのフル・スケールを有し、第2の弁が600sccmのフル・スケールを有し、第3の弁が500sccmのフル・スケールを有すると仮定すると、この式を使用した調整された設定点は、第1の弁では60%×1000/1000=60%、第2の弁では20%×1000/600=33.3%、第3の弁では20%×1000/500=40%となる。
【0042】
いくつかの実施形態では、混合するガスのタイプを考慮するように個々の設定点を調整することもできる。フル・スケール弁流量は通常、窒素を較正用ガスとして使用して決定される。異なるガスの流量を計算するために、報告されたフル・スケール流量を適当な変換係数によって調整することができる。当技術分野では、さまざまなプロセス・ガスに対する変換係数が公知である。
【0043】
いくつかの実施形態では、異なる入口圧力における弁および実際のガスの実際の特性曲線が、最適な出発設定点位置を選択する。
図4は、入口圧力20psia(401)、25psia(402)、30psia(403)および35psia(404)における、同じ弁および同じガスの典型的な流量対電圧特性曲線を示す。それぞれのプロセス・ガスの特性曲線をシステム・メモリに記憶することができる。システム始動時に、例えば上述の方法のうちの1つの方法を使用することによって、実際のガス流量(sccm)における個々の設定点を計算することができる。測定された入口圧力を使用することにより、システム・コントローラは次いで、(測定された実際の入口圧力に最も近い)記憶された適当な曲線を使用して、計算された所望の流量に対する適当な弁電圧を決定することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、システムが使用した以前の設定点をデータに記憶しておき、それらの設定点を使用して、システムが遭遇する特定の条件に合った弁設定点を予測することもできる。同様の条件が検出されたときには、フィードバック制御ループが動作するのを待つことなく、記憶された設定点を制御弁に送ることができる。最初のフィードバックを受け取り、コントローラが、調整可能制御弁を動作させるようになったら、本明細書に記載された通常のフィードバック制御モードを使用することができ、システム動作の残りの部分では、計算された設定点および/または特性曲線を使用しないことができる。
【0045】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。本明細書には、それらの態様および実施形態の一部が記載されている。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形態が単なる例であり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に示す項目のうちの1つまたは複数の項目に基づくことができる。
【0046】
項目1.プロセス室用のガス送達システムであって、
異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源と、
ガス流量を制御する少なくとも2つの調整可能制御弁であり、異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源のうちのそれぞれのガス源からの流路内に配されるようにそれぞれが適合された少なくとも2つの調整可能制御弁と、
調整可能制御弁の下流の流路であり、この流路を通して、複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達される流路と、
流路内に配された濃度センサであり、ガス混合物中の少なくとも1つのガス種の濃度を決定する濃度センサと、
ガス混合物中のそれぞれのガス種の決定された濃度に従って少なくとも1つのガス種の流量を制御するように調整可能弁を調整するコントローラと
を備える、ガス送達システム。
【0047】
項目2.流量センサまたは圧力センサをさらに備え、コントローラがさらに、プロセス室に送達されるガス混合物の圧力を制御するように前記少なくとも2つの調整可能弁を調整する、項目1のガス送達システム。
【0048】
項目3.プロセス室用のガス送達システムであって、
異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源と、
ガス流量を制御する少なくとも2つの調整可能制御弁であり、異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源のうちのそれぞれのガス源からの流路内に配されるようにそれぞれが適合された少なくとも2つの調整可能制御弁と、
前記調整可能制御弁の下流の流路であり、この流路を通して、前記複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達される流路と、
流路内に配された濃度センサであり、ガス混合物中の少なくとも1つのガス種の濃度を決定する濃度センサと、
ガス混合物中のそれぞれのガス種の決定された濃度に従って少なくとも1つのガス種の流量を制御するように調整可能弁を調整するコントローラと
を備え、
濃度センサからの出力が、第1のフィードバック・ループに対する制御パラメータとして使用され、この第1のフィードバック・ループが、ガス混合物中のガス種のうちの少なくとも1つのガス種の濃度を変化させるように、2つの調整可能弁のうちの少なくとも1つの調整可能弁を個別に調整することができる、
ガス送達システム。
【0049】
項目4.流量センサおよび/または圧力センサをさらに備え、流量センサおよび/または圧力センサからの出力が、第2のフィードバック・ループに対する制御パラメータとして使用され、この第2のフィードバック・ループが、ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度を変化させることなく、プロセス室に送達されるガス混合物の圧力を増大または低減させるように、前記少なくとも2つの調整可能弁を一様に調整する、項目3のガス送達システム。
【0050】
項目5.第1のフィードバック・ループに対する制御パラメータが、ガス混合物の測定された流量または成分ガスの測定された流量を含まない、項目3のガス送達システム。
【0051】
項目6.第1のフィードバック・ループに対する制御パラメータが、測定されたガス圧を含まない、項目3のガス送達システム。
【0052】
項目7.
ガス混合物中の第1のガス種の濃度を決定する濃度センサと、
ガス混合物中の第1のガス種のガスの濃度を制御するために調整可能弁を通過する第1のガス種のガスの流量を濃度センサの出力に従って制御するように調整可能弁を調整するコントローラと
を備える、ガス混合物コントローラ。
【0053】
項目8.プロセス室内のガス混合物の圧力を決定するマノメータをさらに備える、前記項目のいずれか一項。
【0054】
項目9.コントローラがさらに、プロセス室内のガス混合物の圧力に従って調整可能弁を調整する、項目8。
【0055】
項目10.コントローラがさらに、プロセス室内のガス混合物の圧力に従って調整可能弁を調整し、この調整が、ガス混合物の総流量を増大または低減させるように全ての調整可能弁を一様に調整することによってなされる、項目8。
【0056】
項目11.濃度センサが、超音波センサおよび/または光学センサを含む、前記項目のいずれか一項。
【0057】
項目12.濃度センサが、フーリエ変換赤外分光法および/または近赤外分光法を使用した光学センサを含む、前記項目のいずれか一項。
【0058】
項目13.濃度センサが質量分析計を含む、前記項目のいずれか一項。
【0059】
項目14.少なくとも1つのガス種または流体種が、危険なガスまたは流体を含む、前記項目のいずれか一項。
【0060】
項目15.少なくとも1つのガス種または流体種が、有毒のガスもしくは流体、腐食性のガスもしくは流体、または可燃性のガスもしくは流体を含む、前記項目のいずれか一項。
【0061】
項目16.プロセス室が半導体製造のために使用される、前記項目のいずれか一項。
【0062】
項目17.ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度が、質量流量センサまたは圧力センサを使用することなく制御される、前記項目のいずれか一項。
【0063】
項目18.ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度が、質量流量コントローラを使用することなく制御される、前記項目のいずれか一項。
【0064】
項目19.ガス源からのガスの流量を制御するために使用されるフィードバック制御ループに対する制御パラメータとして、ガス混合物の任意の成分ガスの測定された流量が使用されない、前記項目のいずれか一項。
【0065】
項目20.ガス源からのガスの流量を制御するために使用されるフィードバック制御ループに対する制御パラメータとして、測定された流量が使用されない、前記項目のいずれか一項。
【0066】
項目21.ガス源からのガスの流量を制御するために使用されるフィードバック制御ループに対する制御パラメータとして、測定された質量流量が使用されない、前記項目のいずれか一項。
【0067】
項目22.ガス源からのガスの流量を制御するための制御変量として、測定されたガス濃度が使用される、前記項目のいずれか一項。
【0068】
項目23.調整可能弁の制御が、ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度に基づくフィードバック制御ループの部分である、前記項目のいずれか一項。
【0069】
項目24.ガス源からのガスの流量を制御するための制御変量として、測定されたガス濃度が使用される、前記項目のいずれか一項。
【0070】
項目25.調整可能弁の制御が、ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度に基づくフィードバック制御ループの部分である、前記項目のいずれか一項。
【0071】
項目26.フィードバック制御ループの中で使用される唯一のセンサ出力が、ガス混合物中の成分ガスの濃度を測定する濃度センサからの出力である、前記項目のいずれか一項。
【0072】
項目27.フィードバック制御ループの中で使用される唯一のセンサ出力が、ガス混合物中の成分ガスの濃度を測定する濃度センサからの出力、およびプロセス室内のガス圧を測定する圧力センサからの出力である、前記項目のいずれか一項。
【0073】
項目28.ガス混合物中のそれぞれのガスの百分率を制御するための制御変量として、ガス混合物中のそれぞれのガスの測定されたガス濃度が使用される、前記項目のいずれか一項。
【0074】
項目29.濃度センサの上流のバイパス管路をさらに備え、このバイパス管路が、上流の流路内の一部または全てのガスが排出されて濃度センサを通らないようすることを可能にする、前記項目のいずれか一項。
【0075】
項目30.ガス混合物中の1種または数種のガスの濃度を制御する方法であって、
異なるガス種のガスをそれぞれが供給する複数のガス源を提供すること、
前記複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達されるように、前記複数のガス源からのガスを流路に沿って流すこと、
流路内に配された濃度センサであり、ガス混合物中のそれぞれのガス種の濃度を決定する濃度センサを提供すること、
ガス混合物中の少なくとも1つのガス種の濃度を前記センサを使用して決定すること、および
ガス混合物中のそれぞれのガス種の決定された濃度に従ってそれぞれの異なるガス種の流量を制御するように、流路内の調整可能制御弁を調整すること
を含む、方法。
【0076】
項目31.前記複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達されるように、前記複数のガス源からのガスを流路に沿って流すことが、計算された設定点を使用して、システム動作中に使用される流量よりも実質的に大きな流量でガス混合物をプロセス室に送達することを含む、項目31の方法。
【0077】
項目32.前記複数のガス源からのガスが結合されてガス混合物にされ、プロセス室に送達されるように、前記複数のガス源からのガスを流路に沿って流すことが、計算された設定点を使用して、所望の成分ガス濃度と整合したそれぞれの調整可能弁の最大流量の50%超、例えば60%超、75%超、90%超または99%超の流量で、ガス混合物をプロセス室に送達することを含む、項目31の方法。
【0078】
本発明の実施形態によるシステム、方法またはコンピュータ・プログラム製品は多くの新規の態様を有する。本発明は、目的の異なるさまざまなシステム、方法またはコンピュータ・プログラム製品として実施することができるため、全ての実施形態に全ての態様が存在する必要はない。さらに、記載された実施形態の態様の多くは別個に特許を受けることができる。本明細書に記載された図は一般に略図であり、特に明記しない限り、本発明の実施形態は必ずしも適切な割合または尺度では描かれていない。
【0079】
本明細書に記載された発明は幅広い適用可能性を有し、本明細書に例において論じ示した多くの利点を提供することができる。実施形態は、具体的な用途によって大きく異なり、全ての実施形態が、これらの利点の全てを提供するわけではなく、本発明によって達成可能な目的の全てを達成するわけでもなかろう。上記の概説または例に記載された活動の全てが必要であるわけではないこと、特定の活動の一部が必要とされないことがあること、および記載された活動に加えて1つまたは複数の追加の活動を実行することができること留意されたい。また、活動が記載された順序がそれらの活動が実行される順序であるとは限らない。
【0080】
当業者には理解されるとおり、本発明の態様は、全体がハードウェアで実施されたまたはソフトウェアとハードウェアの組合せで実施されたシステム、方法またはコンピュータ・プログラム製品を含むことができる。本発明の一実施形態を実行することができるプログラム環境は例えば、ハンドヘルド・コンピュータなどの1つまたは複数の汎用コンピュータまたは専用デバイスを組み込む。そのようなデバイス(例えばプロセッサ、メモリ、データ記憶装置、入力および出力デバイス)の詳細は公知であり、分かりやすくするためそれらについては省略する。
【0081】
さらに、本発明の態様は、コンピュータ可読プログラム・コードがその上に実施された少なくとも1つの物理的(例えば非一時的)コンピュータ可読媒体として実施されたコンピュータ・プログラム製品の形態をとることができる。そのコンピュータ可読媒体は、限定はされないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線もしくは半導体システム、装置もしくはデバイス、またはそれらの適当な組合せを含むコンピュータ可読信号媒体、あるいは、限定はされないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線もしくは半導体システム、装置もしくはデバイス、またはそれらの適当な組合せを含むコンピュータ可読記憶媒体とすることができる。限定はされないが、コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例は以下を含む:少なくとも1本のワイヤを有する電気接続、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能リード・オンリー・メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、光ファイバ、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイスまたはこれらの任意の適当な組合せ。本明細書で使用されるとき、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置もしくはデバイスによって使用されるプログラム、または命令実行システム、装置もしくはデバイスとともに使用されるプログラムを、含みまたは記憶することができる有形の媒体とすることができる。
【0082】
本発明の態様のための操作を実施するコンピュータ・プログラム・コードは、少なくとも1つのプログラミング言語の任意の組合せで書くことができる。このプログラム・コードは、ユーザのコンピュータ上でその全体を実行することができ、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行することができ、独立型ソフトウェア・パッケージとして実行することができ、一部をユーザのコンピュータ上で、一部をリモート・コンピュータ上で実行することができ、またはリモート・コンピュータもしくはサーバ上でその全体を実行することができる。最後のシナリオでは、そのリモート・コンピュータを、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、または、この接続を、(例えばインターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに実施することもできる。
【0083】
本発明の技法は、さまざまな技術を使用して実施することができることも理解すべきである。汎用コンピュータ、専用コンピュータまたはプログラム可能な他のデータ処理装置のプロセッサにコンピュータ・プログラム命令を提供して、流れ図および/またはブロック図のブロック内に記載された機能/動作を実施する専用マシンを製作することができる。コンピュータ、プログラム可能な他のデータ処理装置または他のデバイス上にそれらのコンピュータ・プログラム命令をロードして、そのコンピュータまたはプログラム可能な他の装置上で実行されるそれらの命令が本発明の実施形態を実施するプロセスを提供するような態様で、コンピュータ実施プロセスを生成する一連の操作ステップを実行させることもできる。
【0084】
本明細書の図は、本発明のさまざまな実施形態によるシステム、方法および/またはコンピュータ・プログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能および動作を示す。そのため、任意の流れ図またはブロック図のそれぞれのブロックが、指定された論理機能を実施するための少なくとも1つの実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメントまたは部分を表すことがある。いくつかの代替実施形態では、それらのブロックが表示された順序が、ブロックに記載された機能または活動が実行される順序であるとは限らないことにも留意すべきである。例えば、含まれる機能によっては、連続して示された2つのブロックが実質的に同時に実行されることもあり、または、それらのブロックが逆順で実行されることもある。ブロック図および/または流れ図のそれぞれのブロックおよび/またはブロックの組合せは、指定された機能もしくは動作を実行するハードウェア・ベースの専用システムによって、または専用ハードウェアとコンピュータ・プログラム命令との組合せによって実施することができることにも留意されたい。
【0085】
本発明の説明は、例示および説明のために示したものであり、本発明の説明が網羅的であること、または、本発明の説明が、本発明の開示された形態に限定されることは意図されていない。本発明の範囲および趣旨を逸脱しない多くの変更および改変が当業者には明らかであろう。本明細書に記載された実施形態を選択し説明したのは、本発明の原理および実用的用途を最もうまく説明するため、ならびに、さまざまな実施形態および企図された特定の用途に適したさまざまな変更に関して当業者が本発明を理解することを可能にするためである。
【0086】
以上の明細では、本発明の着想を、特定の実施形態に関して説明した。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなくさまざまな変更および改変を加えることができることを当業者は理解する。したがって、本明細書および図は、本発明を例示するものであって、本発明を限定するものではないと考えるべきであり、そのような変更は全て、本発明の範囲に含まれることが意図されている。本明細書を読んだ後、当業者は、分かりやすくするために別々の実施形態の文脈で本明細書に記載されたある種の特徴を、単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることを理解するであろう。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載されたさまざまな特徴を別々に提供することもでき、またはそれらの特徴のうちのいくつかを組み合わせて提供することもできる。
【0087】
本明細書における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関して記載された特定の特徴、構造または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書中のさまざまな位置における句「一実施形態では」の出現は、同じ実施形態を指しているわけでは必ずしもなく、別個の実施形態または代替実施形態は、他の実施形態を相互排除しない。さらに、いくつかの実施形態によっては示されうるが、他の実施形態によっては示され得ないさまざまな特徴が記載されている。同様に、いくつかの実施形態にとっては必要だが、他の実施形態にとっては必要ではないさまざまな要件が記載されている。
【0088】
さらに、範囲として記載された値への言及は、その範囲内のどの値をも含む。本明細書において、用語「自動」、「自動化された」または類似の用語が使用されるとき、それらの用語は、自動プロセスもしくは自動ステップまたは自動化されたプロセスもしくは自動化されたステップの手動による開始を含むものと理解されるであろう。
【0089】
本明細書で使用されるとき、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」またはこれらの用語の任意の他の変形体は、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、それらの特徴だけに限定されるわけでは必ずしもなく、明示されていない他の特徴、またはそのようなプロセス、方法、物品もしくは装置に固有の他の特徴を含むことがある。さらに、そうではないと明示されていない限り、「または」は、包括的な「または」を含み、排他的な「または」を含まない。例えば、条件AまたはBは、Aが真であり(または存在し)、Bが偽である(または存在しない)こと、Aが偽であり(または存在せず)、Bが真である(または存在する)こと、およびAとBの両方が真である(または存在する)ことのうちの任意の1つによって満たされる。また、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載された要素および構成要素を記述するために使用される。これは単に、本発明の範囲の概要を示すために便宜上使用されているものである。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むと解釈すべきであり、そうでないことが明らかである場合を除き、単数形は複数形をも含む。
【0090】
以上に、特定の実施形態に関して、利点、他の長所および課題の解決手段を説明した。しかしながら、利点、長所または課題の解決手段を生み出しまたはそれらをより顕著にする可能性がある利点、長所、解決手段および特徴を、任意の請求項または全ての請求項の決定的な、不可欠のまたは必須の特徴と解釈すべきではない。
【0091】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。