(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】レーザ維持プラズマランプ用の機械的密封管及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01J 65/04 20060101AFI20230616BHJP
H01J 61/36 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
H01J65/04 Z
H01J61/36 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019010954
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514156116
【氏名又は名称】エクセリタス テクノロジーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブロンディア,ルディ
(72)【発明者】
【氏名】ダウティ,ダグラス エー.
(72)【発明者】
【氏名】キス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ロイ ディー.
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0336167(US,A1)
【文献】特表2017-509098(JP,A)
【文献】特表2017-518609(JP,A)
【文献】特開2010-123323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 65/04
H01J 61/30-48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口端及び出口端を有するチャンバ管(310)、
前記チャンバ管(310)の前記入口端に設けられた入口サファイア窓(340)、
前記チャンバ管(310)の前記入口端及び前記入口サファイア窓に対して密封するように構成された第1金属密封リング(320)、
前記チャンバ管(310)の前記出口端に設けられた出口サファイア窓(342)、及び
前記チャンバ管(310)の前記出口端及び前記出口サファイア窓に対して密封するように構成された第2金属密封リング(322)
を有するとともに、前記チャンバ管(310)、前記入口サファイア窓(340)、前記第1金属密封リング(320)、前記出口サファイア窓(342)及び前記第2金属密封リング(322)によって囲まれ、イオン化可能材料を収容するように構成される、機械的加圧密封チャンバアセンブリ(330)と、
前記入口サファイア窓及び前記出口サファイア窓の少なくとも一部に架かり締結するように構成された、前記機械的加圧密封チャンバアセンブリ(330)の外部にある機械締結構造(350、355)と、
を備える、
レーザ維持プラズマランプ(300)。
【請求項2】
前記機械締結構造(350、355)は、前記チャンバ管(310)の外側表面に適合する内側表面を有するスリーブを備える、請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記スリーブは、
前記チャンバ管(310)の前記入口端に設けられた第1スリーブ部(350)と、
前記チャンバ管(310)の前記出口端に設けられた第2スリーブ部(355)と、
をさらに有する、請求項2に記載のランプ。
【請求項4】
前記機械的加圧密封チャンバアセンブリ(330)は、
円筒形状である、請求項1に記載のランプ。
【請求項5】
前記チャンバ管(310)は、サファイアによって構成される、請求項1に記載のランプ。
【請求項6】
前記第1金属密封リング(320)及び/又は前記第2金属密封リング(322)は、C字形状を有する、請求項1に記載のランプ。
【請求項7】
少なくとも、前記チャンバ管(310)の一部、及び/又は、前記第1金属密封リング(320)及び/又は第2金属密封リング(322)に接するように構成された前記入口サファイア窓(340)及び前記出口サファイア窓(342)の一部は、軟質金属によってメッキされている、請求項1に記載のランプ。
【請求項8】
前記第1金属密封リング(320)及び/又は前記第2金属密封リング(322)は、軟質金属によってコーティングされている、請求項1に記載のランプ。
【請求項9】
レーザ維持プラズマランプを製造する方法であって、
第1スリーブ部及び第2スリーブ部を備えるスリーブアセンブリ内に、チャンバ管、第1チャンバ窓、第1チャンバ密封、第2チャンバ窓、及び第2チャンバ密封を有するチャンバアセンブリを配置するステップと、
前記スリーブアセンブリ及び前記チャンバアセンブリをツーリングチャンバ内のジグ内に固定するステップと、
前記ツーリングチャンバを密封するステップと、
前記ツーリングチャンバを加圧イオン化可能媒体によって充填するステップと、
前記ジグに対して、前記第1チャンバ窓、前記第1チャンバ密封、前記チャンバ管、前記第2チャンバ密封、及び前記第2チャンバ窓を圧縮し、前記チャンバアセンブリを密封するステップと、
前記ツーリングチャンバを空にするステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1チャンバ窓及び前記第2チャンバ窓は、溶接及び/又はロウ付けによって前記チャンバ管に連結されていない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1チャンバ窓及び/又は前記第2チャンバ窓は、精密仕上げ、研削、及び研磨されている、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1スリーブ部及び第2スリーブ部を一体に溶接するステップ、を更に含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記溶接することは、TIG溶接である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1スリーブ部及び第2スリーブ部を一体にロウ付けするステップ、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
開放入口端及び閉鎖出口端を有するチャンバ管と、
前記チャンバ管の開放端に設けられたサファイア窓と、
前記チャンバ管の開放端及び前記サファイア窓に対して密封するように構成された金属密封リングと、
を有するとともに、前記チャンバ管、前記サファイア窓及び前記金属密封リングによって囲まれ、イオン化可能材料を収容するように構成される、機械的加圧密封チャンバアセンブリと、
前記サファイア窓及び前記チャンバ管の前記閉鎖出口端の少なくとも一部に架かり締結するように構成された、前記機械的加圧密封チャンバアセンブリの外部にある機械締結構造と、
を備える、
レーザ維持プラズマランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、より具体的には、高輝度アークランプに関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度アークランプは、高輝度の光を発する装置である。ランプは、一般的に、例えばガラスバルブ等のガス収容チャンバとともに、チャンバ内のガス(イオン化可能媒体)を励起するために用いられるアノード及びカソードを含む。アノードとカソードとの間に放電が生じ、光源の動作中、イオン化ガスによって放出される光を維持するための励起(例えばイオン化)ガスへ電力が供給される。
【0003】
図1は、従来技術による低ワット型放物線形キセノンランプ100の立体図及び断面図を示す。ランプは、一般的に、金属及びセラミックによって構成される。充填ガスであるキセノン(Xe)は、不活性かつ不毒性である。ランプサブアセンブリは、アセンブリを厳しい寸法公差に制約する固定具において、高温ロウ付けによって構成され得る。
図2は、ロウ付け後のこれらのランプサブアセンブリ及び固定具の一部を示す。
【0004】
従来技術のランプ100において、カソード、アノード、及び反射体という3つの主要なサブアセンブリが存在する。カソードアセンブリ3aは、ランプカソード3b、カソード3bを窓フランジに保持する複数の支柱3c、窓3d、及びゲッタ3eを含む。ランプカソード3bは、例えばトリエーテッドタングステンから作られた、小さなペン密封型の部品である。動作中、カソード3bは、ランプアークギャップを横断して移動しアノード3gに衝突する電子を放出する。電子は、カソード3bから熱電子放出されるので、カソード先端部は、機能するために高温かつ低電子放出を維持しなければならない。
【0005】
カソード支柱3cは、カソード3bを定位置に確実に保持し、カソード3bへ電流を導通する。ランプ窓3dは、研削及び研磨された単結晶サファイア(AlO2)であってもよい。サファイアは、窓3dの熱膨張がフランジ3cのフランジ熱膨張に一致することを可能にし、それによって、広い動作温度範囲にわたり気密密封が維持される。サファイアの熱伝導性によってランプのフランジ3cへ熱が輸送され、熱が均等に分散するので、窓3dの割れが防がれる。ゲッタ3eは、カソード3bを取り巻き、支柱に載置される。ゲッタ3eは、動作中にランプ内に発生する汚染ガスを吸収し、汚染物質がカソード3bを汚染すること及び反射体3k及び窓3dに不要物を運ぶことを防ぐことによって、ランプ寿命を引き延ばす。アノードアセンブリ3fは、アノード3g、基部3h、及び造管3iから成る。アノード3gは、一般的に、純タングステンで構成され、カソード3bよりも大幅に鈍い形状である。この形状は主に、アークがその陽極の電気的接続点で広がるという放電物理学の結果である。アークは、典型的にやや円錐形状であり、円錐の頂点がカソード3bに接し、円錐の基部がアノード3gに触れている。アノード3gはカソード3bよりも大きく、より多くの熱を伝導する。ランプ内の伝導排熱の約80%はアノード3gを通って外へ伝導され、20%はカソード3bを通って伝導される。アノードは、一般的に、ランプ熱シンクへの低熱抵抗経路を有するように構成されるので、ランプ基部3hは比較的大きい。基部3hは、ランプアノード3gから熱負荷を伝導するために鉄又は他の熱伝導性材料で構成される。造管3iは、ランプ100を空にして、キセノンガスで充填するためのポートである。充填後、造管3iは密封され、例えば油圧工具を用いて締め付け又は冷間圧接されるので、ランプ100は、密封されると同時に充填及び処理ステーションから切り離される。反射体アセンブリ3jは、反射体3k及び2つのスリーブ3lから成る。反射体3kは、反射体に反射面をもたらすために高温材料で上塗りされたほぼ純粋な多結晶アルミナ体であってよい。反射体3kはその後、スリーブ31に封着され、反射コーティングは、上塗りされた内側表面に塗布される。
【0006】
動作中、アノード及びカソードは、アノードとカソードとの間にあるイオン化ガスにもたらされた放電により、非常に高温になる。例えば、点火キセノンプラズマは、15,000C以上で燃焼してもよく、タングステンアノード/カソードは、約3600C度以上で融解し得る。アノード及び/又はカソードは、粒子を摩耗し、放出し得る。そのような粒子は、ランプの動作を損ない、アノード及び/又はカソードの劣化を招き得る。
【0007】
従来のロウ付け方法によって構成された既存のレーザ維持プラズマランプの場合、これらのロウ付け境界面は、製品寿命にわたるエンベロープ及び密封の一貫性のために、摂氏300度付近まで冷却されなくてはならない。上記冷却により、ランプの動作温度は、そのようなランプのエンベロープ内のガス乱れを最小限にするために理想的なものではない。より高いランプエンベロープ温度での動作は、ガス乱れを大幅に小さくし、より高いプラズマ安定性、及び直接の結果として開口部にわたるより高い輝度をもたらすことが示されている。同様に、いくつかの既存のレーザ維持プラズマランプは、高い内部動作圧を得るための水銀強化充填ガスに対応できない材料で形成される。したがって、上述した欠点の1又は複数に対処する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、レーザ維持プラズマランプ用の機械的密封管及びその製造方法を提供するものである。簡単に言うと、本発明は、イオン化可能材料を収容するように構成された密封機械的加圧密封チャンバアセンブリを有するレーザ維持プラズマランプに関する。チャンバアセンブリは、チャンバ管と、入口サファイア窓と、チャンバ管入口端と、入口サファイア窓に対して密封するように構成された第1金属密封リングと、出口サファイア窓と、チャンバ管出口端及び出口サファイア窓に対して密封するように構成された第2金属密封リングとによって囲まれている。チャンバアセンブリの外部にある機械締結構造は、入口サファイア窓及び出口サファイア窓の少なくとも一部に架かり締結するように構成される。入口サファイア窓及び出口サファイア窓は、溶接及び/又はロウ付けによってチャンバ管に連結されていない。
【0009】
本発明の他のシステム、方法、及び特徴は、以下の図面及び詳細な説明を検閲することによって当業者に明らかになる。そのような追加のシステム、方法、及び特徴は、本説明に含まれ、本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲によって保護されるものである。
【0010】
添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を成すものである。図面内の構成要素は必ずしも一定の縮尺ではなく、本発明の原理を明確に示すために強調が設けられる。図面は、本発明の実施形態を例示し、説明とともに、本発明の原理を説明するために役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来技術の高輝度ランプの模式図の分解図である。
【
図2】
図1の従来技術の高輝度ランプの模式図の断面図である。
【
図3A】密封高輝度ランプの第1実施形態の模式的な部分側面図である。
【
図4A】
図3Aのランプのチャンバを詳しく示す模式的な局部図である。
【
図5】
図3Aのランプの秘封部分の模式的な部分側面図である。
【
図6】
図3Aの密封可能な加圧レーザ維持プラズマランプを製造するために用いられる加圧ツーリングチャンバの模式図である。
【
図7】密封可能な加圧レーザ維持プラズマランプを形成するための方法の典型的な実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の定義は、本明細書に開示される実施形態の特徴に適用される用語を解釈するために役立つものであり、本開示における要素を定義することしか意図されない。
【0013】
本開示において、レンズは、光学素子を通過する光の方向/形状を変化させる光学素子を指す。これに対して、鏡又は反射体は、鏡又は反射体から反射された光の方向/形状を変化させる。
【0014】
本開示において、直接経路は、例えば鏡によって反射されたものではない光ビーム又は光ビームの一部の経路を指す。レンズ又は平坦窓を通過する光ビームは、直接光であると考えられる。
【0015】
本開示において、「ほぼ」は「非常に近い」こと、又は通常の製作公差の範囲内であることを意味する。例えば、ほぼ平坦な窓は、設計によって平坦であることが意図されるが、制作による変動に基づいて完全な平坦とは異なることがある。
【0016】
以下、本発明の実施形態が詳しく参照され、それらの例は、添付図面に示される。可能である限り、同じ又は同様の部品を示すために図面及び説明において同じ参照番号が使用される。
【0017】
レーザ維持プラズマランプは、点火されてプラズマを形成し、入口窓を介してチャンバ(又はエンベロープ)内に入るレーザ光によって維持される、イオン化可能媒体(希ガス混合物)を収容する加圧チャンバを含む。背景技術に記載したように、プラズマによって生じる高輝度光は、例えば出口窓又は導波管を介してチャンバから放出される。プラズマランプチャンバは、従来のロウ付け方法によって構成され、ランプ寿命にわたるエンベロープ及び密封の一貫性のために、ランプの動作温度は、ロウ付け境界面を摂氏300度付近又はそれより低く維持するように上限を定められなくてはならない。しかし、そのような動作温度は、チャンバ内のガス乱れを最小限にするために理想的ではない。また、ロウ付け材料は、特定のイオン化可能媒体に対応できないことがある。サファイア窓がサファイア管に溶接されるエンベロープは、製造することが困難かつ高費用であった(US9,230,771号B2を参照)。
【0018】
第1典型的な実施形態は、サファイアチャンバ(又は「エンベロープ」)を有する加圧レーザ維持プラズマランプ300に関する。
図3Aは、レーザ維持プラズマランプ300の第1典型的な実施形態の断面図を示し、
図3Bは、レーザ維持プラズマランプ300の斜視図を示す。ランプ300は、
図4A、
図4B、及び
図4Cに詳細に示されるサファイア管310を含む。第1実施形態において、サファイア管310は、略円筒形状であり、内壁311及び外壁312を有する。サファイア管310の各端部に蓋をする、精密加工、研削、及び研磨がされた2つの略平面状サファイア窓340、342、すなわち入口サファイア窓340及び出口サファイア窓342が存在する。サファイア管310の各端部は、円筒形の外壁312の高さが円筒形の内壁311の高さよりも大きく、外壁312がサファイア管310の両端において内壁の上に張り出すような差込み部315を含む。輪状表面を有する外壁312の第1端部における平坦部316は、入口サファイア窓340の内側表面341に面するが、直接触しなくてもよい。同様に、輪状表面を有する外壁312の第2端部における平坦部316は、出口サファイア窓342の内側表面343に面するが、直接触しなくてもよい。差込み部315は、サファイア管310の第1端部において入口金属密封リング320を収容し、サファイア管310の第2端部において出口金属密封リング322を収容するための輪状空隙体積を提供する。
【0019】
入口金属密封リング320は、サファイア管310の平坦部316及び入口サファイア窓340の内側表面341の両方に接し、それらの間を密封してもよい。同様に、出口金属密封リング322は、サファイア管310の平坦部316及び出口サファイア窓342の内側表面343の両方に接し、それらの間を密封してもよい。好ましくは、サファイア管310は、入口サファイア窓340又は出口サファイア窓342のいずれかに直接接するのではなく、金属密封リング320、322は、出口及び入口方向の両方における窓340、342及び/又はサファイア管310の熱膨張のためのバッファとして機能する非常に小さい空隙を設ける。
【0020】
差込み部315は、L字型断面を有するものとして図示されるが、例えば湾曲断面等他の構成も可能である。差込み断面形状は、好ましくは、金属メカニカル密封リング320、322に圧力をかけ、サファイア窓340、342とサファイア管310との間で金属メカニカル密封リング320、322を保持するように形成される。
【0021】
サファイア窓340、342をサファイア管310にロウ付けするのではなく、金属メカニカル密封リング320、322が、管310と窓340、342との間を密封するために管310の各端部に設けられている。金属密封リング320、322は、サファイア窓340、342及びサファイア管310に緊密に押し当てられ、例えばキセノン及び/又はクリプトン等のイオン化可能媒体及び(点火時の)プラズマをチャンバ330内に包含するための密封を提供するように構成される。金属密封リング320、322は、考えられる様々な構成の中でも特にC字形状、O字形状、V字形状、又はW字形状であってもよく、好ましくは、300系ステンレス鋼、X750合金又は718合金等によって形成される。
【0022】
金属密封リング320、322は、約40ミクロンの圧縮率を有してもよい。金属密封リング320、322は、軟質メッキされることが好ましく、軽微な漏れでも長期に亘ってキャビティ330を減圧する可能性がある。改善された密封性を確実にするために、金属密封リング320、322とサファイア管310との接合箇所は、任意選択的に、例えば金、銀、又は(好ましくは)軟質ニッケルによって軟質コーティングされてもよい。密封構成自体は、最大1300Fの温度で最大50,000psi、又はそれ以上を対応できるように構成される。
【0023】
サファイア管310と窓340、342の接合面及び/又は金属密封リング320、322の金属表面の一部は、メカニカル密封からのイオン化可能材料の漏洩を抑制するために、例えば金、銀、又はニッケル等の軟質金属によってメッキされてもよい。サファイア管310は、イオン化可能材料を充填及び/又は放出するための1又は複数の密封可能な入口(不図示)を有してもよい。
【0024】
チャンバアセンブリ330は、入口サファイア窓340の入口端及び出口窓342の出口端に圧力をかけるクランプとしての機能を果たす外部構造によって、機械的一体化に保持され得る。この締圧は、入口サファイア窓340とサファイア管310との間の入口金属密封リング320による密封、及び出口サファイア窓342とサファイア管310との間の出口金属密封リング322による密封を少なくとも部分的に維持するために用いられ得る。
【0025】
第1実施形態において、機械的締結は、溶接された2ピーススリーブ構造350、355によって実行される。
図5に示すように、第1スリーブ部350及び第2スリーブ部355で形成された、タングステン不活性ガス(TIG)溶接金属スリーブ及びフランジ付きコンテナアセンブリは、加圧メッキチャンバ330アセンブリを一体として保持する。スリーブ350、355に適した金属は、例えばアンバー、インコネル、又は(好ましくは)コバール等、ランプ用途の動作温度範囲に亘るサファイア熱膨張係数に適合するように選択され得る。他の材料は、例えば温度及び伸び率にわたる膨張係数の変化を操作するために、適用することが可能である。いくつかの実施形態において、膨張係数が温度に亘り線形ではない場合にサファイア熱膨張係数に適合するために、例えばコバール、アンバー、インコネル、及び他の様々な鉄等、様々な金属の組み合わせがスリーブ350、355のために用いられ得る。
【0026】
第1スリーブ部350及び第2スリーブ部355は、略円筒形状であってもよく、第1スリーブ部350及び第2スリーブ部355の少なくとも内側部分は、チャンバアセンブリ330の外壁312に一致する。
【0027】
第1スリーブ部350は、入口サファイア窓340に当接するように構成された第1内側に突出した環状リップ部351を含んでもよい。同様に、第2スリーブ部355は、出口窓342に当接するように構成された第2内側に突出した環状リップ部356を含んでもよい。第1スリーブ部350が第2スリーブ部355に溶接されると、第1内側に突出した環状リップ部351は入口サファイア窓340に圧力をかけ、同様に第2内側に突出した環状リップ部356は出口窓342に圧力をかけ、それによってチャンバアセンブリ330を一体として保持する。
【0028】
第1スリーブ部350は、チャンバアセンブリ330を取り囲む溶接継手370(
図3A)において第2スリーブ部355と嵌合するように構成される。第1実施形態において、第1スリーブ部350は、張り出して環状凹部360を形成するように構成された突出フランジ361を含む。環状凹部360は、嵌合部362を受け入れるように構成される。
【0029】
第1実施形態において、第1スリーブ部350及び第2スリーブ部355は、環状凹部360内部の上で突出フランジ361及び嵌合部362に架かる溶接継手370において接合されるが、他の接合構成であってもよい。
【0030】
図3~5は、入口サファイア窓340に隣接した第1スリーブ部350及び出口窓342に隣接した第2スリーブ部355を示すが、代替実施形態において、第1スリーブ部350は出口窓342に隣接するように構成され、第2スリーブ部355は入口サファイア窓340に隣接するように構成され得る。
【0031】
代替実施形態において、例えば、チャンバ330内の動作圧力が最大3500psiであり、300C~約900Cの温度で動作するランプに関して、コバール又はアンバーがサファイアの代わりに管材料として用いられ得る。窓340、342は、例えば8mm~100mmの径を有してもよい。異なる実施形態において、窓340、342は、所望の波長を透過及び/又は反射するようにコーティングされ得る。窓340、342は、入口レーザ光及び/又は出口高輝度光を造形するための入口及び/又は出口レンズの形式であってもよい。
【0032】
一般的に、ランプ300は、例えばサファイア管310を貫通する電極等、従来の点火電極を含まなくてもよい。代わりにランプ300は、入口レーザのエネルギによって点火されてもよい。代替実施形態において、例えばKr-85及び/又は内部受動トリエーテッドタングステン電極リング等の活性電荷キャリアが、点火(イオン化可能媒体のイオン化)を容易にするためにチャンバ330内に収容されてもよい。
【0033】
図6に示すように、組立て及び密封プロセスは自動化されてよく、希ガス(Xe、Ar、He、Kr)のアトモスフィアを有する密封加圧ツーリングチャンバ600内で実行され得る。可動棒630は、窓340、342及び金属密封リング320、322を、窓340、342及び管310によって形成された加圧チャンバ330内に押し込むために用いられる。最終TIG溶接シーリングステップは、大気下で実行され得る。
【0034】
第1実施形態は、管310、2つのサファイア窓340、342、及び2つの金属密封リング320、322を有するチャンバアセンブリ330を含むが、第2実施形態(不図示)において、チャンバアセンブリは、1つの開放端及び閉鎖端を有し、開放端が第1実施形態と同様に窓及び金属密封リングで密封された管を有してもよい。チャンバ管が溶接されず、溶接外部構造/クランプによって一体として保持される他の代替実施形態も可能である。
【0035】
図7は、密封可能加圧レーザ維持プラズマランプ300を形成するための方法の典型的な実施形態のフローチャート700を示す。留意すべき点として、フローチャートにおける任意のプロセス説明又はブロックは、プロセスにおける特定の論理機能を実装するための1又は複数の命令を含むモジュール、セグメント、コードの一部、又はステップを表すものとして理解すべきであり、本発明に関する当業者によって理解されるように、含まれる機能性に依存して、実質的に同時又は逆の順序を含む、図示又は説明したものとは異なる順序で機能が実行され得る代替の実装は、本発明の範囲内に含まれる。
【0036】
ブロック710に示すように、ランプ300のための部品(例えば、スリーブ350、355、及び管310、金属密封リング320、322、及び窓340、342を含むチャンバアセンブリ330)は、例えば大気圧において、加圧ツーリングチャンバ600内のジグ610の内側に配置される。ここで、チャンバアセンブリ330の部品は、スリーブ350、355によって機械的に定位置に保持されるが、チャンバアセンブリ330は機能的に密封されていない。
【0037】
ブロック720に示すように、加圧ツーリングチャンバ600は密封されている。ブロック730に示すように、加圧ツーリングチャンバ600は、ランプ300のチャンバ330を充填するために用いられるイオン化可能媒体で充填される。加圧ツーリングチャンバ600は、その後、例えば250~2000psiに加圧される。ブロック740に示すように、加圧ツーリングチャンバ600内の可動棒630は、窓340、342及び金属密封リング320、322をサファイア管310とともに押し込むことで、チャンバアセンブリ330の密封を形成するように設けられている。例えば、棒は、ランプ300をジグ610に対して圧縮してもよい。
【0038】
チャンバアセンブリ330の密封が実現されると、ブロック750に示すように、ツーリングチャンバは空にされる。例えば、可動棒630が金属密封リング320、322にサファイア窓340、342の両方を押し付け、密封が係合しているとこれがわずかに曲がり、密封の係合が測定され得る。充填ガス(イオン化可能媒体)は、今後の充填処理のために回収され得る。
【0039】
ブロック760に示すように、金属スリーブ部350、355は、例えばTIG溶接によって一体に溶接される。可動棒630は、TIG溶接の後に外され、TIG溶接スリーブ350、355が、窓340、342を拘束する機能を引き継ぐ。TIG溶接は、スリーブ350、355の周囲を切れ目なく360度取り囲まなくてもよい。例えば、90%の部分又は他の適切な構成が、加圧ツーリングチャンバ600の設計に対してスリーブ350、355の一貫性を維持するために十分であり得る。TIG溶接金属スリーブ350、355は、窓340、342及びサファイア管310をすべての圧力に対して保持するためのクランプとして機能し、チャンバアセンブリ330の内部充填ガス圧によってスリーブ350、355に対して外側へ押された窓340、342は、製品寿命に亘り完全に収容される。
【0040】
代替実施形態において、大気圧下で金属スリーブ350、355を一体にTIG溶接するのではなく、金属スリーブ350、355は、例えば金属スリーブ350、355の少なくとも1つに埋め込まれた無線周波(RF)コイルによって、ツーリングチャンバが空にされる前にロウ付けされ得る。RFコイルを流れる電流が金属スリーブを加熱し、金属スリーブ350、355よりも低い融解点を有する非鉄合金を用いたロウ付けを可能にする。
【0041】
上述の方法は、サファイア窓及び管に関して説明されたが、この方法は、サファイア窓及び/又はサファイア管シーリングに限定されるものではない。例えば、この方法は、任意の高温化学不活性管へのサファイア窓(又は他の材料の窓)のシーリングに適用され得る。この方法は、密封及び加圧環境を生成し、その結果生じる構造がプラズマ温度及びプラズマ放射に耐性を持つようにするために利用され得る。
【0042】
また、上述した実施形態は、黒体色温度、関連するスペクトル及び放射輝度に直接影響を与える金属蒸気による動作圧力を高めるために、メタルハライド、水銀、及び他の固体のランプチャンバへの導入容易性を有利にもたらす。
【0043】
当業者には明らかであるように、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本発明の構造に対する様々な変更例及び変形例が作られてもよい。上記の観点から、本発明は、本発明の変更例及び変形例が以下の特許請求の範囲及びその均等物の範囲に収まる場合、これを包含することが意図される。