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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20230616BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20230616BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F24C7/04 301A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019136583
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021021502
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 真澄
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-134049(JP,A)
【文献】特開2014-234929(JP,A)
【文献】特開平10-155659(JP,A)
【文献】特開2001-221439(JP,A)
【文献】特開2006-064276(JP,A)
【文献】特開2015-021682(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1256476(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理容器を加熱する加熱部と、該加熱部の発熱量を複数レベルの発熱量に可変的に制御可能な制御部とを備え、該制御部が、麺茹でモードでの前記加熱部の運転時に、該加熱部により加熱された前記調理容器内の液体への麺の投入後に、該加熱部の発熱量を大小2種類のレベルに交互に切換える発熱量切換制御の処理を実行するように構成された加熱調理器であって、
前記制御部は、前記発熱量切換制御の処理の実行開始前にユーザが所定の操作により設定した前記加熱部の発熱量のレベルが前記複数レベルのうちのあらかじめ定められた複数の特定レベルのいずれかの特定レベルであるとき、前記大小2種類のレベルのうちの大側のレベルを、当該設定された特定レベルに一致させるように前記発熱量切換制御の処理を実行するように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1記載の加熱調理器において、
前記複数の特定レベルは、前記加熱部の発熱量の複数レベルのうちの最大レベルよりも小さく、且つ、該複数レベルのうちの最小レベルよりも大きい所定範囲内のレベルであることを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2記載の加熱調理器において、
前記制御部は、前記ユーザにより設定されたレベルが前記所定範囲よりも大きいレベルであるときには、前記大側のレべルを前記複数の特定レベルのうちの最大の特定レベルに一致させ、前記ユーザにより設定されたレベルが前記所定範囲よりも小さいレベルであるときには、前記大側のレべルを前記複数の特定レベルのうちの最小の特定レベルに一致させるように前記発熱量切換制御の処理を実行するように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、麺茹でモードでの前記加熱部の運転時に、前記発熱量切換制御の処理の実行開始前に、前記調理容器内の液量を推定する処理である液量推定処理を実行する機能をさらに有すると共に、前記発熱量切換制御の処理において、前記大小2種類のレベルのうちの少なくとも一方のレベルの発熱量での前記加熱部の作動時間を前記推定した液量に応じて変化させるように構成されており、さらに、前記液量推定処理では、前記加熱部の発熱量を一定レベルに維持した状態での前記調理容器の温度の検出値の変化に基づいて該調理容器内の液量を推定することを実行し得るように構成されていると共に、該液量推定処理の実行開始前にユーザが設定した前記加熱部の発熱量のレベルが前記特定レベルであるとき、該液量推定処理での前記加熱部の発熱量を当該設定された特定レベルに維持するように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項4記載の加熱調理器において、
前記制御部は、前記液量推定処理において、前記調理容器の温度の検出値の変化に基づいて該調理容器内の液量を推定することを、該液量推定処理の実行開始前にユーザが設定した前記加熱部の発熱量が所定レベルよりも高い発熱量である場合にのみ実行し、該発熱量が前記所定レベル以下の発熱量であるときには、前記調理容器の温度の検出値によらずに、前記調理容器内の液量が、小量と該小量よりも多い量とのうちの小量と推定するように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺茹で用の機能を有する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
麺茹で用の機能を有する加熱調理器が従来より知られている。例えば特許文献1には、麺茹でモードを備える加熱調理器としてのガスコンロが記載されている。このガスコンロでは、麺茹でモードで加熱部の発熱運転(バーナの燃焼運転)を開始すると、調理容器の温度が75℃から90℃に上昇するまでの計測時間に基づいて調理容器内の水量が判定される。その後、調理容器内の水の沸騰が検知された後に、ユーザが調理容器内に麺を投入し、さらに、所定の操作(タイマスイッチの操作)を行うと、沸騰検知後の経過時間が所定時間に達するまで、吹き零れを防止し得るように、加熱部の発熱量(バーナの発熱量)を大小に交互に切換えることが行われる。この場合、大小の発熱量は、調理容器内の水量に応じて設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-21682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に見られる技術では、麺茹でモードおいて、麺の投入後に大小に交互に切り換えられる加熱部の発熱量(バーナの火力)は、該発熱量の切換え動作の開始前の加熱部の発熱量に関わらずに、調理容器内の水量に応じて自動的に決定される。このため、上記切換え動作における大側の発熱量が、麺茹で調理の初期にユーザが設定した発熱量や、調理容器内の液量の判定のために自動的に設定される発熱量と異なる発熱量になる状況が発生しやすい。そして、このような状況では、ユーザが違和感や不安感を覚える虞れがある。
【0005】
例えば、麺茹で調理の初期に、ユーザが加熱部の発熱量を中程度の発熱量に設定したのに、上記切換え動作における大側の発熱量がより大きな発熱量となる場合があり、その場合には、ユーザが上記切換え動作における大側の発熱量が大き過ぎると感じやすい。
【0006】
また、ユーザが加熱部の発熱量を中程度の発熱量に設定したのに、上記切換え動作における大側の発熱量がより小さな発熱量となる場合があり、その場合には、ユーザが上記切換え動作における大側の発熱量が小さ過ぎると感じやすい。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、麺茹で調理における加熱部の発熱量の大小の切換え動作における大側の発熱量が、該切換え動作の開始前の発熱量から変化するのを極力防止し得るように発熱量の大小の切換え動作を行うことができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するために、調理容器を加熱する加熱部と、該加熱部の発熱量を複数レベルの発熱量に可変的に制御可能な制御部とを備え、該制御部が、麺茹でモードでの前記加熱部の運転時に、該加熱部により加熱された前記調理容器内の液体への麺の投入後に、該加熱部の発熱量を大小2種類のレベルに交互に切換える発熱量切換制御の処理を実行するように構成された加熱調理器であって、
前記制御部は、前記発熱量切換制御の処理の実行開始前にユーザが所定の操作により設定した前記加熱部の発熱量のレベルが前記複数レベルのうちのあらかじめ定められた複数の特定レベルのいずれかの特定レベルであるとき、前記大小2種類のレベルのうちの大側のレベルを、当該設定された特定レベルに一致させるように前記発熱量切換制御の処理を実行するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0009】
かかる本発明によれば、発熱量切換制御の処理の実行開始前にユーザが所定の操作により設定した加熱部の発熱量のレベルが、前記複数の特定レベルのいずれかの特定レベルであれば、発熱量切換制御の処理での大小2種類のレベルのうちの大側のレベルが、当該設定された特定レベルに一致するようにして、発熱量切換制御の処理が実行される。
【0010】
よって、第1発明によれば、麺茹で調理における加熱部の発熱量の大小の切換え動作における大側の発熱量が、該切換え動作の開始前にユーザが設定した発熱量から変化するのを極力防止することができる。
【0011】
上記第1発明では、前記複数の特定レベルは、前記加熱部の発熱量の複数レベルのうちの最大レベルよりも小さく、且つ、該複数レベルのうちの最小レベルよりも大きい所定範囲内のレベルであることが好ましい(第2発明)。
【0012】
これによれば、前記特定レベルは、複数レベルのうちの最大レベルよりも小さいので、発熱量切換制御の処理の実行中に、加熱部の発熱量が間欠的に最大レベルの発熱量もしくはこれに近い発熱量になるような態様で、加熱部の発熱量の大小の切換えが行われるのを防止することができる。ひいては、ユーザに吹き零れの虞れの不安感を及ぼすのを防止できる。
【0013】
また、前記特定レベルは、複数レベルのうちの最小レベルよりも大きいので、発熱量切換制御の処理での加熱部の発熱量の大側のレベルが、小さくなり過ぎるのを防止することができる。ひいては、麺茹でを適切に進行させることが可能となる。
【0014】
また、麺茹で調理において、ユーザが加熱部の発熱量を中程度の発熱量に設定することは一般に高い頻度で行われるので、加熱部の発熱量の大小の切換え動作における大側の発熱量が、該切換え動作の開始前にユーザが設定した発熱量から変化するのを極力防止することの効果を高めることができる。
【0015】
上記第2発明では、前記制御部は、前記ユーザにより設定されたレベルが前記所定範囲よりも大きいレベルであるときには、前記大側のレべルを前記複数の特定レベルのうちの最大の特定レベルに一致させ、前記ユーザにより設定されたレベルが前記所定範囲よりも小さいレベルであるときには、前記大側のレべルを前記複数の特定レベルのうちの最小の特定レベルに一致させるように前記発熱量切換制御の処理を実行するように構成されていることが好ましい(第3発明)。
【0016】
これによれば、ユーザにより設定されたレベルが前記所定範囲よりも大きいレベルであるとき、あるいは、前記所定範囲よりも小さいレベルであるときに、発熱量切換制御の処理における大側のレベルが、ユーザにより設定されたレベルから大きく変化するのを防止することができる。ひいては、ユーザに違和感を及ぼすのを防止することができる。
【0017】
上記第1~第3発明では、前記制御部は、麺茹でモードでの前記加熱部の運転時に、前記発熱量切換制御の処理の実行開始前に、前記調理容器内の液量を推定する処理である液量推定処理を実行する機能をさらに有すると共に、前記発熱量切換制御の処理において、前記大小2種類のレベルのうちの少なくとも一方のレベルの発熱量での前記加熱部の作動時間を前記推定した液量に応じて変化させるように構成されており、さらに、前記液量推定処理では、前記加熱部の発熱量を一定レベルに維持した状態での前記調理容器の温度の検出値の変化に基づいて該調理容器内の液量を推定することを実行し得るように構成されていると共に、該液量推定処理の実行開始前にユーザが設定した前記加熱部の発熱量のレベルが前記特定レベルであるとき、該液量推定処理での前記加熱部の発熱量を当該設定された特定レベルに維持するように構成されているという態様を採用し得る(第4発明)。
【0018】
これによれば、発熱量切換制御の処理の実行前に実行される液量推定処理における加熱部の発熱量は、該液量推定処理の実行前にユーザのより設定された発熱量のレベルが前記複数の特定レベルのいずれかであれば、その設定された特定レベルの発熱量に維持される。このため、発熱量切換制御の処理の実行前に、加熱部の発熱量が、ユーザにより設定された発熱量から自動的に変化してしまうのを極力防止することが可能となる。ひいては、ユーザに違和感を及ぼすことを防止することの効果を高めることが可能となる。
【0019】
また、発熱量切換制御の処理では、大小2種類のレベルのうちの少なくとも一方のレベルの発熱量での加熱部の作動時間を液量推定処理で推定した液量に応じて変化させるので、大小2種類のレベルを液量に応じて変化させずとも、吹き零れを適切に防止しつつ、麺を茹であげることができる。
【0020】
上記第4発明では、前記制御部は、前記液量推定処理において、前記調理容器の温度の検出値の変化に基づいて該調理容器内の液量を推定することを、該液量推定処理の実行開始前にユーザが設定した前記加熱部の発熱量が所定レベルよりも高い発熱量である場合にのみ実行し、該発熱量が前記所定レベル以下の発熱量であるときには、前記調理容器の温度の検出値によらずに、前記調理容器内の液量が、小量と該小量よりも多い量とのうちの小量と推定するように構成され得る(第5発明)。
【0021】
ここで、麺茹で調理の初期において、ユーザは、通常、調理容器のサイズや、該調理容器内の液量に適合するように加熱部の発熱量を設定するので、液量推定処理の実行開始前にユーザが設定した加熱部の発熱量が所定レベル以下の発熱量であるときには、調理容器内の液量が小量であると推定し得る。そこで、第5発明では、上記の如く液量推定処理を実行する。これにより、調理容器内の液量が小量である場合には、調理容器の温度の検出値の変化を計測することを必要とせずに、調理容器内の液量の推定を早期に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態の加熱調理器の全体構成を示す図。
図2図1に示す制御装置の、第1実施形態での処理を示すフローチャート。
図3図3Aは液量推定処理用の火力レベルと火力切換制御用の大小の火力レベルとの設定の仕方の一例を説明するための図、図3Bは液量推定処理用の火力レベルと火力切換制御用の大小の火力レベルとの設定の仕方の他の例を説明するための図。
図4図1に示す制御装置の、第2実施形態での処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
本発明の一実施形態を図1図3Aを参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の加熱調理器1は、例えばガスコンロであり、燃焼式の加熱部としてのバーナ2と、バーナ2に燃料ガスを供給する燃料供給路3と、バーナ2の点火用の点火電極7aに火花放電を発生させるイグナイタ7とを備える。
【0028】
燃料供給路3には、これを開閉可能な開閉弁5と、バーナ2への燃料供給量を調整する(ひいては、バーナ2の火力を調整する)ための火力調整弁6とが介装されている。開閉弁5は、例えば電磁弁により構成され、火力調整弁6は、例えば比例弁、あるいは、モータ駆動方式の電動弁により構成される。なお、本実施形態では、バーナ2の火力が本発明における加熱部の発熱量に相当する。
【0029】
上記構成を備える本実施形態の加熱調理器1では、イグナイタ7を作動させつつ、開閉弁5を開弁制御することで、点火電極7aに火花放電が発生しつつ、バーナ2に燃料ガスが供給される。これにより、バーナ2が点火され、該バーナ2の燃焼運転が開始する。
【0030】
そして、バーナ2の燃焼運転中は、火力調整弁6を制御することで、バーナ2への燃料供給量が調整され、ひいては、バーナ2の火力(発熱量)が調整される。さらに、開閉弁5を閉弁制御することで、バーナ2への燃料供給が遮断され、該バーナ2が消火される。なお、図1では、1つのバーナ2だけを図示しているが、加熱調理器1は、各別に燃焼運転を行い得る複数のバーナを備えていてもよい。
【0031】
本実施形態の加熱調理器1は、さらに、種々の視覚的情報を表示する表示器11と、警報音、音声等の聴覚的情報を出力する発音器12と、加熱調理器1の運転に関する種々の操作をユーザが行うための操作部13と、バーナ2により加熱される調理容器C等の加熱対象物の温度を検出可能な温度検出器15と、加熱調理器1の運転制御を行う機能を有する制御装置20とを備える。
【0032】
表示器11は、例えば液晶表示器、LED表示器、有機EL表示器等により構成され、発音器12は、例えばスピーカ、ブザー等により構成される。温度検出器15は、サーミスタ等の温度センサを内蔵しており、バーナ2の周囲に設置されている五徳(図示せず)上に調理容器C等の加熱対象物が載置された状態で、該加熱対象物の底面に接触して該加熱対象物から伝熱されるように、バーナ2の中心部に設置されている。
【0033】
操作部13は、本実施形態では、バーナ2の点火操作、消火操作及び火力調整操作を行うためのバーナ操作部13aと、バーナ2を使用した自動調理運転の種類(調理モード)の選定操作や各調理モードに関する設定データ(時間、調理温度、火力等)を入力する操作等を行うための調理モード設定部13bとを含む。
【0034】
バーナ操作部13aは、例えば、バーナ2の点火又は消火のための押し操作と、火力調整のための回転操作とを行い得るように構成されている。この場合、バーナ2の火力は、本実施形態では、バーナ操作部13aの回転操作よって、最小火力のレベルである第1火力レベルから、最大火力のレベルである第9火力レベルまで、9段階の火力レベルに可変的に設定可能である。なお、バーナ操作部13aは、バーナ2の点火又は消火のための操作部と、火力調整のための操作部とを各別に備えていてもよい。
【0035】
調理モード設定部13bは、詳細な図示は省略するが、複数のスイッチ等により構成される。本実施形態では、調理モード設定部13bの操作により選定可能な調理モードとしては、湯沸かしを行うための湯沸かしモードや、麺茹でを行うための麺茹でモード等が含まれる。そして、麺茹でモードでは、例えば、麺茹で用の液体の沸騰後に行う麺茹での必要時間を調理モード設定部13bの操作によって設定することが可能である。
【0036】
制御装置20は、本発明における制御部に相当するものであり、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成される。この制御装置20には、前記操作部13の操作信号が入力されると共に、加熱調理器1に備えられた種々のセンサ(前記温度検出器15を含む)の検出信号が入力される。
【0037】
そして、制御装置20は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能として、バーナ2の燃焼運転を制御する機能と、表示器11の表示及び発音器12の作動を制御する機能とを有する。さらに、制御装置20は、図1に示す如く、バーナ2により加熱される調理容器C内の液体が沸騰状態であるか否かを検知する沸騰検知部21としての機能と、調理容器C内の液量を推定する処理を実行する液量推定部22としての機能と、麺茹でモードでの火力切換制御の処理を実行する火力切換制御部23としての機能とを含む。液量推定部22が実行する処理が本発明における液量推定処理に相当し、火力切換制御部23が実行する火力切換制御の処理が本発明における発熱量切換制御の処理に相当する。
【0038】
次に、制御装置20の制御処理の詳細と併せて、麺茹でモードでの加熱調理器1の作動を説明する。ユーザが、バーナ2を使用した麺茹で調理を実行するために、調理モード設定部13bの操作により麺茹でモードを選定すると、制御装置20は、図2のフローチャートに示す処理を実行する。
【0039】
STEP1で、制御装置20は、バーナ2の点火操作がなされたか否かを操作部13から与えられる操作信号に基づいて判断し、この判断結果が肯定的になるまで、STEP1の判断処理を逐次繰り返す。
【0040】
バーナ2の点火操作がなされることによって、STEP1の判断結果が肯定的になると、制御装置20は、イグナイタ7を作動させつつ、開閉弁5を開弁制御するという点火処理を実行することで、バーナ2を点火させる。
【0041】
そして、この点火処理によりバーナ2の燃焼運転が開始すると、制御装置20は、麺茹でモードでの実体的な制御処理をSTEP3から開始する。この制御処理は、バーナ2により加熱する調理容器C内の液体を沸騰させる沸騰工程に係る制御処理と、その後に、調理容器C内に投入された麺を茹でる麺茹で工程に係る制御処理とに大別される。
【0042】
沸騰工程では、制御装置20はSTEP3~11の処理を実行する。まず、STEP3において、制御装置20は、バーナ操作部13aの操作によって設定されているバーナ2の現在の火力レベルを記憶保持する。そして、制御装置20は、STEP6の判断結果が肯定的にまで、STEP4~6の処理の実行する。
【0043】
STEP4では、制御装置20は、バーナ操作部13aの操作によるバーナ2の火力の変更操作がなされたか否かを操作部13から与えられる操作信号に基づいて判断する。そして、このSTEP4の判断結果が肯定的である場合には、制御装置20は、STEP5において、バーナ2の変更後の火力レベルを改めて記憶保持する(換言すれば、記憶保持する火力レベルを変更後の火力レベルに更新する)。
【0044】
また、制御装置20は、STEP4の判断結果が否定的である場合には、あるいは、STEP5の処理の実行後に、STEP6の判断処理を実行する。このSTEP6では、制御装置20は、温度検出器15により検出される調理容器Cの温度Thが、第1所定温度TH1(例えば70℃)以上の温度に上昇したか否かを判断する。そして、このSTEP6の判断結果が否定的である場合には、制御装置20はSTEP4からの処理を繰り返す。
【0045】
調理容器Cの温度Thの検出値が、第1所定温度TH1(70℃)以上の温度に上昇することによって、STEP6の判断結果が肯定的になると、制御装置20は、次に、調理容器C内の液量の大小度合いを推定するための処理をSTEP7~10で実行する。この処理が前記液量推定部22の処理である。
【0046】
STEP7では、制御装置20の液量推定部22は、前記STEP3~6の処理の実行中に最終的に記憶保持した火力レベル(バーナ2の現在の火力レベル)に応じて、液量推定用の火力レベルを決定する。この液量推定用の火力レベルは、例えば図3Aに示す如く決定される。
【0047】
すなわち、記憶した火力レベルが第3火力レベル~第9火力レベルのいずれかの火力レベルである場合には、その火力レベルがそのまま液量推定用の火力レベルとして決定される。また、記憶した火力レベルが最小の火力レベルもしくはそれに近い火力レベルである第1火力レベル又は第2火力レベルである場合には、バーナ2の火力が小さすぎて、調理容器C内の液体が昇温し難いことから、これらの火力レベルよりも大きい火力レベル、例えば第3火力レベルが液量推定用の火力レベルとして決定される。
【0048】
次いで、STEP8において、制御装置20の液量推定部22は、バーナ2の実際の火力レベルを、上記の如く決定した液量推定用レベルに設定するように前記火力調整弁6を制御する。この場合、先に記憶した火力レベルが第3火力レベル~第9火力レベルのいずれかの火力レベルである場合には、バーナ2の火力レベルは変更されず、前記STEP6の判断処理の実行前にユーザが最終的に設定した火力レベルに維持される。
【0049】
一方、先に記憶した火力レベルが第1火力レベル又は第2火力レベルである場合には、バーナ2の火力レベルは、STEP8において、第3火力レベルまで増加される。ただし、第3火力レベルは、比較的小さい火力レベルであり、該第3火力レベルでのバーナ2の燃焼炎は、調理容器Cの底面の外周よりも内側に十分に収まる程度の大きさの炎である。また、第3火力レベルは、第1火力レベル及び第2火力レベルよりも大きい火力レベルのうち、第1火力レベル及び第2火力レベルに最も近い火力レベルである。このため、ユーザは、バーナ2の火力レベルが第1火力レベル又は第2火力レベルから第3火力レベルに増加しても、そのことに気付かないか、もしくは気付いても、違和感等を覚えるほどではない。
【0050】
次いで、STEP9において、制御装置20の液量推定部22は、調理容器Cの温度Thの検出値が、第2所定温度TH2(例えば75℃)から、第3所定温度TH3(例えば90℃)まで上昇するのに要した時間である昇温時間を計測する。
【0051】
そして、STEP10において、液量推定部22は、STEP8で決定した液量推定用火力レベルと、STEP9で計測した昇温時間とから、調理容器C内の液量を推定する。この場合、液量推定部22は、調理容器C内の液量を例えば、大中小の3種類に分類して推定する。具体的には、液量推定部22は、液量推定用火力レベルと計測した昇温時間とから、あらかじめ実験等に基づいて作成された規則(マップ又は演算式等により表される規則)に従って液量を推定する
【0052】
液量推定部22の処理(STEP7~10の処理)は、以上の如く実行される。なお、調理容器C内の液量の推定手法は上記の手法に限られない。例えば、調理容器Cの温度の、所定時間当たりの上昇量と、液量推定用火力レベルとに基づいて調理容器C内の液量を推定してもよい。また、調理容器C内の液量を、大中小の3種類よりも細かく分類して推定したり、あるいは、例えば大小の2種類だけに分類して推定することも可能である。
【0053】
次に、制御装置20は、STEP11において、調理容器C内の液体の沸騰が検知されたか否かを判断する処理を、その判断結果が肯定的になるまで沸騰検知部21により実行する。この場合、沸騰検知部21は、例えば、温度検出器15により逐次検出される調理容器Cの温度の変化形態に基づいて、調理容器C内の液体が沸騰状態になったか否かを判断する。
【0054】
例えば、沸騰検知部21は、調理容器Cの温度の検出値が所定温度、上昇するのに要する時間を計時するタイマの計時値が所定値を超えた場合、あるいは、調理容器Cの温度の検出値が所定温度以上でほぼ一定に保たれる状態が所定時間以上、継続した場合に、調理容器C内の液体が沸騰状態であると判断する。なお、調理容器C内の液体の沸騰状態を検知する手法としては、上記の手法に限らず、他の様々な公知の手法を採用し得る。
【0055】
調理容器C内の液体が沸騰状態になって、STEP11の判断結果が肯定的になると、制御装置20は、次に、STEP12から面茹で工程の処理を火力切換制御部23により実行する。
【0056】
STEP12では、制御装置20の火力切換制御部23は、調理容器Cの麺が投入されたか否かを判断する処理を、その判断結果が肯定的になるまで実行する。ここで、本実施形態では、制御装置20は、STEP11の判断結果が肯定的になると、調理容器C内に麺を投入すべき旨の案内情報を前記表示器11及び発音器12の一方又は両方を介してユーザに報知する。そして、この報知に応じて、ユーザが調理容器C内に麺を投入し、さらに調理モード設定部13bの所定のスイッチ操作を行うと、火力切換制御部23は、調理容器C内に麺が投入されたことを認識し、ひいては、STEP12の判断結果が肯定的になる。なお、例えば、調理容器Cの温度変化に基づいて調理容器Cへの麺の投入を判断してもよい。
【0057】
調理容器Cへの麺の投入によって、STEP12の判断結果が肯定的になると、火力切換制御部23は、次に、バーナ2の火力レベルを大小2種類の火力レベルに交互に周期的に切換える制御処理を開始するために、STEP13において、大小それぞれの火力レベルを決定する処理と、大小それぞれの火力レベルでバーナ2の燃焼運転を行う時間幅(火力レベルの切換えの1周期当たりの時間幅)を決定する処理とを実行する。
【0058】
この場合、大小の火力レベルは、STEP6の判断結果が肯定的になる前(液量推定部22の処理の開始前)に、記憶保持した火力レベルに応じて、例えば図3Aに示す如く決定される。
【0059】
すなわち、記憶した火力レベルが第1火力レベル又は第2火力レベルである場合には大側の火力レベルは、液量推定用の火力レベルと同じ火力レベルである第3火力レベルに決定され、小側の火力レベルは、第2火力レベルに決定される。
【0060】
また、記憶した火力レベルが第3火力レベル~第6火力レベルのいずれの火力レベルである場合には、大側の火力レベルは、記憶した火力レベル(=液量推定用の火力レベル)と同じ火力レベルに決定され、小側の火力レベルは、第2火力レベルに決定される。なお、本実施形態では、第3火力レベル~第6火力レベルの4つの火力レベルが、本発明における特定レベルに相当する。
【0061】
また、記憶した火力レベルが第7火力レベル~第9火力レベルのいずれの火力レベルである場合には、大側の火力レベルは、第6火力レベルに決定され、小側の火力レベルは、第2火力レベルに決定される。
【0062】
また、大小それぞれの火力レベルの時間幅は、大小それぞれの火力レベルの各組合せ毎に、液量推定部22により推定された液量に応じて、あらかじめ作成された規則(例えばマップ、演算式等により表される規則)に基づいて決定される。この場合、推定された液量が大きいほど、小側の火力レベルの時間幅に対する大側の火力レベルの時間幅の比率が大きくなるように、大小それぞれの火力レベルの時間幅が決定される。なお、大小それぞれの火力レベルの時間幅を決定するための規則は、吹き零れが発生するのを防止し得るように、実験等に基づいて作成される。
【0063】
次いて、STEP14において、火力切換制御部23は、STEP11で沸騰が検知されてからの経過時間、あるいは、STEP12で麺の投入が認識されてからの経過時間が、調理モード設定部13bの操作によりユーザがあらかじめ設定した時間に達するまで、火力切換制御の処理を実行する。
【0064】
この処理では、火力切換制御部23は、STEP13で決定した大側の火力レベル及び時間幅でのバーナ2の燃焼運転と、決定した小側の火力レベル及び時間幅でのバーナ2の燃焼運転とを交互に行わせるように、火力調整弁6を制御する。これにより、調理容器C内に投入された麺が、吹き零れを生じないように、茹であげられる。なお、火力切換制御の処理が終了すると、制御装置20は、開閉弁5を閉弁制御することで、バーナ2を消火させると共に、麺茹でが終了した旨の案内情報を、表示器11及び発音器12の一方又は両方から出力させる。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、麺茹でモードでの調理において、液量推定部22の処理(調理容器C内の液量を推定する処理)の実行前に、ユーザがバーナ操作部13aの操作によって設定したバーナ2の火力レベルが、第3火力レベル~第6火力レベルのうちのいずれかの火力レベルである場合には、液量推定部22の処理でのバーナ2の火力レベルが、ユーザにより先に設定された火力レベルに維持されると共に、火力切換制御部23の処理(バーナ2の火力を大小に交互に切り替える処理)での大側の火力レベルもユーザにより先に設定された火力レベルに決定される。
【0066】
従って、ユーザがバーナ操作部13aの操作によって設定したバーナ2の火力レベルが、複数の特定レベルとしての第3火力レベル~第6火力レベルのうちのいずれかの火力レベルである場合には、液量推定部22の処理でのバーナ2の火力レベルや、火力切換制御部23の処理での大側の火力レベルが、ユーザにより設定された火力レベルから変化しないようにすることができる。
【0067】
この場合、第3火力レベル~第6火力レベルは、麺茹で調理の初期において、一般的に高い頻度でユーザが設定する火力レベル(常用的な火力レベル)であるので、液量推定部22の処理でのバーナ2の火力レベルや、火力切換制御部23の処理での大側の火力レベルが、ユーザにより設定された火力レベルから変化するのを極力防止することを効果的に実現できる。ひいては、ユーザに違和感を及ぼすのを防止できる。
【0068】
また、液量推定部22の処理の実行前にユーザにより設定された火力レベルが第7火力レベル~第9火力レベルのいずれかであるときには、火力切換制御部23の処理での大側の火力レベルは、ユーザにより設定された火力レベルよりも低い火力レベル(本実施形態では第6火力レベルに決定される。このため、火力切換制御部23の処理において、バーナ2の火力が、間欠的に最大レベルもしくはもしくはこれに近いレベルの火力になるというような態様で、バーナ2の火力の大小の切換えが行われるのを防止することができる。ひいては、ユーザに吹き零れの虞れの不安感を及ぼすのを防止できる。
【0069】
また、この場合、大側の火力レベルである第6火力レベルは、特定レベルとしての第3火力レベル~第6火力レベルのうちの最大の火力レベルであるので、ユーザにより設定された火力レベル(第7火力レベル~第9火力レベルのいずれか)からの変化量が比較的小さなものに留まる。そのため、火力切換制御部23の処理で、大側の火力レベルがユーザにより設定された火力レベル(第7火力レベル~第9火力レベルのいずれか)から変化しても、ユーザに違和感を及ぼすのを抑制できる。
【0070】
また、液量推定部22の処理の実行前にユーザにより設定された火力レベルが第1火力レベル及び第2火力レベルのいずれかであるときには、火力切換制御部23の処理での大側の火力レベルは、ユーザにより設定された火力レベルよりも高い火力レベル(本実施形態では第3火力レベルに決定される。このため、火力切換制御部23の処理において、大側の火力レベルが小さくなり過ぎるのを防止し、麺の茹であげを適切に進行させることができる。
【0071】
また、この場合、大側の火力レベルである第3火力レベルは、特定レベルとしての第3火力レベル~第6火力レベルのうちの最小の火力レベルであるので、ユーザにより設定された火力レベル(第1火力レベル及び第2火力レベルのいずれか)からの変化量が比較的小さなものに留まる。そのため、火力切換制御部23の処理で、大側の火力レベルがユーザにより設定された火力レベル(第1火力レベル及び第2火力レベルのいずれか)から変化しても、ユーザに違和感を及ぼすのを抑制できる。
【0072】
なお、本実施形態では、液量推定用の火力レベルは、図3Aに示した如く、ユーザにより設定された火力レベルが第3火力レベル以上の火力レベルである場合に、当該設定された火力レベルをそのまま、液量推定用の火力レベルに決定した。ただし、例えば、図3Bに例示する態様で液量推定用の火力レベルを決定してもよい。この例では、ユーザにより設定された火力レベルが特定レベルとしての第3火力レベル~第6火力レベルのいずれかである場合には、図3Aに示した例と同様に、その火力レベルがそのまま液量推定用の火力レベルに決定される。
【0073】
一方、ユーザにより設定された火力レベルが第7火力レベル又は第8火力レベルである場合には、液量推定用の火力レベルが第6火力レベルに決定される。また、ユーザにより設定された火力レベルが第9火力レベルである場合には、その火力レベルがそのまま液量推定用の火力レベルとして決定される。
【0074】
このようにした場合には、例えば、第7火力レベル及び第8火力レベルのそれぞれの火力レベルでのバーナ2の実際の火力の安定性よりも、第6火力レベルでのバーナ2の実際の火力の安定性の方が高い場合に、より安定性の高い火力レベルを液量推定用の火力レベルとして用いることで、液量推定の信頼性を高めることができる。
【0075】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図4を参照して説明する。なお、本実施形態は、制御装置20の一部の制御処理だけが第1実施形態と相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0076】
本実施形態では、制御装置20は、麺茹でモードにおいて、図4のフローチャートに示す処理を実行する。STEP1~6において、制御装置20は、第1実施形態と同じ処理を実行する。そして、STEP6の判断結果が肯定的になると、制御装置20は、STEP15から液量推定部22の処理を実行する。
【0077】
STEP15では、制御装置20は、制御装置20の液量推定部22は、STEP6の判断結果が肯定的になる前の前記STEP3~6の処理の実行中に最終的に記憶保持した火力レベル(バーナ2の現在の火力レベル)が小中域の火力レベルであるか否かを判断する。該小中域の火力レベルは、例えば第5火力レベル以下の火力レベル(第1火力レベル~第5火力レベルのいずれかの火力レベル)である。
【0078】
そして、STEP15の判断結果が否定的である場合(記憶した火力レベルが第6火力レベル~第9火力レベルのいずれかである場合)には、液量推定部22は、前記第1実施形態で説明したSTEP7~10の処理を実行することで、調理容器C内の液量を推定する。
【0079】
一方、記憶した火力レベルが小中域の火力レベル(第1火力レベル~第5火力レベルのいずれか)である場合には、調理容器C内の液量が比較的少ないために、ユーザが意識的に、バーナ2の火力レベルを小中域の火力レベルに設定した可能性が高い。そこで、STEP15の判断結果が肯定的である場合(記憶した火力レベルが第1火力レベル~第5火力レベルのいずれかである場合)には、液量推定部22は、STEP7~10の処理を実行することなく、STEP16において、バーナ2の火力レベルを現在値に維持したままで、STEP17において、調理容器C内の液量を大中小のうちの小量であるとして推定する。
【0080】
そして、STEP10又は17で液量の推定が終了した後は、制御装置20は、第1実施形態で説明したSTEP11~14の処理を実行する。本実施形態は、以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。なお、STEP6の判断結果が肯定的になる前に最終的に記憶保持した火力レベルが第1火力レベル又は第2火力レベルである場合には、調理容器C内の液体の沸騰を促進するために、バーナ2の火力レベルを例えば第3火力レベルに変更してもよい。
【0081】
以上説明した本実施形態によれば、麺茹でモードでの調理において、液量推定部22の処理(調理容器C内の液量を推定する処理)の実行前に、ユーザがバーナ操作部13aの操作によって設定したバーナ2の火力レベルが、第3火力レベル~第6火力レベルのうちのいずれかの火力レベルである場合に、第1実施形態と同様に、液量推定部22の処理でのバーナ2の火力レベルが、ユーザにより先に設定された火力レベルに維持されると共に、火力切換制御部23の処理(バーナ2の火力を大小に交互に切り替える処理)での大側の火力レベルもユーザにより先に設定された火力レベルに決定される。このため、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0082】
また、液量推定部22の処理の実行前にユーザにより設定された火力レベルが小中域の火力レベル(第5火力レベル以下の火力レベル)である場合には、温度検出器15による調理容器Cの温度の検出値の変化を計測することなく、該調理容器C内の液量を小量と推定するので、該液量の推定処理を簡略化できると共に、制御装置20の演算処理負荷を軽減できる。
【0083】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に他の実施形態をいくつか例示する。前記各実施形態では、火力切換制御部23の処理では、小側の火力レベルを、第2火力レベルに固定したが、小側の火力レベルとして、例えば第1火力レベルを決定してもよい。あるいは、例えば、大側の火力レベルや、推定した液量に応じて、小側の火力レベルを可変的に設定してもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、麺茹でモードでの調理運転中に、液量推定部22により調理容器C内の液量を推定したが、例えば、麺茹でモードでの調理運転の開始時等にユーザが、調理容器C内の液量の大小度合いを示す情報を操作部13で入力し得るようにしてもよい。あるいは、例えば、調理容器Cの重量(内部の液体を含めた重量)を荷重センサにより検出したり、あるいは、調理容器C内の液面高さを測距センサ等を用いて検出し得る場合には、それらの検出データから、調理容器C内の液量を推定してよい。このようにした場合には、図2のSTEP6~10の処理、あるいは、図4のSTEP6~10,15~17の処理を省略してよい。
【0085】
また、前記実施形態では、加熱調理器1としてガスコンロを例示したが、本発明の加熱調理器は、例えば、IHヒータや電熱器を加熱部として備える加熱調理器であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…加熱調理器、2…バーナ(加熱部)、20…制御装置(制御部)、C…調理容器。
図1
図2
図3
図4