(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】緊急通報装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G08B 21/00 20060101AFI20230616BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20230616BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230616BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20230616BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
G08B21/00 U
G08B25/00 510M
G08B25/04 C
G08B21/00 E
H04M11/04
B60R21/00 340
(21)【出願番号】P 2019175656
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】高市 康伸
(72)【発明者】
【氏名】西井 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸一
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 太郎
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-139523(JP,A)
【文献】特開2017-204834(JP,A)
【文献】特開2003-233886(JP,A)
【文献】特開2015-95795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/00
G08B 25/00
G08B 25/04
H04M 11/04
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配置され、押圧により手動で緊急通報を行うための手動スイッチを設けた緊急通報装置であって、
前記車両の車室内に配置され、前記手動スイッチを押圧可能な人物を撮影可能なカメラにより撮影された画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された画像に写った人物の表情を特定する表情特定部と、
前記特定した表情に基づいて、前記緊急通報を中止するか否かを判定する通報判定部と、
を備えることを特徴とする緊急通報装置。
【請求項2】
前記手動スイッチの押圧を検出する押圧検出部をさらに備え、
前記画像取得部は、
前記手動スイッチの押圧を検出した時に画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の緊急通報装置。
【請求項3】
前記手動スイッチの押圧を検出する押圧検出部をさらに備え、
前記表情特定部は、
前記画像取得部によって取得された画像の内、前記手動スイッチの押圧を検出した時に前記カメラにより撮影された画像に写った人物の表情を特定することを特徴とする請求項1に記載の緊急通報装置。
【請求項4】
前記通報判定部は、
前記特定した表情が笑顔である場合、前記緊急通報を中止すると判定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の緊急通報装置。
【請求項5】
前記表情特定部は、
前記取得した画像に写った人物の顔の向きを特定し、
前記通報判定部は、
前記特定した人物の顔の向きが前記手動スイッチを注視する向きでない場合、前記緊急通報を中止すると判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の緊急通報装置。
【請求項6】
前記通報判定部は、
前記押圧検出部が前記手動スイッチの押圧を検出した後、予め決定された時間間隔内に再度、前記押圧検出部が前記手動スイッチの押圧を検出した場合、前記緊急通報を中止しないと判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の緊急通報装置。
【請求項7】
前記通報判定部は、
前記緊急通報装置が搭載された車両が走行中である場合、前記緊急通報を中止すると判定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の緊急通報装置。
【請求項8】
前記通報判定部は、
前記表情特定部において、前記取得された画像に写る人物の表情を特定できなかった場合、前記緊急通報を中止しないと判定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の緊急通報装置。
【請求項9】
車両に配置され、押圧により手動で緊急通報を行うための手動スイッチを用いる、コンピュータによって行う緊急通報方法であって、
前記車両の車室内に配置され、前記手動スイッチを押圧可能な人物を撮影可能なカメラにより撮影された画像を取得するステップと、
取得された画像に写った人物の表情を特定するステップと、
特定した表情に基づいて前記緊急通報を中止するか否かを判定するステップと、
を備えることを特徴とする緊急通報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急通報装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事故などの際にセンタサーバに通報を行う緊急通報システムが知られている。緊急通報システムでは、センタサーバと通信を行うためにテレマティクスコントロールユニット(TCU)を備えるものがある(例えば、特許文献1)。緊急通報システムには、センタサーバに手動で緊急通報を行うための手動スイッチを設けた車両に配置される場合がある。このような手動での緊急通報は、手動スイッチの押圧を検出することによって開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような緊急通報システムでは、手動スイッチの押圧が子供のいたずら等によって行われた場合に誤通報が発生する。そのために、緊急通報システムのセンタサーバにおいて無駄な対応が増加するという不都合があった。
【0005】
本発明の目的は、緊急通報システムのセンタサーバへの緊急通報の誤通報を減少させる緊急通報装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による緊急通報装置は、車両に配置され、押圧により手動で緊急通報を行うための手動スイッチを設けた緊急通報装置であって、車両の車室内に配置され、手動スイッチを押圧可能な人物を撮影可能なカメラにより撮影された画像を取得する画像取得部と、画像取得部によって取得された画像に写った人物の表情を特定する表情特定部と、特定した表情に基づいて、緊急通報を中止するか否かを判定する通報判定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
好適には、本発明による緊急通報装置は、手動スイッチの押圧を検出する押圧検出部をさらに備え、画像取得部は、手動スイッチの押圧を検出した時に画像を取得することを特徴とする。
【0008】
好適には、本発明による緊急通報装置は、手動スイッチの押圧を検出する押圧検出部をさらに備え、表情特定部は、画像取得部によって取得された画像の内、手動スイッチの押圧を検出した時にカメラにより撮影された画像に写った人物の表情を特定することを特徴とする。
【0009】
好適には、通報判定部は、特定した表情が笑顔である場合、緊急通報を中止すると判定することを特徴とする。
【0010】
好適には、表情特定部は、取得した画像に写った人物の顔の向きを特定し、通報判定部は、特定した人物の顔の向きが手動スイッチを注視する向きでない場合、緊急通報を中止すると判定することを特徴とする。
【0011】
好適には、通報判定部は、押圧検出部が手動スイッチの押圧を検出した後、予め決定された時間間隔内に再度、押圧検出部が手動スイッチの押圧を検出した場合、緊急通報を中止しないと判定することを特徴とする。
【0012】
好適には、通報判定部は、緊急通報装置が搭載された車両が走行中である場合、緊急通報を中止すると判定することを特徴とする。
【0013】
好適には、通報判定部は、表情特定部において、取得された画像に写る人物の表情を特定できなかった場合、緊急通報を中止しないと判定することを特徴とする。
【0014】
本発明による緊急通報方法は、車両に配置され、押圧により手動で緊急通報を行うための手動スイッチを用いる、コンピュータによって行う緊急通報方法であって、車両の車室内に配置され、手動スイッチを押圧可能な人物を撮影可能なカメラにより撮影された画像を取得するステップと、取得された画像に写った人物の表情を特定するステップと、特定した表情に基づいて緊急通報を中止するか否かを判定するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、緊急通報システムのセンタサーバへの緊急通報の誤通報を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態における緊急通報装置を備える緊急通報システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施の形態における緊急通報装置の構成図の一例である。
【
図3】笑顔に特徴的な状態である表情要素を有する表情の例を示す図である。
【
図4】笑顔に特徴的でない表情要素を有する表情の例を示す図である。
【
図5】本実施の形態における緊急通報装置と通信を行うセンタサーバの構成図の一例である。
【
図6】
図2に示す緊急通報装置の緊急通報処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による緊急通報装置及び方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。図面中、同一構成要素には同一符号を付すものとする。
図1は、本実施の形態における緊急通報装置を備える緊急通報システムの概要を示す図である。
図1に示す緊急通報システムは、車両1及びセンタサーバ2を備える。車両1及びセンタサーバ2は、通信ネットワーク3を介して通信を行う。
【0018】
車両1は、TCU11と、手動スイッチ12と、車内カメラ13と、を備える。車内カメラ13は、手動スイッチ12を押圧可能な人物を撮影可能な車室内の所定の位置に配置される。TCU11は、手動スイッチ12が押圧されたことを検出すると、手動通報処理を開始する(ステップS1)。この時、TCU11は、車内カメラ13から画像を取得する(ステップS2)。取得した画像に写っている人物が特定の表情をしている場合、TCU11は、手動通報処理を中止する(ステップS3)。
【0019】
図2は、本実施の形態における緊急通報装置の構成図の一例である。
図2において、TCU11は、制御部14及び通信部15を備える。制御部14は、手動スイッチ12、車内カメラ13、ディスプレイ16及び位置取得部17と接続される。
【0020】
手動スイッチ12は、車両1の乗員等がセンタサーバ2に手動で緊急通報を行うためのスイッチである。手動スイッチ12は、車両1のダッシュボードに配置され、押圧されている間にオン信号(ハイ信号)を制御部14に出力する。
【0021】
車内カメラ13は、レンズ及び撮像素子を備える。本実施の形態では、車内カメラ13は、車両1の車室内に配置される。また、車内カメラ13は、手動スイッチ12を押圧可能な位置の人物を撮影できる位置に配置される。具体的には、車内カメラ13は、車両1の前方に配置される。例えば、車内カメラ13は、ダッシュボードなどに配置され、手動スイッチ12を押圧可能な運転席、助手席、これらの二つの席の間の空間等を撮影できるように配置される。
【0022】
車内カメラ13は、撮影した画像に対して、輝度補正、コントラスト補正、圧縮等の画像処理を、車内カメラ13又はTCU11内に配置されたハードウェア回路(図示せず)によって行い、MPEG形式等の画像データとして制御部14に出力する。
【0023】
ディスプレイ16は、各種処理に応じて制御部14によって出力された画像データに対応する画像を表示する。本実施の形態では、ディスプレイ16は、緊急通報の動作についての情報を示す画像を表示する。緊急通報の動作についての情報は、例えば、「手動スイッチが押されたために緊急通報を行っています」等の文字情報である。
【0024】
位置取得部17は、GPS(Global Positioning System)や、GNSS(Global Navigation Satellite System)などの衛星測位システム信号を用いて算出された時刻及び車両1の位置情報を取得する。位置取得部17によって取得された時刻及び車両1の位置情報は、制御部14に供給される。
【0025】
制御部14は、マイクロコンピュータと、入出力ポート、インタフェース回路等の周辺回路と、を備える。マイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を備える。マイクロコンピュータは、コンピュータの一例である。
【0026】
CPUは、緊急通報制御プログラムなどの各種制御プログラムを実行する。RAMは、位置取得部17から取得した時刻及び車両1の位置情報、車内カメラ13から取得した画像等を一時的に格納する。ROMは、各種制御プログラム、車両1を識別するための車両ID等を格納する。
【0027】
本実施の形態では、制御部14は、押圧検出部14a、画像取得部14b、顔画像抽出部14c、表情特定部14d、通報判定部14e、通信制御部14f及び表示制御部14gを備える。押圧検出部14a、画像取得部14b、顔画像抽出部14c、表情特定部14d、通報判定部14e、通信制御部14f及び表示制御部14gは、CPUによって実行されるプログラムによってソフトウェア的に構成される。マイクロコンピュータの専用回路により一部又は全てをハードウェア的に構成してもよい。
【0028】
押圧検出部14aは、手動スイッチ12の押圧を検出する。なお、本実施の形態で押圧検出部14aが検出するのは、いわゆる「長押し」に対応する押圧である。すなわち、押圧検出部14aは、手動スイッチ12が予め決定された時間(例えば、1秒)以上の時間押圧され続けられている場合に、押圧を検出する。詳細には、押圧検出部14aは、手動スイッチ12からのオン信号の持続時間をCPUの内部クロックに基づいて計測する。その後、押圧検出部14aは、該持続時間と予め決定された時間とを比較することによって、手動スイッチ12が押圧されたか否かを判断する。
【0029】
画像取得部14bは、車内カメラ13により撮影された画像を取得する。具体的には、画像取得部14bは、手動スイッチ12の押圧を押圧検出部14aが検出した時に車内カメラ13によって撮影された画像を取得する。画像取得部14bは、取得した画像を顔画像抽出部14cに出力する。
【0030】
顔画像抽出部14cは、画像取得部14bが取得した画像から、人物の顔が写っている領域(以下、「顔画像」)を抽出する。例えば、顔画像抽出部14cは、顔画像検出用に予め学習されたAdaBoost、サポートベクトルマシンのような識別器(図示せず)を用いて顔画像を抽出する。
【0031】
例えば、顔画像抽出部14cは、画像に対して検出ウィンドウを設定し、検出ウィンドウが設定された領域から、識別器で利用される特徴量を抽出する。特徴量は、例えば、HOG特徴量である。そして、顔画像抽出部14cは、抽出した特徴量を識別器に入力することによって、検出ウィンドウが設定された領域に顔画像が存在するか否かの結果を得る。なお、HOG特徴量は、局所領域(セル)の画素値を勾配方向ヒストグラム化して特徴量としたものをいう。
【0032】
顔画像抽出部14cは、上記の処理を検出ウィンドウの位置を変えながら繰り返すことによって、画像中に人物の顔が存在するか否かを判断し、人物の顔が存在する場合には、顔画像を抽出し、RAMに記憶させる。
【0033】
上述した顔画像を抽出するための処理は一例であり、顔画像を抽出するために他の処理を適用することもできる。
【0034】
表情特定部14dは、顔画像から人物がどのような表情をしているかを特定する。本実施の形態では、表情特定部14dは、顔画像に写っている人物の表情が笑顔であるか否かを特定する。
【0035】
表情特定部14dは、顔画像に含まれる顔の口角、眉毛の角度、目等に基づいて、顔画像に写っている人物の表情が笑顔であるか否かを特定する。
【0036】
具体的には、表情特定部14dは、顔画像に含まれる顔の口角、眉毛の角度、目等の表情要素に基づいて、顔画像に写っている人物の表情が笑顔に類似しているかの度合いである笑顔度を算出する。
【0037】
先ず、表情特定部14dは、表情要素ごとにスコアを算出する。表情特定部14dは、表情要素が笑顔の場合に特徴的な状態である場合、高いスコアを付与する。例えば、
図3に示すように、符号F1を付した口角が上がっている、符号F2を付した眉毛の角度がハの字になっている、符号F3を付した目が閉じがちである等の笑顔に特徴的な状態である表情要素には、表情特定部14dは、高いスコアを付与する。逆に、
図4に示すように、符号F1を付した口角が下がっている、符号F2を付した眉毛の角度が逆ハの字になっている、符号F3を付した目を見開いている等の笑顔に特徴的でない要素には、表情特定部14dは、低いスコアを付与する。
【0038】
次に、表情特定部14dは、各表情要素のスコアに基づいて笑顔度を算出する。具体的には、表情特定部14dは、各表情要素のスコアの和を取り、笑顔度を算出する。表情特定部14dは、笑顔度が予め決定された閾値以上である場合、顔画像に写っている人物の表情が笑顔であると特定する。
【0039】
上述した笑顔であるか否かを判定する手法は一例であり、笑顔であるか否かを判定する手法として、他の種々の公知となっている技術を用いてもよい。
【0040】
通報判定部14eは、表情特定部14dによって特定した表情に基づいて、センタサーバ2への緊急通報を中止するか否かを判定する。本実施の形態では、通報判定部14eは、顔画像に含まれる顔の表情が笑顔であると表情特定部14dによって判定されたときにセンタサーバ2への緊急通報を中止すると判定する。
【0041】
通信制御部14fは、通信部15を用いたセンタサーバ2との通信の制御を行う。表示制御部14gは、ディスプレイ16に表示させる画像を生成し、生成した画像をディスプレイ16に表示させる制御を行う。
【0042】
通信部15は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェース回路を有する。そして、通信部15は、通信ネットワーク3を介してセンタサーバ2と通信を行う。
【0043】
図5は、本実施の形態における緊急通報装置と通信を行うセンタサーバの構成図の一例である。
図5において、センタサーバ2は、制御部21、通信部22及びメモリ23を備える。
【0044】
制御部21は、マイクロコンピュータと、入出力ポート、インタフェース回路等の周辺回路と、を備える。マイクロコンピュータは、CPU、RAM及びROMを備える。CPUは、各種制御プログラムを実行する。RAMは、TCU11からのデータ等を一時的に格納する。ROMは、各種制御プログラム等を格納する。
【0045】
本実施の形態では、制御部21は、通信制御部21aを備える。通信制御部21aは、CPUによって実行されるプログラムによってソフトウェア的に構成される。マイクロコンピュータの専用回路により一部又は全てをハードウェア的に構成してもよい。
【0046】
通信制御部21aは、通信部22を用いたTCU11との通信の制御を行う。通信部22は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェース回路を有する。そして、通信部22は、通信ネットワーク3を介してTCU11と通信を行う。メモリ23は、センタサーバ2と通信可能な車両を判別するために車両1の車両ID等を予め格納する。
【0047】
図6は、
図2に示す緊急通報装置の緊急通報処理の一例を示すフローチャートである。このフローは、センタサーバ2への緊急通報を中止するか否かを判定するためのものであり、ROMに予め記憶されている緊急通報プログラムに基づいて、主にTCU11の各要素によって実行される。また、このフローは、押圧検出部14aが手動スイッチ12の長押しを検出した時に実行される。
【0048】
先ず、画像取得部14bが、手動スイッチ12が長押された時に車内カメラ13によって撮影された画像を取得する(ステップS11)。
【0049】
次に、顔画像抽出部14cは、画像取得部14bが取得した画像から人物の顔画像を、上述した顔画像を抽出するための処理により抽出する。通報判定部14eは、顔画像が抽出できたか否かを判断する(ステップS12)。通報判定部14eは、顔画像が抽出できなかった場合は緊急通報を中止しないと判定する(ステップS12のNo)。その後、制御部14は、緊急通報処理を車両IDと関連付けて行い(ステップS13)、処理を終了する。
【0050】
また、緊急通報時に画像取得部14bが取得した画像をセンタサーバ2に送信してもよい。これによって、車両1の内部の状況を視覚的に伝えることができる。
【0051】
顔画像抽出部14cにおいて顔画像が抽出できた場合(ステップS12のYes)、表情特定部14dは、顔画像に写っている人物の表情が笑顔であるか否かを、上述した笑顔であるか否かを判定する手法により特定する(ステップS14)。通報判定部14eは、顔画像に写っている人物の表情が笑顔でない場合は緊急通報を中止しないと判定する(ステップS14のNo)。制御部14は、緊急通報処理を車両IDと関連付けて行い(ステップS13)、処理を終了する。
【0052】
顔画像に写っている人物の表情が笑顔である場合(ステップS14のYes)、通報判定部14eは、センタサーバ2への緊急通報を中止すると判定する。その後、制御部14は、センタサーバ2への緊急通報の中止処理を行う(ステップS15)。センタサーバ2への緊急通報を中止する場合、表示制御部14gは、手動スイッチ12が押圧されたがいたずらの可能性があるために通報を中止した旨をディスプレイ16に表示させる。
【0053】
また、センタサーバ2への緊急通報を中止するか否かを、笑顔以外の表情(例えば、満足/不満足の分類、真顔/喜び/驚き/怒り/悲しみの五つの表情)又は笑顔と笑顔以外の表情の組合せに基づいて判定してもよい。
【0054】
本実施の形態によれば、画像取得部14bによって取得された画像に写った人物の表情が笑顔である時に、緊急通報を実行しないと判定する。これによって、センタサーバ2への緊急通報の誤通報を減少させることができる。
【0055】
<変形例1>
上述した実施の形態に加えて、通報判定部14eは、通報判定部14eは、特定した表情に基づいて緊急通報を中止するか否かを判定するのに加えて、車両1が走行中であるか否かをさらに判断してもよい。具体的には、通報判定部14eは、位置取得部17が取得した位置情報に含まれる車両1の位置の変化に基づいて、車両1が走行中であるか否かをさらに判断する。例えば、通報判定部14eは、位置情報に含まれる車両1の位置が予め決定された時間間隔(例えば、10秒)内で変化したときに、車両1が走行中であると判断する。また、併せて車両1それ自体の情報を用いてもよい。例えば、通報判定部14eは、車両1のイグニション信号や、図示しない速度センサから取得した速度情報などを用いて走行中であるか否かを判断してもよい。
【0056】
車両1が走行中であると判断された場合、通報判定部14eは、手動スイッチ12の押圧が荷物等によって行われたと判断する。そして、通報判定部14eは、緊急通報を実行しないと判定し、制御部14は、センタサーバ2への緊急通報を中止する。
【0057】
このような構成とすることで、車両1が走行中であるときにセンタサーバ2への緊急通報を実行しないことによって、センタサーバ2への誤通知を減少させることができる。特に、手動スイッチ12は、見た目や運転操作への影響を鑑みてグローブボックス下などに配置される場合もある。このような場合に荷物や足などが接触して押圧することによる誤操作による誤通報を減少させることができる。
【0058】
<変形例2>
また、上述した実施の形態では、通報判定部14eは、特定した表情に基づいて緊急通報を中止するか否かを判定していたが、さらに、押圧検出部14aが手動スイッチ12の押圧を検出した後、予め決定された時間間隔(例えば、1分)内に再度押圧検出部14aが手動スイッチ12の押圧を検出したか否かを判断してもよい。
【0059】
手動スイッチ12の押圧を再度検出したと判断された場合、緊急通報を中止しないと判定する。そして、制御部14は、センタサーバ2への緊急通報を車両IDと関連付けて行う。
【0060】
手動スイッチ12の押圧を再度検出したときにセンタサーバ2への緊急通報を行うことによって、センタサーバ2への誤通報を減少させることができる。
【0061】
<変形例3>
また、表情特定部14dは、表情を特定するのに加えて、顔画像に含まれる顔の視線方向をさらに推定してもよい。具体的には、表情特定部14dは、顔画像に含まれる顔の向きとして(正面/上向き/下向き/右向き/左向き等)を推定する。
【0062】
そして、通報判定部14eは、表情特定部14dで推定された、顔の向きが手動スイッチ12を注視する向きであるか否かを判断し、緊急通報を中止するか否かを判定してもよい。具体的には、表情特定部14dで推定された、顔の向きが手動スイッチ12を注視する向きでない場合、通報判定部14eは、緊急通報を中止しないと判定する。
【0063】
顔画像に含まれる人物の顔の向きが手動スイッチ12を注視する向きでないときにセンタサーバ2への緊急通報を中止することによって、センタサーバ2への緊急通報の誤通報を減少させることができる。
【0064】
<変形例4>
さらに、車両1の乗員に注意を喚起させるために、車両1の乗員に注意を喚起させるための音声を、手動スイッチ12が押圧されたがいたずらの可能性があるために通報を中止した旨をディスプレイ16に表示させる代わりに又は手動スイッチ12が押圧されたがいたずらの可能性があるために通報を中止した旨のディスプレイ16への表示と共に用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 車両
2 センタサーバ
3 通信ネットワーク
11 テレマティクスコントロールユニット(TCU)
12 手動スイッチ
13 車内カメラ
14,21 制御部
14a 押圧検出部
14b 画像取得部
14c 顔画像抽出部
14d 表情特定部
14e 通報判定部
14f,21a 通信制御部
14g 表示制御部
15,22 通信部
16 ディスプレイ
17 位置取得部
23 メモリ
F1 口角
F2 眉毛
F3 目