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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】貨幣処理装置および貨幣処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20230616BHJP
   G07D 11/10 20190101ALI20230616BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20230616BHJP
【FI】
G07D11/20
G07D11/10
G07D11/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019210999
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021082164
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向田 雅幸
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-159074(JP,A)
【文献】特開2019-021135(JP,A)
【文献】特開2005-215778(JP,A)
【文献】特開平11-353519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を処理する貨幣処理装置であって、
操作者による操作が与えられる操作部と、
前記貨幣処理装置の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて、前記処理が行われるように前記貨幣処理装置の動作を制御する第1制御と、前記第1制御における動作音よりも静かな動作音で前記処理が行われるように前記貨幣処理装置の動作を制御する第2制御とを選択的に行い、
前記制御部は、前記貨幣処理装置において行われる処理が前記操作部に与えられた操作に応答して行われる処理である場合に前記第1制御を行い、前記貨幣処理装置において行われる処理が前記操作部に与えられた操作に応答して行われる処理ではなく自動的に行われる処理である場合に前記第2制御を行う
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記操作部に与えられた操作に応答して行われる処理は、入金処理および出金処理の少なくとも1つを含み、
前記自動的に行われる処理は、自動収集処理および自動精査処理の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第2制御における前記貨幣の搬送速度は、前記第1制御における前記貨幣の搬送速度よりも遅い
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1つにおいて、
前記第2制御において並列して行われる処理の数は、前記第1制御において並列して行われる処理の数よりも少ない
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項5】
貨幣を処理する貨幣処理装置と、
操作者による操作が与えられる操作部と、
前記貨幣処理装置の動作を制御する制御部とを備える貨幣処理システムであって、
前記制御部は、前記貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて、前記処理が行われるように前記貨幣処理装置の動作を制御する第1制御と、前記第1制御における動作音よりも静かな動作音で前記処理が行われるように前記貨幣処理装置の動作を制御する第2制御とを選択的に行い、
前記制御部は、前記貨幣処理装置において行われる処理が前記操作部に与えられた操作に応答して行われる処理である場合に前記第1制御を行い、前記貨幣処理装置において行われる処理が前記操作部に与えられた操作に応答して行われる処理ではなく自動的に行われる処理である場合に前記第2制御を行う
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、貨幣処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、貨幣を搬送する搬送路を有する貨幣処理装置が開示されている。この貨幣処理装置は、モード切替手段と、駆動制御手段とを備える。モード切替手段は、搬送路を第1搬送速度で駆動させる第1モードと、搬送路を前記第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度で駆動させる第2モードとの間で動作モードを切り替える。駆動制御手段は、モード切替手段によって切り替えられた動作モードに対応する搬送速度で搬送路を駆動させる。モード切替手段による動作モードの切り替えは、入金された貨幣あるいは出金すべき貨幣の量、店舗の混雑度合い、整理券の発行頻度、自動ドアの開閉頻度、周囲の騒音レベル、現在日時に基づいて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-159074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の貨幣処理装置では、貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて貨幣処理装置の動作音(動作により発生する音)のレベルを適切に切り換えることが困難である。例えば、特許文献1の貨幣処理装置のように動作モードを切り換えたとしても、貨幣処理装置の動作音のレベルが顧客や係員などの人の感覚(期待する動作音のレベル)と一致しない場合がある。また、店舗の混雑度合い、整理券の発行頻度、自動ドアの開閉頻度、周囲の騒音レベルなどの貨幣処理装置の周囲の情報に基づいて動作モードを切り換える場合、これらの情報を取得するようにシステムを構成することになるので、システムの複雑化および高コスト化を招くおそれがある。なお、貨幣処理装置の動作モードを切り換えるための専用の操作を操作者(例えば顧客や係員)が行うことで動作モードを切り換えるという制御が考えられるが、このような専用の操作は操作者にとって手間であり、操作忘れを招くおそれがある。
【0005】
そこで、ここに開示する技術は、貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて貨幣処理装置の動作音のレベルを適切に切り換えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示する技術は、貨幣を処理する貨幣処理装置に関し、この貨幣処理装置は、前記貨幣処理装置の動作を制御する制御部を備える。前記制御部は、前記貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて、前記処理が行われるように前記貨幣処理装置の動作を制御する第1制御と、前記第1制御における動作音よりも静かな動作音で前記処理が行われるように前記貨幣処理装置の動作を制御する第2制御とを選択的に行う。
【0007】
前記の構成では、貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて第1制御と第2制御とを選択的に行うことにより、貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて貨幣処理装置の動作音のレベルを適切に切り換えることができる。
【0008】
前記貨幣処理装置は、前記貨幣処理装置において行うことが可能な処理の種類と前記第1制御および前記第2制御との対応関係を示す対応関係情報を記憶する記憶部を備えてもよい。前記制御部は、前記第1制御および前記第2制御のうち、前記記憶部に記憶された前記対応関係情報の中で前記貨幣処理装置において行われる処理の種類に対応する制御を行うものであってもよい。
【0009】
前記の構成では、記憶部に記憶された対応関係情報を参照することにより、貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて第1制御と第2制御とを選択的に行うことができる。これにより、貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて貨幣処理装置の動作音のレベルを適切に切り換えることができる。
【0010】
前記貨幣処理装置は、操作者による操作が与えられる操作部を備えてもよい。前記制御部は、前記貨幣処理装置において行われる処理が前記操作者により前記操作部に与えられた操作に応答して行われる処理である場合に前記第1制御を行い、前記貨幣処理装置において行われる処理が前記操作者により前記操作部に与えられた操作に応答して行われる処理ではない場合に前記第2制御を行うものであってもよい。
【0011】
前記の構成では、貨幣処理装置において行われる処理が「操作者により操作部に与えられた操作に応答して行われる処理」であるかどうかに応じて、貨幣処理装置の動作音のレベルを適切に切り換えることができる。
【0012】
前記貨幣処理装置において、前記第2制御における前記貨幣の搬送速度は、前記第1制御における前記貨幣の搬送速度よりも遅くてもよい。
【0013】
前記の構成では、第2制御における貨幣の搬送速度を第1制御における貨幣の搬送速度よりも遅くすることにより、第2制御における貨幣処理装置の動作音を第1制御における貨幣処理装置の動作音よりも静かにすることができる。
【0014】
前記貨幣処理装置において、前記第2制御において並列して行われる処理の数は、前記第1制御において並列して行われる処理の数よりも少なくてもよい。
【0015】
前記の構成では、第2制御において並列して行われる処理の数を第1制御において並列して行われる処理の数よりも少なくすることにより、第2制御における貨幣処理装置の動作音を第1制御における貨幣処理装置の動作音よりも静かにすることができる。
【0016】
また、ここに開示する技術は、貨幣を処理する貨幣処理装置と、前記貨幣処理装置の動作を制御する制御部とを備える貨幣処理システムに関する。前記制御部は、前記貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて、前記処理が行われるように前記貨幣処理装置の動作を制御する第1制御と、前記第1制御における動作音よりも静かな動作音で前記処理が行われるように前記貨幣処理装置の動作を制御する第2制御とを選択的に行う。
【0017】
前記の構成では、貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて第1制御と第2制御とを選択的に行うことにより、貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて貨幣処理装置の動作音のレベルを適切に切り換えることができる。
【発明の効果】
【0018】
ここに開示する技術によれば、貨幣処理装置において行われる処理の種類に応じて貨幣処理装置の動作音のレベルを適切に切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態による貨幣処理システムの外観を例示する斜視図である。
図2】実施形態による貨幣処理システムの構成を例示するブロック図である。
図3】紙幣処理装置の構成を例示する概略図である。
図4】選択画面の画像を例示する図である。
図5】入金処理の操作画面の画像を例示する図である。
図6】貨幣処理装置において行うことが可能な処理の種類と第1制御および第2制御との対応関係を示すテーブル情報の一例を示す図である。
図7】貨幣処理装置において行うことが可能な処理の種類と第1制御および第2制御との対応関係を示すテーブル情報の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0021】
(実施形態)
図1および図2は、実施形態による貨幣処理システム10の構成を例示する。貨幣処理システム10は、硬貨処理装置20と、紙幣処理装置30と、操作表示部11と、プリンタ12と、カードリーダ13と、通信部14と、記憶部15と、制御部16とを備える。
【0022】
〔硬貨処理装置〕
硬貨処理装置20は、硬貨を処理する。具体的には、硬貨処理装置20は、バラ状態の硬貨の入出金処理,包装硬貨の生成,包装硬貨の出金処理などの各種処理を行う。なお、包装硬貨は、所定枚数(例えば50枚)の硬貨が包装紙で包装されて構成される。
【0023】
〔紙幣処理装置〕
紙幣処理装置30は、紙幣を処理する。具体的には、紙幣処理装置30は、バラ状態の紙幣(以下では「バラ紙幣」と記載)および帯封紙幣を処理する。図3に示すように、紙幣処理装置30は、筐体300と、紙幣投入部301と、紙幣投出部302と、出金リジェクト部303と、紙幣一時保留部304と、紙幣一括収納部305と、複数(この例では3つ)の紙幣収納部306と、紙幣集積部307と、紙幣搬送部308と、紙幣識別部309と、表裏反転部310と、帯封部311と、アーム機構312と、帯封紙幣投出部313と、複数(この例では4つ)の帯封紙幣収納部314と、帯封紙幣搬送部315と、帯封紙幣識別部316とを備える。帯封紙幣は、所定枚数(例えば100枚)の紙幣が帯封紙で帯封されて構成される。
【0024】
〈筐体〉
筐体300は、直方体型の箱状に形成される。そして、筐体300には、紙幣処理装置30の上述の構成部品が収納される。
【0025】
〈紙幣投入部〉
紙幣投入部301には、紙幣(バラ紙幣)が投入される。この例では、紙幣投入部301は、紙幣処理装置30の前方に開口する投入口を有し、この投入口を介して紙幣が投入される。また、紙幣投入部301は、複数枚の紙幣を受け入れ可能に構成される。この例では、紙幣投入部301には、紙幣投入部301に投入された複数枚の紙幣を1枚ずつ紙幣搬送部308に繰り出す繰出部が設けられる。
【0026】
〈紙幣投出部〉
紙幣投出部302は、紙幣(バラ紙幣)を投出する。この例では、紙幣投出部302は、複数枚の紙幣を保持可能に構成される。また、紙幣投出部302は、紙幣処理装置30の前方に開口する投出口を有し、この投出口を介して紙幣が投出される。この例では、紙幣投出部302の投出口には、シャッタが設けられる。なお、紙幣投出部302は、後述する紙幣処理装置30の入金処理においてリジェクト対象に該当する紙幣(入金リジェクト券)を返却する入金リジェクト部として利用され、後述する紙幣処理装置30の出金処理において出金すべき紙幣が搬送される出金部として利用される。
【0027】
〈出金リジェクト部〉
出金リジェクト部303は、後述する紙幣処理装置30の出金処理においてリジェクト対象に該当する紙幣(出金リジェクト券)を集積する。この例では、出金リジェクト部303は、複数枚の出金リジェクト券を保持可能に構成される。また、出金リジェクト部303は、所定の権限を有する操作者の操作により開放される前扉を有する。
【0028】
〈紙幣一時保留部〉
紙幣一時保留部304は、紙幣(例えば入金処理において入金された紙幣)を一時的に保留(収納)する。また、紙幣一時保留部304は、紙幣搬送部308との間において紙幣の受け渡しを行う。
【0029】
〈紙幣一括収納部〉
紙幣一括収納部305は、紙幣(バラ紙幣)を収納する。また、紙幣一括収納部305は、紙幣搬送部308との間において紙幣の受け渡しを行う。この例では、紙幣一括収納部305は、異なる金種の紙幣を混合した状態で収納する。
【0030】
〈紙幣収納部〉
複数の紙幣収納部306の各々は、紙幣(バラ紙幣)を収納する。また、複数の紙幣収納部306の各々は、紙幣搬送部308との間において紙幣の受け渡しを行う。この例では、複数の紙幣収納部306は、それぞれに割り当てられた金種の紙幣を収納する。
【0031】
〈紙幣集積部〉
複数の紙幣集積部307の各々は、所定枚数(例えば100枚)の紙幣を集積する。
【0032】
〈紙幣搬送部〉
紙幣搬送部308は、紙幣投入部301と紙幣投出部302と出金リジェクト部303と紙幣一時保留部304と紙幣一括収納部305と紙幣収納部306と紙幣集積部307との間において紙幣(バラ紙幣)を搬送する。例えば、紙幣搬送部308は、紙幣を搬送するための搬送ベルトや、搬送ベルトを駆動するための駆動機構や、紙幣の搬送を案内するためのガイド機構や、紙幣の搬送方向を切り換えるための分岐機構などにより構成される。
【0033】
〈紙幣識別部〉
紙幣識別部309は、紙幣搬送部308によって搬送される紙幣に対して識別処理と計数処理を行う。識別処理では、紙幣識別部309は、紙幣の金種、真偽、正損、新旧、搬送状態、表裏などを識別する。計数処理では、紙幣識別部309は、紙幣の枚数を種別毎に計数する。例えば、紙幣識別部309は、ラインセンサ、磁気センサ、画像センサなどの各種センサ、プロセッサ、プロセッサを動作させるためのプログラムや情報を記憶するメモリなどにより構成される。なお、紙幣識別部309による識別処理の結果および計数処理の結果は、制御部16に送信される。
【0034】
〈表裏反転部〉
表裏反転部310は、紙幣搬送部308によって搬送される紙幣の表裏を選択的に反転させる。具体的には、表裏反転部310は、紙幣搬送部308によって搬送される紙幣の表裏に関する情報(例えば紙幣識別部309による紙幣の表裏の識別結果)に基づいて、紙幣の表裏の向きが予め定められた向きと一致する場合に、その紙幣を反転させずに通過させ、紙幣の表裏の向きが予め定められた向きと一致しない場合に、その紙幣を反転させて通過させる。
【0035】
〈帯封部〉
帯封部311は、所定枚数の紙幣の集合体に帯封紙を巻き付けて帯封紙幣を生成する。
【0036】
〈アーム機構〉
アーム機構312は、上下一対のアーム部を有し、紙幣集積部307に集積された所定枚数の紙幣の集合体をアーム部により保持して帯封部311に移動させる。また、アーム機構312は、帯封部311によって生成された帯封紙幣をアーム部により保持して帯封紙幣搬送部315に移動させる。
【0037】
〈帯封紙幣投出部〉
帯封紙幣投出部313は、帯封紙幣を投出する。この例では、帯封紙幣投出部313は、紙幣処理装置30の前方に開口する帯封紙幣投出口を有し、この帯封紙幣投出口を介して帯封紙幣が投出される。また、この例では、帯封紙幣投出部313の帯封紙幣投出口には、シャッタが設けられる。
【0038】
〈帯封紙幣収納部〉
複数の帯封紙幣収納部314の各々は、帯封紙幣を収納する。また、複数の帯封紙幣収納部314の各々は、帯封紙幣搬送部315との間において帯封紙幣の受け渡しを行う。この例では、複数の帯封紙幣収納部314は、それぞれに割り当てられた金種の帯封紙幣を収納する。
【0039】
〈帯封紙幣搬送部〉
帯封紙幣搬送部315は、帯封部311と帯封紙幣投出部313と帯封紙幣収納部314との間において帯封紙幣を搬送する。この例では、帯封紙幣搬送部315は、昇降通路315aと、昇降ステージ315bと、搬送ベルト315cとを有する。昇降通路315aは、帯封紙幣を上下方向に搬送するために設けられる。昇降ステージ315bは、昇降通路315aに設けられる。そして、昇降ステージ315bは、帯封紙幣が載置されて上下に昇降する。搬送ベルト315cは、帯封紙幣を水平方向に搬送する。具体的には、搬送ベルト315cには、帯封紙幣に搬送ベルト315cの搬送力を伝達するための突起315dが設けられており、搬送ベルト315cが駆動すると搬送ベルト315cの突起315dが帯封紙幣に当接して搬送ベルト315cとともに帯封紙幣が移動する。
【0040】
〈帯封紙幣識別部〉
帯封紙幣識別部316は、帯封紙幣搬送部315によって搬送される帯封紙幣に対して識別処理と計数処理とを行う。識別処理では、帯封紙幣識別部316は、帯封紙幣の金種や帯封状態などを識別する。計数処理では、帯封紙幣識別部316は、帯封紙幣の束数を種別毎に計数する。例えば、帯封紙幣識別部316は、搬送される帯封紙幣の厚み方向の端面(この例では下面)の画像を取得する画像センサ、プロセッサ、プロセッサを動作させるためのプログラムや情報を記憶するメモリなどの記憶部などによって構成される。この例では、帯封紙幣識別部316は、帯封紙幣収納部314と昇降通路315aとの間に設けられ、搬送ベルト315cによって搬送される帯封紙幣に対して識別処理と計数処理とを行う。なお、帯封紙幣識別部316による識別処理の結果および計数処理の結果は、制御部16に送信される。
【0041】
〔各種センサ〕
貨幣処理システム10の各部には、貨幣(紙幣、帯封紙幣、硬貨、包装硬貨)の通過を検知する通過センサなどの各種センサが設けられる。これらの各種センサによる検知結果(検知信号)は、制御部16に送信される。
【0042】
〔操作表示部〕
操作表示部11は、操作部11aと表示部11bとを有する。例えば、操作表示部11は、タッチパネルによって構成される。操作部11aは、操作者による操作が与えられ、その操作者による操作に応じて情報を入力する。これにより、操作者は、操作部11aを操作して貨幣処理システム10に各種処理を行わせることができる。すなわち、貨幣処理システム10は、操作者による操作に応答して動作する。表示部11bは、情報を表示する。
【0043】
〔プリンタ〕
プリンタ12は、情報を印刷媒体(例えば印刷用紙)に印刷する。そして、プリンタ12は、情報が印刷された印刷媒体を発行する。
【0044】
〔カードリーダ〕
カードリーダ13は、カード(例えば顧客や係員などの操作者が所有するIDカード)から情報を読み取る。カードリーダ13により取得された情報は、制御部16に送信される。
【0045】
〔通信部〕
通信部14は、制御部16が外部機器(例えばタブレット端末やスマートフォンや管理コンピュータなど)との間で有線通信または無線通信を行うために設けられる。
【0046】
〔記憶部〕
記憶部15は、情報を記憶する。記憶部15には、貨幣処理システム10における貨幣の処理状況に関する情報や、貨幣処理システム10における貨幣の在高に関する情報や、操作表示部11に表示される操作画面などの画像情報(画像データ)や、貨幣処理装置システムの動作を制御するための制御情報などが記憶される。例えば、記憶部15は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの汎用ストレージデバイスによって構成される。
【0047】
〔制御部〕
制御部16は、貨幣処理システム10の各部と電気的に接続され、貨幣処理システム10の各部との間において信号および情報を伝送可能である。この例では、制御部16は、硬貨処理装置20の各部、紙幣処理装置30の各部、操作表示部11、プリンタ12、カードリーダ13、通信部14、記憶部15と電気的に接続される。また、制御部16は、通信部14を経由して外部機器と通信可能である。そして、制御部16は、操作表示部11に与えられた操作、貨幣処理システム10の各部(各部に設けられた各種センサを含む)および外部機器から送られてきた信号および情報などに基づいて、貨幣処理システム10の各部を制御して貨幣処理システム10の動作を制御する。例えば、制御部16は、プロセッサ、プロセッサを動作させるためのプログラムや情報を記憶するメモリなどにより構成される。なお、制御部16の動作については、後で詳しく説明する。
【0048】
〔紙幣処理装置において行われる処理〕
制御部16は、紙幣処理装置30において各種処理が行われるように、紙幣処理装置30の動作を制御する。この例では、紙幣処理装置30において、入金処理、出金処理、収集処理、精査処理、自動収集処理、自動精査処理を行うことが可能である。なお、紙幣を処理する紙幣処理装置30は、貨幣を処理する貨幣処理装置の一例である。
【0049】
〔入金処理〕
入金処理は、紙幣処理装置30に紙幣(バラ紙幣)を入金する処理である。入金処理は、操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、入金処理は、操作者により入金操作(入金処理を行うことを指示するための操作)が操作表示部11に与えられた場合に行われる。例えば、紙幣処理装置30において行われる処理を選択するための選択画面(図4参照)が操作表示部11に表示され、図4に示した選択画面において「01入金」と記載されたボタンを選択するための操作が操作表示部11に与えられると、紙幣処理装置30において入金処理を開始するための操作画面(図5参照)が表示される。紙幣処理装置30に紙幣が投入され、図5に示した操作画面において「計数開始」と記載されたボタンを選択するための操作が操作表示部11に与えられると、紙幣処理装置30において入金処理が開始される。
【0050】
入金処理では、一時保留処理が行われる。一時保留処理では、制御部16は、紙幣投入部301から繰り出されて紙幣識別部309において識別された紙幣が紙幣識別部309における紙幣の識別結果に応じて紙幣一時保留部304に搬送されて一時的に保留されるように、紙幣処理装置30の動作を制御する。
【0051】
具体的には、一時保留処理では、紙幣投入部301に投入された紙幣は、紙幣搬送部308に繰り出され、紙幣搬送部308により紙幣識別部309に搬送され、紙幣識別部309において識別される。紙幣識別部309において識別された紙幣がリジェクト対象に該当しない場合、紙幣識別部309において識別された紙幣は、紙幣識別部309における紙幣の識別結果に応じて紙幣収納部306に搬送され、紙幣収納部306に収納される。一方、紙幣識別部309において識別された紙幣がリジェクト対象に該当する場合、紙幣識別部309において識別された紙幣は、入金リジェクト部として利用される紙幣投出部302に搬送され、紙幣投出部302から投出される。
【0052】
また、入金処理では、一時保留処理が完了した後に、承認操作(紙幣の入金を承認するための操作)が操作表示部11に与えられると、収納処理が行われる。収納処理では、制御部16は、紙幣一時保留部304から繰り出された紙幣が紙幣識別部309における紙幣の識別結果に応じて紙幣収納部306に搬送されて収納されるように、紙幣処理装置30の動作を制御する。
【0053】
具体的には、収納処理では、紙幣一時保留部304に一時的に保留された紙幣は、紙幣搬送部308に繰り出され、紙幣識別部309において識別された紙幣の金種に対応する紙幣収納部306(紙幣の金種と同一の金種が割り当てられた紙幣収納部306)に搬送され、紙幣収納部306に収納される。
【0054】
また、入金処理では、一時保留処理が完了した後に、返却操作(紙幣を返却するための操作)が操作表示部11に与えられると、返却処理が行われる。返却処理では、制御部16は、紙幣一時保留部304から繰り出された紙幣が紙幣投出部302に搬送されて投出されるように、紙幣処理装置30の動作を制御する。
【0055】
具体的には、返却処理では、紙幣一時保留部304に一時的に保留された紙幣は、紙幣搬送部308に繰り出され、紙幣搬送部308により紙幣投出部302に搬送され、紙幣投出部302から投出される。
【0056】
〔出金処理〕
出金処理は、紙幣処理装置30から紙幣(バラ紙幣)を出金する処理である。出金処理は、操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、出金処理は、操作者により出金操作(出金処理を行うことを指示するための操作)が操作表示部11に与えられた場合に行われる。例えば、紙幣処理装置30において行われる処理を選択するための選択画面(図示省略)の画像が操作表示部11に表示され、その選択画面において「出金」と記載されたボタンを選択するための操作が操作表示部11に与えられると、紙幣処理装置30において出金処理が開始される。
【0057】
出金処理では、制御部16は、紙幣収納部306から繰り出されて紙幣識別部309において識別された紙幣が紙幣識別部309による紙幣の識別結果に応じて紙幣投出部302に搬送されて投出されるように、紙幣処理装置30の動作を制御する。
【0058】
具体的には、紙幣収納部306に収納された紙幣は、紙幣搬送部308に繰り出され、紙幣搬送部308により紙幣識別部309に搬送され、紙幣識別部309において識別される。紙幣識別部309において識別された紙幣がリジェクト対象に該当しない場合、紙幣識別部309において識別された紙幣は、紙幣投出部302に搬送され、紙幣投出部302から投出される。一方、紙幣識別部309において識別された紙幣がリジェクト対象に該当する場合、紙幣識別部309において識別された紙幣は、出金リジェクト部303に搬送される。
【0059】
なお、出金処理では、必要に応じて帯封紙幣が出金されてもよい。出金処理において、制御部16は、帯封紙幣収納部314から送り出された帯封紙幣が帯封紙幣投出部313に搬送されて投出されるように、紙幣処理装置30の動作を制御してもよい。
【0060】
〔収集処理〕
収集処理は、紙幣収納部306に収納された紙幣を帯封して帯封紙幣収納部314に収納する処理である。収集処理は、操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、収集処理は、操作者により収集操作(収集処理を行うことを指示するための操作)が操作表示部11に与えられた場合に行われる。例えば、紙幣処理装置30において行われる処理を選択するための選択画面(図示省略)の画像が操作表示部11に表示され、その選択画面において「収集」と記載されたボタンを選択するための操作が操作表示部11に与えられると、紙幣処理装置30において収集処理が開始される。
【0061】
収集処理では、制御部16は、紙幣収納部306から繰り出された紙幣が紙幣集積部307に搬送されて集積され、紙幣集積部307に集積された所定枚数の紙幣が帯封部311において帯封されて帯封紙幣が生成され、帯封紙幣が帯封紙幣収納部314に搬送されて収納されるように、紙幣処理装置30の動作を制御する。
【0062】
具体的には、紙幣収納部306(例えば操作者により指定された紙幣収納部306)に収納された紙幣(バラ紙幣)は、紙幣搬送部308に繰り出され、紙幣搬送部308により紙幣集積部307に搬送され、紙幣集積部307に集積される。紙幣集積部307に所定枚数の紙幣が集積されると、紙幣集積部307に集積された所定枚数(例えば100枚)の紙幣は、アーム機構312により帯封部311に運ばれて帯封部311において帯封される。これにより、帯封紙幣が生成される。帯封部311において生成された帯封紙幣は、アーム機構312により帯封紙幣搬送部315に運ばれ、帯封紙幣搬送部315により帯封紙幣識別部316に搬送され、帯封紙幣識別部316において識別される。帯封紙幣識別部316において識別された帯封紙幣は、帯封紙幣識別部316において識別された帯封紙幣の金種に対応する帯封紙幣収納部314(帯封紙幣の金種と同一の金種が割り当てられた帯封紙幣収納部314)に搬送され、帯封紙幣収納部314に収納される。
【0063】
〔精査処理〕
精査処理は、紙幣収納部306における紙幣の在高を精査して確定させる処理である。精査処理は、操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、精査処理は、操作者により精査操作(精査処理を行うことを指示するための操作)が操作表示部11に与えられた場合に行われる。例えば、紙幣処理装置30において行われる処理を選択するための選択画面(図示省略)の画像が操作表示部11に表示され、その選択画面において「精査」と記載されたボタンを選択するための操作が操作表示部11に与えられると、紙幣処理装置30において精査処理が開始される。なお、精査処理では、バラ紙幣の精査処理と、帯封紙幣の精査処理とが行われる。
【0064】
バラ紙幣の精査処理では、制御部16は、紙幣収納部306から繰り出された紙幣が紙幣識別部309において識別された後に紙幣一時保留部304に搬送されて一時的に保留され、その後、紙幣一時保留部304から繰り出された紙幣が紙幣収納部306に戻るように、紙幣処理装置30の動作を制御する。
【0065】
具体的には、複数の紙幣収納部306の各々に収納された紙幣は、紙幣搬送部308に繰り出され、紙幣搬送部308により紙幣識別部309に搬送され、紙幣識別部309において識別される。紙幣識別部309において識別された紙幣がリジェクト対象に該当しない場合、紙幣識別部309において識別された紙幣は、紙幣一時保留部304に搬送され、紙幣一時保留部304に一時的に保留される。一方、紙幣識別部309において識別された紙幣がリジェクト対象(例えば搬送異常)に該当する場合、紙幣識別部309において識別された紙幣は、出金リジェクト部303に搬送される。複数の紙幣収納部306の全部に対する精査が完了して在高が確定されると、紙幣一時保留部304に一時的に保留された紙幣は、紙幣搬送部308に繰り出され、紙幣搬送部308により元の紙幣収納部306(その紙幣が精査処理の開始前に収納されていた紙幣収納部306)に搬送され、紙幣収納部306に収納される。
【0066】
帯封紙幣の精査処理では、制御部16は、帯封紙幣収納部314から送り出された帯封紙幣が帯封紙幣識別部316において識別された後に帯封紙幣搬送部315の一部(例えば昇降通路315a)に搬送されて一時的に保留され、その後、帯封紙幣搬送部315の一部から送り出された帯封紙幣が帯封紙幣収納部314に戻るように、紙幣処理装置30の動作を制御する。
【0067】
具体的には、複数の帯封紙幣収納部314の各々に収納された帯封紙幣は、帯封紙幣搬送部315に送り出され、帯封紙幣搬送部315により帯封紙幣識別部316に搬送され、帯封紙幣識別部316において識別される。帯封紙幣識別部316において識別された帯封紙幣は、昇降通路315a(帯封紙幣搬送部315の一部の一例)に搬送され、昇降通路315aにおいて一時的に保留される。複数の帯封紙幣収納部314の全部に対する精査が完了して在高が確定されると、昇降通路315aにおいて一時的に保留された帯封紙幣は、帯封紙幣搬送部315により元の帯封紙幣収納部314(その帯封紙幣が精査処理の開始前に収納されていた帯封紙幣収納部314)に搬送され、帯封紙幣収納部314に収納される。
【0068】
〔自動収集処理〕
自動収集処理は、収集処理と同様に、紙幣収納部306に収納された紙幣を帯封して帯封紙幣収納部314に収納する処理である。なお、自動収集処理は、操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理ではない処理である。具体的には、自動収集処理は、紙幣処理装置30における在高状況が予め定められた状況となると自動的に行われる。例えば、複数の紙幣収納部306のうち少なくとも1つの紙幣収納部306に収納された紙幣の枚数が予め定められた上限枚数を上回るという第1収集条件と、複数の帯封紙幣収納部314のうち少なくとも1つの帯封紙幣収納部314に収納された帯封紙幣の束数が予め定められた下限束数を下回るという第2収集条件のうち少なくとも1つの条件が成立すると、自動収集処理が行われる。
【0069】
なお、自動収集処理における紙幣処理装置30の動作は、収集処理における紙幣処理装置30の動作と同様である。すなわち、自動収集処理における紙幣の流れは、収集処理における紙幣の流れと同様である。
【0070】
〔自動精査処理〕
自動精査処理は、精査処理と同様に、紙幣収納部306における紙幣の在高を精査して確定させる処理である。なお、自動精査処理は、操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理ではない処理である。具体的には、自動収集処理は、現在日時が予め定められた日時となると自動的に行われる。
【0071】
なお、自動精査処理における紙幣処理装置30の動作は、精査処理における紙幣処理装置30の動作と同様である。すなわち、自動精査処理における紙幣の流れは、精査処理における紙幣(バラ紙幣および帯封紙幣)の流れと同様である。
【0072】
〔制御部の動作〕
この実施形態では、制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理の種類に応じて、第1制御と第2制御とを選択的に行う。第1制御では、制御部16は、紙幣処理装置30において所定の処理が行われるように、紙幣処理装置30の動作を制御する。第2制御では、制御部16は、第1制御における動作音よりも静かな動作音で紙幣処理装置30において所定の処理が行われるように、紙幣処理装置30の動作を制御する。
【0073】
この例では、記憶部15は、テーブル情報を記憶する。図6に示すように、テーブル情報は、「紙幣処理装置30において行うことが可能な処理の種類」と「第1制御および第2制御」との対応関係を示す。なお、テーブル情報に示された対応関係は、予め定められた権限を有する管理者の操作により変更可能である。制御部16は、第1制御および第2制御のうち、記憶部15に記憶されたテーブル情報の中で「紙幣処理装置30において行われる処理の種類」に対応する制御を行う。具体的には、制御部16は、記憶部15に記憶されたテーブル情報の中から紙幣処理装置30において行われる処理の種類に対応する制御(第1制御または第2制御)を検出し、その検出された制御を行う。このように、記憶部15に記憶されたテーブル情報を参照することにより、紙幣処理装置30において行われる処理の種類に応じて第1制御と第2制御とを選択的に行うことができる。なお、テーブル情報は、対応関係情報の一例である。
【0074】
なお、この例では、図6に示すように、テーブル情報において、「操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理」に「第1制御」が対応づけられ、「操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理ではない処理」に「第2制御」が対応づけられる。具体的には、「入金処理」と「出金処理」と「収集処理」と「精査処理」に「第1制御」が対応付けられ、「自動収集処理」と「自動精査処理」に「第2制御」が対応付けられる。そして、この例では、制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理が操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である場合に第1制御を行い、紙幣処理装置30において行われる処理が操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理ではない場合に第2制御を行う。
【0075】
また、この例では、第2制御における貨幣の搬送速度は、第1制御における貨幣の搬送速度よりも遅い。例えば、第1制御における貨幣の搬送速度は「2000mm/s」であり、第1制御における貨幣の繰出速度は「12枚/秒」であり、第2制御における貨幣の搬送速度は「1200mm/秒」であり、第2制御における貨幣の繰出速度は「7.2枚/秒」である。なお、貨幣の搬送速度が遅くなるほど、紙幣処理装置30における動作音が静かになる。
【0076】
また、第2制御において並列して行われる処理の数は、第1制御において並列して行われる処理の数よりも少なくてもよい。具体的には、第2制御において同時に駆動する部品(紙幣処理装置30を構成する部品)の数は、第1制御において同時に駆動する部品の数よりも少なくてもよい。例えば、「第1制御」により行われる「収集処理」では、紙幣収納部306から繰り出された紙幣を紙幣集積部307に搬送する処理(以下では「第1処理」と記載)と、紙幣集積部307に集積された所定枚数の紙幣を帯封して帯封紙幣収納部314に搬送する処理(以下では「第2処理」と記載)とを同時に行い、「第2制御」により行われる「自動収集処理」では、第1処理と第2処理とを同時に行わない。なお、紙幣処理装置30において並行して行われる処理の数が少なくなるほど、紙幣処理装置30における動作音が静かになる。
【0077】
〔貨幣処理システムの設置〕
貨幣処理システム10は、例えば、貨幣処理システム10は、銀行などの金融機関の事務所、ロビー、ブースなどに設置される。事務所に設置される貨幣処理システム10は、銀行員などの金融機関の係員により操作される。一方、ロビーとブースに設置される貨幣処理システム10は、金融機関の係員だけでなく顧客にも操作可能である。
【0078】
なお、貨幣処理システム10が設置されるブースに扉が設けられてもよい。このブースに設けられた扉は、顧客や係員などの操作者がブースの中で貨幣処理システム10を操作する場合に閉状態にされ、顧客や係員などの操作者がブースの中で貨幣処理システム10を操作しない場合に開状態にされる。このような設置環境において、紙幣処理装置30において行われる処理が操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である場合、その紙幣処理装置30が設けられたブースの扉が閉状態であるので、紙幣処理装置の静音化よりも紙幣処理装置30の処理速度の高速化のほうが優先される。一方、紙幣処理装置30において行われる処理が操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理ではなく自動的に行われる処理である場合、その紙幣処理装置30が設けられたブースの扉が開状態であるので、紙幣処理装置30の処理速度の高速化よりも紙幣処理装置の静音化のほうが優先される。
【0079】
〔実施形態の効果〕
以上のように、紙幣処理装置30において行われる処理の種類に応じて第1制御と第2制御とを選択的に行うことにより、紙幣処理装置30において行われる処理の種類に応じて紙幣処理装置30の動作音(動作により発生する音)のレベルを適切に切り換えることができる。
【0080】
この例では、制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理が操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である場合に第1制御を行い、紙幣処理装置30において行われる処理が操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理ではない場合に第2制御を行う。これにより、紙幣処理装置30において行われる処理が「操作者により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理」であるかどうかに応じて、紙幣処理装置30の動作音のレベルを適切に切り換えることができる。
【0081】
また、第2制御における紙幣の搬送速度を第1制御における紙幣の搬送速度よりも遅くすることにより、第2制御における紙幣処理装置30の動作音を第1制御における紙幣処理装置30の動作音よりも静かにすることができる。
【0082】
また、第2制御において並列して行われる処理の数を第1制御において並列して行われる処理の数よりも少なくすることにより、第2制御における紙幣処理装置30の動作音を第1制御における紙幣処理装置30の動作音よりも静かにすることができる。
【0083】
また、紙幣処理装置30において第2制御により処理(例えば自動精査処理)が行われることにより、紙幣処理装置30において第1制御により処理(例えば自動精査処理)が行われる場合よりも、紙幣処理装置30における紙詰まり(いわゆるジャム)の発生を抑制することができる。
【0084】
なお、制御部16は、第1制御と第2制御のどちらが行われているのかを示す画像を操作表示部11に表示させるように構成されてもよい。例えば、制御部16は、第2制御を行う場合に、第2制御が行われていることを示す画像(例えば「静音モード」という文字を示す画像)を操作表示部11に表示させるように構成されてもよい。
【0085】
また、制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理が「通信部14を経由して外部機器(例えば金融機関の役席者や出納係が使用する情報端末など)からの指示に基づいて行われる処理」である場合に、上記のテーブル情報における対応関係に拘わらず、第1制御を行うように構成されてもよい。
【0086】
〔実施形態の変形例1〕
なお、図7に示すように、記憶部15に記憶されたテーブル情報(対応関係情報の一例)において、「顧客による操作に応答して行われる処理」に「第1制御」が対応づけられ、「係員による動作に応答して行われる処理」に「第2制御」が対応づけられてもよい。図7の例では、「顧客入金処理」と「顧客出金処理」に「第1制御」が対応付けられ、「係員入金処理」と「係員出金処理」と「係員収集処理」と「係員精査処理」に「第2制御」が対応付けられる。また、図7の例では、「操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理ではない処理」に「第2制御」が対応付けられる。
【0087】
「顧客入金処理」は、入金処理と同様に、紙幣処理装置30に紙幣を入金する処理である。なお、顧客入金処理は、顧客により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、顧客入金処理は、顧客により入金操作が操作表示部11に与えられた場合に行われる。
【0088】
「顧客出金処理」は、出金処理と同様に、紙幣処理装置30から紙幣を出金する処理である。なお、顧客出金処理は、顧客により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、顧客入金処理は、顧客により出金操作が操作表示部11に与えられた場合に行われる。
【0089】
「係員入金処理」は、入金処理と同様に、紙幣処理装置30に紙幣を入金する処理である。なお、係員入金処理は、係員により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、係員入金処理は、係員により入金操作が操作表示部11に与えられた場合に行われる。
【0090】
「係員出金処理」は、出金処理と同様に、紙幣処理装置30から紙幣を出金する処理である。なお、係員出金処理は、係員により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、係員入金処理は、係員により出金操作が操作表示部11に与えられた場合に行われる。
【0091】
「係員収集処理」は、収集処理と同様に、紙幣収納部306に収納された紙幣を帯封して帯封紙幣収納部314に収納する処理である。なお、係員収集処理は、係員により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、係員収集処理は、係員により収集操作が操作表示部11に与えられた場合に行われる。
【0092】
「係員精査処理」は、精査処理と同様に、紙幣収納部306における紙幣の在高を精査して確定させる処理である。なお、係員精査処理は、係員により操作表示部11に与えられた操作に応答して行われる処理である。具体的には、係員精査処理は、操作者により精査操作(精査処理を行うことを指示するための操作)が操作表示部11に与えられた場合に行われる。
【0093】
この変形例1では、制御部16は、紙幣処理装置30の操作者が顧客および係員のどちらであるのかを検出する。例えば、操作者(顧客または係員)は、その操作者が所有するIDカードのID情報(操作者を識別するための情報)をカードリーダ13に読み取らせる。制御部16は、カードリーダ13により読み取られたID情報に基づいて、操作者が顧客および係員のどちらであるのかを判断する。なお、制御部16は、操作者による操作表示部11に入力されたID情報に基づいて、操作者が顧客および係員のどちらであるのかを判断するように構成されてもよい。
【0094】
そして、この変形例1では、制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理の操作者の種類に応じて、第1制御と第2制御とを選択的に行う。具体的には、制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理が顧客による操作に応答して行われる処理である場合に第1制御を行い、紙幣処理装置30において行われる処理が係員による操作に応答して行われる処理ではない場合に第2制御を行う。これにより、紙幣処理装置30において行われる処理が「顧客による操作に応答して行われる処理」および「係員による操作に応答して行われる処理」のどちらであるのかに応じて、紙幣処理装置30の動作音のレベルを適切に切り換えることができる。
【0095】
〔実施形態の変形例2〕
制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理の途中で第1制御と第2制御とを切り換えるように構成されてもよい。例えば、制御部16は、操作表示部11に与えられた操作者による操作、通信部14を経由して受信した外部機器(例えば金融機関の役席者や出納係が使用する情報端末など)からの指示に応答して、紙幣処理装置30において行われる処理の途中で第1制御と第2制御とを切り換えるように構成されてもよい。
【0096】
具体的には、制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理の途中で第2制御から第1制御に切り換えるように構成されてもよい。
【0097】
例えば、制御部16は、次のように動作するように構成されてもよい。まず、紙幣処理装置30における在高状況が予め定められた状況となり、紙幣処理装置30において第2制御による自動収集処理が開始される。紙幣処理装置30において第2制御による自動収集処理が行われていることに気が付いた係員は、紙幣処理装置30の周囲に顧客がいないことを確認した上で、第2制御による自動収集処理が完了する前に、第2制御を中断して第1制御を開始するための操作(切り換え操作)を操作表示部11に与える。制御部16は、切り換え操作に応答して、第2制御を中断して第1制御を開始する。その後、第1制御による自動収集処理が継続される。
【0098】
また、制御部16は、次のように動作するように構成されてもよい。まず、紙幣処理装置30における在高状況が予め定められた状況となり、紙幣処理装置30において第2制御による自動収集処理が開始される。第2制御による自動収集処理が完了する前に、操作者(顧客や係員)の接近を検知すると、制御部16は、第2制御を中断して第1制御を開始する。その後、第1制御による自動収集処理が継続される。
【0099】
また、制御部16は、次のように動作するように構成されてもよい。まず、紙幣処理装置30における在高状況が予め定められた状況となり、紙幣処理装置30において第2制御による自動収集処理が開始される。操作者(顧客や係員)は、第2制御による自動収集処理が完了する前に、紙幣処理装置30において次に行われる処理を予約するための操作(予約操作)を操作表示部11に与える。制御部16は、予約操作に応答して、第2制御を中断して第1制御を開始する。その後、第1制御による自動収集処理が継続される。なお、制御部16は、予約操作が操作表示部11に与えられた場合に、切りのいいところで自動収集処理が中断されて次の処理が開始されるように紙幣処理装置30の動作を制御してもよい。
【0100】
また、制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理の途中で第1制御から第2制御に切り換えるように構成されてもよい。
【0101】
例えば、制御部は、次のように動作するように構成されてもよい。まず、紙幣処理装置30において第1制御による処理が開始される。第1制御による自動収集処理が完了する前に、第1制御を中断して第2制御を開始するための操作(切り換え操作)が操作表示部11に与えられると、制御部16は、第1制御を中断して第2制御を開始する。その後、第2制御による自動収集処理が継続される。なお、制御部16は、外部機器からの指示(第1制御を中断して第2制御を開始する指示)に応答して、第1制御を中断して第2制御を開始するように構成されてもよい。
【0102】
〔実施形態の変形例3〕
また、制御部16は、紙幣処理装置30において行われる処理の一部において第1制御を行い、紙幣処理装置30において行われる処理の残部において第2制御を行うように構成されてもよい。
【0103】
例えば、制御部16は、入金処理に含まれる一時保留処理(紙幣投入部301から繰り出されて紙幣識別部309において識別された紙幣が紙幣識別部309における紙幣の識別結果に応じて紙幣一時保留部304に搬送されて一時的に保留される処理)において第1制御を行い、入金処理に含まれる収納処理(紙幣一時保留部304から繰り出された紙幣が紙幣識別部309における紙幣の識別結果に応じて紙幣収納部306に搬送されて収納される処理)において第2制御を行うように構成されてもよい。
【0104】
(その他の実施形態)
以上の説明では、第1制御および第2制御による制御の対象が紙幣処理装置30である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第1制御および第2制御による制御の対象は、硬貨処理装置20であってもよい。すなわち、貨幣を処理する貨幣処理装置は、紙幣を処理する紙幣処理装置30であってもよいし、硬貨を処理する硬貨処理装置20であってもよいし、紙幣処理装置30および硬貨処理装置20の両方であってもよい。
【0105】
また、以上の説明では、制御部16が第1制御と第2制御とを選択的に行う場合(制御部16により選択的に行われる制御の数が2つである場合)を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、制御部16は、貨幣処理装置(例えば紙幣処理装置30)において行われる処理の種類に応じて、貨幣処理装置における動作音のレベルがそれぞれ異なる3つ以上の制御(第1制御および第2制御を含む3つ以上の制御)を選択的に行うように構成されてもよい。
【0106】
なお、第1制御における貨幣(例えば紙幣)の搬送速度は、一定値に維持されてもよいし、時間経過に応じて変化してよい。例えば、第1制御における貨幣の搬送速度は、予め定められた第1速度から第1速度よりも速い第2速度に徐々に加速してもよい。第2制御における貨幣の搬送速度についても同様である。
【0107】
また、制御部16は、紙幣処理装置30(または硬貨処理装置20)の内部に設けられてもよいし、紙幣処理装置30(または硬貨処理装置20)の外部に設けられてもよい。言い換えると、制御部16は、貨幣処理装置の制御部であってもよいし、貨幣処理システムの制御部(例えば操作表示部11を有する操作ターミナルに設けられる制御部)であってもよい。
【0108】
また、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、この発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上説明したように、ここに開示する技術は、貨幣処理技術として有用である。
【符号の説明】
【0110】
10 貨幣処理システム
11 操作表示部
12 プリンタ
13 カードリーダ
14 通信部
15 記憶部
16 制御部
20 硬貨処理装置(貨幣処理装置)
30 紙幣処理装置(貨幣処理装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7