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  • 特許-物質濃度NIR監視装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】物質濃度NIR監視装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20230616BHJP
   G01N 21/359 20140101ALI20230616BHJP
   G01N 21/3563 20140101ALI20230616BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A61B5/1455
G01N21/359
G01N21/3563
A61B5/01 250
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019563789
(86)(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018033695
(87)【国際公開番号】W WO2018213833
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】62/508,880
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510016966
【氏名又は名称】グルコビスタ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨナタン・ゲルリッツ
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0043630(US,A1)
【文献】特開平09-182739(JP,A)
【文献】国際公開第2015/164845(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/196138(WO,A1)
【文献】特開2010-266428(JP,A)
【文献】特開2005-147896(JP,A)
【文献】特開平10-033512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/03
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質の濃度を監視する方法であって、
物質の濃度が測定される体の領域の治癒したピアス穴に温度プローブを、前記温度プローブが前記領域の内面に接触するようにして、非侵襲的に挿入することと、
前記内面から挿入された前記温度プローブに向かう熱伝達によって決定される前記領域の内部温度を測定して、測定された内部温度を示す内部温度信号を生成することと、
前記領域が前記測定された内部温度を示している間に、前記物質の近赤外線吸収スペクトルの吸収ピークが存在する波長を含む第一波長帯域内の第一近赤外線ビームを光源から前記領域の一部に入射するように向けることと、
入射する前記第一近赤外線ビームを向けている間に、入射する前記第一近赤外線ビームの第一初期パワーを検出して、前記第一初期パワーを示す第一初期パワー信号を生成することと、
前記領域が前記測定された内部温度を示している間に、前記領域の一部から出射した前記第一近赤外線ビームを検出器で受けることと、
出射した前記第一近赤外線ビームを受けている間に、前記領域で吸収されずに出射した前記第一近赤外線ビームの第一出射パワーを検出して、前記第一出射パワーを示す第一出射パワー信号を生成することと、
前記領域が前記測定された内部温度を示している間に、前記物質が吸収を全く又はほとんど示さない第二波長帯域内の第二近赤外線ビームを前記光源から前記領域の一部に入射するように向けることと、
入射する前記第二近赤外線ビームを向けている間に、入射する前記第二近赤外線ビームの第二初期パワーを検出して、前記第二初期パワーを示す第二初期パワー信号を生成することと、
前記領域が前記測定された内部温度を示している間に、前記領域の一部から出射した前記第二近赤外線ビームを前記検出器で受けることと、
出射した前記第二近赤外線ビームを受けている間に、前記領域で吸収されずに出射した前記第二近赤外線ビームの第二出射パワーを検出して、前記第二出射パワーを示す第二出射パワー信号を生成することと、
前記内部温度信号、前記第一初期パワー信号、前記第二初期パワー信号、前記第一出射パワー信号、及び前記第二出射パワー信号に対応する値に基づいて、前記領域の一部の物質濃度を計算することと、を備える方法。
【請求項2】
前記物質がグルコースである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記温度プローブを非侵襲的に挿入することが、耳たぶの治癒したピアス穴に前記温度プローブを挿入することを備え、前記光源と前記検出器が前記耳たぶの両側に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光源が、前記第一波長帯域内の近赤外線ビームを選択的に発生させ且つ前記第二波長帯域内の近赤外線ビームを選択的に発生させるように構成された単一の近赤外線エミッタを備え、
前記検出器が、前記第一波長帯域内と前記第二波長帯域内との両方の近赤外線ビームを検出するように構成された単一の検出器を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光源が、前記第一波長帯域内の第一近赤外線ビームを発生させるように構成された第一近赤外線エミッタと、前記第二波長帯域内の第二近赤外線ビームを発生させるように構成された別の第二近赤外線エミッタとを備え、
前記検出器が、前記第一波長帯域内の近赤外線ビームを検出するように構成された第一検出器と、前記第二波長帯域内の近赤外線ビームを検出するように構成された別の第二検出器とを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記温度プローブを前記領域から取り外さずに、又は前記光源及び前記検出器の位置を変えずに、経時的に前記物質の濃度をそれぞれ示す連続した複数のデータセットを生成することであって、前記複数のデータセットの各々が前記内部温度信号、前記第一初期パワー信号、前記第二初期パワー信号、前記第一出射パワー信号、及び前記第二出射パワー信号に対応する各値を含む、ことと、
前記濃度、又は前記連続した複数のデータセットが許容範囲内にあるかどうかを決定することによって、前記物質の濃度を連続的に監視することと、
前記濃度のうちの一つ以上、又は前記連続した複数のデータセットのうちの一つ以上が許容範囲外にある場合に、警告出力を生成することと、を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記内部温度を測定することが、0.01ケルビン以下の精度で測定することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記計算することが、前記内部温度信号、前記第一初期パワー信号、前記第二初期パワー信号、前記第一出射パワー信号、及び前記第二出射パワー信号に対応する値と物質濃度の相関関係に基づいて、物質濃度を決定することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
物質の濃度を監視する装置であって、
ケースと、
耳たぶを受けるようなサイズ及び位置で前記ケースに設けられたスロットと、
前記スロット内に延在し且つ前記耳たぶが前記スロット内に配置された際に前記耳たぶの治癒したピアス穴に入るようなサイズ及び位置で前記ケース内に設けられた温度プローブであって、熱伝導性の針を含み、前記針の内部にサーミスタを有するか又は抵抗温度検出器を有する、温度プローブと、
前記ケースの内に存在し、第一波長帯域内の第一近赤外線ビームを生成し且つ第二波長帯域内の第二近赤外線ビームを生成するように構成された光源であって、前記耳たぶが前記スロット内に配置された際に前記耳たぶを通るように前記第一近赤外線ビーム及び前記第二近赤外線ビームを向けるような位置及び向きで設けられた光源と、を備え、
前記第一波長帯域が、前記物質の近赤外線吸収スペクトルの吸収ピークが存在する波長を含み、前記物質が前記第二波長帯域内で吸収を全く又はほとんど示さず、
前記光源に対向する前記スロットの側で前記ケース内に存在し、且つ、前記耳たぶが前記スロット内に配置された際に前記光源に対向する前記耳たぶの側に存在するような位置で設けられた近赤外線検出器であって、前記温度プローブがピアス穴に挿入された際に前記光源から前記耳たぶを通って前記耳たぶから出射するように向けられた前記第一近赤外線ビーム及び前記第二近赤外線ビームを受けるように前記光源と整列させられ、前記第一近赤外線ビームと前記第二近赤外線ビームの出射パワーを検出するように構成された近赤外線検出器を更に備え、
前記温度プローブによって測定される前記耳たぶの温度が、前記温度プローブが前記ピアス穴に挿入された際に前記第一近赤外線ビーム及び前記第二近赤外線ビームが向けられる前記耳たぶの領域の内部温度に対応するように、前記温度プローブが前記光源及び前記近赤外線検出器の近傍に配置されている、装置。
【請求項10】
前記物質がグルコースである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記光源が、前記第一波長帯域内の近赤外線ビームを選択的に発生させ且つ前記第二波長帯域内の近赤外線ビームを選択的に発生させるように構成された単一の近赤外線エミッタを備え、
前記近赤外線検出器が、前記第一波長帯域内と前記第二波長帯域内との両方の近赤外線ビームを検出するように構成された単一の検出器を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記近赤外線検出器が、前記第一波長帯域内の光を通過させ、前記第二波長帯域内の光を遮断するように構成された干渉フィルタを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記光源が、前記第一波長帯域内の第一近赤外線ビームを発生させるように構成された第一近赤外線エミッタと、前記第二波長帯域内の第二近赤外線ビームを発生させるように構成された別の第二近赤外線エミッタとを備え、
前記近赤外線検出器が、前記第一波長帯域内の近赤外線ビームを検出するように構成され且つ前記第一近赤外線エミッタと整列させた第一検出器と、前記第二波長帯域内の近赤外線ビームを検出するように構成され且つ前記第二近赤外線エミッタと整列させた別の第二検出器とを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記第一検出器が、前記第一波長帯域内の光を通過させ且つ前記第二波長帯域内の光を遮断するように構成された干渉フィルタを含む第一フィルタを備え、前記第二検出器が、前記第一波長帯域内の光を遮断し且つ前記第二波長帯域内の光を通過させるように構成された干渉フィルタを含む第二フィルタを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記光源が、前記第一近赤外線ビームと前記第二近赤外線ビームの初期パワーを検出するように構成されたパワー検出器を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
プロセッサと、命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体とを更に備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記温度プローブを前記領域から取り外さずに、又は前記光源及び前記近赤外線検出器の位置を変えずに、経時的に前記物質の濃度をそれぞれ示す連続した複数のデータセットを生成する工程であって、前記複数のデータセットの各々が前記内部温度、前記第一近赤外線ビームと前記第二近赤外線ビームの初期パワー、及び前記第一近赤外線ビームと前記第二近赤外線ビームの出射パワーに対応する各値を含む、工程と、
前記濃度、又は前記連続した複数のデータセットが許容範囲内にあるかどうかを決定することによって、前記物質の濃度を連続的に監視する工程と、
前記濃度のうちの一つ以上、又は前記連続した複数のデータセットのうちの一つ以上が許容範囲外にある場合に、警告出力を生成する工程と
を備える工程の開始又は実行を前記プロセッサに行わせる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記温度プローブが0.01ケルビン以下の測定精度を示す、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2017年5月19日出願の「Non‐Invasive Apparatus for Continuous Measurement of Body Ingredients In‐Vivo, Using Near Infrared Spectroscopy」との名称の米国仮出願第62/508880号の優先権を主張し、その全内容は参照として本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
体内のグルコースの量又は濃度を決定することは、多くの目的にとって有用なものとなり得る。体内のグルコースの濃度を決定することのいくつかの利点として、健康問題の診断及び治療等の健康上の利点、研究上の利点、健康監視上の利点が挙げられ、さらに多くの利点が存在している。残念乍ら、体内のグルコースの濃度を決定することは、被検体にとって痛くて害となり得る侵襲検査を含み得る。
【0003】
グルコースの濃度を非侵襲的に測定するためのシステムは開発途上である。このようなシステムは、体に吸収された光の量とグルコースの濃度との間の相関関係に頼ることが多い。しかしながら、多くの要因と潜在的な不確定要素が、吸収される光の量に影響を与え得る。体内のグルコースの濃度を非侵襲的に測定するための既存のシステムは、体に吸収される光の量に加えてグルコースの濃度と相関し得るパラメータを考慮しないので、あまり正確ではないものとなり得る。従って、より高い精度を可能にするシステム及び方法が有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8401604号明細書
【文献】米国特許第8611975号明細書
【文献】米国特許出願第12/883063号
【文献】米国特許出願第14/745180号
【文献】米国特許出願第15/653428号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
物質濃度監視方法は、物質の濃度が測定される体の領域に温度プローブを非侵襲的に挿入することを含み、温度プローブは領域の内面に接触する。領域の内部温度が、内面から挿入温度プローブに向かう熱伝達によって決定されるものとして測定され、内部温度を示す内部温度信号が生成される。
【0006】
領域が内部温度を示している間に、第一波長帯域内の入射第一近赤外線(NIR,near infrared)ビームが光源から領域の一部に向けられ、第一波長帯域は、物質のNIR吸収スペクトルの吸収ピークが存在する波長を含む。入射第一NIRビームを向けている間に、入射第一NIRビームの初期パワーが検出され、第一初期パワーを示す第一初期パワー信号が生成される。領域が内部温度を示している間に、領域の一部から出射した第一NIRビームが検出器で受けられる。出射第一NIRビームを受けている間に、領域で吸収されなかった出射第一NIRビームの出射パワーが検出され、第一出射パワーを示す第一物質吸収信号が生成される。
【0007】
また、領域が内部温度を示している間に、第二波長帯域内の入射第二NIRビームが光源から領域の一部に向けられ、物質は第二波長帯域内において全く又はほとんど吸収を示さない。入射第二NIRビームを向けている間に、入射第二NIRビームの初期パワーが検出され、第二初期パワーを示す第二初期パワー信号が生成される。領域が内部温度を示している間に、領域の一部から出射した第二NIRビームが検出器で受けられる。出射第二NIRビームを受けている間に、領域で吸収されなかった出射第二NIRビームの出射パワーが検出され、第二出射パワーを示す第二物質吸収信号が生成される。
【0008】
本方法は、内部温度信号、第一初期パワー信号、第二初期パワー信号、第一物質吸収信号、及び第二物質吸収信号に対応する値に基づいて、領域の一部の物質濃度を計算することを含む。
【0009】
物質濃度監視装置は、ケースと、耳たぶを受けるようなサイズ及び位置でケースに設けられたスロットと、スロット内に延在し且つ耳たぶがスロット内に配置された際に耳たぶの治癒したピアス穴に入るようなサイズ及び位置でケース内に設けられた温度プローブとを含む。温度プローブは熱伝導性の針を含み、針の内部にサーミスタを有するか、又は抵抗温度検出器を有する。
【0010】
光源がケース内に存在し、第一波長帯域内の第一近赤外線(NIR)ビームを生成し、且つ第二波長帯域内の第二NIRビームを生成するように構成される。光源は、耳たぶがスロット内に配置された際に耳たぶを通るように第一NIRビーム及び第二NIRビームを向けるような位置及び向きで設けられる。第一波長帯域は、物質のNIR吸収スペクトルの吸収ピークが存在する波長を含む。物質は、第二波長帯域内では吸収を全く又はほとんど示さない。
【0011】
NIR検出器が、光源に対向するスロットの側でケース内に存在し、耳たぶがスロット内に配置された際に光源に対向する耳たぶの側に存在するように配置される。検出器は、温度プローブがピアス穴に挿入された際に光源から耳たぶを通り出射するように向けられた第一NIRビーム及び第二NIRビームを受けるように光源と整列される。NIR検出器は、第一NIRビームと第二NIRビームの出射パワーを検出するように構成される。
【0012】
温度プローブは光源及び検出器の近傍に配置され、温度プローブによって測定される耳たぶの温度が、温度プローブがピアス穴に挿入された際に第一NIRビーム及び第二NIRビームが向けられる耳たぶの領域の内部温度に対応するようにする。
【0013】
上述の特徴、機能及び利点は、多様な実施形態において独立して達成可能であり、又は他の実施形態において組み合わせ可能であり、それら実施形態の更なる詳細については以下の説明及び図面を参照して理解可能である。
【0014】
以下、添付図面を参照していくつかの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】体内の物質濃度を非侵襲的に測定するためのデバイスの一般的構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
体内の関心物質の濃度を非侵襲的に監視するための方法及び装置が本願で開示される。その監視は連続的に行われ得る。一例として、本開示の実施形態は、人間の血中のグルコースの濃度を連続的に監視するのに用いられ得る。本開示のいくつかの実施形態は、数分間から数日間に及ぶ期間にわたって着用され得る。
【0017】
本願において、「連続的」監視とは、連続した測定と測定との間で監視装置が体に接触し続けているままで経時的に物質濃度を測定することを称する。つまり、監視装置は周期的な間隔で測定を行うようにプログラムされ得るであって、あらゆる間隔が選択され得るものである。監視装置は、連続した測定と測定との間に体との接触状態から取り外されないので、あらゆる時点において測定を行うことができる。操作者は選択された測定間隔をプログラムし得る。また、監視装置は、プログラムされた条件に応じて、測定間隔を自動的に変更し得る。例えば、濃度が関心レベルに近づくと、より頻繁な測定を設定し得る。
【0018】
装置が体に着用されていると、物質濃度、又は、物質の濃度を示す複数の連続したデータセットが許容範囲内にあるかどうかを決定することによって、体内の物質の濃度を連続的に監視し得る。例えば、プロセッサにおいて新たなデータセットが生成されると、新たなデータセットが一つ以上の許容範囲と比較され得る。追加的に又は代替的に、濃度が一つ以上の許容範囲と比較され得る。許容範囲は装置のメモリに記憶され得る。新たなデータセット又は濃度が許容範囲外であると、例えば、許容範囲の下限よりも小さいか、許容範囲の上限よりも大きいと、警告出力が生成されてディスプレイデバイスに送信され得る。追加的に又は代替的に、警告出力は無線トランスミッタに送信され得る。
【0019】
無線トランスミッタは、警告出力をリモートデバイスに送信するように構成され得る。リモートデバイスとしては、携帯電話、タブレット、ラップトップ、他の種類の携帯通信デバイスが挙げられる。警告出力は、リモートデバイスに警告を表示するように指示し得る。警告出力は、携帯デバイスに緊急サービスに連絡するように更に指示し得る。
【0020】
体内の多くの有機分子は、近赤外線(NIR,near infrared)において特有の吸収スペクトル及び発光スペクトルを有する。これらのスペクトルを用いて、体内の分子の濃度の定量的な分析を行い得る。近赤外線での測定の主な欠点は、吸収スペクトル/発光スペクトルが分子の温度に強く依存することである。
【0021】
本願の装置及び方法の光源は、赤外線(IR)エミッタ、例えば近赤外線(NIR)エミッタを含み得て、750nmから6000ナノメートル(nm)の範囲内のIR光、例えばNIR光を発生させ得る。更に、いくつかの装置及び方法では、光源は、第一波長帯域と第二波長帯域の光を選択的に発生させるように構成され得る。第一波長帯域が、特に、グルコース等の物質が透過光の吸収に効果を有するIR領域やNIR領域の波長を含み得る。
【0022】
例えば、第一波長帯域は、略1130nmから略1190nmの範囲内(例えば、1160mの動作波長)、又は1300nmから1500nmの範囲内(例えば、1460nmの動作波長)にあり得る。第二波長帯域は、物質が透過光の吸収に全く又はほとんど効果を有さない波長を含み得る。例えば、第二波長帯域は、略800nmから略905nmの範囲内(例えば、略870nmや880nmの動作波長)にあり得て、又は、960nm又は1120nmの動作波長を含む範囲内にあり得る。有利には、第一波長は1160nmであり、第二波長は960nmであり得る。一部の装置及び方法は、後述のように二つの光源を含み得る。
【0023】
例えば、1デシリットル当たり5ミリグラム(5mg/dL)の精度でグルコース濃度を測定するためには、0.01K(ケルビン)の精度、又は0.01K未満の精度で温度を測定することが望ましい。従って、赤外線測定が行われている体の一部の内部の温度を正確に測定する方法は、体の成分の定量的分析を可能にし得る(in vivoで)。
【0024】
一装置及び方法の目標は、NIR測定が行われる領域(エリア/ボリューム)における体内の温度の正確な測定によって、体組成の定量的な赤外線スペクトル測定を可能にすることである。
【0025】
想定される一装置は、イヤリングの形状を有し、耳たぶに配置されて、ピアスの針が、正確なサーミスタを内部に含むチューブを有する温度プローブとして機能する。チューブは、高い熱伝導率のために金製であるか、金でコーティングされたアルミニウム製であり得る。金や、金でコーティングされたアルミニウムは生体適合性もある。同様の物質を用いた手術用の既知の温度プローブが存在している。ここで、温度プローブは、治癒したピアス穴の中に配置され、つまり、皮膚細胞で内側が覆われていて体組織を貫通する孔の中に配置される。このような孔は瘻孔の一種であり、本方法及び装置と適合する体の他の部分に形成可能であるとも考えられる。サーミスタが耳たぶの内部の温度を測定し、断熱材が耳たぶの両側で針の周りに適用される。
【0026】
断熱は、耳たぶにわたる温度キャビティを生じさせて、光路にわたる温度の均一性を上昇させて、大気温度の変化に起因する温度変化を防止する。針の高い熱伝導率と断熱とに起因して、サーミスタは、体を通る光路の平均温度を測定する。
【0027】
本方法及び装置で測定されている領域の内部温度は、その領域の内面から挿入温度プローブに向かう伝導性熱伝達によって少なくとも決定され得る。接触面積を決める温度プローブのサイズと比較した孔のサイズに応じて、熱伝達は追加的に放射熱伝達及び/又は対流熱伝達を含み得る。しかしながら、伝導性熱伝達が最も速い熱伝達を可能にする。従って、温度プローブは、高い熱接触を与えるように意図された孔と共に接触面積を増大させるサイズにされ得る。
【0028】
ピアス針の物質を、針の内部にサーミスタを設ける代わりに、抵抗温度検出器(RTD,resistance temperature detector)として使用し得る。針自体がRTDである場合には、チューブをニッケル又はプラチナ製とし得る。他方、多くのRTD素子は、セラミック又はガラスコアの周りに巻かれた或る長さの細いワイヤ(細線)を含む。RTDのワイヤは純金属であり、プラチナ、ニッケル、又は銅であることが多い。これら物質は、正確な抵抗と温度との関係性を有し、温度表示を与えるために使用される。他のRTD素子は、脆弱であることが多いので、保護プローブの中に収容され得る。
【0029】
二つの近赤外線エミッタ、又は波長が可変である一つの近赤外線エミッタを、耳たぶの一方の側でイヤリング内に配置して、ビーム経路(光路)をピアス針に可能な限り近付ける。エミッタを可能な限り近付けることを維持することで、測定温度がビーム経路に沿った温度を正確に表すことができる。測定温度がビーム経路に沿った実際の温度を正確に反映するような温度プローブからの実際の距離は、体温と大気温度と体組成とによって定められる組織の温度勾配に基づいて異なり得る。耳たぶの他方の側には、整合帯域幅フィルタを有する一つ又は二つの検出器が配置されて、耳たぶを介する吸光度を測定する。エミッタデバイスは、赤外線ビームの初期パワー(I0)を測定するための検出手段を含む。検出手段は、フォトダイオードを備える検出器であり得て、エミッタデバイスからのビームパワーを制御するフィードバックループ内に設けられ得る。第二赤外線ビームは、物質が吸収性を全く又はほとんど有さない波長帯域内にあることが望ましく、一方、第一赤外線ビームは、定量的分析用の物質がそのスペクトルのピーク吸収を有する波長帯域内にあることが望ましい。
【0030】
第一フィルタは、第一波長帯域内の光を通過させるように構成された干渉フィルタを含み得る。第一波長帯域は、第一光源によって放出された光の波長帯域に対応し得て、物質が体による光の吸収に影響する波長を含み得る。更に、第一フィルタは、物質が体による光の吸収に全く又はほとんど効果を有さない第二波長帯域内の光を遮断し得る。第二波長帯域内の光を遮断することによって、第一フィルタは、第二波長帯域内の光からの検出器における干渉を低減し得る。更に、第一フィルタは環境光を遮断することによって、環境光からの検出器における干渉も低減し得る。第一フィルタの機能は複数のフィルタによって達成されてもよい。
【0031】
第二フィルタも干渉フィルタを含み得る。例えば、第二フィルタは、物質が体による光の吸収に影響する波長帯域に対応する第一波長帯域内の光を遮断するように構成され得る。更に、第二フィルタは、物質が体による光の吸収に全く又はほとんど効果を有さない第二波長帯域内の光を通過させ得る。第一波長帯域内の光を遮断することによって、第二フィルタは、第一波長帯域内の光からの検出器における干渉を低減し得る。第二フィルタは環境光を更に遮断することによって、環境光からの検出器における干渉も低減し得る。第二フィルタの機能は複数のフィルタによって達成されてもよい。
【0032】
二つのフィルタを用いることができるが、一部方法及び装置は単一のフィルタを用い得る。このような場合、第一波長帯域は、グルコースが光の吸収に影響する波長帯域を含み得て、第二波長帯域は、光源によって放出されるNIRスペクトル全体であり得る。第一波長帯域内での測定は、単一のフィルタを用いて行われ得て、第二波長帯域内での測定は、単一のフィルタが存在しない状態で行われ得る。更に、一部方法及び装置では、第一フィルタと第二フィルタの両方が省かれ得る。このような場合、複数の光源がそれぞれ単一波長エミッタを用いて、一つの光源について第一波長帯域内にあり、他の光源について第二波長帯域内にある波長のみを適用し得る。本願で説明されるように、単一光源が、第一波長帯域内の波長と、第二波長帯域内の波長とを選択的に適用してもよい。
【0033】
サーミスタからの信号及び検出器からの信号は、アナログ・デジタル変換装置を介してマイクロプロセッサに送られ、分析及び記憶される。デバイスを較正する方法の一例は、人間による較正であり、血中成分のin‐vivo金基準測定と相関させた測定信号(物質吸収及びI0信号、基準吸収及びI0信号、温度信号)のルックアップテーブルを生成する。このルックアップテーブルは、相関関係を介して測定結果を血中成分の濃度に連続的に変換して、その濃度を使用者用のディスプレイ装置に示す。ルックアップテーブルの代わりとして、測定結果を血中成分の濃度に関係付ける関数や式が導出され得る。濃度に対する相関関係のためのルックアップテーブル、関数、式を実現するための例は、2013年3月19日発行のGerlitzの米国特許第8401604号明細書(特許文献1)、2013年12月17日発行のGerlitzの米国特許第8611975号明細書(特許文献2)、2010年9月15日出願のGerlitzの米国特許出願第12/883063号(特許文献3)、2015年6月19日出願のGerlitzの米国特許出願第14/745180号(特許文献4)、2017年7月18日出願のGerliztの米国特許出願第15/653428号(特許文献5)から明らかとなる。
【0034】
測定結果をスマートフォンデバイスに更に送ることができ、スマートフォンデバイスにおいて、測定結果が記憶され、グラフとして表示され、及び/又は治療に有用な他の定量的パラメータの計算に用いられ得る。また、スマートフォンを用いて、成分の濃度レベルが危険な場合に、使用者又はかかりつけ医に警告を送信することもできる。
【0035】
以下の段落は図面の簡単な説明を含む。
【0036】
測定システム20はイヤリングアセンブリ18と制御ボックス12を含む。針1が耳たぶ3に挿入され、治癒したピアス穴である管9の中に部分的に延在している。針1の内部のサーミスタ2は、針1が抵抗温度検出器(RTD)として代わりに動作する場合には、除去され得る。耳たぶ3は、事前にピアス穴が開けられているものであり得る。管9は、瘻孔を形成するように治癒した耳たぶのピアス穴として図示されていて、これは、皮膚細胞で内側が覆われて体組織を貫通する孔を意味する。管9の中に配置される針1は体液に接触しないので、管9は切開や穿刺とは区別される。光源(光源4、5等)及び対向する検出器アセンブリ(検出器アセンブリ6、7等)を受け入れることができる他の体組織に管9を設けることも考えられる。
【0037】
光源4、5は別個のNIRエミッタとして図示されているが、単一のNIRエミッタでもあり得る。複数の波長を選択的に発生させることができる光源が知られているが、関心波長の光を発生させる光源を望み通りで安価に選択することの最大の柔軟性は、複数のエミッタの使用を伴う。単一のエミッタは、イヤリングアセンブリ18のサイズ減少を可能にする。検出器アセンブリ6、7は、対向する光源に対応する整合バンドパスフィルタを有する。光源4、5は、ビームを耳たぶ3に向けるために取り付けられたレンズと共に図示されている。検出器アセンブリ6、7は、ビームを受け、ビームを検出器(図示せず)に向けるために取り付けられたレンズと共に図示されている。耳たぶ3を介する光路16、17は、光源4、5から検出器アセンブリ6、7に向かうビームの経路に一致する。
【0038】
ケース8は、光源4、5、光シャーシ(台)10、検出器アセンブリ6、7、検出器シャーシ11、針1、サーミスタ2、及び断熱材14、15を収容する。針1の直近の断熱材以外の断熱材は、簡単のため図示されていない。しかしながら、ケース8が断熱性ポリマー等の断熱材で形成されている場合には、ケース8自体が大気温度変化からの断熱を提供し得る。光シャーシ10は、プリアンプとアナログ・デジタル(ATD,analog‐to‐digital)変換器と送受信器とを含む小型プリント回路板アセンブリ(PCBA,printed circuit board assembly)を含む。検出器シャーシ11は、プリアンプとATD変換器と送受信器とを含む小型PCBAを含む。
【0039】
制御ボックス12は、送受信デバイス(図示せず)と、マイクロプロセッサ(図示せず)と、ディスプレイ(図示せず)と、ユーザインタフェース(図示せず)とを含む。マイクロプロセッサは、本願に記載のプロセッサの機能を行い得る。データセット、ルックアップテーブル、較正データ、濃度相関データ等を記憶するために、マイクロプロセッサが集積メモリを含み得て及び/又は追加メモリが設けられ得る。送受信デバイスは、光シャーシ10との無線双方向通信22及び検出器シャーシ11との無線双方向通信24用に構成された単一のデバイス又は複数のデバイスであり得る。図面は無線通信22、24を示すが、有線通信の使用も考えられる。しかしながら、有線通信では測定システム20の嵩が増すという欠点が問題となり得る。制御ボックス12は、測定システム20に関与する機能以外の機能を有さない専用装置であり得て、又は、制御ボックス12の機能は、スマートフォン等の汎用コンピュータによって提供され得る。
【0040】
一方法によると、物質濃度を監視することは、物質の濃度が測定される体の領域に温度プローブを非侵襲的に挿入することを含み、温度プローブがその領域の内面に接触するようにする。領域の内部温度は、内面から挿入温度プローブに向かう熱伝達によって決められるものとして測定され、内部温度を示す内部温度信号が生成される。
【0041】
領域が内部温度を示している間に、第一波長帯域内の入射第一近赤外線(NIR)ビームが光源から領域の一部に向けられ、第一波長帯域は、物質のNIR吸収スペクトルの吸収ピークが存在する波長を含む。入射第一NIRビームを向けている間に、入射第一NIRビームの入射パワーが検出されて、第一初期パワーを示す第一初期パワー信号が生成される。領域が内部温度を示している間に、領域の一部から出射した第一NIRビームを検出器で受ける。出射第一NIRビームを受けている間に、領域で吸収されなかった出射第一NIRビームの出射パワーが検出されて、第一出射パワーを示す第一物質吸収信号が生成される。
【0042】
また、領域が内部温度を示している間に、第二波長帯域内の入射第二NIRビームが光源から領域の一部に向けられ、物質は、第二波長帯域内では吸収を全く又はほとんど示さない。入射第二NIRビームを向けている間に、入射第二NIRビームの初期パワーが検出されて、第二初期パワーを示す第二初期パワー信号が生成される。領域が内部温度を示している間に、領域の一部から出射した第二NIRビームを検出器で受ける。出射第二NIRビームを受けている間に、領域で吸収されなかった出射第二NIRビームの出射パワーが検出されて、第二出射パワーを示す第二物質吸収信号が生成される。
【0043】
本方法は、内部温度信号、第一初期パワー信号、第二初期パワー信号、第一物質吸収信号及び第二物質吸収信号に対応する値に基づいて、領域の一部の物質濃度を計算することを含む。
【0044】
本方法において追加的な特徴が実施され得る。例えば、物質はグルコースであり得る。温度プローブを非侵襲的に挿入することは、光源と検出器を耳たぶの両側に配置すると共に、耳たぶの治癒したピアス穴に温度プローブを挿入することを含み得る。光源は、第一波長帯域内のNIRビームを選択的に発生させ、且つ第二波長帯域内のNIRビームを選択的に発生させるように構成された単一のNIRエミッタであり得る。これに対応して、検出器は、第一波長帯域内と第二波長帯域内との両方のNIRビームを検出するように構成された単一の検出器であり得る。代わりに、光源は、第一波長帯域内の第一NIRビームを発生させるように構成された第一NIRエミッタと、第二波長帯域内の第二NIRビームを発生させるように構成された別の第二NIRエミッタとであり得る。これに対応して、検出器は、第一波長帯域内のNIRビームを検出するように構成された第一検出器と、第二波長帯域内のNIRビームを検出するように構成された別の第二検出器とであり得る。
【0045】
本方法は、温度プローブを領域から取り外さずに、又は光源及び検出器の位置を変えずに、経時的に物質の濃度をそれぞれ示す連続した複数のデータセットを生成することを更に含み得て、複数のデータセットの各々が、内部温度信号、第一初期パワー信号、第二初期パワー信号、第一物質吸収信号、及び第二物質吸収信号に対応する各値を含む。濃度、又は連続した複数のデータセットデータセットが許容範囲内あるかどうかを決定することによって、物質の濃度を連続的に監視する。濃度のうちの一つ以上、又は連続した複数のデータセットのうちの一つ以上が許容範囲外である場合には、警告出力が生成される。
【0046】
内部温度を測定することは、0.01ケルビン又はそれ以下の温度精度で測定を行うことを含み得る。計算は、内部温度信号、第一初期パワー信号、第二初期パワー信号、第一物質吸収信号及び第二物質吸収信号に対応する値と物質濃度の相関関係に基づいて、物質濃度を決定することを含み得る。
【0047】
本方法で実施可能な追加的な特徴は、本願記載の他の装置及び方法においても実施され得る。
【0048】
一装置によると、物質濃度監視装置は、ケースと、耳たぶを受けるようなサイズ及び位置でケースに設けられたスロットと、スロット内に延在し且つ耳たぶをスロット内に配置した際に耳たぶの治癒したピアス穴に入るようなサイズ及び位置でケース内に設けられた温度プローブとを含む。温度プローブは熱伝導性の針を含み、針の内部にサーミスタを有するか、又は抵抗温度検出器を有する。
【0049】
光源が、ケース内に存在し、第一波長帯域内の第一近赤外線(NIR)ビームを生成するように、且つ第二波長帯域内の第二NIRビームを生成するように構成される。光源は、耳たぶをスロット内に配置した際に耳たぶを通るように第一NIRビーム及び第二NIRビームを向けるような位置及び向きで設けられる。第一波長帯域は、物質のNIR吸収スペクトルの吸収ピークが存在する波長を含む。物質は、第二波長帯域内では吸収を全く又はほとんど示さない。
【0050】
NIR検出器が、光源に対向するスロットの側においてケース内に存在し、耳たぶをスロット内に配置した際に光源に対向する耳たぶの側に存在するように配置される。検出器は、温度プローブがピアス穴に挿入された際に光源から耳たぶを通って耳たぶから出射するように向けられた第一NIRビーム及び第二NIRビームを受けるように光源と整列される。NIR検出器は、第一NIRビームと第二NIRビームの出射パワーを検出するように構成される。
【0051】
温度プローブは光源及び検出器の近傍に配置され、温度プローブによって測定される耳たぶの温度が、温度プローブがピアス穴に挿入された際に第一NIRビーム及び第二NIRビームが向けられる耳たぶの領域の内部温度に対応するようにされる。
【0052】
本装置において追加的な特徴が実施され得る。例えば、物質はグルコースであり得る。光源は、第一波長帯域内のNIRビームを選択的に発生させ、且つ第二波長帯域内のNIRビームを選択的に発生させるように構成された単一のNIRエミッタであり得る。これに対応して、検出器は、第一波長帯域内と第二波長帯域内との両方のNIRビームを検出するように構成された単一の検出器であり得る。検出器は、第一波長帯域内の光を通過させ、第二波長帯域内の光を遮断するように構成された干渉フィルタを含み得る。
【0053】
代わりに、光源は、第一波長帯域内の第一NIRビームを発生させるように構成された第一NIRエミッタと、第二波長帯域内の第二NIRビームを発生させるように構成された別の第二NIRエミッタとであり得る。これに対応して、検出器は、第一波長帯域内のNIRビームを検出するように構成され且つ第一NIRエミッタと整列させた第一検出器と、第二波長帯域内のNIRビームを検出するように構成され且つ第二NIRエミッタと整列させた別の第二検出器とであり得る。第一検出器は、第一波長帯域内の光を通過させ、第二波長帯域内の光を遮断するように構成された干渉フィルタを有する第一フィルタを含み得る。第二検出器は、第一波長帯域内の光を遮断し、第二波長帯域内の光を通過させるように構成された干渉フィルタを有する第二フィルタを含み得る。光源は、第一NIRビームと第二NIRビームの初期パワーを検出するように構成されたパワー検出器を含み得る。
【0054】
本装置は、プロセッサと、命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体とを更に含み得て、命令は、プロセッサによって実行されると、各工程の開始又は実行をプロセッサに行わせる。一工程は、温度プローブを領域から取り外さずに、又は光源及び検出器の位置を変えずに、経時的に物質の濃度をそれぞれ示す連続した複数のデータセットを生成することを含み、複数のデータセットの各々が、内部温度、第一NIRビームと第二NIRビームの初期パワー、及び第一NIRビームと第二NIRビームの出射パワーに対応する各値を含む。他の工程は、濃度、又は連続した複数のデータセットが許容範囲内にあるかどうかを決定することによって、物質の濃度を連続的に監視することを含む。更なる工程は、濃度のうちの一つ以上、又は連続した複数のデータセットのうちの一つ以上が許容範囲外である場合に警告出力を生成することを含む。温度プローブは、0.01ケルビン又はそれ以下の測定精度を示し得る。
【0055】
本装置で実施可能な追加的な特徴は、本願記載の他の装置及び方法においても実施され得る。
【0056】
本発明者は、矛盾しない限りにおいて、個々の方法及び装置について本願に記載されている多様な選択肢がそのように限定されるものではないことを明示的に想定しているものである。本願の個々の方法の特徴及び利点は、本願に具体的に示されていないとしても、本願記載の装置及び他の方法と組み合わせて使用可能なものである。同様に、本願の個々の装置の特徴及び利点も、本願に具体的に示されていないとしても、本願記載の方法及び他の装置と組み合わせて使用可能なものである。
【0057】
法を順守するため、実施形態を、構造的特徴及び方法的特徴に関して多少具体的に説明してきた。しかしながら、実施形態は、説明され図示されている具体的な特徴に限定されるものではないことを理解されたい。従って、実施形態は、適切に解釈される添付の特許請求の範囲の適切な範囲内でのあらゆる形態や修正において特許請求されるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 針
2 サーミスタ
3 耳たぶ
4 光源
5 光源
6 検出器アセンブリ
7 検出器アセンブリ
8 ケース
9 管
10 光シャーシ
11 検出器シャーシ
12 制御ボックス
13 針の先端
14 断熱材
15 断熱材
16 光路
17 光路
18 イヤリングアセンブリ
20 測定システム
22 通信
24 通信
図1