(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
A41D13/11 H
(21)【出願番号】P 2020094370
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】林 明史
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-031469(JP,A)
【文献】登録実用新案第3126242(JP,U)
【文献】特開2010-194287(JP,A)
【文献】特許第5068129(JP,B2)
【文献】特開2020-037755(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101537237(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体と、
前記マスク本体の外面
の横方向端部に
補助材を介してそれぞれ結合され
、且つ互いに分離可能に結合された一対の耳材と
、を備え、
使用開始前の状態で、
前記マスク本体の外面に、前記耳材及び前記補助材がこの順でいずれも折り返されることなく重ねて配置され、
前記マスク本体と前記補助材とが第1接合部で接合され、前記耳材と前記補助材とが第2接合部で接合され、平面視で、前記第2接合部が前記第1接合部より横方向内方に離間して位置する、マスク。
【請求項2】
前記マスクが、装着者の顔の上下方向に対応する縦方向と、前記縦方向に直交する横方向とを有し、
少なくとも前記補助材の横方向の伸縮性が、前記マスク本体の横方向の伸縮性より高く、且つ前記耳材の横方向の伸縮性より低い、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記耳材の横方向外端が、前記マスク本体の横方向外端より内方に位置する、請求項
1又は2に記載のマスク。
【請求項4】
前記一対の耳材にそれぞれ、平面視で前記マスク本体の端縁から突出している摘み部が設けられ、使用開始時に、前記摘み部を摘まんで引っ張ることにより前記一対の耳材が互いに分離できる、請求項1から
3のいずれか一項に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
顔に装着するマスクの構成として、装着者の顔を少なくとも部分的に覆うマスク本体と、マスク本体にそれぞれ結合された一対の耳材(又は耳掛け部)、すなわちマスク本体を所定位置に保持するために装着者の各耳に掛けることができる一対の部材とを備えたものが知られている。
【0003】
近年、マスクの機能の向上、装着感の向上といった観点に加え、製造上の取り扱い易さの観点からも、マスクの構成が様々に検討されている。例えば、特許文献1には、マスク本体部と、マスク本体部に連接される耳掛け部とを備えるマスクであって、耳掛け部が両端部領域のそれぞれに接合され、マスクの平面視でマスク本体の外形内に本体の両端部領域に接合された両耳掛け部が収まるように構成され、両耳掛け部を、マスク本体の外形内で互いに接続する接続部を有するマスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のマスクを使用するには、接続された耳掛け部同士をまず互いに分離させてそれぞれ側方へ開く必要がある。しかしながら、耳掛け部の接合部の構成、使用者の分離の仕方等によっては、耳掛け部同士を分離させて開く際に耳掛け部とマスク本体との結合部分がダメージを受ける可能性がある。一方、強固な結合を形成するために結合部分を硬化させることも考えられるが、マスクの柔軟性が失われ、結合部分が肌に触れた時に違和感が生じる可能性がある。
【0006】
上記に鑑みた本発明の一態様は、堅固で且つ装着感も良好なマスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、マスク本体と、前記マスク本体に結合された一対の耳材と、前記マスク本体の外面側に配置された補助材とを備え、使用開始前の状態で、前記一対の耳材が、互いに分離可能に結合され且つ前記マスク本体の外面側に配置され、前記耳材の輪郭が波形状を有し、前記一対の耳材が、前記補助材を介して前記マスク本体の側部の外面にそれぞれ結合されている。
【0008】
上記第一の態様によれば、一対の耳材が補助材を介してマスク本体にそれぞれ結合されているため、耳材とマスク本体とを直接結合させることなくマスクを構成できる。そのため、マスク本体と補助材との結合部、及び耳材と補助材との結合部を別々に形成できる。すなわち、それぞれの結合部を、直接結合させようとする2つの部材の材料に適合した形式で別個に形成できる。これにより、部材の機能や装着感を損わずに、マスクの装着時に耳材が引っ張られても耳材とマスク本体との間に間接的に壊れ難い結合を形成でき、堅固で且つ装着感の良好なマスクを得ることができる。
【0009】
本態様では、一対の耳材が、互いに分離可能に結合された構成を有し、使用開始時には、上記一対の耳材を互いに分離させ、それぞれ側方に開くことができる。このような分離・展開動作の際には、一対の耳材間の結合の形式、及び/又は使用者が一対の耳材を互いに分離する方法によっては、耳材が過度に大きい力で引っ張られて、マスクがダメージを受ける可能性があり得る。これに対し、本態様では、耳材とマスク本体とが直接結合されているのではなく、上述のように補助材を介して結合されているので、使用開始時に一対の耳材同士を分離させる際にも壊れ難いマスクを形成できる。
【0010】
また、マスクの装着中、すなわち耳材を側方に開いて耳に掛けている状態では、耳材は装着者の耳の方へと引っ張られるが、それに伴い、耳材のマスク本体との結合部分には装着者の顔に向かって押し付けられるように力がかかる。本態様では、一対の耳材がマスク本体の外面側に結合されているため、装着時にはマスク本体の両側部は耳材よりも内側(装着者の顔側)に配置される。そのため、マスク本体の両側部は、耳材によって顔に向かって押し付けられる。これにより、マスク本体の両側部においてマスク本体と顔との隙間を小さくすることができ、マスクの機能、例えば異物を遮断する機能、装着者が発した飛沫を飛散させない機能等を向上できる。また、マスク本体の両側部の内側(顔側)に耳材が配置されていないことで、装着中に、マスク本体の両側部において耳材が装着者の顔に接触しないので、より良好な装着感を得ることができる。
【0011】
本発明の第二の態様では、前記マスクが、装着者の顔の上下方向に対応する縦方向と、前記縦方向に直交する横方向とを有し、少なくとも前記補助材の横方向の伸縮性が、前記マスク本体の横方向の伸縮性より高く、且つ前記耳材の横方向の伸縮性より低い。
【0012】
耳材は装着中には装着者の耳に掛けられる部材であり、マスク本体の伸縮性より高い伸縮性を有する材料から構成されることが多い。そのため、耳材とマスク本体とが直接結合されている場合、耳材の伸縮変形にマスク本体が追随し難く、耳材の伸縮性とマスク本体の伸縮性との相違、及び/又は使用時に耳材が伸縮される程度によっては耳材とマスク本体とが分離してしまう可能性がある。これに対し、上記第二の態様によれば、補助材の材料として、少なくとも横方向に関して、マスク本体の伸縮性と耳材の伸縮性との間の伸縮性を有する材料が使用されるので、耳材の伸縮性と本体の伸縮性とが大きく異なる場合であっても、補助材が伸縮性の差を緩衝し、耳材と本体とが分離する可能性を低減できる。
【0013】
本発明の第三の態様では、前記本体と前記補助材とが第1接合部で接合され、前記耳材と前記補助材とが第2接合部で接合され、使用開始前の状態で、前記第2接合部が前記第1接合部より横方向内方に離間して位置する。
【0014】
上記第三の態様によれば、使用開始前の状態で、すなわち一対の耳材が分離されておらず開かれていない状態で、本体と補助材との接合部である第1接合部が横方向外方に、耳材と補助材との接合部である第2接合部が、第1接合部よりも横方向内方に形成されている。そのため、使用開始時に一対の耳材を側方へ(横方向外方へ)開いた際には、補助材の横方向外側部分が第1接合部で本体に固定されたまま、補助材の横方向内側部分が耳材と共に開かれるので、補助材が横方向に折り曲げられる。折り曲げられた補助材には、補助材を構成する材料の特性に応じた復元力(折り曲げられた状態から折り曲げられる前の状態へ戻ろうとする力)が働く。そのため、マスクの装着時には、上記補助材の復元力は、マスクの外面側から内面側(顔側)に向かって働くので、マスク本体の両側部と顔との隙間を小さくする作用を高めることができる。
【0015】
本発明の第四の態様では、前記補助材が、前記耳材の外面側に配置されている。
【0016】
上記第四の態様によれば、補助材が耳材の外面側に配置されているので、マスクの装着時に一対の耳材が開かれると、耳材は最も外側に配置され、補助材は耳材よりも内側に配置される。そのため、耳材が耳に掛けられて引っ張られると、マスクの側部においては、耳材が補助材及びマスク本体を顔に向かって押し付けるように機能する。これにより、マスク本体の両側部(横方向端領域)において、マスク本体と顔との隙間を小さくする作用が一層向上する。
【0017】
本発明の第五の態様では、前記耳材の横方向外端が、前記マスク本体の横方向外端より内方に位置する。
【0018】
上記第五の態様によれば、耳材の横方向外端とマスク本体の横方向外端との位置がずれているため、マスクの内面側から外面側に向かってマスク本体及び耳材を順に積層させ、さらにマスク本体及び耳材の両方を覆うように補助材を積層させることで、補助材をマスク本体とも耳材とも面接触させることができる。よって、使用開始前の状態では、補助材及び/又は耳材が折り曲げられたり折り返したりされていない単純な構成で、マスク本体と補助材との接合部(第1接合部)、及び耳材と補助材との接合部(第2接合部)を容易に形成できる。
【0019】
本発明の第六の態様では、前記一対の耳材にそれぞれ、平面視で前記マスク本体の端縁から突出している摘み部が設けられ、使用開始時に、前記摘み部を摘まんで引っ張ることにより前記一対の耳材が互いに分離できる。
【0020】
本態様によるマスクの使用開始時には、使用者は、摘み部をそれぞれの手で持って引っ張り、結合されていた耳材を互いに分離し、さらに耳材をそれぞれ側方へと開くことができる。上記第六の態様によれば、一対の耳材にそれぞれ設けられた摘み部が、マスク本体の端縁から突出するように形成されているので、使用者が摘み部を持つ際、使用者の指がマスク本体に触れる可能性を低減することができる。そのため、使用者は、マスクの衛生的な状態を維持したまま、一対の耳材を分離して側方に開くことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、堅固で且つ装着感も良好なマスクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一形態によるマスクの外側から見た平面図である。
【
図2】
図1に示すマスクの内側(顔側)から見た平面図である。
【
図3】
図1に示すマスクの使用方法の例を説明するための図である。
【
図5】
図3に示すマスクにおいて、一対の耳材がそれぞれ側方へ開かれた後の平面図である。
【
図7】マスクの使用開始前の状態での、補助材が設けられている部分の拡大平面図及び断面図である。
【
図8】耳材が側方へ開かれた後の状態での、補助材が設けられている部分の拡大平面図及び断面図である。
【
図10】本形態の変形例における、マスクの使用開始前の状態での、補助材が設けられている部分の拡大平面図及び断面図である。
【
図11】耳材が側方へ開かれた後の状態での、補助材が設けられている部分の拡大平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳説する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、図面は、発明の理解を助けるための模式的なものである。
【0024】
(マスクの基本構成)
本発明の一形態によるマスクは、装着者の顔、より具体的には装着者の少なくとも鼻及び口を覆うことのできるマスクであってよい。本形態によるマスクは、異物が顔に到達することを防止したり、装着者から発生する飛沫が飛散することを防止したりする機能を有し得るものであって、衛生マスク又はサージカルマスクとも呼ばれる。
【0025】
図1に、本形態によるマスク100の平面図を示す。
図1は、マスク100を外側、すなわち装着時に顔に対向させず外部に露出させる側から見た図である。また、
図2に、マスクを内側(顔側)から見た平面図を示す。
【0026】
図1に示すように、本形態によるマスク100は、装着時に装着者の顔の正面に配置され、装着者の主として鼻及び口を覆うことができるマスク本体(単に本体ともいう)10と、マスク本体10に結合された一対の耳材20、20とを備えている。マスク本体10は、装着時に装着者の顔の上下方向に対応する縦方向D1と、縦方向D1に直交する横方向D2とを有する。
図1の形態では、マスク本体10は、横方向D2に長辺を有する長方形の平面視形状を有するが、マスク本体10の平面視形状は図示のものに限られない。
【0027】
図1及び
図2に示すように、マスク本体10は、縦方向D1に並んで配置された複数の襞(プリーツ)によって形成されるプリーツ構造15を有している。プリーツ構造15の襞は、本体10を構成するシートを横方向D2に沿った折り線にて折ることによって形成される。そして、複数の襞が形成された状態で、マスク本体10の側部(横方向D2端部)が接合され、固定される。そのため、マスク100の使用時には、プリーツ構造15の襞を縦方向D1に広げることで、横方向D2中央が、マスク100の外面側に突出するように湾曲して、顔の立体形状に適合するような形状に変形し得る。プリーツ構造15の具体的な構成は特に限定されず、マスク本体に形成される公知の構成であってよい。
【0028】
図1及び
図2に示すように、一対の耳材20、20は、本体10の外面に配置されている。
図1に示すように、耳材20はそれぞれ、環状であるか又は環を含む平面視形状を有していてよい。装着時には、耳材20の環の内側、すなわち耳材20の中央の開口29に装着者の耳が入るようにして、耳材20を耳に掛けることができる。
【0029】
図1に示すように、耳材20の環の輪郭は、波形状を有するか、又は凹凸が形成されていてよい。また、波形状は、環の内輪郭及び外輪郭の少なくとも一方に設けられていてよいが、少なくとも内輪郭に設けられていると好ましい。耳材20の環の輪郭全体に波形状が設けられていなくともよく、例えばマスク100の装着時に耳材20が耳と接触する部分、すなわち、使用開始前の状態でマスク100の横方向D2の中央付近に位置する部分に形成されていると好ましい。特に、装着時に耳と接触する部分の内輪郭に波形状が設けられていることで、波形状に含まれる凸部が独立して動きやすくなるため、耳材20が耳の形状にフィットしやすくなり、マスク100の装着時に耳材20を耳の裏側に安定的に配置させることができる。
【0030】
一対の耳材20、20は、横方向D2中央で互いに分離可能に結合した、連続したシートとして構成されていてよい。一対の耳材20、20の分離可能な結合部28の結合形式は特に限定されないが、使用者の通常の力で引っ張ることによって分離可能な結合であることが好ましい。例えば
図1に示すようにミシン目として形成されていてよい。また、シートの厚みを小さくすること、又はその他の手段によって、一対の耳材20、20の境界を脆弱化する又は応力が掛かりやすいようにすることで、結合部28を形成してもよい。また、一対の耳材20、20をそれぞれ独立させて形成しておき、横方向D2中央でわずかに重ね、粘着剤、ヒートシール等によって分離可能に結合することで結合部28を形成してもよい。
【0031】
マスク本体10は、複数の層が積層されてなる多層構造を有していてよい。例えば、異物(塵、花粉、細菌、ウィルス等)を捕集する機能が高められた中間層を、外側層及び内側層で挟んだ3層を少なくとも含む構造であってよい。本体10を構成する各層は、不織布、織物、編物等の繊維含有層を含んでいてよく、不織布を含むことが好ましい。不織布としては、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布等が挙げられる。また、中間層には、細い繊維を含み得るメルトブローン不織布が用いられることが好ましい。また、繊維含有層を構成する繊維は樹脂繊維であると好ましく、樹脂繊維の樹脂の種類としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等が挙げられる。外側層及び内側層の目付は、15~50g/m2であってよい。異物捕集性の高い中間層の目付は、10~100g/m2であると好ましく、15~50g/m2であるとより好ましい。
【0032】
耳材20は、伸縮性を有する材料、好ましくは本体10より高い伸縮性を有する材料から形成されていてよい。また、耳材20は、少なくとも横方向D2に伸縮性を有していてよく、縦方向D1及び横方向D2の両方向の伸縮性を有していてよい。縦方向D1の伸縮性と横方向D2の伸縮性とは同様であってもよいし、互いに異なっていてもよい。縦方向D1の伸縮性と横方向D2の伸縮性とが異なっている場合、横方向D2の伸縮性が本体10の横方向D2の伸縮性より高いことが好ましい。耳材20は、装着時には装着者の耳に掛けられ、主として横方向D2に引っ張られる。そのため、少なくとも横方向D2に伸縮性を有することで、本体10を顔の正面により良好に位置固定できると共に、耳材20が耳に及ぼす負担を軽減できる。
【0033】
耳材20は、伸縮性を有する繊維含有シートを含んでいてよく、且つ/又は伸縮性若しくは弾性を有するフィルムを含んでいてよい。繊維含有シートとしては、不織布、織物、編物等が挙げられ、このうち肌触り、通気性の良さ等から不織布を用いることが好ましい。不織布としては、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布等が挙げられる。また、不織布に含まれる繊維は樹脂繊維であると好ましく、樹脂繊維の樹脂の種類としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等が挙げられる。
【0034】
耳材20は、上記の伸縮性を有する繊維含有シート又は伸縮性フィルムを単層で含むものであってよいし、上記の伸縮性を有する繊維含有シート及び/又は伸縮性フィルムを複数積層させて、例えば繊維含有シートと伸縮性フィルムとを積層させて構成されていてもよい。繊維含有シートが伸縮性を有する場合、その伸縮性は、繊維含有シートが伸縮性繊維を含むことによって、例えば繊維の材料自体が伸縮性を有する又は繊維が捲縮繊維であることによって発現されていてよい。或いは、所定の物理的構造によって、例えば表面に凹凸を有することによって伸縮性が発現されていてもよい。さらに、耳材20は、伸縮性を有する又は伸縮性を有さない繊維含有シートで糸状ゴムを挟み込むことによって形成してもよい。繊維含有シートの伸縮性が低い又はない場合には、糸ゴムを伸ばした状態で繊維含有シートを両側から装着することができる。
【0035】
より具体的には、耳材20は、伸縮性エアスルー不織布、伸縮性スパンボンド不織布、伸縮性スパンレース不織布、伸縮性ニードルパンチ不織布、伸縮性ケミカルボンド不織布等の単層の不織布を用いることができる。また、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドといった、複数層の不織布からなるものを用いることができる。さらに、不織布/伸縮フィルム、不織布/伸縮フィルム/不織布(例えば、スパンボンド/伸縮フィルム/スパンボンド、エアスルー/伸縮フィルム/エアスルー等)といったラミネートシートを用いることができる。耳材20を複数層から形成する場合、層同士を、伸縮性又は非伸縮性のホットメルト不織布(加熱により繊維が軟化又は溶融して他部材と接着可能な不織布)で貼り合わせてもよい。耳材20の目付は、20~150g/m2であってよい。また、耳材20の厚みは、100~3,000μmであってよい。
【0036】
一対の耳材20、20は、本体10の外面の側部(横方向D2端部)にそれぞれ結合されている。より詳細には、一対の耳材20、20はそれぞれ、補助材30、30を介して本体10の両側部に結合されている(補助材については後に詳述)。すなわち、一対の耳材20、20のそれぞれの横方向D2外側の部分が本体10に接合され、それ以外の部分は、本体10には接合されていない。本形態によるマスク100の使用を開始する際、マスク100の装着前には、一対の耳材20、20同士の分離可能な結合を解除して、耳材20、20を互いに分離させ(分離動作ともいう)、耳材20、20の本体10に接合されていない部分を横方向D2側方へ開く(展開動作ともいう)。このような分離・展開動作、及び当該動作に関連する構成について、以下により詳細に説明する。
【0037】
(耳材の分離・展開動作)
図3に、
図1に示すマスク100の使用を開始しようとしている状態の図を示す。また、
図4に、
図3のI-I線断面図を示す。使用開始時、使用者は、
図3に示すように一対の耳材20、20をそれぞれの手で摘まんで又は把持して、互いに反対方向に引っ張ることができる。これにより、まず、分離可能な結合部28の結合を解除できる。結合部28が、一対の耳材20、20間の境界線に沿って形成されたミシン目から構成されているのであれば、ミシン目を破断して両耳材20、20を境界線に沿って分離することができる。その後、使用者は、一対の耳材20、20をそれぞれ把持したまま、
図3及び
図4の矢印に示す方向に横方向D2の外方へと開くことができる。
【0038】
図5に、
図3の状態から一対の耳材20、20を横方向D2外方にそれぞれ開いたの状態を示す。また、
図6に、
図5のII-II線断面図を示す。
図5及び
図6に示すように、一対の耳材20、20を開くと、耳材20、20が裏返されて、使用開始前の状態で本体10に対向していた面が露出する。そして、主として本体10の横方向D2外側に配置され、本体10の外面全体が露出する。
【0039】
図3に示すように、使用者が一対の耳材20、20をそれぞれ把持して横方向D2外方に開いた後には、マスク100の外面が、耳材20、20を開いた使用者に対向し、マスク100の内面(顔側の面)が、使用者とは反対側を向くことになる。そのため、本形態によるマスク100は、他の装着者に装着させるために適している。例えば、マスク100の外側を上にして(本体10の外面を上にして)マスク100が置かれた状態で、使用者が一対の耳材20、20をそれぞれ手で把持して横方向D2外方へ開く。その後、一対の耳材20、20を把持したまま、マスク100を他の装着者の顔へと移動させて、マスク本体10を装着者の顔の所望の位置へ配置したら、持ち方を変えることなく、一対の耳材20、20をそれぞれ装着者の耳に掛けることができる。よって、本形態によるマスク100は、例えば子供、病人等の、マスクを自らで装着することが困難である人にマスクを装着させる場合に、好適に使用することができる。
【0040】
また、上述のように一対の耳材20、20は、本体10の外面に配置されているので、一対の耳材20、20同士を分離させて横方向D2外方に開く際に、使用者の手がマスク100の内側に触れる可能性を低減できるか、又は可能性をなくすことができる。そのため、マスク100を装着する前の準備段階における耳材20、20の展開動作を衛生的に行うことができる。
【0041】
さらに、
図3に示すように、一対の耳材20、20には、一対の耳材20、20を互いに分離して横方向D2外方に開く際に使用者が摘まむことができる摘み部25、25を有していてよい。摘み部25、25は、平面視で本体10の端縁から突出していると好ましい。摘み部25、25が本体10の端縁から突出していることで、本体10自体に、すなわち本体10の外面及び内面のどちらにも触れないで、使用者が両手で摘み部25、25を摘まむことができる。そして、使用者は、本体10に触れずに又はほとんど触れずに一対の耳材20、20を分離・展開させることができる。よって、使用者が手指の衛生に十分な配慮ができない状況であっても、良好な衛生状態のマスク100を自らに又は他人に装着できる。さらに、摘み部25、25が、平面視で本体10の下端(
図3において下側の端部)から突出していると、耳材の分離・展開動作を自然に行うことができるので、好ましい。
【0042】
また、耳材20が摘み部25、25を有することで、使用者は、耳材20を装着者の耳に掛ける時又は掛けた後に、摘み部25、2を持って耳材の調整を容易に行うことができる。すなわち、摘み部25、25を持って、耳材20を、耳に対して相対的に耳材20の周方向にずらして位置調整を行ったり、耳材20を後側に向かって引っ張ったり緩めたりして耳材20の張り具合を調整したりすることができる。
【0043】
なお、摘み部25の、本体10の下端からの突出部分の縦方向D1の最大長さ、すなわち、本体10の下端から摘み部25の突出部分の頂点までの縦方向D1長さは、5~15mmであってよい。また、マスク100又は本体10の横方向D2の端部から、当該端部に近い方の摘み部25の突出部分の頂点の位置までの横方向D2の長さは、マスク100又は本体10全体の横方向D2の長さの1/2の45~90%であってよい。
【0044】
マスク100の装着中、すなわち耳材20、20を側方に開いて耳に掛けている状態では、耳材20、20は装着者の耳の方へと引っ張られるが、それに伴い、耳材20、20の本体10との結合部分は装着者の顔に向かって押し付けられる。ここで、本形態では、一対の耳材20、20が本体10の外面の両側部にそれぞれ結合されている(
図3及び
図4)。そのため、マスク100の装着中、耳材20の一部は本体10の両側部の外側に配置される(
図5及び
図6)、すなわち、本体10の両側部は耳材20と装着者の顔との間に配置されることになるので、本体10の両側部は、耳材20によって顔に向かって押さえられる。これにより、マスク本体10の両側部において本体10と顔との隙間を小さくすることができ、マスクの機能、例えば異物を遮断する機能、装着者が発した飛沫を飛散させない機能等を向上できる。また、本体の両側部の内側(顔側)に耳材20が配置されていないことで、装着中に、本体10の両側部において耳材20が装着者の顔に接触しないので、より良好な装着感も得ることができる。
【0045】
なお、本体10の外面及び/又は内面に、本体10の外面及び内面の区別(裏表の区別)を可能にするマーク18を、エンボス加工、印刷、縫込み等によって形成してもよい。マーク18は、使用者が目視で認識できるものであれば、その形態は限定されない。マーク18は、
図1等に示すように、文字であってもよいし、数字、記号、図形、ロゴ等であってもよい。
【0046】
(補助材)
本形態では、上述のように、一対の耳材20、20は、それぞれ補助材30、30を介して本体10の両側部にそれぞれ結合されている。補助材30、30の構成及び機能について、以下により詳細に説明する。
【0047】
図7に、マスク100において補助材30が設けられている部分の拡大図を示す。
図7(a)は、部分平面図であり、
図7(b)は、
図7(a)のIII-III線断面図である。また、
図8に、
図7に示す状態から耳材20を横方向D2外方に開いた後の図を示す。
図8(a)は、部分平面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のIV-IV線断面図である。
図7及び
図8の例では、本体10、耳材20、及び補助材30がこの順で積層されている。
図7及び
図8においては、マスク本体10のプリーツ構造15(
図1)の図示は省略する。
【0048】
補助材30は、本体10と耳材20との間を介在して、本体10と耳材20とを間接的に結合させるために設けられている。より具体的には、本体10と補助材30とは、第1接合部B1で接合され、耳材20と補助材30とは第2接合部B2で接合されていて、本体10と耳材20とは直接接合されていない。第1接合部B1及び第2接合部B2は、例えば、圧力及び/又は熱を加えることによって、部材の対向する面同士を接合させる手段、例えばヒートシール、超音波シール、非加熱のエンボス加工等によって形成できる。このうち、確実な接合が可能であることから、ヒートシールを用いることが好ましい。
【0049】
上述のように、本体10は、異物の侵入を遮断したり装着者が発生する飛沫の飛散を防止したりする機能を有し、一方、耳材20は、装着時に装着者の耳に掛けて本体10を保持する機能を有する。そのため、本体10と耳材20とは通常、異なる材料から形成されており、耳材20は、比較的伸縮性の高い材料で構成されることが好ましい。よって、本体10と耳材20とが直接接合されている従来の構成では、耳材20が引っ張られること等によってマスク100に力が加わった時には、本体10が耳材20の伸びに追随できず、接合が維持できずに両者が互いに剥がれてしまう可能性もある。
【0050】
これに対し、本形態によれば、本体10と補助材30との接合部である第1接合部B1、及び耳材20と補助材30との接合部である第2接合部B2を別々に形成できる。すなわち、接合部が第1接合部B1及び第2接合部B2を含むことによって、接合部に係る力が分散され、耳材20が剥がれにくくなる。また、それぞれの結合部を、直接結合させようとする2つの部材の特性に適合した形式で形成できる。さらに、補助材30の材料としても、本体10との接合、及び耳材20との接合の両方を最適化できる材料を選択することもできる。これにより、本体10と耳材20との間接的な結合が壊れにくくなり、結果として力が加わっても壊れにくいマスクを得ることができる。
【0051】
上述のように、本形態のマスク100を装着する前には、一対の耳材20、20にそれぞれ設けられた摘み部25、25を摘まんで引っ張ることにより、耳材20、20を互いに分離させ、それぞれ側方に開く。このような耳材20、20の分離・展開動作の際には、一対の耳材20、20の結合部28の構成、使用者の耳材20、20の分離の仕方等によって、マスク100にダメージを与える場合がある。例えば、結合部28における耳材20、20の分離が開始し難い場合には、使用者が過剰な力で耳材20、20を引っ張って開いてしまい、耳材20と本体10との結合部分に大きな力が掛かり、耳材20が剥がれる可能性がある。しかし、本形態によれば、使用開始時の耳材20、20の分離・展開動作においても、耳材20、20が本体10から剥がれにくく、良好な状態で装着を開始することができる。
【0052】
また、本形態によれば、本体10と耳材20とを強固に接合するために多量の接着剤を用いたり、硬化後に過度に硬くなる接着剤等を用いたりする必要もないので、各部材の機能も妨げられず、マスクの柔軟性を維持でき、装着感、使い勝手の良好なマスクを得ることができる。
【0053】
補助材30は、伸縮性のない若しくは小さい材料から形成してもよいし、ある程度の伸縮性を有する材料から形成されると好ましい。また、補助材30は、力が掛かると形状が不可逆的に変化し得る材料から形成してもよい。補助材30も、耳材20と同様の上述の種類の伸縮性不織布を含んでいてよいが、補助材30の伸縮性は、少なくとも横方向D2で、耳材20の伸縮性より小さいことが好ましい。また、補助材30の伸縮性は、少なくとも横方向D2で、本体10の伸縮性より大きいことが好ましい。
【0054】
伸縮性を有する補助材30を設けることで、耳材20が引っ張られた時にも、本体10の伸びと補助材30の伸びとの差、及び耳材20の伸びと補助材30の伸びとの差をそれぞれ抑えることができる。補助材30は、本体10と耳材20との間で、言わば緩衝材として働き得る。そのため、本体10と補助材30との第1接合部B1、及び耳材20と補助材30との第2接合部B2がいずれも壊れにくくなり、結果として、本体10と耳材20との間接的な結合が壊れにくくなる。なお、補助材30の目付は、5~100g/m2であってよい。また、補助材30の厚みは、100~1,000μmであってよい。
【0055】
補助材30は、
図7(a)に示すように、マスク100の縦方向D1に沿って延在するシート状の部材であってよい。補助材30の縦方向D1の長さは、マスク100の縦方向D1の長さ(本体10の縦方向D1の長さ)と同じであると好ましいが、マスク100の縦方向D1の長さより短くてもよい。また、マスク100の横方向D2の一方の側(左右どちらかの側)において、補助材30の横方向D2の外端31は、本体10の横方向D2の外端11より横方向D2内方にあっても外方にあってもよいが、
図7(a)に示すように本体10の横方向D2の外端11と揃った位置にあると好ましい。
【0056】
補助材30の横方向D2の長さ(幅)Wは、マスク100全体のサイズ及び構成、本体10及び耳材20のサイズ、形状、材質にもよるが、15~35mmであると好ましい。横方向D2の長さを上記範囲とすることで、第1接合部B1及び第2接合部B2の面積をそれぞれ十分に確保できる一方、補助材30が、使用開始時の分離・展開動作及び/又は装着の妨げず、本体10及び耳材20の機能も妨げない。
【0057】
なお、補助材30の幅Wは、
図7等に示すように、補助材30が耳材20の開口29と重なるような幅とすることができる。しかし、補助材30の幅Wは、補助材30が耳材20の開口29と重ならないように設定されてもよい。
【0058】
図7(a)及び(b)に示すように、補助材30は、本体10の外面側に配置されている。そのため、マスク100の装着中においても、補助材30自体が装着者の顔に接触する可能性が低く、本形態のマスク100による良好な装着感が妨げられない。
【0059】
さらに上述のように、本形態における耳材20は、本体10の両側部を装着者の顔に向かって押し付けるように機能し得るが、本体10の外面側に積層されている補助材30も少なくとも部分的に、耳材20と一体となって、本体10を顔へ向かって押し付ける機能を果たし得る。これにより、本体10の両側部と顔との間の隙間をさらに小さくすることができ、マスク100の機能を向上できる。
【0060】
マスク100の使用開始前の状態では、
図7(a)及び(b)に示すように、本体10と補助材30との接合部である第1接合部B1は、耳材20と補助材30との接合部である第2接合部B2より横方向D2外方に位置する。そのため、使用開始時に耳材20を横方向D2外方に開くと、補助材30の一部(横方向D2外側)は第1接合部B1があることで本体10に固定されたままとなるが、補助材の横方向D2内側は、第2接合部B2によって耳材20と共に横方向D2外方(側方)に開かれる(
図8(a)及び(b))。すなわち、補助材30は、縦方向D1に沿った線で、横方向D2に折り曲げられる。
【0061】
折り曲げられた補助材30には、補助材30を構成する材料の特性に応じて復元力(折り曲げられた状態から折り曲げられる前の状態に戻ろうとする力)が発生する。上述のように、装着中、耳材20と補助材30の少なくとも一部とが、本体10の両側部を顔に向かって押し付けるように作用するが、このような本体10の両側部を押し付ける作用は、補助材30が折り曲げられることによって向上し得る。
図7及び
図8に示すように、補助材30が、耳材20の外面側に配置され、マスク100の最外面に配置されている例では、耳材20が横方向D2外方に開かれた状態では、補助材30が耳材20の内側(顔側)に配置されるので、本体10の両側部を顔に向かって押し付ける機能がさらに高まる。よって、マスク本体と顔との隙間を小さくする作用がさらに向上する。
【0062】
耳材20が展開された状態で補助材30が装着時に折り曲げられる形態では、補助材30は、比較的高い曲げ反発性(曲げられた時の反発力の強さ)を有することが好ましく、例えば耳材20の曲げ反発性より大きい曲げ反発性を有していてよい。これにより、折り曲げられた補助材30の復元力が高まり、補助材30が内側(顔側)に向かって本体10を押す作用をさらに向上できる。
【0063】
使用開始前の状態では(
図7(a)及び(b))、マスク100の横方向D2の一方の側(左右どちらかの側)において、耳材20の横方向D2の外端21は、本体10の横方向D2の外端11より、横方向D2内方に位置している。すなわち、耳材20が、本体10に対して横方向D2内方にずらされている。そのため、本体10、耳材20、及び補助材30を順に積層させることで、折返し等の工程を行うことなく、補助材30が本体10と直接接触できる部分、及び補助材30が耳材20と直接接触できる部分を容易に形成し得る。そのため、本体10と補助材30との第1接合部B1、及び耳材20と補助材30との第2接合部B2を、複雑な構造及び工程なしで形成できる。例えば、耳材20の上に補助材30を、耳材20の横方向D2の外端21が補助材30の横方向D2の外端31より横方向D2内方に位置するように配置し、耳材20と補助材30とを第2接合部B2で接合させて得られた組合せ体を準備する。そして、その組合せ体を本体10の上に、耳材20の横方向D2の外端21が本体10の横方向D2の外端11より横方向D2内方に位置するように配置する。これにより、本体10の横方向D2の外端11付近と補助材30とが直接接触した部分が得られるので、上記組合せ体と本体10とを重ねた状態で、第1接合部B1を形成できる。
【0064】
第1接合部B1は、縦方向D1にわたって形成されていると好ましい。第1接合部B1の横方向D2の長さ(幅)w
1(
図7(a))、3~10mmとすることができる。
図7に示す例では、第1接合部B1の幅w
1は、縦方向D1にわたって一定であるが、幅w
1は必ずしも一定である必要はなく、場所によって変動していてもよい。幅w
1を上記範囲することで、本体10と補助材30との間に確実な接合を形成できるとともに、第1接合部B1が固くなることでマスク100全体の柔軟性を損なうことを防止できる。また、第1接合部B1が顔に触れた場合に生じる違和感等を低減できる。
【0065】
第2接合部B2も、縦方向D1にわたって形成されていると好ましい。第2接合部B2の横方向D2の長さ(幅)w
2(
図7(a))は、3~10mmとすることができる。
図7に示す例では、第1接合部B1の幅w
2は、縦方向D1にわたって一定であるが、幅w
2は必ずしも一定である必要はなく、場所によって変動していてもよい。幅w
2を上記範囲とすることで、耳材20と補助材30との間に確実な接合を形成できるとともに、第2接合部B2が固くなることでマスク100全体の柔軟性を損なうことを防止できる。
【0066】
第1接合部B1と第2接合部B2とは離間して設けられていると好ましい。第1接合部B1と第2接合部B2との距離w
0(
図7(a))は、3~13mmであってよい。また、距離w
0は、第1接合部B1の幅w
1より大きいことが好ましい。距離w
0を上記値とすることで、耳材20を展開する時に、耳材20の裏返し及び補助材30の折り曲げが容易となるとともに、マスク100の両側部の柔軟性が損なわれることも防止できる。
【0067】
耳材20を展開する際には、耳材20及び補助材30は、第1接合部B1の横方向D2の内端付近を基点として、耳材20が裏返され且つ補助材30が折り曲げられる。よって、第1接合部B1の横方向D2の内端と耳材20の横方向D2の外端21との間の距離sがある程度確保されていることが好ましい。また、距離sを過度に大きくしないことで、耳材20の横方向D2長さが短くなることを回避できる。距離sは、1~10mmであってよい。
【0068】
第1接合部B1及び第2接合部B2がヒートシールで形成されている場合、ヒートシールによって形成される溶着部分は、縦方向D1及び/又は横方向D2で連続であってもよいし、不連続であってもよい。不連続である場合、溶着部分が、接合部全体にわたって複数配置されていてよい。溶着部分が不連続に配置されていることで、接合部にある程度の柔軟性を確保しつつ、確実な接合を形成できる。
【0069】
図9(a)及び(b)に、
図7(a)における部分V及び部分VIの拡大図をそれぞれ示す。
図9(a)に示すように、第1接合部B1は、縦方向D1及び横方向D2のそれぞれで不連続な複数の溶着部分を含む。より具体的には、正方形の溶着部分が縦横にそれぞれ所定距離を置いて離間して配置されている。接合部分縦方向D1及び横方向D2のそれぞれで不連続な溶着部分を有することで、確実な接合を形成しつつも、第1接合部B1全体にわたり柔軟性の高い接合部が得られる。
【0070】
一方、
図9(b)に示すように、第2接合部B2は、縦方向D1に不連続な複数の溶着部分を含む。図示の例では、第2接合部B2に含まれる溶着部分は、横方向D2に延びるバー形状(若しくは線状)、より具体的には長方形を有する。装着中には耳材20が引っ張られるため、第2接合部B2(第2接合部B2で接合されている耳材20及び補助材30)は特に横方向D2に力を受けやすい。そのため、第2接合部B2に含まれる溶着部分を、横方向D2に連続するバー形状に形成することで、耳材20が横方向D2に引っ張られた時の剥がれを防止できる。なお、接合部の溶着部分の形状は、強度を十分に維持できる接合部を形成することができれば、図示のものに限られない。溶着部分は、長さに比べて幅狭の形状、すなわち線状(直線状又は曲線状)に形成されていてよいし、点状(点として視認され得る形状)に形成されていてよい。また、より具体的には、溶着部分の平面視形状は、矩形、菱形等の四角形、四角形以外の多角形、円形、楕円形等、任意の形状であってよい。
【0071】
なお、以上説明した例では、本体10と耳材20との結合のために介在される補助材30は、マスク100の最も外側に1層で配置されていたが、補助材30の配置は図示の例に限定されない。また、補助材30は、使用開始前の状態で折り畳まれて2層で構成されていてもよい。
【0072】
図10に、本形態によるマスク100の1つの変形例を示す。
図10は、
図7に対応する図であり、マスク100において補助材30が設けられている部分の拡大図を示す。
図10(a)は、部分平面図であり、
図10(b)は、
図10(a)のVII-VII線断面図を示す。また、
図11に、
図10に示す状態から耳材20を横方向D2外方に開いた後の図を示す。
図11(a)は、部分平面図であり、
図11(b)は、
図11(a)のVIII-VIII線断面図である。
図10及び
図11に示す変形例では、補助材30は、耳材20の外側に配置されている。それ以外の基本構成については、
図7及び
図8を参照して説明したものと同様であり、同様の作用・効果が得られる。
【0073】
図10(a)及び(b)の例では、マスク100の両側部(横方向D2の両端部)を外側から見ると耳材20が最も外側に配置され、耳材20の横方向D2の外端21から外側に補助材30が露出している。よって、使用開始時に耳材20を横方向D2外方に開いて展開すると、本体10の側部においては、折り曲げられた補助材30が、最も外側に配置され、耳材20の外端21が補助材30によって覆われる。そのため、装着中には、耳材20の外端21が露出せず、保護され得る。
【符号の説明】
【0074】
10 マスク本体
11 マスク本体の横方向外端
15 プリーツ構造
20 耳材
21 耳材の横方向外端
25 摘み部
28 分離可能な結合部
29 開口
30 補助材
31 補助材の横方向外端
100 マスク
B1 第1接合部
B2 第2接合部
w1 第1接合部の幅
w2 第2接合部の幅
w0 第1接合部と第2接合部との距離
s 第1接合部の横方向内端と耳材の横方向外端との距離