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特許7296958手術前、手術中または手術後に投与するためのGLP-2類似体及びGLP-2ペプチボディ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】手術前、手術中または手術後に投与するためのGLP-2類似体及びGLP-2ペプチボディ
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/26 20060101AFI20230616BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230616BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20230616BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20230616BHJP
【FI】
A61K38/26
A61P1/00
C07K14/605 ZNA
C07K19/00
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020526107
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018059175
(87)【国際公開番号】W WO2019090209
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】62/582,055
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522468319
【氏名又は名称】タケダ ファーマシューティカルズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TAKEDA PHARMACEUTICALS U.S.A., INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】パン,クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ノートン,アンジェラ
(72)【発明者】
【氏名】ストラック-ローグ,ベッティーナ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ,クレマン
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-502195(JP,A)
【文献】特表2009-510999(JP,A)
【文献】国際公開第2016/108654(WO,A1)
【文献】特表2014-526254(JP,A)
【文献】特表2015-503554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/26
A61P 1/00
C07K 14/605
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術を受けた患者でかつ短腸症候群を有する患者を治療するための組成物であって、GLP-2ペプチボディを含み、手術後48時間以内に前記患者に投与され、前記GLP-2ペプチボディが配列番号2~16に記載の配列のうち1つを含む、組成物。
【請求項2】
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号2に記載の配列を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号4に記載の配列を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
約1.4mg/kgの前記GLP-2ペプチボディの用量で前記患者に皮下投与される、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
手術後12時間以内に前記患者に投与される、請求項に記載の組成物
【請求項6】
前記患者が非経口栄養を摂取している、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記患者がある量の非経口栄養を毎週摂取しており、該組成物が、前記患者が摂取する非経口栄養の量を低減するのに有効である、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記患者が非経口栄養を摂取する必要性を排除するのに有効である、請求項またはに記載の組成物。
【請求項9】
前記患者が、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄、虚血症のうち1つ以上に続発する短腸症候群を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記患者が、
a)健常個体と比較して制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌、
b)健常個体と比較してより少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織、及び
c)健常個体と比較して向上した内因性GLP-2基礎レベル
のうち1つ以上を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
腸管内の湿重量吸収を増加させる、腸管内のエネルギー吸収を高める、または糞便の湿潤重量を減少させるのに有効である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
手術を受けている患者でかつ手術後に短腸症候群を発症すると予想される患者を治療するための組成物であって、GLP-2ペプチボディを含み、手術中に前記患者に投与され、前記GLP-2ペプチボディが、配列番号2~16に記載の配列のうち1つを含む、組成物。
【請求項13】
手術後48時間以内に前記患者にさらに投与される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
手術後に短腸症候群を発症すると予想される患者を治療するための組成物であって、GLP-2ペプチボディを含み、手術前に前記患者に投与され、前記GLP-2ペプチボディが、配列番号2~16に記載の配列のうち1つを含む、組成物。
【請求項15】
手術前1か月以内に少なくとも1回前記患者に投与される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記GLP-2ペプチボディが配列番号2に記載の配列を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記GLP-2ペプチボディが配列番号4に記載の配列を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
約1.4mg/kgの前記GLP-2ペプチボディの用量で前記患者に皮下投与される、請求項1217のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記患者が、手術後に非経口栄養を摂取すると予想される、請求項1218のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記患者が、ある量の非経口栄養を毎週摂取すると予想され、該組成物が、前記患者が摂取する非経口栄養の量を低減するのに有効である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記患者が非経口栄養を摂取する必要性を排除するのに有効である、請求項19または20に記載の組成物。
【請求項22】
前記患者が、手術後に、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄、虚血症のうち1つ以上に続発する短腸症候群を発症すると予想される、請求項1221のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記患者が、手術後に、
a)健常個体と比較して制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌、
b)健常個体と比較してより少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織、及び
c)健常個体と比較して向上した内因性GLP-2基礎レベル
のうち1つ以上を生じると予想される、請求項1222のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
腸管内の湿重量吸収を増加させる、腸管内のエネルギー吸収を高める、または糞便の湿潤重量を減少させるのに有効である、請求項1223のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年11月6日に出願された米国仮出願第62/582,055号の優先権を主張するものであり、当該出願の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
在宅非経口栄養(HPN)を必要とする非悪性疾患を患う短腸症候群(SBS)患者の推定有病率は、米国の人口百万人あたり少なくとも40人である。SBSは通常、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、外傷、先天異常、及び癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄などの状態のために小腸の一部または大部分を外科的切除することによって生じる。外科的切除はまた、結腸の全部または一部の切除を含むこともある。SBS患者は、栄養失調、脱水症及び体重減少につながる可能性のある吸収不良に苦しんでいる。一部の患者は、食欲亢進によってタンパク質とエネルギーバランスを維持することができ、よりまれに体液と電解質の要件を維持することで非経口的液体に非依存となることもある。
【0003】
プログルカゴンの翻訳後プロセシングは、33個のアミノ酸からなる経腸栄養性ペプチドホルモンである、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)を生成する。GLP-2は、胃内容排出を遅らせ、胃液分泌を減少させ、そして腸の血流を増加させるように作用する。GLP-2はまた、粘膜上皮の表面積を増大させるように少なくとも腸陰窩細胞の増殖を高めて腸絨毛の長さを増加させることによって大腸及び小腸の成長も刺激する。
【0004】
これらの効果は、GLP-2が様々な胃腸状態を治療するのに使用することができることを示唆している。小腸におけるGLP-2の実証された特定の効能により、腸の疾患または損傷の治療におけるGLP-2の使用には多くの関心が寄せられている(非特許文献1)。更にGLP-2は、化学療法が引き起こす粘膜炎、虚血再灌流傷害、硫酸デキストラン誘導性大腸炎及び炎症性腸疾患の遺伝的モデルを含む豊富な数の消化管損傷の前臨床モデルにおいて、粘膜上皮の損傷を予防または軽減することも明らかになっている(非特許文献1)。
【0005】
GLP-2の半減期は短く、そのことが、治療薬としての使用を制限している。というのも、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)によるGLP-2の生体内での迅速な開裂が、本質的に不活性なペプチドを生成するためである。GLP-2治療薬であるテデュグルチドは、アラニン-2をグリシンで置換することによって半減期が大いに延長されている。テデュグルチドは、通常、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、外傷、先天異常、及び癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄などの状態のために小腸の一部または大部分を外科的に切除することに起因する、短腸症候群(SBS)の治療において治療剤として有望であることが示されている。外科的切除はさらに、結腸の全部または一部の切除を含むこともある。SBS患者は吸収障害に苦しんでおり、これは栄養失調、脱水症及び体重減少につながることもある。一部の患者は、食欲亢進によってタンパク質とエネルギーバランスを維持することがあるが、体液と電解質の要件を維持することで非経口的液体に非依存となることができるのは、さらに稀なことである。
【0006】
単孔式空腸ストーマ造設術を受けかつ結腸を有さないSBS患者は、回腸末端と結腸に主に位置しているGLP-2分泌L細胞を除去したことによって、GLP-2の基礎レベルが低く、食事により刺激されるGLP-2分泌が制限される。このGLP-2の欠乏は、結果として切除後に適応応答が最小限となり、そしてこれらSBS患者にみられる胃液分泌過多、急速な腸管通過及び腸管順応性の欠如をも解明し得る。Jeppesenら(非特許文献2)は、SBS空腸ストーマ造設患者に天然GLP-2の薬理学的投与量を使用した非盲検試験における効能を記載している。腸管内の湿重量吸収が大幅に改善し、エネルギー吸収がより控えめな程度で改善したことで、体重、除脂肪体重の増加と尿中クレアチニン排泄量の増加につながった。一方、つながった結腸を有するSBS患者は、内因性GLP-2基礎レベルが向上し、その結果、湿重量増加とエネルギー吸収との改善を特徴とする切除に対する適応応答につながる。これら患者でのGLP-2受容体アゴニストの薬理学的投与量の更なる効能は明らかではなく、研究されていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Sinclair and Drucker,Physiology 2005:357-65
【文献】Gastroenterology 2001;120:806-815
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
小腸の外科的切除に起因するSBS及び他の状態を治療するためのGLP-2類似体の改善された投与方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、手術を受けて、短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術後48時間以内に患者へ投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術後48時間以内に患者へ投与することを含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、約1.4mg/kgの投与量、例えば1.4mg/kgで患者へ皮下投与される
【0010】
いくつかの実施形態において、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディは、手術の24時間後、手術の18時間後、手術の12時間後、手術の9時間後、手術の6時間後、手術の3時間後、手術の2時間後、または手術の1時間後に患者へ投与される。手術後、h(Gly2)GLP-2またはGLP-2類似体は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間にわたっておよそ6時間ごと、7時間ごと、8時間ごと、9時間ごと、10時間ごと、11時間ごと、12時間ごと、13時間ごと、14時間ごと、15時間ごと、16時間ごと、17時間ごと、18時間ごと、19時間ごと、20時間ごと、21時間ごと、22時間ごと、23時間ごとまたは24時間ごとに投与することができる。手術後、GLP-2ペプチボディは、皮下投与製剤又は静脈内投与製剤に1回投与することができる。GLP-2ペプチボディは、最初の投与から3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、またはそれ以上の日の後に再び投与することができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、患者は、非経口栄養を受容している。非経口栄養サポートは、短期でも、中期でも、または長期でもよい。例えば、図6を参照のこと。いくつかの実施形態において、患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容し、本方法は、患者が受容する非経口栄養の量を低減するのに有効である。いくつかの実施形態において、本方法は、患者が非経口栄養を受容する必要性を排除するのに有効である。いくつかの実施形態において、患者は、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄、及び虚血症のうち1つ以上に続発する短腸症候群を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、患者は、
a)(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌、
b)(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織、及び
c)(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベル
のうち1つ以上を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、本方法は、腸管内の湿重量吸収を増加させるのに、腸管内のエネルギー吸収を高めるのに、または糞便の湿潤重量を減少させるのに有効である。
【0014】
別の態様において、手術を受けており、手術後に短腸症候群を発症すると予想される患者を治療する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術中に患者へ投与することを含む。いくつかの実施形態において、h(Gly2)GLP-2及び/またはGLP-2ペプチボディは、手術後48時間以内に患者へ投与する。いくつかの実施形態において、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術後48時間以内に患者へ投与することを含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16に記載の配列のいずれかを含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、約1.4mg/kgの投与量、例えば1.4mg/kgで患者へ皮下投与される
【0015】
いくつかの実施形態では、(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディは、手術の24時間後、手術の18時間後、手術の12時間後、手術の9時間後、手術の6時間後、手術の3時間後、手術の2時間後、または手術の1時間後に患者へ投与される。手術後、h(Gly2)GLP-2またはGLP-2類似体は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間にわたっておよそ6時間ごと、7時間ごと、8時間ごと、9時間ごと、10時間ごと、11時間ごと、12時間ごと、13時間ごと、14時間ごと、15時間ごと、16時間ごと、17時間ごと、18時間ごと、19時間ごと、20時間ごと、21時間ごと、22時間ごと、23時間ごとまたは24時間ごとに投与することができる。手術後、GLP-2ペプチボディは、皮下投与製剤又は静脈内投与製剤に1回投与することができる。GLP-2ペプチボディは、最初の投与から3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、またはそれ以上の日の後に再び投与することができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、患者は、手術後に非経口栄養を受容することが予想される。非経口栄養サポートは、短期でも、中期でも、または長期でもよい。例えば、図6を参照のこと。いくつかの実施形態において、患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容することが予想され、本方法は、患者が受容する非経口栄養の量を低減するのに有効である。いくつかの実施形態において、本方法は、患者が非経口栄養を受容する必要性を排除するのに有効である。いくつかの実施形態において、患者は、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄、及び虚血症のうち1つ以上に続発する短腸症候群を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、患者は、
a)(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌、
b)(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織、及び
c)(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベル
のうち1つ以上を有する。いくつかの実施形態において、本方法は、腸管内の湿重量吸収を増加させるのに、腸管内のエネルギー吸収を高めるのに、または糞便の湿潤重量を減少させるのに有効である。
【0018】
別の態様において、手術後に短腸症候群を発症させると予想される患者を治療する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術前に患者へ投与することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディを患者へ投与する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16に記載の配列のいずれかを含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、約1.4mg/kgの投与量、例えば1.4mg/kgで患者へ皮下投与される
【0020】
いくつかの実施形態において、h(Gly2)GLP-2及び/またはGLP-2ペプチボディは、手術前1か月以内に少なくとも1回患者へ投与される。h(Gly2)GLP-2またはGLP-2類似体は、手術の24時間前に、手術の18時間前に、手術の12時間前に、手術の9時間前に、手術の6時間前に、手術の3時間前に、手術の2時間前に、または手術の1時間前という直前に1回投与することができる。h(Gly2)GLP-2またはGLP-2類似体の複数回投与は、手術前の1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間にわたって6時間ごと、7時間ごと、8時間ごと、9時間ごと、10時間ごと、11時間ごと、12時間ごと、13時間ごと、14時間ごと、15時間ごと、16時間ごと、17時間ごと、18時間ごと、19時間ごと、20時間ごと、21時間ごと、22時間ごと、23時間ごとまたは24時間ごとに行うことができる。手術前に、GLP-2ペプチボディを、皮下投与製剤又は静脈内投与製剤に1回投与することができる。GLP-2ペプチボディは、最初の投与から3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、またはそれ以上の日の後に再び投与することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、患者は、手術後に非経口栄養を受容することが予想される。非経口栄養サポートは、短期でも、中期でも、または長期でもよい。例えば、図6を参照のこと。いくつかの実施形態において、患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容することが予想され、本方法は、患者が受容する非経口栄養の量を低減するのに有効である。いくつかの実施形態において、本方法は、患者が非経口栄養を受容する必要性を排除するのに有効である。いくつかの実施形態において、患者は手術後に、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄、及び虚血症のうち1つ以上に続発する短腸症候群を発症すると予想される。
【0022】
いくつかの実施形態において、患者は、
a)(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌、
b)(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織、及び
c)(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベル
のうち1つ以上を手術後に生じると予想される。
【0023】
上記方法はいずれも、腸管内の湿重量吸収を増加させるのに、腸管内のエネルギー吸収を高めるのに、または糞便の湿潤重量を減少させるのに有効であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】無処置(左図)及び GLP-2ペプチボディK274で処置された(右図)小腸の陰窩及び絨毛である。GLP-2ペプチボディK274は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する。
図2】無処置(左図)及び GLP-2ペプチボディB264で処置された(右図)小腸の陰窩及び絨毛である。GLP-2ペプチボディB264は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する。
図3】無処置(左図)及び h(Gly2)GLP-2であるGLP-2[A2G]で処置された(右図)小腸の陰窩及び絨毛である。
図4】h(Gly2)GLP-2であるGLP-2[A2G]の、小腸の陰窩及び絨毛への局在化に関する組織学試験の結果である。
図5】A及びBは、GLP-2ペプチボディB264(A)及びGLP-2ペプチボディK274(B)の、小腸の陰窩及び絨毛への局在化に関する組織学試験の結果である。
図6】術後に発生し得る腸管機能低下の3つの異なる段階をY軸に示し、時間をX軸に示す図である。h(Gly2)GLP-2(テデュグルチド)及び/またはGLP-2ペプチボディの投与は、絨毛の長さ及び腸陰窩の深さを高めることなどによって、数日間または数週間にわたって腸の成長を促進し得る。そのような成長は、腸管吸収を改善して非経口栄養(PN)サポートの必要性を減らし得る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書には、テデュグルチド、グルカゴン様ペプチド(GLP-2)ペプチボディ及び他のGLP-2類似体を手術前、手術中、または手術後のある期間以内に投与する方法が記載されている。一般に、手術は、短腸症候群(SBS)を引き起こすであろう腸の切除を指す。手術にはさらに、SBSを悪化させる可能性のある他の手術を含む場合もある。テデュグルチド、GLP-2ペプチボディ及びGLP-2類似体を手術前、手術中、または手術後のある期間以内に投与する目的は、必要とされる非経口栄養の程度を低減するように、手術後の腸管吸収を増強させることである。非経口栄養サポートは、短期でも、中期でも、または長期でもよい。例えば、図6を参照のこと。GLP-2ペプチボディ、テデュグルチドまたは他のGLP-2類似体の手術前または手術中の投与は、短期的な非経口栄養を回避させるか、または短期的な非経口栄養が必要とされる期間を少なくとも大幅に短縮させ得る。さらに、GLP-2ペプチボディ、テデュグルチドまたは他のGLP-2類似体の手術後の投与は、短期的及び中期的な非経口栄養が必要とされる期間を短縮する可能性もある。GLP-2ペプチボディ、テデュグルチドまたは他のGLP-2類似体の投与は、炎症を軽減するかまたは小腸の創傷治癒速度を高め得、その結果、短期的及び中期的な非経口栄養が必要とされる期間を短縮させ得る。本方法は、患者への非経口栄養を打ち切る上での厄介な問題を回避または最小限に抑え得る。
【0026】
短腸症候群を有する患者であって、残存小腸に結腸がつながっている患者へh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術前、手術中、または手術後に投与することにより、前記患者を治療する様々な方法が提供される。h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディはいずれも、PEG化させるか、PEGに付着させるか、または別様に1つ以上のアミノ酸においてPEGと結合させることができる。PEGは、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体またはGLP-2ペプチボディの生体内での半減期を増加させるのに好適な任意の分子量及び分岐度のものであってよい。
【0027】
h(Gly2)GLP-2は、次のペプチド配列、すなわち、HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITD(配列番号1)を含む。
【0028】
GLP-2ペプチボディは、Fcの配列またはアルブミンの配列と融合したGLP-2を含むことができる。典型的なGLP-2ペプチボディは、次のうちの1つ以上を含む。
【0029】
a)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGGGGGDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号2)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0030】
b)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGGGGGDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号3)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0031】
c)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号4)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0032】
d)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号5)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0033】
e)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号6)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0034】
f)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGGGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号7)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0035】
g)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGAPGGGGGAAAAAGGGGGGAPGGGGGAAAAAGGGGGGAPGGGGGAAAAAGGGGGGAPDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号8)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0036】
h)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGGGGGGGDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号9)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0037】
i)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号10)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0038】
j)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGGGGGGSGGGGSGGGGSDAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQCPFEDHVKLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATLRETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEVDVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRYKAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCASLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKVHTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKPLLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEAKDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYKTTLEKCCAAADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFEQLGEYKFQNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEAKRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVNRRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKKQTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDKETCFAEEGKKLVAASRAALGL(配列番号11)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0039】
k)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDHGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDDAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQCPFEDHVKLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATLRETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEVDVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRYKAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCASLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKVHTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKPLLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEAKDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYKTTLEKCCAAADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFEQLGEYKFQNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEAKRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVNRRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKKQTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDKETCFAEEGKKLVAASRAALGL(配列番号12)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0040】
l)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDGSAGSAAGSGEFDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号13)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0041】
m)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号14)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0042】
n)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDAEAAAKEAAAKEAAAKALEAEAAAKEAAAKEAAAKADKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号15)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0043】
o)アミノ酸配列HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号16)またはこのアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列を含むGLP-2ペプチボディ、
【0044】
または2017年8月22日出願の米国仮出願番号62/548,601号に記載のGLP-2ペプチボディの配列のいずれか。
【0045】
GLP-2ペプチボディにおいて、リンカー配列が、GLP-2の配列とIgG1のFcまたはヒト血清アルブミンなどの他の配列との間に存在してもよい。GLP-2ペプチボディK274は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する。GLP-2ペプチボディB264は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する。
【0046】
GLP-2ペプチボディは、GLP-2に直接結合したシグナルペプチドを含むGLP-2前駆体ポリペプチドを加工することにより生成され得る。任意の数のシグナルペプチドを使用してもよく、典型的なシグナルペプチドは、次の配列METPAQLLFLLLWLPDTTG(配列番号17)を有する。
【0047】
h(Gly2)GLP-2は、2010年12月7日発行の米国特許第7,847,061号に記載されている。GLP-2ペプチボディは、2017年8月22日出願の米国仮出願番号62/548,601号に記載されている。
【0048】
本明細書で使用する場合、「皮下組織」という用語は、皮膚のすぐ下にある弛緩した不規則な結合組織の層と定義される。例えば、皮下投与は、限定されないが大腿部、腹部、臀部、または肩甲部を含む部分に組成物を注入することによって行うことができる。皮下投与は、シリンジを用いて組成物を注入することによって達成されてよい。また一方、注入装置(例えば、Inject-ease(商標)及びGenject(商標)装置)、ペン型注入器(例えばGenPen(商標)など)、無針デバイス(例えば、MediJector(商標)及びBioJector(商標))、ならびに皮下パッチ送達系のような、製剤投与用の他の装置も利用可能である。
【0049】
本出願で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、同義語として使用される。「約」または「およそ」を伴ってあるいは伴わずに本出願において使用される数字はいずれも、関連技術分野の当業者によって理解されるあらゆる正常変動を網羅することを意味する。本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、対象とする1つの以上の値に適用されるときは、表示された基準値と同様の値を指す。ある特定の実施形態において、「およそ」または「約」という用語は、別途記載のない限り、あるいは別様に前後関係から明白な場合を除いて、表示された参照値(を上回るかまたは下回る)のいずれかの25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、もしくはそれ未満の範囲内に含まれる値域を指す(この数が可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0050】
本明細書で使用する場合、「担体」及び「希釈剤」という用語は、医薬製剤の調製に有用な、薬学的に許容可能な(例えば、人への投与に関して安全で非毒性の)担体または希釈物質を指す。典型的な希釈剤としては、滅菌水、静菌性注射用水(BWFI)、pH緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、滅菌食塩水、リンゲル液またはブドウ糖液があげられる。
【0051】
本明細書で使用する場合、「融合タンパク質」または「キメラタンパク質」という用語は、2つ以上の元々別々のタンパク質またはその一部を結合することによって生成されるタンパク質を指す。いくつかの実施形態において、リンカーまたはスペーサーが、それぞれのタンパク質の間に存在することができる。
【0052】
本明細書で使用する場合、「半減期」という用語は、タンパク質の濃度または活性などの量が、開始時点での測定値の半分にまで低下するのに要する時間である。
【0053】
「GLP-2ペプチボディ」、「GLP-2ペプチボディの一部」、または「GLP-2ペプチボディフラグメント」及び/または「GLP-2ペプチボディバリアント」などは、試験管内で、原位置で及び/または好ましくは生体内で、限定されないがリガンド結合などの少なくとも1つのGLP-2ペプチチドの少なくとも1つの生物活性を有する、模倣するまたは模擬することができる。例えば、好適なGLP-2ペプチボディ、特定された部分またはバリアントはさらに、少なくとも1つのGLP-2受容体のシグナル伝達または他の測定可能なもしくは検出可能な活性を調節、増強、変更または活性化することもできる。GLP-2ペプチボディは、例えばGLP-2受容体などのタンパク質リガンドに対して親和性のある好適な結合を有し、また場合により低毒性を有し得る。GLP-2ペプチボディは、症状を良好にないしは非常に良好に軽減して、及び低毒性で、患者を長期間治療するために使用することができる。
【0054】
本明細書で使用する場合、「改善する」、「増加する」または「減少する」という用語、あるいは文法上の同等表現は、本明細書に記載の治療の各開始前における同じ個体での測定、または本明細書に記載の治療がない場合は対照患者(もしくは複数の対照患者)での測定などの、ベースライン測定に関連する値を示す。「対照患者」は、治療を受ける対象と同じ病型に苦しんでいる対象であって、治療を受ける対象とほぼ同じ年齢の対象である。
【0055】
本明細書で使用する場合、「試験管内で(in vitro)」という用語は、多細胞生物の内部ではなく人口環境、例えば、試験管内または反応容器内、細胞培養内などで生じる現象を指す。
【0056】
本明細書で使用する場合、「生体内で(in vivo)」という用語は、ヒト及び非ヒト動物などの多細胞生物の内部で生じる現象を指す。細胞をベースとする系統において、この用語は、(例えば、試験管内でとは対照的に)生きている細胞の内部で生じる現象を指すのに使用されてもよい。
【0057】
本明細書で使用する場合、「リンカー」という用語は、天然のタンパク質中の特定の位置に認められるアミノ酸配列以外の融合タンパク質中のアミノ酸配列を指し、一般には、柔軟なようにまたはα―ヘリックスなどの構造を2つのタンパク部分の間へ挿入できるように設計される。リンカーは、スペーサーとも呼ばれる。リンカーまたはスペーサーは典型的にそのままでは生物学的機能性を持たない。
【0058】
本明細書で使用する場合、「PEG」という用語は、任意の形態のポリ(エチレングリコール)を含み、アルコキシPEG、二官能性PEG、マルチアームPEG、分岐PEG、分枝状PEG、ペンダントPEG(すなわち、ポリマー骨格にペンダントした1つ以上の官能基を有するPEGもしくは関連ポリマー)、または分解可能な結合を内部に有するPEGがあげられる。
【0059】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な」という表現は、一般に生理学的に許容可能とみなされる分子実体及び組成物を指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合を介して連結されたアミノ酸の連続鎖を指す。この用語は、任意の長さのアミノ酸鎖を指すために使用されるが、当業者には、この用語が、長い鎖に限定されないことと、ペプチド結合を介して連結された2つのアミノ酸を含む最小鎖を指すこともあることとが理解されよう。当業者に既知のように、ポリペプチドは加工されていても及び/または修飾されていてもよい。本明細書で使用するとき、「ポリペプチド」及び「ペプチド」という用語は、互換的に使用される。「ポリペプチド」という用語はまた、タンパク質を示すこともある。
【0061】
本明細書で使用する場合、「予防する」または「予防」という用語は、疾患、障害及び/または状態の発生に関連して使用されるとき、疾患、障害及び/または状態を発症するリスクを低下させることを指す。「リスク」の定義を参照のこと。
【0062】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、または霊長類)を指す。ヒトは、出生前及び出生後の形態を含む。多くの実施形態では、対象はヒトである。対象は、患者であり得、患者は、疾患の診断または治療のために医療提供者を訪れるヒトを指す。「対象」という用語は、本明細書において、「個体」または「患者」と互換的に使用される。対象は、疾患もしくは障害に苦しんでいる可能性があるかまたはそれらにかかりやすいが、疾患または障害の症状を表してもまたは表さなくてもよい。
【0063】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、対象とする特徴もしくは性質の全てまたはほぼ全ての範囲もしくは程度を表す定性的状態を指す。生物学分野における当業者には、生物学的及び化学的な現象が、あるとしてもめったに完全にまで至らないか及び/または完全性まで進まないかあるいは確かな結果に達しないまたは近づかないものと理解されよう。「実質的に」という用語は、したがって、多くの生物学的及び化学的な現象に内在する潜在的な完全性の欠如を表現するために使用される。
【0064】
本明細書で使用される場合、治療剤の「治療的有効量」という用語は、疾患、障害及び/または状態に苦しんでいるかまたはそれらにかかり易い対象へ投与するときに、疾患、障害及び/または状態の症状の発現を治療、診断、予防及び/または遅延させるために十分な量を意味する。治療的有効量は典型的に、少なくとも1回用量を含む投与計画によって投与されるものであることが当業者には分かるであろう。
【0065】
本明細書で使用する場合、「治療する」、「治療」または「治療すること」という用語は、特定の疾患、傷害及び/または状態の1つ以上の症状もしくは特徴を部分的にまたは完全に軽減、改善、緩和、阻害もしくは予防するために、それらの開始を遅らせるために、その重症度を軽減するために、及び/またはそれらの発生率を低下させるために用いられる任意の方法を指す。治療は、疾患に関連する病状の発症リスクを低下させる目的で、疾患の兆候を示さない及び/または疾患の初期兆候のみを示す対象へも施されてよい。
【0066】
PEG化GLP-2
さまざまな有用な活性GLP-2類似体及び誘導体が文献に記載されている。2000年6月20日発行の米国特許第5,789,379号、2003年8月27日公開のWO02/066511号、1999年10月14日公開のWO99/43361号、2004年4月29日公開のWO04/035624号、2004年10月7日公開のWO04/085471号を参照のこと。これらGLP-2類似体及び誘導体はいずれも、PEGに結合させることができる。
【0067】
血清半減期は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体を、またはGLP-2ペプチボディさえも、ポリエチレングリコール(PEG)または当技術分野において既知の他の関連するポリマーに結合することによって延長することも可能である。このようなPEG化は、分子サイズの増加及び表面基や官能基との近接可能性の軽減を提供することができる。これらの効果は、血漿半減期を増加させ、プロテアーゼによる分解を防ぎ、免疫原性を低下させて、肝臓による取り込みを低下させ得る。
【0068】
GLP-2ペプチボディ
典型的なGLP-2ペプチボディとしては、配列番号2~16の配列を含むものがあげられるが、これらに限定されない。さらに上記GLP-2ペプチボディ配列はいずれも、C末端にリジン(K)を含んでいてもよい。また、GLP-2ペプチボディのGLP-2配列は、内因性酵素ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)にペプチド耐性を示すアミノ酸置換を組み込むことも可能である。このような類似体は、所望のタンパク質の組換え生産を可能にするために、必須ではないが望ましくは遺伝暗号化されたアミノ酸にAla2残基の適切な置換を組み込む。アラニン-2を有用に置換して、GLP-2受容体アゴニストの活性を維持しかつDPP-IVの影響を受けにくいGLP-2類似体を提供することができるアミノ酸には、Gly、D-Ala、Val、Glu、Lys、Arg、Leu及びIleがあげられる。さらに他のGLP-2類似体としては、Met-10が、酸化による影響がより少ないアミノ酸によって置換されたものもあげられる。
【0069】
GLP-2ペプチボディ、GLP-2類似体、またはh(Gly2)GLP-2でさえも、例えば内部リジンまたは置換リジンにおいて、親油基との結合により、ポリエチレングリコール基との結合により、免疫グロブリンのFc領域との結合により、アルブミンとの結合により、またはペプチドがその投与後に内生的に分解される速度を低下させる所望の効果を有する任意の他の官能基との結合により、血中半減期を延長するように誘導体化できる。このような誘導体化された形態は、誘導体化されたGLP-2類似体であってもよく、これは、例えばリジンの保存的もしくは非保存的置換のような、GLP-2受容体の活性にはほとんど悪影響を及ぼさないが所望の官能基の結合を可能にする置換を含有する。GLP-2またはGLP-2類似体の誘導体化された形態は、プロドラッグ、すなわち投与前の形態ではGLP-2受容体アゴニストの性質を表さなくても、投与後にGLP-2受容体を介して内因性効果を発揮するのであればGLP-2受容体アゴニストであると考えられることが分かるであろう。
【0070】
一態様では、非悪性疾患を伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養の量を毎週受容し、残存小腸に結腸がつながっている。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に、患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するかまたは排除するのに有効な投与計画を用いて、患者へ投与することを含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかに記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。別の実施形態では、GLP-2ペプチボディは、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に非悪性疾患を伴う短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。
【0071】
一部の患者は、食欲亢進によってタンパク質とエネルギーバランスを維持することができ、さらにまれに、体液と電解質の要件を維持することで非経口的液体に非依存となることもある。長期の非経口栄養(PN)は、腸管不全患者の命を救うが、それは高価で、生活の質を損ない、しかもカテーテル敗血症、静脈閉塞及び肝不全などの重篤な合併症を伴う。完全非経口栄養は多くの場合、小腸の萎縮を引き起こし、小腸がサイズの縮小によってエネルギー、水及び他の栄養素をあまり吸収できなくなると、PNへの依存が高まる可能性がある。腸管吸収の絶対量を増強してPNの必要性を排除または最小限に抑える治療は、SBS患者にとって非常に有望な意義を持つ。h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及びGLP-2ペプチボディのうち1つ以上を手術前、手術中、または手術直後に投与することで、PNの必要性を低減することができ、PNの投与量を低減する及び/またはPNの投与時間を短縮することができ、あるいはPNの回避をも可能にする。
【0072】
理論に束縛されることを望むものではないが、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及びGLP-2ペプチボディは、胃内容排出の遅延、胃液分泌の減少、腸管血流の向上ならびに小腸及び大腸の成長を刺激することを含む、数多くの活性を有する。小腸及び大腸の成長は、陰窩細胞の増殖刺激と腸上皮細胞アポトーシスの阻害とによって生じ得る。腸表面積が増加することで、水、栄養素及びエネルギーの吸収改善が生じ得る。このような吸収改善は、非経口栄養の必要性を低減する、あるいは排除することさえできる。
【0073】
つながった結腸を有するSBS患者を治療するのに有効な投与計画は、選択したGLP-2受容体アゴニストを、腸管吸収を増強するのに十分な時間及び用量で患者へ送達することを含むことができる。1つの好適な治療計画は、h(Gly2)GLP-2を1日1回、1日に30~150μg/kgの範囲内の用量で約21日間、腹部、大腿または腕に皮下注射することにより投与する必要がある。h(Gly2)GLP-2 は、皮下投与してもまたは静脈内投与してもよい。
【0074】
GLP-2ペプチボディもまた、皮下投与してもまたは静脈内投与してもよい。GLP-2ペプチボディは、0.02~3.0mg/kgを2日~14日に1回の投与計画に従って皮下投与することができる。GLP-2ペプチボディは、0.02~3.0mg/kg、0.02~0.5mg/kg、0.04~0.45mg/kg、0.08~0.4mg/kg、0.10~0.35mg/kg、0.20~0.30mg/kg、0.02~0.05mg/kg、0.03~0.04mg/kg、0.05~0.10mg/kg、0.10~0.15mg/kg、0.2~0.3mg/kg、0.3~0.4mg/kg、0.4~0.5mg/kg、0.5~0.8mg/kg、0.7~1.0mg/kg、0.9~1.2mg/kg、1.0~1.5mg/kg、1.2~1.8mg/kg、1.5~2.0mg/kg、1.7~2.5mg/kgまたは2.0~3.0mg/kgの投与計画に従って皮下投与されてよい。
【0075】
投与されたGLP-2ペプチボディは、10~100mg/mL、10~90mg/mL、20~80mg/mL、25~75mg/mL、30~70mg/mL、50~100mg/mL、60~90mg/mL、約75mg/mL、75mg/mL、10~20mg/mL、15~25mg/mL、12~18mg/mL、13~17mg/mL、14~16mg/mL、約15mg/mLまたは15mg/mLの濃度であってよい。
【0076】
手術前、手術中、あるいは手術後のh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体またはGLP-2ペプチボディの投与効果は、急速、例えば、投与の60時間以内、投与の48時間以内、投与の36時間以内、もしくは投与の24時間以内であり得る。このような投与は、手術後48時間以内にGI(胃腸)通過を急速に高め得る。このような投与はまた、幹細胞の活性を高め、さらには手術後の小腸の創傷治癒の長期改善を提供し得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体またはGLP-2ペプチボディの投与は、手術による炎症を軽減し得る。例えば、手術の2時間、3時間、4時間、5時間、または6時間前の投与は、小腸の切除による炎症反応を軽減し得る。炎症反応の軽減は、手術からの回復を促進し得、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体またはGLP-2ペプチボディの別な投与をより急速に作用させて、例えば陰窩の深さを増強することによってまたは絨毛の高さを増やすことによって、小腸及び大腸の成長を増強させ得る。
【0078】
手術前及び手術後の投与に関するいくつかの実施形態では、GLP-2ペプチボディを、0.02~0.5mg/kgで2日~14日に1回の投与計画に従って皮下投与する。いくつかの実施形態では、GLP-2ペプチボディを、0.02~3.0mg/kgで2日~14日に1回の投与計画に従って静脈内投与する。いくつかの実施形態において、投与されるGLP-2ペプチボディは、10~200mg/mLの濃度である。
【0079】
治療候補としては、手術後に残存小腸につながっている結腸の長さを少なくとも50%以上保持している短腸症候群の患者があげられる。このような治療候補は本明細書中では、手術後につながった結腸を50%以上有する患者と特定される。他の好ましい実施形態において、つながった結腸を有するSBS患者は、どうしてもというわけではないが望ましくは回腸の少なくとも一部を組み込む手術の後に、少なくとも約50cmの長さの小腸を有しているまたは有すると予想される。
【0080】
一態様では、クローン病を伴うまたはクローン病に続発する、短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している(または手術後に有すると考えられる)。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、本明細書に記載の組成物は、クローン病を伴うまたはクローン病に続発する、短腸症候群の治療方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、クローン病を伴うかまたはクローン病に続発する、短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0081】
一態様では、腸間梗塞症を伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、本明細書に記載の組成物は、腸間梗塞症を伴う短腸症候群の治療方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、腸間梗塞症を伴う短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0082】
一態様では、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する、短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、本明細書に記載の組成物は、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する、短腸症候群の治療方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する、短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0083】
一態様では、先天性腸管異常を伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、本明細書に記載の組成物は、先天性腸管異常を伴う短腸症候群の治療方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、先天性腸管異常を伴う短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0084】
一態様では、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄を伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄を伴う短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄を伴う短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0085】
一態様では、虚血症を伴うまたは虚血症に続発する、短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、虚血症を伴うまたは虚血症に続発する短腸症候群の治療方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、虚血症を伴うまたは虚血症に続発する短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0086】
一態様では、(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌を伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。投与計画は、食事により刺激されるGLP-2分泌を高めるのに有効である。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌を伴う短腸症候群の治療方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌を伴う短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0087】
一態様では、残存小腸に結腸が少なくとも25%維持されている短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、残存小腸に結腸が少なくとも25%維持されている短腸症候群の治療方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、残存小腸に結腸が少なくとも25%維持されている短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0088】
一態様では、(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織を伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者のGLP-2産生組織の量を増加させるのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織を伴う短腸症候群を有する患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織を伴う短腸症候群を有する患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0089】
一態様では、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0090】
一態様では、食事により刺激される内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)同等のまたは向上した短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。別の実施形態において、食事により刺激される内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)向上した患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、食事により刺激される内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)向上した患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0091】
一態様では、つながった結腸と約25cm~約200cmまでの範囲の残存小腸とを持つ短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、つながった結腸と約25cm~約200cmまでの範囲の残存小腸とを持つ患者の短腸症候群の治療方法において、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に使用することを目的する。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、つながった結腸と約25cm~約200cmまでの範囲の残存小腸とを持つ患者の短腸症候群を治療するための薬剤の製造において使用することを目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、つながった結腸と約25cm~約200cmまでの範囲の残存小腸とを持つ患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0092】
一態様では、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約10%の短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養の量を毎週受容し、かつ残存小腸に結腸がつながっている。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。食事を与えた状態での患者の内因性GLP-2を増加させるのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、食事を与えた状態での内因性GLP-2が(健常個体と比較して)少なくとも約10%の患者の短腸症候群を治療する方法において手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に使用することを目的する。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に食事を与えた状態での内因性GLP-2が(健常個体と比較して)少なくとも約10%の患者の短腸症候群を治療するための薬剤の製造において使用することを目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0093】
一態様では、つながった結腸と少なくとも約50cmの残存小腸とを持つ短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、つながった結腸と少なくとも約50cmの残存小腸とを持つ患者の短腸症候群の治療方法において手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に使用することを目的する。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内につながった結腸と少なくとも約50cmの残存小腸とを持つ患者の短腸症候群を治療するための薬剤の製造において使用することを目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0094】
一態様では、短腸症候群を有する患者の糞便の湿潤重量を減少させる方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者の糞便の湿潤重量を減少させるのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において糞便の湿潤重量を減少させる方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において糞便の湿潤重量を減少させるための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0095】
湿重量吸収の絶対量は、食事の湿潤重量から糞便の湿潤重量を減算することによって得ることができる。
【0096】
一態様では、短腸症候群を有する患者の尿の重量を増加させる方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者の尿の重量を増加させるのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、手術後に短腸症候群を有すると予想される患者において尿の重量を増加させる方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において尿の重量を増加させるための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0097】
一態様では、炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、炎症性腸疾患を伴わない患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0098】
一態様では、短腸症候群と健常個体に比べて減少した腸陰窩の深さとを有する患者の、腸陰窩の深さを増加させる方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者の腸陰窩の深さを増加させるのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群と健常個体に比較して減少した腸陰窩の深さとを有する患者において、腸陰窩の深さを増加させる方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態では、短腸症候群と健常個体に比較して減少した腸陰窩の深さとを有する患者において、腸陰窩の深さを増加させるための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0099】
一態様では、短腸症候群と健常個体に比較して減少した腸陰窩上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数とを有する患者の、腸陰窩上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数を増加させる方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、AGLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に、患者の腸陰窩上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数を増加させるのに有効な投与計画を用いて患者へ投与することを含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群と健常個体に比較して減少した腸陰窩上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数とを有する患者において、腸陰窩上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数を増加させる方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群と健常個体に比較して減少した腸陰窩上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数とを有する患者において、腸陰窩上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数を増加させるための薬物の製造における使用を目的とする。
【0100】
いくつかの生理学的機序は、テデュグルチド処置によって腸管吸収で認められる効能を説明し得る。単孔式空腸ストーマ造設術を受けたSBS患者であって、食事により刺激されるGLP-2分泌が制限されているかまたは全く無い患者は多くの場合、腸切除術後に少なくとも最初に胃液分泌過多及び急速な胃内容排出に苦しむ。GLP-2は、偽摂食させた健康人の胃酸分泌を弱め、SBS患者の胃内容排出を延長させることが分かっている。h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディの投与もまた、胃酸分泌を弱め、胃内容排出を延長させるだけでなく、(回腸ブレーキ機序として前述の)生理学的フィードバックを復元させ得る。h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体またはGLP-2ペプチボディの超生理学的用量は、局所的に高濃度を産生し得、それが胃液分泌を抑制して小腸の成長を引き起こす。正確な生理学的機序にかかわらず、腸の順応性を改善する治療に関連した腸管吸収の増強は好ましくは、体重または身体組成、水分補給、身体活動そして最終的には生活の質に関する効能に変換されるであろう。
【0101】
一態様では、短腸症候群を有しかつ回腸ブレーキ機序が低下または欠如した患者の、回腸ブレーキ機序の少なくとも一部を復元する方法を提供する。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者の回腸ブレーキ機序の少なくとも一部を復元するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有しかつ回腸ブレーキ機序が低下または欠如した患者において、回腸ブレーキ機序の少なくとも一部を復元する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の態様では、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有しかつ回腸ブレーキ機序が低下または欠如した患者において、回腸ブレーキ機序の少なくとも一部を復元するための薬物の製造において使用することを目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0102】
一態様では、短腸症候群と胃液分泌過多とを有する患者の、胃液分泌過多を弱める方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。胃液分泌過多を弱めるのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群と胃液分泌過多とを有する患者において胃液分泌過多を弱める方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群と胃液分泌過多とを有する患者において胃液分泌過多を弱めるための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0103】
一態様では、短腸症候群と急速な胃内容排出を有する患者の、急速な胃内容排出を軽減する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。胃内容排出速度を低減するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群と急速な胃内容排出とを有する患者において急速な胃内容排出を軽減する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群と急速な胃内容排出とを有する患者において急速な胃内容排出を軽減するための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0104】
一態様では、短腸症候群を有する患者の胃液分泌を減少または抑制する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。胃液分泌を減少するまたは抑制するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において胃液分泌を減少または抑制する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において胃液分泌を減少または抑制するための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0105】
一態様では、短腸症候群を有する患者の小腸の成長を誘導する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。小腸の成長を誘導するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において小腸の成長を誘導する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者の小腸の成長を誘導するための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0106】
一態様では、短腸症候群を有する患者のタンパク質の輸送を増加させる方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容するか、または手術、例えば小腸の切除の後にある量の非経口栄養を毎週受容することが予想される。患者はまた、残存小腸につながった結腸も有している。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者のタンパク質の輸送を増加させるのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者においてタンパク質の輸送を増加させる方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者においてタンパク質の輸送を増加させるための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0107】
一態様では、短腸症候群を有するかまたは手術、例えば腸の切除の後に短腸症候群を有すると予想される患者の、脱水症の発生を低減する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者の脱水症の発生の可能性を低減するのに有効である投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において脱水症の発生を低減する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において脱水症の発生を低減するための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0108】
一態様では、短腸症候群を有するかまたは手術、例えば腸の切除の後に短腸症候群を有すると予想される患者の、腎不全の発生を低減する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者に腎不全が発生する可能性を低減するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において腎不全の発生を低減する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において腎不全の発生を低減するための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0109】
一態様では、短腸症候群を有するかまたは手術、例えば腸の切除の後に短腸症候群を有すると予想される患者の、腎臓結石の発生を低減する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者に腎臓結石が発生する可能性を低減するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において腎臓結石の発生を低減する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、短腸症候群を有する患者において腎臓結石の発生を低減するための薬剤の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0110】
一態様では、残存小腸に結腸がつながっている短腸症候群を有する患者、または手術、例えば腸切除の後に残存小腸に結腸がつながっている短腸症候群を有すると予想される患者を治療する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による腸管吸収を増強するのに有効な投与計画を使用する。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、残存小腸に結腸がつながっている患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、残存小腸に結腸がつながっている患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0111】
一態様では、残存小腸に結腸がつながっている短腸症候群を有する患者、または手術、例えば腸切除の後に残存小腸に結腸がつながっている短腸症候群を有すると予想される患者を治療する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による腸管吸収を増強するのに有効な投与計画を使用する。h(Gly2)GLP-2は、0.04~0.06mg/kg体重の1日量、例えば、0.05mg/kg体重で静脈内投与される。GLP-2ペプチボディは、30~150μg/kgの用量で患者の腹部、大腿部又は腕への皮下注射により投与される。投与は毎日可能である。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。
【0112】
一態様では、残存小腸に結腸がつながっている短腸症候群を有する患者、または手術、例えば腸切除の後に残存小腸に結腸がつながっている短腸症候群を有すると予想される患者を治療する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による腸管吸収を増強するのに有効な投与計画を使用する。h(Gly2)GLP-2は、0.04~0.06mg/kg体重の1日量、例えば、0.05mg/kg体重で静脈内投与される。GLP-2ペプチボディは、30~150μg/kgの用量で患者の腹部、大腿部又は腕への皮下注射により投与される。投与は毎日可能である。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。
【0113】
一態様では、非経口栄養に依存しており、かつ残存小腸に結腸がつながっている短腸症候群を有するかまたは手術、例えば腸切除の後に残存小腸に結腸がつながっている短腸症候群を有すると予想される患者を治療する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による腸管吸収を増強するのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、非経口栄養に依存しておりかつ残存小腸に結腸がつながっている患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、非経口栄養に依存しておりかつ残存小腸に結腸がつながっている患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0114】
一態様では、短腸症候群を有するかまたは手術、例えば腸の切除の後に短腸症候群を有すると予想され、健常個体に比較して減少した絨毛の高さを有する患者であって、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっている患者の、絨毛の高さを増加させる方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者の絨毛の高さを増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0115】
本明細書に記載の様々な実施形態及び態様において、小腸の粘膜の成長を刺激することに対するh(Gly2)GLP-2及びGLP-2ペプチドの効果は、手術直後に必要な完全非経口栄養法(TPN)の量を低減するのに役立ち得る。GLP-2と同様に、h(Gly2)GLP-2及びGLP-2ペプチボディは、絨毛の高さ、腸陰窩の深さ及び腸粘膜の全表面積を増加させることができる。GLP-2と比較して長いh(Gly2)GLP-2及びGLP-2ペプチボディの半減期は、より急速で持続的な増加をもたらし得る。したがって、小腸の外科的切除後でさえも、前記全表面積の増加が小腸全体の長さの減少を補う可能性もある。
【0116】
完全非経口栄養法(TPN)はLeiらによって、小腸の絨毛を鈍化させるかあるいは絨毛の高さを減少させると記載されている。Lei,Q.ら、Nutrients、2016、8:33を参照のこと。h(Gly2)GLP-が2またはGLP-2ペプチボディの投与は、特にこれらを手術直前に、手術中に、または手術後の期間内に患者へ投与する場合、絨毛の鈍化を防ぎ得る。例えば、図1~3を参照のこと。GLP-2ペプチボディB264、GLP-2ペプチボディK274またはh(Gly2)GLP-2の投与が絨毛の高さを増加させた。絨毛の鈍化を防止することによって、小腸を渡る吸収が、小腸の一部の除去に続いて切除を伴う手術の後で最大になり得る。
【0117】
一態様では、非悪性疾患を伴う短腸症候群を有する患者であって、ある量の非経口栄養を毎週受容しかつ残存小腸に結腸がつながっている患者を治療する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者において、非悪性疾患を伴う短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者において、非悪性疾患を伴う短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0118】
一態様では、クローン病を伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容する。患者はまた、残存小腸に結腸がつながっている。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術後にクローン病を伴う短腸症候群を有し、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっていることが予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、クローン病を伴う短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、クローン病を伴う短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0119】
一態様では、腸間梗塞症を伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容しまた残存小腸に結腸がつながっている。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術後に腸間梗塞症を伴う短腸症候群を有し、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、腸間梗塞症を伴う短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、腸間梗塞症を伴う短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0120】
一態様では、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容しかつ残存小腸に結腸がつながっている。あるいは、患者は、短腸症候群を有さず、手術、例えば腸捻転を治療するための腸の切除の後に短腸症候群を有し、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0121】
一態様では、先天性腸管異常に続発する短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容しかつ残存小腸に結腸がつながっている。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に先天性腸管異常に続発する短腸症候群を有し、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっていることが予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、先天性腸管異常に続発する短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、先天性腸管異常に続発する短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0122】
一態様では、炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容しかつ残存小腸に結腸がつながっている。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を有し、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者が受容する非経口栄養の毎週の量を低減するまたは排除するのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0123】
一態様では、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄に続発する短腸症候群を有する患者であって、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者を治療する方法が提供される。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄に続発する短腸症候群を有し、しかもある量の非経口栄養を毎週受容すると予想される。本方法は、GLP-2受容体アゴニスト、例えばh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄に続発する短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄に続発する短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0124】
一態様では、虚血症に続発する短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容しかつ残存小腸に結腸がつながっている。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に虚血症に続発する短腸症候群を有し、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、GLP-2受容体アゴニスト、例えばh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の、虚血症に続発する短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の、虚血症に続発する短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0125】
このようなGLP-2受容体アゴニストは、2000年6月20日発行のMonroeらの米国特許第6077949号に報告されている通り、好ましくは選択的にヒトGLP-2受容体と結合して刺激する分子として特徴づけられ、この特許は参照により本明細書に組み込まれる。簡単に言えば、GLP-2受容体アゴニストは、ヒトGLP-2受容体を自然に産生する宿主細胞または前記受容体に遺伝子導入される宿主細胞に曝露されると、その受容体に結合したセカンドメッセンジャーの産生を誘発するかまたはその濃度上昇を誘発する薬剤だということが明らかにされている。
【0126】
一態様では、残存小腸に結腸が少なくとも25%維持されている短腸症候群を有する患者であって、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者を治療する方法が提供される。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に残存小腸に結腸が少なくとも25%維持されている短腸症候群を有し、しかもある量の非経口栄養を毎週受容すると予想される。本方法は、GLP-2受容体アゴニスト、例えばh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の、残存小腸に結腸が少なくとも25%維持されている短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の、残存小腸に結腸が少なくとも25%維持されている短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。
【0127】
他の態様では、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容しかつ残存小腸に結腸がつながっている。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う短腸症候群を有し、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、GLP-2受容体アゴニスト、例えばh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0128】
他の態様では、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う短腸症候群を有する患者であって、非経口栄養に依存している患者を治療する方法が提供される。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う短腸症候群を有し、しかも非経口栄養に依存していると予想される。本方法は、GLP-2受容体アゴニスト、例えばh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による腸管吸収を増強するのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う患者であって、非経口栄養に依存している患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを伴う患者であって、しかも非経口栄養に依存している患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0129】
一態様では、食事により刺激される内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)同等のまたは向上した短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容しかつ残存小腸に結腸がつながっている。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に、食事により刺激される内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)同等のまたは向上した短腸症候群を有し、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、GLP-2受容体アゴニスト、例えばh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、食事により刺激される内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)同等のまたは向上した患者であって、しかも非経口栄養に依存している患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、食事により刺激される内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)同等のまたは向上した患者であって、しかも非経口栄養に依存している患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0130】
別の態様において、約25cm~約200cmの範囲の残存小腸に結腸がつながっている短腸症候群を有する患者であって、しかもある量の非経口栄養を毎週受容する患者を治療する方法が提供される。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に約25cm~約200cmの範囲の残存小腸に結腸がつながった短腸症候群を有し、しかもある量の非経口栄養を毎週受容すると予想される。本方法は、GLP-2受容体アゴニストを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。GLP-2アゴニストは、GLP-2ペプチド及びGLP-2類似体からなる群から選択される。GLP-2アゴニストはh(Gly2)GLP-2であってよい。GLP-2アゴニストはGLP-2ペプチボディであってもよい。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。GLP-2アゴニストは、h(Gly2)GLP-2とGLP-2ペプチボディの組み合わせであってよい。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、約25cm~約200cmの範囲の残存小腸に結腸がつながっている患者であって、しかもある量の非経口栄養を毎週受容する患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、約25cm~約200cmの範囲の残存小腸に結腸がつながっている患者であって、しかもある量の非経口栄養を毎週受容する患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0131】
一態様において、つながった結腸と少なくとも約50cmの残存小腸とを有する短腸症候群を有する患者であって、しかもある量の非経口栄養を毎週受容する患者を治療する方法が提供される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、少なくとも約50cmの残存小腸を有しかつある量の非経口栄養を毎週受容する患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、少なくとも約50cmの残存小腸を有しかつある量の非経口栄養を毎週受容する患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0132】
他の態様において、炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容しまた残存小腸に結腸がつながっている。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を有し、ある量の非経口栄養を毎週受容し、しかも残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による基準湿重量吸収に比べて湿重量吸収を増加させるのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、ある量の非経口栄養を毎週受容する患者の炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0133】
他の態様において、非経口栄養に依存しておりかつ残存小腸に結腸がつながっている、短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に非経口栄養に依存し、しかも残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による非経口栄養への依存を軽減するのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。一実施形態において、GLP-2ペプチボディは、非経口栄養に依存しておりかつ残存小腸に結腸がつながっている患者の短腸症候群を治療する方法における使用を目的とし、本方法は、GLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することを含む。別の実施形態において、GLP-2ペプチボディは、非経口栄養に依存しておりかつ残存小腸に結腸がつながっている患者の短腸症候群を治療するための薬物の製造における使用を目的とする。薬物は、手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に投与することができる。
【0134】
さらに別の態様において、非経口栄養に依存しておりかつ残存小腸に結腸がつながっている、短腸症候群を有する患者を治療する方法が提供される。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に短腸症候群を有し、非経口栄養に依存しかつ残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による非経口栄養への依存を軽減するのに有効な投与計画を使用する。h(Gly2)GLP-2は、0.04~0.06mg/kg体重の1日量、例えば、0.05mg/kg体重で静脈内投与される。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4を含む。GLP-2ペプチボディは、30~150μg/kgの用量で皮下注射により腹部、大腿部、または腕へ毎日投与される。
【0135】
一態様において、非経口栄養に依存しておりかつ残存小腸に結腸がつながっている、短腸症候群を有する成人患者を治療する方法が提供される。あるいは、患者は、短腸症候群を有さない場合があり、手術、例えば腸の切除の後に短腸症候群を有し、非経口栄養に依存しかつ残存小腸に結腸がつながっていると予想される。本方法は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術直前に、手術中に、または手術後のある期間内に患者へ投与することを含む。患者による非経口栄養への依存を軽減するのに有効な投与計画を使用する。用量の調節は、治療目標の達成及び維持に基づいて個人個人で行うことができる。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。
【0136】
h(Gly2)GLP-2及び/またはGLP-2ペプチボディが手術直前または手術後のある期間内に投与される上記の態様及び実施形態のいずれにおいても、種々の服薬スケジュールが使用可能である。1日2回の投与が有益であり得る。1日2回(12時間ごと)の投与は有用に、1回用量当たり約5~250μg/kgを送達する。利益が、より頻回の投与または頻度の低い投与を含むスケジュールに対してもたらされ得る。さらに、フォローアップ投与を行うことも可能である。そのようなフォローアップ投与は、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体またはGLP-2ペプチボディをより長期間投与するための治療計画の一部として生じてもよく、あるいはこのような治療計画が用意される前に生じてもよい。フォローアップ投与は有用に、毎週、隔週、毎月、3ヶ月ごとなどのように規則的な頻度で生じる。持続的な投与は有用に、初期治療から生じる腸管吸収の増強とともに吸収性表面積が増加するといった利点を維持するのに有効な用量を患者へ提供し、そして1日おき~28日ごとに少なくとも1回、例えば、隔日に1回、週に2、3回、週1回などで患者に投与することによって達成することができる。持続的な投与またはフォローアップ投与は、GLP-2受容体アゴニストがもたらす医学的な利点の維持にとって重要であり得る。すなわち、実施例に記載するように、例えばテデュグルチドを用いた治療後の腸管吸収の改善は、投与を中止すると急速に、例えば4週間以内に損なわれる可能性がある。
【0137】
手術中、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体またはGLP-2ペプチボディは、注入により、または腸組織の漿膜側の標的部位へ薬剤を送達する任意の他の経路により、例えばデポー注射により投与することができる。注射によって送達する場合、薬物はユーザによる再構成用の凍結乾燥粉末として調合されてもよく、また単位用量または複数回用量のいずれかとして調合されてもよい。例えば、1つのテデュグルチド製剤が2001年7月12日公開のWO01/49314号に記載されており、L-ヒスチジン、マンニトール及びリン酸ナトリウムと共にテデュグルチドを含む再構成用の粉末を提供する。これは有用に、注射用及び自己投与用の水1mLとともにテデュグルチド10mgを含む、再構成用の3mLガラスバイアルとして提供される。別の考えられる製剤は、より少量の水性媒体、例えば注射用の水0.5mL中にテデュグルチド10mgを提供する。
【0138】
患者は、クローン病を伴うまたはクローン病に続発する、短腸症候群を有し得る。患者は、腸間梗塞症を伴うまたは腸間梗塞症に続発する、短腸症候群を有し得る。患者は、捻転を伴うまたは捻転に続発する、短腸症候群を有し得る。患者は、先天性腸管異常を伴うまたは先天性腸管異常に続発する、短腸症候群を有し得る。患者は、癒着又は放射線照射に起因する複数の狭窄を伴うまたはこの複数の狭窄に続発する、短腸症候群を有し得る。患者は、虚血症を伴うかまたは虚血症に続発する、短腸症候群を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを有し得る。
【0139】
患者は、炎症性腸疾患を伴わない短腸症候群を有し得る。ある特定の実施形態において、短腸症候群は、炎症性腸疾患に続発するものではない。ある特定の実施形態において、患者は、短腸症候群を有するが炎症性腸疾患を有しない。
【0140】
患者は、残存小腸に結腸が少なくとも25%維持されかつある量の非経口栄養を毎週受容してよい。いくつかの実施形態において、患者は、結腸が少なくとも30%維持されている。いくつかの実施形態において、患者は、結腸が少なくとも35%維持されている。いくつかの実施形態において、患者は、結腸が少なくとも40%維持されている。いくつかの実施形態において、患者は、結腸が少なくとも45%維持されている。いくつかの実施形態において、患者は、結腸が少なくとも50%維持されている。いくつかの実施形態において、患者は、結腸が少なくとも60%維持されている。いくつかの実施形態において、患者は、結腸が少なくとも70%維持されている。いくつかの実施形態において、患者は、結腸が少なくとも80%維持されている。いくつかの実施形態において、患者は、結腸が少なくとも90%維持されている。
【0141】
患者は、つながった結腸と約25cm~約200cmの範囲の残存小腸とを持つ短腸症候群を有し得る。患者は、約50~150cmの範囲の小腸の長さを有し得る。患者は、少なくとも約50cmの残存小腸を有し、しかもある量の非経口栄養を毎週受容してよい。
【0142】
患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約10%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約15%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約20%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約25%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約30%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約35%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約40%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約45%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約50%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約55%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約60%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約65%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約70%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約75%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約80%であってよい。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが(健常個体と比較して)少なくとも約90%であってよい。
【0143】
患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも10pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも15pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも20pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも25pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも30pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも35pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも40pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも45pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも50pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも55pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも60pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも65pモル/Lとなり得る。患者は、食事を与えた状態での内因性GLP-2レベルが少なくとも70pモル/Lとなり得る。
【0144】
h(Gly2)GLP-2は、5~500μg/kgの1日量で投与されてよい。h(Gly2)GLP-2は、30~150μg/kgの1日量で投与されてよい。h(Gly2)GLP-2は、0.04~0.06mg/kg体重の1日量、例えば0.05mg/kg体重で静脈内投与されてよい
【0145】
GLP-2ペプチボディは、0.02~3.0mg/kg、0.02~0.5mg/kg、0.04~0.45mg/kg、0.08~0.4mg/kg、0.10~0.35mg/kg、0.20~0.30mg/kg、0.02~0.05mg/kg、0.03~0.04mg/kg、0.05~0.10mg/kg、0.10~0.15mg/kg、0.2~0.3mg/kg、0.3~0.4mg/kg、0.4~0.5mg/kg、0.5~0.8mg/kg、0.7~1.0mg/kg、0.9~1.2mg/kg、1.0~1.5mg/kg、1.2~1.8mg/kg、1.5~2.0mg/kg、1.7~2.5mg/kg、または2.0~3.0mg/kgの1日量で投与されてよい。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号2~16のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態において、GLP-2ペプチボディは、配列番号4の配列を含む。
【0146】
h(Gly2)GLP-2は、皮下注射によって投与されてよい。皮下注射による投与は、腹部、大腿部、または腕にすることができる。皮下注射による投与は、手術前に行ってもよく、または手術後に行ってもよい。
【0147】
h(Gly2)GLP-2及び/またはGLP-2ペプチボディは、手術の1カ月以前に少なくとも1回患者へ投与されてよい。h(Gly2)GLP-2またはGLP-2類似物は、手術の24時間前、手術の18時間前、手術の12時間前、手術の9時間前、手術の6時間前、手術の3時間前、手術の2時間前、または手術の1時間前という直前に1回投与されてよい。h(Gly2)GLP-2またはGLP-2類似体の複数回投与を、手術前の1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間にわたって6時間ごと、7時間ごと、8時間ごと、9時間ごと、10時間ごと、11時間ごと、12時間ごと、13時間ごと、14時間ごと、15時間ごと、16時間ごと、17時間ごと、18時間ごと、19時間ごと、20時間ごと、21時間ごと、22時間ごと、23時間ごとまたは24時間ごとに行うことができる。手術前に、GLP-2ペプチボディを、皮下投与製剤又は静脈内投与製剤に1回投与することができる。GLP-2ペプチボディは、最初の投与から3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、またはそれ以上の日の後に再び投与することができる。
【0148】
投与は、手術の24時間後、手術の18時間後、手術の12時間後、手術の9時間後、手術の6時間後、手術の3時間後、手術の2時間後、または手術の1時間後に行われてよい。手術後、h(Gly2)GLP-2またはGLP-2類似体は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間にわたっておよそ6時間ごと、7時間ごと、8時間ごと、9時間ごと、10時間ごと、11時間ごと、12時間ごと、13時間ごと、14時間ごと、15時間ごと、16時間ごと、17時間ごと、18時間ごと、19時間ごと、20時間ごと、21時間ごと、22時間ごと、23時間ごとまたは24時間ごとに投与することができる。手術後に、GLP-2ペプチボディを、皮下投与製剤又は静脈内投与製剤で1回投与することができる。GLP-2ペプチボディは、最初の投与から3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、またはそれ以上の日の後に再び投与することができる。
【0149】
本明細書に記載の全ての態様及び実施形態のうちのある特定の実施形態において、患者は、成体、ヒト、または成人であってよい。
【0150】
いくつかの実施形態において、患者は、ある量の非経口栄養を毎週受容する。いくつかの実施形態において、投与計画は、投与の量または頻度で非経口栄養を低減するのに有効である。いくつかの実施形態において、投与計画は、食事により刺激されるGLP-2分泌を高めるのに有効である。
【0151】
本発明のGLP-2ペプチボディは、既知のタンパク質と比較して適切な性質、例えば限定されないが、半減期の増加、活性の増加、より特異的な活性、結合活性の増加、オフレートの増加または減少、活性サブセットの選択または更なる適切化、免疫原性の低下、少なくとも1つの所望の治療効果の品質向上または持続時間の増加、副作用の減少などのうち少なくとも1つを提供することができる。
【0152】
典型的には、好適なGLP-2ペプチボディ、例えば、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含むGLP-2ペプチボディは、約2時間超、3時間超、4時間超、6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超、24時間超、26時間超、28時間超、30時間超、32時間超、34時間超、36時間超、38時間超、40時間超、42時間超、44時間超、46時間超、または48時間超の生体内での半減期を有する。いくつかの実施形態において、組換えGLP-2ペプチボディは、2~48時間、2~44時間、2~40時間、3~36時間、3~32時間、3~28時間、4~24時間、4~20時間、6~18時間、6~15時間、及び6~12時間の生体内での半減期を有する。
【0153】
GLP-2ペプチボディもしくはその特定された部分またはそれらのバリアントは、少なくとも1つの細胞株、混合細胞株、不死化細胞あるいは不死化細胞及び/または培養細胞のクローン集団により産生され得る。不死化したタンパク質産生細胞は、好適な方法を用いて産生することができる。好ましくは、少なくとも1つのGLP-2ペプチボディもしくは特定された部分またはバリアントは、機能的に再配列されるもしくは機能的に再配列可能な少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAまたは前記遺伝子座と実質的に同様の配列を有するDNAであって、しかもさらには本明細書に記載のペプチボディ構造をも含むDNAを含む核酸あるいはベクターを提供することによって生成される。
【0154】
GLP-2ペプチボディは、ヒトタンパク質リガンドとさまざまな親和性(K)で結合することができる。好ましい実施形態において、本発明の少なくとも1つのヒトGLP-2ペプチボディは任意で、少なくとも1つのタンパク質リガンドと高親和性で結合することができる。例えば、本発明の少なくとも1つのGLP-2ペプチボディは、少なくとも1つのタンパク質リガンドと約10-7M以下のK、より好ましくは約0.1~9.9(またはその中の任意の範囲もしくは値)×10-7以下、×10-8以下、×10-9以下、×10-10以下、×10-11以下、×10-12以下または×10-13M以下、あるいはこれらのうちの任意の範囲または値のKで結合することができる。
【0155】
少なくとも1つのタンパク質リガンドに対するGLP-2ペプチボディの親和性または結合活性は、例えば、抗体-抗原間の結合親和性または結合活性を決定するために使用されるような任意の好適な方法を使用して、実験に基づいて決定することができる。(例えば、Kuby,Janis Immunology、W.H.Freeman and Company:New York,N.Y.(1992)を参照のこと)。特定のGLP-2ペプチボディ-リガンド間の相互作用に関する親和性測定値は、例えば塩濃度及びpH値といった異なる条件下で測定したときに異なり得る。したがって、親和性及び他のリガンド結合パラメータ(例えば、K、K、K)の測定値は好ましくは、GLP-2ペプチボディ及びリガンドの標準液と、本明細書に記載のまたは当技術分野で既知の緩衝液のような標準緩衝液とを用いて行われる。
【0156】
C末端にリジン(K)があってもなくてもよい。それに加えて、本明細書に記載の実施形態または態様のいずれにおいても、リジンをC末端に付加させることができる。本明細書に記載の実施形態または態様のいずれにおいても、GLP-2ペプチボディは、GLP-2に直接接合したシグナルペプチドを含むGLP-2前駆体ポリペプチドを、GLP-2とIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のいずれかのFc領域との間のリンカーを用いて加工することで生成される。Fc領域は、LALA変異を有するIgG1であってよい。GLP-2前駆体ポリペプチドは、次の式で表すことができる。
シグナルペプチド-GLP-2[A2G]-リンカー-IgG1(LALA)
【0157】
LALAは、抗体におけるL234A及びL235A(EU指標による番号付与)変異を指す。LALA変異は、FcγRへの結合を大幅に減少させ、その結果GLP-2ペプチボディに不要な抗体エフェクター機能が生じるのを防ぐことができる。Leabman,M.K.ら、“Effects of altered Fc gammaR binding on antibody pharmacokinetics in cynomolgus monkeys”mAbs 5(6):2013を参照のこと。
【0158】
GLP-2ペプチボディは、Fc領域に融合したGLP-2を含んでいてもよい。Fc領域とFcRn受容体との間の結合改善は、血中半減期の延長をもたらすことが企図される。そのため、いくつかの実施形態において、好適なFc領域は、FcRnへの結合改善につながる1つの以上のアミノ酸変異を含む。FcRnへの結合改善を生じさせるFc領域内の様々な変異は当技術分野で既知であり、本発明を実施するのに適応させることができる。いくつかの実施形態において、好適なFc領域は、ヒトIgG1のThr250、Met252、Ser254、Thr256、Thr307、Glu380、Met428、His433及び/またはAsn434に相当する1つ以上の位置に1つ以上の変異を含む。
【0159】
少なくとも1つのGLP-2生物学的活性を部分的にまたは好ましくは実質的に提供する、GLP-2ペプチボディもしくはその特定された部分またはそれらのバリアントは、GLP-2リガンドと結合することによって少なくとも1つの活性を提供することができるが、その活性は、そうでなければ、GLP-2に例えばGLP-2受容体などの少なくとも1つのリガンドが結合することを介して、または他のタンパク質が依存する機序もしくはタンパク質が介在する機序を介してもたらされる。本明細書で使用するとき、「GLP-2ペプチボディ活性」という用語は、少なくとも1つのGLP-2依存活性を、試験法に応じて野生型GLP-2ペプチドまたはGLP-2[A2G]ペプチドと比較して約20~10,000%で、好ましくは野生型GLP-2ペプチドまたはGLP-2[A2G]ペプチドと比較して少なくとも約60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、700%、800%、900%、1000%、2000%、3000%、4000%、5000%、6000%、7000%、8000%、9000%以上で調節するまたは生じさせることができるGLP-2ペプチボディを指す。
【0160】
少なくとも1つのタンパク質依存活性をもたらすGLP-2ペプチボディもしくは特定された部分またはバリアントの能力は好ましくは、本明細書に記載の及び/または当該技術分野において既知のような、少なくとも1つの好適なタンパク質生物試験によって評価される。本発明のヒトGLP-2ペプチボディもしくは特定された部分またはバリアントは、任意の分類(IgG、IgA、IgMなど)またはアイソタイプと同類であり得、そして軽鎖カッパ(κ)又はラムダ(λ)の少なくとも一部を含むことができる。一実施形態において、ヒトGLP-2ペプチボディもしくは特定された部分またはバリアントは、IgGのサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のうちの少なくとも1つの重鎖CH2及びCH3を含む。
【0161】
本発明の少なくとも1つのGLP-2ペプチボディもしくは特定された部分またはバリアントは、少なくとも1つのリガンド、サブユニット、フラグメント、その一部またはそれらの任意の組み合わせと結合する。本発明の少なくとも1つのGLP-2ペプチボディ、特定された部分またはバリアントの少なくとも1つのGLP-2ペプチド、バリアント若しくは誘導体は任意で、リガンドの少なくとも1つの特定されたエピトープと結合することができる。結合エピトープは、少なくとも1~3個のアミノ酸からなるアミノ酸配列少なくとも1つから、例えばGLP-2受容体またはその部分のようなタンパク質リガンドの配列における連続するアミノ酸の特定された部分全体に至る、任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0162】
本発明はさらに、配列が本明細書に記載のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸を含むペプチボディ、リガンド結合フラグメント及び免疫グロブリン鎖にも関する。好ましくは、このようなペプチボディまたはそのリガンド結合フラグメントは、受容体などのヒトGLP-2リガンドと高親和性(例えば、K約10-7M以下)で結合することができる。本明細書に記載の配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、アミノ酸の保存的置換、ならびにアミノ酸の欠失及び/または挿入をも含む配列があげられる。アミノ酸の保存的置換は、第1アミノ酸を、第1アミノ酸と同様の化学的及び/または物理的性質(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2アミノ酸で置換することを指す。保存的置換は、次のグループ内で、1つのアミノ酸を別のアミノ酸で置換することを含む:リジン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H);アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K,R、H、D及びE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)及びグリシン(G);F、W及びT;C、S及びT。
【0163】
当業者に理解されるように、本発明は、本発明の少なくとも1つの生物学的に活性なGLP-2ペプチボディもしくは特定された部分またはバリアントを含む。いくつかの実施形態において、生物学的に活性なGLP-2ペプチボディもしくは特定された部分またはバリアントは、天然の(合成はない)、内因性のまたは関連する既知の挿入もしくは融合タンパク質または特定された部分またはバリアントの比活性の少なくとも2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、または15%の比活性を有する。
【0164】
GLP-2ペプチボディの調製手法は、2017年8月22日出願の米国仮出願番号62/548,601号に記載されている。さらに、前記出願62/548,601号に記載の改変はいずれも、本明細書に記載のGLP-2ペプチボディに対しても実施可能である。
【0165】
いくつかの実施形態において、投与計画は、患者による湿重量吸収を基準湿重量吸収に比べて増加させるのに有効である。このような患者は、クローン病を伴うまたはクローン病に続発する、短腸症候群を有し得る。このような患者は、腸間梗塞症を伴うまたは腸間梗塞症に続発する、短腸症候群を有し得る。このような患者は、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する、短腸症候群を有し得る。このような患者は、先天性腸管異常を伴うまたは先天性腸管異常に続発する、短腸症候群を有し得る。このような患者は、癒着又は放射線照射に起因する複数の狭窄を伴うまたは前記複数の狭窄に続発する、短腸症候群を有し得る。このような患者は、虚血症を伴うまたは虚血症に続発する、短腸症候群を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを有し得る。
【0166】
いくつかの実施形態において、投与計画は、患者による腸管吸収を高めるのに有効である。このような患者は、クローン病を伴うまたはクローン病に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、腸間梗塞症を伴うまたは腸間梗塞症に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、先天性腸管異常を伴うまたは先天性腸管異常に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、癒着又は放射線照射に起因する複数の狭窄を伴うまたは前記複数の狭窄に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、虚血症を伴うまたは虚血症に続発する短腸症候群を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを有し得る。
【0167】
いくつかの実施形態において、投与計画は、患者の糞便の湿潤重量を低減するのに有効である。このような患者は、クローン病を伴うまたはクローン病に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、腸間梗塞症を伴うまたは腸間梗塞症に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、先天性腸管異常を伴うまたは先天性腸管異常に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、癒着又は放射線照射に起因する複数の狭窄を伴うまたは前記複数の狭窄に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、虚血症を伴うまたは虚血症に続発する短腸症候群を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを有し得る。
【0168】
いくつかの実施形態において、投与計画は、患者の尿の重量を増加させるのに有効である。このような患者は、クローン病を伴うまたはクローン病に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、腸間梗塞症を伴うまたは腸間梗塞症に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、腸捻転を伴うまたは腸捻転に続発する、短腸症候群を有し得る。このような患者は、先天性腸管異常を伴うまたは先天性腸管異常に続発する、短腸症候群を有し得る。このような患者は、癒着又は放射線照射に起因する複数の狭窄を伴うまたは前記複数の狭窄に続発する短腸症候群を有し得る。このような患者は、虚血症を伴うまたは虚血症に続発する短腸症候群を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織を有し得る。患者は、(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベルを有し得る。いくつかの実施形態において、尿の重量は、投与計画前の患者の尿の重量と比較して少なくとも5%増加する。いくつかの実施形態において、尿の重量は、投与計画前の患者の尿の重量と比較して少なくとも10%増加する。
【0169】
いくつかの実施形態において、短腸症候群を有する患者は、健常個体と比較して腸陰窩の深さが減少しており、投与計画は、患者における腸陰窩の深さを増加させるのに有効である。腸陰窩の深さは、小腸の内部であってよい。例えば、図1~3を参照のこと。GLP-2ペプチボディB264、GLP-2ペプチボディK274またはh(Gly2)GLP-2の投与により、投与後の小腸において腸陰窩の高さを増加させた。
【0170】
いくつかの実施形態において、短腸症候群を有する患者は、健常個体と比較して腸陰窩の上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数が減少しており、投与計画は、患者の腸陰窩の上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数を増加させるのに有効である。
【0171】
いくつかの実施形態において、投与計画は、h(Gly2)GLP-2を少なくとも21日間にわたって投与することを含む。この期間は、少なくとも25日、少なくとも30日、少なくとも35日、少なくとも40日、少なくとも45日、少なくとも50日、少なくとも55日、少なくとも60日、または少なくとも65日であってよい。
【0172】
いくつかの実施形態において、患者は成体であり、そしてh(Gly2)GLP-2は、0.04~0.06mg/kg体重の1日量、例えば0.05mg/kg体重で静脈内投与される。
【0173】
いくつかの実施形態において、投与計画は、患者の回腸ブレーキ機序の少なくとも一部を復元するまたは高めるのに有効である。いくつかの実施形態において、投与計画は、短腸症候群を有する患者における胃液分泌過多を軽減するのに有効である。いくつかの実施形態において、投与計画は、短腸症候群を有する患者における胃液分泌を低減するまたは抑制するのに有効である。いくつかの実施形態において、投与計画は、短腸症候群を有する患者における胃内容排出速度を低減するのに有効である。患者は急速な胃内容物排出を示し得る。いくつかの実施形態において、投与計画は、短腸症候群を有する患者における小腸の成長を誘導するのに有効である。
【0174】
いくつかの実施形態において、投与計画は、短腸症候群を有する患者におけるタンパク質の輸送を増加させるのに有効である。タンパク質の輸送は、小腸を渡る、例えば、絨毛を渡る、腸陰窩を渡る、または絨毛と腸陰窩の両方を渡るものであってよい。
【0175】
いくつかの実施形態において、投与計画は、短腸症候群を有する患者における脱水症の再発の可能性を低減するのに有効である。いくつかの実施形態において、投与計画は、短腸症候群を有する患者における腎不全の再発の可能性を低減するのに有効である。いくつかの実施形態において、投与計画は、短腸症候群を有する患者における腎臓結石の再発を低減するのに有効である。いくつかの実施形態において、投与計画は、短腸症候群を有する患者による腸管吸収を高めるのに有効である。いくつかの実施形態において、投与計画は、患者による非経口栄養への依存を軽減するのに有効である。
【0176】
いくつかの実施形態において、投与計画は、上記患者の(小腸の)絨毛の高さを増加させるのに有効である。絨毛の高さ及び腸陰窩の深さは、適切に方向づけられた絨毛及び腸陰窩10個の平均値として光学顕微鏡(接眼ミクロメーター)を用いて測定することができる。腸陰窩上皮細胞100個当たりの有糸分裂像の数も算出することができる。
【0177】
いくつかの実施形態において、投与計画は、上記患者の(小腸の)腸陰窩の高さを増加させるのに有効である。
【実施例
【0178】
以降の実施例によって本発明を更に説明及び実証する。しかしながら、実施例及び他の実施例の使用は本明細書中のどの場所においても単なる例示であって、本発明又はいずれかの例示された用語の範囲及び意味を制限するものではない。同様に、本発明は、本明細書に記載のどの特定の好ましい実施形態にも限定されるものではない。それどころか、本発明の多くの修正及び変更は、本明細書を読むことで当業者に明らかとなり得、そしてこのような変更は、本発明の精神または範囲を逸脱しない範囲で実施可能である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に付与される権利と同等の範囲全体に加えて特許請求の範囲の用語によってのみ制限されるべきである。
【0179】
実施例1:GLP-2ペプチボディB264における絨毛の長さと腸陰窩の深さの組織学試験
さまざまな用量のGLP-2ペプチボディB264について、全体重に対する小腸の重量の測定及び腸絨毛の長さの組織学試験を主要評価項目として、薬理学的プラトーを分析評価した。それぞれが6頭の雌CD-1マウスからなる11の群を作成した。これらの群を以下の表1にまとめる。
【表1】
【0180】
組織学検査では、4ミクロンのパラフィン切片を、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色及びKi67によるIHC染色のために用意した。スライド全域走査後に、イメージスコープを用いて絨毛の長さ及び腸陰窩の深さを測定して、Ki67を分析した。Ki67に対する抗体は、Adcam(登録商標)からカタログ番号ab616667として販売されているウサギ抗体である。この抗体を1:100の検査濃度で使用して、Leica(登録商標)リファイン(Refine)キットを用いて検出した。Ki67による染色結果を図4図5A及び図5Bに示す。GLP-2ペプチボディB264、GLP-2ペプチボディK274、及びGLP-2[A2G]ペプチドは、絨毛及び腸陰窩細胞に強く局在化している。GLP-2ペプチボディB264、GLP-2ペプチボディK274及びGLP-2[A2G]ペプチドに関するさらなるデータ及び実施例は、例えば、2017年8月22日出願の米国仮出願番号62/548,601号の実施例13を参照のこと。
【0181】
実施例2:患者へのGLP-2ペプチボディの手術前投与
クローン病を有する患者が、1か月で小腸切除手術を受けることが予定されている。患者は手術後に150cm長の小腸を持つと予想される。小腸は、大腸とつながって維持されると予想される。患者は、軽度の短腸症候群を発症して非経口栄養サポートを必要とすることが予想される。クローン病の問題である手術後の炎症を低減するため、及び非経口栄養サポートの必要性を最小限にするための治療計画の一部として、GLP-2ペプチボディを約1.4mg/kgの用量で毎週患者へ皮下投与する。患者は、消化と腸管吸収に関連するあらゆる副作用をモニターされる。
【0182】
実施例3:患者へのテデュグルチドの手術前投与
クローン病を有する患者が、1か月で小腸切除手術を受けることが予定されている。患者は手術後に150cm長の小腸を持つと予想される。小腸は、大腸とつながって維持されると予想される。患者は、軽度の短腸症候群を発症して非経口栄養サポートを必要とすることが予想される。手術後の炎症、すなわちクローン病問題を軽減するため及び非経口栄養サポートの必要性を最小限にするための治療計画の一環として、h(Gly2)GLP-2 0.05mg/kgを患者へ毎日静脈内投与する。患者は、消化と腸管吸収に関連するあらゆる副作用をモニターされる。
【0183】
実施例4:患者へのGLP-2ペプチボディの手術中及び手術後投与
腸捻転を有する患者が小腸切除手術を受けている。患者は手術後に100cm長の小腸を持つと予想される。小腸は手術後、大腸とつながって維持されると予想される。患者は、短腸症候群を発症して非経口栄養サポートを必要とすることが予想される。手術による炎症を軽減するため及び非経口栄養サポートの必要性を最小限にするための治療計画の一環として、h(Gly2)GLP-2を手術中に患者へ静脈内投与する。投与される1日量は、0.05mg/kg体重である。手術後、h(Gly2)GLP-2を1日量0.05mg/kg体重で静脈内投与する。患者は、非経口栄養サポートを低減するまたは打ち切ることができるかどうかを判断するためにモニターされる。
【0184】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。それどころか、本明細書に記載の上記実施形態に加えて、本発明の様々な修正が、前述の説明及び添付の図面から当業者には明白となるであろう。このような修正は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、全ての値は近似値であり、説明のために提供されたものであることも理解すべきである。
【0185】
特許、特許出願、刊行物、製品の説明、及びプロトコルが本出願全体にわたって引用されており、それらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
[実施態様1]
手術を受けており、かつ短腸症候群を有する患者を治療する方法であって、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術後48時間以内に前記患者へ投与することを含む、前記方法。
[実施態様2]
手術を受けており、かつ短腸症候群を有する患者を治療する方法であって、GLP-2ペプチボディを手術後48時間以内に前記患者へ投与することを含む、前記方法。
[実施態様3]
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号2~16に記載の配列のうち1つを含む、実施態様2に記載の方法。
[実施態様4]
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号2に記載の配列を含む、実施態様2に記載の方法。
[実施態様5]
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号4に記載の配列を含む、実施態様2に記載の方法。
[実施態様6]
前記GLP-2ペプチボディを約1.4mg/kgの用量で前記患者へ皮下投与する、実施態様2~5のいずれかに記載の方法。
[実施態様7]
前記GLP-2ペプチボディを、手術後12時間以内に前記患者へ投与する、実施態様6に記載の方法
[実施態様8]
前記患者が、非経口栄養を摂取している、実施態様1~7のいずれかに記載の方法。
[実施態様9]
前記患者が、ある量の非経口栄養を毎週摂取し、及び前記方法が、前記患者が摂取する非経口栄養の量を低減するのに有効である、実施態様8に記載の方法。
[実施態様10]
前記方法が、前記患者が非経口栄養を摂取する必要性を排除するのに有効である、実施態様8または9に記載の方法。
[実施態様11]
前記患者が、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄、虚血症のうち1つ以上に続発する短腸症候群を有する、実施態様1~10のいずれかに記載の方法。
[実施態様12]
前記患者が、
a)(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌、
b)(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織、及び
c)(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベル
のうち1つ以上を有する、実施態様1~11のいずれかに記載の方法。
[実施態様13]
前記方法が、腸管内の湿重量吸収を増加させるのに、腸管内のエネルギー吸収を高めるのに、または糞便の湿潤重量を減少させるのに有効である、実施態様1~12のいずれかに記載の方法。
[実施態様14]
手術を受け、かつ手術後に短腸症候群を発症すると予想される患者を治療する方法であって、手術中にh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを前記患者へ投与することを含む、前記方法。
[実施態様15]
前記GLP-2ペプチボディを前記患者へ投与する、実施態様14に記載の方法。
[実施態様16]
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号2~16に記載の配列のうち1つを含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様17]
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号2に記載の配列を含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様18]
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号4に記載の配列を含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様19]
前記GLP-2ペプチボディを約1.4mg/kgの用量で前記患者へ皮下投与する、実施態様15~18のいずれかに記載の方法。
[実施態様20]
さらに、h(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを手術後48時間以内に前記患者へ投与することを含む、実施態様14~19のいずれかに記載の方法。
[実施態様21]
前記患者が、手術後に非経口栄養を摂取すると予想される、実施態様14~20のいずれかに記載の方法。
[実施態様22]
前記患者が、ある量の非経口栄養を毎週摂取すると予想され、及び前記方法が、前記患者が摂取する非経口栄養の量を低減するのに有効である、実施態様21に記載の方法。
[実施態様23]
前記方法が、前記患者が非経口栄養を摂取する必要性を排除するのに有効である、実施態様21または22に記載の方法。
[実施態様24]
前記患者が、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄、虚血症のうち1つ以上に続発する短腸症候群を有する、実施態様14~23のいずれかに記載の方法。
[実施態様25]
前記患者が、
a)(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌、
b)(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織、及び
c)(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベル
のうち1つ以上を有する、実施態様14~24のいずれかに記載の方法。
[実施態様26]
前記方法が、腸管内の湿重量吸収を増加させるのに、腸管内のエネルギー吸収を高めるのに、または糞便の湿潤重量を減少させるのに有効である、実施態様14~25のいずれかに記載の方法。
[実施態様27]
手術後に短腸症候群を発症すると予想される患者を治療する方法であって、手術前にh(Gly2)GLP-2、GLP-2類似体及び/またはGLP-2ペプチボディを前記患者へ投与することを含む、前記方法。
[実施態様28]
前記h(Gly2)GLP-2及び/またはGLP-2ペプチボディを、手術前1か月以内に少なくとも1回前記患者へ投与する、実施態様27記載の方法。
[実施態様29]
前記GLP-2ペプチボディを前記患者へ投与する、実施態様27または28に記載の方法。
[実施態様30]
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号2~16に記載の配列のうち1つを含む、実施態様29に記載の方法。
[実施態様31]
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号2に記載の配列を含む、実施態様29に記載の方法。
[実施態様32]
前記GLP-2ペプチボディが、配列番号4に記載の配列を含む、実施態様29に記載の方法。
[実施態様33]
前記GLP-2ペプチボディを約1.4mg/kgの用量で前記患者へ皮下投与する、実施態様29~32のいずれかに記載の方法。
[実施態様34]
前記患者が、手術後に非経口栄養を摂取すると予想される、実施態様27~33のいずれかに記載の方法。
[実施態様35]
前記患者が、ある量の非経口栄養を毎週摂取すると予想され、及び前記方法が、前記患者が摂取する非経口栄養の量を低減するのに有効である、実施態様34に記載の方法。
[実施態様36]
前記方法が、前記患者が非経口栄養を摂取する必要性を排除するのに有効である、実施態様34または35に記載の方法。
[実施態様37]
前記患者が手術後に、クローン病、腸間梗塞症、腸捻転、癒着または放射線照射に起因する複数の狭窄、及び虚血症のうち1つ以上に続発する短腸症候群を発症すると予想される、実施態様27~36のいずれかに記載の方法。
[実施態様38]
前記患者が手術後に、
a)(健常個体と比較して)制限されるがいくらかの検出可能な、食事により刺激されるGLP-2分泌、
b)(健常個体と比較して)より少ないがいくらかの検出可能なGLP-2産生組織、及び
c)(健常個体と比較して)向上した内因性GLP-2基礎レベル
のうち1つ以上を生じると予想される、実施態様27~36のいずれかに記載の方法。
[実施態様39]
前記方法が、腸管内の湿重量吸収を増加させるのに、腸管内のエネルギー吸収を高めるのに、または糞便の湿潤重量を減少させるのに有効である、実施態様27~38のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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