(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】低GWP冷媒ブレンド
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20230616BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
C09K5/04 F
C09K5/04 E
C09K5/04 A
F25B1/00 396Z
(21)【出願番号】P 2020528902
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2018082583
(87)【国際公開番号】W WO2019102003
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-10-12
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】503219606
【氏名又は名称】アールピーエル ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】プール ジョン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】パウエル リチャード
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/151488(WO,A1)
【文献】特表2019-512031(JP,A)
【文献】特表2007-536390(JP,A)
【文献】特表2017-519060(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111511872(CN,A)
【文献】特開2017-71780(JP,A)
【文献】特開2012-184435(JP,A)
【文献】特開2014-237828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0291870(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/00- 5/20
F25B 1/00- 7/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に下記からなる冷媒組成物:
二酸化炭素 1-35%
R1234yfおよびR1234ze(E)並びにこれらの混合物からなる群から選択されるHFO 30-92%
R32 1-30%
R125 1-30%
R227ea 1-15%
R134a 0-15%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【請求項2】
本質的に下記からなる、請求項1に記載の冷媒組成物:
二酸化炭素 5-20%
R1234yfおよびR1234ze(E)並びにこれらの混合物からなる群から選択されるHFO 30-
84%
R32 5-30%
R125 5-30%
R227ea 1-15%
R134a 0-15%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【請求項3】
本質的に下記からなる、請求項1に記載の冷媒組成物:
R125 6-23%
二酸化炭素 6-20%
R1234ze 55-68%
R227ea 2-15%
R32 6-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【請求項4】
本質的に下記からなる請求項3に記載の冷媒組成物:
R125 6-20%
二酸化炭素 6-18%
R1234ze 55-67%
R227ea 3-15%
R32 7-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【請求項5】
本質的に下記からなる、請求項4に記載の冷媒組成物:
R125 9.5%
二酸化炭素 8%
R1234ze 65%
R227ea 8%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【請求項6】
以下の組成物の1つから本質的になる、請求項1に記載の冷媒組成物:
(a)
R125 9.5%
二酸化炭素 9%
R1234ze 57%
R227ea 15%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
(b)
R125 9.5%
二酸化炭素 9%
R1234ze 58%
R227ea 14%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
(c)
R125 19%
二酸化炭素 16%
R1234ze 41%
R227ea 5%
R32 19%
ここで、パーセンテージは質量による。
【請求項7】
本質的に下記からなる、請求項1に記載の冷媒組成物:
R125 12-23%
二酸化炭素 8-20%
R1234ze 35-55%
R227ea 3-10%
R32 12-23%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【請求項8】
以下の組成物の1つから本質的になる、請求項1に記載の冷媒組成物:
(a)
R125 9.5%
二酸化炭素 9%
R1234ze 58%
R227ea 7%
R32 9.5%
R134a 7%
ここで、パーセンテージは質量による。
(b)
R125 11%
二酸化炭素 11%
R1234ze 57%
R227ea 7%
R32 11%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(c)
R125 18%
二酸化炭素 11%
R1234ze 44%
R227ea 6%
R32 17%
R134a 4%
ここで、パーセンテージは質量による。
(d)
R125 11%
二酸化炭素 11%
R1234ze 55%
R227ea 7%
R32 11%
R134a 5%
ここで、パーセンテージは質量による。
(e)
R125 13%
二酸化炭素 11%
R1234ze 53%
R227ea 7%
R32 13%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(f)
R125 13%
二酸化炭素 11%
R1234ze 55%
R227ea 7%
R32 13%
R134a 1%
ここで、パーセンテージは質量による。
(g)
R125 14%
二酸化炭素 11%
R1234ze 51%
R227ea 7%
R32 14%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(h)
R125 14%
二酸化炭素 11%
R1234ze 55%
R227ea 7%
R32 13%
ここで、パーセンテージは質量による。
(i)
R125 10.5%
二酸化炭素 11%
R1234ze 57%
R227ea 7%
R32 10.5%
R134a 4%
ここで、パーセンテージは質量による。
(j)
R125 10.5%
二酸化炭素 11%
R1234ze 58%
R227ea 7%
R32 10.5%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(k)
R125 11.5%
二酸化炭素 10%
R1234ze 57%
R227ea 7%
R32 11.5%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(l)
R125 11.5%
二酸化炭素 10%
R1234ze 56%
R227ea 8%
R32 11.5%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
【請求項9】
以下の組成物の1つから本質的になる、請求項1に記載の冷媒組成物:
(a)
R125 19%
二酸化炭素 10%
R1234ze 44%
R227ea 3%
R32 17%
R134a 7%
ここで、パーセンテージは質量による。
(b)
R125 18%
二酸化炭素 11%
R1234ze 44%
R227ea 7%
R32 17%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(c)
R125 18%
二酸化炭素 11%
R1234ze 44%
R227ea 6%
R32 17%
R134a 4%
【請求項10】
以下の組成物の1つから本質的になる、請求項1に記載の冷媒組成物:
(a)
R125 1-30%
二酸化炭素 1-30%
R1234yf 35-70%
R227ea 1-10%
R32 1-30%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
(b)
R125 5-30%
二酸化炭素 5-20%
R1234yf 35-70%
R227ea 4-10%
R32 5-30%
【請求項11】
本質的に下記からなる、請求項1に記載の冷媒組成物:
R125 7-25%
二酸化炭素 7-20%
R1234yf 58-69%
R227ea 5-10%
R32 7-25%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【請求項12】
本質的に下記からなる、請求項1に記載の冷媒組成物:
R125 9.5%
二酸化炭素 8%
R1234yf 65%
R227ea 8%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【請求項13】
本質的に下記からなる請求項
1に記載の冷媒組成物:
R125 19%
二酸化炭素 16%
R1234yf 41%
R227ea 5%
R32 19%
ここで、パーセンテージは質量によ
る。
【請求項14】
本質的に下記からなる、請求項1に記載の冷媒組成物:
R125 19%
二酸化炭素 16%
R1234ze 20%
R1234yf 21%
R227ea 5%
R32 19%
ここで、パーセンテージは質量による。
【請求項15】
本質的に下記からな
る冷媒組成物:
二酸化炭素 1-35%
R1234yf、R1234ze(E)およびこれらの混合物からなる群から選択されるHFO 30-95%
R32 1-30%
R125 1-30%
R134a 1-30%
R227ea 1-15%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕事の入力によってより低い温度からより高い温度に熱をポンプするために熱ポンプで使用することができる冷媒組成物(refrigerant compositions)に関する。そのような装置がより低い温度を発生させるために使用される場合、それらは、典型的には冷蔵庫またはエアコンと呼ばれる。それらがより高い温度を生成するために使用される場合、それらは、典型的にはヒートポンプと呼ばれる。同じ装置は、使用者の要求に応じて加熱又は冷却を供給することができる。この種の熱ポンプは、可逆的ヒートポンプまたは可逆的エアコンと呼ばれることがある。
【背景技術】
【0002】
CFC-12およびR502などのクロロフルオロカーボン(CFC)ならびにHCFC-22などのヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は冷媒として広く使用されてきたが、成層圏に移動し、そこで紫外線によって分解されて、オゾン層を破壊する塩素原子を生成する。これらのオゾン層破壊物質(ODS:Ozone Depleting Substances)は、不燃性で効率的で低毒性のハイドロフルオロカーボン(HFC)のような非オゾン層破壊代替物に置き換えられている。特定の用途、特にスーパーマーケットでしばしば使用されるが特に関連がない低温冷却システムにおいては、R502が主な選択冷媒であったが、これはR22と比較して放出温度(discharge temperature)が低いことによるところが大きい。モントリオール議定書で具体化されたオゾン層を保護するための地球環境協定の結果、R502は禁止され、R404AおよびR507のHFCブレンドに大きく置き換えられた。しかし、R404AとR507は、エネルギー効率、不燃性、低毒性、熱力学的特性の点で優れた冷媒であるにもかかわらず、一般的に使用されているHFCのハイエンドに位置する地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potentials)を有している。
【0003】
本明細書では、地球温暖化係数(GWP)の数値は、気候変動に関する政府間パネル第4次評価報告書(AR4)に記載されている100年の統合された時間枠(ITH:Integrated Time Horizon)を指す。
【0004】
空調システムに広く使われているR22は、フロンに比べてオゾンを破壊する能力が格段に低いものの、モントリオール議定書のもとで段階的に廃止されつつある。非オゾン層破壊型のR410Aについては、分割システムを含む新しい空調装置におけるR22の優れた代替物であることが証明されているが、比較的高いGWP(2088)はもはや環境的に許容できないことを意味するため、現在は段階的に削減されている。
【0005】
EUおよび他の地域は、R404A、R507およびR410Aの利用可能性を漸進的に減少させるために、GWP割当および/または税金を課している。これらの行動は、2つの重要な結果をもたらす。第一に、既存の装置を修理したり、新しい装置を補充したりするために、これらの冷媒が不足し、冷却業界および空調業界を混乱させることになるであろう。第二に、供給が需要を満たすことができなくなり、残存冷媒の価格が急速に上昇することである。冷媒を交換しなければ、例えばスーパーマーケットでの食品保存や病院の空調などの重要な装置は、社会的に深刻な影響を受けて機能を停止する可能性がある。
【0006】
R404Aの組成は、次のとおりである:
R125 44%;
R143a 52%;および
R134a 4%
(GWP=3922)
【0007】
R507の組成は、次のとおりである:
R125 50%;および
R143a 50%
(GWP=3985)
【0008】
R410Aの組成は、次のとおりである:
R125 50%;および
R32 50%
(GWP=2088)
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、本質的に以下のものからなる冷却組成物が提供される:
二酸化炭素 1-35%
R1234yfおよびR1234ze(E)ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるHFO 30-92%
R32 1-30%
R125 1-30%
R227ea 1-15%
R134a 0-15%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲(the ranges quoted to total 100%)から選択される。
【0010】
本明細書において、パーセンテージまたは他の量は特に指示がない限り、質量による。量は、合計100%とするために与えられた任意の範囲から選択される。
【0011】
「からなる」という用語は、本明細書では、微量の不純物を無視して、列挙された成分のみを含む組成物を指すために使用される。
【0012】
用語「本質的に~からなる」は、本明細書では、組成物の本質的な冷媒特性を実質的に変化させない任意のさらなる少量成分の可能な添加を伴う、列挙された成分からなる組成物を指すために使用される。これらの組成物は、列挙された成分からなる組成物を含む。列挙された成分からなる組成物は、特に有利であり得る。
【0013】
本発明は、低GWPブレンドに関するものであり、特に、既存の、改変された、または新規の冷却および空調のシステムにおいてR404A、R507およびR410Aを代替できる組成物に関するものであるが、これに限定されるものではない。既存のシステムおよび改修されたシステムの継続的な動作が容易になる。当該ブレンドは、オゾン破壊係数(Ozone Depletion Potentials)がゼロであるため、成層圏オゾンに悪影響を及ぼさない。本発明はまた、使用者へのコストを最小限に抑えつつ、GWP制限の漸進的な締め付けが行われた場合にも使用を継続することができる組成物を提供する。
【0014】
本発明は、特に、0.5~1050の範囲のGWP値を有する冷媒組成物に関する。この範囲の値は、R404A、R507およびR410Aの値よりも有意に低い。例示的な組成物は、A1(低毒性/不燃性)またはA2L(低毒性/わずかに可燃性)のASHRAE安全分類を有し得る。組成物は、それらが代替する流体に少なくとも匹敵するエネルギー効率および冷却能力を有し得る。組成物は、それらが代替する冷媒よりも45℃で3bar以下、好ましくは2bar以下の最大動作圧力を有することができる。比較的高いGWPを有する組成物は、不燃性(A1)である傾向があり、一方、より低いGWPを有する組成物は、わずかに可燃性(A2L)である傾向がある。既存の装置については、物理的な改修を行う余地がほとんどない場合がある。したがって、既存の装置での使用には不燃性(A1)が必須である。より高いGWP値を有する組成物が必要とされ得る。既存の装置の場合、特に有利な特性を利用するように設計された新しい装置の場合、たとえA2L等級を有していても、より低いGWPとのブレンドが好ましい。
【0015】
用語「グライド(glide)」とは、従来、特定の一定圧力における沸点と露点との温度差として定義されている。これは、「固有の」冷媒グライドと呼ぶことがある。このような定義において、「グライド」とは、冷媒の純粋な熱力学的性質であり、装置や動作条件とは無関係である。
【0016】
冷媒が凝縮することにつれて露点から沸点に移動する冷却器では、観測されるグライドは、冷媒の固有グライドに、冷媒流を維持するために必要な圧力降下によって誘起されるグライドを加えた組み合わせである。
【0017】
バルブやキャピラリーチューブなどの拡張機器で冷媒の一部がすでに気化している蒸発器では、2相混合物が蒸発器に入る。この場合、グライドは入口温度と露点の差である。この差は、動作条件に依存し得る。観察されたグライドは、冷媒の流れを維持するために必要な蒸発器内の圧力降下によって引き起こされるグライドを差し引いた、冷媒の本質的なグライドとなる。特定の条件下で測定された又は計算された蒸発器グライドを使用することができる。
【0018】
本明細書では、装置の特定の動作条件下での温度グライドを以下のように分類することができる:
1.無視できるグライド - 0.5K未満
2.小グライド - 0.5Kから2.0Kまで
3.中グライド - 2.0K超5.0Kまで
4.広いグライド - 5K超10.0Kまで
5.非常に広いグライド - 10.0K超
本発明の組成物は、広いまたは非常に広い温度グライドを有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例示的な組成物は本質的に、CO2、-15℃未満の標準沸点を有するHFO、ならびにR32、R227ea、R134aおよびR125のうちの1つ以上からなり得る。例示的なHFOは、R1234yfおよびR1234ze(E)である。これらの流体は、R404A、R507およびR410A代替物を、低可燃性および低毒性をもって処方するための適切な蒸気圧の組み合わせを提供し得る。それらは、HFOおよびR32の可燃性が不燃性ガスCO2、R125およびR227eaの存在によって部分的または完全に補償され得る組成物を提供し得る。さらに、R125およびR227eaの比較的高いGWPおよびR32の中程度のGWPは、CO2およびHFOの非常に低いGWPによって相殺され得る。
【0020】
本発明の例示的な実施形態は、R404A、R507またはR410Aを使用するのに適した圧力で装置が動作し続けることを可能にする冷媒組成物を提供する。これらの実施形態は、既存の装置を整備し、新しい装置を充填するための代替冷媒を提供する。この目的は、1050を超えないGWPを有する組成物で達成することができる。最初に、低減されたEU GWP割当量は、R404Aの既存の設計に後入れする(retrofitted into)ことを可能にする熱力学的特性および可燃性特性を有する本発明による組成物に、充分な寛容度を提供し得る。R507およびR410A装置には、ほとんどまたはまったく変更がない。これは、後入れ組成物(retrofit composition)が装置所有者へのコストを最小限に抑えるので有利である。
【0021】
GWP規則が供給をさらに減少させるにつれて、後入れ組成物を使用して市場の要求を満たすのに充分な冷媒を提供することが困難になることがある。驚くべきことに、800未満のGWPを有する組成物であって、それ自体が後入れ流体であるべき熱力学的特性を有していない組成物は、例えば、年次サービスにおいて、R404A、R507またはR410Aを含むユニット内に残留する冷媒を補充するために使用することができ、それにより、小さな永続的漏れにもかかわらず、例えば、少なくとも5年の間、装置が動作を継続できることが分かった。このような組成物は、「増量剤(extenders)」と呼ぶことができる。本発明のさらなる態様は、300未満のGWPを有する増量剤を提供することであり、この増量剤は、GWP規則がより厳しくなるにつれて、既存の装置にサービスを提供するための冷媒として使用することができる。これらの組成物は、既存の技術および装置の継続的な使用を可能にし、それによって、依然として機能している装置を取り替えるための高いコスト又は新しい技術を開発するためのコストを回避することができるであろう。
【0022】
炭化水素、アンモニアおよび二酸化炭素(CO2)は、冷却および空調システムのための技術的に実行可能な冷媒であり、HFCよりもかなり低いGWPを有するが、それらは特にスーパーマーケットのような公共の分野において、それらの一般的な使用に対して作用する固有の欠点を有するので、R507およびR410Aの直接的な代替物ではない。高い可燃性の炭化水素は、エネルギー効率を低下させ、コストを増加させる二次冷却回路と組み合わせてのみ安全に使用することができ、または、それらを使用することができる最大冷却負荷を厳しく制限する少量の充填でしか使用することができない。このような安全上の注意が払われたとしても、炭化水素冷媒およびアンモニアは建物の損傷、傷害および死亡を引き起こしている。大気への排熱を可能にするためには、システムの高圧側でCO2を超臨界状態で使用しなければならない。圧力はしばしば100barを超え、この場合も、従来のR404A、R507およびR410Aのシステムと比較して、エネルギーの不利益をもたらし、また、著しく高い資本コストをもたらす。アンモニアは著しく毒性がある。工業用冷却装置からの漏洩は、死傷を引き起こす可能性がある。これらの不利な特性のために、炭化水素、アンモニアおよびCO2は、現存するR404A、R507またはR410Aユニットに後入れすることができない。
【0023】
例示的な組成物は、文字どおり約1050未満のGWP値を有する。GWP値は、例えば、米国環境保護局(EPA)またはIPCC報告書によって公表されているように、文献に広く記録されている。
【0024】
本発明の有利な実施形態は、本質的に、二酸化炭素と、R1234ze(E)および/またはR1234yf、R125、R134a、R227eaおよびR32とのブレンドからなり、ここで、組成物は、ASHRAE規格34に従うA1またはA2Lの安全分類を有し、一方で、それらが代替することが意図される冷媒と同様のまたは優れた冷却効果および冷却性能を提供するが、R404A、R507またはR410Aの定格で加圧された装置構成要素と共に使用されることを可能にする最大動作圧力を有する。
【0025】
本発明の組成物は、冷媒、例えばR404A、R410AまたはR507を完全にまたは部分的に置き換えるために使用することができる。本組成物は、既存の装置を完全に改修するために、または、例えば、徐々に漏れた後に既存の装置を補給するために使用することができる。あるいは、組成物は、新規またはオリジナルの(OEM)装置において冷媒として使用されてもよい。
【0026】
第1の例示的な実施形態において、本組成物は、約0℃~約15℃、例えば約2℃~約15℃の蒸発温度で動作する空調装置、例えばR410Aで使用するように設計された装置で使用することができる。
【0027】
第2の例示的な実施形態では、本組成物は、例えば約-15℃~約-20℃の蒸発温度で動作する低温冷凍装置、例えばR404AまたはR507と共に使用するように設計された装置で使用することができる。
【0028】
本発明の例示的な組成物は、既存の冷媒と組み合わせて使用される場合、または既存の冷媒の完全な代替として使用される場合、既存の冷媒の特性を保持することができる。以下の特性を達成することができる。
【0029】
冷媒のGWPは、オリジナルの冷媒のGWPよりも低くする必要がある。
【0030】
冷媒の冷却能力は、例えば、オリジナルの冷媒の冷却能力と同様(±20%)であるべきである。これは、装置が高温環境で適切に機能することを可能にするために重要である。
【0031】
吐出圧力は、装置の最大定格圧力を超えないようにする。
【0032】
放出温度は、装置が設計された放出温度を著しく超えてはならない。放出温度が高すぎると、装置の寿命が短くなることがある。
【0033】
本発明による組成物は、例えば、NISTサイクルD法(Nist Cycle D method)を用いた標準的な計算によって予想されるよりも低い放出温度を有することができるという利点がある。例示的な組成物は、計算値よりも低く、例えば、R404A、R507またはR410Aについての測定値を上回る約5℃~10℃の放出温度を有する可能性がある。
【0034】
代替用冷媒を使用する際の装置の消費電力は、オリジナルの冷媒を使用した場合の消費電力と比較して、例えば20%以上高くならないようにする。
【0035】
例示的な組成物は、それらが共沸混合物または共沸混合物様ではないというさらなる利点を有し得る。好ましい組成物は、約10℃を超える、例えば20℃を超える温度域にわたって沸騰する。
【0036】
共沸様組成物が必要であるということは一般的な考えである。本発明者らは、予想外にも、共沸様組成物は必要ではなく、不利であり得ることを発見した。この発見は、温度の漸進的上昇が冷媒のグライドに依存する直接熱交換(DX)交換器を使用する場合に特に有用である。
【0037】
本発明の冷媒組成物を用いた冷却器装置では、圧力降下グライドが冷媒グライドと同一方向になるため、効果が付加的となる。
【0038】
対照的に、蒸発器では、圧力降下グライドが、2つの効力が部分的にまたは完全に相殺されるように、冷媒グライドとは逆方向である。蒸発器は、例えば、より高い温度からより低い温度までの範囲にわたって空気流または液体流を冷却する。蒸発する冷媒の温度グライドが必要な冷却範囲よりも大幅に大きい場合、ユニットの効率が損なわれる可能性がある。好ましくは、グライドがその範囲以下であるべきである。圧力誘起蒸発器グライドは、固有の冷媒グライドに対抗して作用し、所要の冷却範囲に対して許容できる観測グライドを生成し得る。
【0039】
高GWPのR404A、R507、R410Aの利用可能性が、EUのF-ガス規制によって、および、モントリオール議定書のキガリ改正の批准後に同様の世界的な法律によって制約された場合、既存の装置にサービスを提供するためにこれらの冷媒の量が不足する可能性がある。既存のR404A、R507、およびR410Aの装置の大幅な改造は、法外に高価な場合がある。EUは、2018年からサプライヤーへのGWP割当量をさらに削減することで、利用可能性を制限している。本発明の例示的な実施形態は、R404A、R507、およびR410Aユニットを「補充(top-up)」するために使用することができるHFO、CO2、およびR227eaを含む冷媒を提供し、それらが少なくともさらに5年間動作することを可能にすることによって、割当量の制限を克服することができる。一般的に、業務用冷却装置は、各年冷媒充填量の5~20%を失い、年間サービスで新冷媒が補充される。驚くべきことに、本発明者らは、二酸化炭素、R1234yfおよび/またはR1234ze(E)、R227ea、R32、R125および任意選択でR134aを含むブレンドを、漏れ後に熱ポンプ内に残っているR404A、R507またはR410Aに添加して、装置の連続運転を可能にすることができることを見出した。このような組成物は、「増量剤」と呼ばれ、すなわち、それらが添加されるそのユニットの使用寿命を延ばす。既存の装置は不燃性(A2)冷媒を取り扱うように設計されていないため、増量剤は不燃性のA1冷媒である。効果的な作動を保証するために、組成物は、それらが代替している冷媒と同等の吸引能力および最高動作温度を必要とする。好ましくは、増量剤組成物のGWPは、800未満、好ましくは300未満であるべきであり、政府が課す割当量の制約内で補充するために利用可能な冷媒の量を最大にする。
【0040】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による冷媒増量剤組成物が提供される。
【0041】
R227eaは、3220という比較的高いGWPを有するが、不燃性であり、R1234ze(E)およびR1234yfと共蒸留する傾向があり、したがって、不燃性ブレンドの配合を助ける。逆に、R32は、より低いGWP(675)を有するが、可燃性である。不燃性の増量剤ブレンドが必要なので、不燃性を確保するために添加できるR227eaの量を最大にするために、R32を省略することが有利であり得る。800のGWPを超えないGWPを有するブレンドの場合には、R227eaの最大含有量は約~24.8%であってもよく、500を超えないGWPの場合には、R227eaの最大量は約15~5%であってもよく、300を超えないGWPの場合には、その最大値は約9.2%であってもよい。
【0042】
実施形態において、R227eaの量は、4%~15%の範囲であり得る。
【0043】
一般に、冷媒漏れは小さく(年率5~20%)、年間サービスで補充することができる。しかし、ほとんどの充填が失われると壊滅的な冷媒損失が発生する可能性があり、本質的にはオリジナルの冷媒の完全な交換が必要となる。増量剤として上述した組成物は、必要に応じて、これらのブレンドの特定の物理的特性に適合することができるようにそのユニットを改修することによって、この目的のために使用することができる。しかしながら、組成物は、システムを改修できない場合には冷却器および蒸発器において過剰な放出温度をもたらす可能性がある。これらの状況において、既存のR404A、R507またはR410A装置において使用されることを可能にするために、本質的に許容可能な放出温度、吸引比容積、A1安全定格、および最大動作圧力を有する組成物が好ましい。驚くべきことに、本発明者らは、この好ましい特性の組み合わせが、本発明において特許請求されるR32、R125、R1234yf、R1234zeおよびR227eaを含む組成物によって達成され得ることを見出した。
【0044】
本発明は、冷却装置および空調装置において最も一般的に使用される冷媒であるR404A、R507およびR410Aの代替を可能にし、1~800のGWPを有するブレンドで80%を超えるGWPの実質的な減少を提供し、エネルギー効率および容量を含む性能の低下を全く伴わない。
【0045】
例示的な冷媒組成物は、本質的に下記のものからなり得る:
二酸化炭素 5-20%
R1234yfおよびR1234ze(E)ならびにそれらの混合物からなる群より選択されるHFO 30-92%
R32 5-30%
R125 5-30%
R227ea 4-15%
R134a 0-15%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0046】
R404A、R507またはR410Aを完全にまたは部分的に代替するために使用され得る、下記からなるかまたは本質的に下記からなる例示的な冷媒組成物:
R125 6-23%
二酸化炭素 6-20%
R1234ze 55-68%
R227ea 6-15%
R32 6-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0047】
R404A、R507またはR410Aを完全にまたは部分的に代替するために使用され得る、下記からなるかまたは本質的に下記からなる例示的な冷媒組成物:
R125 6-20%
二酸化炭素 6-18%
R1234ze 55-67%
R227ea 7-15%
R32 7-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0048】
例示的な冷媒組成物は、本質的に下記のものからなってもよい:
R125 9.5%
二酸化炭素 8%
R1234ze 65%
R227ea 8%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0049】
例示的な冷媒組成物は、以下のうちの1つからなるか、または本質的に以下のうちの1つからなってもよい:
(a)
R125 9.5%
二酸化炭素 9%
R1234ze 58%
R227ea 7%
R32 9.5%
R134a 7%
ここで、パーセンテージは質量による。
(b)
R125 11%
二酸化炭素 11%
R1234ze 57%
R227ea 7%
R32 11%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(c)
R125 18%
二酸化炭素 11%
R1234ze 44%
R227ea 6%
R32 17%
R134a 4%
ここで、パーセンテージは質量による。
(d)
R125 11%
二酸化炭素 11%
R1234ze 55%
R227ea 7%
R32 11%
R134a 5%
ここで、パーセンテージは質量による。
(e)
R125 13%
二酸化炭素 11%
R1234ze 53%
R227ea 7%
R32 13%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(f)
R125 13%
二酸化炭素 11%
R1234ze 55%
R227ea 7%
R32 13%
R134a 1%
ここで、パーセンテージは質量による。
(g)
R125 14%
二酸化炭素 11%
R1234ze 51%
R227ea 7%
R32 14%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(h)
R125 14%
二酸化炭素 11%
R1234ze 55%
R227ea 7%
R32 13%
R134a -
ここで、パーセンテージは質量による。
(i)
R125 10.5%
二酸化炭素 11%
R1234ze 57%
R227ea 7%
R32 10.5%
R134a 4%
ここで、パーセンテージは質量による。
(j)
R125 10.5%
二酸化炭素 11%
R1234ze 58%
R227ea 7%
R32 10.5%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
(k)
R125 11.5%
二酸化炭素 10%
R1234ze 57%
R227ea 7%
R134a 3%
R32 11.5%
(l)
R125 11.5%
二酸化炭素 10%
R1234ze 56%
R227ea 8%
R32 11.5%
R134a 3%
【0050】
R404A、R507、またはR410Aに代わって、後入れ代替物(retrofit replacement)、増量剤または新しい装置を提供するために使用することができる例示的な冷媒組成物は、以下のうちの1つからなるか、または本質的に以下のうちの1つからなることができる:
(a)
R125 19%
二酸化炭素 10%
R1234ze 44%
R227ea 3%
R32 17%
R134a 7%
ここで、パーセンテージは質量による。
(b)
R125 18%
二酸化炭素 11%
R1234ze 44%
R227ea 7%
R32 11%
R134a 3%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0051】
R404A、R507、またはR410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 1-30%
二酸化炭素 1-30%
R1234yf 35-70%
R227ea 1-10%
R32 1-30%
R134a 0-15%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0052】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 5-30%
二酸化炭素 5-25%
R1234yf 50-70%
R227ea 2-10%
R32 5-30%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0053】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 6-27%
二酸化炭素 6-20%
R1234yf 55-70%
R227ea 3-10%
R32 6-27%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0054】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 7-25%
二酸化炭素 7-20%
R1234yf 58-69%
R227ea 5-10%
R32 7-25%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0055】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 7-23%
二酸化炭素 7-20%
R1234yf 58-68%
R227ea 6-10%
R32 7-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0056】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 7-20%
二酸化炭素 7-18%
R1234yf 59-67%
R227ea 7-10%
R32 7-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0057】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 9.5%
二酸化炭素 8%
R1234yf 65%
R227ea 8%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0058】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 9-25%
二酸化炭素 7-20%
R1234yf 35-60%
R227ea 2-10%
R32 9-25%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0059】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 12-23%
二酸化炭素 8-20%
R1234yf 35-55%
R227ea 3-10%
R32 12-23%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0060】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 19%
二酸化炭素 16%
R1234yf 41%
R227ea 5%
R32 19%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0061】
R404A、R507、またはR410Aに代わって、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 1-35%
R1234yfおよびHFO1234ze(E)からなる群から選択されるHFOまたはそれらの混合物 30-95%
および、任意に、R32 1-30%
R125 1-30%
および、R227ea 1-15%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0062】
R404A、R507、またはR410Aに代わって、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 10-30%
R1234yfまたはR1234ze(E)から選択されるHFOまたはそれらの混合物
45-85%
R227ea 5-15%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0063】
R404A、R507、またはR410Aに代わって、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 10-25%
R1234yfまたはR1234ze(E)から選択されるHFOおよびそれらの混合物
60-83%
R227ea 5-12%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0064】
R404AまたはR507に代わって、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 22%
R227ea 9%
および、R1234ze(E)またはR1234yf 69%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0065】
R410Aに代わって、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 21-30%
R1234ze(E) 60-71%
R227ea 7-10%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0066】
R410Aに代わって、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 25%
R227ea 9%
R1234ze(E)またはR1234yf 66%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0067】
冷却装置におけるR404AまたはR507の代替物として好適であり得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 10-20%
および、R1234yfおよびR1234ze(E)から選択されるHFOまたはそれらの混合物 90-80%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される
【0068】
冷却装置におけるR404AまたはR507の代替物として好適で例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 10-30%
R1234ze 70-90%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0069】
冷却装置におけるR404AまたはR507の代替物として好適で例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 15-25%
R1234ze 75-90%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0070】
冷却装置におけるR404AまたはR507の代替物として好適で例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 15%
R1234ze 85%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0071】
冷却装置におけるR404AまたはR507の代替物として好適で例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 20%
R1234ze 80%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0072】
冷却装置におけるR404AまたはR507の代替物として好適で例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 12-23%
R1234yf 77-88%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0073】
空調装置におけるR410Aの代替物として好適で例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 12-20%
R1234yfおよびR1234ze(E)から選択されるHFOまたはそれらの混合物
80-88%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0074】
空調装置におけるR410Aの代替物として好適で例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 15-23%
R1234yf 77-85%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0075】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 6-23%
二酸化炭素 6-20%
R1234ze 55-68%
R227ea 6-15%
R32 6-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0076】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 6-20%
二酸化炭素 6-18%
R1234ze 55-67%
R227ea 7-15%
R32 7-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0077】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 14%
二酸化炭素 11%
R1234ze 55%
R227ea 7%
R32 13%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0078】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 9.5%
二酸化炭素 8%
R1234ze 65%
R227ea 8%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0079】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 9.5%
二酸化炭素 9%
R1234ze 57%
R227ea 15%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0080】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 9.5%
二酸化炭素 9%
R1234ze 58%
R227ea 14%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0081】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 12-23%
二酸化炭素 8-20%
R1234ze 35-55%
R227ea 3-10%
R32 12-23%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0082】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 19%
二酸化炭素 16%
R1234ze 41%
R227ea 5%
R32 19%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0083】
R404A、R507、またはR410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 1-35%
R1234yf 15-45%
R1234ze 15-50%
および、任意に、R32、R125およびR227eaまたはそれらの混合物、ここで、任意の成分を含む成分のパーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0084】
R404A、R507、およびR410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
R125 19%
二酸化炭素 16%
R1234ze 20%
R1234yf 21%
R227ea 5%
R32 19%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0085】
例示的な冷媒組成物は、下記からなりまたは本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 1-35%
R1234yfおよびHFO1234ze(E)から選択されるHFOまたはそれらの混合物 30-95%
および、任意に、R32、R125、R134aおよびR227eaまたはそれらの混合物、ここで、成分のパーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0086】
例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 1-35%
R1234yfおよびHFO1234ze(E)から選択されるHFOまたはそれらの混合物 30-95%
および、任意に、R32 1-30%
R125 1-30%
R134a 1-30%
および、R227ea 1-15%
またはそれらの混合物、
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0087】
R404A、R507またはR410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 1-30%
二酸化炭素 1-30%
R1234yf 30-70%
R134a 2-30%
R32 1-30%
および、任意に、R227ea 1-10%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0088】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 12-23%
二酸化炭素 8-20%
R1234yf 30-55%
R134a 7-25%
R32 12-23%
および、任意に、R227ea 3-10%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0089】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 18%
二酸化炭素 16%
R1234yf 31%
R134a 17%
R32 18%
ここで、パーセンテージは質量%であり、合計100%である。
【0090】
R404A、R507、またはR410Aに代わって、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 1-35%
R1234yfおよびR1234ze(E)から選択されるHFOまたはそれらの混合物
30-95%
および、任意に、R32 1-30%
R125 1-30%
R134a 1-30%
および、任意に、R227ea 1-10%
またはそれらの混合物、
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0091】
R404A、R507、またはR410Aに代わって、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 10-30%
R1234yfまたはR1234ze(E)から選択されるHFOまたはそれらの混合物
30-85%
R134a 3-25%
および、任意に、R227ea 5-15%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0092】
R404A、R507またはR410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 1-30%
二酸化炭素 1-30%
R1234ze 30-70%
R134a 1-30%
R227ea 1-15%
R32 1-30%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0093】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 5-30%
二酸化炭素 5-25%
R1234ze 30-68%
R134a 2-15%
R227ea 2-15%
R32 5-30%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0094】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 13%
二酸化炭素 11%
R1234ze 53%
R227ea 3%
R134a 7%
R32 13%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0095】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 14%
二酸化炭素 11%
R1234ze 51%
R227ea 3%
R134a 7%
R32 14%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0096】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 6-20%
二酸化炭素 6-18%
R1234ze 30-63%
R134a 5-10%
R227ea 7-15%
R32 7-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0097】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 9.5%
二酸化炭素 9%
R1234ze 58%
R227ea 7%
R134a 7%
R32 9.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0098】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 10.5%
二酸化炭素 11%
R1234ze 57%
R227ea 7%
R134a 4%
R32 10.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0099】
R404AおよびR507に代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 10.5%
二酸化炭素 11%
R1234ze 58%
R227ea 7%
R134a 3%
R32 10.5%
ここで、パーセンテージは質量による。
【0100】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 9-25%
二酸化炭素 6-20%
R1234ze 30-60%
R134a 2-30%
R227ea 2-10%
R32 9-25%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0101】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 19%
二酸化炭素 10%
R1234ze 44%
R134a 7%
R227ea 3%
R32 17%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0102】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 18%
二酸化炭素 11%
R1234ze 44%
R134a 3%
R227ea 7%
R32 17%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0103】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 18%
二酸化炭素 11%
R1234ze 44%
R134a 4%
R227ea 6%
R32 17%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0104】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 12-23%
二酸化炭素 8-20%
R1234ze 30-55%
R134a 5-25%
R227ea 3-10%
R32 12-23%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0105】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 12-23%
二酸化炭素 8-20%
R1234ze 30-55%
R134a 5-25%
R32 12-23%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0106】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 13-21%
二酸化炭素 10-18%
R1234ze 30-45%
R134a 8-20%
R32 13-20%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0107】
R410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤、または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
R125 18%
二酸化炭素 16%
HFO-1234ze 31%
R134a 17%
R32 18%
ここで、パーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0108】
R404A、R507またはR410Aに代わって、後入れ代替物、増量剤または新しい装置を提供するために使用され得る例示的な冷媒組成物は、本質的に下記からなり得る:
二酸化炭素 1-35%
R1234yf 15-45%
HFO-1234ze 15-50%
および、任意に、R32、R125、R134aおよびR227eaまたはそれらの混合物、ここで、任意の成分を含む成分のパーセンテージは質量によるものであり、合計が100%になる範囲から選択される。
【0109】
上記ブレンドは、既存のR404A、R507およびR410Aユニットのトップアップブレンドとして記載されているが、必要に応じて、これらのブレンドの特定の物理的特性に適合することができるようにユニットを改造することによって、場合によっては競合する代替品としても使用することができる。
【0110】
本発明は、冷却装置および空調装置において最も一般的に使用される冷媒であるR404A、R507およびR410Aの代替を可能にし、1~500の間のGWPを有するブレンドで80%を超えるGWPの実質的な減少を提供し、エネルギー効率および容量を含む性能の低下を全く伴わない。
【0111】
本発明の主題である各ブレンドは、酸素含有油(例えば、POEまたはPAG)によって、または、50%までの炭化水素潤滑剤(例えば、鉱油、アルキルベンゼンまたはポリアルファオレフィン)と混合されたそのような油によって潤滑される熱ポンプにおいて使用され得る。
【0112】
本発明の主題である各ブレンドは、酸素含有油(例えば、POEまたはPAG)によって、または、50%までの炭化水素潤滑剤(例えば、鉱油、アルキルベンゼンおよびポリアルファオレフィン)と混合されたそのような油によって潤滑される熱ポンプにおいて使用され得る。
【実施例】
【0113】
本発明について、実施例を使用してさらに説明するが、限定的な意味ではない。
【0114】
実施例1
表1に示す冷媒組成物を、既存および新規の装置におけるR410Aの代替品として評価した。
【0115】
【0116】
0.8kgのR410Aを収容した東芝可逆的分割空調ユニットRAS-137SAV-E3を用いて室内を冷却し、
図1に示すように配置した温度・圧力センサを用いて監視し、コンプレッサの消費電力を電流計で記録した。収集したデータを表2aに示す。I(A)は、コンプレッサによって消費されるアンペア単位の電流である。
T1は、蒸発器を出る気流内に配置されたセンサである。
T2は、室内に配置されたセンサである。
T3は、冷却器出口の気流内に配置されたセンサである。
T4は、冷却器に入る気流内に配置されたセンサである。
T5は、コンプレッサからの冷媒吐出に位置するセンサである。
P1は、コンプレッサの吸入圧力である。
【0117】
【0118】
R410Aを、表1に示す組成を有する0.8kgのブレンド1で置き換え、装置を再び運転して部屋を冷却した。収集したデータを表2bに示す。
【0119】
【0120】
次に、ブレンド1を装置から取り出し、次いで、0.8kgのブレンド2を再充填した。装置を再運転して部屋を冷却し、収集したデータを表1cに示す。
【0121】
【0122】
データは、ブレンド1とブレンド2の両方が一般的な分割空調ユニットのR410の効果的な後入れ代替物であることを示している。ブレンド1は、消費電流が低く、したがってR410Aよりも消費電力が低いため、特に好まれる。換言すれば、ブレンド1はR410Aよりも効率的である。
【0123】
実施例2
表2に示すR1234ze(E)およびR1234yfを含む冷媒組成物を、NISTのREFPROP v10によって生成された熱力学的データに基づくサイクルシミュレーションを用いて、それらの性能をモデル化することによって、空調ユニットにおけるR410Aの潜在的代替物として評価した。結果は、ブレンド3~6がR410Aのための許容可能な代替物であることを実証した。流量は、より小さい分割空調ユニットに一般に見られるキャピラリ拡張チューブが適切に動作し続けるように同様であったため、費用のかかる改造を回避することができる。冷却器内で発生した最大動作圧力は、同等の条件下で、R410Aのそれより大きく2bar以下であり、これは分割空調ユニットの典型的な定格内であった。放出温度は、R410Aのものよりも15℃以下であり、潤滑油の熱分解または他の成分へのダメージを回避した。ブレンドのGWPはすべて1000未満であり、したがって、1トンのブレンドで、2トンを超えるR410Aと交換することができ、EUが課したGWPキャップ内に留まることができる。
【0124】
【0125】
実施例3
表4に示す冷媒組成物ブレンド7を、既存のユニットにおけるR404Aの代替物として評価した。
【0126】
【0127】
実際のユニットで組成物を試験するには、性能を評価するのに数日かかることがある。したがって、候補物質の初期スクリーニングは、通常、コンピュータプログラムを使用して、組成物の熱力学的特性および重要な動作パラメータを入力として使用したランキン冷却サイクル(Rankine refrigeration cycle)をモデル化し、出力としてキー性能基準を生成することによって実行される。この種のプログラムは、冷却業界全体に広く採用されている。R404Aおよびブレンド7の性能は、熱力学的データを提供するNISTのREFPROP v10を使用したサイクルモデルで、市販の冷凍冷蔵庫キャビネットに典型的な類似の条件下でモデル化された。ブレンド7は、蒸発器および冷却器において非常に広い温度グライドを有するので、グライド範囲の中間点温度は、蒸発温度および凝縮温度を代表するように選択された。入力および出力パラメータを表5にまとめた。
【0128】
【0129】
ブレンド7は、R404Aよりもはるかに低いGWPを有し、その最大(吐出)圧力はR404Aの後入れとして許容されるが、モデルの結果は、ブレンド7の性能が特定の重要な点でR404Aに劣ることを示した。
【0130】
コンプレッサ放出温度は、R404Aよりもブレンド7の方が38.4℃高く、コンプレッサの信頼性および動作寿命を著しく低下させる。ブレンド7の質量流量は、R404Aより68.4%低いため、固定のキャピラリーチューブ拡張機器を備えた冷蔵庫やその他の冷却ユニットでは、ブレンド7の流量が大きすぎて、蒸発器が浸水して蒸発温度が高くなりすぎたり、蒸発器が浸水してコンプレッサに液体が戻ったりする危険性があり、破損の原因となる可能性がある。
【0131】
13.5Kの非常に広い蒸発器グライドの結果、蒸発器冷媒出口温度(-18.4℃)は、冷凍食品を-18℃未満に維持するのに必要な最高温度よりも高くなる。
【0132】
ブレンド7の非常に広い冷却器グライド(25.1K)により、R404Aの29.9℃に対して17.5℃の冷却器出口温度が得られた。出口温度が、冷媒から空気への適切な熱伝達のために周囲空気温度より少なくとも約5K高いことが必要であることに基づいて、R404Aは25℃以下の周囲空気によって冷却されるかもしれないが、一方、ブレンド7は周囲温度が12℃未満である場合にのみ機能し、これはスーパーマーケットにおける市販の冷凍庫キャビネットにとって非現実的な値である。
【0133】
ブレンド7の計算吸引冷却能力は68.4%に過ぎなかった。これは、特に高い周囲温度において、-23℃~-18℃の必要とされる温度範囲で、R404Aが食品に接し、それを維持することができないことを示した。計算では、ブレンド7は、R404Aの後入れ代替物ではあり得ないと予測された。驚くべきことに、本発明者らは、ブレンド7が実際のユニットにおけるR404Aのための良好な後入れであることを見出した。従来の計算を用いて予測されるものとは反対である。
【0134】
0.276kgのR404Aを含むAHTフリーザディスプレイキャビネット、モデルParis250(-)型LE228に、典型的な冷凍内容物をシミュレートするために、50×1.5L、1×3Lおよび13×8Lのプラスチックボトルに含まれる182kgの氷を装填した。冷凍庫は、内蔵された温度センサによって記録されながら、定常温度に到達するまで運転され、かつ維持された。また、周囲空気温度、コンプレッサガス放出温度、吸入圧力、吐出圧力、コンプレッサ直前の吸入ガス温度、ユニットが吸引する電流を測定した。冷凍庫を29.7時間運転した後の結果を表6に記録した。
【0135】
次いで、R404Aを同様の重量のブレンド7で置き換え、29.8時間の運転後の結果を記録した。
【0136】
【0137】
結果は、ブレンド7が、R404Aで達成された-18~-23℃の設計定格以下に冷蔵庫温度を維持することができることを示す。ブレンド7がR404Aよりも低い温度を維持しているという事実は、R404Aよりも優れた冷却能力を有していることを示しており、したがって、高い周囲温度に対して受け入れ可能であることを示している。
【0138】
驚くべきことに、ブレンド7の放出温度は、R404Aの放出温度よりもわずか2.2℃高かっただけであり、モデル計算から予測されたはるかに大きな差異とは対照的である。
【0139】
電流引き込み(電力入力の尺度)は、ブレンド7の場合、約11%高くなるが、これは許容される。
【0140】
29.8時間の動作期間では、ブレンド7が定常状態に達したことが示され、蒸発器の浸水問題に関連すると思われる誤作動の兆候は見られなかった。
【0141】
実施例4
表7に示す組成物のブレンド8~12の性能を、NISTのREFPROP v10によって生成された熱力学的データとともに、ランキンサイクルプログラムを用いて、典型的な低温冷却システムについてモデル化した。R404Aの性能は、比較のために含まれる。表7の結果は、これらの新規なブレンドがR404A装置における後入れのための許容可能な代替物であることを示す。
【0142】