(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】電源装置及びこれを備える車両
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20230616BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20230616BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230616BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20230616BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20230616BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/209
H01M50/249
H01M50/289
H01M50/264
(21)【出願番号】P 2020536464
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2019029345
(87)【国際公開番号】W WO2020031737
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2018147903
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山城 豪
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152203(JP,A)
【文献】特開2014-010983(JP,A)
【文献】特開2013-149523(JP,A)
【文献】特開2008-282648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方を開口した角形の外装缶の開口端を封口板で閉塞した複数の二次電池セルと、
隣接する二次電池セル同士の間に介在される絶縁性のセパレータと、
前記複数の二次電池セルを積層した電池積層体の両側端面を覆う一対のエンドプレートと、
前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材と、
を備える電源装置であって、
前記セパレータと、前記二次電池セルとが接する領域の内で、前記セパレータと前記二次電池セルの封口板とが接する領域の易変形性を、他の領域よりも低くして
おり、
前記セパレータは、前記二次電池セルと接する領域を、
高さ方向の中間において、左右の端縁まで平坦面に形成し、
前記二次電池セルの封口板と接する側に、前記平坦面よりも突出されて該封口板に沿って延伸された第一突出面を形成しており、
前記セパレータの、前記第一突出面の延伸方向の端縁と、前記セパレータの側面側端縁との間に、前記第一突出面よりも低い前記平坦面が形成されてなる電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記セパレータは、前記二次電池セルの封口板と接する領域を、他の領域よりも突出させてなる電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電源装置であって、
前記セパレータは、前記二次電池セルと接する領域の内、両側の側面と接する領域を、前記二次電池セルの封口板と接する領域よりも低く形成してなる電源装置。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記セパレータは、前記第一突出面を設けた側と反対側に、該第一突出面と平行状に延伸された第二突出面を形成しており、
前記第一突出面と第二突出面は、分離されてなる電源装置。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記第一突出面は、前記二次電池セルの封口板に沿って直線状に形成されてなる電源装置。
【請求項6】
請求項
1~
5のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記セパレータの、前記第一突出面の長手方向の側面と、前記セパレータの端縁との間に、前記第一突出面よりも低い第一段差部が形成されてなる電源装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一に記載の電源装置を備える車両であって、
前記電源装置と、該電源装置から電力供給される走行用のモータと、前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及びこれを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置は、車両の駆動用の電源装置や蓄電用の電源装置等に利用されている。この種の電源装置として、
図16に、従来の電源装置900の斜視図を、
図17にその分解斜視図を、それぞれ示す。この図に示すように複数枚の二次電池セル901は、セパレータ940を介在させて積層させた電池積層体910とし、その両面からエンドプレート920で押圧した状態にて、バインドバー930で固定される。
図17のセパレータ940は、
図18の斜視図に示すように、二次電池セル901の全面を覆う大きさの平板状に形成され、隣接する二次電池セル901間に介在されてこれらを絶縁する。
【0003】
一方、二次電池セルは、充放電を繰り返すと膨張、収縮する。特に近年の高容量化の要求に伴い、二次電池セル一枚あたりの高容量化が進んでいる結果として、膨張量も大きくなる傾向にある。上述の構成の電源装置では、エンドプレート920およびバインドバー930を介して、電池積層体を構成する二次電池セルの膨張を抑制する構成となっており、バインドバーやエンドプレートに大きな負荷がかかる。
【0004】
そこで、バインドバーやエンドプレートにかかる負荷を低減するために、
図19に示すようにセパレータ940’の中央を窪ませる構造が提案されている。このセパレータ940’は、膨張時の膨らみを、セパレータ中央の窪み941で吸収することにより、膨張時のバインドバーやエンドプレートにかかる負荷を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のとおり、特許文献1の構成により、膨張時のバインドバーやエンドプレートにかかる負荷を軽減できるようになっているが、その効果は限定的である。近年の二次電池セルの高容量化に伴う膨張量が増加している状況を考慮すると、膨張時のバインドバーやエンドプレートにかかる負荷低減の効果が充分ではなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、従来の構成よりも、さらに膨張時のバインドバーやエンドプレートにかかる負荷を低減することのできる構成の電源装置及びこれを備える車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある側面に係る電源装置は、一方を開口した角形の外装缶の開口端を封口板で閉塞した複数の二次電池セルと、隣接する二次電池セル同士の間に介在される絶縁性のセパレータと、前記複数の二次電池セルを積層した電池積層体の両側端面を覆う一対のエンドプレートと、前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材とを備える。この電源装置は、前記セパレータと、前記二次電池セルとが接する領域の内、前記封口板側の領域の易変形性を、他の領域よりも低くしており、前記セパレータは、前記二次電池セルと接する領域を、高さ方向の中間において、左右の端縁まで平坦面に形成し、前記二次電池セルの封口板と接する側に、前記平坦面よりも突出されて該封口板に沿って延伸された第一突出面を形成しており、前記セパレータの、前記第一突出面の延伸方向の端縁と、前記セパレータの側面側端縁との間に、前記第一突出面よりも低い前記平坦面が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によると、セパレータの内、封口板側に接する部位を変形し難くし、二次電池セルが膨張する際には封口板と外装缶の接続部分を保護しつつ、他の部分で外装缶の変形を許容して、膨張時の変形を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る電源装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1の電源装置のIII-III線における模式垂直断面図である。
【
図5】
図1の電源装置のV-V線において二次電池セルが膨張した状態を示す模式水平断面図である。
【
図6】実施形態2に係る電源装置のセパレータを示す斜視図である。
【
図7】実施形態3に係る電源装置のセパレータを示す斜視図である。
【
図8】実施形態4に係る電源装置のセパレータを示す斜視図である。
【
図9】実施形態5に係る電源装置のセパレータを示す斜視図である。
【
図11】実施形態7に係る電源装置のセパレータを示す分解斜視図である。
【
図12】実施形態8に係る電源装置の二次電池セルを示す分解斜視図である。
【
図13】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【
図14】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【
図15】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
【
図20】
図17の電源装置で二次電池セルが膨張した電池積層体を示す模式水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ます、本発明の一つの着目点について説明する。上記特許文献1に記載されているように、二次電池セルの膨張を許容することで、膨張時のバインドバーやエンドプレートにかかる負荷を軽減できる。しかしながら、本発明者らは、上記特許文献1に記載された構成では、二次電池セルの膨張量が増加すると、二次電池セルの外装缶の端部に応力が集中する可能性があることを見出した。具体的には、二次電池セル901が膨張すると、
図20の模式平面図に示すように、エンドプレートがたわむ。エンドプレートは、バインドバーを介して、相対変位が規制されているが、負荷が大きくなると、エンドプレートが形状を維持できなくなる。その結果、エンドプレートやバインドバーによって拘束されている二次電池セルは、外装缶の中央部の膨張が許容されることで負荷が低減されるが、バインドバー近傍に位置する外装缶の端部の膨張は抑制されるため、外装缶の端部に負荷が集中して変形、破損する可能性があることを知見した。一方、本発明者らは、検討の過程で、二次電池セルの膨張の抑制が不充分であると、外装缶が破損する可能性があることも知見した。特に、二次電池セルは、開口を有する外装缶と、外装缶の開口を封止する封口板と備える構成となっているが、外装缶が膨張しすぎると、封口板と外装缶の接合部分に負荷がかかり、破断するおそれがある。以上の知見に基づいて、本発明者らは、膨張時のバインドバーやエンドプレートにかかる負荷を軽減しながら、外装缶と封口板の溶接部分の破断を防止するためには、外装缶の封口板近傍の膨張を抑制しつつ、その他の部分で、電池セルの膨張を許容するように構成することが重要であることを見出し、本発明に至った。
【0012】
本発明の一実施形態に係る電源装置は、一方を開口した角形の外装缶の開口端を封口板で閉塞した複数の二次電池セルと、隣接する二次電池セル同士の間に介在される絶縁性のセパレータと、前記複数の二次電池セルを積層した電池積層体の両側端面を覆う一対のエンドプレートと、前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材とを備える。この電源装置は、前記セパレータと、前記二次電池セルとが接する領域の内、前記封口板側の領域の易変形性を、他の領域よりも低くしている。
【0013】
この構成によると、二次電池セルが膨張する際に封口板と外装缶の接続部分を保護しながらも、他の部分では外装缶の変形を許容して、膨張時の変形を緩和することができる。
【0014】
本発明の一実施形態に係る電源装置は、前記セパレータの、前記二次電池セルの封口板側の領域を、他の領域よりも突出させている。上記構成により、セパレータの内、封口板側に接する部位を突出させて外装缶の変形を押さえ、二次電池セルの膨張時に封口板と外装缶の接続部分を保護することができる。
【0015】
また本発明の他の実施形態に係る電源装置は、前記セパレータの、前記二次電池セルと接する領域の内、両側の側面と接する領域を、前記二次電池セルの封口板側の領域よりも低く形成している。上記構成により、セパレータの内で、二次電池セルの膨張時に応力が集中しやすくなる左右の側面と接する領域を低くして、変形を許容する空間を形成することにより、応力を緩和して二次電池セルを保護できる。
【0016】
さらに本発明の他の実施形態に係る電源装置は、前記セパレータは、前記二次電池セルと接する領域を、高さ方向の中間において、左右の端縁まで平坦面に形成し、前記二次電池セルの封口板側に、前記平坦面よりも突出されて該封口板に沿って延伸された第一突出面を形成している。
【0017】
この構成によると、第一突出面により、封口板近傍の膨張を抑制することができ、高さ方向の中間において、外装缶の左右の端縁にかけて膨張が許容される領域が規定される。特に、膨張が許容される領域が外装缶の左右の端縁にかけて規定されることで、外装缶の変形が、外装缶の稜線を基点とした開き変形を許容することになるので、応力集中が生じることを防止しつつ、外装缶の膨張を許容できる特徴がある。例えば、特許文献1に例示される従来の構成では、外装缶の幅広面の外周部分の膨張が抑制され、中央部のみが膨張が許容されるが、この構成の場合、外装缶は、延び変形のみが許容されることになり、押圧されている外周部分と膨張が許容されている中央部の境界部分に応力が集中するおそれがある。上記実施形態によると、延び変形に加えて、開き変形も許容されることが期待でき、外装缶にかかる応力も低減できる。
【0018】
前記セパレータは、前記第一突出面を設けた側と反対側に、該第一突出面と平行状に延伸された第二突出面を形成して、前記第一突出面と第二突出面を分離させてもよい。
【0019】
前記第一突出面は、前記二次電池セルの封口板に沿って直線状に形成することもできる。
【0020】
前記セパレータの、前記第一突出面の延伸方向の端縁と、前記セパレータの側面側端縁との間に、前記第一突出面よりも低い前記平坦面を形成してもよい。
【0021】
また前記セパレータの、前記第一突出面の長手方向の側面と、前記セパレータの端縁との間に、前記第一突出面よりも低い第一段差部を形成することもできる。上記構成により、二次電池セルが膨張した際に外装缶の側面近傍に応力が集中する事態を避け、外装缶を保護して信頼性を高める効果が得られる。
【0022】
さらにまた本発明の他の実施形態に係る車両は、上記の電源装置と、該電源装置から電力供給される走行用のモータと、前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備える。
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一若しくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0024】
実施形態に係る電源装置は、ハイブリッド車や電気自動車などの電動車両に搭載されて走行モータに電力を供給する電源、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの発電電力を蓄電する電源、あるいは深夜電力を蓄電する電源など、種々の用途に使用され、とくに大電力、大電流の用途に好適な電源として使用される。
[実施形態1]
【0025】
本発明の実施形態1に係る電源装置100の斜視図を
図1に、その分解斜視図を
図2に、
図1のIII-III線における垂直断面図を
図3に、それぞれ示す。これらの図に示す電源装置100は、正負の電極端子2を備える複数の二次電池セル1と、これら複数の二次電池セル1の電極端子2に接続されて、複数の二次電池セル1を並列かつ直列に接続するバスバー3を備える。複数の二次電池セル1は、バスバー3を介して並列や直列に接続される。二次電池セル1は、充放電可能な二次電池である。電源装置100は、複数の二次電池セル1が並列に接続されて並列電池グループを構成すると共に、複数の並列電池グループが直列に接続されて、多数の二次電池セル1が並列かつ直列に接続される。
図1~
図3に示す電源装置100は、複数の二次電池セル1を積層して電池積層体10を形成している。また電池積層体10の両端面には一対のエンドプレート20が配置される。このエンドプレート20同士に、締結部材30の端部を固定して、積層状態の二次電池セル1を押圧状態に固定する。
(二次電池セル1)
【0026】
二次電池セル1は、幅広面である主面の外形を四角形とする角形電池であって、幅よりも厚さを薄くしている。さらに、二次電池セル1は、充放電できる二次電池であって、リチウムイオン二次電池としている。ただし、本発明は、二次電池セルを角形電池には特定せず、またリチウムイオン二次電池にも特定しない。二次電池セルには、充電できる全ての電池、例えばリチウムイオン二次電池以外の非水系電解液二次電池やニッケル水二次電池セルなども使用できる。
【0027】
二次電池セル1は、正負の電極板を積層した電極体を外装缶1aに収納して、電解液を充填して気密に密閉している。外装缶1aは、
図2に示すように、底を閉塞する四角い筒状に成形しており、この上方の開口部を金属板の封口板1bで気密に閉塞している。外装缶1aは、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。封口板1bは、外装缶1aと同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。封口板1bは、外装缶1aの開口部に挿入され、封口板1bの外周と外装缶1aの内周との境界にレーザー光を照射して、封口板1bを外装缶1aにレーザー溶接して気密に固定している。
(電極端子2)
【0028】
二次電池セル1は、天面である封口板1bを端子面1Xとして、この端子面1Xの両端部に正負の電極端子2を固定している。電極端子2は、突出部を円柱状としている。ただ、突出部は、必ずしも円柱状とする必要はなく、多角柱状又は楕円柱状とすることもできる。
【0029】
二次電池セル1の封口板1bに固定される正負の電極端子2の位置は、正極と負極が左右対称となる位置としている。これにより、二次電池セル1を左右反転させて積層し、隣接して接近する正極と負極の電極端子2をバスバー3で接続することで、隣接する二次電池セル1同士を直列に接続できるようにしている。
(電池積層体10)
【0030】
複数の二次電池セル1は、各二次電池セル1の厚さ方向が積層方向となるように積層されて電池積層体10を構成している。電池積層体10は、正負の電極端子2を設けている端子面1X、
図2~
図3においては封口板1bが同一平面となるように、複数の二次電池セル1を積層している。
(セパレータ40)
【0031】
電池積層体10は、隣接して積層される二次電池セル1同士の間に、セパレータ40を介在させている。セパレータ40は、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状またはシート状に形成されている。セパレータ40は、二次電池セル1の対向面とほぼ等しい大きさのプレート状とする。このセパレータ40を互いに隣接する二次電池セル1の間に積層して、隣接する二次電池セル1同士を絶縁する。
【0032】
さらに、
図2~
図3に示す電源装置100は、電池積層体10の両端面にエンドプレート20を配置している。なおエンドプレートと電池積層体の間にも端面セパレータ40’を介在させて、これらを絶縁してもよい。端面セパレータ40’も、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状またはシート状に形成できる。
(バスバー3)
【0033】
電池積層体10は、隣接する二次電池セル1の正負の電極端子2に金属製のバスバー3が接続されて、このバスバー3を介して複数の二次電池セル1が並列や直列に接続される。実施形態1に係る電源装置100は、複数の二次電池セル1が互いに積層される電池積層体10において、互いに隣接する複数の二次電池セル1の電極端子2同士をバスバー3で接続して、複数の二次電池セル1を並列かつ直列に接続する。
【0034】
バスバー3は、金属板を裁断、加工して所定の形状に製造される。バスバー3を構成する金属板には、電気抵抗が小さく、軽量である金属、例えばアルミニウム板や銅板、あるいはこれらの合金が使用できる。ただし、バスバー3の金属板は、電気抵抗が小さくて軽量である他の金属やこれらの合金も使用できる。また、電池積層体10とバスバー3との間にバスバーホルダを配置してもよい。バスバーホルダを用いることによって複数のバスバーを互いに絶縁し、かつ二次電池セルの端子面とバスバーとを絶縁しながら、複数のバスバーを電池積層体の上面の定位置に配置できる。
(エンドプレート20)
【0035】
エンドプレート20は、
図1~
図3に示すように、電池積層体10の両端に配置されると共に、電池積層体10の両側面に沿って配置される締結部材30を介して締結される。エンドプレート20は、電池積層体10の二次電池セル1の積層方向における両端であって、端面セパレータ40’の外側に配置されて電池積層体10を両端から挟着している。
(端面セパレータ40’)
【0036】
端面セパレータ40’は、通常のセパレータ40と異なり、二次電池セル1同士の間に介在されるのでなく、エンドプレート20と二次電池セル1の間に介在される。エンドプレート20は二次電池セル1のような膨張を考慮する必要がないため、端面セパレータ40’の面の内、エンドプレート20と対向する面については、第一突出面45等を形成する必要がなく、全面を平坦とした第二平坦面に形成することができる。一方で、端面セパレータ40’の他方の面、すなわち二次電池セル1と対向する面については、上述したセパレータ40と同様、第一突出面45や平坦面43を形成する。ただ、上述したセパレータ40をそのまま断面セパレータとして利用することもできる。
(締結部材30)
【0037】
締結部材30は、
図1及び
図2に示すように、電池積層体10の積層方向に延長されており、両端が電池積層体10の両端面に配置されたエンドプレート20に固定されて、このエンドプレート20を介して電池積層体10を積層方向に締結している。締結部材30は、電池積層体10の側面に沿う所定の幅と所定の厚さを有する金属板で、電池積層体10の両側面に対向して配置されている。この締結部材30には、鉄などの金属板、好ましくは、鋼板が使用できる。金属板からなる締結部材30は、プレス成形等により折曲加工されて所定の形状に形成される。
【0038】
締結部材30は、電池積層体10の左右の側面でそれぞれ、2本の締結部材30を上下に離間して配置している。各締結部材30は、電池積層体10の側面に沿って配置される本体部31と、この本体部31の両端で折曲されて、エンドプレート20の外側面に固定される固定部32とを備えている。本体部31は、電池積層体10の長さとほぼ等しい長さの紐状に形成されている。締結部材30は、両端を一対のエンドプレート20に固定するために、その両端部をエンドプレート20の外側面に沿うように折曲加工して固定部32を設けている。この締結部材30は、固定部32の先端に設けた貫通孔33に挿入される留め具34を介してエンドプレート20に固定される。
【0039】
なお
図2等の例では、電池積層体10の左右の側面でそれぞれ、2本の締結部材30を上下に離間して配置している。ただ本発明は、締結部材をこの構成に限定せず、3本以上としたり、あるいは一の締結部材を電池積層体の側面に配置してもよい。一枚の締結部材は、電池積層体の側面をほぼ覆う大きさに形成することができる。また必要に応じて、締結部材の中間部分に開口部を形成してもよい。さらに締結部材は、電池積層体の左右に配置する他、上下面に配置する構成とすることもできる。
(セパレータ40の詳細)
【0040】
電源装置100は、セパレータ40と、二次電池セル1とが接する領域の内で、特に二次電池セル1の封口板1bがセパレータ40と接する領域について、その変形し易さ、すなわち易変形性を、他の領域よりも低くしている。このようにすることで、二次電池セル1が膨張する際に封口板1bと外装缶1aの接続部分を保護しながらも、他の部分では外装缶1aの変形を許容して、膨張時の変形を緩和することができる。
【0041】
二次電池セルは充放電によって外装缶の内部に収納した電極体が膨張して内面から外装缶を押し出し、この結果外装缶が膨張することが知られている。特に近年は電池容量の高容量化の要求が高まっていることから、これに伴って膨張量も大きくなる傾向にある。多数枚の二次電池セルを積層した電池積層体では、全体の膨張量もセル数に応じて大きくなる。
【0042】
一方、電池積層体は、二次電池セルとセパレータを交互に積層した状態で、両端面にエンドプレートを配置して、バインドバー等の締結部材で締結している。締結部材でエンドプレート同士を強く狭持した状態に締結することで、二次電池セルが上下に位置ずれしたり抜け落ちたりする事態を回避している。
【0043】
この状態で二次電池セルが膨張すると、
図20に示すように端面に位置するエンドプレート920が、中間部分が二次電池セル901によって押し出される一方、両端はバインドバー930で引っ張られる結果、弓なりに反った状態となる(
図20は説明のため、変形量を強調して表示させている)。この結果、エンドプレート920の端縁の隅部が反って二次電池セル901側に突出する結果、二次電池セル901の端縁が強く押されることになる。この状態では、二次電池セル901の側面に強い応力が集中する。これを防ぐためには、膨張時に応力が特定の部位に集中しないように、変形を吸収できるような構造が必要となる。
【0044】
また一方で、二次電池セルの外装缶が膨張すると、封口板との溶接部分が外れるおそれがあった。すなわち、一般に二次電池セルの角形の外装缶は、上面を開口しており、ここから集電体などを導入した後、開口端を封口板で封止し、接合界面をレーザー溶接等により溶接している。
【0045】
しかしながら、外装缶が膨張を繰り返すと、外装缶の開口端面と封口板との間のレーザー溶接部分が破断されるおそれがある。これを防ぐためには、外装缶と封口板との接合界面が離れないように、この部分を保護する必要があった。このことは、外装缶の膨張を防ぐ又は規制することに他ならず、上述した変形の許容とは逆のアプローチとなる。
【0046】
このように、電源装置においては変形の許容と規制という相反する特性が求められ、これらを両立されることは容易でなかった。これに対して本実施形態に係る電源装置100においては、セパレータ40と二次電池セル1との接触部分の変形し易さ、すなわち易変形性を部分的に変化させた、いわば剛性を不均一とした構成を採用している。
【0047】
具体的に実施形態1に係るセパレータ40の斜視図を
図4に示す。この図に示すセパレータ40は、主面を構成する主面部41と、この主面部41の両側の側面に形成されたガイド部42を備えている。
【0048】
ガイド部42は、主面部41の側面において主面部41の表裏に向かって突出する壁状に形成されている。このガイド部42は、二次電池セル1とセパレータ40を交互に積層した際に、二次電池セル1の表面と裏面にそれぞれ配置されたセパレータ40のガイド部42同士でもって、二次電池セル1の側面を覆うように形成している。
【0049】
主面部41は、平坦な平坦面43を形成すると共に、上下に突出面44を形成している。
図4の例では、突出面44として、主面部41の上側に形成された第一突出面45と、下側に形成された第二突出面46とを有する。これら第一突出面45及び第二突出面46は、平坦部から若干突出して、横方向に延長されたスリップ状に形成されている。突出面の突出量は、例えば0.05mm~1mmとし、好ましくは0.1~0.8mm、より好ましくは0.6mm程度とする。また、これら第一突出面45や第二突出面46は、好ましくはセパレータ40と一体に成形される。
【0050】
セパレータ40は、絶縁性、耐熱性に優れた材質で構成する。好ましくはポリカーボネートやPBT樹脂などのエンジニアリング・プラスチックで安価に多量生産できる。あるいは、耐熱特性に優れる樹脂、PPS、ポリプロピレン、ナイロン、PET、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等の熱可塑性樹脂、あるいはポリイミド、フッ素樹脂、PDAP、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で製作することもできる。
【0051】
また第一突出面45は、
図3の垂直断面図に示すように、二次電池セル1の封口板1bを接合した部位と重なるか、又はこの近傍に位置するように設けられる。
(第一段差部47)
【0052】
一方で第一突出面45は、長手方向の側面と、セパレータ40の上面側端縁との間に、第一段差部47を形成している。いいかえると、第一突出面45は、ガイド部42まで延伸されず、第一突出面45よりも低くすることで、セパレータ40と二次電池セル1との間に空間を形成している。
図4の例では、主面部41の平坦面43を、第一突出面45の左右に連続させている。このようにしたことで、二次電池セル1が膨張した際に外装缶1aの側面近傍に応力が集中する事態を避け、外装缶1aを保護することでもって信頼性を向上できる。
【0053】
すなわち、二次電池セル1が膨張すると、
図20の水平断面図に示すように、外装缶1aの腹の部分が突出する結果、隣接する他の二次電池セルやエンドプレート920が反り返る反作用として、これら他の二次電池セルやエンドプレート920の隅部が二次電池セル901側に迫り出してくる状態となる。いいかえると、膨張した二次電池セル901の隅部が周囲から押される状態となって、隅部に応力が集中し、外装缶1aが破損される可能性が生じる。そこで本実施形態においては、上述の通り、第一突出面45を形成しつつも、その左右に第一段差部47を形成している。この結果、
図5の水平断面図に示すように、外装缶1aの隅部への応力集中が緩和されて、二次電池セル1の保護が図られるのである。
[実施形態2]
【0054】
第一段差部47の幅d1は、外装缶の想定される膨張量や外装缶の材質(塑性)等に応じて設計される。変形量が大きい二次電池セル1ほど、大きく設定することが望ましい。例えばセパレータ40の幅Wに対して、例えば0.05W≦d1≦0.3W、好ましくは0.1W≦d1≦0.2Wとする。実施形態2に係る電源装置のセパレータ40Bを
図6に示す。このセパレータ40Bでは、第一段差部47の幅d2を実施形態1よりも広くしており、実施形態1よりも変形量が激しい二次電池セル1に対応させることができる。
(第二突出面46)
【0055】
また以上の例では、第一突出面45に加えて、セパレータ40の底面側に第二突出面46を設けることで、外装缶1aの封口板1bを溶接した開口端側のみならず、底板側の保護も図ることができる。第二突出面46は、好ましくは第一突出面45を同じ突出高さに設計される。また第二突出面46の幅、いいかえると第二突出面46の左右に形成された第二段差部の幅も、第一突出面45と同じ大きさに設定できる。ただ、二次電池セル1に応じて、第二突出面46の突出高さや長さを、第一突出面45と異ならせてもよい。
[実施形態3]
【0056】
一方で、封口板1bの疲労破壊のリスクに比べ、絞り出し加工等により一体に形成された外装缶1aの底面側が破壊されるリスクは低いということもできる。このような観点から、第二突出面を省略することもできる。このような例を実施形態3に係る電源装置のセパレータ40Cとして
図7の斜視図に示す。この図に示すセパレータ40Cは、主面部41の平坦面43に、上部側に第一突出面45のみを設けており、下部側には第二突出面を設けていない。このようなセパレータ40Cを用いることでも、封口板1bの溶接部分の破断を効果的に阻止できる。
[実施形態4]
【0057】
またこのように第一突出面45のみを設ける構成においても、上述の通り第一突出面45の幅d1を適宜調整できることはいうまでもない。一例として、第一突出面45の幅をd2に短くした例を実施形態4に係る電源装置のセパレータ40Dとして
図8に示す。
[実施形態5]
【0058】
また第一突出面45は、必ずしもセパレータ40の上端に沿って設ける必要はなく、セパレータと当接される二次電池セルの大きさや位置に応じて、第一突出面を設ける位置を任意に調整できる。すなわちセパレータの形状は、二次電池セルよりも大きくすることも可能であり、必ずしもセパレータの上端に固定する必要はない。二次電池セルとセパレータを積層した状態で、封口板の位置する領域やその近傍に第一突出面を配置することで、封口板の固定部分の保護が図られる。一例として、実施形態5に係る電源装置のセパレータ40Eを
図9の斜視図に示す。この例では、第一突出面45を、主面部41の平坦面43の上端から少し離れた位置に第一突出面45を設けている。このように、二次電池セルやセパレータの形状、大きさに応じて、効果的に封口板を保護できる位置となるように第一突出面の配置位置が決定される。
[実施形態6]
【0059】
なお以上の例では、外装缶1aの封口板1bの溶接部分を保護するため、封口板1bの近傍に第一突出面45を設ける例を説明した。ただ本発明はこの構成に限らず、二次電池セルの内部で膨張の原因となる集電体の上部の位置やその近傍に、第一突出面を配置してもよい。このような例を
図10A~
図10Bを参照して説明する。これらの図に示すように、二次電池セル1が膨張する原因は、外装缶1aの内部に収納された集電体1cが充放電によって膨張することに起因する。このため、集電体1cの上部と対応させて第一突出面45を位置させることで、この部分での二次電池セルの変形を抑制し、これよりも上方にある封口板1bの溶接部分が変形して疲労破壊される事態を抑制できる。
[実施形態7]
【0060】
また以上の例では、第一突出面45や第二突出面46をセパレータ40に一体に成形した例を説明した。ただ本発明は、第一突出面や第二突出面をセパレータと一体成形する構成に限定するものでなく、これらを別部材で構成してもよい。例えば実施形態7に係る電源装置のセパレータ40Fを、
図11の斜視図に示す。この例では、平板状の主面部41で構成されたセパレータ40Fの上部に、第一突出面45Fを貼付している。第一突出面45Fは、予め樹脂製の板やシート等で形成されており、両面テープや接着などでセパレータ40Fに固定される。あるいは第一突出面45Fの裏面側に接着材を予め塗布してもよい。また耐熱性、絶縁性を有するテープ材自体を、セパレータ40Fに貼付して第一突出面45Fとして利用することもできる。この構成によれば、既存のセパレータを利用しながら、所望の長さの第一突出面を適切な位置に貼付して、二次電池セル膨張時の耐性機能を付加することができる。
[実施形態8]
【0061】
さらにまた、以上の例では、セパレータ40と、二次電池セルの封口板1b側とが接する領域の易変形性を、セパレータ40側で調整する例について説明した。ただ本発明はこの構成に限らず、二次電池セル側で、セパレータと二次電池セルの封口板側とが接する領域の易変形性を調整する構成としてもよい。このような例を実施形態8に係る電源装置の電池積層体として、
図12の分解斜視図に示す。この図に示す電池積層体は、二次電池セル1の外装缶1aの表面に、第一突出面45Gを貼付している。この構成によっても、セパレータ40Gと二次電池セル1の封口板1b側とが接する領域に介在された第一突出面45Gによって、二次電池セル1膨張時の変形量が抑制され、もって封口板1bの接続部位を保護する効果が得られる。
【0062】
さらに、以上の例では第一突出面45を付加することで、セパレータ40と、二次電池セル1の封口板1b側とが接する領域の易変形性を、他の領域よりも相対的に低下させる構成について説明したが、易変形性の調整を、形状でなく材質の違いによって実現することもできる。例えば、セパレータの材質を、封口板側で硬度を高く、それ以外の領域で硬度を低くするように、複合材料で構成することでも、同様の効果を実現できる。例えば材質すなわち硬度の異なる部材を複数組み合わせてセパレータを構成することで、このような部分的に硬度に差を持たせた構造を提供できる。
【0063】
以上の電源装置は、車載用の電源として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。なお、車両を駆動する電力を得るために、上述した電源装置を直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の電源装置100を構築した例として説明する。
(ハイブリッド車用電源装置)
【0064】
図13は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、これらのエンジン96及び走行用のモータ93で駆動される車輪97と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。なお、車両HVは、
図13に示すように、電源装置100を充電するための充電プラグ98を備えてもよい。この充電プラグ98を外部電源と接続することで、電源装置100を充電できる。
(電気自動車用電源装置)
【0065】
また、
図14は、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させる走行用のモータ93と、このモータ93で駆動される車輪97と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。また車両EVは充電プラグ98を備えており、この充電プラグ98を外部電源と接続して電源装置100を充電できる。
(蓄電システム)
【0066】
さらに、本発明は、電源装置の用途を、車両を走行させるモータの電源には特定しない。各実施形態に係る電源装置は、太陽光発電や風力発電等で発電された電力で電池を充電して蓄電する蓄電システムの電源として使用することもできる。
図15は、電源装置100の電池を太陽電池で充電して蓄電する蓄電システムを示す。この図に示す蓄電システムは、図に示すように、家屋や工場等の建物81の屋根や屋上等に配置された太陽電池82で発電される電力で、電源装置100の電池を充電する。さらに、この蓄電システムは、電源装置100に蓄電した電力を、DC/ACインバータ85を介して負荷83に供給する。
【0067】
さらに、電源装置は、図示しないが、夜間の深夜電力を利用して電池を充電して蓄電する蓄電システムの電源として使用することもできる。深夜電力で充電される電源装置は、発電所の余剰電力である深夜電力で充電して、電力負荷の大きくなる昼間に電力を出力して、昼間のピーク電力を小さく制限することができる。さらに、電源装置は、太陽電池の出力と深夜電力の両方で充電する電源としても使用できる。この電源装置は、太陽電池で発電される電力と深夜電力の両方を有効に利用して、天候や消費電力を考慮しながら効率よく蓄電できる。
【0068】
以上のような蓄電システムは、コンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用または工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機や道路用の交通表示器などのバックアップ電源用などの用途に好適に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る電源装置及びこれを備える車両は、ハイブリッド車、燃料電池自動車、電気自動車、電動オートバイ等の電動車両を駆動するモータの電源用等に使用される大電流用の電源として好適に利用できる。例えばEV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置が挙げられる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0070】
100…電源装置、1…二次電池セル、1X…端子面、1a…外装缶、1b…封口板、1c…集電体、2…電極端子、3…バスバー、10…電池積層体、20…エンドプレート、30…締結部材、31…本体部、32…固定部、33…貫通孔、34…留め具、40、40B、40C、40D、40E、40F、40G…セパレータ、40’…端面セパレータ、41…主面部、42…ガイド部、43…平坦面、44…突出面、45、45F、45G…第一突出面、46…第二突出面、47…第一段差部、81…建物、82…太陽電池、83…負荷、85…DC/ACインバータ、91…車両本体、93…モータ、94…発電機、95…DC/ACインバータ、96…エンジン、97…車輪、98…充電プラグ、900…電源装置、901…二次電池セル、910…電池積層体、920…エンドプレート、930…バインドバー、940、940’…セパレータ、941…窪み、HV…車両、EV…車両。