(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】センサーユニット
(51)【国際特許分類】
G01D 11/30 20060101AFI20230616BHJP
G01F 15/14 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
G01D11/30 S
G01F15/14
(21)【出願番号】P 2020543089
(86)(22)【出願日】2019-02-18
(86)【国際出願番号】 IL2019050192
(87)【国際公開番号】W WO2019159180
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520294505
【氏名又は名称】リーナルセンス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シッツ,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】モーゼ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】マドセン,ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】マンティンバンド,ジャック イェホシュア
(72)【発明者】
【氏名】コクバ,ジョゼフ
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-008917(JP,U)
【文献】特開2003-227740(JP,A)
【文献】特開2002-174608(JP,A)
【文献】特開平02-195941(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0247179(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0188163(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102004021303(DE,A1)
【文献】独国実用新案第202012001121(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0249869(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0163683(US,A1)
【文献】独国実用新案第202014103998(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00-15/34,
G01F 1/00,15/00-15/18,
H05K 5/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管を通って流れる流体の特性を測定することが望まれる、前記導管内の位置に配置されるように構成されているセンサーユニットであって、
a)センサー支持体と、
b)近位および遠位側と、チャンバを有する中心部とを含む本体部であって、前記チャンバは下部と上部とを有し、前記下部は前記本体部の前記近位側と遠位側との間の開いた経路を提供し、それにより前記本体部を通る流路を提供する、本体部と、
c)前記チャンバの前記上部にあるソケットであって、前記センサー支持体を受けるように構成されたソケットと、
d)前記センサー支持体上に位置付けられたガスケットと、
e)ガスケットを押し下げるように構成され、それによってガスケットおよびセンサー支持体をソケット内の所定の位置に保持するクランプと、
f)前記流体の特性を測定するように構成された少なくとも1つのセンサーと、
g)第1の端部が前記センサー支持体上の電子回路に接続され、第2の端部が制御ユニットに接続された電気ケーブルと、
h)前記本体部の前記遠位側に位置付けられた電気ケーブルを所定の位置に保持するように構成された第1のケーブルガイドと、を備え、
前記センサー支持体は、センサー位置が前記センサー支持体および前記流路に対して正確かつ再現可能に配置され得るように、前記少なくとも1つのセンサーを支持しており、
前記クランプは、前記電気ケーブルが通過することができる開口部と、前記開口部と前期第1のケーブルガイドとの間に位置づけられる第2のケーブルガイドと、2つのスナップフィット脚部とを含み、前記スナップフィット脚部の各々は、ラッチ構造を有する自由端部を有し、前記スナップフィット脚部は、前記ラッチ構造が前記チャンバの外側側壁にある棚状突起の下の所定の位置にスナップ留めすることを可能にするように構成されている、
センサーユニット。
【請求項2】
センターユニットカバーをさらに備え、前記センターユニットカバーは、前記第1のケーブルガイドを覆う遠位端部を含み、前記遠位端部の内側にはタブが設けられ、当該タブは前記第1のケーブルガイド内に電気ケーブルを押し下げて張力逃しを提供する、請求項1に記載のセンサーユニット。
【請求項3】
前記ソケットは、前記チャンバの2つの側に、前記センサー支持体が配置されて前記流路に完全な天井部を形成する、側壁に平行な棚を含む、請求項1又は請求項2に記載のセンサーユニット。
【請求項4】
前記本体部は、
a)前記センサー支持体上に位置付けられた少なくとも1つのセンサーと、
b)前記センサー支持体上にある電子回路と、
c)近位コネクタ部であって、前記近位コネクタ部の遠位端部が前記本体部
の近位壁を貫通して突出している管に取り付けられ、かつ前記近位コネクタ部の近位端部が前記導管に取り付けられるように構成された近位コネクタ部と、
d)遠位コネクタ部であって、前記遠位コネクタ部の近位端部が前記本体部
の遠位壁を貫通して突出している管に取り付けられ、前記遠位コネクタ部の遠位端部が前記導管に取り付けられるように構成された遠位コネクタ部と、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサーユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサーは、温度センサー、熱を提供することができる温度センサー、pHセンサー、圧力センサー、流量センサー、前記流体中の少なくとも1つの物質の濃度を検出するためのセンサー、および少なくとも1つの液体または気体を検出するセンサーのうちの1つである、請求項1~4のいずれか1項に記載のセンサーユニット。
【請求項6】
前記センサー支持体は、2次元形状および3次元形状のうちの1つを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサーユニット。
【請求項7】
前記センサー支持体は、PCB、金属板、プラスチック板、およびセラミック板のうちの1つである、請求項1~6のいずれか1項に記載のセンサーユニット。
【請求項8】
前記本体部の下流に逆止弁をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサーユニット。
【請求項9】
前記ガスケットは、前記センサー支持体と前記クランプとの間に位置付けられている、請求項1~8のいずれか1項に記載のセンサーユニット。
【請求項10】
前記本体部は、遠位端部を有する遠位コネクタ部を含み、前記遠位コネクタ部の前記遠位端部に取り付けられた前記導管は、二重管腔導管であり、流体は前記管腔の1つを通って流れ、電気ケーブルは前記管腔の2つ目を通過する、請求項4に記載のセンサーユニット。
【請求項11】
電子回路と、
導体を有する電気ケーブルと、
前記センサーユニットの前記電子回路を制御ユニットに接続する前記電気ケーブルの端部に配置されたプラグと、をさらに含み、前記プラグは、電子回路を有するプリント回路基板(PCB)と、前記電気ケーブルにおける前記導体が電気的に接続されている前記PCB上の導電性パッドとを含み、前記電子回路は、前記PCB上の電子構成要素を、前記導電性パッドと、モジュラーコネクタにおけるチャネルと適合するように配置かつ寸法設定されているピンとに電気的に接続する金属トレースを含み、前記電子構成要素は、パッシブメモリ構成要素と、前記少なくとも1つのセンサーを操作し、データを蓄積し、前記蓄積されたデータに対して操作を実行し、かつ他のシステムと通信するためのアクティブ構成要素とのうちの少なくとも1つを有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサーユニット。
【請求項12】
前記スナップフィット脚部の前記ラッチ構造は、前記スナップフィット脚部が前記チャンバの前記外側側壁上の前記棚状突起から外れることを抑制するように成形された後斜面を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のセンサーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
本明細書で開示されるのは、導管を通って流れる流体の特性を測定するために導管内の位置に配置されるセンサーユニットである。
【背景技術】
【0002】
さまざまなタイプのセンサーが、導管を通って流れる流体の特性を監視するために使用される。一貫した正確な結果を得ることに関連する問題の1つは、流れる流体の特性およびその測定値が、導管の壁からセンサーの距離、センサーが流体に浸漬される深さ、および導管の壁の特性など、必ずしも確実に再現しやすいわけではない多くの要因に依存することである。
【0003】
したがって、本発明の目的は、導管を通って流れる流体の特性の正確で再現可能な判定を可能にする装置を提供することである。
【0004】
本発明のさらなる目的および利点は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
ここで提供されるのは、導管を通って流れる流体の特性を測定することが望まれる、導管内の位置に配置されるように構成されるセンサーユニットである。特定の実施形態において、センサーユニットは、a)センサー支持体と、b)近位および遠位側と、チャンバを有する中心部とを含む本体部であって、チャンバは下部と上部とを有し、下部は本体部の近位側と遠位側との間の開いた経路を提供し、それにより本体部を通る流路を提供する、本体部と、c)チャンバの上部にあるソケットであって、センサー支持体を受けるように構成されたソケットと、d)センサー支持体上に位置付けられたガスケットと、e)ガスケットを押し下げるように構成され、それによってガスケットおよびセンサー支持体をソケット内の所定の位置に保持するクランプと、f)流体の特性を測定するように構成された少なくとも1つのセンサーと、を備える。センサー支持体は、少なくとも1つのセンサーが、センサーユニットを通る流路の壁に対して定位置に、およびセンサーユニットを通って流れる流体に対して一定の深さで維持されるように、少なくとも1つのセンサーを支持する。
【0006】
特定の実施形態において、ソケットは、チャンバの2つの側に、センサー支持体が配置されて流路に完全な天井部を形成する、側壁に平行な棚を含む。
【0007】
特定の実施形態では、先行する請求項のいずれか1項に記載のセンサーユニットであって、本体部は、a)センサーユニットカバーと、b)第1の端部がセンサー支持体上の電気回路に接続され、第2の端部が制御ユニットに接続された電気ケーブルと、c)本体部の近位壁および遠位壁をそれぞれ貫通して突出している短い管部品と、d)本体部の遠位側に位置付けられた電気ケーブルを所定の位置に保持するように構成されたケーブルガイドと、e)センサー支持体に位置付けられた少なくとも1つのセンサーと、f)センサー支持体上にある電子回路と、g)近位コネクタ部であって、近位コネクタ部の遠位端部が、本体部の近位壁を貫通して突出している管に取り付けられ、かつ近位コネクタ部の近位端部が、導管に取り付けられるように構成された近位コネクタ部と、h)遠位コネクタ部であって、遠位コネクタ部の近位端部が、本体部の遠位壁を貫通して突出している管に取り付けられ、遠位コネクタ部の遠位端部が、導管に取り付けられるように構成された遠位コネクタ部とのうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
特定の実施形態では、少なくとも1つのセンサーは、温度センサー、熱を提供することができる温度センサー、pHセンサー、圧力センサー、流量センサー、流体中の少なくとも1つの物質の濃度を検出するためのセンサー、および少なくとも1つの液体または気体を検出するセンサーのうちの1つである。
【0009】
特定の実施形態では、センサー支持体は、2次元形状および3次元形状のうちの1つを有する。特定の実施態様では、センサー支持体は、PCB、金属板、プラスチック板、およびセラミック板のうちの1つである。
【0010】
特定の実施形態では、センサーユニットは、本体部の下流に逆止弁をさらに備える。
【0011】
特定の実施形態では、ガスケットは、センサー支持体とクランプとの間に位置付けられる。
【0012】
特定の実施形態では、クランプは、電気ケーブルが通過することができる開口部と、ケーブルガイドと、2つのスナップフィット脚部とを含み、スナップフィット脚部の各々は、ラッチ構造を有する自由端部を有し、スナップフィット脚部は、ラッチ構造がチャンバの外側側壁にある棚状突起の下の所定の位置にスナップ留めすることを可能にするように構成される。
【0013】
特定の実施形態では、本体部は、遠位端部を有する遠位コネクタ部を含み、遠位コネクタ部の遠位端部に取り付けられた導管は、二重管腔導管であり、流体は管腔の1つを通って流れ、電気ケーブルは管腔の2つ目を通過する。
【0014】
特定の実施形態では、センサーは、電気回路と、導体を有する電気ケーブルと、センサーユニットの電気回路を制御ユニットに接続する電気ケーブルの端部に配置されたプラグとをさらに含み、プラグは、電子回路を有する小さなプリント回路基板(PCB)と、電気ケーブルの導体が電気的に接続されたPCB上の導電性パッドと、を含み、電子回路は、PCB上の電子構成要素を、導電性パッドおよびモジュラーコネクタにおけるチャネルと適合するように配置かつ寸法設定されるピンに電気的に接続する金属トレースを含み、電子構成要素は、パッシブメモリ構成要素と、少なくとも1つのセンサーを操作し、データを蓄積し、蓄積されたデータに対して操作を実行し、かつ他のシステムと通信するためのアクティブ構成要素とのうちの少なくとも1つを有する。
【0015】
またここで提供されているのは、第1の電気デバイスから第2の電気デバイスに電気を伝導する電気ケーブルの端部に配置されたプラグであって、プラグはケーブルを第2の電気デバイスに電気的に接続するように構成され、プラグは、i)パッシブメモリ構成要素と、ii)センサーを操作し、データを蓄積し、蓄積されたデータに対し操作を実行し、第2のデバイスおよび/または他のシステムと通信するアクティブ構成要素のうちの少なくとも1つを含む電子構成要素を有する小型のプリント回路基板(PCB)と、導管における電気ケーブルが電気的に接続されたPCB上に配置された導電性パッドと、モジュラーコネクタにおけるチャネルと適合するように配置かつ寸法設定されるピンと、PCB上に配置された電子回路とを含み、回路は、PCB上の電子構成要素を導電性パッドおよびピンに電気的に接続する金属トレースを含む。
【0016】
本発明の上記および他の特徴および利点のすべては、添付の図面を参照して、その実施形態の以下の例示的かつ非限定的な説明を通してさらに理解されるであろう。
【0017】
定義
本発明のこの開示において、「近位」および「遠位」という用語は一般的な意味で使用される。すなわち、「近位」は「流体の流れの起点または源により近い」ことを意味し、「遠位」は「流体の流れの起点または源からより離れている」ことを意味する。したがって、「近位方向」は「上流」であり、「遠位方向」は下流である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本明細書に開示されるセンサーユニットの実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1のセンサーユニットの内部構成要素を示す分解図である。
【
図3】
図1のセンサーユニットの本体部の斜視図である。
【
図5】
図1のセンサーユニットのPCBの側面図である。
【
図6A-6B】それぞれケーブルが取り付けられた
図5のプリント回路基板(PCB)の上方および下方斜視図である。
【
図7】
図5のPCBが所定の位置にある、
図3の本体部の横断面図である。
【
図8】
図1のセンサーユニットのスナップフィットクランプ素子の斜視図である。
【
図9】
図5のPCB、ガスケット、および
図8のクランプが所定の位置にある、
図3の本体部の横断面図である。
【
図10】
図1のセンサーユニットの近位端を導管に接続するために使用することができる先行技術の近位コネクタセクションを示す。
【
図11】
図1のセンサーユニットの遠位端から導管へ接続に使用できる先端補助コネクタ部を示す。
【
図12】
図1のセンサーユニットの例示的なカバーを示す。
【
図13】
図1のセンサーユニットのケーブルをリモートデバイスに接続するプラグの一構成要素であるPCBを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に開示されるのは、導管を通って流れる流体のある特性、例えば流速、色、密度、粘度、pH、ガスの濃度、化学物質、または気体の状態であっても液体に溶解していても、CO2やNO2などの他の物質を測定することが望まれる導管内の位置に配置されるように構成されるセンサーユニットである。センサーユニットは、本明細書では本体部と称する部分を含み、本体部は、測定が行なわれるチャンバと、センサーを通る流路の壁から常に所与の距離に、かつセンサーユニットを流れる流体に対して同じ深さに位置付けられるようにセンサーを支持する支持構造とを含む。支持構造の設計は、以下に説明するように、支持構造に対するセンサーの位置が、製造時または組み立て時に確実かつ繰り返し可能に再現することができるようになっている。本体部の内部は、そこを流れる流体の乱れを最小限に抑えるように設計されている。
【0020】
本発明を説明するために、本明細書の記載および図は、導管を流れる流体の変化を生成および感知するために使用される電子構成要素をさらに含むセンサーユニットを備える実施形態に関する。センサーは、現在または将来的に、本明細書に記載されている電子構成要素と同じ様式を準用して取り付けられる、当技術分野で既知の、電子、光学、機械、超音波などの任意のタイプのセンサーであり得る。本実施形態を参照して本明細書に記載の本発明の趣旨から逸脱することなく、各々がその用途に適切な多くの他の実施形態が可能である。
【0021】
図1はセンサーユニット100の斜視図、
図2はセンサーユニット100の分解図である。これらの図には、以下でさらに詳細に説明する次の構成要素が示されている。近位端部152と遠位端部154とを含む本体部130、カバー132、プリント基板(PCB)140、電気ケーブル142、ガスケット144、およびスナップフィットクランプ素子146(以下、「クランプ」と称する)。これらおよび以下の図において、矢印150は、センサーユニットを通る流体の流れの方向を示す。
【0022】
図3は、センサーユニット100の本体部130の斜視図であり、
図4は、近位(すなわち、上流)方向に見た本体部130の横断面図である。近位端部152および遠位端部154はそれぞれ、本体部130の近位壁152aおよび遠位壁154aから突出している短い管部品である。近位端部152および遠位端部154は、センサーユニット100の近位コネクタ部126(
図10に図示)および遠位補助コネクタ部148(
図11に図示)とそれぞれ嵌合するような形状およびサイズであり、共に以下で説明する。いくつかの実施形態では、一端または両端は、コネクタ部なしで導管に直接接続することができる。いくつかの実施形態では、本体部は、導管の一体部分であり得る。異なる実施形態は、各々が嵌合する物体に応じて、異なる形状またはサイズの端部152および154を有することができる。本体部130の遠位側には、PCB140に電気的に接続されたケーブル142を所定の位置に保持するように成形されたケーブルガイド158が形成される。
【0023】
なお、センサーユニットの本体部は、3つの軸のいずれかを中心に回転して、任意の方向に向けることができる。簡潔にするために、本体部またはその構成要素の「上部」、「下部」、「側面」、「屋根部」、「天井部」、「壁部」などと記述しているが、これは単に便宜上のものであり、かつ図に示される基準系を参照するものであることを理解されたい。回転により、「上部」は「側面」または「下部」になってもよく、または本開示の意図から逸脱することなく、任意の軸の周りの任意の回転角度になってもよい。
【0024】
本体部130の中央には、本実施形態ではPCB140であるセンサー支持体が確実に着座することができる側壁164を備えるソケット160が形成されている。流路156の上のソケット160の下部は開いており、流路156を通って流れる流体とセンサー支持体の下部のセンサーとの接触を可能にする。開口部の両側に棚162が形成され、その上にセンサー支持体(PCB140)を配置して、流路の上部を形成することができる。乱流を防ぐため、開口部の近位端部上と遠位端部上には棚がない。センサー支持体の側面は、開口部を取り囲む側壁164に当接し、それにより、センサー支持体の下部は、ソケット160の長さ全体にわたって流路に対して完全な天井部を形成する。
【0025】
図5は、PCB140の側面図である。
図6Aおよび
図6Bはそれぞれ、ケーブル142が取り付けられたPCB140の上方および下方斜視図である。図示のように、要素168は、PCBの外側におけるPCB上の電子回路の構成要素を表し、要素170は、内側におけるPCB上の電子回路の構成要素を表す。また、PCB140上のPCBコネクタ166およびケーブル142上のケーブルプラグ172も示されている。さまざまな実施形態では、感知回路の構成要素は、センサー支持体の片側または両側にあってもよい。
【0026】
センサーユニットの異なる実施形態では、PCBは、例えば、温度を測定(および/または熱を供給)するために使用することができる、流体と接触しているサーミスタ、pHセンサー、圧力センサー、さまざまなタイプの流量センサーの1つ、流体中のさまざまな化学物質または物質の濃度を検出および/または測定するためのセンサー、ならびにさまざまな液体または気体の存在および/または濃度やタイプを検出するためのセンサーなど、さまざまなタイプのセンサー要素170を含み得ることに留意されたい。任意のセンサータイプのこれらのセンサーの1つ以上をPCB上の回路に追加して、流体の特性を測定することができる。
【0027】
センサーユニットの他の実施形態では、測定される流体の特性およびセンサーのタイプに応じて、PCBは、任意の材料、例えば、金属、セラミック、またはプラスチック板のセンサー支持基板で置き換えることができる。いくつかの実施形態では、センサー支持体は、本明細書に記載されているような平坦な長方形の形状を有さなくてもよく、他の2次元または3次元の形状を有していてもよい。例えば、センサー支持体は、フローチャンバに対してアーチ型の天井部を形成することができる。センサーは、本明細書の図に示すようにセンサー支持体の表面に隣接して取り付ける必要はなく、センサー支持体の下部から流体に直角に(または任意の角度で)突出するプローブに取り付けることができる。センサーユニットの実施形態では、いくつかのセンサーをプローブに取り付けて、センサー支持体から異なる距離で流体の同じまたは異なる特性を測定することができる。いくつかの実施形態では、センサーは、PCBの内側または外側、あるいはその両方に構成要素を含むことができる。1つ以上のセンサーはまた、センサー支持体の表面と同一平面にあるように配置されてもよく、またはその中に埋め込まれてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、感知回路は、有線または無線のいずれかの通信手段を備えることができる。いくつかの実施形態では、データは、例えば、後で検索するために、センサーユニット内に格納されていてもよい。
【0029】
図7は、
図4と同様に、近位方向から見た本体部130の横断面図であり、PCB140が、測定が行われる流路156のU字形部分を形成する棚162上の所定の位置にある。この図から、PCB140の下部を棚162に直接接触させて配置し、かつPCBの下部を流路の上部として使用することで、内部センサー構成要素170が正確に同じ深さで流体に挿入されることが保証され、一貫した正確な測定値がもたらされる。いくつかの実装態様では、これは、測定が行われるときに、流路156のU字形部分が流れる液体または特定の圧力のガスで満たされることを必要とする場合がある。これは、例えば、本体部130の下流の流体管内の逆止弁を使用することによって実現することができる。測定が行われる流路のU字形の側面および一部分の平坦な上部により、流れに渦やその他の乱れを発生させることなく、センサーと流れる流体との接触が最大化される。
【0030】
ガスケット144(
図9を参照)は、ガスケットがPCB140と棚162との間に配置される従来の手法の代わりに、PCB140の上部に配置される。ガスケットはPCBの上部に配置され、ガスケットがPCBの下(すなわち、PCB140と棚162の間)にあった場合には実現できなかった液体への要素170の再現可能な挿入を可能にする。ガスケットがPCBと棚との間の従来の配置であった場合、ガスケットの可変圧縮率は、導管に対するセンサーの位置に影響を与えたであろう。センサー支持体を棚に直接配置することで、この変動性が回避される。したがって、棚は基準平面を形成し、それに対してセンサー位置を正確かつ再現可能に設定することができる。
【0031】
ガスケットに好適な材料を選択すると、最適なシール特性が得る上で有用である。
図9に関して考察されるように、クランプ146が適用されると、かけられた圧力の(高すぎない)量と達成した変形の量(すなわち、エラストマーを表面に接触している状態に保つのに十分であるが、そのコンプライアンスを損なうほどではない量)との間でバランスをとることができる。それは、時間、温度、および例えば医療用途では、エチレンオキシド(ETO)、放射線または他の滅菌方法によって保持することができる一定の変形を達成するための力を最小限に抑える上で有用である。特定の実施形態では、好適な硬度計値および適切な圧縮特性(過度の力なしに圧縮を実現する)を有するシリコンゴムガスケットを使用することができる。また、ガスケットの厚さは、クランプ146が本体部130に取り付けられたときに、ガスケットが過度の力を必要とせずにわずかに圧縮されることで漏れを防ぐように選択されている。
【0032】
特定の実施形態では、接着剤の層を、シール面を作るガスケット144の側面に追加することができる。接着剤層は、組み立てプロセスのためにガスケットをPCB上の所定の位置に保持することができ、さらにシーリング表面のあらゆる欠陥を埋めることもできる。これらの態様は共に、PCB140と、凹部160の側壁164と、クランプ146との間の漏れのないシールを確保する。
【0033】
図8は、クランプ146の実施形態の斜視図である。クランプ146は、ケーブル142が通過してPCBに接続することができる開口178を有する上部173と、ケーブルガイド180と、クランプの上部173から垂直に延びる2つのスナップフィット脚部174とを含む。スナップフィット脚部174の各々は、その自由端部に、クランプ146を所定の位置にスナップ留めして確実に保持することを可能にするように構成されたラッチ構造176を有する。ラッチ構造176は、図示のようにくさび形の要素であってもよく、または他の形状を有していてもよい。
【0034】
図9は、ガスケット144およびクランプ146が所定の位置にある、
図7と同様の、近位方向から見た本体部130の横断面図である。この図に示すように、スナップフィット脚部174は、組み立てプロセス中に側壁160a上を通過するように変形し、かつラッチ構造176が係合する側壁160a下の棚状突起に到達すると所定の位置にスナップ留めされる。ラッチ構造176が係合すると、クランプ146は、PCB140に対してわずかに圧縮するガスケット144をしっかりと押し下げ、U字形流路156の上部を封止する。図示の実施形態では、ラッチ構造176は、例えば5度の背面傾斜を有し、スナップフィット脚部が経時的にまたは使用中にクランプ面から外れないように保つのに役立つ。
【0035】
特定の実施形態では、クランプ部材146は、経時的に、かつさまざまな温度変化および化学物質への暴露を通じてガスケットに対する圧縮を維持するのに十分な剛性を有する。特定の実施形態では、クランプは、塑性変形限界内に留まり、かつ所与の適用実施形態の温度、時間および化学物質暴露限界で弾性変形しないように設計されている。これらの要件は、電子センサーユニット100のPCBおよびケーブルを除く他のすべての構成要素にも適用される。特定の実施形態では、クランプは、ポリカーボネート材料から作ることができる。
【0036】
図10は、センサーユニットをプラスチックまたはゴム管に接続するためにセンサーユニット100に取り付けることができる先行技術の近位コネクタ部126を概略的に示す。近位端部126aは、均一な直径の内面と、いくつかの円周方向の棚状突起がその上に作成された先細の外面とを有する中空管である。本実施形態では、近位端部126aは、エラストマー管の遠位端部の内側に嵌合して内側をしっかりと把持するように寸法設定され、それによって近位コネクタ部126を管にしっかりと取り付ける。他の実施形態では、近位端部126aは、センサーユニットが取り付けられる導管のタイプに応じて、異なる構造を有していてもよい。本実施形態では、近位コネクタ部126の中央部分は、サンプルポート128を含む。
【0037】
特定の実施形態では、本体部130の近位端部152は、その外径がコネクタ部126の遠位端部126bに嵌合するように寸法設定された中空管である。近位端部126bの内径と遠位端部152の外径との間の接着剤を使用して、遠位コネクタ部126および本体部130をしっかりと保持する漏れ止め接続を作ることができる。
【0038】
図11は、センサーユニットを、流体がセンサーユニット100を通過した後に流れ続ける導管に接続するために、センサーユニット100に取り付けることができる補助遠位コネクタ部148を示す。図示の実施形態では、補助遠位コネクタ部148の近位端部148aは、本体部130の遠位端部154の内側に適合するように寸法設定された外径を有する円筒形の管である。
【0039】
遠位端部154の内径と近位端部148aの外径との間の接着層を使用して、遠位コネクタ部148および本体部130をしっかりと保持する漏れ止め接続を作ることができる。遠位コネクタ部148の遠位端部148bは、流体がセンサーユニット100を通過した後に流れ続ける導管に接続するように構成される。
【0040】
遠位端部148b上の遠位補助コネクタ部148の一部である側面182は、流体がセンサーユニット100を通過した後に流れ続ける導管にきっちりと嵌合し、導管をしっかりと把持するように形成され、補助遠位コネクタ部148と導管との漏れ止め接続を形成する。接着剤は、さらに漏れ止めを確実にする。本実施形態では、側面182の上部は曲線状にされて、ケーブル142が二重管の専用管腔に入るときに通る開口チャネル184の側面を形成する。チャネル184の側面は、二重管のケーブル管腔を把持するように構成される。
【0041】
センサーユニット100を通過した後に流体が流れ続ける導管の実施形態は、上述のように1つの管腔が遠位補助コネクタ部148の遠位端部148bに接続されている二重管を含む。ケーブル142は、第2の管腔を通過し、その近位端部は、開口チャネル184の側面によってしっかりと把持される。本実施形態は、例えばセンサーユニットが尿道カテーテルにおいてインラインで使用される場合など、多くの用途で有利である。この用途では、ケーブルを患者から離すように誘導するのに便利で、患者への快適性と看護師への利便性の向上を提供することを可能にする。
【0042】
いくつかの実施形態では、センサーユニットは、導管の一体構成要素として製造して、近位コネクタ部126または補助遠位コネクタ部148の一方または両方を不要にし得ることに留意されたい。
【0043】
図12は、センサーユニット100のカバー132の実施形態を示す。組み立て中、PCB140およびガスケット140が本体部130に挿入され、かつクランプ146によって所定の位置に保持され、ついでケーブル142がPCBに電気的に接続された後、カバー132を組み立てられた本体部130の上にスライドさせることができる。次に、カバー130の近位端部132aを、本体部130の近位壁152a上にスナップ留めし、カバー132の遠位端部132bを、本体部130の遠位壁154aにスナップ留めする。一実施形態では、ケーブルガイド158(
図3を参照)を覆うカバー132の遠位端部132bの前面上の開口部の内側に、ケーブルガイド158内のケーブルを押し下げて張力逃しを提供するタブ(図示せず)があり、ケーブルが引っ張られてPCB140から接続解除されるのを防ぐ。
【0044】
電子センサーユニット100の実施形態の別の特徴は、PCB140上の回路を制御ユニットと電気的に接続するケーブル142の遠位端部におけるプラグである。本明細書に記載の実施形態では、プラグは、一般にレジスタードジャックコネクタとして知られるモジュラーコネクタである。本実施形態では、電気通信またはデータ機器を接続するために一般的に使用されるタイプの、一般にRJ45プラグとして知られる8P8Cモジュラーコネクタが使用される。
図13では、PCB186が図示されている。これは、RJ45コネクタの内部に完全にまたは少なくとも部分的に嵌合するように寸法設定されており、その存在は目立たなくなっている。RJ45を加えたPCBアセンブリ全体をオーバーモールドして、利便性が高く、かつ従来の外観のプラグを作成することができる。
【0045】
本明細書に記載の実施形態では、ケーブル142は、3本のワイヤとシールドとを含む。従来のRJ45プラグで行われるようにケーブル142内のワイヤの露出端部を直接ピンに圧着する代わりに、導体は、PCB186上の4つのパッド194に電気的に接続(例えば、はんだ付け)されている。PCB上の金属トレースは、例えば、導電性エポキシ接着剤を用いるはんだ付け、溶接、または接着によって、ピン188が電気的に接続されている導電性パッド190に電気を伝導する。これらのピンは、モジュラーコネクタ内のチャネルと適合するように配置および寸法設定されており、かつモジュラーコネクタに関連する通常のツールと技術を使用して、所定の位置にしっかりと圧着されている。このステップに続いて、アセンブリ全体をオーバーモールドして、完成した外観を提供することができる。
【0046】
PCB186はまた、本実施形態ではとりわけ、パッシブメモリ構成要素を含む電子回路196を備える。この回路は、本実施形態ではとりわけ、電子センサーユニット100の機種番号、製造日などを識別する製品情報と、センサーユニットの動作のさまざまな側面を管理するために使用し得る使用データとを含み、例えば蓄積されたデータおよび/または電子センサーユニット100を使用し得る時間を記憶および/または制御して、例えば性能低下を防止し、または良好な実施の準拠を実現する。他の実施形態は、センサーを動作させ、データを蓄積し、それに対して操作を実行し、他のシステムなどと通信するアクティブ構成要素を含み得る。他の実施形態では、他の数のワイヤがPCB186に接続されてもよい。このPCB設計は、あらゆる種類のモジュラーコネクタがケーブル上で使用され、かつ邪魔にならないインライン電子回路が所望されるあらゆる用途に適用することができる。
【0047】
センサーユニット100の寸法ならびに遠位および近位コネクタ部は、必要な変更を加えて、広範囲の用途のための任意のサイズの導管へのセンサーユニットの挿入または統合を可能にするように適応させることができる。例えば、上述のセンサーユニット100の近位コネクタ部は、寝たきりの患者の膀胱に挿入された留置尿道カテーテルに接続することができ、センサーユニット100の遠位コネクタ部は、採尿容器につながる管に接続することができる。この用途では、センサーユニット100を尿測定に使用することができる。食品製造では、センサーユニットを使用してセンサーをさまざまな深さに配置し、すべてが同じ読み取り値を示すかどうかを確認することにより、液体成分が完全に均質化されていることを確認することができる。自動車の排気ガスについては、パイプセンサーユニットを配置して、ガスの排出レベルや他の特性を確認することができる。液体が流れる固定方向の開いた導管(または液体が導管を完全に満たさない可能性がある閉じた導管)では、センサーユニットを床部のセンサー支持体に取り付けるか、および/または内部を流れる液体内に突出して、さまざまな深さで流体の存在または特性を測定することができる。そのような用途の他の例には、ワイン瓶詰め工場のワイン、キャンディー工場の溶融チョコレート、鋳造所の溶融鋼、押出用途の溶融プラスチック、灌漑用水路または排水溝の水などのパイプまたは導管が含まれる。
【0048】
電子センサーユニットの要素は、例えば、スナップフィット機能を用いて構成され、医療手順、調整、および修理のために必要に応じてセンサーの分解および再組み立てを可能にすることに留意されたい。
【0049】
本発明の実施形態を例証により説明してきたが、本発明は、特許請求の範囲の範囲を超えることなく、多くの変形、修正、および適合を用いて実施することができることが理解されよう。