(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】観客席または階段に対して画像を表示するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G09F 19/22 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
G09F19/22 D
G09F19/22 H
(21)【出願番号】P 2020556762
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 ES2019070443
(87)【国際公開番号】W WO2020002735
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-05-21
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520393819
【氏名又は名称】ステアメディア・べセエネ・エセ・エレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セルヒオ・グロス・エスパーニャ
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル・パルメロラ・フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ダビド・ボリス・ボハ・パストル
(72)【発明者】
【氏名】ヘスス・プリオ・バタージャ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・コト・バリオス
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/063266(WO,A1)
【文献】特開2010-039445(JP,A)
【文献】米国特許第04394714(US,A)
【文献】米国特許第05775016(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0192456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 19/00-27/00
G09F 9/30- 9/46
E04F 11/00-11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共の会場内の観客席または階段
(1001)に対して画像を表示するためのデバイス
(1100)であって、
中央制御要素(300)と、互い
に接続された電子画面のセット
(1110、201)と、前記電子画面
(1110、201)を既存の階段の蹴上
(2010)または既存の観客席の蹴上に固定するための手段とを備え、前記
中央制御要素(300)が、すべての前記電子画面
(1110、201)間で分配される広告モチーフを表示するための手段を有
し、
蹴上に配置されることが意図された各々の前記電子画面の各発光素子の信号処理・データ要素および電源要素は、前記電子画面の発光素子から離れてかつ画面とは無関係に、観客席もしくは階段に取り付けられた座席の下に配置されるかまたは階段の後ろに隠されるボックス(202)内に載置され、これにより前記蹴上に固定された電子画面の厚さを減少しており、
各電子画面は、観客席または階段に接続された透明要素と、観客席または階段と前記透明要素との間に配置された発光電子素子と、を備え、前記電子画面は封止されて、IP54とIP68との間のIP保護等級およびIK03とIK10との間のIK保護等級を有し、前記分離ボックスの各々は、前記中央制御要素に直列に接続されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記画面が、観客席の蹴上または階段の蹴上に固定されて配置される、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、観客席の踏面または階段の踏面を空きのままにしておく、請求項
2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記
中央制御要素(300)が、前記画面と分離して配置される、請求項1から
3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記透明要素が、階段または観客席にねじ止めされる、請求項
2から
4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記
中央制御要素(300)が、近隣の座席の状況と前記座席への入口および前記座席からの出口の指示との少なくとも一方、または他の安全情報についての情報を各画面上に表示するための命令を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記画面上に避難信号を示すように前記デバイスに変更させる警報信号を受信するための通信ポストを備えることを特徴とする、請求項
6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記画面の厚さが50mm未満であることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記画面の上部が、隣接する踏面と同一平面であり、踏面の延長部を形成することを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記画面の前記上部の上面が、滑り止め仕上げを有することを特徴とする、請求項
9に記載のデバイス。
【請求項11】
各分離ボックスが、冗長的に配置された2つの電源または電圧トランスを有する、請求項1から
10のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共の会場、より具体的にはスポーツ会場、たとえばフットボールスタジアム、多目的スポーツホール、または任意の他の建物の中の観客席または階段の使用を、好ましくは階段または観客席がそこで行われるイベントを放送しているテレビカメラのフレームの中にある場合に可能にする、画像を表示するための新規の表示器デバイスに関する。
【0002】
本発明は、画像またはコマーシャルロゴの表示が最適化されることを可能にし、かつテレビカメラの合焦を考慮に入れることを可能にし、ロゴまたは画像を観客席または階段に最適に表示することを達成する。本発明によるデバイスは、既存の観客席または階段に、観客席または階段を修正することなく配置され得る拡張機能として構成される。
【0003】
本発明では、「画像」および「ロゴ」という用語は、他の図形要素との組合せであるかまたは組合せでない、テキストの図形表現をも意味するものとして解釈されるべきである。
【背景技術】
【0004】
スポーツスタジアムの広告部門では、アナモフィック技法としても知られている様々な画像変形技法が、広く知られている。アナモフィック技法は、示されるべき画像またはロゴを変形し、所望の特性を有する視点(本出願では「消失点」と呼ばれる)から画像が見られることを可能にする。上記特性は、たとえば、遠近法による変形なしにロゴまたは画像を観察すること、または広告デバイスが水平に置かれてグランド上にあるにもかかわらず、上記画像またはロゴを垂直構成で見ることであり得る。上記デバイスは、通常、プレイのフィールドを区分するラインの外側、またはプレイのフィールドの内側のスポーツピッチのグランド上に配置され、グランド上に置かれた単一の層状要素(粘着性ビニール、塗装した層、フラット画面など)を備える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、観察者に対して最適な視覚効果を有する階段および観客席の使用を可能にする技法を開示することである。
【0006】
具体的には、本発明は、広範囲の可能な実施形態を有し、特定のアプリケーションの必要性に従って、アナモフィック画像変形技法と組み合わされてもされなくてもよい。
【0007】
より具体的には、本発明は、公共の会場内の観客席または階段に対して画像、好ましくは広告画像を表示するためのデバイスを開示し、そのデバイスは、コントローラと、互いに近接して配置される電子画面のセットと、階段の蹴上または観客席の蹴上に対して電子画面を固定するための手段とを備え、コントローラは、すべての電子画面間で分配される広告モチーフを表示するための手段を有する。
【0008】
本発明は、観客席または階段の蹴上を使用し、それらに電子画面を配置する。電子画面は、単一の画面として働くことができるように互いに接続され、したがって、コントローラは、すべての電子画面間で分配された単一の広告モチーフを示すことができる。コントローラは、広告モチーフをアナモフィックに変形する手段を有し得る。
【0009】
本発明は、階段または観客席の踏面を画面がない状態にしておく利点を有する。したがって、デバイスは、公共の会場内で公衆が歩くエリアをふさぐ可能性はない。
【0010】
スポーツスタジアムの観客席および/または階段にこのタイプのデバイスを設置することには、踏み段を修正することができないので、付加的な問題がある。通常、観客席は、コンクリートで作られている。したがって、階段の踏み段の下の空間を使用することはできない。したがって、蹴上に要素を置くことで、踏面上の利用可能な空間が低減され、蹴上のみかけの表面の配置に変化が生じ、そのことで、デバイスの配置は、構造上の理由から実現不可能な状態になることがある。
【0011】
この問題に対する解決策を提供して、既存の物理空間を最良の可能な方法で使用しながら、設計、構築および安全規則および法規を満足することを可能にすることも、本発明の目的である。
【0012】
それに応じて、本発明は上述のタイプのデバイスを開示し、そこにおいて、蹴上に配置された電子画面のうちの少なくとも1つの信号処理・データ要素および電源要素が、画面から分離したボックスの中に置かれ、そのボックスは、画面と分離して、好ましくは画面が置かれている階段から離れて設置されることが意図されている。より好ましくは、デバイスは、分離ボックスを各画面に対してそれぞれ備える。加えて、好ましくは、各分離ボックスは、観客席または階段に取り付けられた座席の下に位置する。特別な例では、たとえば、観客席および/または階段が移動可能であり、それらの後部が利用できる場合、少なくとも1つの分離ボックスまたは複数のボックスが、階段または観客席の後ろに隠されて位置することができる。
【0013】
本発明は、蹴上に固定される画面の厚さ(または深さ)を低減して、上記で説明した欠点を最小化することを可能にする。最後に、本発明は、蹴上の寸法にカスタマイズされたカップリングを作成し、構築比率を設計法規によって規定された制限内に保つ背景を達成するように、画像(図形、写真またはビデオ)が生成される電子要素の寸法を調整することを可能にする。この効果は、上記要素を含む「分離ボックス」の中に上記要素を組み込むことによって、上記システムの信号(写真、ビデオまたは図形)データ処理要素と電源要素とを分離することが可能であることによって達成される。
【0014】
分離ボックスは、処理要素(データおよび電源)を含み、IPおよびIKの保護のレベルを保証し、その結果、要素の直接的保護および人の間接的保護を保証するように設計され得る。画面および分離ボックスの保護等級は、好ましくは、IP54とIP68との間およびIK03とIK10との間で変化し得る。本発明に関連する追加の利点は、分離ボックスに対する機械的要件および耐候性要件を、画面に対する要件と比較して緩和することを可能にすることである。したがって、たとえば、分離ボックスは、好ましくは、IP65およびIK07以上の保護等級を有し得る一方で、画面は、法規のもとで現在想定される最大であるIP68およびIK10の保護等級を有し得る。画面は、外郭構造またはその外面の保護と比較して、天候に対する追加の保護有し得る。具体的には、画面は、樹脂またはシリコーンのバリアを有し得る。樹脂またはシリコーンのバリアは、好ましくは、IP65以上の保護等級を有し得る。
【0015】
電子画面は、好ましくは、互いに直列接続され、より好ましくは、少なくとも1本のデータケーブルおよび電力ケーブルによって直列接続される。両ケーブルは、単一のマルチケーブル内に組み込まれてもよい。
【0016】
好ましくは、コントローラは、画面と分離して、好ましくは、画面がその上に配置される階段または観客席から離れて配置される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、スポーツ会場における観客に対して耐性があり、観客に不都合を生じないデバイスの特定の形態が開示される。
【0018】
好ましくは、各画面は、観客席または階段に接続された透明要素と、観客席または階段と透明要素との間に配置された発光電子素子とを備え、そのユニットは封止される。好ましくは、ユニットは、アンチバンダル特性を用いて設計される。その結果、画面は、好ましくは、画面の内部にアクセスするために作動し得るカバーを有しない。
【0019】
随意の製作では、透明要素と観客席または階段との間に残る任意の自由空間は、樹脂またはシリコーンで充填される。
【0020】
好ましくは、画面は、任意の固定方法によって踏み段にねじ止めされるか、接着されるか、または固定具で止められる(anchored)。本発明の一態様によれば、画面の上部は、階段の踏面の延長部として配置される。その結果、好ましくは、画面の上部は、隣接する踏面と同一平面に設置され、踏面の延長部を形成する。
【0021】
好ましくは、画面の上部の上面は、滑り止め仕上げである。好ましくは、上記表面の滑動抵抗(Rd)は、乾燥と湿潤の両方で4Tより大きく、言い換えれば、スペイン法規UNE-ENU 12600:2003滑動抵抗Rdによるカテゴリー3は、スペイン法規UNE-ENU 16233:2003に基づいて振り子試験によって測定される。
【0022】
また、好ましくは、透明要素は、発光素子のためにUV光保護フィルタを備え、それは、内部素子および/または光拡散仕上げの寿命を延ばし、それによって、発光された広告モチーフのユーザによる認知が改善される。
【0023】
発光素子または画面は、好ましくは、LEDのLCD画面であってよい。画面はまた、たとえば、グラフェン画面など、別のタイプであってもよい。
【0024】
本発明によれば、画面は、できるだけ薄い方が有利である。好ましくは、画面は、100mmより薄い厚さを有する。より好ましくは、画面は、50mmより薄い厚さを有する。本発明の手段によって、厚さを約10mmまで低減することが可能である。
【0025】
特に好ましい方法では、透明要素は、広告モチーフで浮き彫りにされる。これは、カメラによってまたは遠く離れた観客によって気付かれないが、画面の近くに位置するスポーツ会場内の観客によって気付かれる、追加の固定の広告要素が含まれることを可能にする。
【0026】
本発明の配置における電子デバイスの使用は、カメラから見られる広告を表示する機能以外の機能のためにデバイスを使用することができる利点を提供する。たとえば、コントローラは、好ましくは、近隣の座席の状況、および/または座席への入口および座席からの出口の指示についての情報を各画面上に表示するための命令を含む。本発明によるデバイスは、緊急時の避難経路を示すために使用され得る。すなわち、デバイスは、避難事態において退出経路を示し得る。現在のところ、出願者は、上記を行うことができるデバイスの存在について知らない。本発明によるデバイスは、スポーツスタジアムにおける避難情報の必須部分さえも形成し得る。そのような場所では、屋根および壁がないことで、避難の流れを示すボードの配置は極めて困難になる。デバイスは、緊急事態がある場合、広告コンテンツの発光を中断して避難情報モードに切り替える通信ポスト(たとえば、RJ45 タイプコネクタ)を設けられ得る。
【0027】
好ましくは、システムは、電力遮断事態において当該システムが機能を継続することを可能にする、UPS(無停電電源)有し得る。
【0028】
デバイスは、避難信号を発するための命令および/または画像を記憶している場合がある。各分離ボックスは、対応する画像を記憶するメモリを備え得る。当該メモリは、分離ボックスの中にすでに存在する要素の動作しているメモリであり得る。これは、デバイスが、デバイスとの通信が遮断された場合に、避難信号を発することができることを意味する。無停電電源があるならば、これは、デバイスが位置するスポーツスタジアム内で電源が失われた場合でも、信号が発せられることを可能にする。
【0029】
一態様によれば、本発明は、(遠く離れた観察者が明確にみることができる)垂直の階段を使用して、容認できる効果を達成することに基づく。
【0030】
分離ボックスは、ワイヤレス通信によってまたはケーブルによって制御されるカードを備え得る。好ましくは、当該カードは、必要な場合に、利用可能な画像パラメータのすべてが個々に制御されることを可能にし得る。
【0031】
好ましい実施形態では、デバイスは、各画面に対する分離ボックスを備える。この実施形態は冗長制御を提供し、それによって、分離ボックスが故障した場合、別の分離ボックスが、故障した分離ボックスに対応する画面の制御を引き継ぐ。
【0032】
好ましくは、安全上の理由のために、分離ボックスまたは制御ボックスは、故障を避けるために、ビデオ制御のためおよび/またはエネルギー制御のための冗長システムを有する。したがって、好ましくは、各分離ボックスは、2つの電源および/または2つの画像受信カードを備え得る。また、好ましくは、分離ボックスと画面との間の接続は、エンドツーエンドである。さらにより好ましくは、分離ボックスは、互いに接続される。よりいっそう好ましくは、各分離ボックスは、単一の画面に対して直接に接続される。画面の電子素子および/または分離ボックスの要素の作動電圧に対する供給電圧を低くする電力トランスも、電源であるものと見なされ得る。特に好ましい実施形態では、各分離ボックスは、2つの電源と1つの画像受信カードを備え、各カードは、デバイスの画面の一部または全部のセットを制御する能力を有し、カードのうちの1つが故障した場合、そのように制御することができるように構成される。
【0033】
本発明は、特に、スポーツ会場およびスタジアムに適用可能であるが、必ずしもこの用途に限定されるとは限らない。
【0034】
本発明の好ましい使用のために、画面の発光電力は、200cd/m2と7000cd/m2との間であってよい。より好ましくは、それは、3000cd/m2と7000cd/m2との間である。さらにより好ましくは、それは、4000cd/m2と6000cd/m2との間である。いずれにしても、デバイスは、特にスポーツ送信に対して最適な効果を与えるために、周囲条件に対してその明度を動的に調整するための手段を有する。
【0035】
本発明は、観客席または階段の踏み段に設置された、本発明によるデバイスを有する観客席または階段ユニットも開示する。
【0036】
より良い理解のために、添付の図は、本発明の実施形態を、注釈的であるが非限定的な例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】第1の実施形態の例において画面を構成する要素を示す詳細の断面の部分的側面図である。
【
図3】
図1または
図2の区分のいずれかで開始して表されるべきロゴまたは画像の変形の一例の斜視図である。
【
図4】スポーツスタジアムの観客席に設置された、本発明によるデバイスの第2の実施形態の斜視図である。
【
図5】デバイスを構成する2つの別々の要素を見ることができる、前の図のデバイスと同様の本発明によるデバイスの一部の平面図である。
【
図8】本発明によるデバイスの別の例に関連する部分のセットを示す図である。
【
図9】本発明によるデバイスの接続の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1~
図3は、観客席または階段に配置された、本発明によるデバイス-1100-を示す。デバイスは、電力ケーブルおよびデータケーブルを含むマルチケーブル-1120-によって直列に接続された一連の電子画面-1110-を備える。他の配置(並列の配置、バッテリ駆動画面、ワイヤレスデータ通信)も可能である。
【0039】
直列配線は、ケーブルおよび空間を節約する。
【0040】
電子画面は、階段の蹴上-2010-に置かれ、踏面-2020-は空きのままである。図示の例では、電子画面-1110-は、各踏み段の踏面-2020-上の既存の突き出たレッジ-2030-の下に配置される。
【0041】
各電子画面-1110-は、たとえば、階段内に穿孔されたねじスタッド-1150-を使用して蹴上-2010-から特定の距離において固定された透明要素-1140-、たとえばメタクリル樹脂ボードで構成される。透明要素-1140-と蹴上-2010-との間の空間は、発光素子-1130-、たとえばLED画面によって占有される。空きのままである空間は、充填要素、たとえば樹脂またはシリコーンによって占有されてよい。
【0042】
電子画面ユニット-1110-は、電子素子を水から保護するために封止される。
【0043】
図1~
図3に示す実施形態では、各発光素子-1130-は、残りの発光素子とは無関係に、それ自体の電子機器を有する。
【0044】
透明要素-1140-は、UV保護および/または光拡散仕上げを有し得る。これは、透明要素-1140-が発光素子-1130-の寿命を保護するという理由ばかりでなく、それが特定の発光点(LED)を拡散して、発光されるロゴの認知が改善されるという理由で有利である。
【0045】
図に示されていないが、透明要素は、広告モチーフによって浮彫にされ得る。このモチーフは、画面に近い観客メンバーによってのみ検出され得、遠く離れた観客メンバーによっては検出されず、彼らは、電子画面-1110-によって発光された広告モチーフのみを見ることができる。
【0046】
図では、コントローラ、たとえば、残りのデバイスから離れて配置され、ケーブルでまたはワイヤレスに接続され得る制御コンピュータは、示されていない。コントローラは、様々なデバイス-1100-を互いに同期させ、発光されたモチーフをテレビ放送と同期させ、インターネットなどを介して更新することができる。
【0047】
図3では、
図1および
図2のデバイス-1100-は、スポーツ会場内の観客席-1000-の階段に適用されるように示されている。画面-1110-のセットは、広告モチーフ-900-(この場合は文字K)を発光しており、広告モチーフ-900-は、必要ならば、たとえばマスター送信カメラまたは他のタイプのカメラなど、特定の視点から見られるようにアナモフィックに変形され得る。会場が避難すべき状態にある場合、画面-1110-はまた、行番号など、観客席ならびに入口および出口の流れに関する情報ばかりでなく、安全情報、たとえばたどるべき経路を示す矢印も示すために使用され得ることが図からわかる。
【0048】
図4~
図9は、観客席または階段-1001-に配置された、本発明によるデバイスの別の実施形態を示す。デバイスは、この場合は互いに直接的に接続されていない一連の電子画面-201-(この場合はLED画面)を備える。各画面は、階段に固定するためにスタッドを受けるための開口を有する耳206を有する。
【0049】
電子画面は、階段の蹴上に置かれ、踏面は空きのままである(しかし、踏面を占有することは可能である)。図示の場合、電子画面-201-は、画面が階段の踏面と同一平面になるように配置される。滑り止めシール(non-slip strip)が、階段の踏面と同一平面の上部に置かれてよい。
【0050】
別の実施形態(図示せず)では、電子画面は、各踏み段の踏面上の突き出たレッジの下に配置され得る。
【0051】
図示の例の中の電子画面はいずれも、信号処理・データ要素および電源ネットワーク要素を持たず、それらの要素は、画面とは無関係に分離ボックス-202-内に位置し、分離ボックスは、この場合は隣接する座席-1002-の下に配置される。例の中の画面は、LEDを含むボックスを備える。
【0052】
図示の例では、画面および分離ボックス(制御ボックスとしても知られている)は、ケーブル-204-、-205-のペアによって接続される。一般に、電源と画面の発光素子(たとえば、各個々のLED)に対するコマンドに相当する信号の両方は、分離ボックスから画面に送信されなければならない。これは、別々のケーブルによって、または単一のケーブルによって行われ得る。
図8では、また、分離ボックスの間の可能な接続が、ケーブルの数を指定することなく図示されている。分離ボックスのセットは、単一の中央コントローラ(図示せず)に接続され得る。接続、特に制御接続もまた、ワイヤレスであり得る。
【0053】
本発明は、発光素子(画面)が、画像処理および電力要素(分離ボックス)から分離され、そのことが、階段内に既に存在する物理空間へのより良い適合を可能にし、設計、構築、および安全規則および法規に適合することをより容易にする解決策を開示する。それはまた、観客席、階段、および場合によっては座席の中にすでに存在する物理空間への適合を容易にする。これは、解決策が実行されるべき空間の寸法(幅、高さ、深さ)の最小限の可能な修正によって達成される。
【0054】
分離ボックスの存在は、処理要素が信号(ビデオ、写真、または図形)再生要素から離れているときでも、画像品質における電子安定性を保証するのを助ける。その結果、電力信号およびデータは、好ましくは、両信号を組み込む単一のタイプのケーブルを通して送られる。
【0055】
分離ボックスから制御される要素は、たとえば、以下の項目を含み得る。
-輝度
-コントラスト
-画像リフレッシュレート
-グレースケール
-クロックレート
【0056】
電子画面ユニットは、水から電子素子を保護するために封止され、好ましくは、電子画面ユニットの階段としての使用を機械的に支持すべきである。分離ボックスの物理的要件および封止の要件は、より低いものであり得る。
【0057】
ビデオ処理および電源ユニットならびに画像が再生されるユニットは別々に働くので、両ユニットの要素に対してIPおよびIKの保護等級を策定して適用することは可能であり、そのことで、システムとの可能な直接的または間接的接触に対して、当該の要素の直接的保護と人または公衆の間接的保護が保証される。
【0058】
したがって、たとえば、電子ボックスまたは分離ボックスは、IP65保護等級(耐塵性および水流に対する保護)およびIK07保護等級(200mmからの0.5kgの物体の衝撃を支える)有し得る一方で、表示システムまたは画面は、IP68保護等級(耐塵性および長時間浸水への耐性)およびIK10保護等級(200mmからの5kgの物体の衝撃を支えることが可能)を有し得る。
【0059】
図9は、中央制御要素-300-(
図1~
図5に示さず)と分離ボックス-202-、-202’-または電力ボックスとの間の接続図を示す。この場合、電力供給および制御信号は、異なるケーブルを使用する。異なる分離ボックスが直列に接続されていることもわかる。並列接続も可能である。分離ボックスの画面への接続は、
図9に示されていない。画面の各々は、表示されるべき画像-301-の一部を示す。画像の分割は、知られている技法を使用して実施され得る。表示されるべき画像部分の、各画面の発光素子に対する特定のコマンドへの変換は、各対応する分離ボックス内で実施され得る。
【0060】
本発明は、画像および動画がすべての画面にわたって再生され、分配されるのを可能にする。好ましくは、特定の位置から階段の踏面によって占められる視覚空間に、表示が相当する画面部分の再生を、制御がキャンセルしてよい。
【0061】
各分離ボックスまたは制御ボックスは、必要に応じてホットスワップするために、冗長的に配置された2つの電源(PSU)と2つの画像受信カードとを内部に有し得る。加えて、電子機器と踏み段との間の接続は、エンドツーエンドであり得る。その目的は、踏み段が機能を停止した場合、残りの構成要素がその機能を行うことを継続することである。制御ボックス(分離ボックス)は互いに接続され、各制御ボックスは、踏み段に対応する画面に直接接続される。
【0062】
すでに説明したように、表されるべき画像を形成する要素を示す画面のすべてが、必ずしも蹴上に配置される必要があるとは限らない。上記要素はまた、踏面上に配置されてよく、またはたとえば、上り階段の中央に位置して、画像のために必要な表面と干渉するバリア上に配置されてもよい。画面をバリアまたは表面に置くことによって、バリアは、表されるべき画像-301-と一緒に組み込まれる。
【0063】
すべての踏み段は、例の中で同じ高さを有するように示されているが、本発明は、異なる高さの踏み段に適用されてもよい。それに応じて、好ましくは、各画面から発光されるピクセルの寸法および数は変化し得る。特定の場合には、対応する踏み段より高い画面を使用することさえ可能である。この場合、たとえば、画面の一部を隣接する踏面の中に埋め込んで、制御を使用して埋め込まれたまたは隠されたピクセルを除外して、それによってピクセルが発光しないようにすることが可能である。しかしながら、各画面要素の高さは、対応する蹴上の高さ以下であることが好ましい。
【0064】
本発明は、広告のポストプロダクション挿入を可能にする、仮想広告技法と互換性がある。その結果、画面は、放送が伝えられるときに仮想広告が組み込まれるべきエリアを示すために、現在の広告システム(たとえば、赤外LEDを組み込むことなど)を使用して仮想化を容易にするために必要な技術を組み込み得る。
【0065】
示される実施形態の種々の特性は、互いに組み合わされてよい。
【0066】
本発明は、その実施形態を参照しながら提示され、説明されたが、上記実施形態は本発明を制限するものではなく、本明細書、特許請求の範囲、および図面の中で開示される主題を解釈した後に当業者には明確になり得る多くの構造的または他の詳細は、変わることがあることが理解されよう。したがって、すべての変形形態および等価形態は、その変形形態および等価形態が以下の特許請求の範囲の最も広い範囲内に入ると見なされ得るならば、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
201 一連の電子画面
201’ 一連の電子画面
202 分離ボックス
202’ 分離ボックス
204 ケーブルのペア
205 ケーブルのペア
206 耳
300 中央制御要素
301 画像
900 広告モチーフ
1000 観客席
1001 階段
1002 座席
1100 デバイス
1110 電子画面
1120 マルチケーブル
1130 発光素子
1140 透明要素
1150 ねじスタッド
1160 (電子画面の)背面部材-(
図2からの推測です)
2010 蹴上
2020 踏面
2030 レッジ