(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】患者の皮膚上にカニューレのための挿入部位を準備する方法、そのための皮膚カバーユニット及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/42 20060101AFI20230616BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A61M5/42 520
A61M5/32 530
(21)【出願番号】P 2020562826
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(86)【国際出願番号】 DK2019050032
(87)【国際公開番号】W WO2019145009
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-20
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】520276660
【氏名又は名称】ユーエス エノヴァコー アンパルツセルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ベントセン トーマス フィヒトナー
(72)【発明者】
【氏名】スロート エリック
(72)【発明者】
【氏名】クヌーセン ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ブシャルター ニール ジョセフ
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-507181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/42
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚を通してカニューレ又は他の穿刺器具(23)を挿入するときに使用する外科用皮膚カバーユニット(1)であって、
皮膚カバーユニット(1)は、窓(2)及び壁(3)を備え、前記壁(3)は、前記窓(2)の拡張部分に設けられ、前記窓(2)に対して角度のある方向になるように、屈曲領域を曲げるための屈曲領域(4)によって前記窓(2)に接続され、
前記窓(2)は、前記窓(2)を前記患者の皮膚(8)に接着するために、前記窓(2)の第1の側に接着剤層(7)を含み、
前記窓(2)は、前記窓(2)の前記第1の側の反対側である前記窓(2)の第2の側から可撓性シートを通して前記患者を超音波検査するための超音波透過可撓性シート(6)を備え、
前記可撓性シート(6)に加えて前記皮膚カバーユニット(1)は、スタビライザー(9)を備え、前記スタビライザー(9)は、前記屈曲領域(4)内又は前記屈曲領域(4)に設けられ、前記スタビライザー(9)の安定化作用によって前記壁(3)と前記窓(2)との間の前記角度のある方向を維持するように構成され、
前記スタビライザー(9)は、前記壁(3)に固定されている第1のスタビライザー部(11A、21A)と、前記第1のスタビライザー部(11A、21A)の拡張部分で、前記第1のスタビライザー部(11A、21A)に対して曲げ可能であり、前記窓(2)に固定されている第2のスタビライザー部(11A、21A)と、を含む屈曲可能なシートである、
ことを特徴とする外科用皮膚カバーユニット。
【請求項2】
前記スタビライザー(9)は、非弾性的に曲げ可能であり、前記窓(2)に対する前記壁(3)の選択された方向を維持するために、曲げられたときに選択可能な曲げ条件を採用して維持するように構成されている、請求項1に記載の外科用皮膚カバーユニット。
【請求項3】
前記窓(2)は、安定化フレーム(5)を備え、前記可撓性シート(6)は、このフレーム(5)内に設けられ、前記フレーム(5)に取り付けられている、請求項1又は2に記載の外科用皮膚カバーユニット。
【請求項4】
前記第1のスタビライザー部(11A、21A)は、前記壁(3)に固定され、前記第2のスタビライザー部(11B、21B)は、前記壁(3)の2つの対向する各端部(15A、15B)に部分(11B´)を備え、この2つの部分(11B´)は、前記窓(2)の前記フレーム(5)の2つの対向する部分(5A、5B)に固定されている、請求項3に記載の外科用皮膚カバーユニット。
【請求項5】
前記壁(3)は、前記壁(3)の端部から前記窓(2)に向かって延びる溝(16)を備え、
前記壁(3)は、前記壁(3)を患者の皮膚(8)に接着するための接着剤(17)を備えて前記壁(3)が患者の皮膚(8)に接着されている間に前記溝(16)の内側にカニューレ又は他の穿刺装置を配置するための第1の壁側(3A)を含み、
前記壁(3)が前記窓(2)に対して曲がった方向にある間、付着部位(20)に隣接した直立壁(3)として前記壁(3)の使用中に前記第1の壁側(3A)の接着剤(17)上の壁カバーシート(18)を保持するために前記第1の壁側(3A)の前記接着剤(17)が壁カバーシート(18)によって覆われ、前記壁カバーシート(18)が前記接着剤(17)から選択的に取り外され、前記カニューレ又は他の穿刺器具が皮膚(8)に挿入されている間にカニューレ又は他の穿刺器具を溝(16)内に配置するため前記壁(3)を前記患者の皮膚(8)に接着する、請求項1から4の何れか1項に記載の外科用皮膚カバーユニット。
【請求項6】
前記皮膚カバーは、ゲル除去ストリップ(22)の除去によって潜在的なゲル(14)を前記第2の側からも除去するために、前記窓(2)の前記第2の側で前記可撓性シート(6)を覆うゲル除去ストリップ(22)を備え、
ゲル除去ストリップ(22)は、前記可撓性シート(6)から前記ゲル除去ストリップ(22)を手動で除去することにより前記スタビライザー(9)も除去するために、前記スタビライザー(9)の少なくとも一部の下に延びている、請求項1から5の何れか1項に記載の外科用皮膚カバーユニット。
【請求項7】
患者の皮膚(8)上のカニューレ又は他の穿刺器具(23)の挿入部位を準備する方法であって、この方法は、窓(2)及び壁(3)を備えるタイプの皮膚カバーユニット(1)を準備するステップを備え、
前記壁(3)は、前記窓(2)の拡張部分に設けられ、前記窓(2)に対して角度のある方向になるように屈曲領域を曲げるために、屈曲領域(4)によって前記窓(2)に接続され、
前記窓(2)は、前記窓(2)を患者の皮膚(8)上に接着するために、前記窓(2)の第1の側に接着剤層(7)を含み、
前記窓(2)は、可撓性シートを通して患者の超音波検査のための超音波透過可撓性シート(6)を備え、
前記方法は、前記窓(2)に対して45度~135度の範囲の角度に、前記壁の前記角度のある方向を変えるための前記屈曲領域(4)を曲げるステップを含み、
前記可撓性シート(6)に加えて前記皮膚カバーユニット(1)は、スタビライザー(9)を備え、
前記スタビライザー(9)は、前記屈曲領域(4)内又は前記屈曲領域(4)に設けられ、前記スタビライザー(9)の安定化作用によって前記壁(3)と前記窓(2)との間の前記角度のある方向を維持するように構成され、
前記方法は、前記壁(3)が挿入部位(20)を前記窓(2)から分離するために、前記窓(2)に対する前記壁(3)の前記角度のある方向を前記スタビライザー(9)によって維持するステップを含み、
前記スタビライザー(9)は、前記壁(3)又は前記窓(2)の一方に固定された第1のスタビライザー部(11A、21A)と、前記第1のスタビライザー部(11A、21A)の拡張部分で、前記第1のスタビライザー部(11A、21A)に対して曲げることができる第2のスタビライザー部(11B、21B)とを備え、前記第2のスタビライザー部(11B、21B)は、前記壁(3)及び前記窓(2)の一方に固定され、前記方法は、前記屈曲領域(4)で前記窓(2)に対して前記壁(3)を前記壁(3)と前記窓(2)との間の角度のある方向に曲げるステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記スタビライザー(9)は、非弾性的に曲げることが可能であり、前記窓(2)に対する前記壁(3)の選択された方向を維持するために曲げられるときに、選択可能な曲げ条件が採用されて維持されるように構成され、前記方法は、前記選択された屈曲構成に前記スタビライザー(9)を非弾性的に曲げるステップと、前記スタビライザー(9)が前記屈曲構成を維持するステップと含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記窓(2)は、安定化フレーム(5)を備え、前記超音波透過可撓性シート(6)は、前記フレーム(5)内に設けられ、可撓性シート(6)は、このフレーム(5)に取り付けられて前記フレーム(5)によって支持される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のスタビライザー部(11A、21A)は、前記壁(3)に固定され、前記第2のスタビライザー部(11B、21B)は、前記壁(3)の2つの対向する各端部(15A、15B)に部分(11B´)を備え、前記方法は、この2つの部分(11B´)を前記窓(2)の前記フレームの2つの対向する部分(5A、5B)に固定するステップを含む、請求項8に従属する場合の請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記壁(3)は、前記壁(3)の端部から前記窓(2)に向かって延びる溝(16)を備え、
前記壁(3)は、前記壁(3)を前記患者の皮膚(8)に接着するための接着剤(17)を備え、前記壁(3)が前記患者の前記皮膚に接着されている間に前記カニューレ又は他の穿刺装置を前記溝(16)の内側に配置するための第1の壁側(3A)を備え、
前記第1の壁側(3A)の前記接着剤(17)は、壁カバーシート(18)によって覆われ、
前記方法は、前記壁(3)が前記窓(2)に対して曲がった方向にある間、付着部位(20)に隣接した直立壁(3)として前記壁(3)の使用中に前記第1の壁側(3A)の接着剤(17)上の壁カバーシート(18)を保持するステップと、前記壁カバーシート(18)が前記接着剤(17)から選択的に取り外されるステップと、前記カニューレ又は他の穿刺器具が前記皮膚(8)に挿入されている間に前記カニューレ又は他の穿刺器具を溝(16)内に配置するために前記壁(3)を前記患者の皮膚(8)に接着するステップと、を含む、請求項7から10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
外科用皮膚カバーユニットは、ゲル除去ストリップの除去によって前記第2の側から潜在的なゲル(14)を除去するために、前記窓(2)の第2の側で前記可撓性シート(6)を覆うゲル除去ストリップ(22)を備え、
前記ゲル除去ストリップ(22)は、前記スタビライザー(9)の少なくとも一部の下に延びて、前記方法は、前記ゲル除去ストリップ(22)を前記可撓性シート(6)から手動で除去し、除去作用によって前記スタビライザー(9)も除去するステップを含む、請求項7から11の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カニューレ、電極又はプローブなどの穿刺器具を人体、例えば静脈又は動脈に挿入するときに使用する超音波透過性外科用皮膚カバーユニットに関する。本発明は、特に、穿刺装置を用いた穿刺の正確な位置を視覚化するための超音波装置を含む手順に関する。
【背景技術】
【0002】
カニューレが体の一部、例えば腕や脚の血管に挿入されるときに、超音波視覚化を使用して血管及びカニューレを視覚化することによって挿入が最適化される。
【0003】
米国特許第9393381号及び対応する米国特許出願第2013/0289404号は、この目的のための皮膚カバーユニットを開示している。皮膚カバーユニットは、ポリマーフィルムで作られた超音波透過窓を備え、穿刺部位に隣接する皮膚に接着され、カニューレの挿入中に穿刺部位を画像化するために超音波プローブが配置されている。典型的には、超音波プローブと窓のポリマーフィルムとの間のより良い接触のために、プローブとフィルムとの間にゲルが使用される。プローブを穿刺部位から適切に分離し、ゲルが穿刺部位に流れるのを防ぐために、窓の拡張部分に直立壁が設けられており、穿刺部位から窓を分離している。窓用のフィルムは比較的硬く、直立壁を窓に対して直立した位置にすることができる。選択的に、ユニットは、超音波可視化後に窓からゲルと共にゲル除去層を除去するために、窓の頂部にゲル除去層を備えている。
【0004】
米国特許出願第2013/0289404号に開示されている原理は理論的には健全に見えるが、実際には適切に機能しない。これは、壁を直立させるのに十分なほど硬いフィルムは、患者の皮膚に容易に密着しない傾向があり、超音波伝達が悪いためである。一方、フィルムが良好な皮膚接触と超音波透過のために十分に可撓性があることは、直立壁が直立位置で十分に安定化されないという傾向がある。実際には、この直立壁は、皮膚が壁に平行な方向に湾曲している腕と脚に皮膚カバーユニットが配置されている場合だけ構造的に安定していることが判明している。しかしながら、皮膚カバーユニットを平坦な肌の領域に使用する場合、直立壁はそれ自体では立っていないが、手動で所定の位置に保持する必要がある。この状況では皮膚カバーユニットが最適に機能しないため、これは欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9393381号
【文献】米国特許出願第2013/0289404号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、技術の改善、特に、例えば注射又は採血のために、皮膚の穿刺部位にカニューレ又は他の穿刺装置を挿入するときの超音波支援制御のための改善された皮膚カバーユニットを提供することである。この目的は、以下で詳細に説明されるように、外科用皮膚カバーユニット及びその使用により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
皮膚カバーユニットは、窓と、窓の拡張部分にある壁とを備え、壁を窓に対して角度のある向きに曲げるための屈曲領域によって窓に接続されている。 窓は、窓の超音波透過部、典型的には可撓性ポリマーフィルムを覆う超音波透過可撓性シートを備えている。
【0008】
選択的には、窓は、安定化フレームのみでなく可撓性フレームも備え、その中に可撓性シートが設けられている。可撓性シートはフレームに取り付けられ、フレームによって支持されている。例えば、フレームの材料は、可撓性シートよりも厚く、機械的に安定しており、剛性がある。安定化フレームは、皮膚と一緒に容易に曲がるために、超音波透過シートが薄く、可撓性を備え、良好な超音波伝送のために皮膚にしっかりと支えられ、このような安定化フレームは利点がある。
【0009】
窓の第1の側、例えばフレームの片側には、窓を患者の皮膚に接着するための接着剤層が設けられている。窓の反対側の第2の側は、カニューレを皮膚に挿入するときに、窓に隣接する挿入領域を視覚化するための超音波プローブと接触するように構成されている。
【0010】
典型的には、壁は、ポリマーフィルム、紙シート、又は化粧織物又はそれらの組み合わせで作られている。輸送の場合、典型的には、壁は窓の長手方向の拡張部分に設けられ、窓と壁はまっすぐな平坦な状態で詰め込まれる。別の例として、窓と壁が互いに折り畳まれて、使用のために展開する必要があるコンパクトな2重層の構成にされる。
【0011】
皮膚カバーユニットがパッケージから開梱されるとき、壁は、壁が皮膚に対して直立した向きになるように、窓に対して典型的には垂直又は略垂直な方向に折り畳まれる。この折り畳みは、窓を皮膚上に接着する前又は後に行われる。
【0012】
前述した米国特許第9393381号に対する改善として、カバーユニットは、超音波透過可撓性シートに加えて、スタビライザーの安定化作用によって壁と窓との間の角度がある方向、例えば垂直方向を維持するように構成されたスタビライザーを備えている。
【0013】
例えば、スタビライザーは窓の超音波透過部の外側に配置されている。選択的に、スタビライザー又はスタビライザーの一部は、窓の超音波透過部の周辺に沿って配置されている。これは、前述した米国特許出願第2013/0289404号とは対照的である。超音波透過フィルム自体は安定化に使用されるため硬くなければならない。これは、適切な超音波を皮膚に伝達するために、皮膚の外形に容易に追従するためフィルムは、滑らかで容易に可撓性があるべきであるため不都合である。
【0014】
例えば、フレームが窓の一部として提供される場合、フレームに対する壁の方向を安定させるために、フレーム及び壁にスタビライザーが設けられる。
【0015】
有利なことに、スタビライザーは、典型的には壁が窓に接続されている領域である屈曲領域内又はその領域に設けられる。例えば、スタビライザー自体が曲がることができるので、窓又は壁は、平面又は折り畳み構成から湾曲構成に、屈曲領域あたりで手動にて曲げることができ、この壁は窓に対してある角度で折り曲げられ、例えば、窓に対して垂直な角度に曲がった構成にすることができる。しかしながら、壁が窓に対して例えば垂直方向のような角度がある方向に相対的に曲げられると、スタビライザーは、壁と窓の間の角度がある方向を維持する。典型的には、屈曲領域あたりでの窓に対する壁の曲がりは、屈曲線に沿っている。
【0016】
例えば、スタビライザーは、非弾性的に曲げ可能であり、曲げられたときに選択可能な曲げ状態を採用して維持するように構成され、それによって窓に対する壁の選択された方向を維持する。非弾性スタビライザーが選択した曲げ構成に曲げられるとき、この曲げ構成が維持される。例えば、スタビライザーは、非弾性の曲げ特性を備えた金属ホイルを含んでいる。選択的に、スタビライザーは、非弾性的に曲げ可能なヒンジが提供され、例えば非弾性の曲げ可能なポリマーシート又は金属ホイルが曲げられたときに選択可能な曲げ条件を採用して維持し、それによって窓に対して壁の選択された方向を維持する。
【0017】
例えば、スタビライザーは、製造中に折り畳まれた2層の構成に曲げられ、窓が壁に接している折り畳まれた位置で供給される。その後、使用時に部分的にまっすぐになる。別の例として、スタビライザーは、製造中に曲げられず、非屈曲構成、典型的に直線構成で供給され、その後、使用のために曲げられる。
【0018】
幾つかの実施形態では、スタビライザーは、壁に固定される第1の部分を備える曲げ可能なシートとして提供される。曲げ可能なシートの第1の部分の拡張部分で、曲げ可能なシートは、壁が窓に対して曲げられると、曲げ可能なシートを窓の第2の側に接着するための接着剤層を備える第2の部を含んでいる。別の例として、曲げ可能なシートの第1の部分は、壁は窓に対して相対的に曲がっていると、使用時に皮膚とは反対側を向いている窓の第2の側に固定され、第2の部分は、壁に取り付けるための接着剤で構成される。
【0019】
典型的には、曲げ可能なシートは、最初から壁又は窓に固定された第1の部分のみを備え、前述のように、曲げた後に接着剤によって他の部分に手動で固定される。
【0020】
幾つかの実施形態では、第1のスタビライザー部は壁に固定され、第2のスタビライザー部は、窓のフレームにその部分を固定するために壁の端部で部分を備えている。例えば、第1のスタビライザー部は壁に固定され、第2のスタビライザー部は、壁の2つの対向する端部のそれぞれで部分を備え、方法は、2つの部分を窓のフレームの2つの対向する部分に固定するステップを含んでいる。
【0021】
他の実施形態では、スタビライザーは、窓と壁の両方に既に固定され、曲げた後の曲げ状態を維持する非弾性ヒンジとして機能する。
【0022】
幾つかの実施形態では、スタビライザーは、締結後、屈曲領域から離れた少なくとも2点間の距離を維持するように構成され、かくして、2点と屈曲領域との間に安定した三角形の構成を形成するように構成されている。例えば、スタビライザーは壁の第1の点とフレームの第2の点に固定され、どちらの点も屈曲領域から離れた距離にある。
【0023】
幾つかの実施形態では、壁は、壁の端部から窓に向かって延びる溝を備えている。幾つかの実施形態では、壁材料にスリットが設けられ、スリットの隣接した対向する2つの端部を押し離すことによって溝を設けることができる。別の例として、溝は、カニューレの挿入を容易にするために適切な幅を備えている。この場合、壁は、壁を患者の皮膚に接着する接着剤を備え、壁が患者の皮膚に接着されている間にカニューレを溝内に配置するための第1の壁側を備えている。第1の壁側の接着剤は、カバー層によって覆われている。以下でより詳細に説明するように、これにより、幾つかの使用時のオプションが提供される。
【0024】
例えば、カバー層は、壁が窓に対して相対的に曲げられている間、挿入部位に隣接する直立壁として使用される間に第1の壁側の接着剤上に保持される。選択的に、カバー層は、その後、接着後に溝内にカニューレを収容するために、カニューレの挿入後に患者の皮膚に接着された接着剤及び壁から取り除かれる。別の例として、壁の接着剤のカバー層は、窓の接着剤のカバー層と一緒に除去され、壁及び窓は、超音波検査前に患者の皮膚に接着される。
【0025】
幾つかの実施形態では、超音波透過可撓性シート、例えばポリマーフィルムは、可撓性シートから皮膚への超音波伝達のための良好な接触を提供する接着剤で皮膚に接着される。しかしながら、これは必須ではない。
【0026】
例えば、シートが薄いポリマーフィルムからなる場合、フィルム自体が皮膚に容易に付着し、接着剤が無くても皮膚の外形に追従することがある。原理は、キッチンラップフィルムの付着特性に似ている。しかしながら、そのような薄くて可撓性のあるフィルムの場合、安定化フレームは、安定化フレームがフィルムを保持するだけでなく壁も保持するために必要な安定性を与え、良好な皮膚接触のためにフィルムを十分に薄くできるという利点がある。
【0027】
超音波プローブと窓の可撓性シートとの間の良好な接触を提供するために、超音波流体、典型的にはゲルを使用することがしばしば有利である。このゲルは、超音波検査の前に超音波透過可撓性シートに適用され、その後に再び取り除かれる。例えば、超音波プローブの使用後にゲルが拭き取られる。別の例として、同様に超音波透過性であるゲル除去ストリップが、可撓性シート上に設けられ、窓の一部を形成する。その後、このゲル除去ストリップは、窓からゲルを拭き取ることを避けるように、ゲルと一緒に超音波透過可撓性シートから取り外されて除去される。例えば、ゲル除去ストリップは、可撓性シートからゲル除去ストリップを手動で除去することによりスタビライザーも除去するため、スタビライザーの少なくとも一部の下、例えばスタビライザー全体の下に延びている。
【0028】
皮膚カバーユニットの構成要素に適した材料の例は次の通りである。
フレームは、織物、編物、不織布、プラスチック、ゴム、紙、シリコーン、又はそれらの組み合わせである。
超音波透過可撓性シートは、ゴム、紙、シリコーン、プラスチック、又はそれらの組み合わせである。例えば、ポリウレタン又はエラストマーポリエステル(ポリエチレンテレフタレート‐PET)を含む。
壁は、プラスチック、ゴム、紙、シリコーン、織物、編物、不織布、又はそれらの組み合わせである。
スタビライザーは、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート‐PET)、ポリエチレン、ポリアミド(ナイロン)、紙(典型的にはコーティング)又はそれらの組み合わせである。
【0029】
超音波透過可撓性シートは、シートが皮膚の動きに追従し、付着して残るために伸縮性及び弾性を含むシートとして理解されるべきである。例えば、可撓性シートは、10~45ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0030】
寸法の非限定的で典型的な例は次の通りである。
幅は、4~10cmである。
長さは、7.5cm~15cmである。
各層の厚さは、10~45ミクロンである。
【0031】
本発明は、穿刺装置としてカニューレの挿入によって例示されたが、それは、例えば神経刺激用の電極又は神経からの電気信号を記録するためのトランスデューサーなどの異なるタイプの穿刺装置の挿入の場合にも同様に適用され得る。皮膚カバーユニットの更なる使用は、化学剤、例えば酸素、代謝産物、又は薬物の分析のためのプローブの挿入である。
本発明は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1a】曲がった皮膚カバーユニットを示している第1の実施形態の図である。
【
図1b】曲がった皮膚カバーユニットを示している原理の概略図である。
【
図1c】曲がった皮膚カバーユニットを示している第2の実施形態の図である。
【
図1d】曲がった皮膚カバーユニットを示している第3の実施形態の図である。
【
図2a】カバーユニットを曲げる前の準備手順を示している図である。
【
図2b】スタビライザーを曲げた後の準備手順を示している図である。
【
図2c】窓に対して壁を曲げた後の準備手順を示している図である。
【
図3a】カバーシートの部品の除去前の平坦で真っ直ぐな状態での皮膚カバーユニットのイメージ図である。
【
図3b】カバーシートの部品の除去中の平坦で真っ直ぐな状態での皮膚カバーユニットのイメージ図である。
【
図3c】曲げている間、且つ、スタビライザーの最終取り付け前の平坦で真っ直ぐな状態での皮膚カバーユニットのイメージ図である。
【
図4a】患者の皮膚に貼付する前における真っ直ぐな状態で、真っ直ぐな輸送状態でのカバーユニット及び代替使用の概略図である。
【
図4b】患者の皮膚に貼付した後における真っ直ぐな状態で、真っ直ぐな輸送状態でのカバーユニット及び代替使用の概略図である。
【
図5a】真っ直ぐな輸送状態であるがスタビライザーが既に曲がった状態で使用される皮膚カバーユニットの概略図である。
【
図5b】窓に対して曲がっている状態の壁で患者の皮膚に貼付した後の皮膚カバーユニットの概略図である。
【
図6】スタビライザーの更なる実施形態の概略図である。
【
図7】追加のゲル除去ストリップを備える、
図5bと同様の概略図である。
【
図8a】ゲル除去ストリップと共にスタビライザーを除去するためにスタビライザーの下に延びるゲル除去ストリップを備える、
図7と同様の概略図である。
【
図8b】ゲル除去ストリップ及びスタビライザーの除去後の平坦な状態のカバーユニットを示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1a、
図1b及び
図1cは、2つの別の例の皮膚カバーユニット1のイメージ、及びカバーユニット1の原理の概略図である。カバーユニット1は、窓2と、窓2の拡張部分の壁3とを備える。壁3は、窓2に対して角度のある方向に壁3を方向付けするための屈曲領域4によって窓2に接続されている。窓2は、超音波プローブ19による挿入部位20の超音波検査のために、フレーム5上又はフレーム5内、又は少なくとも部分的にフレーム内に、安定化フレーム5、超音波透過可撓性シート6、及び典型的なポリマーフィルムを含んでいる。可撓性シート6は、フレーム5に取り付けられ、フレーム5によって支持されている。更に、可撓性シート6は、窓2を患者の皮膚8に接着するために、可撓性シート6の第1の側に接着剤7を備えている。
【0034】
図1bでは、可撓性シート6は、皮膚8から離れたフレーム側に配置されているように示されているが、可撓性シート6は、別の例として、フレーム5の内側に、又は、フレーム5と、皮膚8に面する接着剤との間に設けることもできる。
図1bに示すように、可撓性シート6がフレーム5上に配置される場合、フレーム5は、フレームを皮膚8に接着するために接着剤7を備えることができる。
【0035】
更なる別の例として、フレーム5のみが皮膚に隣接する側に接着剤を備えており、可撓性シートは皮膚8に対して単に静止している。一部のポリマーフィルムは、接着剤なしでも皮膚に容易に付着し、十分な超音波伝達を有する。
【0036】
可撓性シート6上の接着剤7並びに超音波伝達流体(典型的なゲル14)は、プローブ19からゲル14、可撓性シート6及び接着剤7を介して、皮膚8の中に入る超音波伝達のために、良好な接触を提供する。このゲル14は、超音波検査前に可撓性シート6上に塗布され、その後、再び除去される。
【0037】
更に、皮膚カバーユニット1は、屈曲領域4内又は屈曲領域4にスタビライザー9を備える。スタビライザー9は、例えば、皮膚カバーユニット1が平坦で真っ直ぐな皮膚表面上に配置されたとき、スタビライザー9の安定化作用によってのみ、壁3と窓2との間の角度のある方向を維持するために構成されている。
図1a、
図1b及び
図1cでは、スタビライザー9は、2つの脚部11A、11Bを備えた角度のあるプロフィールとして示され、そのうちの1つの脚部11Aは、壁3に対して第1の安定化接着剤10Aで接着され、他の脚部11Bは、窓2に対して第2の安定化接着剤10Bで接着されて、壁3と窓2との間の角度のある方向を維持している。典型的には、可撓性、超音波透過可撓性シート6は、目及び/又はカメラによる検査のために光透過性でもある。
【0038】
可撓性シート6が接着剤7を備えた側から遠い側であるフレーム5の上側に設けられている場合、スタビライザー9は、それ自体がフレームに取り付けられている可撓性シートの部分で可撓性シート6に取り付けられている。可撓性シート6がフレーム5内に設けられるだけの場合、代わりに、フレームが可撓性シート6を少なくとも部分的に取り囲むので、スタビライザーはフレーム5に直接的に取り付けられるであろう。可撓性シート6がフレーム5と皮膚8との間に設けられている場合、フレームは、可撓性シート6の反対側の上側に取り付けられるので、スタビライザー9は、フレームに取り付けられるだろう。どちらの場合でも、スタビライザーは、直接又はフレーム上のフィルムを介してフレームに取り付けられる。原理の様々な実施形態及び変形が可能である。
【0039】
直立している壁3は、カバーシート18によって覆われた壁接着剤17を備え、その使用は、特に、
図4及び
図5に関連して、以下でより詳細に説明される。
【0040】
スタビライザー9は、
図1aに示すように、フレーム5の何れかの側でフレーム5に固定された第2の脚部11Bを有している。しかしながら、壁3に取り付けられた脚部11Aは、壁の一方側の端部から反対側の端部まで壁3を横切って伸びている。この実施形態におけるスタビライザーの構成は、C字形に似ている。
【0041】
図1a、
図1b及び
図1cに示すように、可撓性シート6は、可撓性シート6の小さい方の部分6´を備えた屈曲領域4の周りに伸びて、小さい方の部分6´が壁2と一緒に上方に屈曲している。
【0042】
図1aの場合に、これは、スタビライザー部分がその脚部11Aと共に壁2の一部を横切って延び、シート6の上方に曲がった小さい方の部分6´を覆って、シート6の周囲に沿って部分的に延びることを意味する。
【0043】
別の例として、
図1cに示すように、スタビライザー9は、可撓性シート6の両側に1つずつ、2つの別個の曲げストリップとして設けられる。各ストリップは、シートの周囲で壁に取り付けられた第1の脚部11Aと、フレーム5に取り付けられた第2の脚部11Bとを有し、シート6は、窓2の超音波透過部を覆っている。
【0044】
しかしながら、曲がりシート6のこの構成は必須ではなく、可撓性シート6は、屈曲領域4の周りに延在しないものとして以下の概略図に示されている。
【0045】
図1dの変形実施形態では、シート6は壁2と共に上方に曲げられていないが、屈曲領域4でスタビライザー9の周囲を有する。この場合、シート6は皮膚に対して平坦に設けられるのみである。
【0046】
更なる変形として、
図1dのフレーム5を備えた壁3及び窓2の構成は、
図1cのスタビライザー9のストリップと組み合わせることができる。
【0047】
全ての場合において、スタビライザー9は、超音波検査に使用される窓2の部分の外側にある。
スタビライザー9は、最初から窓2及び壁3に取り付けられ、その後、角度を付けられた構成に曲げることができ、これはスタビライザー9の非弾性材料、例えば金属により維持されることに言及されるべきである。
【0048】
別の例として、スタビライザー9の一方の脚部11Aが壁3に固定され、もう一方の脚部11Bがまだ窓2に固定されていないか、又はその逆であり、壁と窓の間の向きが調整されると、それぞれ窓又は壁にのみ固定される。この原理のオプションについては、以下で詳しく説明する。
【0049】
図2aは、カバーユニット1の可能性がある包装及び輸送状態を示している。壁3は、窓2の平坦な拡張部分に向けられている。皮膚に接着するための接着剤7は、取り外し可能なカバーシート12、典型的な紙シートによって覆われる。スタビライザー9の2つの脚部11A及び11Bは、一緒に折り畳まれ、
図2bに示されるように展開するように構成されている。第2の安定化接着剤10Bは、
図2bに示されるように第2の安定化接着剤10Bから取り除かれる、更なるカバーシート13、典型的な紙シートによって覆われる。一度、
図1のようなカバーユニットは、その包装(図示せず)から取り除かれ、更にカバーシート13が第2の安定化接着剤10Bから取り除かれると、壁3が屈曲領域4の周りで窓2に対して角度のある方向に屈曲され、第2の安定化接着剤10Bは、その後、窓2に取り付けられ、窓2に対する壁3の向きを安定化する。皮膚8への取り付けのために、カバーシート12が取り除かれ、窓2の接着剤7が皮膚8に接着される。これは、好ましくは、窓2に対して壁3を屈曲させる前に行われるが、壁3を屈曲させた後に行うこともできる。
【0050】
場合によっては、カバーユニット1は、超音波検査及び穿刺装置の挿入、特にカニューレの挿入、又は他の穿刺装置、例えば電極又はプローブの挿入後に、患者から取り除かれる。他の場合では、カバーユニット1は、検査及び穿刺装置、例えばカニューレの挿入後でも、患者の皮膚8上に取り残される。後者の場合、壁3は、原則として、例えばそれを切り取ることにより、窓2から取り除くことができる。別の例では、壁3は、窓2上に曲げられ、そこに取り残される。これらの場合では、
図1bの実施例及び
図4及び5の実施例と対照的に、壁3に接着剤17を設ける必要はない。
【0051】
しかしながら、以下により詳細に説明するように、壁3は、超音波検査及びカニューレ又は他の穿刺装置の皮膚8への挿入後に、皮膚8に任意に接着される。かくして、接着剤7は、窓2に沿ってのみ延びるように
図1bに示されているが、典型的には壁3の下にも設けられている。このような実施形態は、
図1b及び
図4及び5に示され、以下でより詳細に説明される。
【0052】
図3a、
図3b、及び
図3cは、包装されていない状態から屈曲した構成までの一連の準備ステップを示している。
図3aでは、カバーユニット1は、開梱直後は平坦で真っ直ぐな形態にある。壁3は、窓2の真っ直ぐな拡張部分にある。窓2は、皮膚に隣接した側がカバーシート(図示せず)によって覆われているため、まだ透明ではない。しかしながら、一度、このようなカバーシートが取り除かれると、
図3bに示されるように、透明な可撓性シート6がフレーム5の内側にはっきりと見える。更に、カバーシート13は、
図3aで見られ、
図3bの除去の工程で見られる。更なるカバーシート13の除去後、
図1Bの第2の脚部11Bに対応する2つのフラップ11B´が
図3cに見られる。これらの2つのフラップ11B´は、スタビライザー9の2つの部分であり、2つのフラップ11B´を窓のフレーム5の2つの対向する部分5A、5Bに固定するために、2つのフラップ11B´は、壁3の2つの対向する端部15A、15Bのそれぞれに設けられる。
図1aに示されるように、これらのフラップ11B´が窓2に接着されると、壁3は窓2に対してある方向で固定される。
【0053】
複数の機能を提供するために、壁3には、壁3の端から窓2に向かって延びる溝16が設けられている。
図1aに最も示されるように、溝16は、屈曲領域4の近くにあり、可撓性シート6に近接した底部16´を有する。
【0054】
図1b、
図4a、
図5a及び
図5bの概略図に示されるように、壁3は、壁カバーシート18によって覆われる接着剤17を備えた第1の壁側3Aを備えている。壁カバーシート18が取り除かれると、壁3の第1の側3Aは、また、接着剤17によって患者の皮膚8に接着される。
【0055】
初めの形態では、第1の壁側3aの接着剤17は、壁3を直立した構成で使用中にユーザーが第1の壁側3Aの接着剤17上の壁カバーシート18を保持するために、壁カバーシート18によって覆われ、上記で説明され、
図1bと
図5bに示されるように、壁3が窓2に対して屈曲領域4で屈曲している間に、挿入部位19に隣接した安全な超音波検査のためにスタビライザー9により安定化されている。
【0056】
次に、ユーザーは、穿刺デバイス23、特にカニューレは、溝16の内側に配置されるように、接着剤17から壁カバーシート18を取り除くことを選択することができ、穿刺デバイス、特にカニューレを皮膚8に挿入した後、壁3を患者の皮膚8に接着することも選択することができる。後者の場合、スタビライザー9は、例えばそれを切断することによって、又は窓2または壁3から部分的に取り除くことによって、非アクティブ化する必要がある。スタビライザーの脚フラップ11Bを備えた実施形態では、これらは、非アクティブ化のために、窓2又はフレーム3、又は両方から切り離される。別の例として、スタビライザー9は、非アクティブ化のために切断される。
【0057】
別の例として、ユーザーは、窓2を介してプローブ19を備えた超音波検査を実行している間に、壁3と窓2を選択的に患者の皮膚8に接着し、穿刺器具、特にカニューレを、溝18を介して皮膚8に挿入する。この場合、カバーユニット1は真っ直ぐな状態で使用され、壁3は直立した構成では使用されない。
【0058】
壁3と窓2の両方が皮膚に接着されているカバーユニット1の平坦な構成が
図4bに示されている。この図では、スタビライザー9は作動してないが、輸送状態で残されている。
【0059】
図4aに示すように、皮膚カバーユニット1の真っ直ぐな輸送状態から開始する時、ユーザーには幾つかのオプションがある。第1のオプションとして、ユーザーは、カバーシート12及び18を取り除き、
図4bに示すように、皮膚カバーユニット1が真っ直ぐな状態にある間に、皮膚カバーユニット1をユーザーの皮膚8に接着することができる。第2のオプションとして、ユーザーは、スタビライザー9からカバーシート13を取り除き、
図5aに示すように、スタビライザー9を角度のある方向に曲げることができる。その後に、
図5b及び
図1bのように、壁3を直立した構成に持ち上げる。超音波検査の後、ユーザーは、
図4bの構成と同様に、オプションとして、壁3を皮膚8の上に置くことができる。
【0060】
このように、カバーユニット1は、複数の機能を有している。一方では、従来技術の機能が維持され、他方では、皮膚8の表面が平坦である場合、スタビライザー9によって安定化される直立壁3の機能が追加される。
【0061】
図6は、スタビライザー9の更なる実施形態を示している。スタビライザー9は、壁3の第1ポイント又は領域21A、及び窓2の第2ポイント又は領域21B、例えばフレーム5に固定され、両ポイント又は領域21A、21Bは、屈曲領域Fから離れている。スタビライザー9は、これらの2つの離れたポイント又は領域21A、21Bを接続し、かくして、2つのポイント又は領域21A、21Bと、屈曲領域4との間に、安定した三角形の構成を形成する。
【0062】
直立壁3は、窓2に対して垂直な方向を有するものとして示されるが、これは厳密には必要ではなく、壁3と窓2との間の角度は、他の角度に調整され、例えば45度~135度の他の角度に調整され得る。
【0063】
選択的に、ゲルの除去を容易にするために、ゲル除去ストリップ22は、
図7を参照して、可撓性シート6の頂部に設けられている。このゲル除去ストリップ22も超音波透過性であり、可撓性シート6からのゲルの拭き取りを避けられるように、ゲルと一緒に超音波透過可撓性シート6から取り外されて取り除かれる。
【0064】
図8aは、
図7と同様の概略図であるが、使用者が可撓性シート6の表面からゲル除去ストリップ22を引っ張ると、スタビライザー9がゲル除去ストリップ22と一緒に取り外されるように、スタビライザー9の第2の脚部11Bの下に延びるゲル除去ストリップ22を備えている。このために、スタビライザー9の第1の脚部11Aの接着剤10Aが直立壁3から引き剥がされる。スタビライザー9が取り除かれると、直立壁3を皮膚8上に平坦に置くことができ、接着剤17を覆う壁カバーシート18が除去されると、接着剤17によって皮膚8に接着させることができる。この状況は
図8bに示される。次に、穿刺装置23は、溝16、皮膚8を介して下にある組織の中へ延びる。
【0065】
ゲル除去ストリップ22は、スタビライザー9の接着剤10A及び第1の脚部11Aの下で直立壁3までの距離を延びることもできることが示されている。この場合、ゲル除去ストリップ22は全体的にスタビライザー9の下に延び、スタビライザー全体がゲル除去ストリップ22と一緒に除去されることに耐える。
本発明のその他の実施態様を以下に記載する。
〔実施態様1〕
患者の皮膚を通してカニューレ又は他の穿刺器具(23)を挿入するときに使用する外科用皮膚カバーユニット(1)であって、
皮膚カバーユニット(1)は、窓(2)及び壁(3)を備え、前記壁(3)は、前記窓(2)の拡張部分に設けられ、前記窓(2)に対して角度のある方向になるように、屈曲領域を曲げるための屈曲領域(4)によって前記窓(2)に接続され、
前記窓(2)は、前記窓(2)を前記患者の皮膚(8)に接着するために、前記窓(2)の第1の側に接着剤層(7)を含み、
前記窓(2)は、前記窓(2)の前記第1の側の反対側である前記窓(2)の第2の側から可撓性シートを通して前記患者を超音波検査するための超音波透過可撓性シート(6)を備え、
前記可撓性シート(6)に加えて前記皮膚カバーユニット(1)は、スタビライザー(9)を備え、前記スタビライザーは、前記屈曲領域(4)内又は前記屈曲領域(4)に設けられ、前記スタビライザー(9)の安定化作用によって前記壁(3)と前記窓(2)との間の前記角度のある方向を維持するように構成されている、
ことを特徴とする外科用皮膚カバーユニット。
〔実施態様2〕
前記シート(6)は、前記窓(2)の超音波透過部を覆い、
前記スタビライザー(9)又は前記スタビライザー(9)の部分(11B)は、前記窓(2)の前記超音波透過部の外側の安定化作用によって、前記窓(2)に対して前記壁(3)を安定させるために、前記窓(2)の前記超音波透過部の外側、又は前記窓(2)の前記超音波透過部の周囲に沿って配置される、実施態様1に記載の外科用皮膚カバー。
〔実施態様3〕
前記窓(2)は、前記超音波透過可撓性シート(6)より安定している安定化フレーム(5)を備え、
超音波透過可撓性シート(6)は、前記フレーム(5)内に設けられ、前記フレーム(5)に取り付けられて前記フレーム(5)によって支持され、
前記スタビライザー(9)は、前記フレーム(5)に対する前記壁(3)の前記方向を安定させるために、前記フレーム(5)及び前記壁(3)上に設けられる、実施態様1又は2に記載の外科用皮膚カバーユニット。
〔実施態様4〕
前記スタビライザー(9)は、
前記壁(3)及び前記窓(2)の一方に固定されている第1のスタビライザー部(11A、21A)と、
前記第1のスタビライザー部(11A、21A)の拡張部分で、前記第1のスタビライザー部(11A、21A)に対して曲げ可能であり、前記壁(3)及び前記窓(2)の他方に固定されている第2のスタビライザー部(11A、21A)と、
を含む屈曲可能なシートである、実施態様1から3の何れか一つに記載の外科用皮膚カバーユニット。
〔実施態様5〕
実施態様3に従属する場合の実施態様4に記載の外科用皮膚カバーユニットであって、第1のスタビライザー部(11A、21A)は、前記壁(3)に固定され、前記第2のスタビライザー部(11B、21B)は、部分(11B´)を前記窓(2)の前記フレーム(5)に固定するために、前記壁(3)の端部(15A、15B)に前記部分(11B´)を備えている、外科用皮膚カバーユニット。
〔実施態様6〕
第2のスタビライザー部(11B、21B)は、曲がった屈曲領域(4)によって前記壁(3)が前記窓(2)に対してある角度に折り曲げられると、前記第2のスタビライザー部(11B、21B)を前記壁(3)及び前記窓(2)の他方に固定するための安定化接着剤(10B)を備えている、実施態様1から5の何れか一つに記載の外科用皮膚カバーユニット。
〔実施態様7〕
前記スタビライザー(9)は、非弾性的に曲げ可能であり、前記窓(2)に対する前記壁(3)の選択された方向を維持するために、曲げられたときに選択可能な曲げ条件を採用して維持するように構成されている、実施態様1から6の何れか一つに記載の外科用皮膚カバーユニット。
〔実施態様8〕
前記スタビライザーが、選択可能な曲げ条件を採用して維持するように構成された、非弾性的に曲げ可能なポリマーフィルム、金属ホイル、又は紙シートを備えている、実施態様6に記載の外科用皮膚カバーユニット。
〔実施態様9〕
前記壁(3)は、前記壁(3)の端部から前記窓(2)に向かって延びる溝(16)を備え、
前記壁(3)は、前記壁(3)を患者の皮膚(8)に接着するための接着剤(17)を備えて前記壁(3)が患者の皮膚(8)に接着されている間に前記溝(16)の内側にカニューレ又は他の穿刺装置(23)を配置するための第1の壁側(3A)を含み、
前記壁(3)が前記窓(2)に対して曲がった方向にある間、付着部位(20)に隣接した直立壁(3)として前記壁(3)の使用中に前記第1の壁側(3A)の接着剤(17)上の壁カバーシート(18)を保持するために前記第1の壁側(3A)の前記接着剤(17)が壁カバーシート(18)によって覆われ、前記壁カバーシート(18)が前記接着剤(17)から選択的に取り外され、前記カニューレ又は他の穿刺器具(23)が皮膚(8)に挿入されている間にカニューレ又は他の穿刺器具(23)を溝(16)内に配置するため前記壁(3)を前記患者の皮膚(8)に接着する、実施態様1から8の何れか一つに記載の外科用皮膚カバーユニット。
〔実施態様10〕
前記皮膚カバーは、ゲル除去ストリップ(22)の除去によって潜在的なゲル(14)を前記第2の側からも除去するために、前記窓(2)の前記第2の側で前記可撓性シート(6)を覆うゲル除去ストリップ(22)を備え、
ゲル除去ストリップ(22)は、前記可撓性シート(6)から前記ゲル除去ストリップ(22)を手動で除去することにより前記スタビライザー(9)も除去するために、前記スタビライザー(9)の少なくとも一部の下に延びている、実施態様1から9の何れか一つに記載の外科用皮膚カバーユニット。
〔実施態様11〕
患者の皮膚(8)上のカニューレ又は他の穿刺器具(23)の挿入部位を準備する方法であって、この方法は、窓(2)及び壁(3)を備えるタイプの皮膚カバーユニット(1)を準備するステップを備え、
前記壁(3)は、前記窓(2)の拡張部分に設けられ、前記窓(2)に対して角度のある方向になるように屈曲領域を曲げるために、屈曲領域(4)によって前記窓(2)に接続され、
前記窓(2)は、前記窓(2)を患者の皮膚(8)上に接着するために、前記窓(2)の第1の側に接着剤層(7)を含み、
前記窓(2)は、前記可撓性シートを通して患者の超音波検査のための超音波透過可撓性シート(6)を備え、
前記方法は、前記患者の前記皮膚(8)上に前記窓(2)の前記第1の側に接着するステップと、接着をする前又は後に、前記窓(2)に対して45度~135度の範囲の角度に、前記壁の前記角度のある方向を変えるための前記屈曲領域(4)を曲げるステップと、前記窓(2)の第2の側に超音波プローブ(19)を適用するステップと、前記患者に前記カニューレ又は他の穿刺器具(23)の制御された挿入のために前記挿入部位(20)を超音波投影するステップと、を含み、
前記可撓性シート(6)に加えて前記皮膚カバーユニット(1)は、スタビライザー(9)を備え、
前記スタビライザーは、前記屈曲領域(4)内又は前記屈曲領域(4)に設けられ、前記スタビライザー(9)の安定化作用によって前記壁(3)と前記窓(2)との間の前記角度のある方向を維持するように構成され、
前記方法は、前記壁(3)が前記挿入部位(20)を前記窓(2)から分離するために、前記窓(2)に対する前記壁(3)の前記角度のある方向を前記スタビライザー(9)によって維持するステップを含む、ことを特徴とする方法。
〔実施態様12〕
前記シート(6)が前記窓(2)の超音波透過部を覆い、
前記方法は、前記スタビライザー(9)又は前記スタビライザーの一部を、前記窓(2)の前記超音波透過部の外側に又は前記窓(2)の超音波透過部の周囲に沿って配置するステップと、少なくとも部分的に前記窓の前記超音波透過部の外側の安定化作用によって、前記窓に対して前記壁を安定させるステップと、を含む、実施態様11に記載の方法。
〔実施態様13〕
前記窓(2)は、前記超音波透過可撓性シート(6)よりも安定した安定化フレーム(5)を備え、
前記超音波透過可撓性シート(6)は、前記フレーム(5)内に設けられ、前記フレーム(5)に取り付けられて前記フレーム(5)によって支持され、
前記方法は、前記フレーム(5)及び前記壁(3)上にスタビライザー(9)を準備するステップと、前記スタビライザーの作用を安定させることによって前記フレーム(5)に対する前記壁(3)の方向を安定させるステップと、を含む、実施態様11又は12に記載の方法。
〔実施態様14〕
前記スタビライザー(9)は、前記壁(3)及び前記窓(2)の一方に固定された第1のスタビライザー部(11A、21A)と、前記第1のスタビライザー部(11A、21A)の拡張部分で、前記第1のスタビライザー部(11A、21A)に対して曲げることができる第2のスタビライザー部(11B、21B)とを備え、
前記第2のスタビライザー部(11B、21B)は、曲がった屈曲領域(4)により前記壁(3)が前記窓(2)に対してある角度に折り曲げられると前記壁(3)及び前記窓(2)の他方に前記第2のスタビライザー部(11B、21B)を固定するための安定化接着剤(10B)を備え、
前記方法は、前記屈曲領域(4)で前記窓(2)に対して前記壁(3)を曲げるステップと、前記壁(3)が前記窓(2)に対して曲げられたときのみに、前記第2のスタビライザー部(11B、21B)を前記壁(3)及び前記窓(2)の他方に固定するステップとを含む、実施態様11から13の何れか一つに記載の方法。
〔実施態様15〕
前記第1のスタビライザー部(11A、21A)は、前記壁(3)に固定され、前記第2のスタビライザー部(11B、21B)は、部分(11B´)を前記窓(2)の前記フレーム(5)に固定するために、前記壁(3)の端部(15A、15B)に前記部分(11B´)を備え、
前記方法は、前記部分(11B´)を前記窓(2)の前記フレームに固定するステップを含む、実施態様13に従属する場合の実施態様14に記載の方法。
〔実施態様16〕
前記第1のスタビライザー部(11A、21A)は、前記壁(3)に固定され、前記第2のスタビライザー部(11B、21B)は、前記壁(3)の2つの対向する各端部(15A、15B)で部分(11B´)を備え、前記方法は、前記窓(2)の前記フレーム(5)の2つの対向する部分(5A、5B)に2つの前記部分(11B´)を固定するステップを含む、実施態様15に記載の方法。
〔実施態様17〕
前記スタビライザー(9)は、非弾性的に曲げることが可能であり、前記窓(2)に対する前記壁(3)の選択された方向を維持するために曲げられるときに、選択可能な曲げ条件が採用されて維持されるように構成され、
前記方法は、前記選択された屈曲構成に前記スタビライザー(9)を非弾性的に曲げるステップと、前記スタビライザー(9)が前記屈曲構成を維持するステップと含む、実施態様11から16の何れか一つに記載の方法。
〔実施態様18〕
前記壁(3)は、前記壁(3)の端部から前記窓(2)に向かって延びる溝(16)を備え、
前記壁(3)は、前記壁(3)を前記患者の皮膚(8)に接着するための接着剤(17)を備え、前記壁(3)が前記患者の前記皮膚に接着されている間に前記カニューレ又は他の穿刺装置(23)を前記溝(16)の内側に配置するための第1の壁側(3A)を備え、
前記第1の壁側(3A)の前記接着剤(17)は、壁カバーシート(18)によって覆われ、
前記方法は、前記壁(3)が前記窓(2)に対して曲がった方向にある間、付着部位(20)に隣接した直立壁(3)として前記壁(3)の使用中に前記第1の壁側(3A)の接着剤(17)上の壁カバーシート(18)を保持するステップと、前記壁カバーシート(18)が前記接着剤(17)から選択的に取り外されるステップと、前記カニューレ又は他の穿刺器具(23)が前記皮膚(8)に挿入されている間に前記カニューレ又は他の穿刺器具(23)を溝(16)内に配置するために前記壁(3)を前記患者の皮膚(8)に接着するステップと、を含む、実施態様11から17の何れか一つに記載の方法。
〔実施態様19〕
前記外科用皮膚カバーユニットは、ゲル除去ストリップの除去によって前記第2の側から潜在的なゲル(14)を除去するために、前記窓(2)の第2の側で前記可撓性シート(6)を覆うゲル除去ストリップ(22)を備え、
前記ゲル除去ストリップ(22)は、前記スタビライザー(9)の少なくとも一部の下に延びて、前記方法は、前記ゲル除去ストリップ(22)を前記可撓性シート(6)から手動で除去し、除去作用によって前記スタビライザー(9)も除去するステップを含む、実施態様11から18の何れか一つに記載の方法。
〔実施態様20〕
カニューレ又は他の穿刺装置(23)の挿入部位(20)を、患者の前記皮膚上の超音波プローブ(19)から分離する、実施態様1から10の何れか一つに記載の皮膚カバーユニットの使用方法。
【符号の説明】
【0066】
1 カバーユニット
2 窓
3 壁
3A 第一の壁側
4 屈曲領域
5 安定化フレーム
5A、5B フレームの対向する部分
6 フレーム5内の超音波透過可撓性シート、典型的なポリマーフィルム
7 接着剤
8 皮膚
9 スタビライザー
10A、10B 第1及び第2の安定化接着剤
11A、11B スタビライザー9の例としての屈曲プロフィールの第1及び第2の脚部
11B´ スタビライザー9の2つの部分としてのフラップ
12 接着剤7を覆い、取り外し可能なカバーシート、典型的な紙シート
13 第2のスタビライザー接着剤11Bを覆うカバーシート
14 ゲル
15A、15B 壁3の対向する端
16 壁3の溝
17 壁3の第1の側3A上の接着剤
18 接着剤17を覆うための壁カバーシート
19 超音波プローブ
20 挿入部位
21 スタビライザー9の取り付け領域
22 ゲル除去ストリップ
23 カニューレ、又はオプションでの他の穿刺器具