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特許7296989耐摩耗装置及び耐摩耗装置の取り付け手段
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】耐摩耗装置及び耐摩耗装置の取り付け手段
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/10 20060101AFI20230616BHJP
   B01F 27/70 20220101ALI20230616BHJP
   B01F 35/00 20220101ALI20230616BHJP
【FI】
B29B7/10
B01F27/70
B01F35/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020564712
(86)(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 FR2019051143
(87)【国際公開番号】W WO2019224466
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】1854367
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】デュサルディエ ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】カルラヴァン セドリック
(72)【発明者】
【氏名】リエ イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー クレセンス
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-334732(JP,A)
【文献】特開2005-059528(JP,A)
【文献】特表2008-509831(JP,A)
【文献】特表2008-536676(JP,A)
【文献】実開平07-039925(JP,U)
【文献】米国特許第05368383(US,A)
【文献】特開昭50-041157(JP,A)
【文献】米国特許第03592128(US,A)
【文献】独国特許発明第03943344(DE,C1)
【文献】特開平08-187422(JP,A)
【文献】特開昭60-153929(JP,A)
【文献】特公昭46-032230(JP,B1)
【文献】特開2003-277861(JP,A)
【文献】特開平02-032812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/70
B01F 35/00
B01F 35/95
B29B 7/00-11/14
B29B 13/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム混合物のための内部ミキサーで使用するためのロータ(100)であって、前記内部ミキサーは、前記ロータが回転する混合容器を有し、
前記ロータが、
1又は2以上のブレード(104)であって、各ブレードが先端(104a)を有し、当該先端(104a)の輪郭が予め定められた曲率を有する、1又は2以上のブレード(104)と、
少なくとも1つの前記ブレードの先端(104a)に取り外し可能に固定された耐摩耗装置と、を備え、
前記耐摩耗装置は、前記先端(104a)の曲率に相補的な曲率を有する下面(112)と、前記容器の壁の曲率に相補的な曲率を有する上面(114)とによって定められる輪郭を有するプレート(110)を含み、前記上面(114)と前記容器の壁の間において、前記プレート(110)と前記容器の壁との間で混合物の通過を可能にする最小距離のゾーンが定められ、
前記プレートは、前記プレートの長さに沿って軸方向に延びる1又は2以上の冷却チャネルを含み、前記冷却チャネルは、前記プレートの輪郭に沿って配置されて、前記ロータの主導管から前記プレートに対応する冷却剤を運ぶ供給導管に接続されている、ことを特徴とするロータ(100)。
【請求項2】
前記プレート(110)の前記輪郭は、前記プレートの輪郭が螺旋に近似するように、時計回り方向で漸次的に増大する前記プレートの曲率半径によって定められる、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
シール手段を更に備える、請求項に記載のロータ。
【請求項4】
前記シール手段が、対応する溝(152)に配置されるOリング(150)を含む、請求項に記載のロータ。
【請求項5】
前記溝(152)は、台形溝である、請求項に記載のロータ。
【請求項6】
前記プレート(110)に挿入されて前記ロータ(100)を係合する1又は2以上の保持スクリュー(137)を更に備える、請求項1~の何れか1項に記載のロータ。
【請求項7】
機械的締結システムを更に備える、請求項に記載のロータ。
【請求項8】
前記機械的締結システムは、位置決めキー(130)と1又は2以上のウォームギアシステムとを備える、請求項に記載のロータ。
【請求項9】
前記位置決めキー(130)がキースクリュー(13)により前記先端(104a)に固定される所定の全長を有する平行キーを含み、前記平行キーは、前記先端(104a)の対応する溝係合前記キーの上面は前記プレート(110)の下面(112)の対応する補強部材(112a)に係合する、請求項に記載のロータ。
【請求項10】
前記ウォームギアシステムは、ギアホイール(143)と、ねじ込みロック部材(144)と、前記ロータ(100)に接線方向に挿入され且つ前記ねじ込みロック部材(144)によって軸方向にロックされるスクリュー(145)と、を備え、前記スクリュー(145)の回転によって前記ギアホイール(143)が回転するようになる、請求項又はに記載のロータ。
【請求項11】
前記各保持スクリュー(137)が、前記プレート(110)の上面(114)に向かって配置されたスクリューヘッド(137a)を含む、請求項10の何れか1項に記載のロータ。
【請求項12】
前記ロータ(100)の対応するねじ部(149)を係合するねじ部を有する円筒構造(145d)を含むスクリュープラグ(145a)を更に備える、請求項10又は11に記載のロータ。
【請求項13】
前記スクリュープラグ(145a)は、前記円筒構造(145d)の外面(145c)から延びて、前記ロータ(100)に対する前記スクリュープラグ(145a)のクランプを容易にするクランプ部材(145b)を含む、請求項12に記載のロータ。
【請求項14】
前記各スクリュープラグ(145a)は、前記プレート(110)の上面(114)に向かって配置される、請求項12又は13の何れか1項に記載のロータ。
【請求項15】
前記ロータが2つのブレード(104)を備え、該ブレードは、互いに反対方向で傾斜している、請求項1~14の何れか1項に記載のロータ。
【請求項16】
請求項1~15の何れか1項に記載のロータ(100)が回転する少なくとも1つの混合容器を有する内部ミキサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、ゴム混合物及びゴム混合物から調製された車両のタイヤの製造に関する。より具体的には、本発明は、ゴム混合物用のミキサーで使用されるロータのための耐摩耗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー製造の分野において、内部ミキサーは、原材料を混合するのに使用される。「内部ミキサー」(又は「ミキサー」又は「MI」)は、金属ラムと、2つの金属製半容器(又は「容器」)とを有し、各々が1又は2以上のブレード(例えば、ポリマーのためのBanbury又はIntermixタイプの機械)を有する金属ロータを含む機械を意味する。混合物中の材料が混合されるときに、製造中のプロセスのエラストマーは、著しい応力を受ける。図1を参照すると、この現象は、容器20内に配置され、矢印Aの方向に回転するロータ10であって、該ロータ10が、互いに反対方向に回転することができるように並列に配置されたロータのペアの一部であるロータ10を参照して説明される。ロータ10は、ブレード12を有し、各ブレードは先端12aを有する。先端12aが回転すると、先端は、図1に示されるように円形の経路12bの輪郭を描く。容器20の壁20aと円形の経路12bとの間にはギャップE12が定められる。入口22を通じて容器20に流入したゴム混合物の原材料は、ロータと各容器の壁との間のギャップE12を通過する。原材料は、先端12aを通過し、ここで高い剪断力が実現され、摩耗領域が発生することになる。
【0003】
この現象は、内部ミキサーにおける「一体鋳造」タイプのロータ上に存在し、ここで摩耗ゾーンは、常にロータブレードの同じ場所に位置する点に留意されたい。図2を参照すると、一体鋳造タイプの代表的なロータは、容器50内に配置されたロータ30によって表される(ロータ30は、仏国特許第2632873号によって開示されている)。ロータ30は、ロータが矢印Bの方向に回転する回転軸を備えた軸方向シャフト32を有する。軸方向シャフト32は、円周面32aを有し、そこから1又は2以上のブレード34が半径方向に延びる。ロータ30の回転軸に垂直な平面において、ブレード34の輪郭の曲率は、曲率中心C及び曲率半径Rによって定められる。この曲率は、容器壁50の曲率に相当する。ブレード34のエッジ34aは、容器壁50と共に、ゴム混合物の材料が通過するギャップE30を定める(図1のギャップE12に関連して説明されるように)。
【0004】
実行される作業のレベルが極めて集中するギャップE30に沿って極めて短い長さの領域が存在する。ますます高レベルの補強充填剤(例えば、カーボンブラック及びシリカのレベル)に向かって進んでいる現在のゴム配合では、製造されたエラストマーは、内部ミキサーの金属面に対して極めて研磨性がある。同時に、最大の生産性を確保するために混合サイクルが最適化される。
【0005】
摩耗は均一ではなく、すなわち、ロータ自体が侵食され、ブレードなどのロータの一部のより顕著な部分が更に侵食される。これにより、ブレードと壁との間に望ましくないクリアランスが生じることとなり、ゴム混合物の生産性及び品質に悪影響を及ぼす。これらの開発の結果、ミキサーのロータに見られる早期摩耗の問題がある。観察される摩耗は最大で数ミリメートルになる可能性があるが、ミキサーの残りの金属表面は、同じレベルの摩耗を受けることはない。ロータなど一部の機械部品の耐用年数が最大で50%短縮される。これらのロータを交換するためのダウンタイム(組み立て及び分解)が長くて費用がかかり、ミキサーを完全にシャットダウンする必要がある。半製品エラストマーの製造は、計画通りに実施することができない。
【0006】
この現象を制限するための認識された解決策の中でも、中国出願公開第201389929号によって開示された装置がある。この装置は、容器の円周面及び/又は単一の部品に機械加工されたロータのブレードの表面に沿って固定された1又は2以上の耐摩耗装置に向けられている。しかしながら、既知の各ロータは、ブレード輪郭(すなわち、図1に示すようにブレード輪郭を定める、ロータの回転軸に垂直に取った平坦なセクション)と、ロータの表面上のブレードの位置によって特徴付けられる。この解決策では、単一部品から機械加工されたロータへの摩耗保護装置の直接的な配置についてのみ記載されており、その幾何学的形状及び対応するゴム混合性能への潜在的な影響については説明されていない。
【0007】
更に、中国出願公開第201389929号によって開示された解決策とは対照的に、耐摩耗装置の追加は、冷却効率を低下させる。しかしながら、ロータの他の部分よりも温度上昇が大きい理由から、ブレード先端を冷却できることが特に重要である。このため、ロータには、混合サイクル中の混合物の温度を制御するためにロータの内部に孔加工された幾何学的チャネルの形態の冷却システムが備えられていることが多く、この温度は約150°C~170°Cに達する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】仏国特許第2632873号
【文献】中国出願公開第201389929号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、ゴム分散、ゴム混合性能、及びゴム混合物の品質を維持するために、本発明は、摩耗が発生する領域のロータブレードへの取り外し可能な耐摩耗装置の設置に関する。耐摩耗装置は、固定を実施するように適合されたロータに取り外し可能に固定されるプレートを含む。プレートは、ロータに取り付けられたときに、ロータの幾何学的形状を変えることなく、摩耗したロータ部品を簡単に交換する手段を提供する。従って、ロータは、交換が容易な1つの部品を含む2部品を含み、低コストで一体構成ロータとして機能する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ロータが回転する混合容器を有する内部ミキサーで使用するためのロータに関する。ロータは、1又は2以上のブレードを含み、各ブレードは、輪郭が予め定められた曲率である先端を有する。ロータはまた、少なくとも1つのブレードの先端に取り外し可能に固定された耐摩耗装置を含み、耐摩耗装置は、先端の曲率と相補的な曲率を有する下面と、容器の壁の曲率と相補的な曲率を有する上面とによって定められる輪郭を有し、下面と上面の間にプレートと容器の壁との間で混合物の通過を可能にする最小クリアランスのゾーンを定める、プレートを有する。
【0011】
幾つかの実施形態では、プレート輪郭は、プレート輪郭が螺旋近似するように時計回り方向で漸次的に増加するプレートの曲率半径によって定められる。
【0012】
プレートがプレートの長さに沿って軸方向に延びる1又は2以上の冷却チャネルを含む幾つかの実施形態では、冷却チャネルは、プレートの輪郭に沿って配置され、主ロータ導管から対応する冷却剤をプレートに運ぶ供給導管に接続する。
【0013】
幾つかの実施形態では、ロータはまた、シール手段を含む。
【0014】
幾つかの実施形態では、シール手段は、対応する溝に配置されるOリングである。幾つかの実施形態では、溝は台形溝である。
【0015】
幾つかの実施形態では、ロータはまた、ロータと係合するためにプレートに挿入された1又は2以上の保持スクリューを含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、ロータはまた、機械的締結システムを含む。
【0017】
幾つかの実施形態では、機械的締結システムは、位置決めキー及び1又は2以上のウォームギアシステムを含む。幾つかの実施形態では、位置決めキーは、プレートの下面の対応する補強部材に係合する頂面を備えた平行キーであり、位置決めキーは、頂部の対応する溝に係合する。
【0018】
幾つかの実施形態では、ウォームギアシステムは、ギアホイール、ねじ込み軸方向ロック要素、及びロータに接線方向に挿入され且つねじ込み軸方向ロック要素によって軸方向にロックされるスクリューを含み、その結果、スクリューの回転により歯車が回転するようになる。
【0019】
幾つかの実施形態では、各保持スクリューは、プレートの上面に向かって配置されたスクリューヘッドを含む。
【0020】
幾つかの実施形態では、ロータはまた、ロータ内の対応するねじ部に係合するねじ部を有する円筒構造を有するスクリュープラグを含む。幾つかの実施形態では、スクリュープラグは、円筒構造の外面から延びて、ロータに対するスクリュープラグの締め付けを容易にするクランプ要素を含む。
【0021】
幾つかの実施形態では、各スクリュープラグは、プレートの上面に向かって配置される。
【0022】
幾つかの実施形態では、ロータは2つのブレードを含み、ブレードは、互いに反対方向に傾斜している。
【0023】
本発明はまた、開示されたロータが回転する少なくとも1つの混合容器を有する内部ミキサーに関する。
【0024】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0025】
本発明の性質及び様々な利点は、添付図面と共に以下の詳細な説明を読むとより明らかになるであろう。ここで、何れの場所においても同じ参照番号は同じ部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】既知の内部ミキサーのロータの回転軸に垂直に取られた平面断面である。
図2】従来技術の一体構成ロータの輪郭図である。
図3】本発明のロータ及び耐摩耗装置の部分分解図である。
図4図3の耐摩耗装置が使用される代表的なロータの斜視図である。
図5図3の耐摩耗装置が使用される別の代表的なロータの斜視図である。
図6】本発明のロータ及び耐摩耗装置の透明斜視図である。
図7】本発明のロータ及び耐摩耗装置の部分斜視図である。
図8】本発明のロータ及び耐摩耗装置の部分透明図である。
図9】本発明のロータ及び耐摩耗装置の部分断面図である。
図10】ロータと耐摩耗装置との間にシール手段を使用する本発明の実施形態の部分断面図である。
図11】ロータと機械的固定システムで固定された耐摩耗装置の部分断面図である。
図12図11の機械的締結システムのウォームギアシステムを表す図である。
図13図12のウォームギアシステムのウォームギアの断面図を表す。
図14】スクリュープラグを備えた本発明の1つの実施形態を表す図である。
図15】スクリュープラグを備えた本発明の1つの実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、同じ番号が同じ構成要素を表す図を参照すると、図3は、ロータの耐用年数を延ばし、ゴム混合物による耐摩耗能力を高めるための耐摩耗装置が提供されたロータ100を表す。ロータ100は、上記のような一体構成ロータとして示され、このロータは、1又は2以上のブレード104を備えている。ロータは、当技術分野で知られている構成から選択できることが理解される(例えば、ロータは、接線ロータ、メッシュロータ、又は等価のロータとすることができる)。ロータ100は、鋼(普通鋼又は高張力鋼)などの金属材料でできている。別の金属又は同等材料(例えば、ステンレス鋼、チタン、その他)を使用できることが理解される。既知の化学保護コーティングは、ロータ100の任意の部分に追加することができる。
【0028】
耐摩耗装置の配置及び取り付けは、ブレード104の先端104aを基準にして実現される。ロータ100は、プレート110との接続を可能にするブレード104の先端104aを作成するように機械加工されている。ロータ100の回転軸に垂直な平面において、104aの輪郭の曲率は、ロータの曲率中心及び曲率半径によって定められる。
【0029】
再び図3及び更に図4及び図5、並びに図9を参照すると、耐摩耗装置は、ロータ100に取り外し可能に固定されたプレート110を含む。プレート110の輪郭は、プレートの下面112及び上面114によって定められる。下面112は、ブレード104(及び/又は幾つかの実施形態ではブレード104’)でのプレート110の直接配置を容易にするために、先端104aの曲率と相補的な曲率を有する。図9では、表面112と表面104aの接合部が円形とすることができ、このことは、ロータ100及びプレート110の機械加工を容易にすることが理解される。
【0030】
上面114は、容器壁の曲率と相補的な曲率を有して、上面と容器壁との間で、プレート110と容器壁との間に混合物の通過を可能にする最小距離のゾーンを定める。ロータ100の回転軸に垂直な平面において、プレート110の輪郭は、プレートの所定の曲率中心及びプレートの予め定められた曲率半径によって定められる。図示の実施形態では、プレート110の輪郭は、プレート輪郭が螺旋に近似するように時計回り方向に漸次的に増大する曲率半径によって定められる(すなわち、下面112に沿って形成された曲線が、長手方向軸の周りを回転する)。
【0031】
従って、プレート110の輪郭は、当業者によって理解されるように、ロータの幾何学的形状及び容器の幾何学的形状に相補的なものである。図4を参照すると、代表的なロータ100は、耐摩耗装置が取り付けられた1つの機械加工ブレード104と機械加工されていない第2のブレード104’とを有し、両方のブレードは同一の輪郭を有する。図5を参照すると、代表的なロータ100は、耐摩耗装置が第1のブレードに取り付けられた、2つの機械加工されたブレード104を有する。第2のブレードは、耐摩耗装置(図示せず)を直ちに取り付けることができるように機械加工され、両方のブレードが同じ輪郭有するようになっている。2つの代表的なロータ100の場合、ロータの輪郭は一体構成ロータの輪郭に似ている。
【0032】
図6から図9に加えて図3から5を再び参照すると、プレート110は、プレート110の長さに沿って軸方向に延びる冷却チャネル120を有する。冷却チャネル120は、プレート110の輪郭に沿って配置され(図9を参照)、供給導管122に接続される。供給導管122は、対応する冷却剤(水又は他の既知の冷却剤など)を、ロータ100の主導管124からプレート110に送給する(図8を参照)。冷却チャネル120、供給導管122及び主導管124は一緒になってプレート110内に制御回路を形成し、当業者が理解するように、混合サイクル中の混合物の温度を調節する。図示されている実施形態では、プレート110は、4つの冷却チャネル120を有するが、冷却チャネルの数は必要に応じて適応させることができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、本発明はまた、プレート110とロータ100との間のシールシステムに関する。再び図9及び更に図10を参照すると、本発明の1つの実施形態は、供給導管122に対してシールを行うために溝152内に配置されたOリング150を有するシール手段を含む。本実施形態では、溝152は、耐摩耗装置の組み立て・分解時にシールを喪失しないために台形溝である。Oリングは、同等のシール又は他の同等のシール手段と交換できることは理解される。また、溝は、別の有用な幾何学的形状で形成できることは理解される。
【0034】
図11から図13に加えて、図3から図10を再度参照すると、プレート110は、ブレード104の先端104aに取り外し可能に固定される。トルク伝達を達成するために、この固定は、位置決めキー(又は「キー」)130及び1又は2以上のウォームギアシステムを含む機械的締結システムによって行われる。スクリュー組立体タイプの他の機械的締結システムを使用してもよいことは理解される。
【0035】
キー130は、キースクリュー311によって先端104aに固定された所定の全長を有する平行キーによって表される(図6及び7を参照)。キー130は、先端104aの対応する溝(図示せず)に係合し、キーの上面130aが、プレート110の下面112の対応する補強部材112aに係合できるようになる。キーによる固定は、同等のキー(例えば、A、B、Cタイプの平行キー又はディスクキー)によって実行できることは理解される。
【0036】
プレート110をロータ100に取り外し可能に固定するために、ウォームギアシステムを使用して、対応する保持スクリュー137を締結する。保持スクリュー137は、プレート110に挿入されて、ロータ100と係合する(例えば、ロータ100のねじ付きファスナー141と係合することによって)。各保持スクリュー137は、プレート110の上面114の外形に対応するスクリューヘッド137aを有し、混合物保持領域を排除している(例えば、図6及び7を参照)。
【0037】
ウォームギアシステムは、ねじ込み式軸方向ロック要素144及びスクリュー145(図12及び13を参照)を備えたギアホイール143(図11及び12を参照)を含む。ウォームギアシステムは、当業者によって理解されるように、ガイド要素147を有することができる。スクリュー145は、ロータ100に接線方向に挿入され、ねじ込み軸方向ロック要素144によって軸方向にロックされて、スクリュー145の回転によりギアホイール143が回転するようになる。ギアホイール143の内側には、スクリュー145が係合する雌ねじを有する。この構成では、歯付きホイールの回転によりスクリュー137の締結及び緩みを引き起こすことになり、プレート110の固定又は解放、及びひいては必要に応じて交換を可能にする。
【0038】
図14及び15を再び参照すると、本発明の1つの実施形態では、各スクリュー145は、スクリューを保護するスクリュープラグ145aを含む(例えば、図6及び7を参照のこと)。スクリュープラグ145aは、円筒構造145dの外面145cから延びるクランプ要素145bを含む(図14を参照)。円筒構造145dは、ロータ100の対応するねじ149にねじ込まれることになるねじを有する(図13を参照)。クランプ要素145bは、スクリュープラグ145aの締結を容易にする任意の形状を有することができる(例えば、六角形の幾何学的形状を選択することができる)。外面145cの円滑な面を確保するために、締結が所望のトルクに達したときに、クランプ要素145bが破断する(図15を参照)。ウォームギア組立体を緩めると、プラグ145aが破壊されて、スクリュー145にアクセスできるようになる。
【0039】
スクリューヘッド137a及びプラグ145aは、その輪郭に従ってプレート110の上面114に向かって配置される。スクリューヘッド137a及びプラグ145aは、それ自体が耐摩耗装置の一部である。
【0040】
プレート110などの耐摩耗装置を追加すると、一体構成ロータと同じ幾何学的形状となる。従って、添加剤の微小分散(ブレードと容器壁の間の通過によって提供される)及び成分分布(各容器におけるロータ100に沿った容器間の物質移動によって達成される)の効果が損なわれない。
【0041】
プレート110が摩耗すると(ヘッド及びプラグがある場合、又はヘッド及びプラグがない場合の何れか)、現場で介入してプレートを交換する。加えて、ロータの摩耗部分がより簡単に交換できることにより、より頻繁な交換が可能となり、従って、容器壁とロータとの間のギャップの変動が制限される。従って、ゴムの分散、ゴムの混合性能、及びゴムの混合品質を維持しながら、ダウンタイム及びそれに関連するコストが制限される。
【0042】
摩耗の問題は、ロータの正確な寸法に応じて簡単に機械加工及びカスタマイズできる耐摩耗装置により簡単に解決される。開示されたプレートは、新しく購入されたロータだけでなく既に使用されているロータにも極めて短い再稼働時間で適用することができる。製造ロスなしで工業生産を保証するのに必要とされる交換ロータは、本発明の耐摩耗装置にのみ限定することができる。プレート及びロータは、各ロータに少なくとも1つの追加プレートを含む1又は2以上のキットにて提供することができる。従って、プレートは、予想される組み立て/分解に伴う時間及び投資を削減するために、必要に応じて利用可能である。加えて、ロータ先端プレートを使用しても、ロータの動作パラメーターは変わらない。
【0043】
一部のコーティングの追加は、一体鋳造タイプのロータ又はコーティングの追加を妨げるサイズ及び重量を有する他の既知のロータタイプ(例えば、寸法が制限された真空炉)では実施可能ではない。開示された発明は、例えば、これらに限定されないが、物理蒸着(PVD)(例えば、窒化クロム)、化学蒸着(CVD)(例えば、窒化チタン)及びこれらに相当するものを含む、耐摩耗装置コーティングに適用することができる。既にコーティングが組み込まれている装置をキットに追加して、ユーザーが選択できるようにすることができる。
【0044】
「少なくとも1つ」及び「1又は2以上」という用語は同義的に使用される。「aとbの間」として表される範囲は、値「a」及び「b」を含む。
【0045】
開示された装置の特定の実施形態について例示及び説明してきたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、及び修正を行うことができることは理解される。従って、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されたものを除き、記載された発明の範囲に制限を課すべきではない。
【符号の説明】
【0046】
100 ロータ
104 ブレード
110 プレート
112 下面
114 上面
130 位置決めキー
137 保持スクリュー
図1
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