IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 首都高速道路株式会社の特許一覧 ▶ 首都高技術株式会社の特許一覧 ▶ KFケミカル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-エアゾール製品 図1
  • 特許-エアゾール製品 図2
  • 特許-エアゾール製品 図3
  • 特許-エアゾール製品 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230616BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230616BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/63
C09D5/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021109053
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006452
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2021-09-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日 :2021年4月26日 公開場所:KFケミカル株式会社本社(東京都港区新橋1丁目1番1号) 発送日 :2021年4月26日 公開場所:八千代マイクロサイエンス株式会社本社(東京都千代田区神田東松下町29-6) 公開日 :2021年5月16日 公開場所:KFケミカル株式会社本社(東京都港区新橋1丁目1番1号) 発送日 :2021年5月17日 公開場所:株式会社オリジン東京営業所(東京都渋谷区本町4-40-5) 公開日 : 2021年5月17日 公開場所: KFケミカル株式会社本社(東京都港区新橋1丁目1番1号) 発送日 :2021年5月18日 公開場所:株式会社草野測器社 情報技術プラザ(福島県福島市北五老内町5-25)
(73)【特許権者】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513220562
【氏名又は名称】首都高技術株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502371598
【氏名又は名称】KFケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100180943
【弁理士】
【氏名又は名称】河嶋 慶太
(72)【発明者】
【氏名】磯部 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】小杉 剛史
(72)【発明者】
【氏名】半澤 功祐
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 聡
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-188832(JP,A)
【文献】特開2019-167522(JP,A)
【文献】特開2011-235257(JP,A)
【文献】特開2013-076065(JP,A)
【文献】特開2021-007904(JP,A)
【文献】特開2003-292945(JP,A)
【文献】特開2019-026836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-10/00
C09D 100/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤を含む水性塗料と、圧縮ガスを含有したエアゾール組成物を容器に充填してなり、該水性塗料は、合成樹脂、水性溶剤、添加物及び顔料を含み、該添加物は、防錆剤を含んでいることを特徴とするエアゾール製品。
【請求項2】
乳化剤の水性塗料における配合量が、1~10質量%であることを特徴とする請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項3】
圧縮ガスは、容器の内圧が0.5~1.1Mpaとなるように該容器に充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール製品。
【請求項4】
複数のステム孔を有することを特徴とする請求項1~の何れかに記載のエアゾール製品。
【請求項5】
容器内のエアゾール組成物を容器外へ噴射する噴射口が複数設けられていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載のエアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアゾール製品に係り、特に水性塗料を好適にエアゾール化できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来の塗料用エアゾール製品においては、塗料を有機溶剤に配合したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-160878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の有機溶剤を配合したエアゾール組成物は液化ガスに溶解して、エアゾール製品に用いられるという問題点があった。有機溶剤は、人体に悪影響を及ぼすものであり、密閉空間(箱桁内、裏面吸音板内、外部足場内など)での使用は制限が設けられている。また、有機溶剤及び液化ガスは引火性があるため、取り扱い、貯蔵等に種々の制約が設けられている。
【0005】
本発明は、水性溶剤を使用したエアゾール組成物を、エアゾール化することができるエアゾール製品を提供することを目的とする。本発明は、水性溶剤を用いているため、密閉空間での使用が制限されない。また、本発明は、液化ガスを使用していないため、引火の危険がなく、安全に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、乳化剤を含む水性塗料と、圧縮ガスを含有したエアゾール組成物を容器に充填したことを特徴とするエアゾール製品である。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成された本発明のエアゾール製品によれば、水性溶剤を用いてエアゾール組成物をエアゾール化することができるので、密閉空間での使用が制限されず、また、引火の危険がなく、安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明エアゾール製品の一実施の形態を示した概略縦断面図である。
図2】本発明エアゾール製品の一実施の形態を示した概略縦断面図である。
図3】本発明エアゾール製品の実施例を示す写真である。(a)は試験前、(b)は試験後をあらわす。
図4】本発明エアゾール製品の比較例を示す写真である。(a)は試験前、(b)は試験後をあらわす。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について、以下図面(図1及び図2)に基づいて説明する。
本実施の形態にかかるエアゾール製品は、乳化剤を含む水性塗料1と、圧縮ガス2を含有したエアゾール組成物を容器3に充填している。
前記エアゾール製品は、複数のステム孔4を有している。
前記エアゾール製品は、容器内のエアゾール組成物を容器外へ噴射する噴射口5が複数設けられている。
【0010】
本実施例で用いられるエアゾール組成物は、乳化剤を含む水性塗料1と、圧縮ガス2を含有したものからなる。
本実施例で用いられる塗料は、合成樹脂、溶剤、添加物及び顔料の主に4つの成分から構成される。水性塗料とは、溶剤を水又は水を主成分とするものである。これに対し、溶剤として有機溶剤(エチルベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン等)を主成分としているのが溶剤系塗料である。
【0011】
本実施例で用いられる水性塗料1における溶剤は、水又は水を主成分とした水性溶剤である。水以外の成分を用いるときは、労働安全衛生法の特定化学物質障害予防規則(特化則)及び有機溶剤中毒予防規則(有機則)に該当しない成分であることが好ましい。水又は水を主成分とする溶剤は、人体に悪影響を及ぼさず、密閉空間(箱桁内、裏面吸音板内、外部足場内など)での使用は制限されない。また、引火の危険がなく安全に使用することができ、取り扱い、貯蔵等に便利である。
【0012】
本実施例で用いられる水性塗料1における合成樹脂としては、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。塗料の品質、耐久性を考慮して選択する。
例えば、塗装の対象物が、鋼構造物や鉄筋コンクリート構造物等の場合には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が用いられる。高い強度を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0013】
本実施例で用いられる水性塗料1における添加物としては、防錆剤、艶消し剤、界面活性剤、たれ防止剤、消泡剤、色別れ防止剤、防腐剤、防カビ剤、可塑剤、皮張り防止剤、レベリング剤等が挙げられる。塗料の品質安定化、塗装作業の効率化、塗装後の塗料の防護等、塗膜の性能を向上させるために用いる。添加物は用いても用いなくてもよい。これらの添加物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0014】
防錆剤としては、通常、塗料に用いられるものを使用することができる。例えば、エポキシ樹脂系防錆剤、アクリル樹脂系防錆剤等が挙げられる。高い強度を有するエポキシ樹脂系防錆剤が好ましい。アクリル樹脂系防錆剤はアクリル酸エステル類あるいはメタクリル酸エステル類およびこれらの誘導体の一種あるいは二種以上の混合物やこれをスチレンなどで変性したものを主成分としたものである。
【0015】
艶消し剤、界面活性剤、たれ防止剤、消泡剤、色別れ防止剤、防腐剤、防カビ剤、可塑剤、皮張り防止剤、レベリング剤等についても、防錆剤と同様に、通常、塗料に用いられるものを使用することができる。
【0016】
添加物は、水性塗料に乳化剤を含有したとき、すなわち、水性塗料をエマルジョン化したときに、その添加物の性能が有効に発揮される。
【0017】
鋼構造物や鉄筋コンクリート構造物の小規模な発錆に対して、防錆剤を含有したエアゾール製品による塗料の吹き付けで簡易的な応急処置を施すことができる。
【0018】
本実施例で用いられる水性塗料1における顔料は、色彩を付与するものである。顔料は、適宜、用いても用いなくても良い。顔料は、通常、塗料に用いられるものを使用することができる。
【0019】
本実施例で用いられる乳化剤は、アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、双性乳化剤、ノニオン系乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0020】
アニオン系(陰イオン系)乳化剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型等が挙げられる。
【0021】
カルボン酸型の具体例は、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩等である。スルホン酸型の具体例は、ジアルキルスルホこはく酸塩、アルカンスルホン酸、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(分岐鎖)ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩―ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩等である。硫酸エステル型の具体例は、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩等である。リン酸エステル型の具体例は、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等である。
【0022】
カチオン系(陽イオン系)乳化剤としては、アルキルアミン塩型、第四級アンモニウム塩型等が挙げられる。
【0023】
アルキルアミン塩型の具体例は、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩等である。第四級アンモニウム塩型の具体例は、塩化(又は臭化、ヨウ化)アルキルトリメチルアンモニウム、塩化(又は臭化、ヨウ化)ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム等である。
【0024】
双性(両性)乳化剤としては、カルボキシベタイン型、2-アルキルイミダゾリンの誘導型、グリシン型、アミンオキシド型等が挙げられる。
【0025】
カルボキシベタイン型の具体例は、アルキルベタイン、脂肪族アミドプロピルベタイン等である。2-アルキルイミダゾリンの誘導型の具体例は、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキリエチルイミダゾリニウムベタイン等である。グリシン型の具体例は、アルキル(又はジアルキル)ジエチレントリアミノ酢酸等である。アミンオキシド型の具体例は、アルキルアミンオキシド等である。
【0026】
ノニオン系(非イオン系)乳化剤としては、エステル型、エーテル型、エステルエーテル型、アルカノールアミド型等が挙げられる。
エステル型の具体例は、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等である。エーテル型の具体例は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等である。エステルエーテル型の具体例は、脂肪族ポリエチレングリコール、脂肪族ポリオキシエチレンソリビタン等である。アルカノールアミド型の具体例は、脂肪族アルカノールアミド等である。
【0027】
乳化剤の水性塗料1における配合量は1~10重量%である。また、該配合量は3~7重量%とするのが好ましい。さらに、該配合量は4~6重量%とするのがより好ましい。
【0028】
本実施例で用いられる圧縮ガス2は、水素、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。不燃性及び不毒性の窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましい。さらに、入手しやすさから、窒素がより好ましい。
【0029】
容器3内の圧縮ガス2は、該容器3外の気圧より高い状態で充填されている。
【0030】
該容器3に取り付けられるバルブを開放すると、圧縮ガス2の圧力により水性塗料1が霧状に放出される。
【0031】
圧縮ガス2は、容器3の内圧が0.5~1.1Mpaとなるように該容器3に充填されている。また、容器3の内圧は、0.6~1.0Mpaとなるように圧縮ガス2を充填するのが好ましく、容器3の内圧は、0.7~0.9Mpaとするのがさらに好ましい。水性塗料は、圧力がかかり過ぎると固まりやすいからである。エアゾール組成物を均一な霧状にして放出するためである。
【0032】
圧縮ガスの代わりに液化ガス(液化石油ガス(LPG:liquefied petroleum gas)、ジメチルエーテル(DME:dimethyl ether)等)を用いた場合、液化ガスは、乳化剤を含有する水性塗料(エマルジョン塗料)と反応してしまい、水性塗料が凝集固化してエアゾール化することが困難であった。圧縮ガスは、乳化剤を含有する水性塗料(エマルジョン塗料)と反応しないため、水性塗料をエアゾール化することができる。
【0033】
水性塗料は、圧力をかけると凝固しやすい。水性塗料に乳化剤を添加すると、水性塗料に圧力をかけても凝固しない。
【0034】
本実施例で用いられる容器3は、エアゾール組成物が充填される耐圧性の容器である。該容器3の開口部には、バルブが装着される。該バルブにはボタン6が取り付けられる(図1)。
該容器3の材質は特に限定されない。例えば、アルミニウム、ブリキ、スチール等の金属、耐圧性の合成樹脂、耐圧性のガラス等が挙げられる。
【0035】
該バルブは、主にステム7、ステムガスケット8、ハウジング9、ディップチューブ10から構成される。
【0036】
ハウジング9は、略筒状であり、ステム7とスプリング11が収納されている。ハウジング9の下端には、ディップチューブ10が接続されている。ディップチューブ10を通して水性塗料1がハウジング9に流入する。ステム7は、略円筒状である。ステム7の中空部はエアゾール組成物が通過するステム通路である。ステムの側面から内面にかけて、貫通したステム孔4が設けられている。ステム孔4は複数設けられている。ステム孔4を通じてハウジング内のエアゾール組成物がステム通路へ移動するように構成されている。ステム7の上端には、ボタン6が装着される。ステムガスケット8は、ステム孔4及びステム孔4の周囲に取り付けられ、容器内のエアゾール組成物が外部に漏れないように密閉されている。ステムガスケット8はリング状である。ハウジング9の側面には、圧縮ガス2をハウジング9内に導くための貫通したガス導入孔12が設けられている。ボタン6には複数の噴射口5が設けられている。噴射口5は、水性塗料を粉砕すると共に、圧縮ガスの急激な膨張によって水性塗料を霧状にして容器外部に放出する。
【0037】
ステム孔4の断面形状は特に限定されない。例えば、円形、楕円形、多角形等が挙げられる。ステム孔4の断面積は、0.3~0.7mmであることが好ましい。また、ステム孔4の断面積は、0.4~0.6mmであることがより好ましく、0.45~0.55mmであることがさらに好ましい。ハウジング9内のエアゾール組成物を円滑且つ効率的にステム通路へ移動させるためである。また、ステム孔4がエアゾール組成物により詰まらないようにするためである。
【0038】
噴射口5の形状は特に限定されない。例えば、円形、楕円形、多角形等が挙げられる。噴射口5の断面積は、0.3~0.7mmであることが好ましい。また、噴射口5の断面積は、0.4~0.6mmであることがより好ましく、0.45~0.55mmであることがさらに好ましい。水性塗料1を均一な霧状にするためである。また、噴射口5がエアゾール組成物により詰まらないようにするためである。
【0039】
エアゾール製品を使用するには、ボタン6を容器方向に押す。ボタン6を押すと、ステム7が下がり、ステム孔4がステムガスケット8から離れる。それにより、ステム孔4とステム通路を通して、容器3の内外が連通される。圧縮ガス2の圧力によってディップチューブ10を介してハウジング9内に充填されていた水性塗料1が、ガス導入孔12から注入される圧縮ガス2と共にステム孔4からステム通路へ導かれる。ステム通路を通ったエアゾール組成物は、ボタン6の噴射口5から外部に噴出される(図2)。
【0040】
ボタン6を離すと、ハウジング9内のスプリング11に押し戻されてステム7が上がり、ステム孔4がステムガスケット8で塞がり、エアゾール組成物の噴出が止まる(図1)。
【0041】
ステム7にステム孔4を複数設けると、ステム孔4が1の場合に比べて、エアゾール組成物をステム通路へ効率よく導くことができる。また、一部のステム孔4が目詰まりしても、他のステム孔4によりエアゾール組成物の流路が確保され、エアゾール製品としての耐久性が向上する。
【0042】
ボタン6に噴射口5を複数設けると、噴射口5が1の場合に比べて、エアゾール組成物を効率よく外部へ噴出することができる。また、一部の噴射口5が目詰まりしても、他の噴射口5によりエアゾール組成物の流路が確保され、エアゾール製品としての耐久性が向上する。
【実施例
【0043】
実施例により本発明を具体的に説明する。本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
【0044】
(実施例)
塗料一般試験法(JIS K 5600 7-9)を行った。
以下の処方に従い、水性塗料を調整した。100gの水性塗料及び圧縮ガスをアルミニウム製耐圧容器に充填した。次に、該容器の開口部にバルブを装着して、ボタンを取り付けてエアゾール製品完成した。該容器内の圧力は、0.8MPa(25℃)とした。
【0045】
「水性塗料」
精製水(イオン交換水(標準イオン交換水)、KFケミカル株式会社製):40質量%
乳化剤:5質量%
合成樹脂(アクリル樹脂(サビナー樹脂)、KFケミカル株式会社製):25質量%
防錆剤(リン酸アルミニウム(リン酸塩K)、テイカ株式会社製):5質量%
顔料(酸化チタン、カーボンブラック(汎用酸化チタン、三菱カーボンブラック)、テイカ株式会社、三菱ケミカル株式会社製):19.7質量%、0.3質量%
その他添加剤:5質量%
合計:100質量%
「圧縮ガス」
窒素(窒素ガス(標準窒素ガス)、大陽日酸株式会社製)
【0046】
上記エアゾール製品を試験体(ブラスト処理鋼板)に吹き付けて塗膜を形成した。エアゾール組成物は凝固することなく、噴射され、塗装面はむらのないものであった。塗膜の厚さは、40μmである。試験体は2種類使用した。試験体1は塗装面に切れ込みを入れた(図3(a)(b)の上半分)。試験体2は塗装面をそのまま用いた(図3(a)(b)の下半分)。
【0047】
試験期間は、7日間(168時間)行った。すなわち、
第1段階:0.5時間、30±2℃、(条件)塩水(塩分濃度50±10g/L(5±1%))噴霧
第2段階:1.5時間、30±2℃、(条件)湿潤(95±3)%RH
第3段階:2時間、50±2℃、(条件)熱風乾燥
第4段階:2時間、30±2℃、(条件)温風乾燥
第1段階から第4段階まで順に試験を行うと6時間要する(これを1サイクルとする)。第4段階が完了したら第1段階へ戻り、繰り返し28サイクル行った。
【0048】
(比較例)
塗料一般試験法(JIS K 5600 7-9)を行った。
以下の処方に従い、水性塗料を調整した。100gの水性塗料及び圧縮ガスをアルミニウム製耐圧容器に充填した。次に、該容器の開口部にバルブを装着して、ボタンを取り付けてエアゾール製品完成した。該容器内の圧力は、0.8MPa(25℃)とした。
【0049】
「水性塗料」
精製水(イオン交換水(標準イオン交換水)、KFケミカル株式会社製): 60質量%
合成樹脂(アクリル樹脂(サビナー樹脂)、KFケミカル株式会社製):30質量%
防錆剤(リン酸アルミニウム(リン酸塩K)、テイカ株式会社製): 5質量%
その他添加剤: 5質量%
合計:100質量%
「圧縮ガス」
窒素(窒素ガス(標準窒素ガス)、大陽日酸株式会社製)
【0050】
上記エアゾール製品を試験体(ブラスト処理鋼板)に吹き付けて塗膜を形成した。エアゾール組成物は凝固することなく、噴射され、塗装面はむらのないものであった。塗膜の厚さは、40μmである。試験体は2種類使用した。試験体3は塗装面に切れ込みを入れた(図4(a)(b)の上半分)。試験体4は塗装面をそのまま用いた(図4(a)(b)の下半分)。
【0051】
試験期間は、7日間(168時間)行った。段落番号[0047]と条件は同様である。
【0052】
試験結果
試験体1には膨れはなく、錆幅は1.0mm以下であった。
試験体2には、錆、膨れ、割れ、剥がれ等の欠損はなく、塗装面に異常がないことが確認できた。
試験体3には、錆、膨れ、割れ、剥がれ等の欠損が顕著にあらわれた。
試験体4には、錆、膨れ、割れ、剥がれ等の欠損があらわれた。
【0053】
以上より、乳化剤を含む水性塗料と、圧縮ガスを含有したエアゾール組成物を容器に充填したエアゾール製品は、安全に使用することができると共に、塗料としての性能も発揮していることが確認できた。
【符号の説明】
【0054】
1 水性塗料
2 圧縮ガス
3 容器
4 ステム孔
5 噴射口
6 ボタン
7 ステム
8 ステムガスケット
9 ハウジング
10 ディップチューブ
11 スプリング
12 ガス導入孔
図1
図2
図3
図4