(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】横型ブラインド
(51)【国際特許分類】
E06B 9/324 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
E06B9/324
(21)【出願番号】P 2021139490
(22)【出願日】2021-08-30
(62)【分割の表示】P 2017092016の分割
【原出願日】2017-05-03
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2016100018
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016191580
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】植松 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】平林 雅勝
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-282765(JP,A)
【文献】特開平07-082972(JP,A)
【文献】特開2004-076517(JP,A)
【文献】特開2006-177016(JP,A)
【文献】特開2005-030084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24-9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックス内の操作部から操作棒を経て外部へと導出される複数の昇降コードを有する横型ブラインドであって、
ヘッドボックス内の複数の昇降コードを第1のコード配列で導入し、連結される操作棒を経て外部へと導出するよう案内する操作部と、
ヘッドボックス内に配置され、前記操作部に対して複数の昇降コードを前記第1のコード配列とは幾何学的に異なる第2のコード配列で案内する機能部とを備え、
当該操作部を前記ヘッドボックスの
長手方向の一端にて当該操作部に連結される前記操作棒の前後位置転換
を行う当該操作部の配置転換の前後で、前記第1のコード配列と、前記第2のコード配列は、互いの相対関係で、当該操作部の配置転換の前後のいずれの状態でも当該操作部及び前記機能部間において当該複数の昇降コード間での接触擦れが無いようにした予め定めた配列を有することを特徴とする横型ブラインド。
【請求項2】
前記第2のコード配列は、当該複数の昇降コードが鉛直方向に略一列で配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の横型ブラインド。
【請求項3】
前記第1のコード配列は、水平を除く所定角度で傾斜した略一列で配置されており、
前記第2のコード配列において前記複数の昇降コードとして上方から下方に向かう順に第1の昇降コード、第2の昇降コード、及び第3の昇降コードの3本が配列され、
前記第1のコード配列において上方から下方に向かう順に前記第2の昇降コード、前記第1の昇降コード、前記第3の昇降コード、或いは前記第1の昇降コード、前記第3の昇降コード、前記第2の昇降コードとなるように配列されていることを特徴とする、請求項2に記載の横型ブラインド。
【請求項4】
前記機能部は、速度調整装置又はストッパー装置からなることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の横型ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作棒を経て昇降コードの移動を手引き操作する横型ブラインドに関し、特に、昇降コードの移動速度を制限してスラットの下降時の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置を備える横型ブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
横型ブラインドは、ヘッドボックスから吊り下げられるラダーコードに支持された多数段のスラットを昇降させたり、チルトさせたりすることによって、室内に取り込む日射量の調整が可能となっている。
【0003】
例えば、ラダーコードの下端にボトムレールが配置され、ボトムレールに取着された昇降コードをヘッドボックス内への引き込み及びヘッドボックスからの引き出しを行うことによって、ボトムレールを昇降させることによりスラットを昇降させることができる。
【0004】
このような横型ブラインドの一種として、操作棒を経て昇降コードの移動を手引き操作するものがある。この横型ブラインドでは、ボトムレールに一端部を取着した複数の昇降コードの各々の他端部はヘッドボックス内の操作部へと案内され、この操作部を介してヘッドボックスの外部へ導出される。
【0005】
操作部には、ヘッドボックス内にギヤ機構が配設される。そのギヤ機構の入力軸は、ヘッドボックスに設けられた開口部からヘッドボックス外へ突出され、その入力軸の先端に操作棒が連結される。この操作棒の回転操作により、スラットの角度調節を可能としている。
【0006】
特に、操作部を介して導出される複数の昇降コードの末端は当該操作棒内に案内されて、操作棒の下端部において、つまみに接続する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
そして、当該昇降コード或いは当該つまみを操作して、昇降コードをヘッドボックスから引き出せば、ボトムレールが引き上げられて、スラットが上昇する。
【0008】
尚、このような操作棒を経て昇降コードの移動を手引き操作する横型ブラインドでは、ボトムレール及びスラットの自重によりスラットを下降させることになる。このため、ヘッドボックス内には昇降コードの移動をロックするストッパー装置が設けられる。
【0009】
従って、昇降コードの引き出し操作を停止すれば、ストッパー装置が作動して、スラット及びボトムレールの自重降下が防止される。また、ストッパー装置の作動を解除すれば、スラット及びボトムレールはその自重に基づいて下降する。
【0010】
ところで、このようなストッパー装置の作動解除でボトムレール及びスラットの自重によりスラットを自重降下させ、昇降コードの移動を操作することでスラットを上昇させる横型ブラインドに対し、そのスラットの下降を適当な速度で行い得るようブレーキ装置を設ける技法が知られている(例えば、特許文献2,3参照)。
【0011】
このようなブレーキ装置は、昇降コードの移動速度を制限してスラットの下降時の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置として機能するものであり、速度調整装置を設けることで、下降時のみ減速してブレーキ力を働かせ減速してボトムレール及びスラットを降下させることができる。
【0012】
この速度調整装置の設置により、ストッパー装置の作動解除でボトムレール及びスラットがその自重による下降する際に、その下降音やボトムレールの床面との衝突音を軽減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2000-314283号公報
【文献】特開2005-30084号公報
【文献】特開平10-140950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、複数の昇降コードをチルト操作用の操作棒内に案内し、その操作棒の下端部にてつまみに接続することで、昇降コードの移動を手引き操作する横型ブラインドにおいて、昇降コードの移動速度を制限してスラットの下降時の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置が設けられることがある。
【0015】
しかしながら、昇降コードにより吊下支持されるボトムレールを速度調整装置で自重降下を規制するよう構成した際に、この自重降下時に当該操作棒を経てヘッドボックス内の操作部から導出される複数の昇降コードが速度調整装置までの間で絡まり、ボトムレールのスムーズな降下の妨げとなるという問題が発生することがある。
【0016】
特に、速度調整装置に絡み合った複数の昇降コードが侵入すると、各昇降コードに対し均等な抵抗力が加えられずスラットやボトムレールが安定して降下することができなくなる。
【0017】
従って、速度調整装置を備える横型ブラインドにおいて、速度調整装置に侵入する複数の昇降コードに対しより均等な抵抗力が加えられるようにするために、速度調整装置における昇降コードの移動速度を制限するためのローラーが当該複数の昇降コードの各々に対し所定の挟着状態を保つようにする工夫が求められる。
【0018】
また、従来の横型ブラインドでは、ヘッドボックス内の操作部から操作棒を経て外部へと導出される複数の昇降コードについて、当該ヘッドボックス内に配置される速度調整装置又はストッパー装置から操作部へと案内する際に、通常、当該複数の昇降コードの幾何学的なコード配列を維持するよう構成される。幾何学的なコード配列の維持とは、即ち速度調整装置又はストッパー装置における複数の昇降コードの配列順を規定する幾何学性(法則性)と、操作部へのコード導入口となる複数の昇降コードの配列順を規定する幾何学性(法則性)を同じくするように構成することである。
【0019】
しかしながら、操作部の配置転換(操作部に連結される操作棒の前後位置転換による左右操作転換)を可能とする横型ブラインドにおいては、速度調整装置又はストッパー装置にて複数の昇降コードを案内するコード配列と、操作部にて複数の昇降コードを案内するコード配列との組み合わせによっては、操作部の配置転換を行うといずれかの昇降コードが接触して擦れ合い、摩耗するおそれがある。
【0020】
また、速度調整装置の作動時に、前後・左右で横型ブラインド全体としてバランスのよい状態を保つことができず、スラットやボトムレールの不所望な傾斜が生じることがある。
【0021】
そこで、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、複数の昇降コードについて、各昇降コード間の接触擦れを緩和して、より好適には各昇降コード間の接触擦れを無くして、操作部の配置転換を可能とする横型ブラインドを提供することにある。
【0022】
また、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、昇降コードの移動速度を制限してスラットの下降時の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置の作動時でも、前後・左右で全体としてバランスのよい状態を保つよう構成した横型ブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明による横型ブラインドは、ヘッドボックス内の操作部から操作棒を経て外部へと導出される複数の昇降コードを有する横型ブラインドであって、ヘッドボックス内の複数の昇降コードを第1のコード配列で導入し、連結される操作棒を経て外部へと導出するよう案内する操作部と、ヘッドボックス内に配置され、前記操作部に対して複数の昇降コードを前記第1のコード配列とは幾何学的に異なる第2のコード配列で案内する機能部とを備え、当該操作部を前記ヘッドボックスの長手方向の一端にて当該操作部に連結される前記操作棒の前後位置転換を行う当該操作部の配置転換の前後で、前記第1のコード配列と、前記第2のコード配列は、互いの相対関係で、当該操作部の配置転換の前後のいずれの状態でも当該操作部及び前記機能部間において当該複数の昇降コード間での接触擦れが無いようにした予め定めた配列を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明による横型ブラインドにおいて、前記第2のコード配列は、当該複数の昇降コードが鉛直方向に略一列で配置されていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明による横型ブラインドにおいて、前記第1のコード配列は、水平を除く所定角度で傾斜した略一列で配置されており、前記第2のコード配列において前記複数の昇降コードとして上方から下方に向かう順に第1の昇降コード、第2の昇降コード、及び第3の昇降コードの3本が配列され、前記第1のコード配列において上方から下方に向かう順に前記第2の昇降コード、前記第1の昇降コード、前記第3の昇降コード、或いは前記第1の昇降コード、前記第3の昇降コード、前記第2の昇降コードとなるように配列されていることを特徴とする。
【0026】
また、本発明による横型ブラインドにおいて、前記機能部は、速度調整装置又はストッパー装置からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、操作棒を経て昇降コードの移動を手引き操作する横型ブラインドにおいて、操作部の配置転換に係る複数の昇降コードに対し接触擦れが無い又は緩和するようにして、昇降コードの摩耗を抑制することができる。また、速度調整装置の負荷を軽減させつつ、速度調整装置の作動時でも、前後・左右で全体としてバランスのよい状態を保つことができる構成とすることができるので、スラットやボトムレールの不所望な傾斜を抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による一実施形態の横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。
【
図2】(a)は、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおけるヘッドボックス内を部分的に拡大した正面図であり、(b),(c),(d)は、それぞれ部分的に拡大した正面図のA視、B視、C視の側面図である。
【
図3】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドにおけるコード分離部材の構成を示す斜視図と、操作部にコード分離部材を連結した際の正面断面図である。
【
図4】(a)は、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける操作部に連結したコード分離部材を示す側面図であり、(b),(c)は、その比較例1,2をそれぞれ示す側面図である。
【
図5】(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドにおけるコード分離部材の変形例を示す斜視図である。
【
図6】本発明による一実施形態の横型ブラインドにおけるコード分離部材の設置個所を例示する図である。
【
図7】本発明による一実施形態の横型ブラインドにおけるコード分離部材の他の設置個所を例示する図である。
【
図8】(a),(b),(c),(d)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドに適用可能なコード分離部材の概略構成を示す図である。
【
図9】(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける操作部の配置転換の様子を示す図である。
【
図10】(a),(b)は、それぞれ操作部の配置転換時に生じうる複数の昇降コード間の接触擦れの様子を比較例として示す図である。
【
図11】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける操作部の配置転換時に、複数の昇降コード間の接触擦れの無い又は緩和する実施例1のコード配列に関する相対関係(操作部で案内する第1のコード配列と、速度調整装置で案内する第2のコード配列との相対関係)を示す図である。
【
図12】本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける複数の昇降コードについて、実施例1のコード配列に関する相対関係(操作部で案内する第1のコード配列と、速度調整装置で案内する第2のコード配列との相対関係)を示す図である。
【
図13】本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける複数の昇降コードについて、実施例2のコード配列に関する相対関係(操作部で案内する第1のコード配列と、速度調整装置で案内する第2のコード配列との相対関係)を示す図である。
【
図14】(a)は複数の昇降コードについて操作部の配置転換不能時にて許容される比較例のコード配列に関する相対関係(操作部で案内する第1のコード配列と、速度調整装置で案内する第2のコード配列との相対関係)を示す図であり、(b)は複数の昇降コードについて操作部の配置転換可能時にて許容される実施例3のコード配列に関する相対関係(操作部で案内する第1のコード配列と、速度調整装置で案内する第2のコード配列との相対関係)を示す図である。
【
図15】(a)は複数の昇降コードについて操作部の配置転換不能時にて許容される比較例のコード配列に関する相対関係(操作部で案内する第1のコード配列と、速度調整装置で案内する第2のコード配列との相対関係)を示す図であり、(b)は複数の昇降コードについて操作部の配置転換可能時にて許容される実施例4のコード配列に関する相対関係(操作部で案内する第1のコード配列と、速度調整装置で案内する第2のコード配列との相対関係)を示す図である。
【
図16】(a)は整列部材を本体部に嵌着して一実施形態の速度調整装置を構成する例を示す分解斜視図であり、(b)はその速度調整装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図17】(a)は3本の昇降コードを挿通した一実施形態の速度調整装置の本体部の概略構成を示す斜視図であり、(b),(c)はそれぞれスラットに対する当該3本の昇降コードの垂下位置を例示する図である。
【
図18】(a)は3本の昇降コードのうち2本の昇降コードをヘッドボックスの左端部及び右端部近傍にてそれぞれスラットの前後方向の後縁部で垂下させる構成例を部分的に示す図であり、(b)他の1本の昇降コードをヘッドボックスの左右後方の略中央部にてそれぞれスラットの前縁部で垂下させる構成例を部分的に示す図である。
【
図19】(a)は4本の昇降コードのうちその全ての昇降コードを挿通した一実施形態の速度調整装置の本体部の概略構成を示す斜視図であり、(b)はスラットに対する当該4本の昇降コードの垂下位置を例示する図である。
【
図20】(a)は4本の昇降コードのうち2本の昇降コードをヘッドボックスの左端部及び右端部近傍にてそれぞれスラットの前後方向の略中央部で垂下させる構成例を部分的に示す図であり、(b)他の2本の昇降コードをヘッドボックスの左右後方の略中央部にてそれぞれスラットの前後縁部で垂下させる構成例を部分的に示す図である。
【
図21】(a)は4本の昇降コードのうち2本の昇降コードを挿通した一実施形態の速度調整装置の本体部の概略構成を示す斜視図であり、(b)はスラットに対する当該4本の昇降コードの垂下位置を構成例1として例示する図である。
【
図22】(a)は4本の昇降コードのうち2本の昇降コードを挿通した一実施形態の速度調整装置の本体部の概略構成を示す斜視図であり、(b)はスラットに対する当該4本の昇降コードの垂下位置を構成例2として例示する図である。
【
図23】(a)は6本の昇降コードのうち2本の昇降コードを挿通した一実施形態の速度調整装置の本体部の概略構成を示す斜視図であり、(b)はスラットに対する当該6本の昇降コードの垂下位置を構成例3として例示する図である。
【
図24】(a)は5本の昇降コードのうち3本の昇降コードを挿通した一実施形態の速度調整装置の本体部の概略構成を示す斜視図であり、(b)はスラットに対する当該5本の昇降コードの垂下位置を構成例4として例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の横型ブラインドを説明する。尚、本願明細書中、
図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方をスラット4の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を横型ブラインドの左側、及び、図示右方向を横型ブラインドの右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、
図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0034】
(全体構成)
図1は、本発明による一実施形態の横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。本実施形態の横型ブラインドは、ヘッドボックス1の左右両側及びその中央から吊下支持するラダーコード9を介して多数段のスラット4が吊下支持され、そのラダーコード9の下端にボトムレール5が吊下支持されている。ヘッドボックス1は、複数のブラケット6を介して天井面等の取付面へ固定される。
【0035】
また、ヘッドボックス1の左右両側における室外側のラダーコード9に併設して昇降コード10L,10Rが垂下されるとともに、ヘッドボックス1の中央側における室内側のラダーコード9に併設して昇降コード10Mが垂下され、各昇降コード10L,10R,10Mの下端にボトムレール5が取着されている。
【0036】
ヘッドボックス1内にはラダーコード9及び昇降コード10L,10R,10Mを支持する支持部材13が配設され、この支持部材13には六角棒状の駆動軸12が挿通されている。
【0037】
支持部材13にはラダーコード9の上端を取着するチルトドラム13aが回転可能に支持され、このチルトドラム13aに駆動軸12が相対回転不能に挿通されている。従って、駆動軸12が回転されると、当該チルトドラム13aが回転し、ラダーコード9により吊下支持された多数段のスラット4の角度が同位相で調節されるようになっている。尚、支持部材13には、ボトムレール5に一端を取着する昇降コード10L,10R,10Mの各他端をヘッドボックス1内の長手方向へ案内するよう転向させる転向滑車13bを設けるのが好適である。
【0038】
ヘッドボックス1内の右端側には操作部3が設けられている。ボトムレール5に一端部を取着した複数の昇降コード10L,10R,10Mの各々の他端部は、支持部材13を介してヘッドボックス1内の右端側に案内され、ストッパー装置14及び速度調整装置15を介した後、操作部3へと案内され、この操作部3を介してヘッドボックス1の外部へ導出される。
【0039】
操作部3には、ヘッドボックス1内にギヤ機構(図示せず)が配設される。当該ギヤ機構の入力軸3aは、ヘッドボックス1に設けられた開口部からヘッドボックス1外へ突出され、その入力軸3aの先端に操作棒2が連結される。
【0040】
操作棒2の末端には操作棒2の回転を操作するためのチルト操作グリップ7が取着され、操作棒2の回転が駆動軸12の回転へと伝達するよう構成されている。従って、チルト操作グリップ7を回転操作することで、駆動軸12にその回転を伝達し、支持部材13を介してラダーコード9により吊下支持された多数段のスラット4の角度を調節することができる。
【0041】
当該ヘッドボックス1内で案内された複数の昇降コード10L,10R,10Mは、当該操作部3内に形成されたコード案内経路(図示せず)を経てその入力軸3aから導出され、操作棒2及びチルト操作グリップ7内に挿通された後、チルト操作グリップ7の下端部において、つまみ8に接続される。
【0042】
そして、当該つまみ8を操作して、昇降コード10L,10R,10Mをヘッドボックス1から引き出せば、ボトムレール5が引き上げられて、スラット4が上昇する。操作棒2にはコードフック11が設けられており、引き出された昇降コード10L,10R,10Mをコードフック11に引掛けることで、その取扱いの利便性を高めている。
【0043】
尚、このような操作棒を経て昇降コードの移動を手引き操作する横型ブラインドでは、ボトムレール5及びスラット4の自重によりスラット4を下降させることになる。このため、ヘッドボックス1内には昇降コード10L,10R,10Mの移動をロックするストッパー装置14が設けられる。尚、本例では、ストッパー装置14がヘッドボックス1内の操作部3と昇降コード10Rを支持する支持部材13との間に配置されているが、昇降コード10L,10R,10Mの配回しによっては、ヘッドボックス1内の操作部3と昇降コード10Rを支持する支持部材13との間でなくともよく、昇降コード10R,10Mをそれぞれ支持する支持部材13間や、操作部13の入力軸13a側に設けることもできる。
【0044】
従って、昇降コード10L,10R,10Mの引き出し操作を停止すれば、ストッパー装置14が作動して、スラット4及びボトムレール5の自重降下が防止される。また、ストッパー装置14の作動を解除すれば、スラット4及びボトムレール5はその自重に基づいて下降する。
【0045】
このようなストッパー装置14の作動解除でボトムレール5及びスラット4の自重によりスラット4を自重降下させ、昇降コード10L,10R,10Mの移動を操作することでスラット4を上昇させることができる。本実施形態における横型ブラインドでは、そのスラット4の下降を適当な速度で行い得るよう、ヘッドボックス1内の操作部3と昇降コード10Rを支持する支持部材13との間に、昇降コード10L,10R,10Mの移動速度を制限してスラット4の下降時の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置15が設けられる。この速度調整装置15を設けることで、下降時のみ減速してブレーキ力を働かせ減速してボトムレール5及びスラット4を降下させることができる。
【0046】
この速度調整装置15の設置により、ストッパー装置14の作動解除でボトムレール5及びスラット4がその自重による下降する際に、その下降音やボトムレール5の床面との衝突音を軽減させることができる。
【0047】
ところで、本実施形態の横型ブラインドのように、複数の昇降コード10L,10R,10Mをチルト操作用の操作棒2及びチルト操作グリップ7内に案内し、そのチルト操作グリップ7の下端部にてつまみ8に接続し、昇降コード10L,10R,10Mにより吊下支持されるボトムレール5を速度調整装置15で自重降下を規制するよう構成すると、この自重降下時に当該操作棒2を経てヘッドボックス1内の操作部3から導出される複数の昇降コード10L,10R,10Mが速度調整装置15までの間で絡まり、ボトムレール5のスムーズな降下の妨げとなるという問題が発生することがある。
【0048】
特に、速度調整装置15に絡み合った複数の昇降コード10L,10R,10Mが侵入すると、各昇降コード10L,10R,10Mに対し均等な抵抗力が加えられずスラット4やボトムレール5が安定して降下することができなくなる。
【0049】
この問題を解決するため、本実施形態の横型ブラインドでは、ヘッドボックス1内の操作部3と速度調整装置15との間に、
図2に示すようなコード分離部材50が設けられる。
【0050】
(コード分離部材)
図2(a)は、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおけるヘッドボックス1内を部分的に拡大した正面図であり、
図2(b),(c),(d)は、それぞれ部分的に拡大した正面図のA視、B視、C視の側面図である。
【0051】
図2(a)を参照するに、コード分離部材50が、速度調整装置15の載置側にて操作部3に連結されている。本例では、操作部3の入力軸3aを経てヘッドボックス1内へと案内される複数の昇降コード10L,10R,10Mは、操作部3内の滑車31を経てコード分離部材50を経由した後、速度調整装置15に侵入し、その後、ストッパー装置14を経て、複数の昇降コード10L,10R,10Mをそれぞれ吊下する支持部材13へと案内される。
【0052】
図2(b)に示すように(
図2(a)におけるA視)、ストッパー装置14には、その略直方体状の本体ケースの左右方向でコード導入口14aが設けられる。昇降コード10L,10R,10Mは、ストッパー装置14における右方のコード導入口14aから導入されると当該本体ケースに支持される案内ローラー14bにより略水平方向へ並べて案内される。
【0053】
また、
図2(c)に示すように(
図2(a)におけるB視)、速度調整装置15には、各昇降コード10L,10M,10Rに対し均等な抵抗力が加えられるよう挿通可能とするそれぞれのコード挿通口15d,15e,15fが鉛直方向へ並設されている。また、速度調整装置15における昇降コード10L,10R,10Mの移動速度を制限するためのローラー15a,15bが複数の昇降コード10L,10R,10Mの各々に対し所定の挟着状態を保つよう上下方向に中心軸を有するよう縦向きに配置されている。ローラー15a,15bは、ボトムレール5の自重降下方向に対応する移動方向へ昇降コード10L,10R,10Mが移動するとき、その速度を一定値以下とするよう制動するように一対のローラー15a,15bにはブレーキ力が発生させる遠心ブレーキ式の制動機構15cが設けられている。この制動機構15は、ボトムレール5の引き上げ方向に対応する移動方向へ昇降コード10L,10R,10Mが移動するとき、その移動を滑らかとするよう一対のローラー15a,15bにはブレーキ力がほぼ発生しない状態まで緩和するようになっている。
【0054】
また、
図2(d)に示すように(
図2(a)におけるC視)、コード分離部材50が、速度調整装置15の載置側にて操作部3に連結されている。コード分離部材50は、詳細は後述するが、操作部3から速度調整装置15までの間に、複数の昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離するコード案内経路S1,S2,S3を形成するためのケース部材51と、第1案内バー52aと、第2案内バー52bを備えている。また、コード分離部材50は、複数の昇降コード10R,10M,10Lとは分離して操作部3内のギヤ機構に連結される駆動軸12を相対回転可能に挿通できるようになっている。このため、コード分離部材50が操作部3に連結された状態でも、六角状の駆動軸12と相対回転不能に係合可能とする六角孔32aを有する軸受部32、及び六角孔33aを有する軸受部33が露出される。尚、六角孔32aを有する軸受部32は、操作部3をヘッドボックス1の右端側に設置した場合に六角状の駆動軸12と相対回転不能に係合させるのに利用され、六角孔33aを有する軸受部33は操作部3をヘッドボックス1の左端側に設置した場合に六角状の駆動軸12と相対回転不能に係合させるのに利用される。
【0055】
図3(a)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドにおけるコード分離部材50の構成を示す斜視図であり、
図3(b)は、操作部3にコード分離部材50を連結した際の正面断面図である。
【0056】
まず、
図3(a)を参照するに、コード分離部材50は、複数の昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離するコード案内経路S1,S2,S3を形成するためのケース部材51と、直線棒状の第1案内バー52と、凸状に曲げられた曲線棒状の第2案内バー53を備えている。
【0057】
ケース部材51は、複数の昇降コード10R,10M,10L、及び駆動軸12を併せて挿通可能な挿通孔511が設けられ、操作部3に対し位置決めするための突出棒514と、操作部3の左側面に対し連結嵌合させるための爪部513が形成されている。この突出棒514及び爪部513の作用により、上下・左右・前後にガタツキなく操作部3に連結される(
図3(b)参照)。
【0058】
また、
図3(b)に示すように、第1案内バー52aと第2案内バー52bは、操作部3の左側面に設けられた支持部35によって支持され、ケース部材51の挿通孔511と、第1案内バー52a及び第2案内バー52bの組み合わせで、
図2(d)に示すコード案内経路S1,S2,S3が形成される。尚、ケース部材51には、支持部35を収容する空間部512が形成されているため、ケース部材51を操作部3に対し密着して連結させることができるようになっている。
【0059】
このようにコード分離部材50を操作部3へ連結した状態では、入力軸3aを経て操作部3内へと案内される複数の昇降コード10R,10M,10Lは、操作部3内の滑車31を経て転向され、ケース部材51の挿通孔511と、第1案内バー52a及び第2案内バー52bの組み合わせで形成されるコード案内経路S1,S2,S3を経てそれぞれ分離されて速度調整装置15へと侵入することになる。即ち、コード分離部材50を用いることで、昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離する空間領域(コード案内経路S1,S2,S3)が確保される。
【0060】
尚、操作部3には、スラット4の角度調節を可能とするギヤ機構として、チルト操作時の入力軸3aの回転を駆動軸12へ伝達するために、六角孔32aを有する軸受部32に設けられるウォームホィール33と、このウォームホィール33に噛合するウォーム34が設けられている(六角孔33aを有する軸受部33に対しても同様である)。
【0061】
図4(a)は、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける操作部3に連結したコード分離部材50を示す側面図であり、
図4(b),(c)は、その比較例1,2をそれぞれ示す側面図である。
【0062】
まず、
図4(a)に示すように、本発明による一実施形態の横型ブラインドでは、コード分離部材50を操作部3へ連結することで、入力軸3aを経て操作部3内へと案内される複数の昇降コード10R,10M,10Lは、操作部3内の滑車31を経て転向され、ケース部材51の挿通孔511と、第1案内バー52a及び第2案内バー52bの組み合わせで形成されるコード案内経路S1,S2,S3を経てそれぞれ分離されて速度調整装置15へと侵入する。このため、速度調整装置15へ侵入する複数の昇降コード10R,10M,10Lは、その絡まりが防止され、速度調整装置15におけるローラー15a,15bにより、より均等な抵抗力が加えられるようになり、スラット4やボトムレール15の安定した降下性能を実現することができる。
【0063】
一方、
図4(b)に示す比較例1のように、例えば2つのコード案内経路S1,S2を持つコード分離部材50Aを構成した場合を考える。このようなコード分離部材50Aは、例えば本発明に係る
図3(a)に示すコード分離部材50において、凸状に曲げられた曲線棒状の第2案内バー52bの形状をT字状に曲げられた曲線棒状の第2案内バー53に置き換えることで実現可能である。この比較例1の場合では、例えば図示するようにコード案内経路S1に昇降コード10R,10Mを挿通し、コード案内経路S1に昇降コード10Lを挿通することとなるが、2本の昇降コード10R,10Mが絡まりやすく、速度調整装置15におけるローラー15a,15bにより、より均等な抵抗力が加えられなくなり、スラット4やボトムレール15の降下性能の安定性が損なわれる。
【0064】
また、
図4(c)に示す比較例2のように、例えば1つのコード案内経路S1を持つコード分離部材50Bを構成した場合を考える。このようなコード分離部材50Bは、例えば本発明に係る
図3(a)に示すコード分離部材50において、凸状に曲げられた曲線棒状の第2案内バー52bの設置を省くことで実現可能である。この比較例2の場合では、例えば図示するようにコード案内経路S1に昇降コード10R,10M,10Lを挿通することとなるが、3本の昇降コード10R,10M,10Lの全てが絡まりやすく、速度調整装置15におけるローラー15a,15bにより、より均等な抵抗力が加えられなくなり、スラット4やボトムレール15の降下性能の安定性が損なわれる。
【0065】
従って、
図4(a)に示すようにコード分離部材50を構成し、操作部3へ連結することで、速度調整装置15へ侵入する複数の昇降コード10R,10M,10Lは、その絡まりが防止され、速度調整装置15におけるローラー15a,15bにより、より均等な抵抗力が加えられるようになり、スラット4やボトムレール15の安定した降下性能を実現することができる。
【0066】
尚、上述した
図3(a)に示すコード分離部材50の構成例では、ケース部材51と、第1案内バー52a及び第2案内バー52bの組み合わせで昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離する空間領域(コード案内経路S1,S2,S3)を確保する例を説明したが、昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離する構成であれば任意の形態とすることができる。例えば、
図5(a)乃至(c)に示す変形例のコード分離部材50とすることができる。
【0067】
図5(a)に示す一変形例のコード分離部材50は、ケース部材51と、直線棒状体の略中央に1本の昇降コードを挿通可能な四角枠を持つ1つの案内バー52との組み合わせで構成し、これにより昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離する空間領域(コード案内経路S1,S2,S3)を確保する。
【0068】
また、
図5(b)に示す一変形例のコード分離部材50は、ケース部材51と、直線棒状体の略中央に1本の昇降コードを挿通可能なV字枠を持つ1つの案内バー52との組み合わせで構成し、これにより昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離する空間領域(コード案内経路S1,S2,S3)を確保する。
【0069】
また、
図5(c)に示す一変形例のコード分離部材50は、ケース部材51に対し、例えばπ字状の1つの案内バー52を組み付け、或いは一体成形し、これにより昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離する空間領域(コード案内経路S1,S2,S3)を確保する。
【0070】
尚、ケース部材51の形状についても、昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離する構成であればよいことから様々に変更できる。
【0071】
尚、上述した実施形態の例では、操作部3へ連結可能なコード分離部材50を構成する例を説明したが、予め一体型の操作部3を構成してもよいし、各部材から離間して設置可能な部材としてコード分離部材50を構成することもできる。
【0072】
例えば、
図6に示すように、操作棒2を経て案内される昇降コード10R,10M,10Lの移動をつまみ8などにより手引き操作する横型ブラインドでは、操作部3へ連結可能なコード分離部材50と共に、或いは操作部3へ連結可能なコード分離部材50を設けずに、操作部3と速度調整装置15との間の位置P1や、操作部3の入力軸3aの位置P2にて、複数の昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離するコード分離部材50を構成し、設置してもよい。
【0073】
図6に示すように、つまみ8を手放してボトムレール5の下降操作を行うと、ボトムレール5の自重降下方向に対応する移動方向M1へ昇降コード10L,10R,10Mが移動することになるが、つまみ8に一端を取着している昇降コード10L,10R,10Mが自由端となり、昇降コード10L,10R,10Mが絡まりやすい。このため、操作部3へ連結可能なコード分離部材50を設けることで安定した降下性能を実現することができ、或いは操作部3へ連結可能なコード分離部材50を設けずに、操作部3と速度調整装置15との間の位置P1や、操作部3の入力軸3aの位置P2にて、複数の昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離するコード分離部材50を構成し設置することで、安定した降下性能を実現することができる。
【0074】
また、
図7に示すように、つまみ8を用いてボトムレール5の引き上げ操作を行う場合でも、ボトムレール5の引き上げ方向に対応する移動方向M2へ昇降コード10L,10R,10Mが移動することとなるが、その移動を滑らかとするよう速度調整装置15によるブレーキ力がほぼ発生しない状態まで緩和させるためには、より挿通性の良い状態で速度調整装置15に昇降コード10L,10R,10Mを侵入させることが好ましい。これは、ストッパー装置14に対しても同様である。
【0075】
このため、昇降コード10Rを下方へと垂下する支持部材13と速度調整装置15との間、本例では支持部材13とストッパー装置14との間の位置P3や、ストッパー装置14と速度調整装置15との間の位置P4にて、複数の昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離するコード分離部材50を構成し設置することで、安定した降下性能を実現することができる。
【0076】
このようなコード分離部材50は、複数の昇降コード10R,10M,10Lをそれぞれ分離する構造を持つものであれば、例えば
図8(a),(b),(c)にそれぞれ示すように、コード案内経路S1,S2,S3として前後方向(横方向)・上下方向(縦方向)・前後上下方向(縦横方向)とするなど任意である。また、
図8(a),(b),(c)にそれぞれ示す例では、直方体状の本体54にコード案内経路S1,S2,S3を設け、その下面に位置決め用突起部55を設け、ヘッドボックス1の底部に設けた孔部(図示せず)へと係止させる形状を例示しているが、コード分離部材50の形状についても設置個所に適合する形状であればよく、前後・上下・左右のガタツキの無い態様であればよい。
【0077】
(操作部の配置転換)
図9(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける操作部3の配置転換(操作部3に連結される操作棒2の前後位置転換による左右操作転換)の様子を示す図である。
【0078】
操作部3の配置転換について簡潔に説明すると、まず、
図1に示すヘッドボックス1の右端側のボックスキャップ1a及びチルトカバー1bを取り外して、
図9(a)に示すように操作部3を引き出す。続いて、
図9(b)に示すように、操作部3に取り付けられている第1チルトスペーサー36aと第2チルトスペーサー36bを取り外し、操作部3を白抜き矢印方向へ90度回転させる。続いて、
図9(c)に示すように、操作部3に第1チルトスペーサー36aと第2チルトスペーサー36bを再び取り付け、操作部3をヘッドボックス1の右端側へ取り付ける。最後に、
図1に示すヘッドボックス1の右端側のボックスキャップ1a及びチルトカバー1bを再び取り付けることで、操作部3の配置転換が完了する。
【0079】
(配置転換時の比較例)
このような操作部3の配置転換を可能とする横型ブラインドにおいては、速度調整装置15(或いは速度調整装置15を設けないときはストッパー装置14)にて複数の昇降コード10L,10M,10Rを案内するコード配列と、操作部3にて複数の昇降コード10L,10M,10Rを案内するコード配列との組み合わせによっては、操作部3の配置転換を行うといずれかの昇降コード10L,10M,10Rが接触して擦れ合い、摩耗するおそれがある。
【0080】
即ち、比較例として示す
図10を参照するに、ヘッドボックス1内に配置される速度調整装置15(或いは速度調整装置15を設けないときはストッパー装置14)から操作部3へと複数の昇降コード10L,10M,10Rを案内する際に、当該複数の昇降コード10L,10M,10Rの幾何学的なコード配列を維持するよう構成される(
図10(a)参照)。幾何学的なコード配列の維持とは、即ち速度調整装置15(或いは速度調整装置15を設けないときはストッパー装置14)における複数の昇降コード10L,10M,10Rの配列順を規定する幾何学性(法則性)と、操作部3へのコード導入口となる複数の昇降コード10L,10M,10Rの配列順を規定する幾何学性(法則性)を同じくするように構成することであり、このような構成が一般的である。
【0081】
しかしながら、この
図10(a)に示すように幾何学的なコード配列を維持する構成では、
図10(b)に示すように操作部3を白抜き矢印方向へ90度回転させて、操作部3の配置転換を行うと、いずれかの昇降コード10L,10M,10Rが接触して擦れ合い、摩耗するおそれが生じる。
【0082】
(実施例1のコード配列に関する相対関係)
そこで、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける実施例1のコード配列に関する相対関係(操作部3で案内する第1のコード配列と、速度調整装置15で案内する第2のコード配列との相対関係)では、
図11に示すように、操作部3の配置転換時に、複数の昇降コード10L,10M,10R間の接触擦れが無い又は緩和するようになっている。
【0083】
即ち、実施例1として示す
図11を参照するに、ヘッドボックス1内に配置される速度調整装置15(或いは速度調整装置15を設けないときはストッパー装置14)から操作部3へと複数の昇降コード10L,10M,10Rを案内する際に、当該複数の昇降コード10L,10M,10Rの幾何学的なコード配列を異なるものとするよう構成される(
図11(a)参照)。そして、当該操作部3の配置転換時に、操作部3で案内する第1のコード配列と、速度調整装置15で案内する第2のコード配列とが、ヘッドボックス1の前後方向の中心に対し非線対称となる相対関係で、複数の昇降コード10L,10M,10R間での接触擦れが緩和するよう構成されている(
図11(b)参照)。
【0084】
より分かりやすく、
図1にてB視する速度調整装置15と、
図1にてC視する操作部3との実施例1のコード配列に関する相対関係(操作部3で案内する第1のコード配列と、速度調整装置15で案内する第2のコード配列との相対関係)を、
図12に示している。
【0085】
速度調整装置15では、各昇降コード10L,10M,10Rに対し均等な抵抗力が加えられるよう挿通可能とするそれぞれのコード挿通口15d,15e,15fが鉛直方向へ並設されており、これにより当該複数の昇降コード10L,10M,10Rが略一列で配置されて第2のコード配列を構成している。
【0086】
尚、本例の速度調整装置15では、複数の昇降コード10L,10M,10Rが鉛直方向へ並設されている例を示しているが、水平を除く所定角度で傾斜した略一列で配置されている場合では、
図10に示す比較例で説明した場合と同様に、操作部3の配置転換によりいずれかの昇降コード10L,10M,10Rが接触して擦れ合い、摩耗するおそれが生じる。
【0087】
そして、操作部3には、複数の昇降コードをそれぞれ分離して案内可能とするコード案内経路S1,S2,S3を有するコード分離部材50が取着されているが、
図2及び
図4(a)に示す例とは異なり、
図12に示す本実施例1では、コード案内経路S1,S2,S3に対し、それぞれ複数の昇降コード10R,10L,10Mを挿通させて操作部3で案内させる第1のコード配列を構成している。
【0088】
このように、ヘッドボックス1内に配置される速度調整装置15(或いは速度調整装置15を設けないときはストッパー装置14)から操作部3へと複数の昇降コード10L,10M,10Rを案内する際に、当該複数の昇降コード10L,10M,10Rの幾何学的なコード配列を異なるものとするよう構成することで、当該操作部3の配置転換時に、操作部3で案内する第1のコード配列と、速度調整装置15で案内する第2のコード配列とが、ヘッドボックス1の前後方向の中心に対し非線対称となる相対関係で、複数の昇降コード10L,10M,10R間での接触擦れが無い又は緩和するようになる。
【0089】
(実施例2のコード配列に関する相対関係)
また、
図13に示す実施例2のように、操作部3におけるコード分離部材50のコード案内経路S1,S2,S3に対し、それぞれ複数の昇降コード10M,10R,10Lを挿通させて操作部3で案内させる第1のコード配列を構成した場合も同様に、複数の昇降コード10L,10M,10R間での接触擦れが無い又は緩和するようになる。
【0090】
(実施例3のコード配列に関する相対関係)
また、速度調整装置15(或いは速度調整装置15を設けないときはストッパー装置14)において複数の昇降コード10L,10M,10Rが鉛直方向など水平を除く所定角度で傾斜した略一列で配置されている第2のコード配列の場合に、操作部3で案内する第1のコード配列については略一列で配置されている必要はない。
【0091】
例えば
図14(a)には、複数の昇降コード10L,10M,10Rについて操作部3の配置転換不能時にて許容される比較例のコード配列に関する相対関係(操作部3で案内する第1のコード配列と、速度調整装置15で案内する第2のコード配列との相対関係)を示している。
図14(a)に示す操作部3で案内する第1のコード配列については略一列で配置されていないが、その幾何学性(法則性)は、実質的に、速度調整装置15で案内する第2のコード配列と同じくしている。そして、
図14(a)に示す例では、操作部3の配置転換不能時であれば複数の昇降コード10L,10M,10R間での接触擦れが生じないものの、
図14(a)に示すコード配列の相対関係で操作部3の配置転換を行うと、接触擦れが生じてしまう。
【0092】
そこで、実施例3のコード配列に関する相対関係(操作部3で案内する第1のコード配列と、速度調整装置15で案内する第2のコード配列との相対関係)として、
図14(b)に示すように、そのコード配列の相対関係を組み替えることで、操作部3の配置転換時にも、複数の昇降コード10L,10M,10R間での接触擦れが無い又は緩和するようになる。
【0093】
(実施例4のコード配列に関する相対関係)
また、
図15(a),(b)に示すように、4本の昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4を扱う場合も同様に、コード配列の幾何学性の組み替えにより、操作部3の配置転換時にも、複数の昇降コード10L,10M,10R間での接触擦れが無い又は緩和するよう構成することができる。
【0094】
図15(a),(b)では、速度調整装置15(或いは速度調整装置15を設けないときはストッパー装置14)において4本の昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4に対し均等な抵抗力が加えられるよう挿通可能とするそれぞれのコード挿通口15d,15e,15f,15gが鉛直方向へ並設されており、これにより当該複数の昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4が略一列で配置されて第2のコード配列を構成している。また、操作部3には、複数の昇降コードをそれぞれ分離して案内可能とするコード案内経路S1,S2,S3,S4を有するコード分離部材50が取着されている。
【0095】
図15(a)に示す比較例では、複数の昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4について操作部3の配置転換不能時にて許容される比較例のコード配列に関する相対関係(操作部3で案内する第1のコード配列と、速度調整装置15で案内する第2のコード配列との相対関係)を示している。
図15(a)に示す操作部3で案内する第1のコード配列については略一列で配置されていないが、その幾何学性(法則性)は、実質的に、速度調整装置15で案内する第2のコード配列と同じくしている。そして、
図15(a)に示す例では、操作部3の配置転換不能時であれば複数の昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4間での接触擦れが生じないものの、
図15(a)に示すコード配列の相対関係で操作部3の配置転換を行うと、接触擦れが生じてしまう。
【0096】
そこで、実施例4のコード配列に関する相対関係(操作部3で案内する第1のコード配列と、速度調整装置15で案内する第2のコード配列との相対関係)として、
図15(b)に示すように、そのコード配列の相対関係を組み替えることで、操作部3の配置転換時にも、複数の昇降コード10L,10M,10R間での接触擦れが無い又は緩和するようになる。
【0097】
従って、4本以上の昇降コードを扱う場合も同様に、コード配列の幾何学性の組み替えにより、操作部3の配置転換時にも、複数の昇降コード10L,10M,10R間での接触擦れが無い又は緩和するよう構成することができる。
【0098】
〔速度調整装置におけるコード挿通孔の形成例〕
ところで、
図14(a),(b)に示したように、速度調整装置15において、各昇降コード10L,10M,10Rに対し均等な抵抗力が加えられるよう挿通可能とするそれぞれのコード挿通口15d,15e,15fを例えば上下方向へ並設させる構造を有するものとするためには、その速度調整装置15の本体自体にコード挿通口15d,15e,15fを設けることができる。ただし、
図16(a)に示すように、速度調整装置15を分離可能な整列部材15Aと本体部15Bとで構成し、整列部材15Aの形状やコード挿通口の数を随意変更可能とすることで、容易に、
図14(a),(b)に示したコード挿通口15d,15e,15fを並設させる構造や、
図15(a),(b)に示したように4本の昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4に均等な抵抗力が加えられるよう挿通可能とするそれぞれのコード挿通口15d,15e,15f,15gを並設させる構造を得ることができる。
【0099】
図16(a)に示す例では、整列部材15Aを本体部15Bに嵌着して
図16(b)のように速度調整装置15を構成することで、整列部材15Aに設けられるコード挿通孔15e,15fの上下壁を利用して本体部15Bに設けられる縦長のコード挿通口15dを3分割するものとなっており、コード挿通口15d,15e,15fを速度調整装置15にもたらすことができる。
【0100】
より具体的に、
図16(a)に示す整列部材15Aは、概ね4つの縦壁で囲まれて上下に貫通する空洞部15hを内側に持つ略四角箱状に構成され、この空洞部15hに、本体部15Bの上部に位置するスライダー収容部15rを貫通係合させ、本体部15Bの下部に位置するブレーキ収容部15uの上部に載置させることで、
図16(b)のように整列部材15Aが本体部15Bに嵌着される。
【0101】
尚、速度調整装置15の構造自体は本発明に関係しないことから簡潔に説明するが、スライダー収容部15rは、図示しないスライダーを左右方向にスライド移動可能に収容する部位であり、当該スライダーには各昇降コード10L,10M,10Rを挟み込む一対のローラーが収容され、一対のローラーの各ローラー軸が支持されている。また、ブレーキ収容部15uは、当該一対のローラーのうち一方のローラーのローラー軸に遠心ブレーキによって制動トルクを発生させるブレーキ部(図示せず)を収容する部位である。そして、そのスライダー収容部15rの上面には、略左右方向に延び僅かに前後方向に屈曲するハの字溝が形成されており、このハの字溝におけるそれぞれの溝が、当該スライダーに収容される一対のローラーの各ローラー軸をその溝形状に沿って移動可能に軸支するようになっている。このため、各昇降コード10L,10M,10Rが図示右方に速度調整装置15に対し相対移動すると、当該スライダーのスライド移動を伴って当該一対のローラーが各昇降コード10L,10M,10Rを挟み込む押圧力が緩和され非狭圧状態となり、各昇降コード10L,10M,10Rが図示左方に速度調整装置15に対し相対移動すると、当該スライダーのスライド移動を伴って当該一対のローラーが各昇降コード10L,10M,10Rを挟み込む押圧力が強化され狭圧状態となる。これにより、各昇降コード10L,10M,10Rを引き出してスラット3を上昇させる際にはその操作負荷を軽減し、一方、スラット3を下降させる際には、速度調整装置15におけるブレーキ部により、各昇降コード10L,10M,10Rの移動を確実に一定速度以下に制限できるようになっている。
【0102】
そして、
図16(a)に示すように、整列部材15Aにて左右方向に対向する各縦壁には、それぞれ略四角孔状のコード挿通孔15e,15fが設けられている。そこで、
図16(b)に示すように、整列部材15Aにおけるコード挿通孔15e,15fを利用して昇降コード10L,10Mを挿通し、昇降コード10L,10M,10Rを、本体部15Bのスライダー収容部15rの左右方向の各壁部に設けられるコード挿通孔15dに対し案内させることができる。ただし、整列部材15Aにおけるコード挿通孔15e,15fを利用して昇降コード10L,10M,10Rを本体部15Bのコード挿通孔15dに対し分離案内させる配列は、図示する例に限定する必要はなく用途によって変更可能である。このように、整列部材15Aが本体部15Bに嵌着された状態では、各コード挿通孔15e,15f,15dによって昇降コード10L,10M,10Rを確実に分離させて速度調整装置15内でコード同士が絡み合うことが無いようになる。
【0103】
〔速度調整装置のコード配列とスラットに対する昇降コードの垂下位置との関係〕
従って、
図1に示す一実施形態の横型ブラインドにおいて、速度調整装置15を
図16(a), (b)に示す構造の速度調整装置15とすることができる。即ち、
図17(a)に示すように、その本体部15Bに設けられる縦長のコード挿通口15dに対し各昇降コード10L,10M,10Rを挿通し、昇降コード10L,10M,10Rの全てに対し、一方向の移動速度を一定速度以下に制限させることができる。
【0104】
このとき、スラット4に対する昇降コード10L,10M,10Rの垂下位置は、
図1に示す一実施形態の横型ブラインドの例では、例えば
図17(b)に示すように昇降コード10L,10Rについてはスラット4の左右両端部近傍における室外側縁部に設けられた切欠き4aに係合して垂下させ(
図18(a)参照)、昇降コード10Mについてはスラット4の左右方向の略中央部における室内側縁部に沿って垂下させることができる(
図18(b)参照)。或いは切欠き4aを利用せずとも、
図17(c)に示すように昇降コード10L,10Rについてはスラット4の左右両端部近傍における室外側縁部に沿って垂下させ、昇降コード10Mについてはスラット4の左右方向の略中央部における室内側縁部に沿って垂下させることができる。垂下された昇降コード10L,10Rの各端部は、スラット4に対する垂下位置の関係と同様に、それぞれボトムレール5の左右両端部近傍における室外側縁部に取着され、垂下された昇降コード10Mの端部についても、スラット4に対する垂下位置の関係と同様に、ボトムレール5の左右方向の略中央部における室内側縁部に取着される。このように、スラット4に対する昇降コード10L,10M,10Rの垂下位置を前後・左右で全体としてバランスよく配設することで、速度調整装置15の作動時でも、スラット4やボトムレール5の不所望な傾斜を抑制することができる。
【0105】
一方、
図15(a),(b)に例示したように、4本の昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4を用いてスラット4に対し垂下しボトムレール5を支持する構成の場合に、速度調整装置15の本体部15Bに設けられる縦長のコード挿通口15dに対し各昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4を挿通し、昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4の全てに対し、一方向の移動速度を一定速度以下に制限させる構成とすることができる。
【0106】
例えば、
図19(b)に示すように、スラット4の左右両端近傍にて室内側又は室外側のいずれか一方に切欠き4aを設け、そのスラット4の左右両端近傍にて室外側に2本の昇降コード10L,10Rを垂下させ(図示する例では、室外側に切欠き4aを設けて昇降コード10L,10Rを係合させている。)、さらに、スラット4の左右両端と中央部との間にて室内側に2本の昇降コード10‐1,10‐2を垂下させ、合計4本の昇降コードを垂下させる構成とすることができる。この構成では、
図19(a)に示すように、速度調整装置15の本体部15Bに設けられる縦長のコード挿通口15dに対し、その4本の昇降コード10L,10R,10‐1,10‐2を挿通させることができる。
【0107】
しかしながら、4本の昇降コードを速度調整装置15に挿通させる構成では、速度調整装置15の負荷が大きくなるという問題がある。
【0108】
そこで、横型ブラインドにおいて、複数の昇降コード(例えば4本以上)をヘッドボックス1の前後方向に振り分けられて垂下する構成では、速度調整装置15に対し当該複数の昇降コードのうち前側と後側で垂下するそれぞれ少なくとも1本の昇降コードを挿通させて制動させるよう構成する。
【0109】
(構成例1)
例えば、
図1に示す一実施形態の横型ブラインドにおいて、3本の昇降コードを用いる構成とする代わりに例えば4本の昇降コードを用いる構成では、
図20(a),(b)に示すように、スラット4に対する昇降コード10L,10R,10M‐1,10M‐2の垂下位置を前後・左右で全体としてバランスよく配設することで、速度調整装置15の作動時でも、スラット4やボトムレール5の不所望な傾斜を抑制するとともに、この場合に、前側と後側で垂下するそれぞれ少なくとも1本の昇降コードを制動対象とすることで、当該全体としてのバランスの良い状態を保持して、速度調整装置15の負荷が大きくならないように構成することができる。
【0110】
より具体的に、
図20(a)に示すように、4本の昇降コードのうち、ヘッドボックス1の左右両端部近傍からそれぞれ垂下される昇降コード10L,10Rは、スラット4の前後方向の略中央部に設けられた挿通孔4bに挿通されて垂下し、昇降コード10L,10Rの各下端がボトムレール5の前後方向の略中央部に取着される。各スラット4は、ヘッドボックス1の左右両端部近傍及びその略中央部からそれぞれ垂下するラダーコード9の縦糸に対し等間隔に設けられる横糸9aによって吊下支持される。また、ヘッドボックス1の左右方向における略中央部からそれぞれ垂下される昇降コード10M‐1,10M‐2は、
図20(b)に示すようにスラット4の前後方向の各縁部に沿って垂下し、隣接して垂下するラダーコード9の縦糸に設けられたピコと称されるリング状の係合部材20に挿通係合させて、昇降コード10M‐1,10M‐2の各下端がそれぞれボトムレール5の前側部及び後側部に取着されている。
図20(b)に示す例では、前後2本配置で垂下する昇降コード10M‐1,10M‐2の下端はボトムレール5の下端に係回されてループ状に連結しているが、このようにループ状とせずとも単に昇降コード10M‐1,10M‐2の各下端をそれぞれボトムレール5の前側部及び後側部に取着に取着する構成でもよい。
【0111】
そして、
図20(a),(b)に示すように配設されたスラット4に対する昇降コード10L,10R,10M‐1,10M‐2の垂下位置は、
図21(b)に示すようにスラット4の挿通孔4bに通されて垂下するものと縁部に沿って垂下するものとなり、スラット4やボトムレール5に対し前後・左右で全体としてバランスのよい配設が実現される。このとき、
図21(a)に示すように、昇降コード10L,10Rについては速度調整装置15の外部を通るようにし、昇降コード10M‐1,10M‐2のみを速度調整装置15の本体部15Bに設けられる縦長のコード挿通口15dに挿通して、昇降コード10M‐1,10M‐2に対して、一方向の移動速度を一定速度以下に制限させる構成とすることができる。
【0112】
これにより、
図21(a),(b)に示すような構成例1の場合では、速度調整装置15の負荷を軽減させつつ、速度調整装置15の作動時でも、前後・左右で全体としてバランスのよい状態を保つことができるので、スラット4やボトムレール5の不所望な傾斜を抑制できるようになる。
【0113】
(構成例2)
また、
図22(b)に示すように、スラット4の左右両端近傍にて室内側に2本の昇降コード10L‐1,10R‐1と、室外側に2本の昇降コード10R‐2,10R‐2の4本の昇降コードを垂下させる構成では、室内側又は室外側のいずれか一方に切欠き4aを設け(図示する例では、室外側に切欠き4aを設けている。)、
図22(a)に示すように、速度調整装置15の本体部15Bに設けられる縦長のコード挿通口15dに対し、スラット4上で一方の対角関係にある昇降コード(図示する例では、昇降コード10R‐1,10L‐2)を挿通し、他方の対角関係にある昇降コード(図示する例では、昇降コード10R‐2,10L‐1)を速度調整装置15の外部を通るようにする。
【0114】
図22(a),(b)に示すような構成例2の場合も、速度調整装置15の負荷を軽減させつつ、速度調整装置15の作動時でも、前後・左右で全体としてバランスのよい状態を保つことができるので、スラット4やボトムレール5の不所望な傾斜を抑制できるようになる。
【0115】
また、5本以上の昇降コードを用いる構成においても、速度調整装置15の負荷を軽減させつつ、速度調整装置15の作動時でも、前後・左右で全体としてバランスのよい状態を保つことができるよう構成することができる。
【0116】
(構成例3)
図23(b)に示すように、例えば6本の昇降コードを用いる構成において、その6本の昇降コードのうち、ヘッドボックス1の左右両端部近傍からそれぞれ垂下される昇降コード10L,10Rは、スラット4の前後方向の略中央部に設けられた挿通孔4bに挿通されて垂下し、昇降コード10L,10Rの各下端がボトムレール5の前後方向の略中央部にそれぞれ取着される。一方、スラット4の左右両端と中央部との間にて室内側及び室外側のそれぞれに2本ずつ昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4を垂下させ、昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4の各下端がボトムレール5にそれぞれ取着される。従って、合計6本の昇降コードをヘッドボックス1から垂下させ、それぞれボトムレール5に取着する構成とすることができる。
【0117】
この場合、
図23(a)に示すように、昇降コード10‐1,10‐2,10‐3,10‐4のうち、速度調整装置15の本体部15Bに設けられる縦長のコード挿通口15dに対し、スラット4上で一方の対角関係にある昇降コード(図示する例では、昇降コード10‐1,10‐4)を挿通し、他方の対角関係にある昇降コード(図示する例では、昇降コード10‐2,10‐4)を速度調整装置15の外部を通るようにする。また、昇降コード10L,10Rについても、速度調整装置15の外部を通るようにする。
【0118】
図23(a),(b)に示すような構成例3の場合も、速度調整装置15の負荷を軽減させつつ、速度調整装置15の作動時でも、前後・左右で全体としてバランスのよい状態を保つことができるので、スラット4やボトムレール5の不所望な傾斜を抑制できるようになる。
【0119】
(構成例4)
また、
図24(b)に示すように、例えば5本の昇降コードを用いる構成において、その5本の昇降コードのうち、ヘッドボックス1の左右両端部近傍からそれぞれ垂下される昇降コード10L,10Rは、そのスラット4の左右両端近傍における室外側にて垂下させ、それぞれボトムレール5に取着される(図示する例では、室外側に切欠き4aを設けて昇降コード10L,10Rを係合させている。)。一方、他の3本の昇降コードのうち、2本の昇降コード10‐1,10‐2はスラット4の左右両端と中央部との間にて室内側に垂下させ、残り1本の昇降コード10Mはスラット4の左右方向の略中央部の室外側に垂下させ、それぞれボトムレール5に取着される。従って、合計5本の昇降コードをヘッドボックス1から垂下させ、それぞれボトムレール5に取着する構成とすることができる。
【0120】
この場合、
図24(a)に示すように、3本の昇降コード10‐1,10‐2,10Mは速度調整装置15の本体部15Bに設けられる縦長のコード挿通口15dに挿通し、他の昇降コード10L,10Rは速度調整装置15の外部を通るようにする。
【0121】
図24(a),(b)に示すような構成例4の場合も、速度調整装置15の負荷を軽減させつつ、速度調整装置15の作動時でも、前後・左右で全体としてバランスのよい状態を保つことができるので、スラット4やボトムレール5の不所望な傾斜を抑制できるようになる。
【0122】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、3本の昇降コード10R,10M,10Lについて説明したが、2本、或いは4本以上の複数の昇降コードを用いる場合では、その各々の昇降コードを分離するよう構成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明によれば、速度調整装置を備え、操作棒を経て案内される昇降コードの移動をつまみなどにより手引き操作する横型ブラインドにて、複数の昇降コードをそれぞれ分離するよう構成し、その速度調整装置による制動性能を向上させることができるので、このような速度調整装置を備え、操作棒を経て昇降コードの移動を手引き操作する横型ブラインドの用途に有用である。
【符号の説明】
【0124】
1 ヘッドボックス
2 操作棒
3 操作部
4 スラット
5 ボトムレール
6 ブラケット
7 チルト操作グリップ
8 つまみ
9 ラダーコード
10L,10R,10M 昇降コード
10L‐1,10L‐2 昇降コード
10M‐1,10M‐2 昇降コード
10R‐1,10R‐2 昇降コード
10‐1,10‐2,10‐3,10‐4 昇降コード
14 ストッパー装置
15 速度調整装置
50 コード分離部材