(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】見積システム、見積プログラム、及び見積システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230616BHJP
【FI】
G06Q30/0601 310
(21)【出願番号】P 2021192896
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2023-03-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505191168
【氏名又は名称】株式会社ミスミ
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【氏名又は名称】小田原 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】村上 和也
(72)【発明者】
【氏名】菅野 夢大
【審査官】新里 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-211710(JP,A)
【文献】特開2001-060233(JP,A)
【文献】特開2021-105869(JP,A)
【文献】特表2004-505351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システムであって、
前記組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報と、前記部品特定情報によって特定される前記構成部品から構成される前記組立品の仕様を特定するための仕様情報とを取得する取得手段と、
前記部品特定情報によって特定される各構成部品から、前記仕様情報によって特定される仕様に従った前記組立品を組み立てる場合の前記組立費用を、所定の算出規則を用いて算出する算出手段とを備え、
前記算出規則は、前記部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、前記仕様情報に関して前記部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含み、
前記第2規則は、前記仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されており、
前記組立品は、枠体であり、
前記構成部品は、前記枠体を構成するフレームであり、
前記仕様情報は、前記枠体の大きさ及び重量の少なくとも一方であり、
前記枠体の大きさに対応する前記仕様カテゴリは、所定の数値に応じた長さに達しているというカテゴリと、所定の数値に応じた長さに達していないというカテゴリとを含み、前記枠体の重量に対応する前記仕様カテゴリは、所定の数値に応じた重量に達しているというカテゴリと、所定の数値に応じた重量に達していないというカテゴリとを含む、見積システム。
【請求項2】
前記第1規則は、前記部品特定情報に応じて複数の部品カテゴリに区分された部品カテゴリ毎に設定されている、請求項1に記載の見積システム。
【請求項3】
前記算出手段は、前記組立品の組立時間に費用を乗じて前記組立費用を算出し、
前記第1規則は、前記部品候補群の各部品の組立時間を算出するように設定されており、
前記第2規則は、前記第1規則を用いて算出される前記少なくとも一つの部品の組立時間を補正するように設定されている、請求項1又は2に記載の見積システム。
【請求項4】
前記第1規則及び前記第2規則の少なくとも一方は、算出条件を指定する条件規則部と、算出に適用される数値を指定する数値規則部とを含んでいる、請求項3に記載の見積システム。
【請求項5】
前記数値規則部の前記数値の設定変更を受け付ける変更手段を備え、
前記条件規則部が指定する前記算出条件は固定されている、請求項4に記載の見積システム。
【請求項6】
複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システムであって、
前記組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報と、前記部品特定情報によって特定される前記構成部品から構成される前記組立品の仕様を特定するための仕様情報とを取得する取得手段と、
前記部品特定情報によって特定される各構成部品から、前記仕様情報によって特定される仕様に従った前記組立品を組み立てる場合の前記組立費用を、所定の算出規則を用いて算出する算出手段とを備え、
前記算出規則は、前記部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、前記仕様情報に関して前記部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含み、
前記第2規則は、前記仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されており、
前記算出手段は、前記組立品を構成する前記構成部品の中の基本構成部品に対して設定されている前記第2規則に対応する前記仕様情報を参照して、前記組立品の輸送費用をさらに算出する、見積システム。
【請求項7】
コンピュータを備え、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システムの見積プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報と、前記部品特定情報によって特定される前記構成部品から構成される前記組立品の仕様を特定するための仕様情報とを取得する取得手段と、
前記部品特定情報によって特定される各構成部品から、前記仕様情報によって特定される仕様に従った前記組立品を組み立てる場合の前記組立費用を、所定の算出規則を用いて算出する算出手段として機能させ、
前記算出規則は、前記部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、前記仕様情報に関して前記部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含み、
前記第2規則は、前記仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されており、
前記組立品は、枠体であり、
前記構成部品は、前記枠体を構成するフレームであり、
前記仕様情報は、前記枠体の大きさ及び重量の少なくとも一方であり、
前記枠体の大きさに対応する前記仕様カテゴリは、所定の数値に応じた長さに達しているというカテゴリと、所定の数値に応じた長さに達していないというカテゴリとを含み、前記枠体の重量に対応する前記仕様カテゴリは、所定の数値に応じた重量に達しているというカテゴリと、所定の数値に応じた重量に達していないというカテゴリとを含む、見積プログラム。
【請求項8】
コンピュータを備え、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システムの見積プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報と、前記部品特定情報によって特定される前記構成部品から構成される前記組立品の仕様を特定するための仕様情報とを取得する取得手段と、
前記部品特定情報によって特定される各構成部品から、前記仕様情報によって特定される仕様に従った前記組立品を組み立てる場合の前記組立費用を、所定の算出規則を用いて算出する算出手段として機能させ、
前記算出規則は、前記部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、前記仕様情報に関して前記部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含み、
前記第2規則は、前記仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されており、
前記算出手段は、前記組立品を構成する前記構成部品の中の基本構成部品に対して設定されている前記第2規則に対応する前記仕様情報を参照して、前記組立品の輸送費用をさらに算出する、見積プログラム。
【請求項9】
コンピュータを備え、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システムの制御方法であって、
前記コンピュータが、前記組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報と、前記部品特定情報によって特定される前記構成部品から構成される前記組立品の仕様を特定するための仕様情報とを取得し、
前記コンピュータが、前記部品特定情報によって特定される各構成部品から、前記仕様情報によって特定される仕様に従った前記組立品を組み立てる場合の前記組立費用を、所定の算出規則を用いて算出し、
前記算出規則は、前記部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、前記仕様情報に関して前記部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含み、
前記第2規則は、前記仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されており、
前記組立品は、枠体であり、
前記構成部品は、前記枠体を構成するフレームであり、
前記仕様情報は、前記枠体の大きさ及び重量の少なくとも一方であり、
前記枠体の大きさに対応する前記仕様カテゴリは、所定の数値に応じた長さに達しているというカテゴリと、所定の数値に応じた長さに達していないというカテゴリとを含み、前記枠体の重量に対応する前記仕様カテゴリは、所定の数値に応じた重量に達しているというカテゴリと、所定の数値に応じた重量に達していないというカテゴリとを含む、見積システムの制御方法。
【請求項10】
コンピュータを備え、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システムの制御方法であって、
前記コンピュータが、前記組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報と、前記部品特定情報によって特定される前記構成部品から構成される前記組立品の仕様を特定するための仕様情報とを取得し、
前記コンピュータが、前記部品特定情報によって特定される各構成部品から、前記仕様情報によって特定される仕様に従った前記組立品を組み立てる場合の前記組立費用を、所定の算出規則を用いて算出し、
前記算出規則は、前記部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、前記仕様情報に関して前記部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含み、
前記第2規則は、前記仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されており、
前記コンピュータが、前記組立品を構成する前記構成部品の中の基本構成部品に対して設定されている前記第2規則に対応する前記仕様情報を参照して、前記組立品の輸送費用をさらに算出する、見積システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立品の組立費用を見積もる見積システム、見積プログラム、及び見積システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の部材から構成される構造物の設計を支援する設計支援システムが開示されている。そして、設計支援システムは、設計支援プログラムを記憶している記憶装置を備えている。この設計支援プログラムは、仮想的な三次元座標系上における構造物の設計を支援するCADアプリケーションのプログラムである。また、構造物は、例えばアルミフレームにより構成されており、その内部に種々の物品を格納可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の部品を組み立てて構成される組立品を、ユーザが購入する場合に、当該組立品の組立費用を考慮した見積りが必要とされることがある。すなわち、ユーザが組立品を購入するに際しては、当該組立品の部品を購入して自ら組み立てる方法の他に、予め組み立てられた組立品を購入する方法がある。そして、ユーザにとっては、自らが組立品を組み立てるために要する労力と、組立費用とを比較することによって、いずれの方法を採用するのかを決定することが望ましい。そのため、ユーザは、組立費用の見積もりを望むことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る見積システムは、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システムであって、前記組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報と、前記部品特定情報によって特定される前記構成部品から構成される前記組立品の仕様を特定するための仕様情報とを取得する取得手段と、前記部品特定情報によって特定される各構成部品から、前記仕様情報によって特定される仕様に従った前記組立品を組み立てる場合の前記組立費用を、所定の算出規則を用いて算出する算出手段とを備え、前記算出規則は、前記部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、前記仕様情報に関して前記部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含み、前記第2規則は、前記仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されている。
【0006】
また、本発明の一態様に係る見積プログラムは、コンピュータを備え、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システムの見積プログラムであって、前記コンピュータを、前記組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報と、前記部品特定情報によって特定される前記構成部品から構成される前記組立品の仕様を特定するための仕様情報とを取得する取得手段と、前記部品特定情報によって特定される各構成部品から、前記仕様情報によって特定される仕様に従った前記組立品を組み立てる場合の前記組立費用を、所定の算出規則を用いて算出する算出手段として機能させ、前記算出規則は、前記部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、前記仕様情報に関して前記部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含み、前記第2規則は、前記仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されている。
【0007】
また、本発明の他の一態様に係る見積システムの制御方法は、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システムの制御方法であって、前記組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報と、前記部品特定情報によって特定される前記構成部品から構成される前記組立品の仕様を特定するための仕様情報とを取得し、前記部品特定情報によって特定される各構成部品から、前記仕様情報によって特定される仕様に従った前記組立品を組み立てる場合の前記組立費用を、所定の算出規則を用いて算出し、前記算出規則は、前記部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、前記仕様情報に関して前記部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含み、前記第2規則は、前記仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されている。
【発明の効果】
【0008】
これにより、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品を購入する際に、組立費用の見積結果を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される方法又は物の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。
【0011】
[第1実施形態]
図1に示すように、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品の組立費用を見積もる見積システム100には、ユーザ端末40と見積サーバ10が存在している。ユーザ端末40は、組立品を購入するユーザによって管理されている。また、見積サーバ10は、組立品の販売業者等の管理業者によって管理されている。例えば、ユーザは、販売業者から商品としての組立品又は組立品を構成する複数の部品を購入する。そして、販売業者は、ユーザからの求めに応じてサプライヤから商品を調達し、ユーザへ組立品又は複数の部品を販売する。一例として、サプライヤは、商品を供給するために、部品の生産、加工、販売、輸送、又は保管を行う供給業者である。なお、複数の部品の組立は、販売業者が行ってもよく、サプライヤが行ってもよい。
【0012】
見積システム100は、見積サーバ10を備えたネットワークシステム、又はクライアントサーバシステムとして構成されている。見積サーバ10は、サーバ装置として機能し、例えば複数のコンピュータ装置としてのサーバユニット11が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニット11により見積サーバ10が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的に見積サーバ10が構成されてもよい。
【0013】
見積サーバ10は、ユーザ端末40に対して、又はユーザ端末40のユーザに対して、商品の見積サービス及び発注サービスを含む各種サービスを提供する。この見積サービス及び発注サービスは、ネットワーク50を介してユーザ端末40に対してプログラム或いはデータを配信する配信サービスと、ユーザ端末40から受信したデータを保管する保管サービスとを含んでいる。配信サービスは、例えば、アップデート用のデータを配信するサービスである。
【0014】
ユーザ端末40は、ネットワーク接続が可能であるコンピュータ装置である。例えば、ユーザ端末40は、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ41、及び携帯型タブレット端末装置42等を含む。その他に、携帯電話(スマートフォンを含む)のようなモバイル端末装置が、ユーザ端末40に含まれる。ユーザ端末40は、各種のコンピュータプログラムを実装することにより、見積サーバ10が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。また、ユーザ端末40は、見積サーバ10に所定のネットワーク50を介して接続可能である。以下では、ユーザ端末40がパーソナルコンピュータ41である例について主に説明する。
【0015】
ネットワーク50は、見積サーバ10に対してユーザ端末40をそれぞれ接続できるように構成されている。また、ネットワーク50は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成されている。具体的には、LAN(Local Area Network)52が、見積サーバ10とインターネット51とを接続している。そして、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット51と、LAN52とが、ルータ53を介して接続されている。また、ネットワーク50は、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、その他の通信回線、及びそれらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。ユーザ端末40も、インターネット51に接続されるように構成されている。代替的に、見積サーバ10のサーバユニット11は、LAN52に代えて又は加えてインターネット51により、ユーザ端末40と接続されていてもよい。
【0016】
さらに、見積サーバ10は、ユーザ端末40からのアクセスに応じて各種のウェブページをユーザ端末40の表示部に表示させるウェブサーバとして機能する。また、見積サーバ10は、ユーザによる発注に対応して、発注された物品の手配、輸送指示、及び購入代金の請求といった処理を実行する。さらに、見積サーバ10は、ユーザ端末40に対して、又はユーザ端末40のユーザに対して、組立品の設計支援サービスを提供する。例えば、見積サーバ10は、ユーザ端末40に対して配信された設計支援プログラムを介して、ユーザに対して設計支援サービスを提供する。
【0017】
[設計支援サービス]
図2を参照して、組立品の設計支援サービスについて説明する。なお、組立品は、組立品自体が一つのまとまった機能を有する完成品であってもよいし、完成品に組み込まれる一つの物品であってもよい。さらに、組立品は、複数の部品が組み合わさったユニット、治具、装置、及び設備を含む。
図2には、組立品の一例として、複数のフレームを有する枠体を示す組立品画像AIが示されている。また、枠体は物体の一例であるコア機器を収容しており、
図2には、コア機器を示す物体画像OIが示されている。
【0018】
図2に示すような枠体を設計するユーザ端末40は、
図3に示す端末制御部43及び端末記憶部44を備えている。そして、端末制御部43は、端末記憶部44から設計支援プログラム(不図示)を読み込んで、組立品の設計を支援する。例えば、端末記憶部44には、あらかじめ、組立品のテンプレートデータ、及び組立品に収容される物体の物体データ、及び組立品を構成する部品の部品データが記憶されている。代替的に、テンプレートデータ、物体データ及び部品データは、外部装置(例えば、見積サーバ10)から取得されてもよい。
【0019】
図2において、組立品は、12本のアルミフレームから組み立てられている枠体である。そして、各アルミフレームは、不図示のブラケットによって互いに固定されている。具体的に、各アルミフレームは、枠体の各辺の位置に配置されている。また、組立品のテンプレートデータは、組立品に使用される形状に関するCAD(Computer Aided Design)データのテンプレートを含む。一例として、テンプレートデータは、三次元座標系上における組立品の基準位置(例えば、組立品の重心位置)を示す座標値を含む。また、テンプレートデータは、組立品の部品の三次元座標系上における位置を示す座標値を含む。なお、テンプレートとは、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品を簡易的に指定するための雛形である。
【0020】
また、物体データは、設計対象である組立品に収容される物体のCADデータである。そして、物体データは、三次元座標系上における物体の基準位置(例えば、物体の重心位置)を示す座標値を含む。また、物体データは、物体を構成する各部品の三次元座標系上における位置を示す座標値を含んでいてもよい。代替的に、物体データは、組立品に収容されるコア機器の簡易的な外形のCADデータであってもよい。さらに、物体データは、組立品の外部に配置される物体、又は組立品の周囲に配置される物体のCADデータであってもよい。
【0021】
部品データは、組立品を構成するために使用可能な複数の部品候補群から選択可能な各部品のCADデータである。一例として、部品候補群は、アルミフレーム、ブラケット、ボルト、キャップ、及び扉等を含む。さらに、部品候補群は、複数の部材から構成されるユニットを含んでいてもよい。より詳細に、部品候補群は、後入れ式のブラケット、先入れ式のブラインドブラケット、後入れ式のブラインドブラケット、直角接続ブラケット、通常タイプのコーナーブラケット、コーナーブラインドブラケット、補強用フレームブラケット、パネルサポートブラケット、扉用コーナーブラケット、ボルトありフレームキャップ、ボルトなしフレームキャップを含む。
【0022】
さらに、部品候補群は、アンカータイプのアンカースタンド、差し込みタイプのアンカースタンド、アジャスタパッド、安全柵ユニット、キャスタ・アジャスタパッドユニット、ケーブルクランプ、ケーブルフック、コーナーアングル固定式のキャスタ、ねじ込み式のキャスタ、四つ穴固定式のキャスタ、フットベース、フランジ付ナット、先入れ式のナット、後入れ式のナット、ナット付属品、タッピングジョイント、スクリュージョイント、シングルジョイント、センタージョイント、先入れ式のダブルジョイント、後入れ式のダブルジョイント、パラレルジョイント、樹脂製の溝カバー、樹脂製以外の溝カバー、マグネットキャッチ、ブラケット締結式のパネル、フレーム締結式のパネル、クランプ締結式のパネル、パネルクランプ、プレート、板金プレート、片開き扉、両開き扉、折戸扉、片手パネル扉、両手パネル扉、扉用フレーム、T字ボルト、扉スペーサ用の溝カバー、取付プレート、雄螺子タイプ取手、雌螺子タイプ取手、蝶番、打掛錠、及びナット等を含んでいてもよい。
【0023】
端末制御部43は、ユーザによる入力操作がテンプレートデータの読込を行う操作である場合、読み込むテンプレートの形状と、部品の種類と、組立品の大きさ、位置及び姿勢とを認識する。そして、端末制御部43は、テンプレートデータを参照して、組立品に含まれる各部品を三次元座標系上に描画する。これにより、端末制御部43は、ユーザ端末40の端末表示部46(
図3)に組立品画像AIを表示させる。さらに、端末制御部43は、ユーザによる組立品の位置及び姿勢の指定を受け付ける。また、端末制御部43は、ユーザによる入力操作が物体データの読込を行う操作である場合、物体の大きさ、位置及び姿勢を認識する。そして、端末制御部43は、物体データを参照して、物体に含まれる各部分を三次元座標系上に描画する。これにより、端末制御部43は、端末表示部46に物体画像OIを表示させる。さらに、端末制御部43は、ユーザによる物体の位置及び姿勢の指定を受け付ける。
【0024】
また、端末制御部43は、ユーザによる入力操作が部品を配置する操作である場合、部品の配置候補の位置を示す各座標値の範囲を認識する。一例として、配置候補の位置は、物体を囲む位置、及び物体に接する位置である。そして、端末制御部43は、配置候補の位置に配置された部品の画像を、端末表示部46に表示させる。さらに、端末制御部43は、ユーザによる部品の大きさ、位置及び姿勢の指定を受け付ける。このようにして、ユーザは、
図2に示すような、物体の周囲を囲む部品によって構成された組立品を設計できる。なお、端末制御部43は、物体と部品の干渉及び部品同士の干渉の有無を判定することもできる。この干渉が生じている場合、端末制御部43は、ユーザへ警告を提示してもよい。
【0025】
[制御系]
次に、
図3を参照して、見積システム100の制御系の概略構成について説明する。見積管理手段の一例である見積サーバ10は、見積サーバ10の制御手段としてのサーバ制御部13と、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体としてのサーバ記憶部14とを備えている。そして、サーバ制御部13は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部メモリと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)であり、サーバ記憶部14に記憶された見積プログラムPGに基づいて、サーバ装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。なお、サーバ制御部13は、CD、DVD、CFカード、及びUSBメモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0026】
サーバ記憶部14は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を含む。ただし、サーバ記憶部14は、見積サーバ10の一部として設けられる例に限らず、見積サーバ10と協働するデータベースサーバとして設けられてもよい。以下の説明では、CPUが、ROM又はHDDに記憶されたプログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行する例について主に説明する。
【0027】
サーバ制御部13は、コンピュータハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、取得部13A、算出部13B、変更部13C、見積部13D、及び発注部13Eを有している。そして、サーバ記憶部14が記憶している見積プログラムPGは、コンピュータであるサーバ制御部13を、取得手段の一例である取得部13A、算出手段の一例である算出部13B、変更手段の一例である変更部13C、見積手段の一例である見積部13D、及び発注手段の一例である発注部13Eとして機能させる。なお、サーバ制御部13は、上記論理的装置以外にも、ユーザ端末40の操作に応じてウェブページの表示の切り替え等を制御する不図示の論理的装置等を有している。
【0028】
[取得手段]
取得部13Aは、組立品を構成する構成部品を部品候補群の中から特定するための部品特定情報を取得する。また、取得部13Aは、部品特定情報によって特定される構成部品から構成される組立品の仕様を特定するための仕様情報を取得する。一例として、部品特定情報は、複数の部品に対して共通に設定されている部品コード、又は部品毎に設定されている名称、型番若しくは部品識別情報である。また、仕様情報は、組立品の仕様に関連する情報であり、一例として組立品全体又は一部の大きさ(例えば、長さ、幅、高さ、奥行き、内寸、外寸、厚み、及び一辺の長さ等)、重さ(例えば、重量及び質量等)、及び組立品に含まれている各部品の数を示す部品RECORD数等の組立品情報を含む。さらに、仕様情報は、合いマークの有無、使用するナットの配置方法、使用するナットの種類、及び部品(例えば扉)の種類等の組立情報を含む。なお、合いマークは、正しく組み立てるための部品同士の位置合わせのためのマーク、又は組立品に対する物体の位置を示すマークである。
【0029】
例えば、取得部13Aは、ユーザが入力又は指定した部品特定情報(例えば、部品の型番)を取得する。また、取得部13Aは、ユーザが入力又は指定した組立品の仕様(例えば、フレームの長さ等)に基づく組立品情報(例えば、組立品の大きさ等)を仕様情報として取得する。一例として、取得部13Aは、組立品のCADデータから認識される組立品の寸法又は重量等を組立品情報として取得する。また、取得部13Aは、ユーザが入力又は指定した組立品の組立情報(例えば、合いマークの有無等)を取得する。一例として、仕様情報及び部品特定情報は、ユーザが入力した注文を識別する注文識別情報(例えば、注文番号)と関連付けられている。そして、仕様情報及び部品特定情報は、注文情報14Aに含めてサーバ記憶部14が記憶している。なお、注文情報14Aは、注文識別情報と関連付けられた見積結果を示す情報がさらに含まれている。
【0030】
[算出手段]
算出部13Bは、部品特定情報によって特定される各構成部品から、仕様情報によって特定される仕様に従った組立品を組み立てる場合の組立費用を、所定の算出規則を用いて算出する。この算出規則は、部品候補群の各部品に対して設定されている第1規則と、仕様情報に関して部品候補群の少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則とを含む。さらに、第2規則は、仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されている。一例として、算出規則の第1規則及び第2規則は、部品候補群の各部品を特定する部品特定情報(例えば、部品コード)と関連付けられている。そして、サーバ記憶部14は、テーブル形式の算出規則を、見積情報14Bに含めて記憶している。
【0031】
組立品を構成する各構成部品は、部品特定情報によって特定される。そして、ユーザは、各構成部品を、予め設定されている部品候補群の中から選択できる。一例として、仕様カテゴリは、組立品の大きさという組立品情報に応じて、「所定の数値に応じた長さに達している」、及び「所定の数値に応じた長さに達していない」という二つのカテゴリを含む。また、仕様カテゴリは、合いマークの有無という組立情報に応じて、「合いマークがある」及び「合いマークがない」という二つのカテゴリを含む。なお、仕様カテゴリの分類は説明の便宜上であり、テーブルによって区分されていなくともよい。例えば、仕様カテゴリは、算出部13Bが行う条件判定の選択肢によって定義されていてもよい。
【0032】
一例として、第1規則は、部品候補群の各部品に対して設定されている。一つの部品に対して設定されている第1規則は一つであってもよく、複数であってもよい。例えば、アルミフレームに対して、複数の第1規則が設定されていてもよい。また、一例として、第2規則は、一つの部品であるアルミフレームに対して、「合いマークがある」及び「合いマークがない」という二つの仕様カテゴリ毎に設定されている。一つの部品に対して設定されている第2規則は一つであってもよく、複数であってもよい。例えば、「合いマークがある」という仕様カテゴリに対して、複数の第2規則が設定されていてもよい。
【0033】
次に、
図4及び
図5を参照して、第1規則及び第2規則についてさらに詳細に説明する。
図4に示すように、第1規則は、部品特定情報に応じて複数の部品カテゴリに区分された部品カテゴリ毎に設定されている。部品カテゴリは複数存在しており、各部品カテゴリには部品特定情報によって特定される部品が属している。そして、部品カテゴリ毎に第1規則が設定されている。例えば、正方形アルミフレームの部品カテゴリには、「部品数に所定の数値に応じた秒数を乗じる」という第1規則が設定されている。なお、部品特定情報によって特定される複数種類の部品が、同一の部品カテゴリに属していてもよい。例えば、正方形アルミフレームと長方形アルミフレームとは、部品特定情報(例えば、部品の型番)が異なっているが、同一の部品カテゴリ(例えば、アルミフレーム)に属していてもよい。また、複数種類の部品(例えば、正方形アルミフレームと長方形アルミフレーム)が、共通の部品特定情報(例えば、部品コード)によって特定されてもよい。
【0034】
また、
図5に示すように、第2規則は、仕様情報に応じて複数の仕様カテゴリに区分された仕様カテゴリ毎に設定されている。例えば、組立品は、枠体であり、組立品の構成部品は、枠体を構成するフレーム(例えば正方形アルミフレーム)である。この場合、取得部13Aが取得する仕様情報は、組立品の大きさ及び重量の少なくとも一方である。そして、組立品の大きさに対応する仕様カテゴリは、所定の数値に応じた長さに達しているというカテゴリと、所定の数値に応じた長さに達していないというカテゴリとを含む。また、組立品の重量に対応する仕様カテゴリは、所定の数値に応じた重量に達しているというカテゴリと、所定の数値に応じた重量に達していないというカテゴリとを含む。
【0035】
そして、仕様カテゴリ毎に第2規則が設定されており、第2規則は少なくとも一つの部品に対して設定されている。
図5の例では、組立品の長さという仕様情報に対応して、「所定の数値に応じた長さに達している」という仕様カテゴリと、「所定の数値に応じた長さに達していない」という仕様カテゴリが設けられている。そして、「所定の数値に応じた長さに達している」という仕様カテゴリには、「所定の数値に応じた係数を乗じる」という第2規則が設定されている。このように、第2規則は、正方形アルミフレームと長方形アルミフレームに対して設定されている。なお、部品特定情報に特定される複数種類の部品が、同一の仕様カテゴリに属してもよい。例えば、同一の大きさ及び重量の組立品を構成する正方形アルミフレームと長方形アルミフレームとは、同一の仕様カテゴリに属する。
【0036】
具体的に、算出部13Bは、組立品の組立時間に費用を乗じて組立費用を算出する。そして、第1規則は、部品候補群の各部品の組立時間を算出するように設定されている。さらに、第2規則は、第1規則を用いて算出される少なくとも一つの部品の組立時間を補正するように設定されている。例えば、算出部13Bは、ある部品について、仕様情報に基づいて特定される仕様が所定の条件を満たすか否かを判定する。そして、条件を満たす場合、その部品は当該条件に対応する仕様カテゴリに属する。そのため、算出部13Bは、その仕様カテゴリに対して設定されている第2規則を用いて組立時間を補正する。
【0037】
一例として、一つの正方形アルミフレームを使用する場合、算出部13Bは、正方形アルミフレームの数に、所定の数値に応じた秒数(例えば120秒)を乗じるという第1規則を用いて組立時間を算出する。さらに、所定の数値に応じた長さに達しているという条件を満たす場合、算出部13Bは、算出した組立時間に所定の数値に応じた係数(例えば1.5)を乗じるという第2規則を用いて補正する。これにより、算出部13Bは、一つの正方形アルミフレームの組立時間を算出する。さらに、算出部13Bは、算出した組立時間に所定の数値に応じた費用(例えば、1秒当たり2円)を乗じて組立費用を算出する。なお、当該所定の数値は、見積サーバ10の管理者が設定変更できる。
【0038】
このように、算出部13Bは、部品毎に組立時間を算出する。ここで、部品毎に組立時間の算出に考慮すべき事情が異なる。例えば、組立時間を算出するにあたり、重量を考慮すべき部品と、大きさを考慮すべき部品とが存在する。また、取り付けに時間を要する部品については、組立時間を補正して長くする必要がある。そこで、部品毎に特有の事情を考慮して組立時間を算出又は補正することによって、組立時間及び組立費用をより高い精度で算出できる。そのために、部品カテゴリ毎に第1規則が設定されている。
【0039】
そして、算出部13Bは、部品カテゴリ毎に組立時間を算出し、各部品カテゴリの組立費用を合計することによって組立品の組立費用を算出する。また、複数の組立品の組立費用を見積もる場合、算出部13Bは、1台の組立品の組立費用を算出した後に、組立品の台数を乗じて複数の組立品の組立費用を算出する。なお、算出部13Bは、組立品に使用されない追加部品(例えば、予備パーツ)が注文に含まれる場合、追加部品については組立費用を算出しない。すなわち、算出部13Bは、組立品を構成する部品に限って組立費用を算出する。
【0040】
具体例として、
図4に示す第1規則を用いる場合、算出部13Bは、以下のように組立時間を算出する。すなわち、「部品数に所定の数値に応じた秒数を乗じる」という第1規則を用いる場合、取得部13Aは、部品特定情報によって特定される部品が組み立てに用いられる数を取得する。そして、算出部13Bは、予め設定されている変数としての所定の数値に応じた秒数を部品の数に乗じて組立時間を算出する。
【0041】
また、「使用される辺の数に所定の数値に応じた秒数を乗じる」という第1規則を用いる場合、取得部13Aは、組立品のCADデータに基づいて、部品特定情報によって特定される部品が使用される組立品の辺の数を取得する。そして、算出部13Bは、所定の数値に応じた秒数を辺の数に乗じて組立時間を算出する。また、「所定の数値に応じた秒数としてゼロ秒を加算する」という第1規則を用いる場合、算出部13Bはゼロ秒を加算する。この場合、組立時間の増減は生じない。例えば、フレームを取り付ける際にナット及びボルトを使用する場合、フレームの取り付けに要する時間を加算すれば、ナットの取り付けに要する時間を重ねて加算する必要はない。そのため、ナットの組立時間を加算しないように、ゼロ秒を加算する。なお、ゼロ秒を加算するという第1規則は、組立時間を算出しないという規則であってもよい。
【0042】
また、「所定の長さ毎に所定の数値に応じた秒数を乗じる」という第1規則を用いる場合、取得部13Aは、部品特定情報によって特定される部品が使用される数と一つの部品の長さを取得する。さらに、取得部13Aは、部品の数に部品の長さを乗じて組立品における部品の全長を算出する。そして、算出部13Bは、部品の全長を所定の長さで除して得た値に所定の数値に応じた秒数を乗じて組立時間を算出する。なお、上記第1規則は例示であり、他の第1規則が算出規則に含まれていてもよい。また、第1規則は、「所定の大きさ毎に所定の数値に応じた秒数を乗じる」という規則であってもよい。この場合、取得部13Aは、部品特定情報によって特定される部品が使用される数と、部品の大きさ(例えば面積)とを取得する。そして、算出部13Bは、部品の全体の大きさを所定の大きさで除して得た値に所定の数値に応じた秒数を乗じて組立時間を算出する。
【0043】
具体例として、
図5に示す第2規則を用いる場合、算出部13Bは、以下のように組立時間を補正する。例えば、組立品の長さ及び組立品の重量という仕様情報は、正方形アルミフレーム及び長方形アルミフレームに対応している。そのため、取得部13Aは、正方形アルミフレーム及び長方形アルミフレームが構成部品に含まれる場合、組立品のCADデータに基づいて、仕様情報としての組立品の長さ及び組立品の重量を取得する。そして、算出部13Bは、組立品の長さが所定の数値に応じた長さに達しているという条件を満たすか、所定の数値に応じた長さに達していないという条件を満たすかを判定する。そして、所定の数値に応じた長さに達しているという条件を満たす場合、算出部13Bは、算出していた組立時間に第2規則を用いて係数1を乗じる。
【0044】
さらに、算出部13Bは、組立品の長さが所定の数値に応じた重量に達しているという条件を満たすか、所定の数値に応じた重量に達していないという条件を満たすかを判定する。そして、所定の数値に応じた重量に達しているという条件を満たす場合、算出部13Bは、算出していた組立時間に第2規則を用いて係数2を乗じる。正方形アルミフレームを例にすると、算出部13Bは、第1規則を用いて、部品の数に所定の数値に応じた秒数を乗じる。そして、算出部13Bは、算出した秒数に係数1を乗じて、さらに係数2を乗じる。これにより、算出部13Bは、正方形アルミフレームの組立時間を補正する。
【0045】
また、ナットの配置方法という仕様情報は、先入れ式のナットに対応している。そのため、取得部13Aは、先入れ式のナットが構成部品に含まれる場合、仕様情報としてナットの配置方法を取得する。そして、算出部13Bは、ナットの配置方法がナットを単体で配置するという条件を満たすか、ナットを単体で配置しないという条件を満たすかを判定する。そして、ナットを単体で配置するという条件を満たす場合、算出部13Bは、算出していた組立時間に第2規則を用いて係数3としてのゼロを乗じる。この場合、先入れ式のナットの組立時間はゼロとなる。なお、ゼロを乗じるという第2規則は、組立時間を算出しないという規則であってもよい。
【0046】
また、合いマークの有無という仕様情報は、ボルトに対応している。そのため、取得部13Aは、ボルトが構成部品に含まれる場合、仕様情報として合いマークの有無を取得する。そして、算出部13Bは、合いマークがあるという条件を満たすか、合いマークがないという条件を満たすかを判定する。そして、合いマークがあるという条件を満たす場合、算出部13Bは、算出していた組立時間に第2規則を用いて係数4を乗じる。なお、上記係数1から係数4は、同じ数値であってもよく異なる数値であってもよい。
【0047】
このように、算出部13Bは、各部品に対して設定されている第1規則と、少なくとも一つの部品に対して設定されている第2規則であって、仕様カテゴリ毎に設定されている第2規則とを用いて組立費用を算出する。そして、第1規則と第2規則を組み合わせることによって、複雑な算出規則を構成できる。そのため、自由度が高い算出規則を設定して、精度がより高い組立費用を算出できる。すなわち、算出部13Bは、構成部品毎に第1規則を用いて基礎となる組立時間を算出して、さらに特定の構成部品に対して設定されている第2規則を用いて組立時間を補正する。そして、算出部13Bは、算出した組立時間に基づいて組立費用を算出する。このように、構成部品に対して設定されている第1規則と第2規則とは組み合わせることができる。そのため、組立品全体の仕様のみから組立時間を算出する場合と比較して、算出規則の設定の自由度を高めることができる。これにより、算出精度がより高くなるように算出規則を設定できる。
【0048】
さらに、算出部13Bは、組立品の輸送費用を算出する。具体的に、算出部13Bは、組立品を構成する構成部品の中の基本構成部品に対して設定されている第2規則に対応する仕様情報を参照する。そして、算出部13Bは、参照した仕様情報に基づいて、組立品の輸送費用を算出する。このように、算出部13Bは、輸送費用の算出と組立費用の算出とに、共通の仕様情報を参照する。そのため、一度の見積手続の中で、組立費用と輸送費用とを見積もることができる。なお、基本構成部品は、組立品の大部分を占める構成部品である。また、複数種類の部品が基本構成部品に該当してもよい。
【0049】
一例として、正方形のアルミフレームが枠体の基本構成部品である場合について説明する。この場合、取得部13Aは、基本構成部品に対して設定されている第2規則に対応する仕様情報として、枠体の長さ、具体的には縦、横、及び高さの寸法を取得する。さらに、取得部13Aは、枠体の重量を算出して取得する。そして、算出部13Bは、枠体の長さ及び重量という仕様情報を参照して、取得した長さ及び重量の少なくとも一方に対応する輸送手段(例えば、混載便、チャーター便、船便、航空便、10トントラック、又は4トントラック等)を選択する。一例として、長さ及び重量に対応する輸送手段は、テーブルの形式で見積情報14Bに含まれている。なお、長さ及び重量の一方のみを使用する場合、他方の情報の取得は省略できる。また、複数の組立品の輸送費用を見積もる場合、算出部13Bは、一台の組立品の仕様に基づいて、組立品全体の大きさ又は重量等を算出して対応する輸送手段を選択してもよい。
【0050】
さらに、算出部13Bは、ユーザが入力した輸送先の場所と、見積情報14Bに含まれる枠体の輸送元である拠点の場所とに基づいて、輸送距離を算出する。このとき、算出部13Bは、枠体を発送可能な拠点が複数ある場合、輸送先に最も近い拠点から輸送先までの輸送距離を算出する。そして、算出部13Bは、選択した輸送手段に対応する輸送費用のテーブルを参照して、輸送距離に応じた輸送費用を算出する。なお、輸送費用のテーブルは、見積情報14Bに含まれている。このようにして、算出部13Bは、輸送費用を算出できる。なお、輸送費用の算出が不要である場合、例えば、輸送費用が全ての組立品に対して定額である場合、輸送費用の算出処理は省略できる。
【0051】
また、算出部13Bは、組立品の納期を算出する。例えば、算出部13Bは、算出した組立時間を日数に換算して、構成部品の納期の中で最も長い又は遅い納期に加算する。具体的に、組立時間を換算した日数が1日であり、最も長い構成部品の納期が2日である場合、組立品の納期は3日となる。このようにして、算出部13Bは、組立品の納期を算出する。さらに、算出部13Bは、組立又は構成部品の受領に遅延が生じた場合に備えて所定の時間又は日数を納期に加算してもよい。
【0052】
なお、納期は、部品又は組立品としての商品の出荷に要する実働日、商品がユーザに到達する到達日、商品の生産完了日、商品の加工完了日、及び物流拠点に商品が到達する到達日等である。これらの納期は特定の日にち又は時刻であるが、納期は、ユーザによる商品の受領タイミングを特定できる情報であればよく、出荷、到達若しくは完了までに要する時間の長さ、又は輸送に要する時間の長さであってもよい。また、複数の組立品の納期を見積もる場合、算出部13Bは、一台の組立品の組立時間に基づいて、組立品全体の組立時間を算出して加算してもよい。
【0053】
[変更手段]
第1規則及び第2規則の少なくとも一方は、算出条件を指定する条件規則部と、算出に適用される数値を指定する数値規則部とを含んでいる。そして、条件規則部が指定する算出条件は固定されている。一方、数値規則部の数値は変更でき、変更部13Cは、数値規則部の数値の設定変更を受け付ける。一例として、数値の設定の変更は、見積サーバ10の管理者が行う。代替的に、ユーザ又はサプライヤが、数値の設定の変更を行ってもよい。
【0054】
具体的に、「部品数に所定の数値に応じた秒数を乗じる」という第1規則は、「部品数に秒数を乗じる」という算出条件を指定する条件規則部と、「所定の数値」という数値規則部とを含んでいる。また、「所定の数値に応じた係数を乗じる」という第2規則は、「係数を乗じる」という算出条件を指定する条件規則部と、「所定の数値」という数値規則部とを含んでいる。そして、見積サーバ10の管理者は所定の数値を任意の値に設定変更でき、変更部13Cは当該設定変更を受け付ける。なお、変更部13Cは、仕様カテゴリに含まれる所定の数値の設定変更をさらに受け付けてもよい。例えば、変更部13Cは、「所定の数値に応じた長さに達している」という仕様カテゴリの所定の数値の設定変更を受け付けてもよい。なお、第2規則の所定の数値に応じた係数は、1より大きい数値又は1より小さい数値であり、一例として、所定の係数は1.5又は0.5である。
【0055】
[見積手段]
見積部13Dは、組立品の各構成部品の単価と、各構成部品の合計金額と、組立品の見積金額と、組立費用と、輸送費用と、納期とを、見積結果としてユーザに提示する。一例として、見積部13Dは、
図6に示す見積画面に、組立品の各構成部品の単価と、各構成部品の合計金額とを表示することによってユーザに見積結果を提示している。さらに、見積部13Dは、見積結果としての納期(例えば、出荷までに要する実働日の日数等)をユーザに提示する。代替的に、見積部13Dは、電子メール等の他の手段によって通知することにより見積結果をユーザに提示してもよい。
【0056】
例えば、
図6に示す例において、ユーザは10台の組立品を望んでいる。そして、ブラインドブラケットについては、ユーザが望む数量が246個であり、そのうちの240個が10台の組立品を組み立てるために用いられる。また、ユーザは、予備パーツ等の追加部品として、6個のブラインドブラケットを望んでいる。そして、見積画面には、ブラインドブラケットの合計数量246個と、1個当たりの単価500円と、合計金額123000円と、納期として出荷に要する実働日2日間とが部品欄65に表示されている。また、全構成部品の合計金額263000円が見積金額として表示されている。なお、ユーザは、見積画面において追加部品の数量を入力でき、取得部13Aが当該数量を取得する。ただし、ユーザは、見積画面に遷移する前の部品表画面(不図示)において追加部品の数量を入力できてもよい。
【0057】
また、見積画面には、台数入力欄61と、組立見積ボタン62と、まとめ注文ボタン63と、見積確定ボタン64とが設けられている。ユーザは、台数入力欄61に所望の台数を入力でき、取得部13Aが当該台数を取得する。また、ユーザは、見積確定ボタン64を選択して見積りを確定できる。その後、ユーザは、まとめ注文ボタン63を選択して表示される注文画面(不図示)か組み立て前の状態の構成部品を注文できる。なお、まとめ注文ボタン63は、見積りの確定後に表示されてもよい。
【0058】
さらに、組立費用の見積もりを望む場合、ユーザは組立見積ボタン62を選択する。ユーザが組立見積ボタン62を選択すると、見積部13Dは、
図7に示す組立見積画面を表示させる。組立見積画面には、組立品の画像71が表示され、組立品型番等の組立品の情報が表示される組立品情報欄72が設けられている。組立品情報欄72には、見積の有効期限(
図7の例は2023年1月7日)が表示されている。ユーザは、有効期限内に注文をすることによって、見積結果に示される条件に従った組立品を購入できる。
【0059】
また、組立見積画面には、見積中止ボタン73と、情報登録ボタン74とが設けられている。さらに、組立見積画面には、各構成部品の単価等を表示する部品欄75が設けられている。なお、サーバ記憶部14は、組立品型番に紐づけて、組立品を構成する構成部品と、組立品の台数とを記憶している。そのため、ユーザは、同じ構成部品から構成される組立品を同じ台数で注文する場合、前回使用した組立品型番を用いて注文できる。
【0060】
また、ユーザは、見積中止ボタン73を選択して組立見積を中止できる。この場合、見積部13Dは、
図6の見積画面を再度表示させる。さらに、ユーザは、情報登録ボタン74を選択して、組立見積に必要な仕様情報を入力できる。ユーザが情報登録ボタン74を選択すると、見積部13Dは、不図示の入力画面を表示させる。ユーザは、入力画面において、仕様情報及び輸送先の入力を行う。例えば、ユーザは、仕様情報として合いマークの有無を入力すると共に、輸送先の住所を入力する。
【0061】
ユーザが必要な情報を入力すると、算出部13Bが算出処理を行い、見積部13Dは算出部13Bによる算出結果を参照する。この算出結果は、注文情報14Aに含まれている。そして、見積部13Dは、
図8に示す組立見積画面に組立費用を表示させる。すなわち、見積部13Dは、組立見積画面の見積結果欄76に組立費用及び輸送費用を表示させる。さらに、見積部13Dは、組立時間を加味した組立品の納期を組立品情報欄72に表示させる。
図8の例では、構成部品の納期である2日間に、組立時間1日を加算して、組立品の納期が3日間となっている。さらに、組立見積後の組立品情報欄72には、組立品型番と、組立品のCADデータを特定する図面番号とが示されている。
【0062】
また、
図8に示す組立見積画面には、ユーザが入力した住所等の情報を示す入力情報欄77が設けられている。そして、ユーザは、見積結果欄76及び入力情報欄77を確認して、見積反映ボタン78を選択する。これにより、組立見積の結果が見積画面に反映される。そして、ユーザは、見積画面の見積確定ボタン64を選択して見積りを確定できる。その後、見積部13Dは、注文画面(不図示)を表示させる。ユーザは、注文画面から組み立てられた状態の組立品を注文できる。このようにして、見積部13Dは、組立費用等をユーザへ提示する。そのため、ユーザは、別途組立費用の見積を依頼して、回答を受領する必要がない。これにより、確認のための作業及び時間を削減できる。
【0063】
なお、組立見積ができないとき、見積部13Dは、組立見積ができない旨の警告を表示させてもよい。例えば、部品の干渉が生じていて組立品を組立できないとき、正しい位置に部品が配置されていないとき、又は組立品の大きさが輸送可能な大きさを超えるときは、組立見積ができない。代替的に、組立見積ができないとき、見積部13Dは、ユーザが組立見積ボタン62を選択できないようにしてもよい。
【0064】
[発注手段]
発注部13Eは、組立品の発注処理と、まとめ注文に応じた構成部品の発注処理とを行う。例えば、ユーザが組立品の注文をすると、発注部13Eは、ユーザの注文に対応する組立品型番と、購入台数と、構成部品の型番とをサプライヤへ送信する。また、ユーザがまとめ注文をすると、発注部13Eは、ユーザの注文に対応する構成部品の型番と、購入数量とをサプライヤへ送信する。なお、組立品の仕様と、組立品を構成する構成部品の仕様とは、注文情報14Aに含まれている。そして、発注部13Eは、これらの情報も必要に応じてサプライヤへ送信する。代替的に、サプライヤから納品された構成部品を販売業者が組み立てて、ユーザへ輸送してもよい。この場合には、組立品の仕様等のサプライヤへの送信を省略できる。
【0065】
[ユーザ端末]
図3に示すように、ユーザ端末40は、ユーザ端末40を制御する端末制御部43と、制御プログラム及び設計支援プログラムを記憶した端末記憶部44とを備えている。端末制御部43は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータである。また、ユーザ端末40は、端末表示部46及び端末入力部45を備えている。なお、端末入力部45は、キーボード、テンキー及びタッチパネル等であり、ユーザは端末入力部45を用いて仕様情報等を入力する。また、端末表示部46は、見積画面等のウェブページを表示し、ユーザは、表示されたウェブページに従って見積もりの確認等を行う。
【0066】
一例として、端末制御部43のプロセッサは、例えばCPU、又はMPUであり、端末記憶部44に記憶された制御プログラムに基づいて、端末全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。また、端末記憶部44は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM、HDD及びSSD等の記憶装置を含む。なお、端末制御部43は、CD、DVD、CFカード、及びUSBメモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。また、端末記憶部44は、不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体)を含んだ記憶装置である。
【0067】
[算出処理]
図9を参照して、見積システム100における組立費用の算出処理について説明する。ユーザが組立品の構成部品を選択すると、取得部13Aは、ユーザが入力又は指定した部品特定情報を取得する(S101)。例えば、ユーザは、部品表画面において、所望の組立品を構成する構成部品を確認すると共に、追加部品の数を入力できる。また、組立品を構成する構成部品は、組立品を設計する際にユーザが指定できる。そして、取得部13Aは、ユーザが入力又は指定した部品特定情報を取得する。さらに、端末制御部43が、読み込んだ組立品のテンプレートに含まれている構成部品を自動的に選択してもよい。
【0068】
組立費用の見積もりを望む場合、ユーザは組立見積ボタン62を選択する。そして、見積部13Dは、
図7に示す組立見積画面を端末表示部46に表示させる(S102)。ユーザは、情報登録ボタン74を選択して、組立見積に必要な仕様情報(例えば、合いマークの有無)を入力する。そして、取得部13Aは、ユーザが入力した仕様情報を取得する(S103)。さらに、取得部13Aは、ユーザが入力又は指定した組立品の仕様に基づく仕様情報(例えば、組立品の大きさ及び重量)を取得する。
【0069】
そして、算出部13Bは、部品特定情報によって特定される部品の組立時間を、当該部品に対して設定されている第1規則を用いて算出する(S104)。さらに、算出部13Bは、当該部品について、仕様情報に基づいて特定される仕様が所定の条件を満たすか否かを判定する(S105)。そして、条件を満たす場合(S105でYES)、算出部13Bは、当該条件に対応する仕様カテゴリに対して設定されている第2規則を用いて組立時間を補正する(S106)。そして、算出部13Bは、補正後の組立時間に所定の費用を乗じて組立費用を算出する(S107)。一方、条件を満たさない場合(S105でNO)、算出部13Bは、算出した組立時間に所定の費用を乗じて組立費用を算出する(S107)。
【0070】
さらに、算出部13Bは、仕様情報を参照して組立品の輸送手段を選択する。そして、算出部13Bは、ユーザが入力した輸送先の場所と、組立品の輸送元の場所とに基づいて、輸送距離を算出する。続いて、算出部13Bは、選択した輸送手段に対応する輸送費用のテーブルを参照して、輸送距離に応じた輸送費用を算出する(S108)。また、算出部13Bは、算出した組立時間を日数に換算して、構成部品の納期の中で最も長い又は遅い納期に加算することによって、組立品の納期を算出する(S109)。その後、見積部13Dは、組立費用、輸送費用及び納期を、見積結果として端末表示部46に表示させることによりユーザに提示する(S110)。
【0071】
以上説明した実施形態に係る見積システム100によれば、複数の部品を組み立てることによって構成される組立品を、ユーザが購入する際に、当該ユーザへ組立費用の見積結果を提供できる。さらに、構成部品に対して設定されている第1規則と第2規則とを任意に組み合わせることができる。そのため、組立品全体の仕様のみから組立時間を算出する場合と比較して、算出規則の設定の自由度を高めることができる。これにより、算出精度がより高くなるように算出規則を設定できる。例えば、互いに組み合わせて取り付けられる部品群の一つについて、組立時間が重複して加算されることを防止するために、「ゼロ秒を加算する」という第1規則を適用することができる。
【0072】
[変形形態]
図4及び
図5に示した第1規則及び第2規則は一つのテーブルにまとめることができる。一例として、
図10に示すテーブルには、アルミフレームとナットの構成部品が含まれている。そして、アルミフレーム及びナットに対しては、「部品数に所定の数値に応じた秒数を乗じる」という第1規則が設定されている。さらに、所定の数値に応じた長さに達しているという仕様カテゴリに属するアルミフレームに対しては、「所定の数値に応じた係数を乗じる」という第2規則が設定されている。また、所定の数値に応じた重量に達しているという仕様カテゴリに属するアルミフレームに対しては、「所定の数値に応じた係数を乗じる」という第2規則が設定されている。
【0073】
また、ナットを単体で配置しないという仕様カテゴリに属するナットに対しては、「ゼロを乗じる」という第2規則が設定されている。ここで、仕様カテゴリの分類は、算出部13Bが行う条件判定の選択肢によって定義されている。例えば、仕様カテゴリは、所定の数値に応じた長さに達しているという選択肢と、所定の数値に応じた長さに達していないという選択肢とに分類されている。そして、それぞれの選択肢に対して、「所定の数値に応じた係数を乗じる」という第2規則と、「所定の数値に応じた係数を乗じない」という第2規則が存在する。このような態様であっても、構成部品に対して第1規則と第2規則とを設定して、互いに組み合わせることができる。
【0074】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0075】
例えば、複数の部品カテゴリは、部品大カテゴリと部品小カテゴリとに分類されてもよい。すなわち、各部品(例えば、正方形アルミフレームと長方形アルミフレーム)が、部品大カテゴリ(例えば、アルミフレーム)に対応していてもよい。この場合、第1規則は、部品大カテゴリ毎に設定されてもよい。他の例として、複数の部品大カテゴリは、パネル及びナットである。そして、パネルの部品大カテゴリに属する部品小カテゴリは、ブラケット締結式のパネルとフレーム締結式のパネルである。また、ナットの部品大カテゴリに属する部品小カテゴリは、先入れ式のナットと、後入れ式のナットである。この場合に、ナットの部品大カテゴリには、「部品数に所定の数値に応じた秒数を乗じる」という第1規則が設定される。
【0076】
さらに、部品大カテゴリ毎に仕様カテゴリが区分されてもよい。一例として、上記パネルの部品大カテゴリは、「先入れナットを使用する」という仕様カテゴリと、「先入れナットを使用しない」という仕様カテゴリとに区分される。そして、「先入れナットを使用する」という仕様カテゴリには、「所定の数値に応じた係数を乗じる」という第2規則が設定される。また、「先入れナットを使用しない」という仕様カテゴリには、「所定の数値に応じた係数を乗じない」という第2規則が設定される。さらに、上記ナットの部品大カテゴリは、「ナットを単体で配置する」という仕様カテゴリと、「ナットを単体で配置しない」という仕様カテゴリとに区分される。そして、「ナットを単体で配置する」という仕様カテゴリには、「ゼロを乗じない」という第2規則が設定される。また、「ナットを単体で配置しない」という仕様カテゴリには、「ゼロを乗じる」という第2規則が設定される。
【0077】
また、全部品が同じ仕様カテゴリに区分されてもよい。例えば、全部品が、「合いマークの有無」という仕様情報に応じた「合いマークがある」又は「合いマークがない」という仕様カテゴリに区分されてもよい。この場合、「合いマークがある」という仕様カテゴリには、「所定の数値に応じた係数を乗じる」という第2規則が設定される。また、「合いマークがない」という仕様カテゴリには、「所定の数値に応じた係数を乗じない」という第2規則が設定される。
【0078】
また、算出部13Bは、秒に代えて又は加えて、分、時、又は日の単位で組立時間を算出してもよい。さらに、算出部13Bは、任意の単位時間、例えば、一つのボルトを締結する時間を単位時間として、組立時間を算出してもよい。この場合、一つのボルトを締結する時間が120秒であるとすると、2分の組立時間は1ボルト締結時間となる。
【符号の説明】
【0079】
13 :サーバ制御部(コンピュータ)
13A :取得部(取得手段)
13B :算出部(算出手段)
13C :変更部(変更手段)
100 :見積システム
PG :見積プログラム