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特許7297067透明な表示パネル、ディスプレイ及びマスク板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】透明な表示パネル、ディスプレイ及びマスク板
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/826 20230101AFI20230616BHJP
   C01G 15/00 20060101ALI20230616BHJP
   C01G 19/00 20060101ALI20230616BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230616BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230616BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20230616BHJP
   H10K 59/121 20230101ALI20230616BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20230616BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20230616BHJP
   H10K 59/40 20230101ALI20230616BHJP
   H10K 71/60 20230101ALI20230616BHJP
   H10K 101/10 20230101ALN20230616BHJP
【FI】
H10K50/826
C01G15/00 B
C01G19/00 A
G09F9/00 338
G09F9/30 308Z
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G09F9/30 349Z
H10K50/844
H10K59/121
H10K59/122
H10K59/131
H10K59/40
H10K71/60
H10K101:10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021532986
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 CN2019107919
(87)【国際公開番号】W WO2020199537
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-06-09
(31)【優先権主張番号】201910252177.3
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516189213
【氏名又は名称】クンシャン ゴー-ビシオノクス オプト-エレクトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kunshan Go-Visionox Opto-Electronics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone, Kunshan, Jiangsu 215300, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウ ジュンフィ
(72)【発明者】
【氏名】ザン ルー
(72)【発明者】
【氏名】トン キャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ミャオ
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/052192(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/088021(WO,A1)
【文献】特開2010-230797(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143046(WO,A1)
【文献】中国実用新案第208507679(CN,U)
【文献】国際公開第2017/131143(WO,A1)
【文献】特開2001-217081(JP,A)
【文献】特開2001-313182(JP,A)
【文献】特開2014-154211(JP,A)
【文献】特開2012-033307(JP,A)
【文献】特開2010-020971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00-33/28
C01G 15/00
C01G 19/00
G09F 9/30
G09F 9/00
H10K 50/00-102:20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な表示パネルであって、
基盤と、
前記基盤上に配置され、第一方向に沿って配列される複数の第一電極群を含み、各前記第一電極群は、少なくとも1つの第一電極を含み、同一の前記第一電極群の第一電極は、前記第一方向と交差する第二方向に沿って延び、各前記第一電極は、少なくとも2つの第一電極ブロックと、少なくとも1つの接続部とを含み、隣接する2つの第一電極ブロックは、対応する接続部によって電気的に接続される第一電極層と、
前記第一電極層上に配置される発光構造層と、
前記発光構造層上に配置される第二電極層と、を含み、
前記透明な表示パネルは、前記第一電極層と前記第二電極層との間に配置される第一ピクセル画定層をさらに含み、前記第一ピクセル画定層に複数の第一ピクセル開口が設置され、前記発光構造層は、複数の発光構造ブロックを有し、複数の発光構造ブロックは、複数の前記第一ピクセル開口に一対一に対応して配置され、
前記透明な表示パネルは、第三電極層をさらに含み、前記第三電極層は、少なくとも前記第一ピクセル開口の側壁に配置され、前記第三電極層は、前記第二電極層に直接接触され、
前記第三電極層は、前記第二電極層の上面または下面に配置されることを特徴とする透明な表示パネル。
【請求項2】
前記第一電極群の第一電極ブロックおよび接続部は、同一層に設けられており、
前記接続部の寸法は、その延在方向に直交する方向上に3μm以上であるとともに、前記第一電極ブロックの最大寸法の1/2より小さく、
前記第一電極ブロックの前記基盤への投影は、一つの第一パターンユニット、又は、複数の互いに連通する第一パターンユニットを含み、
前記第一パターンユニットは、円形、楕円形、ダンベル形、ひょうたん形、または矩形であることを特徴とする請求項1に記載の透明な表示パネル。
【請求項3】
前記透明な表示パネルは、光が透過する複数の経路を有し、各経路が通過するフィルム層は異なり、外部の入射光が前記基盤の表面に直交する方向に沿って前記透明な表示パネルに入射し、フィルム層の厚さが予め設定される厚さであるように及び/又はフィルム層の屈折率が予め設定される屈折率に設定される場合に、外部の入射光が前記複数の経路におけるいずれか2つの経路に沿って前記透明な表示パネルを通過した後に、2つの経路の光路長の差が外部の入射光の波長の整数倍であることを特徴とする請求項1に記載の透明な表示パネル。
【請求項4】
前記透明な表示パネルは、前記第二電極層上に配置される封止層をさらに含、ことを特徴とする請求項3に記載の透明な表示パネル。
【請求項5】
前記第一電極群の第一電極ブロック及び接続部は同一層に設けられ、前記経路は、第一経路と、第二経路と、第三経路とを含み、
前記第一経路は、前記封止層、前記第二電極層、前記発光構造層、前記第一電極層及び前記基盤を通過し、
前記第二経路は、前記封止層、前記第二電極層、前記第一ピクセル画定層、前記接続部及び前記基盤を通過し、
前記第三経路は、前記封止層、前記第二電極層、前記第一ピクセル画定層及び前記基盤を通過することを特徴とする請求項4に記載の透明な表示パネル。
【請求項6】
前記透明な表示パネルは、フィルム封止形態のフレキシブルディスプレイ又はインプレーンスイッチングディスプレイであり、
前記封止層はフィルム封止層を含み、前記フィルム封止層は有機材料封止層を含み、前記第一経路が通過された有機材料封止層の厚さは、他の経路が通過された有機材料封止層の厚さより大きいことを特徴とする請求項5に記載の透明な表示パネル。
【請求項7】
前記透明な表示パネルはガラスフリット封止形態のインプレーンスイッチングディスプレイであり、
前記封止層は、真空ギャップ層とガラスカバー板とを含み、前記第一経路が通過された真空ギャップ層の厚さは、他の経路が通過された真空ギャップ層の厚さより大きいことを特徴とする請求項5に記載の透明な表示パネル。
【請求項8】
前記第一方向と前記第二方向は互いに直交であり、前記第一方向は行方向または列方向であり、
前記第二方向において、同一の前記第一電極群の複数の第一電極ブロックにおいて、隣り合う2つの第一電極ブロックがずれて配置され、
前記第一電極群は、少なくとも三つの第一電極ブロックが設置され、同一の前記第一電極群の複数の第一電極ブロックは、前記第二方向の縁部に位置される第一電極ブロックを除いて、他の前記第一電極ブロックの両側にいる第一電極ブロック中心軸線がいずれも前記第二方向に沿って重複していることを特徴とする請求項1に記載の透明な表示パネル。
【請求項9】
前記第三電極層は、前記第一ピクセル開口の側壁に隣接する前記第一ピクセル画定層の頂部の縁部までに延在して配置され、
或いは、前記第三電極層は、前記第一ピクセル開口の底部までに延在して配置されることを特徴とする請求項1に記載の透明な表示パネル。
【請求項10】
基盤と、前記基盤上に配置され、第一方向に沿って配列される複数の第一電極群を含み、各前記第一電極群は、少なくとも1つの第一電極を含み、同一の前記第一電極群の第一電極は、前記第一方向と交差する第二方向に沿って延び、各前記第一電極は、少なくとも2つの第一電極ブロックと、少なくとも1つの接続部とを含み、隣接する2つの第一電極ブロックは、対応する接続部によって電気的に接続される第一電極層と、前記第一電極層上に配置される発光構造層と、前記発光構造層上に配置される第二電極層と、を含む透明な表示パネル、並びに、第一表示領域及び第二表示領域を含み、
前記第一表示領域内に前記表示パネルが設置され、前記第一表示領域の透光率が前記第二表示領域の透光率よりも大きく、第一表示領域の下方に感光素子が配置され、
前記第一表示領域と前記第二表示領域とに隣接する遷移表示領域をさらに含み、前記第一表示領域は、前記遷移表示領域で少なくとも部分的に囲まれ、前記第一表示領域においての前記第一電極に対応するピクセル回路が前記遷移表示領域に配置され、
前記遷移表示領域におけるサブピクセルの密度は、前記第二表示領域におけるサブピクセルの密度より小さく、前記第一表示領域におけるサブピクセルの密度より大きいことを特徴とするディスプレイ。
【請求項11】
前記第一電極層上に第一ピクセル開口の第一ピクセル画定層が配置され、前記第一ピクセル開口に発光構造ブロックが配置され、前記第二電極層が表面電極であり、前記第二電極層が前記第一ピクセル画定層に配置されると共に一部が前記第一ピクセル開口の側壁に配置され、
前記第一表示領域内に、さらに、第三電極層が設置され、前記第三電極層は、少なくとも前記第一ピクセル開口の側壁に配置され、前記第三電極層は、前記第二電極層に直接接触され、
前記第二表示領域内に、さらに、第四電極層と、前記第四電極層上に配置されるとともに第二ピクセル開口を有する第二ピクセル画定層と、第二ピクセル開口に設けられた発光構造ブロックと、前記第二ピクセル画定層上に配置される第五電極層が設置され、
前記第五電極層は、表面電極であり、前記第五電極層の厚さは、前記第二電極層の厚さより大きいことを特徴とする請求項10に記載のディスプレイ。
【請求項12】
マスク板であって、
請求項10に記載のディスプレイの製造工程に用いられ、
前記第一電極層上に第一ピクセル開口の第一ピクセル画定層が配置され、前記第一ピクセル開口内に発光構造ブロックが配置され、前記第二電極層が表面電極であり、前記第二電極層が前記第一ピクセル画定層上に配置されると共に一部が前記第一ピクセル開口の側壁に配置され、
前記第一表示領域内に、さらに第三電極層が設置され、前記第三電極層は、少なくとも前記第一ピクセル開口の側壁に配置され、前記第三電極層は、前記第二電極層に直接接触され、
前記第二表示領域内に、第四電極層と、前記第四電極層上に配置される且つ第二ピクセル開口を有する第二ピクセル画定層と、第二ピクセル開口内に設けられた発光構造ブロックと、前記第二ピクセル画定層上に配置された第五電極層が設置され、
前記第五電極層は表面電極であり、前記第五電極層の厚さは前記第二電極層の厚さより大きく、
前記マスク板は、第一開口と、複数の第二開口とを含み、前記第一開口は前記第五電極層を製造するために用いられ、前記第二開口は、前記第三電極層を製造するために用いられることを特徴とするマスク板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は表示技術の分野、特に、透明な表示パネル、ディスプレイ、表示装置及びマスク板に関する。
【0002】
この出願は、2019年03月29日に中国特許庁に出願された201910252177.3という出願番号である「透明な表示パネル、ディスプレイ、表示装置及びマスク板」の中国特許出願に基づいて優先権を主張し、その内容はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電子機器の急速な発展に伴い、ユーザによるスクリーン占有率に対する要求がますます高くなり、電子機器のインフィニティディスプレイが業界の注目を集めている。例えば、従来の携帯電話、タブレット等の電子機器は、前面カメラ、イヤピース、赤外線素子等を集積する必要があるので、そのディスプレイにノッチ(Notch)を設け、そのノッチ領域にカメラ、イヤピース、赤外線素子等を設置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ノッチ領域は画像を表示することはできない。また、従来の天頂ノッチ開けスクリーンや、穴開けスクリーンという形で、カメラ機能を実現する電子機器に対して、外部光線は、スクリーンの穴からスクリーンの下に配置された感光素子に入射することができるが、これらの電子機器は、実際に、インフィニティディスプレイではなく、画面全体の各領域に画像を表示することができない。例えば、カメラが配置された領域で画面を表示することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例は透明な表示パネルを提供する。当該透明な表示パネルは、基盤と、前記基盤上に配置される第一電極層と、前記第一電極層上に配置される発光構造層と、前記発光構造層上に配置される第二電極層と、を含み、前記第一電極層は、第一方向に沿って配列される複数の第一電極群を含み、各前記第一電極群は、少なくとも1つの第一電極を含み、同一の前記第一電極群の第一電極は、前記第一方向と交差する第二方向に沿って延び、各前記第一電極は、少なくとも2つの第一電極ブロックと、少なくとも1つの接続部とを含み、隣接する2つの第一電極ブロックは、対応する接続部によって電気的に接続される。
【0006】
本願の実施例は、さらにディスプレイを提供する。当該ディスプレイは、第一表示領域及び第二表示領域を含み、前記第一表示領域内に上記透明な表示パネルが設置され、前記第一表示領域の透光率が前記第二表示領域の透光率よりも大きく、第一表示領域の下方に感光素子が配置されてもよい。
【0007】
本願の実施例は、さらにマスク板を提供する。当該マスク板は、上記ディスプレイの製造工程に用いられ、前記第一電極層上に第一ピクセル開口の第一ピクセル画定層が配置され、前記第一ピクセル開口内に発光構造ブロックが配置され、前記第二電極層が表面電極であり、前記第二電極層が前記第一ピクセル画定層上に配置され、前記第二電極層の一部が前記第一ピクセル開口の側壁に配置され、前記第一表示領域内に、さらに第三電極層が設置され、前記第三電極層は、少なくとも前記第一ピクセル開口の側壁に配置され、前記第三電極層は、前記第二電極層に直接接触され、前記第二表示領域内に、第四電極層と、前記第四電極層上に配置される且つ第二ピクセル開口を有する第二ピクセル画定層と、第二ピクセル開口内に設けられた発光構造ブロックと、前記第二ピクセル画定層上に配置される第五電極層と、が設置され、前記第五電極層は表面電極であり、前記第五電極層の厚さは前記第二電極層の厚さより大きく、前記マスク板は、第一開口と、複数の第二開口とを含み、前記第一開口は前記第五電極層を製造するために用いられ、前記第二開口は、前記第三電極層を製造するために用いられる。
【0008】
本発明の実施例が提供される透明な表示パネル、ディスプレイ及びマスク板によれば、透明な表示パネルの同一の第一電極に含まれる少なくとも2つの第一電極ブロックにおいて、隣接する2つの第一電極ブロックは、対応する接続部により接続されるので、第一電極の第一電極ブロックが同一のピクセル駆動回路により駆動され、当該第一電極の第一電極ブロックが、対応するピクセル駆動回路と電気的に接続されればよく、透明な表示パネルにおける配線の複雑さを低減し、光透過時の透明な表示パネルにおける複雑な配線に起因する回折重畳現象を効果的に改善し、当該透明な表示パネルのバックライト面に配置されるカメラで撮像される画像の品質をさらに向上させ、画像歪みという欠陥を回避することができる。また、同一の第一電極の複数の第一電極ブロックが電気的に接続されるので、同一の第一電極の複数の第一電極ブロック上に相応配置される発光構造ブロックを同時に発光またはオフに制御することができ、透明な表示パネルの制御を簡単化することができる。
【0009】
ディスプレイの製造プロセスにおいて、本願の実施例のマスク板を使用する場合に、第一開口がディスプレイの第二表示領域に位置合わせ、第二表示領域の第五電極層が第一開口により製造される。第二開口は、ディスプレイにおける第一表示領域の第一ピクセル画定層の側壁に位置合わせ、第一表示領域の第三電極層は、第二開口により製造される。上記マスク板により、第二表示領域の第五電極層と第一表示領域の第三電極層とを同時に製造することができ、ディスプレイの製造工程を簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願の一実施例に係る透明な表示パネルの断面図である。
図2】本願の一実施例に係る透明な表示パネルの第一電極層の基盤への投影の概略図である。
図3】本願の他の実施例に係る透明な表示パネルの第一電極層の基盤への投影の概略図である。
図4】本願の他の実施例に係る透明な表示パネルの第一電極層の基盤への投影の概略図である。
図5】本願の他の実施例に係る透明な表示パネルの第一電極層の基盤への投影の概略図である。
図6】本願の他の実施例に係る透明な表示パネルの第一電極層の基盤への投影の概略図である。
図7】本願の他の実施例に係る透明な表示パネルの断面図である。
図8】本願の一実施例に係る光線が図1に示す表示パネルを通過する概略図である。
図9】本願の一実施例に係る透明な表示パネルの部分断面図である。
図10】本願の一実施例に係るマスク板の平面図である。
図11】本願の一実施例に係るディスプレイの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願は、図面に示される例示的な実施例について詳細に説明する。次の説明が添付図面に言及している場合は、別の説明がない限り、他の添付図面中の同じ数字が同一の又は類似の要素を示している。以下の例示的な実施例に記載された実施態様は、本願と一致する全ての実施例を表すものではない。むしろ、それらは、請求項に記載された本願のいくつかの点で一致する装置の例に過ぎない。
【0012】
携帯電話やタブレット等のスマート電子機器において、正面カメラや光センサ等の感光素子を集積する必要があるので、一般に前記電子機器に透明ディスプレイを設けて、電子機器のインフィニティディスプレイを実現する。
【0013】
しかし、光が当該透明ディスプレイを通過した後は、カメラに集光される光の質が悪く、画像取得の過程で画像歪みの欠陥も生じることがある。本発明者らは、調査の結果、電子機器の透明ディスプレイにおける配線が比較的に複雑であることがこの問題の原因であることを見出した。外光が透明ディスプレイを通過するとき、より複雑な回折強度分布が生じ、その結果、回折縞が生じ、感光素子の正常な動作にさらに影響を与える。例えば、透明表示領域の下のカメラが動作し、外光がディスプレイに配置された配線に通過すると、異なる配線間の境界でより著しい回折が生じるので、カメラに取り込まれた画像に歪みが生じる。
【0014】
上記課題を解決するために、本願の実施例は、透明な表示パネル、ディスプレイ、表示装置及びマスク板を提供し、上記課題を良好に解決することができる。
【0015】
図面を参照するように、本願の実施例における透明な表示パネル、ディスプレイ及び表示装置について詳細に説明する。競合がない場合、後述の実施例及び実施態様の特徴は、互いに補完する、または互いに結合することができる。
【0016】
図1を参照するように、本発明の実施例に係る透明な表示パネル100は、基盤1と、前記基盤1上に設けられた第一電極層2と、前記第一電極層2上に設けられた発光構造層3と、前記発光構造層3上に設けられた第二電極層4とを備える。
【0017】
図2-6を参照するように、前記第一電極層2は、第一方向に沿って配列された複数の第一電極群20を含む。各前記第一電極群20は、少なくとも1つの第一電極21を含む。同じ前記第一電極群20の第一電極21は、第二方向に沿って延びている。前記第二方向は前記第一方向と交差する。各前記第一電極21は、少なくとも2つの第一電極ブロック211と、少なくとも1つの接続部212とを含む。隣接する2つの第一電極ブロック211は、対応する接続部212によって電気的に接続される。
【0018】
発光構造層3は、複数の発光構造ブロック31を含む。複数の発光構造ブロック31は、一対一に対応して複数の第一電極ブロック211上に配置される。
【0019】
本発明の実施例に係る透明な表示パネル100は、同一の第一電極21に含まれる少なくとも2つの第一電極ブロック211において、隣接する2つの第一電極ブロック211が対応する接続部212により接続されるので、当該第一電極21の第一電極ブロック211を同一のピクセル回路で駆動することができる。当該第一電極21の第一電極ブロック211は、対応するピクセル駆動回路に電気的に接続すればよいので、透明な表示パネル内の配線の複雑さが低減され、光の透過時に透明な表示パネル内の複雑な配線に起因する回折重畳現象が効果的に改善され、透明な表示パネルのバックライト面に配置されたカメラで撮像される画像の品質がさらに向上し、画像歪みの欠陥を回避することができる。また、同一の第一電極21の複数の第一電極ブロック211が電気的に接続されるので、同一の第一電極21の複数の第一電極ブロック211に相応配置される発光構造ブロックを同時に発光またはオフに制御することができ、透明な表示パネルの制御を簡単化することができる。
【0020】
一実施例では、透明な表示パネル100は、第一電極層2上に配置された第一ピクセル画定層5をさらに含む。第一ピクセル画定層5には、複数の第一ピクセル開口が間隔をおいて配置される。発光構造層3の複数の発光構造ブロック31は、一対一に対応して複数の第一ピクセル開口に配置される。
【0021】
一実施例では、前記第一電極層2は陽極層とすることができる。第二電極層4は陰極層とすることができる。第二電極層4は、表面電極であってもよく、即ち一連続電極領域である。
【0022】
一実施例では、前記第一電極群20の第一電極ブロック211と接続部212とが同一層に配置される。このように、第一電極群20における第一電極ブロック211と接続部212とを同一の工程で形成することができるので、製造工程の煩雑さを低減することができる。
【0023】
さらに、前記第一電極群20の第一電極ブロック211と接続部212とを同一層に配置した場合、前記接続部212は延在方向と直交する寸法が3μm以上であるとともに、前記第一電極ブロック211の最大寸法の1/2以下である。接続部212の延在方向と直交する方向の寸法を3μm以上にすることにより、接続部212の抵抗を小さくする。接続部212の寸法は、第一電極ブロック211の最大寸法の1/2より小さく構成されているので、接続部212の設置が第一電極ブロック211の寸法に与える影響が少なく、接続部212の寸法が大きくなることによる第一電極ブロック211の寸法の減少し、透明な表示パネル100の有効発光面積の減少を防止することができる。
【0024】
他の実施例では、前記第一電極群20の第一電極ブロック211と接続部212とが異なる層に設けられている。この例では、第一電極ブロック211の寸法は接続部212によって制限されず、第一電極ブロック211の寸法を大きく製造し、透明な表示パネル100の有効発光面積を大きくすることができる。
【0025】
前記接続部212は、前記第一電極ブロック211と前記基盤1との間に配置することができる。たとえば、図7を参照するように、第一電極ブロック211の下方に絶縁層6が配置され、接続部212は絶縁層6と基盤1との間に配置される。
【0026】
さらに、前記絶縁層6が前記第一電極ブロック211の下方に位置する位置にコンタクトホール61が配置される。前記コンタクトホール61には、導電性材料が充填されている。前記第一電極ブロック211は、その下方に配置されたコンタクトホール61内の導電性材料によって対応する接続部212と電気的に接続される。第一電極ブロック211の下方に位置する絶縁層6上にコンタクトホール61を設け、コンタクトホール61に導電材料を充填することにより、第一電極ブロック211と対応する接続部212とを電気的に接続し、第一電極ブロック211と接続部212とが異なる層に設けられる効果を奏する。
【0027】
一実施例では、図2-6を参照するように、前記第一電極ブロック211の基盤1上の投影が、接続された第一パターンユニット又は複数の第一パターンユニットを含む。第一パターンユニットは、円形、楕円形、ダンベル形、ひょうたん形、または矩形とすることができる。このように、回折により生成される周期構造を変化させることができる。即ち、回折場の分布を変化させることにより、外部の入射光が通過する際に生じる回折効果を低減する。
【0028】
図2を参照するように、一実施例において、各第一電極群20は、1つの第一電極21を含む。各第一電極21は、6つの電極ブロック211を含む。各第一電極ブロック211の基盤への投影は、1つの第一パターンユニットを含む。当該第一パターンユニットは矩形である。図3を参照するように、他の実施例では、各第一電極群20は、1つの第一電極21を含む。各第一電極21は、3つの第一電極ブロック211を含む。各第一電極ブロック211の基盤への投影は、1つの第一パターンユニットを含む。当該第一パターンユニットは、ひょうたん型である。図4を参照するように、他の実施例では、各第一電極群20は、1つの第一電極21を含む。各第一電極21は、5つの第一電極ブロック211を含む。各第一電極ブロック211の基盤への投影は、1つの第一パターンユニットを含む。当該第一パターンユニットは円形である。図5を参照するように、他の実施例では、各第一電極群20は、2つの第一電極21を含む。各第一電極21は、2つの第一電極ブロック211を含む。当該電極ブロック211の基盤への投影は、1つの第一パターンユニットを含む。当該第一パターンユニットはダンベル型である。図6を参照するように、他の実施例では、各第一電極群20は、2つの第一電極21を含む。各第一電極21は、4つの第一電極ブロック211を含む。当該第一電極ブロック211の基盤への投影は、1つの第一パターンユニットを含む。当該第一パターンユニットは矩形である。前記第一パターンユニットは、円形、楕円形、ダンベル形、又はひょうたん形であり、このように、第一電極21の第一方向の寸法が連続的又は断続的に変化し、第一方向で隣り合う2つの第一電極21が第一方向における距離が連続的又は断続的に変化することにより、隣り合う2つの第一電極21で発生する回折の位置が異なる。異なる位置での回折効果を取り消すことにより、回折効果を効果的に低減することができ、透明な表示パネル100の下方に配置されたカメラで撮像される画像の高精細化を図ることができる。
【0029】
一実施例では、各第一電極ブロック211上に相応配置される発光構造ブロック31の前記基盤1への投影は、一つ又は複数が接続された第二パターンユニットを含む。そのうち、前記第二パターンユニットは、円形、楕円形、ダンベル形、ひょうたん形、または矩形である。前記第二パターンユニットは、前記第一パターンユニットと同一または異なる。このように、回折により生成される周期構造を変化させることができる。即ち、回折場の分布を変化させることにより、外部から入射の光が通過する際に生じる回折効果を低減する。好ましくは、前記第一電極ブロック211に相応配置される発光構造ブロック31の基盤1への投影と、第一電極ブロック211の基盤1への投影とは異なる。例えば、投影の位置が完全には重ならず、形状が異なり、寸法が異なるなどであり、透明な表示パネル100を通過する光によって生じる回折効果をさらに低減することができる。
【0030】
一実施例では、前記第一方向は前記第二方向に直交である。前記第一方向は、行方向または列方向である。複数の前記第一電極21は、1行及び複数列に配置されてもよく、1列及び複数行に配置されてもよく、2列及び複数行に配置されてもよく、2行及び複数列に配置されてもよく、複数行及び複数列に配置されてもよい。図2―6は、列方向である第一方向と行方向である第二方向とを例として実施例を説明する。他の実施例では、第一方向は行方向であってもよく、第二方向は列方向であってもよい。
【0031】
一実施例では、図2、3、4、6を参照するように、前記第二方向において、同一の前記第一電極群20の複数の第一電極ブロック211において、隣り合う2つの第一電極ブロック211はずれて配置される。即ち、第二方向の縁部に位置される第一電極ブロックを除いて、他の第一電極ブロックはいずれも第二方向に隣接した二つの第一電極ブロックと異なる第一電極群20に属し、第一電極群20は、少なくとも三つの第一電極ブロックが設置され、同一の第一電極群20の複数の第一電極ブロックは、第二方向の縁部に位置される第一電極ブロックを除いて、他の第一電極ブロックの両側にいる第一電極ブロック中心軸線がいずれも第二方向に沿って重複している。このような構成により、透明な表示パネル100を透過した外部の入射光による回折効果をより一層低減することができる。
【0032】
さらに、前記第二方向において、同一の前記第一電極群20に含まれる複数の第一電極ブロック211において、隣接する2つの第一電極ブロック211の前記第一方向における中心軸の間の距離は、前記第一電極ブロック211の前記第二方向における寸法の0.5倍又は1.5倍である。他の実施例では、隣接する2つの第一電極ブロック211の第一方向における中心軸の間の距離は、第一電極ブロック211の第二方向における寸法の1.0倍又は0.8倍である。
【0033】
さらに、同一の前記第一電極群20の複数の第一電極ブロック211において、1つの第一電極ブロック211をおいて設置される2つの第一電極ブロック211の第二方向に沿った中心軸は一致している。このような配置により、第一電極群20の複数の第一電極ブロック211がより規則的に配列されるので、複数の第一電極ブロック211の上方に対応して配置される発光構造ブロック31がより規則的に配列され、発光構造ブロック31の製造に用いられるマスク板の開口がより規則的に配列される。また、透明な表示パネルと従来の非透明な表示パネルとを含む複合ディスプレイの発光構造ブロックを蒸着により製造する際に、同一のマスク板を同一の蒸着工程で用いることができる。マスク板上のパターンは比較的均一となり、ネットの皺も減少する。
【0034】
透明な表示パネル100の透光率を高めるために、透明な表示パネル100の各層の材料を透明材料とすることができる。このように、透明な表示パネル100の下方に配置されるカメラ等の感光素子の集光効果を向上させることができる。
【0035】
一実施例では、前記第一電極層2及び/又は第二電極層4の材料は透明材料である。
【0036】
また、前記第一電極層2及び/又は前記第二電極層4を製造する透明材料の透光率を70%以上とすることができる。好ましくは、透明材料の透光率が90%以上である。例えば、当該透明材料の透光率を90%、95%等とすることができる。このように構成することにより、透明な表示パネル100の透光率を大きくすることができ、透明な表示パネル100の透光率を透明な表示パネル100の下方に配置される感光素子の集光要求に適合させることができる。
【0037】
また、前記第一電極層2及び/又は第二電極層4を製造する透明材料は、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、銀ドープインジウム錫酸化物、銀ドープインジウム亜鉛酸化物のうちの少なくとも1つを含むことができる。好ましくは、前記第一電極層2及び/又は前記第二電極層4を製造する透明材料を、銀ドープされたインジウム錫酸化物又は銀ドープされたインジウム亜鉛酸化物とすることにより、透明な表示パネル100の透光率を高く確保しつつ、第一電極層2及び/又は第二電極層4の抵抗を低減することができる。
【0038】
一実施例では、前記透明な表示パネル100は、光を透過させる複数の経路を有する。各経路は異なるフィルム層を通過または経過する。外部の入射光は、前記基盤1の表面に直交する方向から透明な表示パネル100に入射する。フィルム層の厚さが予め設定された厚さに設定されている場合、及び/又は、フィルム層の屈折率が予め設定された屈折率に設定されている場合には、外部の入射光は前記2つの経路の光路長の差が外部の入射光の波長の整数倍となるように透明な表示パネル100の複数の前記経路の任意の2つの経路に沿って通過する。
【0039】
2つの光路長の差が光の波長の整数倍であるので、光線が2つの光路を通過して透明な表示パネル100から出射された後、その位相差は0である。同位相の光が表示パネルを通過した後に位相差が発生することは、回折の重要な理由である。同位相の光が2つの経路を経由して表示パネルを通過した後に、位相は同じで位相差が発生せず、位相差に起因する回折現象が解消され、透明な表示パネル100を通過した光の回折に起因する画像の歪みが回避され、透明な表示パネル100の下方に配置されたカメラにより撮像された画像の解像度が向上し、透明な表示パネルの下に配置された感光素子が鮮明でリアルの画像を得ることができる。
【0040】
透明な表示パネル100には、3本、4本、5本などの複数の経路を設けることができる。そのうち、いずれか2つの光路で形成される光路長の差は、入射光の波長の整数倍である。このように、これらの経路を経過する光が透明な表示パネル100を通過することによる回折を効果的に低減することができる。このような条件を満たす経路が多いほど、透明な表示パネル100を通過する光の回折現象が弱くなる。このように、透明な表示パネル100を通過した後の位相差に起因する光の位相差をほぼ解消することができ、回折現象の発生を大幅に低減することができる。
【0041】
光路長は、媒質の屈折率に光が媒質内を走行する距離を乗じたもの、即ち、媒質の屈折率と光が媒質内を走行する距離との積である。外部の入射光が透明な表示パネル100の各膜層を通過する際の光路長の計算式は以下のとおりである。
L=d1*n1+d2*n2+・・・+di*ni
【0042】
光路長をL、外部の入射光が通過する光路における膜層の数をi、外部の入射光が通過する光路における膜層の厚さをd1、d2、・・・、di、外部の入射光が通過する光路における膜層の屈折率をn1、n2、・・・、niとする。
【0043】
好ましくは、前記2つの経路の光路長は差が0である。つまり、LaとLbは差が0である。即ち、2つの経路の光路長は0である。膜層の厚さ及び屈折率を調整して2つの光路の光路長の差を0とすることは、膜層の厚さ及び屈折率を調整して2つの光路の光路長の差を外部の入射光の波長の整数倍とすることに比べて、より操作して容易に実現することができる。
【0044】
一実施例では、透明な表示パネル100は、第二電極層4の上方に配置された封止層7をさらに含む。封止層7は、インプレーンスイッチングディスプレイ封止または有機膜封止の層としてもよい。
【0045】
透明な表示パネル100の封止層がガラスフリット封止等のインプレーンスイッチングディスプレイ封止層である場合、図8を参照するように、封止層7は、真空ギャップ層71と、封止基板72とを含む。封止基板72は、例えばガラスカバー板である。
【0046】
前記第一電極群20の第一電極ブロック211および接続部212を同一層に配置した場合には、透明な表示パネル100には複数の経路が存在する。透明な表示パネル100は、頂部発光構造と底部発光構造との2つの異なるモードを有する。透明な表示パネル100が頂部発光構造を有する場合、カメラは基盤1の下に配置される。透明な表示パネル100が底面発光構造を有する場合、カメラは封止ガラス側が第二電極層4から離れる側に配置される。
【0047】
以下、図8に示す透明な表示パネル100の各フィルム層を分析する。
基盤1は剛性基盤であってもよく、例えばガラス基盤、石英基盤またはプラスチック基盤等の透明基板である。基盤1は、PIフィルムなどの可撓性透明基盤であってもよく、素子の透明性を向上させる。基板は基板を直交を通過する光の経路が全て同一であるので、基盤1は基板を直交を通過する光の経路の異なる光の経路長の差に実質的に影響を与えない。
【0048】
図8に示す透明な表示パネルにおいて、第一電極ブロック211及び接続部212は、同一層に配置され、同一の工程で形成することができるので、両者の厚さ及び材料をそれぞれ同一にすることができる。第一電極ブロック211及び接続部212は、透明導電材料で形成することができ、透明導電材料としては、酸化インジウム錫、酸化インジウム亜鉛、銀ドープ酸化インジウム錫、銀ドープ酸化インジウム亜鉛が一般的である。第一電極ブロック211及び接続部212の厚さ及び屈折率は調整可能であり、厚さまたは屈折率を調整するか、厚さと屈折率の両方を同時に調整することにより、一方の経路を通過する光の光路長を調整し、他方の経路の光路長との差が上記条件を満たす。第一電極ブロック211及び接続部212の厚さは、概ね20nmから200nmであり、第一電極ブロック211及び接続部212の厚さは、上記範囲内で調整可能である。両者を同一の工程で形成する場合には、第一電極ブロック211および接続部212の厚み及び屈折率を同時に調整するだけでよい。
【0049】
第一電極ブロック211と接続部212とは、異なる工程で形成することもできる。両者の材料は同一または異なってもよい。したがって、その厚さ及び屈折率をそれぞれ調整することができる。
【0050】
第一ピクセル画定層5の厚さはより大きく、その調整可能な範囲は大きい。一般に、第一ピクセル画定層5の厚さは0.3μmから3μmであり、この範囲内で第一ピクセル画定層5の厚さを調整することができる。したがって、第一ピクセル画定層5の厚さを調整して光路長が上記要件を満たす。第一ピクセル画定層5の厚さを調整するだけでは、光路長が上記要件を満たすことができない場合に、第一ピクセル画定層5の材料を調整してその屈折率を調整する。また、第一ピクセル画定層5の厚さと屈折率の両方を調整することにより、光が前記光路を通過する光路長を調整する。
【0051】
発光構造層3は、一般に、光取り出し層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、発光構造ブロック31、正孔輸送層、正孔注入層を含む。発光構造ブロック31の以外で他の各層(光取り出し層、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、正孔輸送層、正孔注入層を含む)は、全面に設けられるので、光が通過する経路の光路長の差には影響を与えないので、図示しない。発光構造層3の発光構造ブロック31は、第一ピクセル開口の内に配置される。異なる発光サブピクセルに含まれる発光構造ブロック31の材料は異なり、赤色発光材料、青色発光材料及び緑色発光材料を含む。異なる発光サブピクセルについては、発光構造ブロックの厚さまたは屈折率を調整する、または発光構造ブロックの厚さ及び屈折率の両方を調整することによって、光路を通過する光の光路長を調整することもできる。発光構造ブロック31の全体の厚さが薄いので、当該発光構造ブロック31の調整範囲が小さい。このように、他のフィルム層と共同して光路長を調整することができ、個別に調整して光路長が上記要件を満たすことを回避する。
【0052】
第二電極層4は全面に配置されるので、光が通過する各経路の光路長の差に実質的に影響を与えない。
【0053】
図8に示す透明な表示パネル100は、ガラスフリットで封止されたインプレーンスイッチングディスプレイ(フリット封止)である。前記封止層7は、真空ギャップ層71と封止基板72とを含む。真空ギャップ層71には不活性ガスが充填されている。封止基板72は、封止ガラスである。
【0054】
再び図8を参照するように、透明な表示パネル100を透過した光が通過する経路は、第一経路A、第二経路B、第三経路Cを通過する。
【0055】
前記第一経路Aは、前記封止層7、前記第二電極層4、前記発光構造層3、前記第一電極ブロック211及び前記基盤1を通過する。
【0056】
前記第二経路Bは、前記封止層7、前記第二電極層4、前記第一ピクセル画定層5、前記接続部212、前記基盤1を通過する。
【0057】
前記第三経路Cは、前記封止層7、前記第二電極層4、前記第一ピクセル画定層5及び前記基盤1を通過する。
【0058】
そのうち、経路Aが通過される真空ギャップ層71の厚さは、他の経路が通過される真空ギャップ層71の厚さより大きい。
【0059】
経路Aを通過する光の光路長はLAである。経路Bを通過する光の光路長はLBである。経路Cを通過する光の光路長はLCである。前記1以上の膜層の厚さまたは屈折率を調整することにより、LA、LB、LCのいずれか二つの間の差が1つ以上で波長の整数倍である。
【0060】
ここでは、LA、LB、LCを例にとります。
LA-LB=X1・λ; X1整数、または、
LB-LC=X2・λ; X2は整数。
【0061】
もちろん、LA-LB=X1・λおよびLB-LC=X2・λ(X1、X2は整数であり、正または負の整数または0であってもよい)を満たすことができる。このように、経路A、経路B及び経路Cの光路長の差は、光の波長の整数倍であることを満たすことができる。即ち、経路A、経路B、経路Cの3経路を通過した後、入射光の位相と出射光の位相とが同じになるので、回折の発生が大幅に低減される。
【0062】
異なる経路の光路長LA、LB、LCについて、各膜層の厚さ及び屈折率を測定することにより、各経路の光路長を算出することができる。
【0063】
光路中の各フィルム層を調整することにより、光路長の差の要件を満たすためには、当該層の内にどのフィルム層が光路長に影響を与えるかを決定する必要がある。各経路は多くの層を通過するが、光路長の差を算出する際に、すべての経路が同一の膜層を通過する場合に、膜層の材料及び膜厚はそれぞれ同一であるので、2つの経路の光路長の差に影響を与えない。異なる材料のフィルム層又は同じ材料で厚みが異なるフィルム層が光路長の差に影響する。
【0064】
具体的には、経路A、経路B及び経路Cにおいて、経路Aが発光構造層3を通過し、経路B及び経路Cが発光構造層3を通過しない。発光構造層3の厚さ及び/又は屈折率を調整することにより、経路Aの光路長と、経路B又は経路Cの光路長との差を調整することができる。
【0065】
経路A及び経路Bは、基盤1、封止基板72及び第二電極層4が同一の材料で同一の厚さを有するので考慮する必要がない。接続部212と第一電極ブロック211とを同一の工程で形成する場合には、両者が同一の厚さを有するので、考慮する必要がない。経路Aと経路Bと区別する層は、真空ギャップ層71(経路Aと経路Bとの両方に位置し、膜厚が異なる)、第一ピクセル画定層5(経路Bにあり)、発光構造層3(経路Aにあり)である。経路Aと経路Bがそれぞれを通過した真空ギャップ層71の厚さと第一ピクセル画定層5の和とは同じであるので、第一ピクセル画定層5の厚さを調整すると、それに応じて、真空ギャップ層71が経路Aと経路Bにおける厚さの差も調整される。これにより、経路A及び経路Bに影響を与える主な膜層は、第一ピクセル画定層5及び発光構造層3であることがわかる。第一ピクセル画定層5の厚さ及び/又は屈折率を調整することにより、前記経路Aと経路Bの光路長との差を波長の整数倍とすることができる。もちろん、経路Aと経路Bについても、発光構造層3が第一経路Aにおける厚さを調整することにより、経路の光路長をさらに調整することができる。
【0066】
経路Bと経路Cとは、基盤1と封止基板72と第二電極層4とが同じ材料で同じ厚さであるので考慮する必要がない。経路Bと経路Cとの主な違いは、経路Bが接続部212を有し、経路Cにおける第一ピクセル画定層5の厚さと、経路Bにおける第一ピクセル画定層5の厚さとが異なることである。従って、接続部212の厚さ又は屈折率を調整することで、経路Bと経路Cとの光路長の差が波長の整数倍を満たす。また、第一ピクセル画定層5の厚さ及び/又は屈折率を調整することで、前記外部の入射光は光路長の差が外部の入射光の波長の整数倍となるように経路B及び経路Cを通過する。
【0067】
経路A及び経路Cは、基盤1、封止基板72及び第二電極層4が同一の材料で同一の厚さを有するので考慮する必要がない。経路Aと経路Cとの主な違いは、経路Aが第一電極ブロック211と発光構造層3とを含み、経路Cが第一ピクセル画定層5を含むことである。したがって、第一電極ブロック211の厚さ及び/又は屈折率を調整することで、経路Aの光路長と経路Cの光路長との差が波長の整数倍とする。第一ピクセル画定層5の厚さ及び/または屈折率を調整することで、前記外部の入射光は光路長の差が外部の入射光の波長の整数倍となるように経路A及び経路Cを通過する。また、第一電極ブロック211の厚さ及び/または屈折率と、第一ピクセル画定層5の厚さ及び/または屈折率との両方を調整することで、前記外部の入射光は光路長の差が外部の入射光の波長の整数倍となるように経路A及びCを通過する。
【0068】
透明な表示パネル100がフレキシブルパネルである場合には、透明な表示パネル100をフィルムで封止することができる。即ち、第二電極層4の上方にフィルム封止層を形成する。このように、基盤1はフレキシブル基盤であってもよい。フレキシブル基盤の材料は、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)、PES(ポリエーテルスルホン樹脂)、PC(ポリカーボネート)、PEI(ポリエーテルイミド)から1種以上で選択することができる。
【0069】
前記フィルム封止層は、無機材料封止層と有機材料封止層とを含むことができる。無機材料封止層は全面に配置されて均一な厚さを有するので、各経路の光路長の差に影響を与えない。有機材料封止層は、第一ピクセル開口を充填し、第一ピクセル開口を充填した後に全層の封止層が形成される。したがって、異なる経路において、有機材料封止層の厚さが異なる。したがって、前記有機材料封止層が第一ピクセル開口における厚さを調整する、または有機材料封止層の屈折率を調整することで、光路を通過する光の光路長を調整することができる。有機材料封止層の厚さと屈折率の両方を調整する、または他の調整方法を組み合わせて調整してもよい。経路Aにおける有機材料封止層の厚さは、他の経路における有機材料封止層の厚さより大きい。
【0070】
一実施例では、前記透明な表示パネル100は、AMOLED表示パネルとすることができる。透明な表示パネル100は、基盤1と第一電極層2との間に配置された駆動回路層をさらに含むことができる。駆動回路層には、ピクセルを駆動するピクセル回路が設置されている。具体的には、ピクセル回路は、1つ以上のスイッチング素子、キャパシタ等を含むことができる。複数のスイッチング素子は、必要に応じて直列または並列に接続する。例えば、2T1C回路、3T1C回路、3T2C回路、7T1C回路、7T2C回路などのピクセル回路とする。
【0071】
スイッチング素子は、薄膜トランジスタTFTとすることができる。薄膜トランジスタは、酸化物薄膜トランジスタまたは低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(LTPSTFT)であり得る。薄膜トランジスタは、インジウムガリウム酸化亜鉛薄膜トランジスタ(IGZOTFT)であってもよい。または、スイッチング素子は、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFET)であってもよく、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの従来技術におけるスイッチング特性を有する任意の他の素子であってもよく、本実施例のスイッチング機能を実現することができるとともに、表示パネルに集積することができる電子素子であれば、本願の保護範囲内に収まる。
【0072】
ピクセル駆動回路は、種々の素子を含むので、ソース、ドレイン、ゲート、ゲート絶縁層、活性層、層間絶縁層等を含む多層膜層構造も形成される。各膜層は、パターン化された膜層構造を形成する。異なる経路において、光が通過する経路が異なる。したがって、前記ピクセル駆動回路の層における各層の厚さまたは屈折率を調整することにより、光路を通過する光の光路長を調整することができる。
【0073】
一実施例では、前記第一電極群20は、2つの第一電極21を含むことができる。各第一電極21は、1つのピクセル回路に対応する。このような構成において、透明な表示パネル100を2つの表示領域に分割する。各表示領域は、輝度を、当該表示領域における第一電極21に対応するピクセル回路により、個別に調整することができるので、調整の自由度を高めることができる。
【0074】
他の実施例では、前記第一電極群20は、1つの第一電極21を含むことができる。第一電極21の駆動モードは、パッシブマトリクス(PM)駆動またはアクティブマトリクス(AM)駆動とすることができる。第一電極21の駆動モードがAM駆動の場合に、第一電極21は1つのピクセル回路に対応し、当該ピクセル回路は第一電極21の一端に接続される。または、当該第一電極21が2つのピクセル回路に対応し、2つのピクセル回路が当該第一電極の両端にそれぞれ電気的に接続される。好ましくは、前記第一電極21は2つのピクセル回路に対応し、第一電極21の両端からデータ信号を入力することができ、信号遅延の低減により有利である。
【0075】
一実施例では、図9を参照するように、前記第一ピクセル画定層5上の第一ピクセル開口501の側壁が下から上に向かって斜めに延びている(即ち、第一ピクセル開口501の側壁と第一ピクセル開口の底との間の角が鈍角である)。
【0076】
前記透明な表示パネル100は、第三電極層8をさらに含むことができる。前記第三電極層8は、少なくとも前記第一ピクセル開口501の側壁に配置される。第三電極層8は、第二電極層4と直接に接触している。
【0077】
一実施例では、前記第三電極層8は、前記第二電極層4の上面または下面に位置し、第二電極層4に直接に接触する。図9は第二電極層4の上面に配置された第三電極層8のみを例にして実施例を示している。第二電極層4の下面に第三電極層8を配置した実施例は図示しない。
【0078】
第二電極層4は全面に配置されるので、仕事関数の低い薄い材料(MgやAgなど)を用いて第二電極層4を製造する場合に、第一ピクセル開口501の側壁に位置する第二電極層4の部分が相対的に薄くなり、第一ピクセル開口501の側壁に位置する第二電極層4の部分の抵抗が相対的に大きくなる。透明な表示パネル100の使用時間が長くなることに伴い、当該第二電極層4の部分が劣化する。過酷な場合、当該第二電極層4の部分が破壊され、第一ピクセル開口501内の発光構造ブロック31が正常に発光できなくなる。第一ピクセル開口501の側壁に第二電極層4に直接に接触する第三電極層8を配置することにより、第一ピクセル開口501の側壁の金属層の厚さが増加し、第一ピクセル開口501の側壁に位置する第二電極層4の厚さが薄いために、第二電極層4のこの部分の抵抗が相対的に大きくなる問題が低減される。また、第一ピクセル開口501の側壁に位置する第二電極層4が破壊されても、第三電極層8が接続の役割を果たすことができ、第三電極層8に電流を流し、第一ピクセル開口501内の発光構造ブロック31を正常に発光させることができる。
【0079】
一実施例では、第三電極層8は、マスク板を用いて蒸着される。蒸着開口が第一ピクセル開口501の側壁に位置合わせされ、蒸着した第三電極層8が第一ピクセル開口の側壁に形成される。ただし、マスク板と蒸着開口との位置合わせの誤差を考慮して、一般的には、第三電極層8の蒸着に用いられるマスク板の開口の水平方向の寸法を、側壁に形成される第三電極層の水平方向の最大距離よりも僅かに大きくすることで、第三電極層8の蒸着時にマスク板の開口の位置合わせがずれても、第一ピクセル開口501の側壁に第三電極層8が確実に形成されることを確保する。
【0080】
マスク板の蒸着開口の水平方向の寸法が、側壁に形成された第三電極層8の水平方向の最大距離より大きい場合、蒸着により形成された第三電極層8は、次の3つの状況がある。
【0081】
第一状況において、前記第三電極層8は、第一ピクセル開口501の側壁に配置されるとともに、前記第一ピクセル開口501の側壁に隣接する前記第一ピクセル画定層5の頂部にも延在して配置される。
【0082】
第二状況において、前記第三電極層8は、第一ピクセル開口501の側壁に配置されるとともに、前記第一ピクセル開口501の底部にも延在して配置される。
【0083】
第三状況において、前記第三電極層8は、第一ピクセル開口501の側壁に配置されるとともに、前記第一ピクセル開口501の底部にも延在して配置され、前記第一ピクセル開口501の側壁に隣接する前記第一ピクセル画定層5の頂部に延在して配置される。
【0084】
本願の実施例は、第一表示領域と第二表示領域とを含むディスプレイも提供する。前記第一表示領域の透光率は、前記第二表示領域の透光率より大きい。前記第一表示領域の下方に感光素子が配置される。前記第一表示領域は、第一電極層と、前記第一電極層上に配置されて第一ピクセル開口を有する第一ピクセル画定層と、前記第一ピクセル開口内に配置された発光構造ブロックと、第二電極層とを備える。前記第二電極層は、表面電極である。前記第二電極層は、第一ピクセル画定層上に配置され、前記第一ピクセル開口の側壁上に部分的に配置される。
【0085】
前記第一表示領域に第三電極層が配置される。前記第三電極層は、少なくとも前記第一ピクセル開口の側壁に配置される。前記第三電極層は、前記第二電極層と直接に接触している。
【0086】
第一ピクセル開口の側壁に第二電極層と直接に接触する第三電極層を配置することにより、第一ピクセル開口の側壁の金属層の厚さを厚くすることができ、第一ピクセル開口の側壁に配置された第二電極層の部分の厚さが薄いであることによる当該部分の抵抗が相対的に大きくなる問題を低減することができる。また、第一ピクセル開口の側壁に配置された第二電極層が破壊されても、第三電極層が接続の役割を果たすことができ、第三電極層に電流を流し、第一ピクセル開口内の発光構造ブロックが正常に発光する。
【0087】
好ましくは、前記第三電極層は、前記第二電極層の上面または下面に配置されてもよい。
【0088】
好ましくは、前記第三電極層は、前記第一ピクセル開口の側壁に隣接する前記第一ピクセル画定層の頂部の縁にさらに延びて配置される。
【0089】
好ましくは、前記第三電極層は、前記第一ピクセル開口の底部にさらに延びて配置される。
【0090】
好ましくは、前記第二表示領域は、第四電極層と、第四電極層上に配置されて第二ピクセル開口を有する第二ピクセル画定層と、第二ピクセル開口内に設けられた発光構造ブロックと、前記第二ピクセル画定層上に配置された第五電極層とを備える。前記第五電極層は表面電極である。前記第五電極層の厚さは、前記第二電極層の厚さより大きい。このような構成により、第一表示領域の透光率を大きく確保することができるので、第一表示領域の下に配置された感光素子は、より多くの光を受光することができる。
【0091】
前記第二電極層の材料は、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、Mg及びAgの少なくとも1つを含む。
【0092】
好ましくは、前記第二電極層の材料はMgとAgとを含む。Mgの質量とAgの質量との比は、1:4から1:20の範囲であってもよい。
【0093】
第一ピクセル画定層と第二ピクセル画定層とは、同一の膜層構造とすることができる。第一表示領域の発光構造ブロックと第二表示領域の発光構造ブロックとを同一の工程で形成することができる。
【0094】
第一表示領域は、透明表示領域とすることができる。第一表示領域に配置される透明な表示パネルは、上記透明な表示パネル100と同じ構造を有することができる。詳細については、上記の実施例を参照するように、その説明はここでは繰り返しない。前記第一表示領域の透光率は、前記第二表示領域の透光率より大きい。
【0095】
本願の実施例はさらに、ディスプレイの製造工程に使用されるマスク板を提供する。前記ディスプレイは、第一表示領域と第二表示領域とを含む。前記第一表示領域の透光率は、前記第二表示領域の透光率より大きい。前記第一表示領域の下方に感光素子を配置することができる。前記第一表示領域は、第一電極層と、前記第一電極層上に配置されて複数の第一ピクセル開口を有する第一ピクセル画定層と、前記第一ピクセル開口内に設けられた発光構造ブロックと、第二電極層と、第三電極層とを備える。前記第二電極層は、表面電極である。前記第二電極層は、前記第一ピクセル画定層上に配置され、前記第一ピクセル開口の側壁上に部分的に配置される。前記第三電極層は、少なくとも前記第一ピクセル開口の側壁に配置される。前記第三電極層は、前記第二電極層と直接に接触している。前記第二表示領域は、第四電極層と、前記第四電極層上に配置されて第二ピクセル開口を有する第二ピクセル画定層と、第二ピクセル開口内に配置された発光構造ブロックと、第二ピクセル画定層上に配置された第五電極層とを備える。前記第五電極層は表面電極である。前記第五電極層の厚さは、前記第二電極層の厚さより大きい。
【0096】
図10を参照するように、マスク板300は、第一開口301と、複数の第二開口302とを含む。前記第一開口301は、前記第五電極層の製造に用いられる。前記第二開口302は、前記第三電極層の製造に用いられる。前記第一開口301の形状は、前記第二表示領域の形状と重複している。前記第二開口302の寸法は、前記第一開口301の寸法よりもはるかに小さい。
【0097】
ディスプレイの製造プロセスにおいて、上記マスク板300を使用する時に、第一開口301が第二表示領域に位置合わせる。第二表示領域の第五電極層は、第一開口301により製造される。第二開口302は、第一表示領域の第一ピクセル画定層の側壁に位置合わせる。第一表示領域の第三電極層は、第二開口302により製造される。上記マスク板300を用いることにより、第二表示領域の第五電極層と第一表示領域の第三電極層とを同時に製造することができ、ディスプレイの製造工程を簡単化することができる。
【0098】
本願はさらに、ディスプレイを提供する。図11を参照するように、前記ディスプレイ200は、第一表示領域201と第二表示領域202とを含む。前記第一表示領域201は、上記実施例に記載の透明な表示パネル100を備えている。前記第一表示領域201の透光率は、前記第二表示領域202の透光率より大きい。前記第一表示領域201の下方に感光素子を配置することができる。
【0099】
ディスプレイ200の第一表示領域201に設けられる表示パネルは、上記の実施例に記載の透明な表示パネル100とすることができるので、第一表示領域201における配線の複雑さを低減することができ、光透過時の第一表示領域201における複雑な配線に起因する回折重畳現象を効果的に改善することができ、第一表示領域201のバックライト面に配置されたカメラで撮像される画像の品質を向上させることができ、画像歪み欠陥の欠陥を回避することができる。また、同一の第一電極21の複数の第一電極ブロック211が電気的に接続されるので、同一の第一電極21の複数の第一電極ブロック211に相応配置される発光構造ブロックを同時に発光またはオフに制御することができ、第一表示領域201の制御を簡単化することができる。
【0100】
一実施例では、図11を参照するように、前記ディスプレイ200は、前記第一表示領域201及び前記第二表示領域202に隣接する遷移表示領域203をさらに含む。前記第一表示領域201は、前記遷移表示領域203によって少なくとも部分的に囲まれている。前記遷移表示領域203には、前記第一表示領域201の前記第一電極21に対応するピクセル回路が配置される。
【0101】
このような構成により、第一表示領域201のフィルム層構造の複雑さと配線の複雑さをさらに簡素化することができ、光透過時に発生する回折重畳現象の改善により有利となり、第一表示領域201のバックライト面に配置されたカメラの撮像画像の品質をさらに向上させることができる。
【0102】
実施例によれば、前記第二表示領域202及び前記遷移表示領域203には、第四電極層と、前記第四電極層上に配置された発光構造層と、発光構造層上に配置された第五電極層とを備えている。第五電極層は、間隔をおいて配置された複数の第五電極ブロックを含む。第五電極ブロックの配置は、第一表示領域201における第一電極ブロックの配置と同一とすることができ、第一表示領域201、第二表示領域202及び遷移表示領域203の表示効果がより安定する。
【0103】
一実施例では、前記遷移表示領域203におけるサブピクセルの密度は、前記第二表示領域202におけるサブピクセルの密度より小さく、前記第一表示領域201におけるサブピクセルの密度より大きい。このように、ディスプレイ200が表示するときに、遷移表示領域203の輝度は、第一表示領域201の輝度と第二表示領域202の輝度との間であるので、第一表示領域201と第二表示領域202とが隣接している場合に輝度の差が大きくなることに起因する明確な境界を回避することができ、ユーザの体験を向上させることができる。
【0104】
また、前記遷移表示領域203における隣接するサブピクセルの間の距離は、第一表示領域201における隣接するサブピクセルの間の距離より小さく、及び/又は、前記遷移表示領域203における各サブピクセルの寸法は、前記第一表示領域201における各サブピクセルの寸法よりも小さい。これら2つの構成により、遷移表示領域203におけるサブピクセルの密度は、第一表示領域201におけるサブピクセルの密度よりも大きくなる。
【0105】
本願の実施例は、さらに、装置本体と、前記いずれかの実施例に記載のディスプレイとを含む表示装置を提供する。装置本体は、素子領域を有する。ディスプレイは前記装置本体を覆う。素子領域は、第一表示領域の下方に位置し、前記第一表示領域を通過して光を集光する感光素子を備える。
【0106】
ここで、前記感光素子は、カメラ及び/または光センサを含むことができる。素子領域には、感光素子以外でジャイロスコープやイヤーピース等の他の装置を配置することもできる。素子領域はノッチ領域であってもよい。ディスプレイの第一表示領域は、ノッチ領域に対応して配置することができ、ノッチ領域に取り付けることができ、第一表示領域を介して光感応装置を発光または集光させることができる。
【0107】
上記表示装置は、第一表示領域が上記実施例に記載の透明な表示パネルであるので、第一表示領域における配線の複雑さを低減することができ、光透過時の第一表示領域における複雑な配線に起因する回折重畳現象を効果的に改善することができ、第一表示領域のバックライト面に配置されたカメラの撮像画像の品質を向上させ、画像歪みの欠陥を回避することができる。また、同一の第一電極の複数の第一電極ブロックが電気的に接続されるので、同一の第一電極の複数の第一電極ブロックに相応配置される発光構造ブロックを同時に発光またはオフに制御することができ、第一表示領域の制御を簡単化することができる。
【0108】
前記表示装置は、携帯電話、タブレット、パームコンピュータ、iPod(登録商標)等のデジタル機器であってもよい。
【0109】
なお、図面においては、レイヤー及び領域の寸法を拡大して図示する時がある。ある要素または層が別の要素または層の上にあると呼ばれる場合、それは別の要素または中間層の上に直接に存在することがある。さらに、ある要素または層が別の要素または層の下と呼ばれる場合には、別の要素または層の下にあるか、または1つ以上の中間層または要素が存在していてもよい。また、層または要素が2つの層または2つの要素の間と呼ばれる場合、それは2つの層または2つの要素の間の唯一の層であってもよく、あるいは1つ以上の中間層または要素が存在していてもよい。同一の参照番号は同一の要素を示す。
【0110】
本開示において、「第一」及び「第二」という用語は、記述目的でのみ使用され、相対的な重要性を示すもの又は暗示するものとして理解することはできない。「複数」とは、特に別段の定義がない限り、2以上を指す。
【0111】
当業者は、明細書を検討し、ここに開示された解決策を実施した後、本開示の他の実施例を容易に想到することができる。本開示は、本開示の変更、目的又は適応的変更を対象とする。これらの変化、目的又は適応的変化は、本開示の一般原則に従っており、本開示によって開示されない技術分野における共通の知識又は従来の技術手段を含む。明細書及び実施例は、単に例示的であり、本開示の真の範囲は、次の請求項により請求される。
【0112】
なお、本開示は、図面に記載された上記の精密な構造に画定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく、種々の変更を加えることができるものである。本開示の範囲は、添付の請求項により画定される。
図1
図2
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図5
図6
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図9
図10
図11