(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】BPA凍結乾燥製剤及び製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/69 20060101AFI20230616BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20230616BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230616BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A61K31/69
A61K41/00
A61P35/00
A61K9/19
(21)【出願番号】P 2021545479
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2020086745
(87)【国際公開番号】W WO2020216334
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】201910341883.5
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515153495
【氏名又は名称】南京中硼▲聯▼康医▲療▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Medtech Ltd.
【住所又は居所原語表記】3rd Floor, Block 6, NO. 568, Longmian Ave, Jiangning District, Nanjing, Jiangsu 211112 China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼渊豪
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲ら▼▲梅▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲暁▼明
(72)【発明者】
【氏名】李▲紅▼峰
(72)【発明者】
【氏名】李▲や▼▲じん▼
(72)【発明者】
【氏名】何静
(72)【発明者】
【氏名】王冬春
【審査官】内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103100094(CN,A)
【文献】Eur. J. Pharmaceut. Sci.,2013年,Vol.48,pp.735-739
【文献】Radiother. Oncol.,2008年,Vol.88,pp.183-191
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/69
A61K 41/00
A61P 35/00
A61K 9/19
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液調製過程及び凍結乾燥過程を含み、
溶液調製過程は、
(1)アルカリにより4-ボロノフェニルアラニンとフルクトースを水溶液に溶解して清澄溶液を得るステップと、
(2)酸により前記清澄溶液を7.5<pH≦8.5になるように調整して、4-ボロノフェニルアラニン溶液を得るステップと、
を含み、
凍結乾燥過程は、
(3)前記4-ボロノフェニルアラニン溶液を分注し、真空度10~20Paの条件で凍結乾燥して、凍結乾燥製剤を得るステップ
を含み、
前記凍結乾燥過程は、さらに、
温度が-20℃~-60℃であ
り、時間が5-15時間である予備凍結過程
、
温度が-15℃~-35℃であ
り、時間が30-55時間である昇華過程、
及び
温度が0℃~40℃であ
り、時間が4-10時間である真空乾燥過程を含む
4-ボロノフェニルアラニン凍結乾燥製剤の製造方法。
【請求項2】
前記溶液調製過程における、いずれかの前記「溶液」の温度が60℃以下であるように制御する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記4-ボロノフェニルアラニンとフルクトースとの重量部比は1:1~1.3である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液調製過程において、アルカリにより4-ボロノフェニルアラニンとフルクトースを水溶液に溶解して、pH値が8.5~9.5である清澄溶液を得る、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶液調製過程の後及び凍結乾燥過程の前に濾過ステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記凍結乾燥過程の時間は39-80時間である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記凍結乾燥の真空度は10~11Paである、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記4-ボロノフェニルアラニンの化学式は、
【化1】
であり、式中、Bが
10Bである、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
組成物の製造方法であって、
前記組成物は、4-ボロノフェニルアラニン凍結乾燥製剤を含み、
前記組成物の製造方法は、前記4-ボロノフェニルアラニン凍結乾燥製剤を、請求項1に記載の製造方法で製造する工程を含む、
組成物の製造方法。
【請求項11】
キットの製造方法であって、
前記キットは、4-ボロノフェニルアラニン凍結乾燥製剤を含み、
前記キットの製造方法は、前記4-ボロノフェニルアラニン凍結乾燥製剤を、請求項1に記載の製造方法で製造する工程を含む、
キットの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の分野に関し、具体的には、本発明は、BPA凍結乾燥製剤及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy、BNCT)は、ホウ素(10B)含有薬物が熱中性子に対する大きい捕捉断面積を持つ特性を利用し、10B(n,α) 7Li中性子捕捉と核分裂反応により4Heと7Liという2種の重荷電粒子を生成する。2種の重荷電粒子は平均エネルギーが約2.33MeVであり、高い線エネルギー付与(Linear Energy Transfer、LET)と短い射程という特性を持つ。α粒子の線エネルギー付与と射程は、それぞれ150keV/μm、8μmであり、7Li重荷電粒子の場合、それぞれ175keV/μm、5μmである。2種の粒子の合計射程が細胞のサイズに近いので、生体への放射線損害を細胞レベルに抑えられる。それで、ホウ素含有薬物を選択的に腫瘍細胞に集め、適切な中性子源と合わせることで、正常組織に多くの損害を与えない状態で腫瘍細胞を部分的に殺せる。
【0003】
4-ボロノフェニルアラニン(BPA)は、現在多く研究される10B含有薬物である。BPAは、水に難溶であるため、一般的に、共溶媒を添加し、かつ強酸又はアルカリの作用で溶解する必要があり、さらに生理的pH程度に調整し、除菌により無菌注射液として製造した後、患者又は動物に使用し、該溶液は、使用時に調製する必要がある。煩雑な調製過程に起因して、該薬物が臨床的に使用しにくくなり、かつ無菌性が保証されず、その応用が制限される。特許CN103100094Bには、L-BPAと、共溶媒であるフルクトースとを混合した後にL-BPAを溶解し、真空状態で22-26時間凍結乾燥するというL-BPAに適用される凍結乾燥プロセスが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、BPA凍結乾燥製剤の製造方法と、前記方法で製造された、安定性が高く、不純物含有量が低いBPA製剤と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様に係るBPA凍結乾燥製剤の製造方法は、溶液調製過程及び凍結乾燥過程を含み、溶液調製過程は、(1)アルカリによりBPAと多価アルコールを水溶液に溶解して清澄溶液を得ることと、(2)酸により前記清澄溶液を7.5<pH≦8.5になるように調整して、BPA溶液を得ることと、を含み、凍結乾燥過程は、(3)前記BPA溶液を分注し、真空度10~20Paの条件で凍結乾燥して、前記凍結乾燥製剤を得ることを含む。
【0006】
別の好ましい例では、溶液調製過程において、前記溶液の温度が60℃以下であり、好ましくは18~50℃であり、より好ましくは18~40℃であるように制御する。
【0007】
別の好ましい例では、前記BPAと多価アルコールとの重量部比は、1:1~1.3であり、好ましくは1:1.1~1.25である。
【0008】
別の好ましい例では、前記凍結乾燥の真空度は、10~20Paであり、好ましくは10~11Paである。
【0009】
別の好ましい例では、前記清澄溶液をpH値が7.6~8.1になるように調整して、BPA溶液を得る。
【0010】
別の好ましい例では、前記アルカリは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムを含む。
【0011】
別の好ましい例では、前記溶液調製過程において、アルカリによりBPAと多価アルコールを水溶液に溶解して、pH値が8.5~9.5である清澄溶液を得る。
【0012】
別の好ましい例では、前記多価アルコールは、フルクトース、ラクトース、ソルビトール、マルトース、マンニトール、キシリトール、リボース、グルコース、スクロースを含む。
【0013】
別の好ましい例では、前記溶液調製過程の後及び凍結乾燥過程の前に濾過ステップをさらに含む。
【0014】
別の好ましい例では、前記凍結乾燥過程の時間は39-80時間である。
【0015】
別の好ましい例では、前記凍結乾燥過程における真空度は10~11Paである。
【0016】
別の好ましい例では、前記凍結乾燥過程は予備凍結過程をさらに含む。好ましくは、前記予備凍結過程の温度は-20℃~-50℃である。好ましくは、前記予備凍結過程の時間は5-15時間である。
【0017】
別の好ましい例では、前記凍結乾燥過程は昇華過程をさらに含む。好ましくは、前記昇華過程の温度は-20℃~-35℃である。好ましくは、前記昇華過程の真空度は10~20Paである。好ましくは、前記昇華過程の時間は30-55時間である。
【0018】
別の好ましい例では、前記凍結乾燥過程は真空乾燥過程をさらに含む。好ましくは、前記真空乾燥過程の温度は20℃~40℃である。好ましくは、前記真空乾燥過程の真空度は10~20Paの条件であり、好ましくは、前記真空乾燥過程の時間は4-10時間である。
【0019】
本発明の第2態様に係る、本発明の第1態様に記載の方法で製造されたBPA凍結乾燥製剤である。
【0020】
本発明の第3態様に係る組成物は、第2態様に記載のBPA凍結乾燥製剤を含む。
【0021】
本発明の第4態様に係るキットは、第2態様に記載のBPA凍結乾燥製剤を含む。
【0022】
本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に記載される各技術的特徴を互いに組み合わせて、新しいか又は好ましい技術手段を構成できることを理解されたい。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の好ましいBPA凍結乾燥製剤の製造プロセス過程である。
【用語】
【0024】
特に定義されない限り、本明細書の全ての科学技術用語の意味は、特許請求の範囲の主題が属する分野の当業者に一般的に理解される意味と同じである。特に明記しない限り、本明細書の全文に引用された全ての特許、特許出願、開示材料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
上記概要説明及び後文の詳細な説明は、例示的なものであり、かつ解釈するためのものに過ぎず、本発明の主題に何ら制限もないことを理解されたい。本明細書において、特に明記しない限り、単数形は複数形も含む。本明細書において、別段の明確な記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される単数形は、言及されるものの複数形を含むことに留意されたい。特に明記しない限り、用語「又は」、「或いは」は、「及び/又は」を意味することにも留意されたい。また、用語「含む」及びその他の形、例えば「包含」、「含み」、「含有」は、限定するものではない。本明細書で使用される節の見出しは、単なる構成目的のためのものであり、記載される主題を制限するものとして解釈されるべきではない。本願に引用される全ての文献又は文献の一部は、特許、特許出願、記事、書籍、説明書、及び論文を含むが、これらに限定されず、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
本発明に係る「アルカリ」は、主に無機アルカリであり、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムを含むが、これらに限定されない。本発明に係る「酸」は、無機酸及び有機酸を含む。無機酸は、例えば、過塩素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、臭化水素酸、塩酸、硝酸、ヨウ素酸、シュウ酸(エタン二酸)、亜硫酸、リン酸、ピルビン酸、炭酸、クエン酸、フッ化水素酸、リンゴ酸、グルコン酸、ギ酸、乳酸、安息香酸、アクリル酸、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸、ステアリン酸、硫化水素酸、次亜塩素酸、ホウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸を含むが、これらに限定されず、好ましくは、酸は塩酸である。
【0027】
本発明に係る「BPA」は、4-ボロノフェニルアラニンであり、化学式が
【化1】
であり、式中、Bは
10B及び
11Bを含む。Bが
10Bである場合、薬物としてホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いることができ、2種の異性体を有し、それぞれL型
【化2】
とD型
【化3】
である。2種の構造は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきであり、本発明に係るBPAは、好ましくはL型BPA(L-BPA)である。
BPA凍結乾燥製剤の製造方法
【0028】
本発明に係るBPA凍結乾燥製剤の製造方法は、溶液調製過程及び凍結乾燥過程を含み、溶液調製過程は、(1)アルカリによりBPAと多価アルコールを水溶液に溶解して清澄溶液を得ることと、(2)酸により上記清澄溶液を7.5<pH≦8.5になるように調整して、BPA溶液を得ることと、を含み、凍結乾燥過程は、(3)上記BPA溶液を分注し、真空度10~20Paの条件で凍結乾燥して、上記凍結乾燥製剤を得ることを含む。溶液中の各成分の化学的性質が変化しないことを保証するために、溶液調製過程において、上記溶液の温度が60℃以下であるように制御する必要があり、ここでいう「溶液」とは、溶液調製過程におけるいずれかの上記「溶液」を指す。好ましくは、上記温度は、18~50℃であり、より好ましくは18~40℃である。
【0029】
BPAと多価アルコールとの重量部比は、BPAの溶解に影響を与え、その重量部比は特に限定されない。好ましくは、上記BPAと多価アルコールとの重量部比は、1:1~1.3であり、より好ましくは、1:1.1~1.25である。上記多価アルコールは、フルクトース、ラクトース、ソルビトール、マルトース、マンニトール、キシリトール、リボース、グルコース、スクロースを含む。
【0030】
上記溶液調製過程において、アルカリによりBPAと多価アルコールを水溶液に溶解して、pH値が8.5~9.5である清澄溶液を得る。さらに、酸により上記清澄溶液をpH値が7.6~8.1になるように調整する必要があり、BPA溶液を得る。
【0031】
凍結乾燥過程において、上記凍結乾燥の真空度は、10~20Paであり、好ましくは10~11Paである。上記凍結乾燥過程の時間は39-80時間である。実際の操作において、溶液調製過程における実際のパラメータに基づいて決定することができ、特に限定されない。上記凍結乾燥過程は、予備凍結過程、昇華過程及び真空乾燥過程を含み、3つの過程における温度、時間、真空度などのパラメータは、実際の必要に応じて独立して選択することができる。好ましい解決手段としては、BPA溶液を以下の条件で凍結乾燥して、BPA凍結乾燥製剤を得る。予備凍結過程において、サンプルを-20℃~-60℃に降温させ、5-15時間維持することにより、サンプルを完全に凍結させる。昇華過程において、-15℃~-35℃に昇温させ、10-11paの真空を維持し、30-55時間維持する。真空乾燥過程において、セパレータを加熱し、0℃~40℃に昇温させ、4-10時間維持し、真空乾燥過程全体において10-11paの真空を維持する。好ましい解決手段としては、予備凍結過程において、実際の必要に応じて温度を複数回調整する場合があり、例えば、まず-60℃まで降温させて一定の時間維持した後、-20~-50℃まで昇温させる。好ましい解決手段としては、真空乾燥過程において、まず低い温度まで昇温させ、次に高い温度まで徐々に上昇させて、例えば、まず0℃まで昇温させて一定の時間維持し、次に30±10℃まで昇温させる。
【0032】
本発明の主な利点は、以下を含む。
1.凍結乾燥過程において、最適化されたプロセスパラメータを用いることにより、凍結乾燥過程における水分の除去が不十分であること、温度の制御不良が生じることによる製品形態に対する悪影響を大幅に回避し、製品の水分を最低レベルに制御し、同時に温度が均一に伝達され、製品が軟らかくて膨らみ、粒子が均一であり、崩壊し、気泡が立ち、ばらばらになり、縮むなどの現象が発生しない。
2.製品は、再溶解性が高く、水を添加すると迅速に溶解し、純度が高く、安定性が高い。
3.製品に可視異物がなく、関連物質の含有量が低く、不純物制御効果が高い。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明者は、広くて鋭意に研究した結果、BPA凍結乾燥製剤及び製造方法を開発し、溶液調製過程及び凍結乾燥過程を含み、凍結乾燥過程において、最適化されたプロセスパラメータを用いることにより、凍結乾燥過程における水分の除去が不十分であること、温度の制御不良が生じることによる製品形態に対する悪影響を大幅に回避し、製剤の安定性が高く、不純物含有量が低い。その上で、本発明を完成するに至った。
【0034】
以下、具体的な実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。以下の説明は、本発明の最も好ましい実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するためのものと見なされるべきではないことを理解されたい。本発明を十分に理解したうえで、以下の実施例において具体的な条件を明示していない実験方法は、通常、一般的な条件に従って、又はメーカが提案した条件に従って行われ、当業者は、本発明の技術手段に対して本質的でない変更を行うことができ、このような変更が本発明の保護範囲に含まれると見なされるべきである。特に明記しない限り、百分率及び部数は、重量百分率及び重量部数である。
【実施例1】
【0035】
BPA溶液の調製:(1)溶液調製タンクに1.0kgのBPA、1.1-1.3kgのフルクトース及び適量の注射用水を添加し、BPA及びフルクトースを入れた容器を水で3回洗浄し、洗浄した水を溶液調製タンク内に移し、10min撹拌し、(2)溶液調製タンクに水酸化ナトリウム溶液を添加してBPAを溶解し、溶液が清澄になるまで撹拌し、(3)塩酸溶液を添加して、溶液のpH値を7.6に調整する。
【0036】
塩酸を用いて調整した後の溶液が安定するか否かを考察し、添加した塩酸により、生理的pH値に近い異なるpH値に調整し、pH=7.3-8.5の条件で48時間以内に溶液中に沈殿が生成したか否かを観察した実験結果は、表1に示すとおりである。また、それぞれpH=7.6、8.0、8.5の条件でのpH値について、表2に示すように、溶液のpH値が24時間以内に顕著な変化はなかった。
【表1】
【表2】
【実施例2】
【0037】
BPA溶液を以下の条件で凍結乾燥して、BPA凍結乾燥製剤を得る。
(1)予備凍結過程において、サンプルを-20℃~-60℃に降温させ、5-15時間維持することにより、サンプルを完全に凍結させる。
(2)昇華過程において、-15℃~-35℃に昇温させ、10-11paの真空を維持し、30-55時間維持する。
(3)真空乾燥過程において、セパレータを加熱し、0℃~40℃に昇温させ、4-10時間維持し、真空乾燥過程全体において10-11paの真空を維持する。
【0038】
表3に示すように、凍結乾燥サンプルに水を添加して再溶解して溶液を調製し、室温で24時間放置すると、pH、清澄度、光透過率、含有量の測定結果は、いずれも顕著な変化を発生しなくて、本製品を調製した後に室温で24h放置するときの溶液の安定性が良好である。
【表3】
【実施例3】
【0039】
図1に示すように、BPA凍結乾燥製剤の製造プロセス過程は、1.調製工程と、2.充填工程と、3.凍結乾燥工程と、4.取り出し、キャッピング工程と、5.包装工程とを含む。詳細なプロセスの説明は、以下のとおりである。
【0040】
1.調製工程
溶液調製タンクに注射用水を添加し、処方量のBPA及び補助材料を添加し、水酸化ナトリウム溶液を添加し、補助材料及び水酸化ナトリウム溶液を入れる容器をそれぞれ注射用水で洗浄して溶液調製タンクに移す。溶液が清澄になるまで撹拌する。pHを調整し、残りの注射用水を添加し、均一に撹拌し、中間体を検出し、濾過する。前記補助材料は、本発明に係る多価アルコールである。
【0041】
2.充填工程
中間体の含有量に基づいて充填量を調整し、充填し、半打栓し、凍結乾燥機に入れる。
【0042】
3.凍結乾燥工程
予備凍結段階、昇華段階及び真空乾燥段階を含む。
【0043】
4.取り出し、キャッピング工程
取り出し:半製品から、クラス100層流の保護下で、栓なし、栓変位、瓶破裂などの不良品を取り出し、廃棄処理する。キャッピング:製造前、中、後にサンプリングしてその外観を検出する。
【0044】
5.包装工程
ラベリングし、パッケージに詰め、箱に詰め、入庫する。
【0045】
本発明で言及される全ての文献は、まるで文献ごとが参照に単独引用されるもの同様に皆本願の参照として引用される。また、本発明の上記講義内容を読んだ後で、当業者が本発明に対して様々な変更又は修正を行うことができ、これらの等価形態は、同様に、本願の特許請求の範囲によって限定される範囲に含まれることを理解されたい。