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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】ガイド部材
(51)【国際特許分類】
   B67D 3/02 20060101AFI20230616BHJP
   B67C 3/26 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B67D3/02 B
B67C3/26
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021545943
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2020004627
(87)【国際公開番号】W WO2020162555
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】16/269,284
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤掛 盾
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,クリストファー
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04151867(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 3/02
B67C 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラー装置のフィリングバルブに取り付け可能なガイド部材であって、
前記フィリングバルブは、容器支持部に支持された容器に製品を充填するためのフィリングバルブであり、
前記容器支持部は、前記フィリングバルブに対して相対的に昇降可能に構成され、
前記フィリングバルブに、前記容器支持部の上昇に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の上昇によって開弁され、前記容器支持部の下降に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の下降によって閉弁されるように構成された充填口が備えられ、
内面および外面を有し、前記フィリングバルブが前記内面を通過するように配置されるとともに、前記充填口に対して相対的に垂直移動可能に配置された上側本体と、
前記上側本体に摺動可能に装着され、前記上側本体の前記外面を摺動可能に構成された下側本体と、が備えられ、
前記下側本体側に、該下側本体の内面よりも内方へ張り出してあり前記容器支持部に載置された前記容器の少なくとも口部と当接可能な当接部が備えられ、
前記当接部と前記口部とが当接した状態が維持されたまま前記容器が上昇させられることによって前記口部は前記充填口に対して適切な位置に案内されるように構成され
前記上側本体の上端に、外方に向けて張り出した上側外向き張出部が備えられ、
前記上側本体の下端に、外方に向けて張り出した下側外向き張出部が備えられ、
前記下側本体の上端に、内方に向けて張り出した内向き張出部が備えられ、
少なくとも、前記下側外向き張出部が前記下側本体の内面を摺動する又は前記内向き張出部が前記上側本体の外面を摺動する態様によって、前記上側本体及び前記下側本体は共通の軸心に沿って互いに摺動可能に構成され、
前記下側本体は、前記下側本体の自重により、前記内向き張出部と前記下側外向き張出部とが互いに掛止されるように構成され、
前記上側本体は、前記下側本体が押し上げられたときに、前記内向き張出部と前記上側外向き張出部とが互いに掛止され得るように構成されているガイド部材。
【請求項2】
フィラー装置のフィリングバルブに取り付け可能なガイド部材であって、
前記フィリングバルブは、容器支持部に支持された容器に製品を充填するためのフィリングバルブであり、
前記容器支持部は、前記フィリングバルブに対して相対的に昇降可能に構成され、
前記フィリングバルブに、前記容器支持部の上昇に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の上昇によって開弁され、前記容器支持部の下降に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の下降によって閉弁されるように構成された充填口が備えられ、
内面および外面を有し、前記フィリングバルブが前記内面を通過するように配置されるとともに、前記充填口に対して相対的に垂直移動可能に配置された上側本体と、
前記上側本体に摺動可能に装着され、前記上側本体の前記外面を摺動可能に構成された下側本体と、が備えられ、
前記下側本体側に、該下側本体の内面よりも内方へ張り出してあり前記容器支持部に載置された前記容器の少なくとも口部と当接可能な当接部が備えられ、
前記当接部と前記口部とが当接した状態が維持されたまま前記容器が上昇させられることによって前記口部は前記充填口に対して適切な位置に案内されるように構成され
前記上側本体及び前記下側本体は筒状に構成され、前記下側本体の側面に開口部が設けられているガイド部材。
【請求項3】
フィラー装置のフィリングバルブに取り付け可能なガイド部材であって、
前記フィリングバルブは、容器支持部に支持された容器に製品を充填するためのフィリングバルブであり、
前記容器支持部は、前記フィリングバルブに対して相対的に昇降可能に構成され、
前記フィリングバルブに、前記容器支持部の上昇に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の上昇によって開弁され、前記容器支持部の下降に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の下降によって閉弁されるように構成された充填口が備えられ、
内面および外面を有し、前記フィリングバルブが前記内面を通過するように配置されるとともに、前記充填口に対して相対的に垂直移動可能に配置された上側本体と、
前記上側本体に摺動可能に装着され、前記上側本体の前記外面を摺動可能に構成された下側本体と、が備えられ、
前記下側本体側に、該下側本体の内面よりも内方へ張り出してあり前記容器支持部に載置された前記容器の少なくとも口部と当接可能な当接部が備えられ、
前記当接部と前記口部とが当接した状態が維持されたまま前記容器が上昇させられることによって前記口部は前記充填口に対して適切な位置に案内されるように構成され
前記フィリングバルブは、前記製品を貯蔵するために該フィラー装置に備えられているフィラーボウルの底面に貫通配置される筒状のハウジングと、該ハウジングに挿通配置される筒状の外側バルブ体と、前記ハウジングに上端が固定されるとともに該外側バルブ体に挿通配置され、その下端に前記充填口が設けられている、筒状の内側バルブ体と、前記外側バルブ体を前記ハウジングに対して下方に付勢する付勢部とが備えられ、
前記外側バルブ体に、前記口部によって上方へ押圧され得る被押圧部が設けられ、
前記容器支持部の上昇によって前記容器支持部に載置された前記容器の口部が前記被押圧部を押圧し前記外側バルブ体を上方に移動させることによって、前記充填口が開弁され、前記容器支持部の下降によって前記外側バルブ体が下方に移動させられるのに伴って前記充填口が閉弁されるように構成され、
前記付勢部は、前記ハウジングと前記被押圧部との間に配設された圧縮コイルバネから構成され、
前記圧縮コイルバネは、前記ハウジング側に備えられた上側固定部に上端が固定された上側バネと、前記被押圧部側に備えられた下側固定部に下端が固定された下側バネとから構成され、
前記上側バネの下端と前記下側バネの上端とは前記外側バルブ体の表面を摺動可能に配置された連結部によって連結されて構成されたものであり、
前記上側本体は、上側ケースと前記上側ケースに対して着脱可能な下側ケースとから構成され、
前記上側ケースは、前記下側固定部より上方において該上側ケースの下端が該下側固定部に接触することによってその状態から下方への移動が不可能なように構成され、
前記下側ケースは、前記下側固定部より下方に延びて構成され該下側ケースの内面に前記被押圧部を摺動可能に構成されているガイド部材。
【請求項4】
前記上側本体の下端に、外方に向けて張り出した下側外向き張出部が備えられ、
前記下側本体の上端に、内方に向けて張り出した内向き張出部が備えられ、
少なくとも、前記下側外向き張出部が前記下側本体の内面を摺動する又は前記内向き張出部が前記上側本体の外面を摺動する態様によって、前記上側本体及び前記下側本体は共通の軸心に沿って互いに摺動可能に構成され、
前記下側本体は、前記下側本体の自重により、前記内向き張出部と前記下側外向き張出部とが互いに掛止されるように構成されている請求項2又は3に記載のガイド部材。
【請求項5】
前記下側本体側に、前記下側外向き張出部と接触可能であるとともに、前記容器の上昇に起因する前記下側本体の上方への移動に伴って前記上側本体を押し上げるように構成されている押上部が設けられている請求項に記載のガイド部材。
【請求項6】
前記上側本体の上端に、外方に向けて張り出した上側外向き張出部が備えられ、
前記上側本体は、前記下側本体が押し上げられたときに、前記内向き張出部と前記上側外向き張出部とが互いに掛止され得るように構成されている請求項4又は5に記載のガイド部材。
【請求項7】
前記当接部は、前記下側本体に対して着脱可能な当接部材に設けられている請求項1からのいずれか一項に記載のガイド部材。
【請求項8】
前記フィリングバルブは、前記製品を貯蔵するために該フィラー装置に備えられているフィラーボウルの底面に貫通配置される筒状のハウジングと、該ハウジングに挿通配置される筒状の外側バルブ体と、前記ハウジングに上端が固定されるとともに該外側バルブ体に挿通配置され、その下端に前記充填口が設けられている、筒状の内側バルブ体と、前記外側バルブ体を前記ハウジングに対して下方に付勢する付勢部とが備えられ、
前記外側バルブ体に、前記口部によって上方へ押圧され得る被押圧部が設けられ、
前記容器支持部の上昇によって前記容器支持部に載置された前記容器の口部が前記被押圧部を押圧し前記外側バルブ体を上方に移動させることによって、前記充填口が開弁され、前記容器支持部の下降によって前記外側バルブ体が下方に移動させられるのに伴って前記充填口が閉弁されるように構成され、
前記付勢部は、前記ハウジングと前記被押圧部との間に配設された圧縮コイルバネから構成され、
前記圧縮コイルバネは、前記ハウジング側に備えられた上側固定部に上端が固定された上側バネと、前記被押圧部側に備えられた下側固定部に下端が固定された下側バネとから構成され、
前記上側バネの下端と前記下側バネの上端とは前記外側バルブ体の表面を摺動可能に配置された連結部によって連結されて構成されたものであり、
前記上側本体は、上側ケースと前記上側ケースに対して着脱可能な下側ケースとから構成され、
前記上側ケースは、前記下側固定部より上方において該上側ケースの下端が該下側固定部に接触することによってその状態から下方への移動が不可能なように構成され、
前記下側ケースは、前記下側固定部より下方に延びて構成され該下側ケースの内面に前記被押圧部を摺動可能に構成されている請求項1又は2に記載のガイド部材。
【請求項9】
前記下側固定部が、前記上側ケースの下端と接触する外側部分と、前記上側ケースの内側に挿入される内側部分と、を有し、
前記フィリングバルブは、前記上側固定部、前記下側固定部及び前記連結部の外径がそれぞれ、前記上側バネ及び前記下側バネの直径よりも大きく構成されたものであり、
前記上側ケースは、該上側ケースの内径が、前記上側固定部、前記下側固定部の前記内側部分、及び前記連結部の外径よりも大きく、かつ、少なくとも前記連結部に対して摺動可能に構成され、
前記下側ケースは、該下側ケースの内径が、前記被押圧部の外径よりも大きく、かつ、少なくとも該被押圧部に対して摺動可能に構成され、
前記上側ケースは、該上側ケースの下端が前記下側固定部の前記内側部分の少なくとも一部を覆うときは、該上側ケースの上端が前記連結部を覆うが前記ハウジングを覆わず、該上側ケースの上端が前記ハウジングの少なくとも一部を覆うときは、該上側ケースの下端が前記連結部を覆うが前記下側固定部の前記内側部分を覆わない長さに構成されている請求項3又は8に記載のガイド部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を容器に充填するためのフィリングバルブと、前記フィリングバルブに対して相対的に昇降可能に構成された容器支持部とが備えられ、前記フィリングバルブに、前記容器支持部の上昇に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の上昇によって開弁され、前記容器支持部の下降に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の下降によって閉弁されるように構成された充填口が備えられているフィラー装置の、前記フィリングバルブに取り付け可能なガイド部材に関する。
【背景技術】
【0002】
液体飲料のような製品の製造工場に、液体飲料をビンや缶等の容器に注入するフィラー装置が備えられている。該フィラー装置に、容器に充填する前の液体飲料が貯蔵されているフィラーボウルと、フィラーボウルに設けられている複数のフィリングバルブと、各フィリングバルブの下方に配設され、フィラーボウルの回転に同期して円周軌道に沿って移動する容器支持部と、容器支持部に容器を搬入する搬入コンベア及び容器支持部から容器を搬出する搬出コンベア等とが備えられている(図1及び図2参照)。
【0003】
搬入コンベアから各容器支持部に搬入された各容器に、各容器支持部から搬出コンベアに搬出されるまでの間に、各フィリングバルブによって、規定量の液体飲料が充填される。
【0004】
該フィリングバルブに、フィラーボウルの底面に貫通配置される筒状のハウジングと、該ハウジングに挿通配置される筒状の外側バルブ体と、前記ハウジングに上端が固定されるとともに該外側バルブ体に挿通配置された筒状の内側バルブ体と、前記外側バルブ体を前記ハウジングに対して下方に付勢する付勢部等とが備えられている。
【0005】
容器支持部は、フィリングバルブに対して相対的に昇降可能に構成されている。該容器支持部の上昇によって、該容器支持部に載置された前記容器の口部が、前記フィリングバルブの前記外側バルブ体に設けられた被押圧部を上方へ押圧すると、該外側バルブ体が付勢部の付勢力に対抗して上方に移動させられ、これに伴って前記内側バルブ体の下端に設けられた充填口が開弁され、すなわち、外側バルブ体及び内側バルブ体から構成されたフィリングバルブが開弁される。前記フィラーボウルに貯蔵された製品は、前記外側バルブ体及び前記内側バルブ体の内部を通って充填口から容器に充填される。
【0006】
一方、前記フィリングバルブは、容器の内圧とフィラーボウルの内圧とが等しくなった際に製品の充填が停止し、前記容器支持部の下降によって前記外側バルブ体が下方に移動させられるのに伴って前記充填口が前記外側バルブ体の下端によって閉弁され、すなわちフィリングバルブが閉弁されるように構成されている。
【0007】
上述のように前記フィリングバルブは、容器の昇降に伴って開弁及び閉弁される構成であるため、容器支持部に対する容器の載置位置が適切でない場合は、容器による外側バルブ体の上昇がうまく行われず、充填口の開弁が不十分なものとなり、液体飲料の流量が所定量に満たない虞があった。例えば液体飲料の流量が所定量より少ないと、一つの容器に規定量の液体飲料を充填するまでに必要な時間が延びることになってしまう。したがって、容器の口部を充填口に対する適切な位置に案内することができる機構が求められていた。
【0008】
なお、本発明における従来技術となる上述したフィラー装置は、適当な先行技術文献が発見できなかったため、特許文献等の先行技術文献は示さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、フィリングバルブに取り付け可能であり、容器支持部に載置された容器とフィリングバルブの位置を適切に調節することができるガイド部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するための、本発明による第一のガイド部材の特徴構成は、フィラー装置のフィリングバルブに取り付け可能なガイド部材であって、前記フィリングバルブは、容器支持部に支持された容器に製品を充填するためのフィリングバルブであり、前記容器支持部は、前記フィリングバルブに対して相対的に昇降可能に構成され、前記フィリングバルブに、前記容器支持部の上昇に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の上昇によって開弁され、前記容器支持部の下降に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の下降によって閉弁されるように構成された充填口が備えられ、内面および外面を有し、前記フィリングバルブが前記内面を通過するように配置されるとともに、前記充填口に対して相対的に垂直移動可能に配置された上側本体と、前記上側本体に摺動可能に装着され、前記上側本体の前記外面を摺動可能に構成された下側本体と、が備えられ、前記下側本体側に、該下側本体の内面よりも内方へ張り出してあり前記容器支持部に載置された前記容器の少なくとも口部と当接可能な当接部が備えられ、前記当接部と前記口部とが当接した状態が維持されたまま前記容器が上昇させられることによって前記口部は前記充填口に対して適切な位置に案内されるように構成され、前記上側本体の上端に、外方に向けて張り出した上側外向き張出部が備えられ、前記上側本体の下端に、外方に向けて張り出した下側外向き張出部が備えられ、前記下側本体の上端に、内方に向けて張り出した内向き張出部が備えられ、少なくとも、前記下側外向き張出部が前記下側本体の内面を摺動する又は前記内向き張出部が前記上側本体の外面を摺動する態様によって、前記上側本体及び前記下側本体は共通の軸心に沿って互いに摺動可能に構成され、前記下側本体は、前記下側本体の自重により、前記内向き張出部と前記下側外向き張出部とが互いに掛止されるように構成され、前記上側本体は、前記下側本体が押し上げられたときに、前記内向き張出部と前記上側外向き張出部とが互いに掛止され得るように構成されている点にある。
本発明による第二のガイド部材の特徴構成は、フィラー装置のフィリングバルブに取り付け可能なガイド部材であって、前記フィリングバルブは、容器支持部に支持された容器に製品を充填するためのフィリングバルブであり、前記容器支持部は、前記フィリングバルブに対して相対的に昇降可能に構成され、前記フィリングバルブに、前記容器支持部の上昇に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の上昇によって開弁され、前記容器支持部の下降に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の下降によって閉弁されるように構成された充填口が備えられ、内面および外面を有し、前記フィリングバルブが前記内面を通過するように配置されるとともに、前記充填口に対して相対的に垂直移動可能に配置された上側本体と、前記上側本体に摺動可能に装着され、前記上側本体の前記外面を摺動可能に構成された下側本体と、が備えられ、前記下側本体側に、該下側本体の内面よりも内方へ張り出してあり前記容器支持部に載置された前記容器の少なくとも口部と当接可能な当接部が備えられ、前記当接部と前記口部とが当接した状態が維持されたまま前記容器が上昇させられることによって前記口部は前記充填口に対して適切な位置に案内されるように構成され、前記上側本体及び前記下側本体は筒状に構成され、前記下側本体の側面に開口部が設けられている点にある。
本発明による第三のガイド部材の特徴構成は、フィラー装置のフィリングバルブに取り付け可能なガイド部材であって、前記フィリングバルブは、容器支持部に支持された容器に製品を充填するためのフィリングバルブであり、前記容器支持部は、前記フィリングバルブに対して相対的に昇降可能に構成され、前記フィリングバルブに、前記容器支持部の上昇に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の上昇によって開弁され、前記容器支持部の下降に伴う前記容器支持部に載置された前記容器の下降によって閉弁されるように構成された充填口が備えられ、内面および外面を有し、前記フィリングバルブが前記内面を通過するように配置されるとともに、前記充填口に対して相対的に垂直移動可能に配置された上側本体と、前記上側本体に摺動可能に装着され、前記上側本体の前記外面を摺動可能に構成された下側本体と、が備えられ、前記下側本体側に、該下側本体の内面よりも内方へ張り出してあり前記容器支持部に載置された前記容器の少なくとも口部と当接可能な当接部が備えられ、前記当接部と前記口部とが当接した状態が維持されたまま前記容器が上昇させられることによって前記口部は前記充填口に対して適切な位置に案内されるように構成され、前記フィリングバルブは、前記製品を貯蔵するために該フィラー装置に備えられているフィラーボウルの底面に貫通配置される筒状のハウジングと、該ハウジングに挿通配置される筒状の外側バルブ体と、前記ハウジングに上端が固定されるとともに該外側バルブ体に挿通配置され、その下端に前記充填口が設けられている、筒状の内側バルブ体と、前記外側バルブ体を前記ハウジングに対して下方に付勢する付勢部とが備えられ、前記外側バルブ体に、前記口部によって上方へ押圧され得る被押圧部が設けられ、前記容器支持部の上昇によって前記容器支持部に載置された前記容器の口部が前記被押圧部を押圧し前記外側バルブ体を上方に移動させることによって、前記充填口が開弁され、前記容器支持部の下降によって前記外側バルブ体が下方に移動させられるのに伴って前記充填口が閉弁されるように構成され、前記付勢部は、前記ハウジングと前記被押圧部との間に配設された圧縮コイルバネから構成され、前記圧縮コイルバネは、前記ハウジング側に備えられた上側固定部に上端が固定された上側バネと、前記被押圧部側に備えられた下側固定部に下端が固定された下側バネとから構成され、前記上側バネの下端と前記下側バネの上端とは前記外側バルブ体の表面を摺動可能に配置された連結部によって連結されて構成されたものであり、前記上側本体は、上側ケースと前記上側ケースに対して着脱可能な下側ケースとから構成され、前記上側ケースは、前記下側固定部より上方において該上側ケースの下端が該下側固定部に接触することによってその状態から下方への移動が不可能なように構成され、前記下側ケースは、前記下側固定部より下方に延びて構成され該下側ケースの内面に前記被押圧部を摺動可能に構成されている点にある。
【0011】
上述の構成によると、ガイド部材によって、容器の口部は、フィリングバルブの充填口に対して適切な位置に案内されることとなる。これにより容器の上方への移動に伴い充填口を適切に開弁させることができる。充填口の開弁によってフィラーボウルから外側バルブ体及び内側バルブ体の内部に供給された製品が充填口から容器に適切に充填される。なお、容器の内圧とフィラーボウルの内圧とが等しくなった際に製品の充填が停止する。
【0012】
また、ガイド部材は、上側本体と下側本体とがテレスコーピングに構成されることによって、垂直方向に沿って伸縮することができる。したがって、ガイド部材は容器の当接前においては伸長状態となり早期に容器の口部を当接部に当接させることができるため、その後に口部の案内を円滑に行うことができる。また、ガイド部材はフィリングバルブによる製品の充填時には収縮状態となることからフィリングバルブの周囲に配置されていても空間的な邪魔にならない。
第一のガイド部材によれば、下側本体及び上側本体を押し上げる必要があるときに、下側本体の押し上げとともに上側本体が押し上げられるため、下側本体と上側本体とを別々に押し上げる必要がない。
第二のガイド部材によれば、開口部を介して下側本体の内方を覗くことができるため、仮に当接部の口部に対する当接に不具合が発生したときに、その不具合を容易に発見することができる。
第三のガイド部材によれば、付勢部である圧縮コイルバネが上側バネと下側バネとを備えているため、上側バネ及び下側バネに充填口の開弁のためのストロークに対して短いコイルバネを採用することができる。
【0013】
本発明においては、前記上側本体の下端に、外方に向けて張り出した下側外向き張出部が備えられ、前記下側本体の上端に、内方に向けて張り出した内向き張出部が備えられ、少なくとも、前記下側外向き張出部が前記下側本体の内面を摺動する又は前記内向き張出部が前記上側本体の外面を摺動する態様によって、前記上側本体及び前記下側本体は共通の軸心に沿って互いに摺動可能に構成され、前記下側本体は、前記下側本体の自重により、前記内向き張出部と前記下側外向き張出部とが互いに掛止されるように構成されていると好適である。
【0014】
上述の構成によると、下側本体は、下側本体の自重により内向き張出部と下側外向き張出部とが互いに掛止され上側本体に吊設されることとなる。
【0015】
本発明においては、前記下側本体側に、前記下側外向き張出部と接触可能な押上部が設けられ、前記押上部は、前記下側外向き張出部と接触した状態であるときに、前記容器の上昇に起因する前記下側本体の上方への移動に伴って前記上側本体を押し上げるように構成されていると好適である。
【0016】
上述の構成によると、下側本体の上方への移動に伴って押上部が下側外向き張出部と接触して上側本体を押し上げることとなる。したがって、上側本体の移動のために専用の動力源を設ける必要がない。
【0017】
本発明においては、前記上側本体の上端に、外方に向けて張り出した上側外向き張出部が備えられ、前記上側本体は、前記下側本体が押し上げられたときに、前記内向き張出部の上面と前記上側外向き張出部の下面とが互いに掛止され得るように構成されていると好適である。
【0018】
上述の構成によると、下側本体及び上側本体を押し上げる必要があるときに、下側本体の押し上げとともに上側本体が押し上げられるため、下側本体と上側本体とを別々に押し上げる必要がない。
【0021】
本発明においては、前記当接部は、前記下側本体に対して着脱可能な当接部材に設けられていると好適である。
【0022】
上述の構成によると、当接部材は、例えば容器の形状に応じたものに取り替え可能となる。また、当接部材に不具合が発生した場合に該当接部材のみを取り替えることができる。さらに、上側本体及び下側本体を金属材料から形成し、当接部材を樹脂材料から形成することができる。したがって、当接部材の当接部が口部に対して当接するときの衝撃を和らげることができる。
【0023】
本発明においては、前記フィリングバルブは、前記製品を貯蔵するために該フィラー装置に備えられているフィラーボウルの底面に貫通配置される筒状のハウジングと、該ハウジングに挿通配置される筒状の外側バルブ体と、前記ハウジングに上端が固定されるとともに該外側バルブ体に挿通配置された筒状の内側バルブ体と、前記外側バルブ体を前記ハウジングに対して下方に付勢する付勢部とが備えられ、前記外側バルブ体に、前記口部によって上方へ押圧され得る被押圧部が設けられ、前記容器支持部の上昇によって前記容器支持部に載置された前記口部が前記被押圧部を押圧し前記外側バルブ体を上方に移動させることによって、前記内側バルブ体の下端に設けられた前記充填口が開弁され、前記容器支持部の下降によって前記外側バルブ体が下方に移動させられるのに伴って前記充填口が前記外側バルブ体の下端によって閉弁されるように構成され、前記付勢部は、前記ハウジングと前記被押圧部との間に配設された圧縮コイルバネから構成され、前記圧縮コイルバネは、前記ハウジング側に備えられた上側固定部に上端が固定された上側バネと、前記被押圧部側に備えられた下側固定部に下端が固定された下側バネとから構成され、前記上側バネの下端と前記下側バネの上端とは前記外側バルブ体の表面を摺動可能に配置された連結部によって連結されて構成されたものであり、前記上側本体は、上側ケースと前記上側ケースに対して着脱可能な下側ケースとから構成され、前記上側ケースは、前記下側固定部より上方において該上側ケースの下端が該下側固定部に接触することによってその状態から下方への移動が不可能なように構成され、前記下側ケースは、前記下側固定部より下方に延びて構成され該下側ケースの内面に前記被押圧部を摺動可能に構成されていると好適である。
【0024】
上述のように構成されたフィリングバルブは、付勢部である圧縮コイルバネが上側バネと下側バネとを備えているため、上側バネ及び下側バネに充填口の開弁のためのストロークに対して短いコイルバネを採用することができる。
【0025】
コイルバネは長さに比例して蛇行が生じやすくなる。コイルバネの収縮時に大きな蛇行が生じるとガイド部材の内面と接触し充填口の開弁に不具合を発生させる虞がある。前記ストロークの長さに応じて、上述の構成のように、複数の短いコイルバネを連結部を介して直列的に連結して用いることによって、一本の長いコイルバネを用いた場合より蛇行量を減らすことができる。したがって、ガイド部材の内面との接触が回避できる。このように構成されたフィリングバルブに対して、ガイド部材が好適に取り付けられる。ガイド部材は上述のように構成されているため、フィリングバルブに取り付けても、充填口の開弁に不具合を発生させない。なお、上側本体は、上側本体の自重により、上側ケースが下側固定部に吊設されるような態様で備えられることとなる。
【0026】
本発明においては、前記下側固定部が、前記上側ケースの下端と接触する外側部分と、前記上側ケースの内側に挿入される内側部分と、を有し、前記フィリングバルブは、前記上側固定部、前記下側固定部及び前記連結部の外径がそれぞれ、前記上側バネ及び前記下側バネの直径よりも大きく構成されたものであり、前記上側ケースは、該上側ケースの内径が、前記上側固定部、前記下側固定部の前記内側部分、及び前記連結部の外径よりも大きく、かつ、少なくとも前記連結部に対して摺動可能に構成され、前記下側ケースは、該下側ケースの内径が、前記被押圧部の外径よりも大きく、かつ、少なくとも該被押圧部に対して摺動可能に構成され、前記上側ケースは、該上側ケースの下端が前記下側固定部の前記内側部分の少なくとも一部を覆うときは、該上側ケースの上端が前記連結部を覆うが前記ハウジングを覆わず、該上側ケースの上端が前記ハウジングの少なくとも一部を覆うときは、該上側ケースの下端が前記連結部を覆うが前記下側固定部の前記内側部分を覆わない長さに構成されていると好適である。
【0027】
上述の構成によると、ガイド部材の上側ケースは、連結部に対して常に摺動し、その状態を維持したまま下側固定部を覆う位置まで下降したり、上側固定部を覆う位置まで上昇したりする。その際、ガイド部材の下側ケースは被押圧部に対して摺動する。ガイド部材は外側バルブ体に摺動する連結部と外側バルブ体に設けられた被押圧部とによって摺動案内されるため、外側バルブ体の軸心、すなわちフィリングバルブの軸心に沿った垂直方向の移動が担保される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】フィラー装置の概略を示す平面図である。
図2】フィラー装置の要部の断面図である。
図3】フィラー装置によるウイスキーの注入の説明図である。
図4】本発明に係るガイド部材の詳細な説明図である。
図5】本発明に係るガイド部材の詳細な説明図である。
図6】ガイド部材に設けられた開口部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明によるガイド部材の好適な実施形態について説明する。なお、下記の実施形態においては、フィラー装置が製品としてのウイスキーの製造工場に設置され、フィリングバルブによってウイスキーが充填される容器がビンである場合を例に説明する。本明細書における用語「ウイスキー」は、モルト、トウモロコシ、ライ麦等から特定の原料を限定したり、また排除するものではなく、アメリカ合衆国、カナダ、日本等から特定の産地を限定したり、また排除するものではない。なお、図面における実線の矢印はウイスキーの流れを示し、破線の矢印は空気の流れを示す。
【0030】
図1及び図2に示すように、フィラー装置10に、ウイスキーが貯蔵されているフィラーボウル11と、フィラーボウル11に設けられている複数のフィリングバルブ20と、各フィリングバルブ20の下方に配設され、フィラーボウル11の回転に同期して円周軌道に沿って移動する容器支持部12と、容器支持部12にビン13を搬入する搬入コンベア14及び容器支持部12からビン13を搬出する搬出コンベア15等とが備えられている。
【0031】
フィラーボウル11は、ビン13に注入されるべきウイスキーを貯蔵するタンクである。フィラーボウル11に、複数(例えば、18本)のフィリングバルブ20が、円周軌道上に等間隔に配設されている。フィラーボウル11及びフィリングバルブ20は、取り扱われる製品すなわちウイスキーに対して耐食性があり、かつ耐久性のある材質、例えば主にステンレス鋼から構成されている。
【0032】
搬入コンベア14から各容器支持部12に搬入された各ビン13に、搬出コンベア15によって各容器支持部12から搬出されるまでの間に、各フィリングバルブ20によって規定量のウイスキーが充填される。ウイスキーの注入が終了したビン13は、容器支持部12から搬出コンベア15へと搬出され、その後、蓋が閉じられる。
【0033】
搬入コンベア14及び搬出コンベア15は、ベルト機構やスクリュー機構等の公知の機構によるコンベア機構から構成されている。容器支持部12と、搬入コンベア14及び搬出コンベア15との間のビン13の受け渡しのために搬入スターホイール16及び搬出スターホイール17が備えられている。
【0034】
容器支持部12は、ビン13を載置可能な載置台として構成されている。容器支持部12は、フィラーボウル11の回転に同期して回転軌道に沿って移動する間に、図示しないカム機構によって、所定のタイミングにおいて昇降可能に構成されている。
【0035】
フィリングバルブ20について説明する。図4及び図5に詳細を示すように、フィリングバルブ20に、フィラーボウル11の底面に貫通配置される筒状のハウジング21と、該ハウジング21に挿通配置される筒状の外側バルブ体22と、ハウジング21に上端が固定されるとともに、該外側バルブ体22に挿通配置された筒状の内側バルブ体23と、外側バルブ体22をハウジング21に対して下方に付勢する付勢部24等とが備えられている。
【0036】
外側バルブ体22に、ビン13の口部18によって上方へ押圧され得る被押圧部25が設けられている。
【0037】
ハウジング21に、外側バルブ体22との摺動面にパッキン27が配設されている。パッキン27は、ゴム、樹脂、エラストマ等の公知の材料から構成されている。
【0038】
付勢部24は、ハウジング21と、被押圧部25との間に配設された圧縮コイルバネから構成されている。該圧縮コイルバネは、ハウジング21側に備えられた上側固定部24aに上端が固定された上側バネ24bと、被押圧部25側に備えられた下側固定部24cに下端が固定された下側バネ24dとから構成されている。該圧縮コイルバネは、鋼線、ピアノ線、ステンレス鋼線等の公知の材料から製造され、クローズドエンド、オープンエンド等公知の端部処理がされている。
【0039】
上側バネ24b及び下側バネ24dは、直径が、後述するガイド部材40の内径より小さく、かつ外側バルブ体22の外径よりも大きく、さらに伸縮によってガイド部材40の内面や、外側バルブ体22の外面に接触しないような適当な大きさに設定されている。さらに、上側バネ24b及び下側バネ24dは、伸縮によって、蛇行が生じない適当な長さに設定されている。上側バネ24b及び下側バネ24dは、互いに異なる巻き方向を有することが好ましい。
【0040】
上側バネ24bの下端と下側バネ24dの上端とは、外側バルブ体22の表面を摺動可能に配置された連結部24eによって連結されている。
【0041】
本実施形態において、上側固定部24a、下側固定部24c及び連結部24eは、それぞれ、例えばポリアセタール樹脂から形成されている。
【0042】
上側バネ24b及び下側バネ24dは、それぞれの両端部に、伸縮に寄与しない一巻から数巻のいわゆる座巻部が備えられている。上側バネ24b及び下側バネ24dは、該座巻部が、上側固定部24aや下側固定部24cや連結部24eに嵌合される態様によって所定位置に配置される。
【0043】
以上の構成により、被押圧部25は、付勢部24の弾性力により、ハウジング21に対して下方に付勢された状態となっている。
【0044】
なお、フィリングバルブ20の上側固定部24a、下側固定部24c及び連結部24eの外径は、それぞれ、上側バネ24b及び下側バネ24dの直径よりも大きく構成されている。
【0045】
図5に示すように、容器支持部12の上昇に伴うビン13の上昇によって、容器支持部12に載置されたビン13の口部18が、外側バルブ体22に設けられた被押圧部25を上方へ押圧する。すると、外側バルブ体22が付勢部24の付勢力に対抗して上方に移動させられ、これによって内側バルブ体23の下端に設けられた充填口26が開弁される。そして、フィラーボウル11のウイスキーは、ハウジング21、外側バルブ体22及び内側バルブ体23の内部を通って、充填口26からビン13に充填されることとなる。
【0046】
つまり、外側バルブ体22及び内側バルブ体23によってフィリングバルブが構成される。なお、内側バルブ体23は、外側バルブ体22との隙間を液密にするパッキン23aが備えられた弁体23bや、下端が弁体23bに固定され上端がハウジング21に固定された管体23cを有している。なお、パッキン23aは、ゴム、樹脂、エラストマ等の公知の材料から構成される。
【0047】
弁体23bに開口23dが備えられている。この開口23dが充填口26を構成する。なお、開口23dにメッシュ部材が備えられている。該メッシュ部材は、フィラーボウル11に、ウイスキー以外の夾雑物が混入していた場合であっても、これがビン13に充填されることを防止するフィルターとして機能する。
【0048】
また、該管体23cの下端に、開口23dの開放に伴って、開放される開口23eが備えられている。開口23eは、ウイスキーを充填する際に、ビン13の内部の空気を外部に排出する空気抜きとして機能する。
【0049】
一方、フィリングバルブ20は、ビン13の内圧とフィラーボウル11の内圧とが等しくなった際にウイスキーの充填が停止し、容器支持部12を下降させる際に外側バルブ体22が下方に移動させられるのに伴って、充填口26が外側バルブ体22の下端によって閉弁されるように構成されている。
【0050】
このようなフィリングバルブ20に対して、本発明に係るガイド部材40が着脱可能に構成されている。
【0051】
図4から図6に示すように、ガイド部材40に、外側バルブ体22を外囲する位置において、外側バルブ体22に対して相対的に垂直移動可能に配置された上側本体41と、上側本体41を外囲するように配置されるとともに、上側本体41の表面を摺動可能に構成された下側本体42とが備えられている。上側本体41及び下側本体42は筒状体であり、本実施形態においては金属例えばステンレス鋼から形成されている。下側本体42の側面に開口部45が設けられている(図6参照)。
【0052】
上側本体41は、上側ケース41aと下側ケース41bとから構成されている。上側ケース41a及び下側ケース41bは、雌ネジ及び雄ネジが螺合する態様によって着脱可能に連結されている。ただし、上側ケース41a及び下側ケース41bを着脱可能にする構成は、これに限らない。また、上側ケース41a及び下側ケース41bは、一度組み合わせると、分解できない構成であってもよい。
【0053】
上側本体41の上端、すなわち上側ケース41aの上端に、外方に向けて張り出した上側外向き張出部43aが備えられている。さらに、上側本体41の下端、すなわち下側ケース41bの下端に、外方に向けて張り出した下側外向き張出部43bが備えられている。下側本体42の上端に、内方に向けて張り出した内向き張出部44が備えられている。
【0054】
下側本体42は、下側本体42の自重により、内向き張出部44の下面と下側外向き張出部43bの上面とが互いに掛止されることによって上側本体41に吊設される。
【0055】
上側本体41及び下側本体42は、内向き張出部44が上側本体41の外面を摺動する態様によって、共通の軸心に沿って互いに摺動可能に構成されている。
【0056】
下側本体42に、下側本体42の内面よりも内方へ張り出してあり、容器支持部12に載置されたビン13の少なくとも口部18と当接可能な当接部47を有する当接部材46が着脱可能に備えられている。当接部材46は、例えばポリアセタール樹脂から形成されている。当接部材46は、下側本体42に対してねじ込む態様によって下側本体42に着脱可能に構成されている。ただし、当接部材46は、下側本体42に一体的に備えられてもよい。
【0057】
さらに、当接部材46に、下側外向き張出部43bと接触可能な押上部48が設けられている。押上部48は、押上部48の上面が下側外向き張出部43bの下面と接触した状態であるときに、ビン13の上昇に起因する下側本体42の上方への移動に伴って、上側本体41を押し上げるように構成されている。なお、押上部48は下側本体42の内面に一体的に備えられていてもよい。
【0058】
上側本体41の上側ケース41aは、下側固定部24cよりも上方において、該上側ケース41aの下端が該下側固定部24cに接触することによって、その状態から下方への移動が不可能なように構成されている。
【0059】
上側ケース41aは、該上側ケース41aの内径が、上側固定部24a、下側固定部24c及び連結部24eの外径よりも大きく、かつ、少なくとも連結部24eに対して摺動可能に構成されている。
【0060】
下側ケース41bは、下側固定部24cよりも下方に延びて構成され、該下側ケース41bの内面に被押圧部25を摺動可能に構成されている。
【0061】
下側ケース41bは、該下側ケース41bの内径が、被押圧部25の外径よりも大きく、かつ、少なくとも該被押圧部25に対して摺動可能に構成されている。
【0062】
図4に示すように、上側ケース41aは、該上側ケース41aの下端が下側固定部24cの少なくとも一部を覆うときは、該上側ケース41aの上端が連結部24eを覆うもののハウジング21を覆わず、図5に示すように、該上側ケース41aの上端がハウジング21の少なくとも一部を覆うときは、該上側ケース41aの下端が連結部24eを覆うものの下側固定部24cを覆わない長さに構成されている。
【0063】
以上のように構成されたガイド部材40によって、当接部材46の当接部47が口部18に当接した状態のままビン13が上昇することによって、口部18は充填口26に対して適切な位置に案内される。その様子を、図3に基づいて説明する。
【0064】
図3には、フィラー装置10において、適当な位置にあるフィリングバルブ20a~20e、これらに対応する容器支持部12a~12e、各容器支持部12a~12eに載置されているビン13a~13e、及びフィリングバルブ20a~20eに取り付けられたガイド部材40a~40eが示されている。なお、各符号の添え字a~eは、説明を容易にする目的のみに付したものであって、各構成自体は同一である。
【0065】
図3において左から一番目は、例えば、ビン13aが搬入コンベア14から容器支持部12aに搬入された直後の状態を示している。このとき容器支持部12aはまだ上昇しておらず、したがって、ビン13aの口部18aはガイド部材40aの当接部材46aに当接していない。
【0066】
図3において左から二番目は、容器支持部12bが上昇を初めてしばらくたち、ビン13bの口部18bがガイド部材40bの当接部材46bに当接し、下側本体42bの持ち上げを始めた後の状態を示している。このとき、まだビン13bに対するウイスキーの充填は始まっていない。
【0067】
図3において左から三番目は、容器支持部12cのさらなる上昇に伴って、当接部材46cに当接しているビン13cの口部18cがガイド部材40cの下側本体42c及び上側本体41cを持ち上げ、さらに被押圧部25を押圧することによって、充填口26が開弁された状態を示している。このとき、フィラーボウル11のウイスキーがハウジング21、外側バルブ体22及び内側バルブ体23の内部を通って、充填口26からビン13cに充填される。
【0068】
図3において左から四番目は、ビン13dに対するウイスキーの充填が終了し、容器支持部12dの下降に伴って、ビン13dの口部18dによる被押圧部25の押圧が解消され、充填口26が閉弁された後の状態を示している。当接部材46dに当接しているビン13dの口部18dがガイド部材40dの下側本体42dを、まだ持ち上げた状態であるものの、上側本体41は初期の吊設位置まで下降している。
【0069】
図3において左から五番目は、例えば、ビン13eが容器支持部12eから搬出コンベア15へと搬出される直前の状態を示している。このとき容器支持部12eは十分に下降し、したがって、ビン13eの口部18eはガイド部材40eの当接部材46eに当接していない。
【0070】
上述した実施形態において、製品は、液体飲料としてのウイスキーであったが、製品はこれに限らない。製品は、ラム酒、テキーラ、ジン、ブランデー、ワイン等のアルコール飲料、水、コーヒー、牛乳等の飲料、調味料、化粧品、医薬品等のように、ビン、缶、ペットボトル、紙パック等の容器に充填される製品であればよい。
【0071】
なお、フィリングバルブ20は、容器の形状に応じて、スペーサ28の数や厚み等を変更することによって、被押圧部25の高さ位置が調節に構成されている。
【0072】
上側本体41の上端、すなわち上側ケース41aの上端に、外方に向けて張り出した上側外向き張出部43aが備えられている。
【0073】
下側本体42から、当接部材46を取り外し、下側本体42を押し上げられると、下側本体42の内向き張出部44の上面と、上側本体41の上側外向き張出部43aの下面とが当接し、上側本体41も押し上げられる。
【0074】
下側本体42とともに上側本体41を、被押圧部25及びスペーサ28が姿を現すまで押し上げる。その状態のまま、スペーサ28は、数や厚み等を容易に変更することができる。スペーサ28の変更によって、被押圧部25の高さ位置が容易に調節される。
【0075】
なお、上側本体41及び下側本体42は、当接部材46の押上部48と、上側本体41の下側外向き張出部43bとが接触した状態であるときに、下側本体42の内向き張出部44の上面と、上側本体41の上側外向き張出部43aの下面とは当接せず、当接部材46を取り外し、下側本体42の内向き張出部44の上面と、上側本体41の上側外向き張出部43aの下面とを当接させた状態であるときであっても、その下端が上側本体41の下側外向き張出部43bを覆うような長さに構成されている。
【0076】
フィリングバルブ20は、被押圧部25の高さ位置の調節が不要な場合は、上側外向き張出部43aが備えられていなくてもよい。
【0077】
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 :フィラー装置
11 :フィラーボウル
12 :容器支持部
13 :ビン(容器)
18 :口部
20 :フィリングバルブ
21 :ハウジング
22 :外側バルブ体
23 :内側バルブ体
23a :パッキン
23b :弁体
23c :管体
23d :開口
23e :開口
24 :付勢部
24a :上側固定部
24b :上側バネ
24c :下側固定部
24d :下側バネ
24e :連結部
25 :被押圧部
26 :充填口
27 :パッキン
28 :スペーサ
40 :ガイド部材
41 :上側本体
41a :上側ケース
41b :下側ケース
42 :下側本体
43a :上側外向き張出部
43b :下側外向き張出部
44 :内向き張出部
45 :開口部
46 :当接部材
47 :当接部
48 :押上部
図1
図2
図3
図4
図5
図6