(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】無人飛行装置
(51)【国際特許分類】
B64C 39/02 20060101AFI20230616BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20230616BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230616BHJP
A01M 29/24 20110101ALI20230616BHJP
【FI】
B64C39/02
B64D47/08
B64C27/08
A01M29/24
(21)【出願番号】P 2022143793
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2020216368の分割
【原出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】大和 拓海
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-047755(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108557080(CN,A)
【文献】特表2019-517243(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208354(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64D 47/08
B64C 27/08
A01M 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
回転可能に配置される回転翼と、
前記回転翼の外側に設けられ、導電性を有する通電部と、
前記通電部への電圧の印加を制御する通電制御部と、飛行を制御する飛行制御部と、を有する制御装置と、
監視対象物を検出する検出部と、
飛行高度を取得可能な高度センサと、を備え、
前記飛行制御部は、前記検出部によって前記監視対象物が検出された場合に、前記監視対象物を追跡する追跡制御を行い、
前記通電制御部は、前記追跡制御において、前記監視対象物との距離が設定距離よりも近くなると、前記通電部に電圧を印加
し、前記高度センサによって取得された飛行高度が所定の高度よりも低くなる場合に前記通電部への電圧の印加を遮断する無人飛行装置。
【請求項2】
本体部と、
回転可能に配置される回転翼と、
前記回転翼の外側に設けられ、導電性を有する通電部と、
前記通電部への電圧の印加を制御する通電制御部と、飛行を制御する飛行制御部と、を有する制御装置と、
監視対象物を検出する検出部と、
飛行高度を取得可能な高度センサと、を備え、
前記飛行制御部は、前記検出部によって前記監視対象物が検出された場合に、前記監視対象物を追跡する追跡制御を行い、
前記通電制御部は、前記追跡制御において、前記高度センサによって取得された飛行高度が所定の高度よりも低くなる場合に前記通電部への電圧の印加を遮断する無人飛行装置。
【請求項3】
前記通電部は、前記本体部を中心として前記回転翼よりも外側を囲う環状に形成される請求項1
又は2に記載の無人飛行装置。
【請求項4】
人を検出する検出部を更に備え、
前記制御装置は、前記検出部によって人を検出した場合に、前記通電部に電圧を印加しない非通電制御に移行する請求項1から
3の何れかに記載の無人飛行装置。
【請求項5】
外部からの通電開始情報を受信可能な通信部を更に備え、
前記通電制御部は、前記通信部から前記通電開始情報を受信すると前記通電部に電圧を印加する制御を行う請求項1から
4の何れかに記載の無人飛行装置。
【請求項6】
前記制御装置は、監視対象物を検出する地上システムからの前記監視対象物の検出信号を受信すると、前記通電部に電圧を印加可能な状態で前記監視対象物の追跡を行う追跡制御に移行する請求項1から
5の何れかに記載の無人飛行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人飛行装置によって鳥獣等を威嚇して追い払う技術が知られている。この種の技術が記載されているものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、ロータの回転により動物を追い払うことが意図されたピッチに対応する周波数の音を発生させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視対象となる鳥獣ごとに忌避する音の周波数が異なるために、追い払う対象物によっては十分な忌避効果が期待できない場合がある。また、監視対象物が所定の周波数に慣れてしまえば、同じ周波数の音を聞いても忌避効果が生じなくなってしまうため、監視対象物に対する忌避効果を持続させることが難しい。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、監視対象物を確実に追い払うことができる無人飛行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の無人飛行装置は、本体部と、回転可能に配置される回転翼と、前記回転翼の外側に設けられ、導電性を有する通電部と、前記通電部への電圧の印加を制御する通電制御部と、飛行を制御する飛行制御部と、を有する制御装置と、監視対象物を検出する検出部と、を備え、前記飛行制御部は、前記検出部によって前記監視対象物が検出された場合に、前記監視対象物を追跡する追跡制御を行い、前記通電制御部は、前記追跡制御において、前記監視対象物との距離が設定距離よりも近くなると、前記通電部に電圧を印加する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、監視対象物を確実に追い払うことができる無人飛行装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る無人飛行装置を斜め下から示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る無人飛行装置の回転翼の周辺の拡大図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る無人飛行装置の制御装置に関する電気的な構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る無人飛行装置の回転翼の周辺の拡大図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る無人飛行装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の限定的ではない例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明をする。
【0010】
本発明に係る無人飛行装置は、無人で飛行可能なドローンである。なお、「無人で飛行可能」とは、飛行体に人が搭乗しない状態で飛行できることを意味し、自律飛行可能である場合だけでなく、人によって無人飛行装置が遠隔操縦される場合も含む。
【0011】
本発明の第1実施形態に係る無人飛行装置1について説明する。
図1は、無人飛行装置1を斜め下から見た斜視図である。
【0012】
図1に示すように、無人飛行装置1は、本体部11と、本体部11から延出する支持部としてのアーム部12と、アーム部12に支持される回転翼13と、プロペラガード20と、を備える。
【0013】
本体部11は、平面視において無人飛行装置1の中心に位置し、制御装置100やカメラ50等のセンサ類の電子機器(例えばCPU、メモリ等を有し、制御プログラムを実行するコンピュータ装置等)を備える。また、本体部11の下側には、着陸平面に接地する脚部14が配置される。
【0014】
アーム部12は、その一側の端部が本体部11に接続され、他側の端部(以下、先端部)には回転翼13が配置される支持部である。本実施形態では、6本(複数)のアーム部12のそれぞれが、平面視において本体部11から放射状(径方向)に延びている。6本のアーム部12の間隔は、平面視における周方向で等間隔となっている。
【0015】
図2は、無人飛行装置1の回転翼13の周辺の拡大図である。回転翼13は、アーム部12を介して本体部11に保持される。具体的には、
図2に示すように、回転翼13は、アーム部12の先端部の上面に回転可能に配置される。アーム部12の先端には、回転翼13に接続される回転翼モータ15が内蔵されており、回転翼モータ15の回転によって回転翼13が回転し、無人飛行装置1を飛行させるための揚力が発生する。
【0016】
プロペラガード20は、各アーム部12の先端部に配置される固定部21と、各固定部21に支持される環状の第1通電部31と、各固定部21に支持される環状の第2通電部32と、を備える。
【0017】
固定部21は、アーム部12の延出方向に延びる軸状の部材である。固定部21は、平面視において第1通電部31及び第2通電部32を回転翼13の外側に支持するために、アーム部12から更に外側に水平方向に延びる。ここで、「外側」とは、平面視において、無人飛行装置1の本体部11の重心又は中心を起点としたときに本体部11から離れた側であり、前記起点を球の中心として径方向外側と表現することもできる。
【0018】
各固定部21の先端部には、回転翼13の回転軸と略平行に延びる延設部22が配置される。延設部22によって第1通電部31及び第2通電部32が支持される。
図2に示すように、延設部22は、回転翼13が回転しても接触しない位置に配置される。
【0019】
第1通電部31及び第2通電部32は、接触した対象物を感電させる機能を有する。本実施形態の第1通電部31及び第2通電部32は、何れも後述する制御装置100の通電制御部110の動作信号により電圧が印加される導電性のワイヤである。第2通電部32は第1通電部31よりも相対的に低い電圧が印加される。電圧が印加される状態において、第1通電部31は高電位側となり、第1通電部31は低電位側となる。第1通電部31及び第2通電部32に通電することにより鳥獣を威嚇、撃退できる。
【0020】
図1に示すように、第1通電部31は、平面視で本体部11と6本の回転翼13の外側を囲うように環状に配置される。第1通電部31は、6本の延設部22の間に張り渡され、各延設部22の外側面(本体部11と反対側の面)で固定される。即ち、第1通電部31は、固定部21及び延設部22を介してアーム部12に支持される。第1通電部31は、延設部22に対して直交する方向に延びている。また、第1通電部31は、回転翼13よりも外側であり、回転翼13が回転しても接触しない位置に配置される。
【0021】
図1に示すように、第2通電部32は、平面視で本体部11と6本の回転翼13の外側を囲うように環状に配置される。第2通電部32は、6本の延設部22の間に張り渡され、各延設部22の外側面で固定される。即ち、第2通電部32は、固定部21及び延設部22を介してアーム部12に支持される。また、第2通電部32は、回転翼13よりも外側であり、回転翼13が回転しても接触しない位置に配置される。第2通電部32は、第1通電部31よりも上側に配置される。
【0022】
第1通電部31及び第2通電部32は、互いに間隔を空けて配置される。第1通電部31と第2通電部32の間の間隔は、鳥獣等の監視対象物が第1通電部31及び第2通電部32の両方が接触できる程度の狭さに設定される。本実施形態では、第1通電部31と第2通電部32は、平行な位置関係となっている。第1通電部31及び第2通電部32は、複数の回転翼13全ての外側を囲う環状に形成されることで、他の飛行体や、鳥獣、建物等の構造物から本体部11及び回転翼13を保護するようにも機能する。
【0023】
次に、制御装置100について説明する。
図3は、無人飛行装置1の制御装置100に関する電気的な構成を示すブロック図である。
【0024】
制御装置100は、無人飛行装置1の飛行等に必要な各種の制御処理を実行するコンピュータである。制御装置100には、バッテリ40等の電源装置、カメラ50等の検出部、操作用コントローラやGPS等の外部装置と信号の送受信を行う通信装置(通信部)60、ジャイロセンサ71、加速度センサ72、高度センサ73等の各種センサが電気的に接続される。
【0025】
図3に示すように、制御装置100は、第1通電部31及び第2通電部32の通電を制御する通電制御部110と、無人飛行装置1の飛行を制御する飛行制御部120と、を備える。通電制御部110及び飛行制御部120は、制御装置100に記憶されるプログラムの一部によって構成される。
【0026】
通電制御部110は、カメラ50、通信装置60、高度センサ73等からの各種情報に基づいて、バッテリ40と第1通電部31及び第2通電部32との間の電源回路(図示省略)の開閉を制御することにより、第1通電部31及び第2通電部32の通電を制御する。第1通電部31と第2通電部32との間の放電により発生した放電音により、無人飛行装置1の周囲の鳥獣を威嚇し、追い払うこともできる。なお、バッテリ40の配置場所は特に限定されるわけではない。本体部11にバッテリ40を配置し、ケーブルを介して電力を第1通電部31及び第2通電部32に供給する構成でもよい。また、バッテリ40は、固定部21や延設部22に配置されてもよい。
【0027】
飛行制御部120は、カメラ50、通信装置60、ジャイロセンサ71、加速度センサ72、高度センサ73等からの各種情報に基づいて、無人飛行装置1の飛行を制御する。飛行制御部120は、回転翼モータ15の駆動を制御することにより、回転翼13の回転数等を調整する。
【0028】
次に、制御装置100の通電制御部110と飛行制御部120による第1通電部31及び第2通電部32の電圧や飛行の制御の例について説明する。
【0029】
無人飛行装置1のカメラ50が所定の監視対象物を検出した場合、制御装置100は、第1通電部31及び第2通電部32に電圧が印加可能な状態で、監視対象物の追跡を行う追跡制御に移行する。監視対象物としては、例えば、農場における農作物の被害や空港におけるバードストライクの原因となる鳥類や野生のイノシシのような哺乳類等の鳥獣が挙げられる。
【0030】
制御装置100は、カメラ50が取得した画像と制御装置100に記憶された監視対象物の識別情報を比較し、カメラ50が取得した画像に監視対象物が検出されたか否かを判定する。カメラ50により監視対象物が検出された場合に、飛行制御部120は、監視対象物の追跡を行う追跡制御に移行する。
【0031】
追跡制御では、第1通電部31及び第2通電部32の両方が監視対象物に接触するように、無人飛行装置1の飛行制御を行う。なお、追跡制御では、第1通電部31及び第2通電部32を常時通電状態としてもよいし、無人飛行装置1が監視対象物に設定距離よりも近づいたときに第1通電部31及び第2通電部32を通電状態にしてもよい。追跡制御は、監視対象物の逃避が確認された場合等に終了する。なお、追跡制御では、第1通電部31及び第2通電部32を監視対象物に必ず接触させる必要があるわけではない。放電音等によって威嚇することで監視対象物を所定の領域から撃退する制御であってもよい。このように、追跡制御は特に限定されるものではなく、事情に応じて適宜変更することができる。
【0032】
また、カメラ50により人が検出された場合、通電制御部110は、第1通電部31及び第2通電部32に通電を行わない非通電制御に切り替える。この状態では、追跡制御に移行することはない。第1通電部31及び第2通電部32が追跡制御であっても人を検出すると非通電制御に切り替わるため、第1通電部31及び第2通電部32が人に接触する事態の発生を確実に防止できる。なお、追跡制御中に人が検出された場合は、非通電制御で飛行制御部120が監視対象物の追跡を続行させる制御を行ってもよいし、追跡制御を終了させる制御を行ってもよい。
【0033】
また、制御装置100は、カメラ50だけでなく、通信装置60が受信した通電開始情報に基づいて、無人飛行装置1の飛行及び第1通電部31及び第2通電部32の通電を制御してもよい。
【0034】
例えば、制御装置100は、農場や空港等における所定の領域に侵入した監視対象物を検出する地上システムからの情報に基づいて、無人飛行装置1の飛行を制御してもよい。具体的には、通信装置60を介して地上システムから監視対象物の検出信号を受信すると、無人飛行装置1が地上システムの監視対象領域内を巡回するように制御してもよい。例えば、無人飛行装置1が地上システムの監視対象領域内にいる状態で地上システムからの通電開始情報を受信すると、通電制御部110が第1通電部31及び第2通電部32を追跡制御に切り替えるように制御してもよい。これにより、地上システムが監視対象物を検出した場合のみ無人飛行装置1が巡回するので、無人飛行装置1による鳥獣の監視及び撃退に要する消費電力を抑えることができる。また、地上システムと協働して監視対象物を監視できるため、所定の領域に侵入した監視対象物をより確実に追い払うことができる。
【0035】
また、制御装置100の通電制御部110は、外部の操作用コントローラに入力された通電開始情報に基づいて、第1通電部31及び第2通電部32に通電が行われる追跡制御に切り替えるように制御してもよい。
【0036】
また、GPS等からの位置情報を受信する通信装置60や高度センサ73等を介して取得した無人飛行装置1の飛行高度に基づいて通電制御部110が第1通電部31及び第2通電部32の通電制御を行ってもよい。具体的には、飛行高度が所定の高度よりも低くなった場合に、通電制御部110が電源回路を開路し、第1通電部31及び第2通電部32への電圧の印加を遮断するように制御してもよい。これにより、地上近くを飛行しているため、無人飛行装置1が人に接触し易い状況であっても、電圧が印加された第1通電部31及び第2通電部32が人に接触する事態の発生を確実に防止できる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態に係る無人飛行装置1Aについて、
図4を参照しながら説明する。
図4は、無人飛行装置1Aの回転翼13の周辺の拡大図である。なお、第1実施形態に係る無人飛行装置1と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0038】
無人飛行装置1Aは、プロペラガード20Aの構成が上記第1実施形態の無人飛行装置1と異なる。第2実施形態のプロペラガード20Aは、固定部21と、複数の延設部22と、ガード部23と、電極保持部80と、第1通電部31Aと、第2通電部32Aと、を備える。本実施形態では、アーム部12が6本設けられ、6本のアーム部12のそれぞれに固定部21、延設部22、電極保持部80、及び第1通電部31A及び第2通電部32Aが取り付けられる。
【0039】
ガード部23は、6本の延設部22の間を接続するように張り渡される。即ち、平面視において、6本(複数本)のガード部23によって6角形(多角形)が形成されており、複数の回転翼13の全ては、この6角形の内側に位置する。
図4に示すように、ガード部23は、回転翼13を他の飛行物体、建物等から保護するため、上下方向において回転翼13と略同じ高さの位置に配置されることが好ましい。なお、ガード部23は、可撓性を有する材料によって構成される。ガード部23自体は、導電性であってもよいし、非導電性であってもよい。
【0040】
電極保持部80は、その一側の端部が延設部22に接続され、他側の端部(以下、先端部)には第1通電部31A及び第2通電部32Aが取り付けられる。電極保持部80は、延設部22の外側面の下部に取り付けられ、延設部22に対して直交する方向に延びている。
【0041】
電極保持部80は、延設部22のそれぞれに配置される。電極保持部80によって、第1通電部31A及び第2通電部32Bが保持される。
【0042】
第1通電部31A及び第2通電部32Bは、電極保持部80の先端部に取り付けられ、制御装置100の通電制御部110により電圧が印加される電極である。第2通電部32Aは、第1通電部31Aよりも相対的に低い電圧が印加される。本実施形態では、6本の電極保持部80のそれぞれに第1通電部31A及び第2通電部32Aが装着される。
【0043】
図4に示すように、第1通電部31A及び第2通電部32Aは、電極保持部80から外側に向かって水平方向に突出する。即ち、第1通電部31A及び第2通電部32Aは、本体部11から離れる方向に突出する。第1通電部31A及び第2通電部32Aは、互いに間隔を空けて配置される。第1通電部31Aと第2通電部32Aとの間の間隔は、鳥獣等の監視対象物が第1通電部31Aと第2通電部32Aに同時に接触できる程度の狭さであれば特に制限されない。また、第1通電部31Aは、第2通電部32Aよりも下側に配置される。
【0044】
次に、本発明の第3実施形態に係る無人飛行装置1Bについて、
図5を参照しながら説明する。
図5は、無人飛行装置1Bを示す正面図である。
【0045】
無人飛行装置1Bは、第1実施形態に係る無人飛行装置1と同様に、本体部11と、複数のアーム部12と、複数の回転翼13と、を備える。
【0046】
一方、無人飛行装置1Bは、プロペラガード20Bの構成が上記第1実施形態の無人飛行装置1と異なる。
【0047】
プロペラガード20Bは、6本のアーム部12の先端部に取り付けられる固定部21と、固定部21の先端部に取り付けられ、本体部11の略真上に向かって斜め上方に延びる延設部22Bと、延設部22Bに取り付けられる第1通電部31B及び第2通電部32Bを有する。
図5に示すように、プロペラガード20Bは、全体としてドーム状に形成される。
【0048】
延設部22Bは、6本の固定部21Bのそれぞれの先端部から、斜め上方に延び、6本の延設部22Bのそれぞれが本体部11の略真上で連結される。即ち、延設部22は、
図5に示すように正面視においてアーチ状に形成され、平面視において本体部11の略真上を中心とした放射状に形成される。延設部22Bは、回転翼13が回転しても接触しない位置に配置される。
【0049】
第1通電部31B及び第2通電部32Bは、制御装置100の通電制御部110により電圧が印加される導電性のワイヤである。第2通電部32Bは、第1通電部31Bよりも相対的に低い電圧が印加される。電圧が印加される状態において、第1通電部31Bは高電位側となり、第2通電部32Bは低電位側となる。第2実施形態では、延設部22Bに一対の第1通電部31A及び第2通電部32Bが4組(複数組)配置される。
【0050】
図5に示すように、第1通電部31B及び第2通電部32は、6本の延設部22Bの間に張り渡され、平面視において本体部11を中心とした環状に配置される。第1通電部31B及び第2通電部32Bは、各延設部22Bの外側面で固定される。一対の第1通電部31B及び第2通電部32Bは、互いに間隔を空けて略平行に延びるように配置される。一対の第1通電部31Bと第2通電部32Bとの間の間隔は、鳥獣等の監視対象物が第1通電部31Bと第2通電部32Bに同時に接触できる程度の狭さであれば特に制限されない。
【0051】
図5に示すように、一対の第1通電部31B及び第2通電部32Bは、平面視において本体部11の真上を中心とした同心円状に所定の間隔を空けて4組配置される。4組の第1通電部31B及び第2通電部32Bは、上下方向において、回転翼13の近傍から6本の延設部22Bが連結する位置の近傍にかけて略均等な間隔で配置される。
【0052】
第2実施形態の無人飛行装置1Bによれば、プロペラガード20Bがドーム状であり、複数組の第1通電部31B及び第2通電部32Bが無人飛行装置1Bの上側半分を囲うように配置されているため、左右方向だけでなく上方からの本体部11や回転翼13への鳥獣の接触を防止できるとともに、無人飛行装置1の上側の広い範囲に鳥獣が感電する領域を形成することができる。
【0053】
以上の説明から明らかなように、本発明の各実施形態は、以下の各構成により、それぞれ有利な効果を奏する。
【0054】
本発明の実施形態にかかる無人飛行装置(1,1A,1B)は、本体部(11)と、本体部(11)から延出し、回転翼(13)を支持するアーム部(12)と、アーム部(12)によって支持され、電圧が印加される第1通電部(31,31A,31B)と、アーム部(12)によって第1通電部(31,31A,31B)に対して間隔をあけて支持され、第1通電部(31,31A,31B)よりも相対的に低い電圧が印加される第2通電部(32,32A,32B)と、第1通電部(31,31A,31B)及び第2通電部(32,32A,32B)の通電を制御する制御装置(100)と、を備える。これにより、第1通電部(31,31A,31B)及び第2通電部(32,32A,32B)の両方を接触させて鳥獣等の監視対象物を感電させることができる。感電した鳥獣はその衝撃を記憶するので、鳥獣は無人飛行装置1が飛行している領域を継続的に避けるようになる。直接的な電気による衝撃なので、種々の鳥獣に対して、効果的な忌避効果を発揮できる。更に、放電音による威嚇も可能である。
【0055】
本発明の実施形態にかかる無人飛行装置(1,1B)において、第1通電部(31,31B)及び第2通電部(32,32B)は、本体部(11)を中心として回転翼(13)よりも外側を囲う環状に形成される。これにより、外側を囲う第1通電部(31,31B)及び第2通電部(32,32B)によって接触範囲を大きく確保できるので、無人飛行装置1を避けようとした鳥獣等の監視対象物にも確実に第1通電部(31,31B)及び第2通電部(32,32B)の両方を接触させることができる。また、第1通電部(31,31B)及び第2通電部(32,32B)がプロペラガード20としても機能するので、鳥獣の回転翼(13)への接触もガードすることができる。
【0056】
本発明の実施形態にかかる無人飛行装置(1A)は、第1通電部(31A)及び第2通電部(31B)は、本体部(11)から離れる方向に突出する電極である。これにより、本体部(11)から離れた位置で鳥獣を通電させることができるので、鳥獣と接触した際に本体部(11)へ伝わる衝撃を緩和できる。
【0057】
本発明の実施形態にかかる無人飛行装置(1,1A,1B)は、監視対象物を検出するカメラ(50)を更に備え、制御装置(100)は、カメラ(50)によって監視対象物を検出した場合に、第1通電部(31,31A,31B)及び第2通電部(32,32A,32B)に電圧を印加した状態又は印加可能な状態で監視対象物の追跡を行う追跡制御に移行する。これにより、鳥獣等の監視対象物を自動追跡し、第1通電部(31,31A,31B)及び第2通電部(32,32A,32B)が自動で鳥獣に対して通電可能な状態に切り替わるので、無人飛行装置(1,1A,1B)を操縦又は指示する必要がなくなる。鳥獣を追い払う行動を自律的に実行できる無人飛行装置1を実現できる。
【0058】
本発明の実施形態にかかる無人飛行装置(1,1A,1B)は、制御装置(100)は、カメラ(50)によって人を検出した場合に、第1通電部(31,31A,31B)及び第2通電部(32,32A,32B)に電圧を印加しない非通電制御に追跡制御から切り替える。これにより、第1通電部(31,31A,31B)及び第2通電部(32,32A,32B)に通電が行われている追跡制御であっても、人を検出すると非通電制御に切り替わるので、鳥獣の自動追跡時における人への感電の発生をより確実に低減できる。
【0059】
本発明の実施形態にかかる無人飛行装置(1,1A,1B)において、人を検出するカメラ(50)を更に備え、制御装置(100)は、カメラ(50)によって人を検出した場合に、第1通電部(31,31A,31B)及び第2通電部(32,32A,32B)に電圧を印加しない非通電制御に移行する。これにより、第1通電部(31,31A,31B)及び第2通電部(32,32A,32B)に通電が行われている追跡制御であっても、人を検出すると非通電制御に切り替わるので、より安全に無人飛行装置1を運用することができる。
【0060】
外部からの通電開始情報を受信可能な通信装置(60)を更に備え、制御装置(100)は、通信装置(60)から通電開始情報を受信すると第1通電部(31,31A,31B)及び第2通電部(32,32A,32B)に電圧を印加する制御を行う。これにより、外部からの情報に基づいて適切なタイミングで通電を開始できるので、第1通電部及び第2通電部への通電による消費電力を抑えながら、鳥獣等の監視対象物を効率的に追い払うことができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0062】
上記実施形態の無人飛行装置1,1A,1Bはそれぞれ異なる種類の第1通電部31,31A,31B及び第2通電部32,32A,32Bを備えるが、それぞれを組み合わせて備える構成としてもよい。例えば、第1実施形態又は第3実施形態に係る無人飛行装置1,1Bが第2実施形態の電極保持部80、第1通電部31A、及び第2通電部32Aを更に備える構成としてもよい。また、第2実施形態に係る無人飛行装置1Aが第1実施形態に係る第1通電部31及び第2通電部32を更に備える構成としてもよい。また、第2実施形態に係る無人飛行装置1Aが第3実施形態に係る延設部22B、第1通電部31B、及び第2通電部32Bを更に備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,1A,1B・・・無人飛行装置、11・・・本体部、12・・・アーム部(支持部)、13・・・回転翼、31,31A,31B・・・第1通電部、32,32A,32B・・・第2通電部、100・・・制御装置(制御部)