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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】印刷装置、及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 17/34 20060101AFI20230616BHJP
   B41M 1/40 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B41F17/34 C
B41M1/40 C
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2022501473
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2020006496
(87)【国際公開番号】W WO2021166114
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000145378
【氏名又は名称】株式会社秀峰
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】村岡 貢治
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/078694(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/199344(WO,A1)
【文献】特開2008-307764(JP,A)
【文献】特開平11-334235(JP,A)
【文献】特開2007-253621(JP,A)
【文献】米国特許第6406833(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 16/00-19/08
B41M 1/00-3/18
B41N 1/00-10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷面の形状に追従して変形する印刷面を有する印刷用ブランケットと、
インクが載置される載置面を備える印刷原版と、
前記印刷原版を載置する印刷原版ステージと、
前記被印刷面を有する印刷物を載置し固定する印刷ステージと、
を備え、
前記印刷用ブランケットは、
前記印刷原版ステージの上方と前記印刷ステージの上方との間を移動自在に構成され、前記印刷原版ステージ又は前記印刷ステージに対し上下移動するように構成され、
前記印刷原版は、
支持体と、
前記支持体の上に形成され、少なくとも前記載置面側が疎インク性を有する材料で形成された表面層と、を備え、
前記印刷原版の前記載置面は、
前記インクを受容しない疎インク領域と、
前記インクを受容する親インク領域と、を備え、
前記親インク領域は、
複数のドットの集合であり、
複数のドットは、
所定の密度で不規則に配置されている、印刷装置。
【請求項2】
前記印刷原版は、
複数の単色用印刷原版により構成され、
前記複数の単色用印刷原版のうち少なくとも1つは、
前記複数のドットの密度が前記複数の単色用印刷原版のうちその他のものと異なる、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷原版の前記載置面は、
前記表面層が除去され前記親インク領域を形成する凹部を備え、
前記凹部の深さは、
3μm以下である、請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷原版の前記載置面は、
前記表面層が除去されて形成された凹部を備え、
前記凹部の底部の前記載置面に沿った方向の幅は、
20μm以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷原版は、
前記支持体の上に形成された前記表面層の厚みが3μm以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷原版の前記表面層は、
シリコーン樹脂により形成される、請求項1~5の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記印刷原版は、
平板形状である、請求項1~6の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷用ブランケットは、
直線移動する方向の先端である頂部を備え、
前記印刷原版は、
前記頂部を含む領域に前記インクが付着しないように前記載置面に前記疎インク領域が配置される、請求項1~7の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷用ブランケットは、
基材と、
基材の表面を覆う保護被膜層と、を備え、
前記印刷面は、
前記保護被膜層の前記載置面に配置される、請求項1~8の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記保護被膜層は、
シリコーンゴムにより形成される、請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記基材は、
シリコーンゴムにより形成される、請求項9又は10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記保護被膜層のアスカーC硬度は、
前記基材のアスカーC硬度よりも高い、請求項9~11の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記インクを吸収して保持するインク保持部を備えるインク載置装置を備え、
前記インク載置装置は、
前記インク保持部を回転軸周りに回転させる構造を備え、
前記インク保持部を前記印刷原版の前記表面に接触させながら前記インク保持部を回転移動させる、請求項1~12の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項14】
液体が吸収される吸収ユニットを更に備え、
前記印刷面は、
前記吸収ユニットに押し付けられることにより前記液体が付着される、請求項1~13の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項15】
前記液体は、
親インク性を備える、請求項14に記載の印刷装置。
【請求項16】
前記インクの粘度は、
700Pa・s以上1200Pa・s以下である、請求項1~15の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項17】
被印刷面の形状に追従して変形する印刷用ブランケットを用いた印刷物の製造方法であって、
印刷原版の載置面にインクが載置されるインク載置工程と、
前記印刷用ブランケットを直線移動させて前記印刷原版の前記載置面に前記印刷用ブランケットの印刷面を押し付けるインク転写工程と、
前記印刷用ブランケットを直線移動させて前記印刷面を被印刷面に押し付ける印刷工程と、を備え、
前記印刷原版は、
支持体と、
前記支持体の上に形成され少なくとも前記載置面側が疎インク性を有する材料で形成された表面層と、を備え、
前記印刷原版の前記載置面は、
前記インクを受容しない疎インク領域と、前記表面層を部分的に除去することにより形成された前記インクを受容する親インク領域と、を備え、
前記親インク領域は、
複数のドットから形成され、
複数のドットは、
所定の密度で不規則に配置されており、
前記インク載置工程は、
前記印刷原版の前記載置面に、前記インクを吸収して保持するインク載置装置を接触させることにより前記親インク領域に前記インクを載置する、印刷物の製造方法。
【請求項18】
前記印刷原版は、
複数の単色用印刷原版により構成され、
前記インク載置工程、前記インク転写工程、及び前記印刷工程は、
前記被印刷面に対し前記複数の単色用印刷原版の数量と同じ回数繰り返される、請求項17に記載の印刷物の製造方法。
【請求項19】
前記印刷原版の前記載置面は、
前記表面層が除去され前記親インク領域を形成する凹部を備え、
前記凹部の深さは、
3μm以下である、請求項17又は18に記載の印刷物の製造方法。
【請求項20】
前記印刷原版の前記載置面は、
前記表面層が除去され前記親インク領域を形成する凹部を備え、
前記凹部の底部の前記表面に沿った方向の幅は、
20μm以下である、請求項17~19の何れか1項に記載の印刷物の製造方法。
【請求項21】
前記印刷原版は、
前記表面層の厚みは、
3μm以下である、請求項17~20の何れか1項に記載の印刷物の製造方法。
【請求項22】
前記被印刷面は、
前記印刷用ブランケットが直線移動する方向に対し傾斜した面を備える、請求項17~21の何れか1項に記載の印刷物の製造方法。
【請求項23】
前記インク載置装置は、
回転するインク保持部を備え、
前記インク載置工程は、
前記インク保持部を前記印刷原版の前記載置面に接触させながら前記インク保持部を回転移動させる、請求項17~22の何れか1項に記載の印刷物の製造方法。
【請求項24】
前記インク転写工程の前に前記印刷用ブランケットの前記印刷面に液体を付着させる活性化工程を更に備える、請求項17~23の何れか1項に記載の印刷物の製造方法。
【請求項25】
前記液体は、
親インク性を備える、請求項24に記載の印刷物の製造方法。
【請求項26】
前記印刷原版の前記載置面に載置する前記インクの粘度は、
700Pa・s以上1200Pa・s以下である、請求項17~25の何れか1項に記載の印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置及び印刷物の製造方法に関し、特に、印刷用ブランケットを直線的に移動させて印刷面を被印刷面に押し付けて印刷を行う印刷装置、及び印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブランケット印刷は、印刷原版に印刷用ブランケットの印刷面を押し付け、印刷原版に印刷パターンに応じて載せられたインクを印刷用ブランケットに転写する。そして、インクが転写された印刷用ブランケットの印刷面を被印刷面に押し付けて、印刷面に転写されたインクを被印刷面に転写することによって、被印刷面に印刷パターンを印刷するものである。
【0003】
特許文献1に開示されている発明においては、印刷用ブランケットは、印刷原版に保持されたインクが付与された際、ブランケットの印刷面がインク中の溶媒を吸収し、更にインクを適度に弾くように構成されている。印刷原版は、微細ドットパターンが彫刻され、凹部にインクを保持している。印刷用ブランケットは、印刷原版に押し付けられてインクが転写される。そして、印刷物は、印刷用ブランケットからインクが転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/199344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている印刷用ブランケットは、印刷原版に載置されたインクが転写され、そのインクを印刷物に転写する。印刷物に印刷された画像は、印刷原版に載置されたインクの配置により決まる。また、印刷用ブランケットによる印刷は、画像を高品質にするため、一色印刷ではなく多色印刷が多く利用される。その場合、一色ごとにそれぞれの画像を印刷用ブランケットに転写した上で被印刷面に押し付けて印刷する。それぞれの色の画像を印刷用ブランケットに転写した上で被印刷面に押しつけると印刷画像が重なるため、印刷原版に載置されたインクが規則的に配置されているとモアレが発生するという課題があった。特に被印刷物が曲面の場合、印刷画像はモアレが発生しやすいという課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、印刷物に印刷された画像のモアレを抑制する印刷装置、及び印刷物の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る印刷装置は、被印刷面の形状に追従して変形する印刷面を有する印刷用ブランケットと、インクが載置される載置面を備える印刷原版と、前記印刷原版を載置する印刷原版ステージと、前記被印刷面を有する印刷物を載置し固定する印刷ステージと、を備え、前記印刷用ブランケットは、前記印刷原版ステージの上方と前記印刷ステージの上方との間を移動自在に構成され、前記印刷原版ステージ又は前記印刷ステージに対し上下移動するように構成され、前記印刷原版は、支持体と、前記支持体の上に形成され、少なくとも前記載置面側が疎インク性を有する材料で形成された表面層と、を備え、前記印刷原版の前記載置面は、前記インクを受容しない疎インク領域と、前記インクを受容する親インク領域と、を備え、前記親インク領域は、複数のドットの集合であり、複数のドットは、所定の密度で不規則に配置されている。
【0008】
本発明に係る印刷物の製造方法は、被印刷面の形状に追従して変形する印刷用ブランケットを用いた印刷物の製造方法であって、印刷原版の載置面にインクが載置されるインク載置工程と、前記印刷用ブランケットを直線移動させて前記印刷原版の前記載置面に前記印刷用ブランケットの印刷面を押し付けるインク転写工程と、前記印刷用ブランケットを直線移動させて前記印刷面を被印刷面に押し付ける印刷工程と、を備え、前記印刷原版は、支持体と、前記支持体の上に形成され少なくとも前記載置面側が疎インク性を有する材料で形成された表面層と、を備え、前記印刷原版の前記載置面は、前記インクを受容しない疎インク領域と、前記表面層を部分的に除去することにより形成された前記インクを受容する親インク領域と、を備え、前記親インク領域は、複数のドットから形成され、複数のドットは、所定の密度で不規則に配置されており、前記インク載置工程は、前記印刷原版の前記載置面に、前記インクを吸収して保持するインク載置装置を接触させることにより前記親インク領域に前記インクを載置する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷画像のモアレを抑制することができる。特に、被印刷面が大きい場合に、複数の部分に分けて印刷を行う場合においては、その複数の部分の境界付近は、印刷画像が重なるが、そのような場合であっても印刷画像が重なった箇所においてモアレの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る印刷装置100の一例を表した側面図である。
図2】実施の形態1に係る印刷装置100が備える印刷用ブランケット10の一例を示す断面図である。
図3】実施の形態1に係る印刷装置100が備える印刷用ブランケット10が印刷物70に押し付けられる際の断面図である。
図4】実施の形態1に係る印刷装置100が備える印刷用ブランケット10が印刷物70に押し付けられる際の断面図である。
図5】実施の形態1に係る印刷装置100に用いられる印刷原版50の一例を示す断面図である。
図6】実施の形態1に係る印刷原版50に形成された凹部54の配置パターンの一例である。
図7】実施の形態1に係る印刷原版50の凹部54の配置パターンの比較例である。
図8】実施の形態1に係る印刷装置100による印刷物の製造方法のフローである。
図9】インク載置工程(S1)が完了した後の印刷原版50の一例を示す断面図である。
図10】インク載置工程(S1)が完了した後の印刷原版50の一例を示す断面図である。
図11図4の印刷面4と被印刷面71、72、及び73との接触部の拡大図である。
図12図11の被印刷面73に転写されるインク40f又は40gの拡大図である。
図13】実施の形態1に係る印刷用ブランケット10の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、本発明に係る印刷装置及び印刷物の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図において同じ部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、各図は模式的に描かれたものであって、本発明は図示された形状に限定されるものではない。また、本明細書において、弾性体又は弾性とは、これに加わる荷重と該荷重によって生じる変形量とが直線的な関係にあるものに限定するものではない。加わる荷重と該荷重によって生じる変形量とが非直線的な関係であって、加わっていた荷重が除かれた場合に、即時又は所定の時間遅れの後に、元の形状に戻るものを含んでいる。
【0012】
<印刷装置100>
図1は、実施の形態1に係る印刷装置100の一例を表した側面図である。印刷装置100は、上下方向に直線的に移動自在な印刷用ブランケット10を備える。印刷用ブランケット10は、印刷装置100が備える上下方向移動装置11により印刷用ブランケット10を上下動させ、印刷物70の被印刷面71に印刷面4を押し付けるものである。また、印刷装置100は、水平方向移動装置12を備える。水平方向移動装置12は、印刷用ブランケット10及び上下方向移動装置11を水平方向に移動させる。印刷用ブランケット10は、水平方向移動装置12により、印刷物70の他に、クリーニング装置60、活性化装置61、エアーブロー装置62、又は印刷原版50の上方に移動される。印刷用ブランケット10は、上下方向移動装置11により上下動し、印刷物70、クリーニング装置60、活性化装置61、又は印刷原版50のそれぞれに印刷面4が押し付けられる。図1において、印刷装置100は、左側から印刷物70を載置する印刷ステージ87、クリーニング装置60、活性化装置61、及びエアーブロー装置62を備える表面処理ステージ86、及び印刷原版50が載置される印刷原版ステージ85を有する。ただし、印刷装置100において、これらのステージは、自由に配置することができ、作業者や印刷装置100が設置される場所の都合に合わせて適宜変更することが出来る。また、印刷装置100のエアーブロー装置62については、印刷装置100に設置されていない場合もある。
【0013】
<印刷用ブランケット10>
図2は、実施の形態1に係る印刷装置100が備える印刷用ブランケット10の一例を示す断面図である。図2に示された印刷用ブランケット10は、例えば略半球形状である。印刷用ブランケット10の形状はこれに限定されず、例えば、砲弾形状、放物線をその対称軸周りに回転させてできる曲面を有する形状、楕円体を切断した一部等の形状、若しくは砲弾形状又は半円形状の断面を一直線上に連続的に伸ばした形状等、印刷物70の仕様等に応じて適宜形状を変更できる。印刷用ブランケット10は、印刷物70又は印刷原版50に最初に接触する頂部を備え、頂部が点又は線で構成される。これにより、印刷用ブランケット10は、印刷物70又は印刷原版50に押し付けられた際に、印刷面4と印刷物70又は印刷原版50との間に空気を噛み込むことがない。よって、印刷物70に施される印刷画像に抜けが発生するのを防止することができる。実施の形態1においては、印刷用ブランケット10の表面のうち、頂点6を中心とした所定の範囲が、印刷原版50からインクを移し取り、印刷物70に転写する印刷面4となる。
【0014】
図2は、図1の印刷用ブランケット10の断面図である。印刷用ブランケット10の頂点6を通り、基材5が固定された部材7に対し垂直な断面を示している。図2に示されるように、印刷用ブランケット10の基材5は、内部層1と内部層1の表面を覆う外部層2とを備える。
【0015】
<基材5>
基材5は、例えばシリコーンゴムを成形して構成される。基材5は、弾性(可撓性)を備え、変形しやすくするためにシリコーンオイルが混合されている。実施の形態1においては、基材5は、略半球形状になっているが、印刷物70の仕様等に応じて適宜形状を変更することができる。基材5は、印刷用ブランケット10が印刷原版50に押し付けられた際に変形し、印刷原版50の載置面51に載置されたインク40(図3参照)を印刷面4に移し取る。印刷原版50の載置面51に載置されたインク40は、印刷物70に印刷される画像に対応し配置されており、印刷パターンを形成している。なお、基材5は、印刷用ブランケット10が被印刷面71、72、及び73に押し付けられた際にインク40を被印刷面71、72、及び73に移し渡すことができるものであれば、材料は限定されない。
【0016】
図3及び図4は、実施の形態1に係る印刷装置100が備える印刷用ブランケット10が印刷物70に押し付けられる際の断面図である。例えば、基材5は、2つの硬度の異なる材料から形成されていても良い。その場合、例えば、印刷面4に近い部分を構成する外部層2の材料は、アスカーC硬度で50~70ポイントの範囲に設定される。そして、外部層2の内側にある内部層1を構成する材質は、アスカーC硬度が100ポイントに設定される。つまり、内部層1は、外部層2よりもアスカーC硬度が高くて硬い。
【0017】
内部層1は、印刷時に印刷面4を被印刷面71、72、及び73に押し付けるための力を加えられる側に位置しており、外部層2よりも接続された支持部材7側に位置している。支持部材7は、上下方向移動装置11に接続されており、上下方向移動装置11からの力を印刷用ブランケット10に伝達する部分である。図3及び図4において、基材5の上側の部分は、アスカーC硬度が100ポイントに設定され、基材5の下側(頂点6側)の部分は、アスカーC硬度で50~70ポイントの範囲に設定される。
【0018】
印刷用ブランケット10が変形して被印刷面71、72、及び73へ追従するためには、印刷用ブランケット10の硬度は低く設定されるのが望ましいため、印刷物70に押し付けられる印刷面4側の部分の硬度が低く設定されても良い。このように構成されることにより、印刷用ブランケット10の全体の形状は保持されやすくなる。それと共に、被印刷面71、72、及び73に直接押し付けられる外部層2は、被印刷面71だけでなく、曲面である被印刷面72、及び印刷用ブランケット10が移動する方向に対し傾斜した被印刷面73へ追従するように変形し易いという利点がある。ただし、基材5の各部の硬度は上記の硬度に限定されるものではない。
【0019】
<クリーニング装置60>
図1に示される様に、印刷装置100の印刷ステージ87の隣には表面処理ステージ86が配置されている。表面処理ステージ86には、クリーニング装置60が設置されている。クリーニング装置60は、例えば紙又は粘着テープを備える。印刷用ブランケット10の印刷面4は、紙又は粘着テープの表面に押し付けられることにより、印刷後に残存するインク40、汚れ、又はゴミ等が除去される。
【0020】
<活性化装置61>
活性化装置61は、液体を貯留する貯留槽、液体を吸収して保持する吸収ユニットを備える。印刷用ブランケット10の印刷面4は、吸収ユニットの表面に押し付けられることにより、吸収ユニットが保持する液体が付着する。印刷用ブランケット10は、基材5に水又は溶剤を付着、又は染み込ませることにより、印刷原版50に載置されたインク40を印刷面4に転写し易くさせるものである。液体は、インク40との性質に応じて適宜選定されるものであって、硬いインク40を軟化させる性質を有する。インク40は、水又は溶剤に顔料又は染料を加えて構成されている。活性化装置61に用いられる液体は、例えば、アクリル樹脂又はウレタン樹脂等の合成樹脂類、及び水、シンナー、キシレン、又はトルエン等の混合剤であり、インク40に含まれる溶剤との親和性が高いものを選択すると良い。ただし、活性化装置61に用いられる液体は、上記のみに限定されるものではない。
【0021】
活性化装置61の吸収ユニットは、例えば薄いシート状の吸収材を積層して構成されている。吸収材は、例えば紙によって構成されているが、紙のみに限定されず、液体を吸収するものであれば、布や樹脂などの他の材質により構成しても良い。例えば、吸収ユニットは、スポンジ状の樹脂の上に紙を積層させたものであっても良い。印刷用ブランケット10の印刷面4が押し付けられる吸収ユニットの表面は、印刷用ブランケット10の印刷面4に残存したインク40等の汚れが付着したり、吸収ユニットの表面が削られたりして吸収ユニットを構成する紙が破れたりする場合がある。よって、吸収ユニットの最も上の層に位置する紙は、吸収ユニットの最も上の層から剥離して除去し、積層してある一枚ずつを除去するか、機械的に上層部を交換できる様に構成されている。ただし、最も上の層に位置する紙の交換方法はこの方法のみに限定されるものではない。吸収ユニットは、最も上の層を構成する紙などを除去又は交換自在に構成されているため、表面が常に清浄に保たれており、かつ液体が染み渡っているため、印刷用ブランケット10の印刷面4を押し付ければ印刷面を活性化させることができる。
【0022】
<エアーブロー装置62>
エアーブロー装置62は、活性化装置61により印刷用ブランケット10の印刷面4に付着した水又は溶剤を適量に調整するものである。エアーブロー装置62は、印刷面4に向けて空気を吹き付け、印刷面4から余分な水又は溶剤を除去する。なお、エアーブロー装置の形式、数量、及び空気を吹き付ける方向は限定されるものではない。
【0023】
<印刷原版50>
印刷原版50は、印刷原版ステージ85の上に載置されるものであり、載置面51にインク40が載置され、印刷用ブランケット10の印刷面4を載置面51に押し付けることにより、印刷面4にインク40を転写する。
【0024】
図5は、実施の形態1に係る印刷装置100に用いられる印刷原版50の一例を示す断面図である。印刷原版50は、平板形状であり、支持体53及び支持体53の上に形成された表面層52を備える。表面層52は、少なくとも印刷用ブランケット10の印刷面4が押し付けられる載置面51側が疎インク性を有する材料で形成されている。表面層52は、例えばレーザー光により部分的に破壊され除去されることにより、疎インク性を有する材料で形成された部分が除去されるものである。つまり、表面層52は、例えばレーザー光により除去され、載置面51に開口する凹部54が形成される。凹部54の底部55は、親インク性の材料で形成された支持体53が露出している。実施の形態1においては、表面層52は、インク40が付着しにくい疎インク性を備える疎インク層である。また、支持体53は、インク40が付着し易い親インク性を備える親インク層である。実施の形態1において、表面層52は、例えばシリコーンゴム又はシリコーン樹脂により形成されている。シリコーンゴム及びシリコーン樹脂は、疎インク性を備え、化学的に安定であるため、印刷原版50の表面層52として好適に用いられる。ただし、表面層52は、シリコーンゴム及びシリコーン樹脂にのみ限定されるものではなく、疎インク性を備える材質であれば、その他の材質を用いても良い。
【0025】
図5においては表面層52及び支持体53は、それぞれ1層で形成されているが、この形態に限定されるものではない。表面層52は、疎インク性を備えレーザー光により破壊される材料により1層で形成されても良いし、印刷用ブランケット10が押し付けられる側に疎インク性を備える疎インク層を備え、支持体53側に記録層を備えても良い。記録層は、例えばレーザー光を吸収し熱に変換し、記録層と疎インク層との間の接着強度を低下させることにより疎インク層を印刷原版50から除去できるようにするものである。または、記録層は、例えばレーザー光を吸収し熱に変換し、記録層が熱により破壊されることにより、支持体53と表面層52との間の結合力を低下させ、疎インク性を備える表面層52を印刷原版50から除去できるようにするものである。表面層52が疎インク層と記録層とにより構成される場合、疎インク層は、シリコーンゴム又はシリコーン樹脂により形成され、記録層は、感熱又は感光する材質で形成される。
【0026】
支持体53は、例えば印刷原版50の形状を保持するための例えばアルミニウム製の金属板の1層により形成されていても良いし、金属板の表面に親インク性を有する材料で形成された親インク層を備えても良い。また、支持体53は、金属板の表面を腐蝕させる等の手段により面を粗くする表面処理が施されていても良い。また、支持体53の表面は、表面層52との結合力を向上させるためのプライマー層が形成されていても良い。
【0027】
印刷原版50は、表面層52が除去されることにより凹部54が形成されている。凹部54は、インク載置装置63により載置面51にインク40が供給され、内側にインク40が載置される。このとき、表面層52が残っている部分は、疎インク領域57を形成し、インク40が付着されない。凹部54は、親インク領域58を形成し、インク40が載置される。即ち、載置面51は、疎インク領域57と親インク領域58とを有し、インク載置装置63により、親インク領域58にのみインク40が載置される。
【0028】
実施の形態1において、表面層52の厚さh1は、3μm以下に形成されている。表面層52を除去して凹部54を形成した場合、凹部54の底部55の載置面51に沿った方向の幅寸法である幅w2に対し、凹部54の開口部56の幅寸法である幅w1は大きくなってしまう。しかし、表面層52の厚さh1を3μm以下にすることにより、凹部54の底部55の幅w2と開口部56の幅w1との差が小さくなる。これにより凹部54の内部の容積が小さくなる。また、表面層52の厚さh1が3μm以下に形成されていることにより、レーザー光により凹部54を形成するときに、レーザー光に感光する層へのエネルギーの供給が容易になる。そして、レーザー光は、印刷原版50の凹部54の底部55の形状を精度良く形成することができ、幅w2をより小さくすることが可能となる。凹部54の底部55の幅w2は、20μm以下に形成されており、望ましくは10μm以下に形成され、更に望ましくは5μm以下に形成される。
【0029】
図6は、実施の形態1に係る印刷原版50に形成された凹部54の配置パターンの一例である。印刷原版50に配置される凹部54は、1つ当たりが上述した幅w1の開口部56を有するドットであり、印刷原版50上の所定の範囲内に複数不規則に配置されている。複数の凹部54のうちの1つに着目すると、凹部54は、図6における上下左右方向及び斜め方向において隣り合う凹部54と互いに接続されていても良いし、接続しておらず独立していても良い。また、凹部54の配置は、図6の上下方向、左右方向、又は斜め方向において隣合うドットの間隔は不規則になっている。ただし、凹部54は、所定の密度で配置されており、所定の面積の範囲内においては均質に散らばって配置されている。
【0030】
図7は、実施の形態1に係る印刷原版50の凹部54の配置パターンの比較例である。図7は、左右方向及び上下方向に規則的な配置をした凹部54を有する印刷原版150Aと印刷原版150Aを斜め方向に傾けた印刷原版150Bとを用いて印刷した模様150Cを示している。このように、規則的な配置をした凹部54を有する印刷原版150A及び150Bによるインクのパターンを重ね合わせると、規則的な模様のモアレを生ずる。
【0031】
一方、実施の形態1に係る印刷原版50のような凹部54の配置パターンにより印刷をした場合、図7に示される150Cのように規則的な模様となるモアレが生ずることがない。
【0032】
実施の形態1に係る印刷原版50のような凹部54の配置パターンにより印刷をする場合、図6に示されている配置パターンは、複数の印刷原版50に分割して用いられる。実施の形態1に係る印刷装置100において、印刷物70にカラー画像を印刷する場合、印刷原版50は、例えばマゼンダ、シアン、イエロー、及び黒の4種類の色に対応した単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dから構成される。印刷物70に印刷されるカラー画像の色により、単色用印刷原版50aは、印刷原版50の凹部54の配置パターンを所定の配置密度に減らした配置パターンに形成されている。また、単色用印刷原版50b、50c、及び50dも同様に、印刷原版50の凹部54の配置パターンを所定の配置密度に減らした配置パターンにされている。そして、単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dの凹部54の配置パターンを全て重ね合わせると、印刷原版50の配置パターンになる様に構成されている。つまり、単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dに設けられたそれぞれの凹部54を合わせることにより1つの画像が形成される。
【0033】
単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dは、それぞれ図6の印刷原版50の凹部54の配置パターンを、所定の配置密度になる様に変更した印刷原版である。従って、例えば、印刷原版50が4000dpiであったとした場合、単色用印刷原版50aは1800dpi、単色用印刷原版50bは1800dpi、単色用印刷原版50cは400dpi、となる様に印刷原版50の凹部54の配置パターンの密度を減らした配置パターンとなるように形成する。なお、このとき単色用印刷原版50dは0dpi、つまり使用しない。単色用印刷原版50a、50b、及び50cは、印刷原版50と同様に凹部54の配置パターンが不規則であるため、印刷物70の表面にカラー画像を印刷する際にモアレの発生を抑えることができる。また、印刷物70の印刷範囲が広い場合には、印刷物70の表面を複数の部分に分割してそれぞれの部分に単色用印刷原版50a、50b、及び50cを押しつけて印刷を行う。このとき、印刷物70の表面を分割した複数の部分の境界は、単色用印刷原版50a、50b、及び50cによる印刷画像が重なる。このような場合であっても、印刷原版50は、不規則な凹部54の配置パターンを有しているため、印刷画像が重なった部分においてモアレの発生を抑えることができる。
【0034】
<インク載置装置63>
図1に示される様に、インク載置装置63は、インクを保持する材質を表面に備えるローラーであるインク保持部64を備える。インク保持部64は、回転軸65周りに回転するように構成されている。インク載置装置63は、印刷原版50の載置面51にインク保持部64を接触させて、インク保持部64を載置面51上を回転移動することにより、インク40を載置面51の親インク領域58に載置する。インク載置装置63は、図1に示されるローラーを備える構成に限定されるものではなく、インク保持部64と印刷原版50の載置面51とが接触できる構成になっていれば、例えばインク保持部64が載置面51に対し垂直移動する形式であっても良い。
【0035】
印刷原版50が疎インク領域57及び親インク領域58を備えており、疎インク領域57がインクを弾くため、インク載置装置63は、親インク領域58が細かくても親インク領域58にインクを載せることができる。また、インク載置装置63は、疎インク領域57が余分なインクを弾くため、インクを載せた後に余分なインクを取り除くドクターブレードを備えていない。
【0036】
また、印刷物70の表面にカラー画像を印刷する際には、複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dを用いる場合がある。その場合、印刷装置100は、複数のインク載置装置63を備えていてもよい。又は、複数の印刷装置100により1つの印刷物70を印刷しても良い。このとき、複数の印刷装置100のそれぞれは、複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dのそれぞれに対応している。
【0037】
<印刷装置100による印刷物の製造方法>
図8は、実施の形態1に係る印刷装置100による印刷物の製造方法のフローである。次に、印刷装置100による印刷物の製造方法について説明する。
【0038】
(開始工程)
開始工程は、印刷装置100を起動した直後に行われる工程である。印刷用ブランケット10は、印刷物の製造を開始した直後は、表面が活性化されていない場合があるため、印刷用ブランケット10の印刷面4を適正に活性化する工程を行う。まず、印刷装置100が起動されたら、印刷装置100は、印刷用ブランケット10を活性化装置61の上方に移動させ、活性化装置61に向かって降下させる。印刷用ブランケット10は、印刷面4が活性化装置61の吸収ユニットに押し付けられ、印刷面4を含む所定の範囲が吸収ユニットに接触した後に、上昇される。これを活性化工程と称する(SP1)。これにより、活性化装置61の吸収ユニットにしみ込んでいる水又は溶剤等の液体が、印刷用ブランケット10の印刷面4に付着又はしみ込む。なお、印刷用ブランケット10は、表面に凹凸が形成されており、吸収ユニットにしみこんでいる。表面の凹凸は、望ましくは2~5μmの高低差を有するように形成されると良い。
【0039】
活性化工程(SP1)が完了した後、印刷用ブランケット10の印刷面4に付着している液体が適量であるか否かを判断する(SP2)。印刷面4に付着している液体が適量でない場合(SP2でNOの場合)、印刷装置100は、エアーブロー工程を行う(SP3)。エアーブロー工程においては、エアーブロー装置62は、印刷用ブランケット10の印刷面4に空気を吹き付け、印刷面4に付着した余分な液体を除去する。なお、印刷面4に付着している液体が適量でない場合とは、印刷面4に液体が過剰に付着している場合である。
【0040】
エアーブロー工程(SP3)を完了した後に、印刷用ブランケット10の印刷面4に付着している液体が適量であるか否かを判断する(SP4)。まだ、印刷用ブランケット10の印刷面4に余分な水又は溶剤が付着している場合(SP4においてNOの場合)、印刷装置100は、吸収工程を行う(SP5)。吸収工程においては、印刷装置100は、印刷用ブランケット10の印刷面4をクリーニング装置60に押し付ける。これにより、印刷用ブランケット10の印刷面4に付着した余分な液体を除去する。
【0041】
なお、印刷用ブランケット10に適量の水または溶剤が付着またはしみ込んでいる場合(SP2:YES,SP4:YES)は、エアーブロー工程(SP3)および吸収工程(SP5)の一方または両方の実施を省略してもよい。また、エアーブロー工程と吸収工程とは、実施の順序を変更しても良い。さらに、エアーブロー工程及び吸収工程は、複数回実施されても良い。
【0042】
(繰り返し工程)
開始工程が完了し、印刷用ブランケット10の印刷面4の状態が適正に活性化処理されると、繰返し工程に移行する。繰返し工程は、インク載置工程(S1)、インク転写工程(S2)、印刷工程(S3)、クリーニング工程(S4)、活性化工程(S5)、エアーブロー工程(S7)、及び吸収工程(S9)を備える。図8に示される様に、印刷装置100は、インク載置工程(S1)、インク転写工程(S2)、印刷工程(S3)、クリーニング工程(S4)、活性化工程(S5)、エアーブロー工程(S7)、及び吸収工程(S9)の順に工程を進める。ただし、繰り返し工程は、この順番のみに限定されるものではない。例えば、インク載置工程(S1)及びインク転写工程(S2)が完了した後に、印刷装置100は、印刷工程(S3)から吸収工程(S9)を実施する。その一方で、印刷装置100は、印刷工程(S3)から吸収工程(S9)を実施している間に次の回のインク載置工程(S1)を並行して行っても良い。
【0043】
繰り返し工程は、印刷工程(S3)を行う毎に印刷物70の表面に印刷画像が形成される。印刷物70は、1つに限定されず、複数同時に印刷しても良い。複数同時に印刷する場合は、印刷用ブランケット10を印刷装置100に複数設置しても良い。
【0044】
(インク載置工程)
インク載置工程(S1)は、インク載置装置63によりインク40を印刷原版50に載置する工程である。インク載置装置63は、インク保持部64を印刷原版50の載置面51に接触させ、載置面51の上にインク保持部64を転動させる。インク保持部64に吸収されているインク40は、載置面51に設けられた親インク領域58にのみ載置される。インク40が吸収されているインク保持部64は、疎インク領域57にも接触する。しかし、疎インク領域57は、インク40を弾くため、インク40が載置されない。インク40は、疎インク領域57に弾かれるようにするために、硬く設定されるのが望ましい。例えば、インク40の粘度は、700~1200Pa・sの範囲に設定されると良い。
【0045】
図9及び図10は、インク載置工程(S1)が完了した後の印刷原版50の一例を示す断面図である。図9及び図10は、載置面51に載置されたインク40の状態を模式的に表している。インク載置装置63により載置面51にインク40が供給されると、図9に示される様に凹部54内にインク40が充填される。凹部54内に供給されたインク40は、凹部54の底部55に露出している親インク領域58に付着するが、凹部54の側面59は、疎インク性の材料により形成されている表面層52であるため、インク40を弾く。インク40は、ローラーなどにより構成されるインク保持部64に押し込まれ、凹部54内に概ね図9及び図10に示される様に入り込む。
【0046】
(インク転写工程)
インク転写工程(S2)においては、印刷用ブランケット10の印刷面4は、印刷原版50の載置面51に押し付けられる。印刷用ブランケット10の印刷面4は、図10に示されている印刷原版50の親インク領域58に載置されたインク40に接触する。その後、印刷用ブランケット10は、上方に移動し、印刷面4が印刷原版50の載置面51から離れる。印刷面4に接触したインク40は、そのまま印刷面4に移動する。印刷原版50の載置面51に配置された親インク領域58に応じて、インク40は印刷面4に配置されることになる。
【0047】
印刷用ブランケット10の印刷面4は、活性化工程(SP1、又はS5)により、水又は溶剤が付着又は染み込んでおり、インク40が付着しやすくなっている。特に、精度の高い印刷画像を得るためには、印刷面4に転写されるインク40のドット1つ当たりの大きさを小さくし、隣り合うインク40同士の間隔も狭くする必要がある。そのため、インク40は、粘度が高いものを用いることが望ましい。具体的には、インク40の粘度は、700Pa・s以上1200Pa・s以下に構成されることが望ましい。印刷装置100によれば、印刷用ブランケット10の印刷面4は、活性化装置61により活性化されており、インク40の粘度が高くてもインク40が付着しやすくなっている。
【0048】
(印刷工程)
印刷工程(S3)においては、インク40が付着した状態の印刷用ブランケット10の印刷面4は、印刷物70に押し付けられる。実施の形態1に係る印刷装置100は、平面にも印刷できるが、図3及び図4に示される様な印刷物70の被印刷面71、72、及び73にも印刷できる。印刷物70の被印刷面71は、平面である。しかし、被印刷面72は、曲面で構成され、被印刷面73は、平面であるが、印刷用ブランケット10が移動する方向に対して傾斜した面で構成されている。印刷工程(S3)においては、インク40が付着した印刷面4が被印刷面71、72、及び73に密着するように印刷用ブランケット10を印刷ステージ87側に向かって押し付ける。印刷面4に付着していたインク40は、被印刷面71、72、及び73に接触し、転写される。
【0049】
印刷物70は、印刷ステージ87上において、位置決め固定されている。これにより、印刷用ブランケット10と被印刷面71、72、及び73との位置関係が決まり、被印刷面71、72、及び73に精度良く印刷を施すことができる。
【0050】
(クリーニング工程)
クリーニング工程(S4)では、被印刷面71、72、及び73にインク40を転写した後の印刷用ブランケット10の印刷面4を、クリーニング装置60の平坦なクリーニング面に押し付ける。印刷用ブランケット10に残存するインク40を、クリーニング面に付着させる。クリーニング面は紙又は粘着テープで構成されるが、これらに限定するものではない。
【0051】
(活性化工程、エアーブロー工程、吸収工程)
活性化工程(S5)は、開始工程における活性化工程(SP1)と同じ内容の工程である。エアーブロー工程(S7)は、開始工程におけるエアーブロー工程(SP3)と同じ内容の工程である。吸収工程(S9)も、開始工程における吸収工程(SP5)と同じ内容の工程である。エアーブロー工程(S7)及び吸収工程(S9)は、印刷用ブランケット10の印刷面4に付着している水又は溶剤などの液体の量に応じて実施され、一方を省略しても良いし、少なくとも一方を複数回実施しても良い。エアーブロー工程(S7)及び吸収工程(S9)は、それぞれの工程の前において、印刷用ブランケット10の印刷面4の状態を確認した後に、印刷面4の活性化状態に応じて実施されるものである(S6及びS8)。確認工程(S6及びS8)において印刷用ブランケット10の印刷面4の状態を確認して、印刷面4の活性化状態が適正である場合は、繰り返し判断工程(S10)において再度印刷を実施するか否かを判断する。再度印刷を行う場合(S10においてYESの場合)は、再度インク載置工程(S1)からの工程が繰り返される。印刷を繰り返さない場合(S10においてNOの場合)は、印刷物の製造を終了する。
【0052】
以上のように、印刷装置100は、起動時に開始工程を実施し、その後は繰り返し工程を行うことにより、多数の印刷物70に対し印刷を行うものである。
【0053】
印刷原版50が例えば複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dにより構成される場合は、複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dのそれぞれに対応した複数の印刷装置100を用いて印刷を行っても良い。例えば、1つの印刷装置100は、単色用印刷原版50aを備えており、印刷物70に対しマゼンダのインクのみを用いて印刷する。その後、印刷物70は、単色用印刷原版50bを備える印刷装置100において、シアンのインクのみを用いて印刷される。これを、複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dの数量だけ繰り返して印刷を行うことができる。
【0054】
印刷装置100が複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dに対応して複数の印刷原版ステージ85及び複数のインク載置装置63を備える場合は、印刷装置100は、1つの印刷物70に対し、少なくともインク載置工程、インク転写工程、及び印刷工程を複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dの数量と同じ回数だけ繰り返す。また、印刷装置100は、クリーニング工程、活性化工程、エアーブロー工程、及び吸収工程の少なくとも1つを複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dの数量と同じ回数だけ繰り返しても良い。
【0055】
(実施の形態1の効果)
実施の形態1に係る印刷装置100は、被印刷面71、72、及び73の形状に追従して変形する印刷面4を有する印刷用ブランケット10と、インク40が載置される載置面51を備える印刷原版50と、を備える。さらに、印刷装置100は、印刷原版50を載置する印刷原版ステージ85と、被印刷面71、72、及び73を有する印刷物70を載置する印刷ステージ87と、インク40を吸収して保持するインク保持部64を備えるインク載置装置63と、を備える。印刷用ブランケット10は、印刷原版ステージ85の上方と印刷ステージ87の上方との間を移動自在に構成され、印刷原版ステージ85又は印刷ステージ87に対し直線移動するように構成されている。印刷原版50は、支持体53と、支持体53の上に形成され、少なくとも載置面51側が疎インク性を有する材料で形成された表面層52と、を備える。印刷原版50の載置面51は、インク40を受容しない疎インク領域57と、インクを受容する親インク領域58と、を備える。親インク領域58は、複数のドットの集合であり、複数のドットは、所定の密度で不規則に配置されている。疎インク領域57は、表面層52により形成される。インク載置装置63は、印刷原版50の載置面51に、インク保持部64を接触させることにより親インク領域58にインク40を配置する。
【0056】
以上のように構成されることにより、印刷装置100は、印刷原版50の載置面51の親インク領域58にインク40を載置することができ、それを印刷用ブランケット10に転写することができる。親インク領域58は、複数のドットの集合であり、不規則に配置されているため、印刷物70の表面に形成された印刷画像のモアレを抑えることができる。また、印刷物70に対し、複数回の印刷が施される場合は、印刷画像が重なり合う部分が生じる。その際にも、印刷装置100は、印刷画像が重なった部分のモアレを抑制できる。印刷用ブランケット10は印刷物70が載置された印刷ステージ87に向かって直線的に移動し印刷を行う。そのため、印刷装置100は、印刷ステージ87に固定された印刷物70と印刷用ブランケット10との相対的な位置関係を精度良く保つことができ、印刷物70に高精度な印刷を施すことができる。
【0057】
また、印刷装置100によれば、印刷原版50は、複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dにより構成され、複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dのうち少なくとも1つは、複数のドットの密度が複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dのうちその他のものと異なる。印刷装置100は、複数の単色用印刷原版50a、50b、50c、及び50dを用いて複数回の印刷工程を実施する場合であっても、印刷画像のモアレの発生を抑えることができる。
【0058】
また、印刷装置100は、印刷原版50に対して印刷用ブランケット10を直線的に移動して印刷面4を押し付ける。そのため、多数の印刷物70に対し繰り返し印刷を施しても、印刷原版50の劣化及び損傷を抑えることができ、印刷原版50の寿命が向上し、印刷用ブランケット10へのインク40の転写精度を長期間維持することができる。
【0059】
さらに、印刷装置100は、印刷用ブランケット10を直線的に移動して、印刷原版50の載置面51に対し略垂直に印刷面4が押し付けられる。即ち、印刷原版50の載置面51の凹部54の深さ方向に沿って印刷面4が押し付けられる。そのため、印刷装置100は、凹部54内にあるインク40と印刷面4とを確実に接触させることができ、印刷面4に転写されるインク40の抜けがなく、印刷物70に転写した際に精度の高い印刷画像を得ることができる。
【0060】
印刷装置100によれば、親インク領域58は、表面層52を部分的に除去することにより形成される。印刷原版50の載置面51は、表面層52が除去されて形成された親インク領域58を形成する凹部54を備え、凹部54の深さは、3μm以下である。
【0061】
図9は、インク載置装置63から凹部54にインク40が載置されたとき状態を示している。このとき、印刷原版50の表面層52の厚さh1が大きいと、凹部54は、図9の点線で示されている凹部54aのようになる。従って、印刷原版50の表面層52が厚く形成されている場合、インク載置工程(S1)において凹部54aのドットが大きくなり、充填されるインク40の量も表面層52が薄く形成されている場合よりも多くなる。すると、印刷用ブランケット10が印刷原版50に押し付けられた際に、印刷用ブランケット10の印刷面4に転写されるインク40の1ドット当たりのインク量も多くなる。印刷面4に転写される1ドットあたりのインク40の量が多いと、印刷面4から被印刷面71、72、及び73に転写されるインク40も、1ドット当たりのインク40の量が多くなる。そのため、被印刷面71、72、及び73に転写された隣り合うインク40のドット同士の距離が所望の距離にならず、印刷された画像の精度が低下する場合があった。
【0062】
図11は、図4の印刷面4と被印刷面71、72、及び73との接触部の拡大図である。図12は、図11の被印刷面73に転写されるインク40f又は40gの拡大図である。図12(a)及び図12(b)において、左側の図は、印刷用ブランケット10が印刷物70に押し付けられている状態におけるインク40f又は40gを示している。図12(a)及び図12(b)において、右側の図は、印刷物70の表面にインク40f又は40gが転写された状態を示している。実施の形態1に係る印刷装置100は、被印刷面72及び73のように、曲面又は印刷用ブランケット10の移動方向に対し傾斜した面にインク40を転写する場合がある。印刷用ブランケット10の印刷面4には、印刷原版50から転写されたインク40a~40gが載っている。インク40a~40dは、印刷用ブランケット10の移動方向に対し垂直な被印刷面71に転写される。インク40eは、曲面である被印刷面71に転写される。インク40f及び40gは、印刷用ブランケット10の移動方向に垂直な面に対し傾斜した面である被印刷面73に転写される。なお、印刷物70の被印刷面71、72、及び73は一例であり、印刷物70は、他の凹凸形状を有していても良い。
【0063】
印刷用ブランケット10は、凹凸形状を有する被印刷面72及び73にも印刷面4が追従するように変形する。このとき、印刷面4は、被印刷面72及び73に沿った方向に微小に変位する。従って、図12(a)に示される様に、インク40の1ドット当たりの大きさが大きい場合、印刷面4と被印刷面73との両方に接触したインク40f及び40gは、印刷面4のひずみεに応じて被印刷面73に沿った方向に拡大されて転写される。図12(a)のようにインク40f及び40gの1ドット当たりの大きさが大きい場合、インク40と被印刷面73とは、印刷面4と被印刷面73とが距離L1離れた状態で接触する。印刷面4は、印刷用ブランケット10が印刷物70に押し付けられて押しつぶされる間、変形し続ける。よって、インク40は、被印刷面73と接触してから印刷用ブランケット10が変形しきるまでの期間、印刷面4と被印刷面73との間で変形されるため、当初の幅d1であったインク40が幅d2となって被印刷面73に転写される。このとき、インク40は、インク40が被印刷面73に接触してから印刷用ブランケット10の変形が終了するまでのひずみε1により、d2=d1・ε1となる。ここで、ε1>1である。
【0064】
一方、図12(b)に示される様に、インク40の1ドット当たりの大きさが小さい場合、インク40と被印刷面73とが接触したときに、印刷面4と被印刷面73とが距離L2離れた状態で接触する。このとき、距離L1>距離L2となっている。従って、インク40の1ドット当たりの大きさが大きいときより、インク40が被印刷面73と接触してから印刷用ブランケット10が変形しきるまでの期間は短くなる。よって、インク40は、インク40が被印刷面73に接触してから印刷用ブランケット10の変形が終了するまでのひずみε2により、d4=d3・ε2となる。このとき、被印刷面73に転写されたインク40の幅d4は、印刷面4にあったときのインク40の幅d3よりも拡大されるが、インク40のひずみε2は、ひずみε1よりも小さい。即ち、ε1>ε2>1である。つまり、インク40の1ドット当たりの大きさが小さい場合、インク40は、被印刷面73に転写前後でインク40の幅は大きくなるものの、大きくなる割合が小さい。以上より、印刷装置100は、印刷原版50の載置面51の凹部54の深さを3μm以下にすることにより、印刷用ブランケット10が移動し押し付けられる方向に対し傾斜した被印刷面72及び73にインク40を転写する場合であっても、精度の高い印刷画像が得られる。
【0065】
なお、このとき、凹部54の底部55の載置面51に沿った方向の幅は、3μm以上10μm以下にすると良い。これにより、載置面51に形成された凹部54の形成が安定して行われるため、印刷装置100は、親インク領域58へのインク40の載置を確実に行うことができる。
【0066】
また、印刷装置100によれば、印刷原版50は、支持体53の上に形成された表面層52の厚みが3μm以下である。これにより、印刷用ブランケット10の印刷面4に転写されるインク40は、1ドット当たりの大きさが小さくなり、インク40の量を小さくすることができるため、印刷物70に転写した際に精度の高い印刷画像が得られる。図9に示される様に、印刷原版50の表面層52の厚さh1が大きい場合は、凹部54aの底部55の幅w2対し開口部56の幅w1が大きくなる。従って、凹部54aの容積が大きくなり、1つの凹部54a当たりに載置されるインク40の量が多くなってしまう。これにより、上記において説明したように、印刷用ブランケット10が移動し押し付けられる方向に対し傾斜した被印刷面72及び73にインク40を転写する場合に、印刷画像の精度が低下する場合がある。しかし、実施の形態1に係る印刷装置100によれば、印刷原版50から転写されるインク40の1ドット当たりの大きさを小さくすることにより、印刷用ブランケット10が移動し押し付けられる方向に対し傾斜した被印刷面72及び73にインク40を転写する場合であっても、精度の高い印刷画像が得られる。
【0067】
(実施の形態1の変形例)
図13は、実施の形態1に係る印刷用ブランケット10の変形例を示す断面図である。実施の形態1に係る印刷用ブランケット10は、基材5の表面を覆う保護被膜層3を備えていても良い。保護被膜層3は、印刷用ブランケット10の外側の印刷面4を構成する。保護被膜層3は、例えば0.5mmのシリコーンゴムのシートを外部層2の表面に貼り付けて構成される。保護被膜層3は、内部の軟らかいシリコーンゴムに含まれたシリコーンオイルが印刷面4に滲み出ないようにするものである。また、保護被膜層3の外側の表面は、印刷面4を構成し、印刷原版50及び被印刷面71、72、及び73に繰り返し押し付けられるため、傷、摩耗に対する耐久性が必要となる。そのため、保護被膜層3は、外部層2に対し硬度が高い材料を使用し、かつ、印刷面4が被印刷面71、72、及び73に押し付けられた際に被印刷面71、72、及び73に追従するように薄くなっている。実施の形態1においては、保護被膜層3の厚さは、可能な範囲で薄く構成されており、例えば0.1mm?1mmの範囲で構成されていると良い。なお、保護被膜層3の材質についてはシリコーンゴムのみに限定するものでは無く、内部層1及び外部層2の変形に追従するものであれば、材質は適宜選択することができる。また、保護被膜層3を基材5に貼り付ける工程において、基材5の表面に沿って貼り付けられるように、十分な伸縮性を有していることが望ましい。なお、印刷用ブランケット10は、更に多層構造に形成されても良い。例えば、図13に示される印刷用ブランケット10の内部層1又は外部層2を更に硬度の異なる材料で多層構造に形成しても良い。
【0068】
保護被膜層3は、基材5の表面に貼り付けられているが、傷又は摩耗等の損傷が生じた場合に、基材5の表面から剥がし、新しいものに交換することができる。保護被膜層3は、基材5に比較して安価であり、交換により内部の基材5をそのまま利用することが出来る。そのため、保護被膜層3を更新することにより高価な基材5を繰り返し使用でき、印刷用ブランケット10の印刷面4の状態を印刷に適した状態に保つことができる。ひいては、実施の形態1に係る印刷装置100は、印刷に掛かる費用を抑えることができる。なお、図13において、基材5は、内部層1と外部層2とから構成されているが、内部層1の1層のみで構成されていても良い。つまり、内部層1の一層のみで形成された基材5に保護被膜層3を設けても良い。ただし、保護被膜層3とともに基材5も傷が及んだ場合、基材5に貼り付けられた保護被膜層3に傷が付くなどして保護被膜層3を交換する際に、保護被膜層3の剥がし作業により基材5が傷つく場合、又は基材5の表面が硬くなる等の変質する場合がある。そのため、基材5は、多層で構成されるのが望ましい。
【符号の説明】
【0069】
1 内部層、2 外部層、3 保護被膜層、4 印刷面、5 基材、6 頂点、7 支持部材、10 印刷用ブランケット、11 上下方向移動装置、12 水平方向移動装置、13 平面、40 インク、40a インク、40b インク、40c インク、40d インク、40e インク、40f インク、40g インク、50 印刷原版、50a 単色用印刷原版、50b 単色用印刷原版、50c 単色用印刷原版、50d 単色用印刷原版、51 載置面、52 表面層、53 支持体、54 凹部、54a 凹部、55 底部、56 開口部、57 疎インク領域、58 親インク領域、59 側面、60 クリーニング装置、61 活性化装置、62 エアーブロー装置、63 インク載置装置、64 インク保持部、65 回転軸、70 印刷物、71 被印刷面、72 被印刷面、73 被印刷面、85 印刷原版ステージ、86 表面処理ステージ、87 印刷ステージ、100 印刷装置、150A 印刷原版、150B 印刷原版、150C 模様、L1 距離、L2 距離、h1 厚さ。
図1
図2
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図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13