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特許7297146SCN5A変異による拡張型心筋症の治療薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用
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  • 特許-SCN5A変異による拡張型心筋症の治療薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】SCN5A変異による拡張型心筋症の治療薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/444 20060101AFI20230616BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A61K31/444
A61P9/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022508833
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2021111105
(87)【国際公開番号】W WO2022116583
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】202011403201.8
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511043323
【氏名又は名称】復旦大学附属中山医院
【氏名又は名称原語表記】ZHONGSHAN HOSPITAL OF FUDAN UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛 均波
(72)【発明者】
【氏名】孫 愛軍
(72)【発明者】
【氏名】胡 静静
(72)【発明者】
【氏名】楊 坤
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-522658(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0202804(US,A1)
【文献】国際公開第2021/250082(WO,A1)
【文献】特表2012-519210(JP,A)
【文献】国際公開第2014/078414(WO,A1)
【文献】Frontiers in Physiology,2018年,Vol.9,Article1372
【文献】Journal of Arrhythmia,2011年,Vol.27, Suppl.,SS3-2
【文献】Canadian Journal of Cardiology,2020年04月,Vol.36, No.4,pp.564-576
【文献】European Heart Jornal,2017年,Vol.38,pp.1413-1425
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 31/00-31/80
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SCN5A変異による拡張型心筋症の治療薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用。
【請求項2】
SCN5A-R225Q変異体による拡張型心筋症の治療薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用。
【請求項3】
SCN5A-R225Q変異体による拡張型心筋症患者の心臓機能及び予後の改善薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用。
【請求項4】
SCN5A-R225Q変異体による拡張型心筋症患者における心室腔の拡大、心筋収縮機能の低下及び予後の改善薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用。
【請求項5】
医薬剤形は、錠剤、粉剤、懸濁剤、カプセル剤、丸剤又はシロップから選択される、
請求項1~のいずれか1項に記載のWnt阻害剤Wnt-C59の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学技術分野に関し、具体的には、SCN5A変異による拡張型心筋症の治療薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
原発性拡張型心筋症(DCM)は、心臓の拡大による不可逆的な心機能低下を指し、集団の有病率は、約40/10万人であり、5年間の死亡率は、50%に達し、特異な治療法は、まだない。遺伝的要因によるDCMは、約20-30%を占めており、例えば、心筋アクチン(actin)遺伝子、ラミン(laminA/C)遺伝子などの細胞構造タンパク質をコードする病原性遺伝子が最初に発見され、細胞のストレス伝達が損なわれるため、心筋損傷や心臓の拡大が引き起こされる。2004年に、McNairは、心臓ナトリウムチャネル遺伝子(SCN5A)変異がDCMに関連していることを初めて提案した。
【0003】
SCN5A遺伝子によってコードされる心臓ナトリウムチャネル機能単位は、4つの相同領域(DI-DIV)からなり、各相同領域は、さらに6つの膜貫通フラグメントS1-S6からなり、S4フラグメントは、正の電荷残基を豊富に含み、チャネルタンパク質の電圧受容体である。興味深いことに、R225Q及びA226Vは、いずれもDI領域のS4フラグメントに位置し、すなわち、2つの同義変異を除いて発見されたSCN5A変異の80%(4/5)は、チャネルの電圧受容体部位に位置する。DCM関連SCN5A変異R814W、T220Iなども当該部位に位置することが過去に報告されている。Struykは、骨格筋ナトリウムチャネル電圧受容体部位の変異がゲーティングポア(gating pore)効果を引き起こすため、異常な水素イオン漏れを引き起こし、また、継続的な漏れは、細胞内pHを妨げることにより、骨格筋の機能障害を引き起こすと報告している。前の研究では、DCM家系の候補遺伝子シークエンシング解析により、一連の新しいSCN5A変異A1180V、R225Q、A226V、I1448N、I94及びY1434が発見され、SCN5Aの一連の変異体がDCMに関連していることが確認されたが、その病原性のメカニズム及び臨床適用は、依然として不明である。これに基づいて、心臓ナトリウムチャネル遺伝子電圧受容体部位の変異は、ユニークな異常電流を引き起こし、細胞内環境の不均衡(例えば、pH、Ca2+バランスの変化など)を引き起こすため、心筋構造の損傷や機能異常を引き起こすという仮説を我々は提唱する。
【0004】
過去の研究では、Wntシグナル伝達経路が心臓血管の発達と心筋肥大を調節する過程において重要な役割を果たしていることが発見された。Wntシグナル伝達経路は、心臓の発達中に特に活発であり、正常な成体哺乳動物の心臓では、Wntシグナルは静止しているが、心臓疾患の過程においてはWntシグナル伝達経路が活性化される。研究では、Wntシグナルが心臓心室再構成、心筋肥大、心不全進展過程に関与することが発見された。関連する研究では、異なる発現mRNAsがWntシグナル伝達経路に顕著に濃縮され、DCMの発生と発達がWntシグナル伝達経路の活性化に関連している可能性があり、この経路への介入がDCMの治療に新しい標的を提供する可能性があることがさらに発見された。これに基づいて、SCN5A-R225Q変異体による拡張型心筋症の過程において、Wntシグナル伝達経路が野生型活性化よりも顕著であり、SCN5A-R225Q変異体による拡張型心筋症の過程においてWntシグナル伝達経路が重要な役割を果たしていることを我々は実証した。本発明では、Wnt阻害剤Wnt-C59がSCN5A変異による拡張型心筋症の治療に用いることができることを初めて提案した。SCN5A変異性拡張型心筋症の治療薬の調製における本発明のWnt阻害剤Wnt-C59の使用については、現時点ではまだ報告されていない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の欠点を考慮して、SCN5A変異による拡張型心筋症の新しい治療薬を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は、以下のとおりである。
【0007】
第1態様において、本発明によれば、SCN5A変異による拡張型心筋症の治療薬の調製におけるWnt阻害剤の使用が提供される。
【0008】
さらに、本発明によれば、SCN5A変異による拡張型心筋症の治療薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用が提供される。
【0009】
第2態様において、本発明によれば、SCN5A-R225Q変異体による拡張型心筋症の治療薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用が提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、SCN5A-R225Q変異体による拡張型心筋症患者の心臓機能及び予後の改善薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用が提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、SCN5A-R225Q変異体による拡張型心筋症患者における心室腔の拡大、心筋収縮機能の低下及び予後の改善薬の調製におけるWnt阻害剤Wnt-C59の使用が提供される。
【0012】
上記の医薬剤形は、いずれも錠剤、粉剤、懸濁剤、カプセル剤、丸剤又はシロップから選択されることが好ましい。
【0013】
当業者は、異なる遺伝子の変異によるDCMの臨床症状及び心電図検査に顕著な個人差を有し、DCMを引き起こす遺伝子は、SCN5Aだけではなく、MYH7、KCNQ1、ABCC9、CLIC2などを有し、患者は、例えば、胸部圧迫感、息切れ、下肢浮腫、運動耐容能の低下、呼吸困難などの心不全の一般的な症状に加えて、房室ブロック、洞性徐脈、洞停止、心室性早期収縮、心室頻拍、完全脚ブロックなどの心電図の変化を起こす可能性があり、症状には、めまい、倦怠感、失神、動悸などがあり、その臨床治療計画も異なることを熟知している。例えば、SCN5Aは、Na+チャネルをコードする遺伝子であるため、心不全の典型的な特徴は、主に不整脈であり、一般的な症状には、動悸、めまい、倦怠感、失神などがある。MYH7は、ミオシンをコードする遺伝子であるため、DCMの典型的な症状は、主に心収縮性の低下であり、臨床症状は、胸部圧迫感、息切れ、呼吸困難、下肢浮腫、活動持久力の低下などである。
【0014】
また、異なる部位の変異によるDCMは、臨床症状、病理学的特徴、治療方法にも大きな違いがあり、具体的には、例えば、胸部圧迫感、息切れ、下肢浮腫、運動耐容能の低下、呼吸困難などの心不全の一般的な症状に加えて、異なる部位の変異は、例えば、房室ブロック、洞性徐脈、洞停止、心室性早期収縮、心室頻拍、完全脚ブロックなどを起こす可能性があり、症状には、めまい、倦怠感、失神、動悸などがあり、その臨床治療計画も異なる。病理学的特徴は、例えば、心臓間質性線維症に基づくDCMの病理学的症状、心筋細胞肥大、炎症性細胞浸潤に基づく病理学的症状など、変異部位によって異なる変化を示す。
【0015】
通常の強心、利尿、血管拡張、心室再構成の改善などの医薬治療に加えて、CRT(心臓再同期療法)は現在、臨床にも広く使用されている。例えば、房室ブロック、洞性徐脈、洞停止などの徐脈性不整脈が患者に現れる場合、患者の症状の重症度に応じて、標準治療に基づいて、一時的なペースメーカー又は永続的なデュアルチャンバ/シングルチャンバペースメーカーの埋め込みを選択する必要がある。例えば、心室性早期収縮、心室頻拍などの頻脈性不整脈が患者に現れる場合、高周波アブレーション又は埋め込みICD(埋込型除細動器)を必要とする。
【0016】
Wnt-C59は、Wntシグナル伝達経路を開始から遮断するWntタンパク質活性化の阻害剤である。腫瘍治療実験では、Wnt-C59は、46種類の腫瘍細胞の増殖に顕著な阻害効果をもたらす可能性がある。本研究では、我々は、老化結合ドキソルビシンによるDCMモデルを用いて、心機能変化、関連シグナル分子の活性化などの指標により、DCMに対するWnt-C59の治療効果を検出し、拡張型心筋症の臨床治療におけるWnt-C59の使用のために理論的基礎を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の利点は、以下のとおりである。
本発明によれば、従来の標準化された治療に基づいて、SCN5A-R225Q変異体による拡張型心筋症がWntシグナル伝達経路に関連していることを初めて発見し、SCN5A遺伝子型検出を切口として、Wnt伝達経路特異的阻害剤Wnt-C59を利用してSCN5A遺伝子変異によるWnt/β-Catenin伝達経路の異常活性化を阻害することにより、SCN5A遺伝子変異による拡張型心筋症患者の心臓機能予後の改善を実現し、拡張型心筋症の臨床治療におけるWnt-C59の使用のために理論的基礎を提供するとともに、DCMの治療のために新しい標的を提供し、患者に新しい治療方法を提供し、臨床に非常にうまく適用することができ、良好な適用の見通しを有することになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】各グループのマウスのLVEF指標の結果であり、結果は、KI+Wnt-C59グループは、Wnt-C59の胃内注入後にマウスの心機能が顕著に改善されたことを示す(*:P<0.05;***:P<0.001)。
図2】各グループのマウスのM-mode画像の結果であり、結果は、KI+Wnt-C59グループは、Wnt-C59の胃内注入後にマウスの心機能が顕著に改善されたことを示す(*:P<0.05;***:P<0.001)。
図3】各グループのマウスのWestern blotの検出結果であり、結果は、KIグループは、WTグループよりもWnt伝達経路が顕著に活性化されたことを示す。
図4】各グループのマウスの心臓サイズであり、結果は、KI+Wnt-C59グループのマウスの心臓がKIグループよりも顕著に小さいことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、具体的な実施形態と併せて、本発明をさらに説明する。なお、これらの実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。また、本発明に記載された内容を読んだ後、当業者は、本発明を種々変更又は修正することができ、これらの等価形態は、本願に添付された特許請求の範囲によって定義される範囲に同様に含まれることを理解すべきである。
【0020】
本研究では、前の臨床DCM患者データに基づき、90例の孤発性DCMに対してSCN5A変異スクリーニングを行った結果、R225Q変異(c.674G>A)率が最も高く(合計3例)、かつ、DCMの発症年齢が高めである(それぞれ77歳、55歳、80歳)ことを発見した。
【0021】
実施例1 動物実験
1方法
1.1実験動物及び動物モデルの準備
SPFグレードのオスC57BL/6マウス(上海傑思捷実験動物有限公司より購入)とSCN5Aヘテロ接合変異マウスを選択し、週齢8-10週間、体重20-25g、d-ガラクトース(500mg/kg.d,sigma G5388)を8週間腹腔内注射し続けて老化モデルを構築する。その後、ドキソルビシン(総量10mg/kg、4回の腹腔内注射、生工A603456)を用いて拡張型心臓モデルを構築した。モデルが確立された後にKIグループとWTグループのマウスの心筋細胞を単離した。実験プログラムは、復旦大学動物管理倫理委員会によって承認された。
【0022】
動物実験では、自然老化モデル、単純ガラクトース老化モデル及び単純ドキソルビシン拡張型心臓モデル、SCN5Aヘテロ接合変異マウス及び野生型マウスの心機能のいずれにも統計的な差がないことが確認された。
【0023】
前の動物研究では、ガラクトース+ドキソルビシン処理後、SCN5Aヘテロ接合変異マウスは、拡張型心臓表現型、すなわち心腔の拡大、左室の薄化、駆出率の低下を示したが、野生型マウスの心機能に変化がないことが発見された。さらにKIグループとWTグループの心筋細胞を単離し、2つのグループの心筋細胞Western blotは、KIグループのWnt伝達経路が顕著に活性化されたことを示した。
【0024】
1.2グループ化する
マウスの超音波を測定した後、WTグループ、KIグループ、KI+Wnt-C59グループの合計3つのグループについて研究した。ドキソルビシンモデルの構築と同時にKI+Wnt-C59グループには、毎日Wnt-C59(1mg/kg.d、MCE HY-15659)を胃内注入し、WTグループとKIグループには、対照グループとして等体積無菌生理食塩水を胃内注入した。各グループのマウスは、いずれも通常の食事と飲料水を与えられ、2週間連続投薬された。各グループのマウスの体重を毎日計量し、記録した。
【0025】
1.3心エコー図によるマウスの心機能の評価
2週間投薬した後に心エコー図を検出し、プローブ周波数は、30MHzである。具体的には、動物をイソフルランで麻酔した後、マウスの心拍数が450~500回/分に維持されたときにM-mode画像を記録した。胸骨横の長軸切断面、心尖部四腔切断面B-Mode画像を収集した。胸骨横の左室短軸を取り、2D超音波で左室短軸切断面を示し、乳頭筋レベルでM型超音波により左心室の運動状況を記録した。機能指標には、左室駆出率(LVEF)が含まれる。各グループのマウスの心臓形態及び機能変化を比較した。すべての測定値は、いずれも連続した5つの心拍周期の平均値であり、3人の経験豊富な技術者によって行われた。
【0026】
1.4心筋細胞におけるWnt伝達経路のWestern blot検出KIグループとWTグループの心筋細胞タンパク質をそれぞれ抽出し、Western blot検出を行った。
【0027】
1.5材料採取
2週間医薬介入した後にマウスを致死させ、心臓を採取し、3つのグループ間の心臓サイズを比較した。
【0028】
2結果
2.1結果は、KIグループのマウスの心機能指標がWTグループよりも顕著に低く、KI+Wnt-C59グループのマウスの心機能が改善されたことを示した。(図1-2を参照)
2.2結果は、KIグループのWnt伝達経路が顕著に活性化されたことを示した。(図3参照)
2.3結果は、KI+Wnt-C59グループのマウスの心臓がKIグループよりも顕著に小さいことを示した。(図4参照)
【0029】
3結論
Wntシグナルは、心臓心室再構成、心筋肥大、心不全進展過程に関与している。Wntシグナル伝達経路の活性化は、DCMの発生と発展に関連している。我々の研究結果に基づき、Wntシグナル伝達経路阻害剤であるWnt-C59は、老化結合ドキソルビシンによるDCMマウスの心機能を顕著に改善し、拡張型心筋症の臨床治療におけるWnt-C59の使用のために理論的基礎を提供すると同時に、DCMの治療のために新しい標的を提供することができる。
【0030】
新しい腫瘍増殖阻害剤として、Wnt-C59は、46種類の腫瘍細胞の増殖に顕著な阻害効果をもたらすだけではなく、ガラクトース老化結合ドキソルビシンによるDCMマウスの心機能を改善することができ、拡張型心筋症の臨床治療におけるWnt-C59の使用のために理論的基礎を提供することができる。Wnt-C59は、例えば、強心、利尿、血管拡張などの従来のDCMの心筋損傷治療に対する重要な補足であり、心筋損傷の進行を遅らせ、患者の生活の質を向上させることができる。
【0031】
上記は、本発明の好適実施形態にすぎず、当業者にとっては、本発明の原理を逸脱することなく、いくつかの改善及び補足を行うことができ、これらの改善及び補足も本発明の保護範囲と見なされるべきであることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4