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特許7297193情報通信体の開封口における剥離力調整手段
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】情報通信体の開封口における剥離力調整手段
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019099766
(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公開番号】P2020185782
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-280660(JP,A)
【文献】特開2019-025887(JP,A)
【文献】特開2019-034538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向の折り線を介して横方向に連接された複数の葉片からなる単位シートを上下に連接した情報通信体シートを、当初縦方向の折り線から折り畳み最終的に横方向の折り線から二つ折りに折り畳み各対向面間を疑似接着した情報通信体の開封口における剥離力調整手段であり、葉片の横幅の相違により開封側の縁辺に沿って生じる少なくとも4葉片からなる段差部分が、最終の2つ折りにより横方向の断面が対的に段差を形成することにより、情報通信体の両最外側の縦方向の縁辺の端面が揃うと共に第一の剥離開封に供される前記最外側の縦方向の何れかの縁辺が近接する他の葉片と形成する段差により加圧処理の圧力が抜け、他の疑似接着した葉片同士の剥離力よりも弱くなることにより剥離開封が容易になることを特徴とした情報通信体の開封口における剥離力調整手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の葉片を折り畳み、剥離可能に一体化した情報通信体の開封口における剥離調整手段に関する。詳しくは意図的に葉片の横幅を変えることにより、折り畳み後に縁辺に沿って生じる段差部分での剥離開封を容易にする、情報通信体の開封口における剥離力調整手段である。
【背景技術】
【0002】
最近圧着ハガキに代表される情報通信体が多用されている。前記圧着ハガキは複数の葉片が剥離可能に折り畳まれたもので、多くの情報を封筒等に封入することなく隠蔽状態で郵送することが可能である。但し使用条件として郵送途上で自然開封することがなく且つ受取人が容易に開封剥離できなければならない。
【0003】
ところで特開2000-71654号公報に重ね合わせシートとその作成方法が開示されている。このものは、対向する重ね合わせ対向面2b、3bそれぞれに、接着面同士を重ね合わせた状態で加圧により剥離可能な接着力を呈する接着部5を設け、少なくとも一方の重ね合わせ対向面3bの所定辺部に、重ね合わせ前に前記接着部5に劣化処理を行って低接着力に調整された弱接着部6を設け、該弱接着部6を介して貼り合わせてなる易開封辺部8を設けたもので、その構成により、コーナーカットや印刷による軽剥離部を用いずに重ね合わせシートの紙片が容易に剥離できるようにし、段差を生じさせることなく外観が整い紙片に掲載する情報の記載範囲を広くするとともに、レイアウトも自由に選択できる重ね合わせシートを得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献】
【文献】特開2000-71654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前記文献の発明では、重ね合わせ対向面3bの折り線部5側を除く三辺部に、この三辺部における接着部5に向けて紫外線を照射してその接着部5の表面側にオゾンを生じさせ、そのオゾンによって接着部5を劣化させて低接着力に調整された弱接着部6を設ける必要があり、そのため大掛かりで高価な装置を必要とする。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑み、特別な大掛かりで高価な装置を必要とせず、郵送途上で自然開封することなく且つ受取人が容易に開封することができる情報通信体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の開封口における剥離力調整手段は、縦方向の折り線を介して横方向に連接された複数の葉片からなる単位シートを上下に連接した情報通信体シートを、当初縦方向の折り線から折り畳み最終的に横方向の折り線から二つ折りに折り畳み各対向面間を疑似接着した情報通信体の開封口における剥離力調整手段であり、葉片の横幅の相違により開封側の縁辺に沿って生じる少なくとも4葉片からなる段差部分が、最終の2つ折りにより横方向の断面が対的に段差を形成することにより、情報通信体の両最外側の縦方向の縁辺の端面が揃うと共に第一の剥離開封に供される前記最外側の縦方向の何れかの縁辺が近接する他の葉片と形成する段差により加圧処理の圧力が抜け、他の疑似接着した葉片同士の剥離力よりも弱くなることにより剥離開封が容易になることを特徴としている。
【0008】
本発明に使用される疑似接着媒体として、例えば疑似接着性のUVニスやエマルジョンタイプの接着剤や粘着剤を使用して印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着被膜を形成する、業界で後糊方式と称されるもの、また天然ゴムや合成ゴムを主剤とした疑似接着性の成分を予め印刷前の用紙に塗工等により含侵させ疑似接着力を付与した、業界で圧着紙と称されるもの、さらに印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のフィルムシートを被覆し或いは予め疑似接着されたフィルムシートを疑似接着予定面間に挟み込みして剥離可能に接着する、業界でフィルム方式と称されるもの等がある。
【0009】
本発明では、横幅の異なる複数の葉片が縦方向の折り線を介して横方向に連接された単位シートが、横方向の折り線に沿って上下に連接された情報通信体用紙縦横に折り畳まれる。折り畳みの順序としては縦方向の折り畳みが先で横方向の折り畳み(二つ折り)は最終段階で実行される。なお前記横方向の折り畳みでは、横方向の折り線を中心として上下の単位シートが対称に折り畳まれ三縁辺がそれぞれ対向した状態となるため縁辺が揃い、一方の単位シートの縁辺が突出することはない。
【0010】
本発明が適用される対象は、四葉片以上の葉片(2葉片以上の単位シートが上下に連接されている)からなる情報通信体用シートを使用したもので、長型、角型封筒を初め、折り畳み後の最終仕上がりサイズがA4サイズやB5サイズを含む、メール便、ゆうメール、冊子小包等が含まれる。また手渡しされるサイズフリーのダイレクトメール等でも構わない。さらに折り態様にも制限はなく、蛇腹折り、巻き折り、観音開き折り或いはそれらの混合折り等様々な態様が採用できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の情報通信体の開封口における剥離力調整手段によれば、一般的な疑似接着媒体を一般的な形成方法で疑似接着予定面に形成し、一般的な一体化手段により特殊な工程を経ることなく、郵送途上等で自然開封することが無く且つ受取人が容易に開封することができる情報通信体を得ることが出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(A)は情報通信体J1の表面図、(B)は裏面図である。
図2】(A)は図1(A)におけるI-I線断面図、(B)はII-II線断面図である。
図3】(A)は情報通信体用紙S1の表面図、(B)は裏面図である。
図4】(A)は情報通信体用紙S1を縦方向の折り線から断面Z字状に折り畳んだ状態の平面図、(B)は(A)におけるIII-III線断面図、(C)はIV-IV線断面図である。
図5】情報通信体J1に加圧或いは加熱・加圧処理を施す際の、加圧或いは加熱・加圧ローラによる圧力の掛かり状態を示す情報通信体J1の断面図及び一体化工程の側面図である。
図6】(A)は情報通信体J2の表面図、(B)は裏面図である。
図7】(A)は図6(A)におけるV-V線断面図、(B)はVI-VI線断面図である。
図8】(A)は情報通信体用紙S2の表面図、(B)は裏面図である。
図9】(A)は情報通信体用紙S2を中央の縦方向の折り線20から二つ折りし、さらに縦方向の折り線から二つ折り(DM折り)した状態の平面図、(B)は(A)におけるVII-VII線断面図、(C)はVIII-VIII線断面図である。
図10】情報通信体J2に加圧或いは加熱・加圧処理を施す際の、加圧或いは加熱・加圧ローラによる圧力の掛かり状態を示す情報通信体J2の断面図及び一体化工程の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を、図面に沿って分かりやすく説明する。
[実施例1:情報通信体J1]
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示す本実施例の情報通信体J1をその製造順序に従って説明する。図3(A)及び(B)に示す情報通信体用紙S1は折り線7及び8(折りミシンが形成されている)を介して横方向に連接された第一葉片1、第二葉片2及び第三葉片3からなる単位シートt1と、同様に折り線7及び8を介して横方向に連接された第四葉片4、第五葉片5及び第六葉片6からなる単位シートt2が、第一葉片1と第四葉片4、第二葉片2と第五葉片5及び第三葉片3と第六葉片6が横方向の折り線9(折りミシンが形成されている)を介して対向するように上下に連接されている。
【0014】
そして情報通信体用紙S1表面は図3(A)に示すように、第一葉片1と第四葉片4の全面及び第二葉片2と第五葉片5の略全面が疑似接着フィルムシートGにより被覆され、また裏面は図3(B)に示すように6葉片の全面が疑似接着フィルムシートGに被覆されている。
【0015】
既述の構成の情報通信体用紙S1は例えば連続用紙或いは枚葉用紙に印刷され連続的に繰り出され(繰り出し工程)、公知のラミネータ等のフィルムシートの被覆装置により、前記各疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆される(被覆工程)。そして図4(A)、(B)及び(C)に示すように、折り線7及び8から断面Z字状に折り畳まれた(第一の折り畳み工程)後に情報通信体用紙S1に切り出される(切り出し工程)。なお前記切り出しと折り畳みの順序に制限はなく切り出された後に折り畳まれても構わず、さらに折り畳みや切り出し等の各工程が一か所で済まされずに複数個所で段階的に行われ最終的に図4に示す状態になっても構わない。これについては以下の実施例においても同様である。
【0016】
図4の状態に折り畳まれた情報通信体用紙S1は、次に横方向の折り線9から第一葉片1及び第四葉片4に被覆されている疑似接着フィルムシートG同士が対向するように二つ折りに折り畳まれ(第二の折り畳み工程)、図2(A)及び(B)に示す断面図の状態となる。なおこの時点では対向する疑似接着フィルムシートG同士は接着していない。
【0017】
前記状態に折り畳まれ切り出された情報通信体用紙S1は次に加圧ローラ或いはヒートローラやヒータパネルと加圧ローラの組み合わせからなる加圧、加熱・加圧処理装置に掛けられることにより、前記未接着状態の疑似接着フィルムシートG同士が剥離可能に接着して全体として一体化される(一体化工程)のである。
【0018】
なお前記加圧、加熱・加圧処理装置のヒートローラや加圧ローラ等の各種ローラR間を、情報通信体用紙S1は図5に示す状態で通過する。そのため突出している第一葉片1及び第四葉片4の左側縁辺及び折り線7部分の右側縁辺には、段差により圧力が十分掛かることがなく、他の疑似接着フィルムシートG同士の対向面間と比較して処理後の剥離力が低剥離力となる。
【0019】
この情報通信体J1の受取人は、既述の突出して十分に接着していない第一葉片1及び第四葉片4の左側縁辺部から、両葉片を図4(A)に示す状態に引き剥がして展開することができる。そしてその後図4(B)及び(C)に示すように、両側端に形成されている段差を剥離の端緒として各葉片を引き剥がし、最終的に図3(A)及び(B)に示すように平面に展開し疑似接着フィルムシートGを透して内部の情報を確認することができるのである。
【0020】
前記では最初の開封開始を第一葉片1及び第四葉片4の左側縁辺から行っているが、折り線7側の右側縁辺から開始しても構わない。何れにして最初の開封後情報通信体J1は図4の状態に展開される。なお、前記突出した低剥離力の左右の側端部は端面が揃っているため、仮に低剥離力であったとしても剥離の切っ掛けとなる段差等がないため、容易に自然剥離することはない。
【0021】
[実施例2:情報通信体J2]
図6(A)、(B)及び図7(A)、(B)に示す本実施例の情報通信体J2をその製造順序に従って説明する。図8(A)及び(B)に示す情報通信体用紙S2は折り線19、20及び21(折りミシンが形成されている)を介して横方向に連接された第一葉片11、第二葉片12、第三葉片13及び第四葉片14からなる単位シートt3と、同様に折り線19、20及び21介して横方向に連接された第五葉片15、第六葉片16第七葉片17及び第八葉片18からなる単位シートt4が、第一葉片11と第五葉片15、第二葉片12と第六葉片16、第三葉片13と第七葉片17及び第四葉片14と第八葉片18が横方向の折り線22(折りミシンが形成されている)を介して対向するように上下に連接されている。
【0022】
そして情報通信体用紙S2表面は図8(A)に示すように、第一葉片11と第五葉片15及び第三葉片13と第七葉片17の略全面及び第四葉片14と第八葉片18の全面が疑似接着フィルムシートGにより被覆され、また裏面は図8(B)に示すように8葉片の全面が疑似接着フィルムシートGに被覆されている。
【0023】
既述の構成の情報通信体用紙S2は例えば連続用紙或いは枚葉用紙に印刷され、公知のラミネータ等のフィルムシートの被覆装置により順次繰り出され(繰り出し工程)、前記各疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆される(被覆工程)。そして縦方向の折り線20から大きく二つに折り畳んだ後に、さらに縦方向の折り線19及び20(前記の折り畳みで重なり合っている)から二つ折りすることにより図9(A)、(B)及び(C)の状態に仕上げられる(第一の折り畳み工程)。そして第一の折り畳み工程で折り畳まれた情報通信体用紙S2は、次に個別の情報通信体用紙S2に切り出される(切り出し工程)。
【0024】
図9の状態に折り畳まれた情報通信体用紙S2は、次に横方向の折り線22から第一葉片11及び第五葉片15に被覆されている疑似接着フィルムシートG同士が対向するように二つ折りに折り畳まれ(第二の折り畳み工程)、図7(A)及び(B)に示す断面図の状態となる。なおこの時点では対向する疑似接着フィルムシートG同士は接着していない。
【0025】
前記状態に折り畳まれた情報通信体用紙S2は次に加圧ローラ或いはヒートローラやヒータパネルと加圧ローラの組み合わせからなる加圧、加熱・加圧処理装置に掛けられることにより、前記未接着状態の疑似接着フィルムシートG同士が剥離可能に接着して全体として一体化される(一体化工程)のである。
【0026】
なお前記加圧、加熱・加圧処理装置のヒートローラや加圧ローラ等の各種ローラR間を、情報通信体用紙S2は図10に示す状態で通過する。そのため突出している第一葉片11と第五葉片15及び第四葉片14と第八葉片18の右側縁辺には、段差により圧力が十分掛かることがなく、他の疑似接着フィルムシートG同士の対向面間と比較して処理後の剥離力が低剥離力となる。
【0027】
この情報通信体J2の受取人は、既述の突出して十分に接着していない第一葉片11及び第五葉片15の端部から、両葉片を図9(A)に示す状態に引き剥がして展開することができる。そしてその後図9(B)及び(C)に示すように、右側端に形成されている段差(この部分も十分に接着しておらず容易に剥離することができる)を剥離の端緒として各葉片を引き剥がし、最終的に図8(A)及び(B)に示すように平面に展開し疑似接着フィルムシートGを透して内部の情報を確認することができるのである。
【0028】
なお、前記一番突出している第一葉片11と第五葉片15の低剥離力の左右の側端部は端面が揃っているため、仮に低剥離力であったとしても剥離の切っ掛けとなる段差等がないため、容易に自然剥離することはない。また段差を形成する第一葉片11と第四葉片14び第五葉片15と第八葉片18は仮に自然開封したとしても折り線19及び21の下側縁辺が袋状に閉じているため開封が阻止される。
【0029】
なお、本発明は、上記実施例に限られるものではない。
例えば、葉片の数は前記実施例にある6葉片や8葉片に限らず他の4、10、12等の偶数葉片であっても構わない。
また葉片サイズにも限りはなく折り畳みの形態に関しても同様である。
さらに本実施例では縦方向の折り線及び横方向の折り線に折りミシンを形成しているが、他の折り手段(例えば折り筋等)に代えても良く、何も形成せずに折り畳み装置により強制的に折り畳んでも構わない。
さらにまた、本発明の製造方法では、各種工程がインラインの一貫したシステムで製造されても構わず、被覆工程、切り出し工程、折り畳み工程、一体化工程等の各工程が独立したオフラインの状態で行われても構わない。
なお前記各工程は一度で完了する必要はなく、例えば各工程の随所で段階的に切り出すと共に段階的に折り畳み最終的に一体化しても良く、一体化した後に残っている余白部分を後から切除する等臨機応変に対応すればよい。
【符号の説明】
【0030】
J1、J2 情報通信体
S1、S2 情報通信体用紙
G 疑似接着フィルムシート
t1、t2、t3、t4 単位シート
R ローラ
1、2、3、4、5、6、11、12、13、14、15、16、17、18 葉片
7、8、9、19、20、21、22 折り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10