IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社明工の特許一覧

特許7297252枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具
<>
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図1
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図2
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図3
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図4
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図5
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図6
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図7
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図8
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図9
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図10
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図11
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図12
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図13
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図14
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図15
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図16
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図17
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図18
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図19
  • 特許-枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/98 20060101AFI20230619BHJP
   E06B 3/984 20060101ALI20230619BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20230619BHJP
   F16B 12/20 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
E06B3/98 B
E06B3/984 B
F16B5/02 J
F16B12/20 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019165413
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021042586
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000155207
【氏名又は名称】株式会社明工
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】西松 義樹
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-12576(JP,A)
【文献】特開2009-121619(JP,A)
【文献】特開2015-227530(JP,A)
【文献】実開昭55-35217(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/98
E06B 3/984
F16B 5/02
F16B 12/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側枠材と、これと直交する状態で接合される他方側枠材とを金具によって連結するための枠材の連結構造であって、
前記一方側枠材は木口面から部材長手方向に沿って穿設された連結軸用下孔と、この連結軸用下孔の中間位置に、該連結軸用下孔と直交する方向に連通するとともに、一端が外部に臨む金具設置孔とを有し、前記他方側枠材は外側面から厚み方向に貫通する連結軸挿入孔を有し、
前記他方側枠材の連結軸挿入孔と前記一方側枠材の連結軸用下孔とを直線上に一致させた状態で、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具が前記金具設置孔に設置され、頭部と軸部とを有し前記軸部に所定径の係合側軸部を有するとともに、この係合側軸部の頭部側に隣接して軸径を小径とした細径部を有する連結軸が前記他方側枠材の連結軸挿入孔から挿入され、軸部が前記一方側枠材の連結軸用下孔に挿入された状態で、前記連結軸の細径部に前記連結受具の係合溝が係合することにより前記一方側枠材と他方側枠材とが連結されていることを特徴とする枠材の連結構造。
【請求項2】
一方側枠材と、これと直交する状態で接合される他方側枠材とを金具によって連結するための枠材の連結構造であって、
前記一方側枠材は木口面から部材長手方向に沿って穿設された連結軸用下孔と、この連結軸用下孔の中間位置に、該連結軸用下孔と直交する方向に連通するとともに、一端が外部に臨む金具設置孔とを有し、前記他方側枠材は内側面から厚み方向に沿って連結軸設置孔を有し、
前記他方側枠材の連結軸挿入孔と前記一方側枠材の連結軸用下孔とを直線上に一致させた状態で、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具が前記金具設置孔に設置され、頭部と軸部とを有し前記軸部に所定径の係合側軸部を有するとともに、この係合側軸部の頭部側に隣接して軸径を小径とした細径部を有し、かつ前記頭部の反対側にネジ部を有する連結軸が前記ネジ部を前記他方側枠材の連結軸設置孔に螺入されるとともに、前記軸部が前記連結軸用下孔に挿入された状態で、前記連結軸の細径部に前記連結受具の係合溝が係合することにより前記一方側枠材と他方側枠材とが連結されていることを特徴とする枠材の連結構造。
【請求項3】
請求項1、2いずれかに記載の枠材の連結構造の連結方法であって、
前記他方側枠材と前記一方側枠材とを直交させるとともに、前記他方側枠材の連結軸挿入孔又は連結軸設置孔と、前記一方側枠材の連結軸用下孔とを直線上に一致させた状態とし、少なくとも軸部を前記一方側枠材の連結軸用下孔に挿入した状態で連結軸を設置する第1手順と、
前記一方側枠材の金具設置孔に、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具を打ち込んで、前記連結軸の細径部に前記連結受具の係合溝を係合させることにより前記一方側枠材と他方側枠材との連結を図る第2手順とからなることを特徴とする枠材の連結方法。
【請求項4】
前記連結受具の略逆U字形状の係合溝において、該係合溝の端部に傾斜面部分を有し、前記連結軸の細径部が前記傾斜面部分に対応していることにより前記連結受具の打込みによって前記連結軸が挿入方向に引き込まれるようになっている請求項3記載の枠材の連結方法。
【請求項5】
頭部と軸部とからなり前記軸部の中間部に所定径の係合側軸部を有するとともに、この係合側軸部の頭部側に隣接して軸径を小径とした細径部を有する連結金具と、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具とを一組とする請求項1記載の枠材の連結構造のための連結金具。
【請求項6】
頭部と軸部とを有し前記軸部に所定径の係合側軸部を有するとともに、この係合側軸部の頭部側に隣接して軸径を小径とした細径部を有し、かつ前記頭部の反対側にネジ部を有する連結軸と、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具とを一組とする請求項2記載の枠材の連結構造のための連結金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠材同士(例えば、縦枠と横枠)を直交する状態で連結するための枠材の連結構造及び連結方法並びにそのための連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅やマンションなどの建設では、障子や扉などを建て込むための開口枠を構築するために、縦枠と横枠とを直交状態で連結する作業が頻繁に発生する。従来は、縦枠の側面から縦枠の内側面に当接させた横枠の木口へ釘或いはビスを螺入させることによって縦枠と横枠との連結を行っていたが、この方法の場合は、横枠の木口部に割れを生じさせたり、釘やビスが斜めに螺入されると横枠の面から釘やビスが飛び出したりするなどの問題があった。そこで、近年はこれらの不具合を生じさせることなく、省力的に枠材同士を連結するための構造が幾つか提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、一方の枠部材の端面を他方の枠部材の内側面に当接させ、これら両枠部材を直交状態に結合して得られる枠結合構造において、一方の枠部材は、その端面から該枠部材の長手方向に延長するように穿設された第1穴と、この第1穴と略垂直に交わって該枠部材の外側面で開口する略円柱形の第2穴とを有し、他方の枠部材は、その外側面から内側面に貫通する貫通孔を有しており、一方の枠部材の第2穴には丸ナット受具が回転自在に挿入され、該丸ナット受具は、側面を貫通するボルト挿入孔を有する円柱状部材と、この円柱状部材のボルト挿入孔と略同心である雌ネジを備えた板状ナット部材とを有してなり、丸ナット受具が一方の枠部材の第2穴に挿入された状態において一方の枠部材の第1穴と他方の枠部材の貫通孔とを整列させた状態にしてボルト状結合具が挿入され、且つ、該ボルト状結合具の雄ネジが丸ナット受具の板状ナット部材の雌ネジに螺合することにより枠部材同士が結合される枠結合構造が提案されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、 ネジ受け具Aと、直角に結合すべき2枚の板部材B並びにCと、長寸のネジDとからなり、ネジ受け具Aは円柱状の軸部と、該軸部の上端に一体形成された大径の異径頭部とを備え、前記軸部に、軸芯に対して直交する方向に貫通され且つ前記ネジDと螺合するネジ孔が設けられており、前記板部材の何れか一方の板部材Bの表面に、板部材Bの側端面に沿って平行方向若しくは直交方向に延びる浅い溝が設けられ、該溝の所望の箇所に板部材Bの厚み方向に延びる受け具挿入穴が設けられ、板部材Bの側端面から受け具挿入穴に直角に連通するネジ受け穴が設けられており、他方の板部材Cには板部材Cの外面から前記ネジ受け穴に連通するネジ挿通穴が貫通されており、更に、前記溝の巾がネジ受け具Aの異径頭部の小径部分の直径より大きく、大径部分の直径より小さく形成されており、ネジ受け具Aの軸部を受け具挿入孔に挿入して異径頭部が溝内に嵌ったときに、ネジ孔の軸芯とネジ受け孔の軸芯とが一致するように予めネジ孔の位置が設定されている板材連結装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-88648号公報
【文献】特開2009-121619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1、2に係る連結構造は、基本的に同様であり、代表的に特許文献1の例で説明すると、一方の枠部材の第2穴に丸ナット受具を挿入した後で、一方の枠部材の第1穴と他方の枠部材の貫通孔とを整列させた状態にしてボルト状結合具を他方の枠材の貫通孔から挿入し、ボルト状結合具の雄ネジを前記丸ナット受具の板状ナット部材の雌ネジに螺合することにより枠部材同士を連結する構造としているものであり、従来のような方法と対比すると、少ない時間と手間で確実に枠材同士を連結できるようになる。
【0007】
しかしながら、このような構造の場合でも、ボルト状結合具を板状ナット部材の雌ネジに螺合させるためにボルト状結合具をネジ回しなどによって回転させる作業が各連結箇所毎に必要とされるため、更なる省力化が可能な枠連結構造が望まれていた。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、縦枠と横枠とを直交する状態で連結するための枠材の連結構造及び連結方法等であって、両部材を締結するための作業の更なる省力化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、一方側枠材と、これと直交する状態で接合される他方側枠材とを金具によって連結するための枠材の連結構造であって、
前記一方側枠材は木口面から部材長手方向に沿って穿設された連結軸用下孔と、この連結軸用下孔の中間位置に、該連結軸用下孔と直交する方向に連通するとともに、一端が外部に臨む金具設置孔とを有し、前記他方側枠材は外側面から厚み方向に貫通する連結軸挿入孔を有し、
前記他方側枠材の連結軸挿入孔と前記一方側枠材の連結軸用下孔とを直線上に一致させた状態で、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具が前記金具設置孔に設置され、頭部と軸部とを有し前記軸部に所定径の係合側軸部を有するとともに、この係合側軸部の頭部側に隣接して軸径を小径とした細径部を有する連結軸が前記他方側枠材の連結軸挿入孔から挿入され、軸部が前記一方側枠材の連結軸用下孔に挿入された状態で、前記連結軸の細径部に前記連結受具の係合溝が係合することにより前記一方側枠材と他方側枠材とが連結されていることを特徴とする枠材の連結構造が提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明では、予め、一方側枠材には木口面から部材長手方向に沿って穿設された連結軸用下孔と、この連結軸用下孔の中間位置に、該連結軸用下孔と直交する方向に連通するとともに、一端が外部に臨む金具設置孔とを形成しておき、前記他方側枠材には外側面から厚み方向に貫通する連結軸挿入孔を形成しておく。そして、前記他方側枠材の連結軸挿入孔と前記一方側枠材の連結軸用下孔とを直線上に一致させた状態で、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具が前記金具設置孔に設置され、頭部と軸部とからなり前記軸部に所定径の係合側軸部を有するとともに、この係合側軸部の頭部側に隣接して軸径を小径とした細径部を有する連結軸が前記他方側枠材の連結軸挿入孔から挿入され、前記連結軸の細径部に前記連結受具の係合溝が係合することにより前記一方側枠材と他方側枠材とが連結されているものである。
【0011】
本発明では、他方側枠材の連結軸挿入孔から挿入した連結軸の細径部に前記連結受具の係合溝が係合することにより前記一方側枠材と他方側枠材とが連結されているものである。つまり、従来のようにビスのネジ部がネジ受具に対してネジ回しによって回されて螺入されるのでなく、後段の請求項3記載の連結方法において説明されるように、連結受具を打ち込んで連結軸に設けた細径部に連結受具の係合溝が係合することにより止着されているものである。従って、両部材を締結するための作業が従来よりも更に省力化される。
【0012】
請求項2に係る本発明として、一方側枠材と、これと直交する状態で接合される他方側枠材とを金具によって連結するための枠材の連結構造であって、
前記一方側枠材は木口面から部材長手方向に沿って穿設された連結軸用下孔と、この連結軸用下孔の中間位置に、該連結軸用下孔と直交する方向に連通するとともに、一端が外部に臨む金具設置孔とを有し、前記他方側枠材は内側面から厚み方向に沿って連結軸設置孔を有し、
前記他方側枠材の連結軸挿入孔と前記一方側枠材の連結軸用下孔とを直線上に一致させた状態で、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具が前記金具設置孔に設置され、頭部と軸部とを有し前記軸部に所定径の係合側軸部を有するとともに、この係合側軸部の頭部側に隣接して軸径を小径とした細径部を有し、かつ前記頭部の反対側にネジ部を有する連結軸が前記ネジ部を前記他方側枠材の連結軸設置孔に螺入されるとともに、前記軸部が前記連結軸用下孔に挿入された状態で、前記連結軸の細径部に前記連結受具の係合溝が係合することにより前記一方側枠材と他方側枠材とが連結されていることを特徴とする枠材の連結構造が提供される。
【0013】
上記請求項2記載の発明は、連結軸の変形例を示したものである。変更点は、前記他方側枠材は内側面から厚み方向に沿って連結軸設置孔を有するようにした点と、前記連結軸は頭部の反対側にネジ部を有するようにした点である。
【0014】
そして、前記連結軸のネジ部を前記他方側枠材の連結軸設置孔に螺入するとともに、前記軸部を前記連結軸用下孔に挿入した状態で、前記連結軸の細径部に前記連結受具の係合溝が係合することにより前記一方側枠材と他方側枠材とが連結されている。
【0015】
請求項3に係る本発明として、請求項1、2いずれかに記載の枠材の連結構造の連結方法であって、
前記他方側枠材と前記一方側枠材とを直交させるとともに、前記他方側枠材の連結軸挿入孔又は連結軸設置孔と、前記一方側枠材の連結軸用下孔とを直線上に一致させた状態とし、少なくとも軸部を前記一方側枠材の連結軸用下孔に挿入した状態で連結軸を設置する第1手順と、
前記一方側枠材の金具設置孔に、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具を打ち込んで、前記連結軸の細径部に前記連結受具の係合溝を係合させることにより前記一方側枠材と他方側枠材との連結を図る第2手順とからなることを特徴とする枠材の連結方法が提供される。
【0016】
上記請求項3記載の発明では、先ず最初に、前記他方側枠材と前記一方側枠材とを直交させるとともに、前記他方側枠材の連結軸挿入孔又は連結軸設置孔と、前記一方側枠材の連結軸用下孔とを直線上に一致させた状態とし、少なくとも軸部を前記一方側枠材の連結軸用下孔に挿入した状態で連結軸を設置する(第1手順)。
【0017】
次に、一方側枠材の金具設置孔に、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具を打ち込んで、前記連結軸の中間部に設けた細径部に前記連結受具の係合溝を係合させることにより、一方側枠材と他方側枠材とを強固に連結するものである(第2手順)。
【0018】
本方法の場合は、前記第2手順では連結受具をハンマーなどにより打ち込むだけで一方側枠材と他方側枠材との連結を行えるため、従来よりも更なる省力化を図ることが可能となっている。
【0019】
請求項4に係る本発明として、前記連結受具の略逆U字形状の係合溝において、該係合溝の端部に傾斜面部分を有し、前記連結軸の細径部が前記傾斜面部分に対応していることにより前記連結受具の打込みによって前記連結軸が挿入方向に引き込まれるようになっている請求項3記載の枠材の連結方法が提供される。
【0020】
上記請求項4記載の発明は、連結軸と連結金具との好ましい態様を示したものである。すなわち、前記連結受具の略逆U字形状の係合溝において、該係合溝の端部に傾斜面部分を有するようにする。そして、前記連結軸の細径部が前記傾斜面部分に対応していることにより前記連結受具を打込んだ際に、前記連結軸の細径部は前記傾斜面部分を滑って移動しようとする。この移動によって前記連結軸が挿入方向に引き込まれるようになっている。従って、前記一方側枠材と他方側枠材とが緩むことなくしっかりと連結されるようになる。
【0021】
請求項5に係る本発明として、頭部と軸部とからなり前記軸部の中間部に所定径の係合側軸部を有するとともに、この係合側軸部の頭部側に隣接して軸径を小径とした細径部を有する連結金具と、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具とを一組とする請求項1記載の枠材の連結構造のための連結金具が提供される。
【0022】
請求項6に係る本発明として、頭部と軸部とを有し前記軸部に所定径の係合側軸部を有するとともに、この係合側軸部の頭部側に隣接して軸径を小径とした細径部を有し、かつ前記頭部の反対側にネジ部を有する連結軸と、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝を有する連結受具とを一組とする請求項2記載の枠材の連結構造のための連結金具が提供される。
【発明の効果】
【0023】
以上詳説のとおり本発明によれば、縦枠と横枠とを直交する状態で連結するための枠材の連結構造及び連結方法等であって、両部材を締結するための作業の更なる省力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】横枠2と縦枠3とを連結した状態を示す要部斜視図である。
図2】その分解斜視図である。
図3】その要部拡大縦断面図である。
図4】連結受具4の斜視図である。
図5】連結受具4を示す、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
図6】連結軸5の側面図である。
図7】連結軸5と連結受具4との止着状態を示す、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
図8】連結軸5の引き込みを説明するための図である。
図9】横枠2と縦枠3との連結手順(その1)である。
図10】横枠2と縦枠3との連結手順(その2)である。
図11】横枠2と縦枠3との連結手順(その3)である。
図12】連結軸5の変形例を示す側面図である。
図13】第1形態例における連結軸5の変形例(その1)を示す斜視図である。
図14】第1形態例における連結軸5の変形例(その2)を示す、(A)は側面図、(B)は右側面図である。
図15】連結軸5の変形例(その2)による連結要領を示す断面図である。
図16】第2形態例に係る連結軸6を示す、(A)は側面図、(B)は左側面図である。
図17】横枠2と縦枠3との連結手順(その1)である。
図18】横枠2と縦枠3との連結手順(その2)である。
図19】横枠2と縦枠3との連結手順(その3)である。
図20】横枠2と縦枠3との連結手順(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0026】
〔第1形態例〕
本発明に係る枠材の連結構造1は、縦枠3及び横枠2の内の一方側枠材と、これと直交状態で連結される縦枠3及び横枠2の内の他方側枠材とを連結金具4、5によって連結するものである。具体的には、図1図3に示されるように、一方側枠材、図示例では横枠2は木口面から部材長手方向に沿って穿設された連結軸用下孔2aと、この連結軸用下孔2aの中間位置に直交状態で連通するとともに、一端が外部に臨む金具設置孔2bとを有する。一方の他方側枠材、図示例では縦枠3は外側面から厚み方向に貫通する連結軸挿入孔3aを有する。
【0027】
そして、図3に示されるように、前記縦枠3の連結軸挿入孔3aと前記横枠2の連結軸用下孔2aとを直線上に一致させた状態で、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝4aを有する連結受具4が前記金具設置孔2bに挿入設置され、頭部5aと軸部5bとを有し前記軸部5bに所定径の係合側軸部5eを有するとともに、この係合側軸部5eの頭部5a側に隣接して軸径を小径とした細径部5cを有する連結軸5が前記縦枠3の連結軸挿入孔3aから挿入され、軸部5bが前記横枠2の連結軸用下孔2aに挿入された状態で、前記連結軸5の細径部5cに前記連結受具4の係合溝4aが係合することにより前記横枠2と縦枠3とが連結されているものである。
【0028】
以下、更に具体的に詳述する。
【0029】
図1に示されるように、本発明に係る枠材の連結構造は、縦枠3及び横枠2の内の一方側枠材と、これと直交状態で連結される縦枠3及び横枠2の内の他方側枠材とを連結金具4、5によって連結するものである。図示例は、一方側枠材を横枠2とし、他方側枠材を縦枠3とし、横枠2の木口面を縦枠3の上端内側面に当接させた状態で、両枠材2、3を直交状態で連結する例について示している。なお、図13に示されるように、一方側枠材を縦枠3とし、他方側枠材を横枠2とし、縦枠3の木口面を横枠2の端部内側面に当接させた状態で、両枠材2、3を直交状態で連結する場合も全く同様に行うことが可能である。
【0030】
前記横枠2に対しては予め、図3に示されるように、木口面から部材長手方向に沿って連結軸用下孔2aが穿設されている。この連結軸用下孔2aの数は、連結軸の本数分だけ横方向に間隔をおいて設けられる。通常は列数は1列であるが、横枠の厚みが厚い場合は、2列で配置することも可能である。連結軸用下孔2aの径は、連結軸5を押し込んだ際に比較的に簡単に押し込める程度の径、すなわち、連結軸5の最大直径φ1と同程度の径か、これよりも僅かに小さな径で形成することが望ましい。
【0031】
また、前記連結軸用下孔2aの中間位置に、具体的には、連結軸5の先端側寄りとなる位置に前記連結軸用下孔2aと直交する方向に連通するとともに、一端が外部に臨む金具設置孔2bを形成する。図示例では、前記金具設置孔2bは平面視で円形としているが、四角形や六角形などの角型であってもよい。
【0032】
一方、前記縦枠3に対しては予め、横枠2の木口面を接合する位置に、外側面から厚み方向に貫通する連結軸挿入孔3aを形成する。図示例では、連結軸5の頭部5aを嵌入させて隠すために、連結軸挿入孔3aの入口部分は相対的に大径に形成された頭部嵌入孔3bとなっている。この連結軸挿入孔3aは前記横枠2の連結軸用下孔2aに対して1:1の関係で対応して形成される。また、連結軸挿入孔3aの径は、前記連結軸用下孔2aを同径とされる。
【0033】
前記横枠2の金具設置孔2bには、連結受具4が嵌入設置される。前記連結受具4は、詳細には図4及び図5に示されるように、下側に、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝4aを有する円柱形状の部材である。連結受具4の外径D1は前記金具設置孔2bの径と同じか、これよりも約0.1~0.5mm程度僅かに大きな寸法とされ、嵌入させた際に摩擦によって容易に脱落しないようにすることが望ましい。また、図5(B)に示されるように、高さ方向中間点よりも下側をほんの僅かだけ小径とすることにより、嵌入し易いようにすることが望ましい。なお、前記係合溝4aの正面形状に関して、下向きにコ字状であったり(天井面が弧状ではなく平面)、或いは係合溝4aの両側面が平面ではない場合でも、全体として下向きに開口する形状であれば、「略逆U字形状」の概念に含まれるものとする。前記連結受具4の素材は、樹脂またはアルミ合金などの比較的軟らかい金属素材とすることが望ましい。樹脂とする場合は、靭性に富み、割れにくい素材を選択することが望ましい。
【0034】
前記係合溝4aの幅Sは、連結軸5の細径部5cの最も細い部分と同程度か僅かに狭い程度とし、前記連結軸5の細径部4cに係合することにより連結軸5が連結受具4によって止着される。また、図4及び図5に示されるように、前記係合溝4aの入口側端部及び出口側端部にはそれぞれ面取り状に傾斜面部分4b、4bを有することが望ましい。この傾斜面部分4bは、後述するように、連結軸5を挿入方向に引き込むためのものである。
【0035】
一方、連結軸5は、図6に示されるように、頭部5aと軸部5bとを有し、前記軸部5bの先端に所定径φ1の係合側軸部5eを有する。そして、この係合側軸部5eの頭部5a側に隣接して軸径φ1よりも小径とした細径部5cを有する。前記細径部5cの最も小さい直径φ2は、前記連結受具4の係合溝4aの幅Sと同程度か僅かに大きい程度とされ、前記細径部5cに前記連結受具4の係合溝4aが係合して両者を止着する。
【0036】
本発明構造では、前記連結軸5の細径部5cの連結受具4の係合溝4aに対する止着は、最初に連結軸5が連結軸挿入孔3aから挿入設置され、軸部5bが前記横枠2の連結軸用下孔2aに挿入された状態で、連結受具4が金具設置孔2bに打ち込まれることによって連結軸5の細径部5cに連結受具4の係合溝が係合するだけで止着が行われるものであり、その後のネジ回し作業を無くすことができるようになるため一層の省力化が図れるようになっているものである。
【0037】
前記連結受具4の打ち込んで金具設置孔2bに嵌入させる際に、前記連結受具4の係合溝4aにおいて、該係合溝4aの端部に傾斜面部分4bを有する一方、前記連結軸5の細径部5cの係合側軸部5e側の端部に傾斜状段差部5dを有し、この傾斜状段差部5dが前記連結受具4の傾斜面部分4bに対応していることにより、図7に示されるように、前記連結受具4の打込みによって前記連結軸5が挿入方向に引き込まれるようになっている。以下、この点について図8に基づいて詳述する。
【0038】
図8(A)に示されるように、前記連結受具4の係合溝4aの入口側端部及び出口側端部にはそれぞれ面取り状に傾斜面部分4b、4bを有する。一方、前記連結軸5の細径部5cの先端側端部は傾斜状段差部5dとなっている。この傾斜状段差部5dが前記連結軸5の引き込みに関与する。
【0039】
図8(A)に示されるように、連結受具4の係合溝4aの傾斜面部分4bに、前記連結軸5の細径部5cの傾斜段差部5dが対応している(重なっている)ことによって、連結受具4を打ち込んで金具設置孔2bに強引に嵌入させると、連結受具4の傾斜面部分4bと連結軸の傾斜状段差部5dとが重なりを回避する側に移動しようとする。連結受具4は金具設置孔2bに嵌入されているため位置が不動となるため、連結軸5が移動しようとする。連結軸5の移動は、連結受具4の傾斜面部分4bと連結軸5の傾斜状段差部5dとが重なりを回避する側、すなわち連結軸5の挿入側方向となり、図8(B)に示されるように、連結受具4の嵌入によって連結軸5が挿入方向に引き込まれるようになっている。
【0040】
〔枠材の連結方法〕
次に、図9図11に基づいて、上記枠材の連結方法(手順)について説明する。
【0041】
(第1手順)
先ず、図9に示されるように、前記縦枠3と前記横枠2とを直交させるとともに、前記縦枠3の連結軸挿入孔3aと前記横枠2の連結軸用下孔2aとを直線上に一致させた状態とし、前記縦枠3の連結軸挿入孔3aから連結軸5を挿入する。連結軸5は、しっかりと押し込んで、その全長を連結軸挿入孔3aと連結軸用下孔2aに挿入した状態とする。連結軸5の挿入を完了した状態が図10の状態である。
【0042】
(第2手順)
次に、図10に示されるように、前記横枠2の金具設置孔2bに、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝4aを有する連結受具4をハンマーなどによって打ち込んで、前記連結軸5の細径部5cに前記連結受具4の係合溝4aを嵌入させて止着する。この際、連結受具4の係合溝4aの傾斜面部分4bに、前記連結軸5の細径部5cの傾斜状段差部5dが対応している(重なっている)ことによって、連結軸5が挿入側方向に引き込まれるようにすることで連結軸5に対して軸力(引張力)が付与されるため、横枠2と縦枠3とがしっかりと連結されるようになる。図11が連結を完了した状態を示す斜視図である。
【0043】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、前記連結軸5の細径部5cにおいて、先端側端部に傾斜状段差部5dが形成されているが、図12に示されるように、連結軸5に引き込みに関与する先端側端部の段差部を傾斜状とするのではなく、垂直状の段差部5fとしてもよい。このような垂直状の段差部5fであっても、連結受具4の傾斜面部分4bと連結軸の垂直状段差部5fとの重なりを回避するように移動しようとする際、連結受具4は金具設置孔2bに嵌入され位置不動であるため、連結軸5が挿入側方向(引き込み方向)に移動するようになる。
(2)前記連結軸5に関して、例えば縦枠3に対する固定を行うために、図14(A)に示されるように、軸部5bの基端側外周面にネジ5fを形成するようにしてもよい。頭部5aの外面にはネジ回しの先端を係合するための係合溝5h(十字溝又は線状溝)が形成されている。
【0044】
そして、図15に示されるように、前記縦枠3の連結軸挿入孔3aから連結軸5を挿入する際に、連結軸5をネジのように回しながら挿入し、該連結軸5を縦枠3に対して堅固に固定する。その後の手順は、前述したように、前記横枠2の金具設置孔2bに、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝4aを有する連結受具4をハンマーなどによって打ち込んで、前記連結軸5の段差部5cに前記連結受具4の係合溝4aを嵌入させて止着する。
【0045】
〔第2形態例〕
次に、図16図20に基づいて、本願発明の第2形態例について、前記第1形態例との相違点を中心に詳述する。
【0046】
第2形態例に係る連結軸6は、図16に示されるように、頭部6aと軸部6bとを有し、前記軸部6bの中間(先端側)に所定径φ1の係合側軸部6eを有する。そして、この係合側軸部6eの頭部6a側に隣接して軸径φ1よりも小径とした細径部6cを有する。前記細径部6cの最も小さい直径φ2は、前記連結受具4の係合溝4aの幅Sと同程度か僅かに大きい程度とされ、前記細径部6cに前記連結受具4の係合溝4aが係合して両者を止着する。前記頭部6aと軸部6bについては、機能的に前記連結軸5と同様である。相違点は、本連結軸6では前記頭部6aの反対側にネジ部6fを有する構造となっている点である。なお、軸部6bの先端面にはネジ回しの先端を係合するための係合溝6g(十字溝又は線状溝)が形成されている。
【0047】
一方、前記縦枠3については、図17に示されるように、内側面から厚み方向に沿って連結軸設置孔3aを形成している。前記連結軸設置孔3aの入口部分には連結軸5の頭部5aを嵌入させて隠すために、相対的に大径に形成された頭部嵌入孔3bが形成されている。なお、前記連結軸設置孔3aは縦枠3を貫通していてもよい。
【0048】
〔枠材の連結方法〕
(第1手順)
本第2形態例ではまず最初に、縦枠3に対して連結軸6を設置する。図17に示されるように、連結軸6のネジ部6fを縦枠3の連結軸設置孔3aに、ネジ回しを用いて螺入させながら挿入し、連結軸6を縦枠3に固定設置する。図18が連結軸6を縦枠3に設置した状態を示す図である。
【0049】
次に、図19に示されるように、横枠2を持ち込み、横枠2を縦枠3に直交させるとともに、前記縦枠3の連結軸設置孔3aと前記横枠2の連結軸用下孔2aとを直線上に一致させた状態とし、かつ連結軸6の軸部6bを横枠2の連結軸用下孔2aに挿入した状態とする。ここまでの作業が第1手順である。
【0050】
(第2手順)
次に、図20に示されるように、前記横枠2の金具設置孔2bに、先端側に向けて開口する略逆U字形状の係合溝4aを有する連結受具4をハンマーなどによって打ち込んで、前記連結軸5の細径部5cに前記連結受具4の係合溝4aを嵌入させて係合させ、前記横枠2と縦枠3とを連結する。
【符号の説明】
【0051】
1…連結構造、2…横枠、2a…連結軸用下孔、3…縦枠、3a…連結軸挿入孔、3b…頭部嵌入孔、4…連結受具、4a…係合溝、4b…傾斜面部分、5・6…連結軸、5a…頭部、5b…軸部、5c…細径部、5d…傾斜状段差部、5e…係合側軸部、5f…階段状段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20