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特許7297264織物及びその製造方法並びに該織物を含む繊維製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】織物及びその製造方法並びに該織物を含む繊維製品
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/587 20210101AFI20230619BHJP
   D03D 15/56 20210101ALI20230619BHJP
   D03D 15/41 20210101ALI20230619BHJP
   D03D 15/47 20210101ALI20230619BHJP
【FI】
D03D15/587
D03D15/56
D03D15/41
D03D15/47
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020571313
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2020004957
(87)【国際公開番号】W WO2020162624
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2019022012
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302027675
【氏名又は名称】カジレーネ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小塚 一範
(72)【発明者】
【氏名】大西 朋綾
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-147762(JP,A)
【文献】特開平09-250040(JP,A)
【文献】特開2006-225798(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040359(WO,A1)
【文献】特開2012-057262(JP,A)
【文献】特開2018-080418(JP,A)
【文献】特開2008-075230(JP,A)
【文献】特開2003-138445(JP,A)
【文献】特開2006-169688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D1/00-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン弾性糸の裸糸(A糸)、及び非弾性糸又は非弾性糸とポリウレタン弾性糸との複合糸(B糸)から構成される織物であって、経糸と緯糸の交差部において、該経糸と該緯糸が共に該A糸である特定領域が存在し、該特定領域において、該経糸と該緯糸が合着又は融着しており、かつ、該織物の完全組織において、経糸と緯糸の交差点の総数に対する該特定領域の経糸と緯糸のA糸同士の交差点の数の比率が、0.1%以上25%以下であることを特徴とする織物を含む、衣類である繊維製品
【請求項2】
前記織物において、前記B糸は、非弾性糸とポリウレタン弾性糸との複合糸である、請求項1に記載の繊維製品
【請求項3】
前記織物において、経B糸を挟んでヨコ方向に隣接する2本の経A糸と、緯B糸を挟んでタテ方向に隣接する2本の緯A糸との4つの交差点により画される領域内に、経B糸と緯B糸との交差点の数が、10000個以下である、請求項1又は2に記載の繊維製品
【請求項4】
前記織物において、経A糸がヨコ方向に、及び/又は緯A糸がタテ方向に、2本以上連続して存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維製品
【請求項5】
前記織物において、前記非弾性糸とポリウレタン弾性糸との複合糸(経B糸と緯B糸)が、ポリウレタン弾性繊維を芯糸とし、非弾性糸を鞘糸とするシングルカバーリング糸であり、カバーリングドラフトが1.0以上4.0以下であり、かつ、下記式(1):
K = T/√(10000/D) (1)
{式中、Tは、加工時、芯糸1メートル間に鞘糸を巻きつけている回数(T/m)であり、そしてDは、非弾性糸の繊度(dtex)である。}により算出した撚り係数Kが18以上85以下である、請求項2~4のいずれか1項に記載の繊維製品
【請求項6】
切りっぱなし仕様である、請求項に記載の繊維製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物及びその製造方法並びに該織物を含む繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、衣類は生地を裁断・縫製して製造される。衣類の開口部は、生地の裁断端縁を折り返して縫製したり、テープ等の別布で包み込んで縫製したりして端縁周囲のほつれ止めが施されるのが通常である。しかしながら、生地の裁断端縁や開口部の裁断端縁のほつれ止めには、かなりの縫製手間がかかり、かつ、下着等の裁断端縁が段差状に外衣に現れてファッション性を損なったり、縫い目が肌に当たって着用感を損なうなどの問題が生じることから、特に直接肌に触れることが多い下着やスポーツウェアにおいて、改善が要望されていた。
【0003】
上記要望を満たすために、例えば、以下の特許文献1では、少なくとも非弾性糸が1×1トリコット組織であり、弾性糸がルーピング組織からなる、伸縮性を有する経編地を、編み方向に対し3度以上177度以下の角度で裁断し、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が衣料の縁部になるように形成された衣料が提案されている。
また、以下の特許文献2では、熱融着弾性糸とそれ以外の糸をプレーティング編により編み立てることによりほつれ止め機能がある編地からなる切りっぱなし仕様である衣類が提案されている。
しかしながら、これらの技術は編物を中心とした技術であり、縁始末不要な切りっぱなし仕様である織物やかかる織物からなる衣類は一切開示されていない。
【0004】
近年は、ファッション性の多様化により、こうした切りっぱなし仕様である衣類は、直接肌に触れる下着やスポーツウェアだけでなく、シャツやスラックス、婦人用のボトムス、ジャケット、コートといった織物が使用されることの多い、いわゆるアウター用途でも要求が高まっている。また、最近ではアウター用途に於いても着用快適性の面から、適度なストレッチ性のある織物が要求されている。
以下の特許文献3には、織物のほつれ防止については、コースターやテーブルクロス等のユニットマット式織物のほつれ防止を目的として、熱可溶性の緯糸を織成後に加熱して溶融させる織物及びその製造方法が開示されている。しかしながら、熱可溶性の糸が緯糸にのみ用いられていることから、織物の経方向のほつれ防止性は十分ではなかった。また、織物の裁断部にのみ熱可溶性の糸を使用することから、裁断できる部位が限られ、様々な角度に切りっぱなして使用するとほつれが生じることから、衣類に使用するには不適であった。
また、以下の特許文献4には、メッシュ調織物の目寄れを防止することを目的として、熱融着繊維と水又は溶剤により溶解する溶解繊維を含む織物に熱処理を施し、次いで該溶解繊維の一部を水又は溶剤により溶解除去することにより、織物の目寄れを防止したメッシュ調織物の製造方法が開示されている。しかしながら、メッシュを構成する穴の周辺にのみ熱融着繊維を配置していることから、様々な角度に切りっぱなして使用するとほつれが生じ、衣類に用いることはできなかった。また、メッシュ調織物を構成する繊維が熱融着繊維よりも高い融点を有する繊維からなることからストレッチ性に乏しく、着用快適性が求められる衣類には不適であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3672920号公報
【文献】特許第3983729号公報
【文献】特開2003-82551号公報
【文献】特開2015-151630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した従来技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、適度なストレッチ性があり、かつ、ほつれ止め性能が良好な織物、これを用いた衣類等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、織物を構成する経糸と緯糸との交差部の一部をポリウレタン弾性糸の裸糸のみで構成することにより、前記課題を解決することができることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]ポリウレタン弾性糸の裸糸(A糸)、及び非弾性糸又は非弾性糸とポリウレタン弾性糸との複合糸(B糸)から構成される織物であって、経糸と緯糸の交差部において、該経糸と該緯糸が共に該A糸である特定領域が存在し、該特定領域において、該経糸と該緯糸が合着又は融着しており、かつ、該織物の完全組織において、経糸と緯糸の交差点の総数に対する該特定領域の経糸と緯糸のA糸同士の交差点の数の比率が、0.02%以上50%以下であることを特徴とする織物。
[2]経B糸を挟んでヨコ方向に隣接する2本の経A糸と、緯B糸を挟んでタテ方向に隣接する2本の緯A糸との4つの交差点により画される領域内に、経B糸と緯B糸との交差点の数が、10000個以下である、前記[1]に記載の織物。
[3]経A糸がヨコ方向に、及び/又は緯A糸がタテ方向に、2本以上連続して存在する、前記[1]又は[2]に記載の織物。
[4]前記非弾性糸とポリウレタン弾性糸との複合糸(経B糸と緯B糸)が、ポリウレタン弾性繊維を芯糸とし、非弾性糸を鞘糸とするシングルカバーリング糸であり、カバーリングドラフトが1.0以上4.0以下であり、かつ、下記式(1):
K = T/√(10000/D) (1)
{式中、Tは、加工時、芯糸1メートル間に鞘糸を巻きつけている回数(T/m)であり、そしてDは、非弾性糸の繊度(dtex)である。}により算出した撚り係数Kが18以上85以下である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の織物。
[5]以下の工程:
経糸と緯糸の一部に、水及び/又は溶剤に溶解する易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維とからなる複合糸と、非弾性糸又は非弾性糸とポリウレタン弾性糸との複合糸(B糸)とを用いて製織する工程;
該易溶解性繊維を水及び/又は溶剤で溶解除去して、経糸と緯糸が共に、ポリウレタン弾性糸の裸糸(A糸)である特定領域を形成する工程;及び
該特定領域において、経A糸と緯A糸同士を合着又は融着する工程;
を含む、織物の製造方法。
[6]該特定領域において、経A糸と緯A糸同士を合着又は融着する工程が、熱加工による合着又は融着である、前記[5]に記載の方法。
[7]前記非弾性糸とポリウレタン弾性繊維との複合糸(経B糸と緯B糸)が、ポリウレタン弾性繊維を芯糸とし、非弾性糸を鞘糸とするシングルカバーリング糸であり、カバーリングドラフトが1.0以上4.0以下であり、かつ、下記式(2):
K = T/√(10000/D) (1)
{式中、Tは、加工時、芯糸1メートル間に鞘糸を巻きつけている回数(T/m)であり、そしてDは、非弾性糸の繊度(dtex)である。}により算出した撚り係数Kが18以上85以下である、前記[5]又は[6]に記載の方法。
[8]前記[1]~[4]のいずれかに記載の織物を含む繊維製品。
[9]切りっぱなし仕様である、前記[8]に記載の繊維製品。
[10]衣類である、前記[8]又は[9]に記載の繊維製品。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る織物は、適度なストレッチ性があり、かつ、ほつれ止め性能に優れるため、これを用いれば、洗濯や着用を繰り返しても生地端がほつれることなく、縁始末不要な切りっぱなし仕様である衣類を含む繊維製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1、8、9、及び12~16で用いた平織の完全組織である。
図2】実施例2で用いた平織物の完全組織である。
図3】実施例6で用いた平織物の完全組織である。
図4】実施例7で用いた平織物の完全組織である。
図5】実施例10で用いた斜文織物の完全組織である。
図6】実施例11用いた朱子織物の完全組織である。
図7】比較例3で用いた平織物の完全組織である。
【0011】
織物の組織は、ある1区間の組織を基礎とし、これを繰り返して構成されている。この1区間の単位組織を完全組織という。完全組織は、その織物の構成をあらわす組織を代表する最小のものであり、図1~6では、黒塗り部分及び斜線部分は経糸が緯糸に乗っている部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の織物は、ポリウレタン弾性糸の裸糸(A糸)、及び非弾性糸又は非弾性糸とポリウレタン弾性糸との複合糸(B糸)から構成される織物であって、経糸と緯糸の交差部において、該経糸と該緯糸が共に該A糸である特定領域が存在し、該特定領域において、該経糸と該緯糸が合着又は融着しており、かつ、該織物の完全組織において、経糸と緯糸の交差点の総数に対する該特定領域の経糸と緯糸のA糸同士の交差点の数の比率が、0.02%以上50%以下であることを特徴とする。
本明細書中、用語「合着」とは、ポリウレタン弾性糸の交差部において弾性糸同士が加工により変形し互いに食い込んでいるが、交差部を剥すと互いに分解せずにきれいに剥がれる状態をいい、「融着」とは、交差部において弾性糸同士が互いに融けて一部一体化し、交差部を剥すと互いを分解せずに剥すことができない状態をいう。
【0013】
ポリウレタン弾性糸(繊維)は、例えば、ポリオール、ジイソシアネート化合物、ジアミン化合物及びジオール化合物等から重合されるものであってもよいが、特に限定されるものではない。また、その合成法も特に限定されるものではない。前記ポリウレタン系繊維は、例えば、ポリマージオール、ジイソシアネート及び低分子量ジアミン等から重合されてなるポリウレタン繊維(ポリウレタンウレア繊維)であってもよく、また、ポリマージオール、ジイソシアネート及び低分子量ジオール等から重合されてなるポリウレタン繊維(ポリウレタンウレタン繊維)であってもよい。さらに、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレア繊維であってもよい。所望の効果が奏される限り3官能性以上の多官能性のグライコールやイソシアネート等が使用されてもよい。ポリマージオールはポリエーテル系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0014】
本実施形態の織物を構成するポリウレタン弾性糸の裸糸(A糸)は、ほつれ止めの観点から、熱融着性弾性繊維及び/又は熱合着性弾性繊維であることが好ましい。
さらに、経糸の少なくとも一部と緯糸の少なくとも一部に水及び/又は溶剤で溶解する易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維からなる複合糸を配置して製織し、該水及び/又は溶剤で易溶解性繊維を溶解除去する場合であって、易溶解性繊維が易アルカリ溶解性繊維である場合は、ポリウレタン弾性糸の裸糸(A糸)としては、耐アルカリ性に優れるポリエーテル系ポリウレタン弾性繊維が特に好ましく用いられる。ポリウレタン弾性糸の裸糸(A糸)は、所望の効果が損なわれない限り、ポリウレタン以外の成分を含んでいてもよく、水及び/又は溶剤で易溶解性繊維を溶解除去する場合、易溶解性繊維の未溶解物や分解物を含んでいてもよい。
前記熱融着性弾性繊維又は熱合着性弾性繊維としては、例えば、日清紡株式会社製のモビロン(商品名)や旭化成株式会社製のロイカSF(商品名)が例示されるが、熱によって繊維同士が融着する弾性繊維、あるいは熱によって変形し合着する弾性繊維であれば、これらに限定されない。
【0015】
ポリウレタン弾性繊維の繊度、単糸数、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば、糸は1単糸で構成されるモノフィラメントでもよく、また、複数単糸で構成されるマルチフィラメントでもよい。糸の断面形状は円形であってもよく、また扁平又は繭型であってもよい。
ポリウレタン弾性繊維の裸糸(A糸)は、総繊度5~2500dtexの糸であることが好ましい。5dtex以上であれば伸度が十分に高く、また、布帛の実用的強度が得られる。他方、2500dtex以下であれば、布帛の伸縮パワーが大きすぎることがなく、通常の染色加工設備で加工が可能となる。また、織物を構成する経糸の少なくとも一部と緯糸の少なくとも一部にポリウレタン弾性糸の裸糸を配置して裸糸を直接製織する場合は、22dtex以上であることが好ましい。
【0016】
非弾性糸又は非弾性糸とポリウレタン弾性糸の複合糸(B糸)は、特に限定されるものではないが、適度なストレッチ性を得、また、織物の寸法安定性の面から、非弾性糸とポリウレタン弾性糸の複合糸が好ましい。
B糸を構成する非弾性糸としては特に限定されず、例えば、フィラメント糸としては、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、塩化ビニル系繊維、セルロース系繊維等の化学合成繊維からなるものが好ましい。フィラメント糸の形態は、原糸(未加工糸)、仮撚加工糸、先染糸などのいずれであってもよく、また、これらの複合糸であってもよい。更にフィラメント糸の断面形状としては、〇、△、十字、W型、M型、C型、I型、ドッグボーン型、中空糸など特に制限はない。紡績糸としては、木綿、羊毛、麻などの天然繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、塩化ビニル系繊維、セルロース系繊維等の化学合成繊維からなるものが好ましく、これらは単独又は混紡されたもの等のいずれであってもよい。さらにB糸を構成する非弾性糸は、艶消剤、安定剤、制電剤などの添加剤を含んでいてもよい。すなわち用途によって、適宜好適な素材を選定すればよい。
【0017】
B糸において非弾性糸と複合するポリウレタン弾性糸は、特に限定されるものではないが、ほつれ止めの観点から熱融着性弾性繊維及び/又は熱合着性弾性繊維であることが好ましい。
また、経糸の少なくとも一部と緯糸の少なくとも一部に水及び/又は溶剤で溶解する易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維からなる複合糸を配置して製織し、該水及び/又は溶剤で易溶解性繊維を溶解除去する場合であって、易溶解性繊維が易アルカリ溶解性繊維である場合は、B糸を構成するポリウレタン弾性繊維としては、耐アルカリ性に優れるポリエーテル系ポリウレタン弾性繊維が特に好ましく用いられる。
【0018】
B糸を構成するポリウレタン弾性繊維の繊度、単糸数、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば、糸は1単糸で構成されるモノフィラメントでもよく、また、複数単糸で構成されるマルチフィラメントでもよい。糸の断面形状は円形であってもよく、また扁平又は繭型であってもよい。
またB糸を構成するポリウレタン弾性繊維は、トータル繊度5~2500dtexの糸であることが好ましい。5dtex以上であれば伸度が十分に高く、また布帛の実用的強度が得られる。他方、2500dtex以下であれば、布帛の伸縮パワーが大きすぎることがなく、通常の染色加工設備で加工が可能となる。
【0019】
経糸の少なくとも一部と緯糸の少なくとも一部を、水及び/又は溶剤で溶解する易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維からなる複合糸により製織する場合であって、易溶解性繊維に水溶性繊維を用いる場合、B糸を構成する非弾性繊維は水溶性繊維以外の繊維が用いられ得る。また、易溶解性繊維に易アルカリ溶解性繊維を用いる場合には、B糸を構成する非弾性繊維は、耐アルカリ性に優れた通常のポリエステル繊維、ナイロン繊維、綿、レーヨン等のセルロース系繊維、及びこれらの複合された繊維が好ましく用いられる。
【0020】
B糸として非弾性糸とポリウレタン弾性糸の複合糸を用いる場合、非弾性繊維とポリウレタン弾性繊維の複合(組合せ)方法は、特に限定するものではない。例えば、ポリウレタン弾性繊維を芯糸とし、非弾性糸を巻き糸としてカバーリングしたシングルカバーリング糸、ダブルカバーリング糸、エアーカバーリング糸、合糸撚糸などの複合糸等が挙げられるが、生産性やコストの面から、シングルカバーリング糸又はエアーカバーリング糸が好ましく、より好ましくはシングルカバーリング糸である。シングルカバーリング糸を使用する場合、カバーリングドラフトは、1.0~4.0が好ましく、より好ましくは1.8~2.8である。カバーリングドラフトが1.0以上であれば織物のストレッチ性が十分に得られ、4.0以下であれば織物にシボが生じることなく美観と風合いが損なわれず、また、製織性が高いため好ましい。また、シングルカバーリング糸において、下記式(1):
K = T/√(10000/D) (1)
{式中、Tは、加工時、芯糸1メートル間に鞘糸を巻きつけている回数(T/m)であり、そしてDは、非弾性糸の繊度(dtex)である。}により算出した撚り係数Kは、18~85が好ましく、より好ましくは28~66、さらに好ましくは37~47である。撚り係数Kが18以上であれば製織時にポリウレタンが切断しにくい等、織物に欠点が生じにくいため好ましく、他方、85以下であればカバーリング糸のコストが抑えられ、また、織物にシボが立ちにくく、生地表面の美観が損なわれず、さらにはほつれ止め性能を含むフリーカット性能が高まるため好ましい。
【0021】
非弾性繊維とポリウレタン弾性繊維の複合方法は、1種類の方法だけでなく複数の組み合わせであってもよい。複合する条件等も通常行なわれる範囲でよい。得られた糸は、通常知られている方法で後処理を行ってもよい。得られた複合糸の準備工程は、従来知られている工程を用いればよく、サイジングあるいはワックス処理も可能である。
【0022】
本実施形態の織物においては、経糸と緯糸の交差部において、該経糸と該緯糸が共に該A糸である特定領域が存在し、該特定領域において、該経糸と該緯糸が合着又は融着しており、かつ、該織物の完全組織において、経糸と緯糸の交差点の総数に対する該特定領域の経糸と緯糸のA糸同士の交差点の数の比率は、0.02%以上50%以下であり、好ましくは0.1%以上40%以下、より好ましくは、1.0%以上25%以下である。該比率が0.02%より小さいと、十分な洗濯ほつれ止め性能を得ることができず、他方、50%を超えると、織物の風合いがゴムライクになるため衣類にした場合に肌触りが悪く、また、織物の強度が低下するため好ましくない。尚、前記した経糸と緯糸の交差点の総数に対する該特定領域の経糸と緯糸のA糸同士の交差点の数の比率は、ルーペ等を用いて目視にて織物の完全組織を特定し、任意の一箇所の完全組織について計測し、算出する。
【0023】
本実施形態の織物においては、経B糸を挟んでヨコ方向に隣接する2本の経A糸と、緯B糸を挟んでタテ方向に隣接する2本の緯A糸との4つの交差点により画される領域内に、経B糸と緯B糸との交差点の数は、1個以上10000個以下であることが好ましく、より好ましくは1個以上2500個以下、さらに好ましくは1個以上500個以下である。経B糸と緯B糸との交差点が、10000個以下であれば、十分なほつれ止め性能を得ることができる。
【0024】
本実施形態の織物の組織は、特に限定されるものではなく、例えば、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織等の変化組織、蜂の巣織、模紗織、梨地織等の特別組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、風通織、袋織、二重ビロード等の二重織組織、ベルト織等の多層組織、たてビロード、タオル、シール、ベロア等のたてパイル織、別珍、よこビロード、ベルベット、コール天等のよこパイル織、絽、紗、紋紗等のからみ組織等;さらにこれらを2種以上組み合わせた混合組織などを挙げることができるが、良好な洗濯ほつれ止め性能を得るためには、平織が好ましい。
【0025】
本実施形態の織物においては、ヨコのストレッチ率は10%以上が好ましく、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上である。ストレッチ率が10%以上であると、織物を衣類にした場合、着用時に生地の伸度が高いため、突っ張り感が生じず十分な着用快適性を得ることができる。また、織物のタテ及びヨコの伸長回復率は50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上である。織物の伸長回復率が50%以上であると、織物を衣類にした場合にフィット感が優れ、好ましい。
【0026】
本実施形態の織物の洗濯ほつれ試験におけるほつれ止め性能は、3級以上が好ましい。ほつれ止め性能が3級を下回ると、切りっぱなし衣類として着用、洗濯を繰り返した際に生地端にほつれが生じ、品位が悪化する。
【0027】
本実施形態の織物においては、経A糸がヨコ方向に、及び/又は緯A糸がタテ方向に、2本以上連続して存在することが好ましい。これにより、好ましいほつれ止め性能を確保することができる。
【0028】
次に、本実施形態の織物の製法について説明する。
本実施形態の織物は、ポリウレタン弾性糸の裸糸又はポリウレタン弾性糸と易溶解性繊維からなる複合糸(A糸)と、非弾性糸又は非弾性糸とポリウレタン弾性糸の複合糸(B糸)を用いて製織することができる。その際、製織方法は特に限定されず、有杼織機(フライシャットル織機等)又は無杼織機(レピア織機、グリッパー織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機等)等によって行われるのが好ましい。尚、ウォータージェット織機を使用する場合は、易溶解性繊維は水溶性繊維以外の繊維を使用することが好ましい。
また、A糸としてポリウレタン弾性糸の裸糸を緯糸として直接製織することもでき、その場合は、レピア織機を使用することが好ましい。
【0029】
本実施形態の織物は、以下の工程:
経糸と緯糸の一部に、水及び/又は溶剤に溶解する易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維とからなる複合糸と、非弾性糸又は非弾性糸とポリウレタン弾性糸との複合糸(B糸)とを用いて製織する工程;
該易溶解性繊維を水及び/又は溶剤で溶解除去して、経糸と緯糸が共に、ポリウレタン弾性糸の裸糸(A糸)である特定領域を形成する工程;及び
該特定領域において、経A糸と緯A糸同士を合着又は融着する工程;
を含む方法により製造することができる。
本実施形態の織物の製造において、経糸の少なくとも一部と緯糸の少なくとも一部に水及び/又は溶剤で溶解する易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維からなる複合糸を用いる場合、易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維の複合方法は、特に限定するものではない。例えば、ポリウレタン弾性繊維を芯糸とし、水及び/又は溶剤で溶解する易溶解性繊維を巻き糸としてカバーリングしたシングルカバーリング糸、ダブルカバーリング糸、エアーカバーリング糸、合糸撚糸などの複合糸等が挙げられるが、生産性やコストの面から、シングルカバーリング糸又はエアーカバーリング糸が好ましく、より好ましくはシングルカバーリング糸である。
【0030】
シングルカバーリング糸を使用場合、カバーリングドラフトは、1.0~4.0が好ましく、より好ましくは1.5~3.5、さらに好ましくは2.0~3.0である。カバーリングドラフトが1.0以上であれば織物のストレッチ性が十分に得られ、他方、4.0以下であれば、織物にシボが生じることなく美観と風合いが損なわれず、また、製織性が高いため好ましい。
【0031】
水及び/又は溶剤に溶解する易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維とからなる複合糸は、ポリウレタン弾性繊維を芯糸とし、水及び/又は溶剤に溶解する易溶解性繊維を鞘糸とするカバーリング糸の、下記式(2):
K = T/√(10000/D) (2)
{式中、Tは、加工時、芯糸1メートル間に鞘糸を巻きつけている回数(T/m)であり、そしてDは、水及び/又は溶剤に溶解する易溶解性繊維の繊度(dtex)である。}により算出した撚り係数Kは、製織性とコストの観点から、18~85が好ましく、より好ましくは28~66、さらに好ましくは37~47である。撚り係数Kが18以上であれば製織時にポリウレタンが切断しにくい等、織物に欠点が生じにくいため好ましく、他方、85以下であればカバーリング糸のコストを抑えられるため好ましい。
易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維の複合方法は、1種類の方法だけでなく複数の組み合わせであってもよい。複合する条件等も通常行なわれるものでよい。得られた糸は、通常知られている方法で後処理を行ってもよい。得られた複合糸の準備工程は、従来知られている工程を用いればよく、サイジング又はワックス処理も可能である。
【0032】
水及び/又は溶剤で溶解する易溶解性繊維としては、例えば、ポリビニルアルコール系繊維などの水溶性繊維、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸およびメトオキシポリオキシエチレングリコールなどの第3成分が共重合されたポリエステル系繊維、ポリ乳酸系繊維などの易アルカリ溶解性繊維、さらには易アルカリ溶解性アクリル繊維などを用いることができるが、特に限定されるものではない。またこれらを単独あるいは2種以上を組み合わせたり、1本の糸の中に2種以上の繊維を複合して使用することもできる。これらを複合して使用する場合は、引き揃え、合糸、合撚などして用いることもできる。
【0033】
本実施形態の織物において、水及び/又は特定溶剤で溶解する易溶解性繊維とポリウレタン弾性繊維からなる複合糸と、非弾性糸又は非弾性糸とポリウレタン弾性糸の複合糸により製織する場合において、易溶解性繊維の少なくとも一部を水及び/又は溶剤により溶解除去してポリウレタン弾性繊維を露出させ、次いで、織物を加工することにより、タテ糸とヨコ糸に配置された前記ポリウレタン弾性繊維同士を融着又は合着させる。その際、易溶解繊維を溶解除去する方法としては、前記易溶解繊維がポリビニルアルコール系繊維などの水溶性繊維である場合は、織物を水中に浸漬するとよい。水温は20℃以上が好ましく、50℃~100℃の浴中で溶解除去することがより好ましいが、水溶性繊維が溶解除去できる条件であれば、これらに限られない。また、前記易溶解繊維が易アルカリ溶解繊維である場合は、水酸化ナトリウムを含むアルカリ水溶液の浴液に織物を浸漬するとよい。浴液の温度としては80~100℃が好ましく、時間は10~30分が好ましく、水酸化ナトリウム濃度0.5~3%ows、浴比は1:30~1:50が好ましいが、易アルカリ溶解繊維が溶解除去できる条件であれば、これらに限られない。
【0034】
経糸と緯糸が共に、ポリウレタン弾性糸の裸糸(A糸)である特定領域において、経A糸と緯A糸同士を合着又は融着させる方法に特に限りはなく、熱処理(乾熱処理又は湿熱処理)や超音波処理、圧着等により達成可能であるが、処理の容易性の観点より好ましくは熱処理である。
【0035】
織物を乾熱処理する場合、処理温度は140~210℃が好ましく、処理時間は30秒~90秒が好ましい。また、織物を湿熱処理する場合、処理温度は80~140℃が好ましく、処理時間は15秒~30分間であることが好ましい。湿熱処理の場合は、繊維構造物に均一に熱を付与できる装置を用いることが好ましく、例えば常圧スチーマーや高圧スチーマー等を利用することができるが、これらに限定されない。かかる熱処理により、経A糸と緯A糸同士を合着又は融着する工程における、熱加工による合着又は融着を実施することができる。
【0036】
本実施形態の織物は、所望の効果が損なわれない限り、通常の染色仕上げ加工だけでなく、アルカリ減量加工、起毛加工、吸水加工、撥水加工、紫外線遮蔽加工、蓄熱加工、抗菌加工、プリント加工、オパール加工、加熱エンボス加工、パンチング加工、カレンダー加工によって所望の模様を施してもよい。さらには制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0037】
本実施形態の織物は、繊維製品、例えば、衣料品として、スポーツウェア、水着、ホームウェア、コート、スーツ、ブルゾン、ブラウス、シャツ、スカート、スラックス、着物、洋服の裏地、室内運動着、パジャマ、寝間着、肌着、ブラジャー、ショーツ、ランジェリー、ファンデーション、キャミソール、アンダードレス、ペチコート、靴下用口ゴム、ウェストバンド、オフィスウェア、作業服、食品白衣、看護白衣、患者衣、介護衣、医療用ウェア、学生服、および厨房衣などとして好ましく用いられる。また、その他の繊維製品として手袋、ネクタイ、スカーフ、ショール、エプロン、タオル、マフラー、靴下、帽子、靴、サンダル、包帯、サポーター及び鞄等の雑貨用品、カーテン、こたつカバー、ソファーカバー、クッションカバー、ソファー用側地、およびテーブルクロス等のインテリア用品、さらに布団用側地、シーツ、布団カバー、毛布、および枕カバー等の寝具用品などに好ましく用いられる。
【実施例
【0038】
以下、本発明を実施例、比較例を掲げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例等における各種の評価方法として下記の方法を用いた。
(1)ストレッチ率及び伸長回復率
織物のストレッチ率(%)は、JIS L 1096 B法(定荷重法)により、そして伸長回復率(%)は、JIS L 1096 B-1法(定荷重法)により測定した。
<ストレッチ率>
織物のタテ方向50mm×ヨコ方向300mmの試験片を3枚調整し、引張試験機を用い、試験片の一端を上部のクランプで固定し、他端に試験片の幅で1mの長さにかかる重力に相当する荷重(N)の初荷重をかける。次いで、200mm間隔に印をつけ、初荷重を取り除いた後、静かに14.7Nの荷重を加え、1分間保持後の印間の長さ(mm)を測る。
以下の式:
ストレッチ率(%)=(L1-L0)×100/L0
{式中、L0は、元の印間の長さ(200mm)であり、そしてL1は、14.7Nの荷重を加え、1分間保持後の印間の長さ(mm)である。}によりストレッチ率(%)を求め、3回の平均値を算出し、小数点以下1桁に丸める。
ストレッチ率が10%以上であれば、適度にストレッチ性があるといえる。
【0039】
<伸長回復率>
幅50mm×長さ300mmの試験片をタテ方向、ヨコ方向に各3枚調整し、引張試験機を用い、試験片の一端を上部のクランプで固定し、他端に試験片の幅で1mの長さにかかる重力に相当する荷重(N)の初荷重をかける。次いで、20cm間隔に印をつけ、初荷重を取り除いた後、静かに14.7Nの荷重を加え、1時間保持後、印間の長さ(mm)を測る。次に荷重を取り除き、30秒後に初荷重を加えて再び印間の長さを測る。
以下式:
伸長回復率(%)=(L1-L2)×100/(L1-L0)
{式中、L0は、初荷重を加えたときの印間の長さ(200mm)であり、L1は、14.7Nの荷重を1時間加えた後の印間の長さ(mm)であり、そしてL2は、荷重を取り除いた後30秒後に初荷重を加えたときの印間の長さ(mm)である。}により伸長回復率(%)を求め、3回の平均値を算出し、小数点以下1桁に丸める。
【0040】
(2)洗濯ほつれ止め性能
<試料の調製>
織物をタテ方向15cm×ヨコ方向15cm角にカットし、4つの角から織物の中心に向かって45度の角度で5cmの切込みをいれたものを試料とし、各3枚ずつ準備した。
<洗濯方法>
JIS L1096-2010(改訂)G法に規定されるパルセーター形家庭用電機洗濯機法で、JISL-0217:1995(改訂)の番号103の洗濯方法に従い、液温度40℃、浴比が1:30になるよう試料を投入して、洗剤は“アタック”(登録商標、花王社製)をメーカー標準濃度にて用い、洗濯を150回実施した。尚、試料の重量が洗濯槽の液量に対して浴比1:30に満たない場合は、負荷布を追加してもよい。この際、洗濯1回は、洗濯5分-脱水-すすぎ2分-脱水-すすぎ2分-脱水から構成されるが、洗濯50回分をまとめて、洗濯250分-脱水-すすぎ2分-脱水-すすぎ2分とし、これを3回繰り返した。その後、試料を平台の上で自然乾燥した。
【0041】
<ほつれ止め性能評価>
乾燥した計3枚の各試料の四方の辺及び4箇所の切込み部分の糸のほつれの最大値の平均により、以下の評価基準で級判定した。
5級 : ほつれの最大値の平均が、2mm未満
4-5級 : ほつれの最大値の平均が、2mm以上~3mm未満
4級 : ほつれの最大値の平均が、3mm以上~4mm未満
3-4級 : ほつれの最大値の平均が、4mm以上~5mm未満
3級 : ほつれの最大値の平均が、5mm以上~6mm未満
2-3級 : ほつれの最大値の平均が、6mm以上~7mm未満
2級 : ほつれの最大値の平均が、7mm以上~8mm未満
1-2級 : ほつれの最大値の平均が、8mm以上~9mm未満
1級 : ほつれの最大値の平均が、9mm以上
【0042】
(3)製織性
製織性を以下の評価基準で判定した:
◎:1疋の生機長につき、織機の停止回数が3回以内、且つ生機欠点箇所が目視で目立たない
〇:1疋の生機長につき、織機の停止回数が6回以内、且つ生機欠点箇所が目視で特に目立たない
△:1疋の生機長につき、織機の停止回数が10回以内、且つ目視で生機欠点箇所が確認できるが、目立つ程度ではない
×:1疋の生機長につき、織機の停止回数が11回以上、若しくは目視で生機欠点箇所が全体的に目立つ。
【0043】
(4)風合い評価
織物の風合いにつき、次の3段階で官能評価した:
〇:肌触りがよい
△:ややゴムライクである
×:非常にゴムライクで肌触りが悪い
【0044】
[実施例1]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を900T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列し、次いで、熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列し、図1に示す完全組織の平織物を、ウォータージェット織機2色ノズルを用いて製織した。次いで常法に従い、精練(温度90℃、時間10分)、乾燥(風乾)し、水酸化ナトリウム濃度2%の浴液中で、浴比を1:30とし、95℃で20分、浴中処理を実施し、易溶融性繊維を完全溶解し、常法に従いプレセット、酸性染料による染色、乾燥(風乾)、仕上げセット(乾熱、温度180℃、時間60秒)を行い、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの平織物を得た。得られた織物の各種性能評価結果を以下の表1に示す。
【0045】
[実施例2]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を900T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り800T/mとしたシングルカバーリング糸を1本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの図2に示す完全組織の平織物を得た。得られた織物の各種性能評価結果を以下の表1に示す。
【0046】
[実施例3]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.3、撚り数を800T/mとしたシングルカバーリング糸を40本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.3、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表1に示す。
【0047】
[実施例4]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸44dtex34フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を700T/mとしたシングルカバーリング糸を50本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.3、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度202本/2.54cm、緯密度146本/2.54cmの平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表1に示す。
【0048】
[実施例5]
経糸と緯糸にポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を900T/mとしたシングルカバーリング糸を88本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.3、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表1に示す。
【0049】
[実施例6]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸33dtex26フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を800T/mとしたシングルカバーリング糸を1本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を1本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度229本/2.54cm、緯密度169本/2.54cmの図3に示す完全組織の平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表1に示す。
【0050】
[実施例7]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸33dtex26フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を800T/mとしたシングルカバーリング糸を1本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度229本/2.54cm、緯密度169/2.54cmの図4に示す完全組織の平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表1に示す。
【0051】
[実施例8]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を500T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの図1に示す完全組織の平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表1に示す。
【0052】
[実施例9]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を1200T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの図1に示す完全組織の平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表1に示す。
【0053】
[実施例10]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を900T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.2、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を3本配列し、図5に示す完全組織の斜文織物を、ウォータージェット織機2色ノズルを用いて製織した。次に常法に従い、精練(温度90℃、時間10分)、乾燥(風乾)し、水酸化ナトリウム濃度2%の浴液中で95℃×20分、浴中処理を実施し、易溶融性繊維を完全溶解し、プレセット、染色、乾燥(風乾)、仕上げセット(乾熱、温度180℃、時間60秒)を行い、経密度330本/2.54cm、緯密度240本/2.54cmの斜文織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表1に示す。
【0054】
[実施例11]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を900T/mとしたシングルカバーリング糸を10本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.2、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を5本配列し、図6に示す完全組織朱子織物を、ウォータージェット織機2色ノズルを用いて製織した。次に常法に従い、精練(温度90℃、時間10分)、乾燥(風乾)し、水酸化ナトリウム濃度2%の浴液中で95℃×20分、浴中処理を実施し、易溶融性繊維を完全溶解し、プレセット、染色、乾燥(風乾)、仕上げセット(乾熱、温度180℃、時間60秒)を行い、経密度373本/2.54cm、緯密度280本/2.54cmの朱子織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0055】
[実施例12]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexのドラフトを2.8としてナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを空気交絡させたエアーカバーリング糸を6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)のドラフトを2.8として易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を空気交絡させたエアーカバーリング糸を2本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの図1に示す完全組織の平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0056】
[実施例13]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を900T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)のドラフトを2.8として易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を空気交絡させたエアーカバーリング糸を2本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの図1に示す完全組織の平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0057】
[実施例14]
経糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を1000T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数1000T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列し、緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を1000T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を裸糸(ポリウレタン弾性繊維のみ)で2本配列し、図1に示す完全組織の平織物を、レピア織機を用いて製織した。次に常法に従い、精練(温度90℃、時間10分)、乾燥(風乾)し、水酸化ナトリウム濃度2%の浴液中で95℃×20分、浴中処理を実施し、易溶融性繊維を完全溶解し、プレセット、染色、乾燥(風乾)、仕上げセット(乾熱、温度180℃、時間60秒)を行い、経密度261本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0058】
[実施例15]
経糸と緯糸に、熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を900T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.4、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列しした以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの図1に示す完全組織の平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0059】
[実施例16]
経糸と緯糸に、ナイロン66仮撚捲縮加工糸33dtex26フィラメントを6本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数1000T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列しした以外は、実施例1と同様にして、経密度229本/2.54cm、緯密度169本/2.54cmの図1に示す完全組織の平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0060】
[比較例1]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を900T/mとしたシングルカバーリング糸を101本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を1本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0061】
[比較例2]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を1000T/mとしたシングルカバーリング糸を75本配列し、次いで熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数1000T/mとしたシングルカバーリング糸を1本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0062】
[比較例3]
経糸と緯糸に、ナイロン66生糸22dtex20フィラメントを用いて図7で示す完全組織の平織物をウォータージェット織機で製織した。次に常法に従い、精練(温度90℃、時間10分)、乾燥(風乾)した後、常法に従い、プレセット、酸性染料による染色、乾燥(風乾)、仕上げセット(乾熱、温度180℃、時間60秒)を行い、経密度210本/2.54cm、緯密度168本/2.54cmの平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0063】
[比較例4]
経糸と緯糸に、ポリウレタン弾性繊維22dtexを芯糸、ナイロン66仮撚捲縮加工糸22dtex20フィラメントを鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフトを2.5、撚り数を900T/mとしたシングルカバーリング糸を2本配列し、次いで、熱合着性弾性繊維22dtex(旭化成社製「ロイカSF」(商品名)を芯糸、易溶解性繊維33dtex12フィラメント(KBセーレン社製「ベルピュア」(商品名))を鞘糸として、ポリウレタン弾性繊維のドラフト2.5、撚り数800T/mとしたシングルカバーリング糸を6本配列した以外は、実施例1と同様にして、経密度275本/2.54cm、緯密度201本/2.54cmの平織物を得た。得られた織物の性能評価結果を以下の表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
表1、2に示す通り、実施例1~16の織物は、いずれも適度なストレッチ性があり、かつ、ほつれ止め性能が優れるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る織物は、適度なストレッチ性があり、かつ、ほつれ止め性能に優れるため、これを用いれば、洗濯や着用を繰り返しても生地端がほつれることなく、縁始末不要な切りっぱなし仕様である衣類を含む繊維製品を得ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7