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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】保持装置、及び、物品供給装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 5/02 20060101AFI20230619BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
G07F5/02 101
G07F9/00 101
G07F9/00 103
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021181389
(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公開番号】P2023069498
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(73)【特許権者】
【識別番号】508207790
【氏名又は名称】有限会社 和晃
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 創
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】水科 晃
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-005405(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2237542(KR,B1)
【文献】特開2017-111611(JP,A)
【文献】特開2019-037754(JP,A)
【文献】特開2002-358558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 1/00-11/72
19/00
G07D 1/00- 5/10,
9/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された硬貨を保持可能な保持装置であって、
本体部と、
前記本体部の上方において、投入された硬貨の真贋の判別を行う判別部と、
前記本体部の下方において、一方端部が上方に、他方端部が下方になるように傾斜して設けられている、前記判別部により判別された硬貨を保持可能な保持部と、
前記保持部に保持されている硬貨の情報を取得可能な取得部であって、前記保持部に保持されている硬貨の画像を撮像する撮像部と、前記画像を処理する処理部とを含んでいる取得部と、
を備え
前記撮像部は、前記保持部に設けられ、前記取得部は、前記保持部における前記硬貨の保持の有無の情報を取得可能である保持装置。
【請求項2】
前記撮像部は、前記保持部に保持された硬貨のうち最初に保持された硬貨を撮像可能な位置に設けられている、請求項に記載の保持装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記保持部に保持されている前記硬貨の種別、及び枚数の少なくともいずれかの情報を更に取得可能である、請求項またはに記載の保持装置。
【請求項4】
前記保持部は、硬貨が転動可能な軌道部を含み、
前記撮像部は、前記軌道部に沿って配置されている、請求項からのいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項5】
前記保持部は保持している前記硬貨を非保持状態とするために前記本体部に対し動作可能に構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項6】
前記撮像部は、前記保持部と一体的に動作可能に前記保持部に取り付けられている、請求項に記載の保持装置。
【請求項7】
前記判別部は、前記本体部に対し着脱可能に構成されている、請求項1からのいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記本体部に前記判別部が装着されている状態において、前記保持部に保持されている硬貨の有無、種別、及び枚数の少なくともいずれかの情報を取得可能である、請求項記載の保持装置。
【請求項9】
前記判別部は、前記硬貨が前記判別部の内部を通過可能であって、適正と判別された硬貨を前記保持部に通ずる第1通路を通過させるように構成され、不適正と判別された硬貨を前記保持部に通じない第2通路を通過させるように構成されている、請求項1からのいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記第1通路を通過した硬貨について、前記硬貨の有無、種別、及び枚数の少なくともいずれかの前記情報を取得可能である、請求項に記載の保持装置。
【請求項11】
電子決済を行う決済部と、
前記判別部を制御する制御部と
を更に備え、
前記制御部は、前記決済部での決済が完了した場合、当該決済の完了後に投入された硬貨が前記第2通路を通過するよう前記判別部を制御する、請求項又は10に記載の保持装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記保持部に保持されている硬貨の総額が所定金額と同額であることに応じて、前記決済部による電子決済の実行を無効化する、請求項11に記載の保持装置。
【請求項13】
前記保持部は、前記保持部に保持されている硬貨の総額が所定金額と同額であることに応じて、前記保持している硬貨を非保持状態とすべく動作可能に構成されている、請求項11又は12に記載の保持装置。
【請求項14】
前記保持部が硬貨の非保持状態となったことに応じて、更なる硬貨を前記保持部に保持可能に構成されている、請求項13に記載の保持装置。
【請求項15】
物品を供給可能な物品供給装置であって、
前記物品供給装置に投入された硬貨を保持可能な、請求項1から14のいずれか1項に記載の保持装置と、
第1操作部と、
前記第1操作部に対する操作に応じて前記物品を供給する供給部と、
前記第1操作部に対する操作に応じた動力を回動部に伝達する伝達部と、
を備え、
前記第1操作部は、前記回動部が回動可能な状態にある場合に操作可能である、物品供給装置。
【請求項16】
前記回動部は、前記保持装置に保持されている硬貨の総額が所定金額と同額であることに応じて、回動可能に構成されている、請求項15に記載の物品供給装置。
【請求項17】
硬貨を収容可能な硬貨収容部をさらに備え、
前記硬貨収容部は、前記保持装置の下側に配置されている、請求項15又は16に記載の物品供給装置。
【請求項18】
硬貨返却口部と、
前記保持装置に保持されている硬貨を前記硬貨返却口部に返却するための操作を受け付ける第2操作部と
をさらに備え、
前記保持装置は、前記保持装置が硬貨の保持状態にある場合に前記第2操作部が操作を受け付けたことに応じて、前記保持装置を硬貨の非保持状態とすべく動作する、請求項17に記載の物品供給装置。
【請求項19】
前記保持装置は、前記第2操作部が操作を受け付けた場合、前記保持装置に保持されている硬貨を前記硬貨返却口部に排出するように構成されている、請求項18に記載の物品供給装置。
【請求項20】
前記保持装置は、前記第2操作部が操作されずに前記第1操作部が操作された場合、前記保持装置に保持されている硬貨を前記硬貨収容部に排出するように構成されている、請求項19に記載の物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置、及び、物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代価の支払いに応じて、物品を供給する物品供給装置がある。特許文献1は、代価の支払いを硬貨の投入により行うことができる物品供給装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-27226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品供給装置においては、投入された硬貨の有無、種別、及び、枚数の少なくともいずれかを判定する機構が求められている。
【0005】
そこで、投入された硬貨の有無、種別及び枚数の少なくともいずれかを判定する機構を有する、硬貨の保持装置、及び保持装置を搭載した物品供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、投入された硬貨を保持可能な保持装置であって、本体部と、前記本体部の上方において、投入された硬貨の真贋の判別を行う判別部と、前記本体部の下方において、前記判別部により判別された硬貨を保持可能な保持部と、前記保持部に保持されている硬貨の有無、種別、及び枚数の少なくともいずれかの情報を取得可能な取得部とを備える。
【0007】
本発明の一態様は、物品を供給可能な物品供給装置であって、前記物品供給装置に投入された硬貨を保持可能な上記保持装置と、第1操作部と、前記第1操作部に対する操作に応じて前記物品を供給する供給部と、前記第1操作部に対する操作に応じた動力を回動部に伝達する伝達部と、を備え、前記第1操作部は、前記回動部が回動可能な状態にある場合に操作可能である。
【発明の効果】
【0008】
投入された硬貨の有無、種別及び枚数の少なくともいずれかを判定する機構を有する、硬貨の保持装置、及び保持装置を搭載した物品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る物品供給装置100の外観の一例を示す図。
図2】実施形態に係る保持装置102のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】実施形態に係る保持機構300の外観の一例を示す図。
図4】実施形態に係る保持機構300における硬貨判別部310の装着部311の構成の一例を示す図。
図5】実施形態に係る処理の一例に対応するフローチャート。
図6】実施形態に係る硬貨判別部310の外観構成の一例を示す図。
図7】実施形態に係るハンドル103に対する操作に応じた動力を伝達する伝達機構を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
次に図1を参照して、物品供給装置100の外観構成について説明する。図1は、実施形態に対応する物品供給装置100の正面の外観の一例を示す図である。図1において、物品供給装置100の本体部は、前壁、後壁、及び側壁から構成され、物品収容部101は、物品供給装置100より供給される物品が収容される収容器(或いは、バケツ、ケース等)である。物品収容部101は、透明なプラスチック製で、内部に収容されている物品を外部から視認可能に構成されてもよい。物品は、例えば、玩具、電子機器、人形などがカプセルに封入されて、物品収容部101に収容される。或いは、カプセルに封入されていない状態で収容されてもよい。
【0012】
物品収容部101は、保持装置102の上側に設置されており、保持装置102内には、物品を物品収容部101から取り出して取出口105まで搬送し供給するための物品搬送機構が配置されている。保持装置102の前面部には、ハンドル103、現金投入口104、取出口105、現金返却口106、現金返却ボタン107が配置されている。
【0013】
ハンドル103は、代価の支払いに応じて矢印方向に回転可能に構成された操作部材であって、ユーザがハンドル103を回転させることにより、物品が取出口105に供給される。ハンドル103は、代価の支払いが確認できない状態ではロック機構により回転が抑制されており、代価の支払いが確認されるとロック機構が解除されて回転可能となる。
【0014】
現金投入口104は、代価を現金で支払う場合に、硬貨を投入するのに用いられ、現金の大きさに応じて、複数種類の投入口があってもよい。例えば、一例として500円玉と100円玉とをそれぞれに挿入可能な大きさの投入口を用意することができる。但し、図1では、500円玉と100円玉との投入口を共通化しており、100円玉のサイズに対応する投入口は封止(閉塞)されている。現金投入口104は、内部の機構を制御することにより現金の投入を受け付ける状態と、受け付けない状態とを切り替えることができる。例えば、代価に相当する額の硬貨が投入済みの場合には、投入口を閉じて更なる硬貨の投入を受け付けないようにしてもよい。現金投入口104には、曲面からなる凹部が形成され、凹部の底(最深部)付近に投入口が設けられている。これにより小さい子供であっても、曲面をスライドさせて辿ることで、現金投入口104から現金を投入することが容易に行えるようになる。
【0015】
取出口105は、ハンドル103を回して供給された物品を取り出す部分であり、透明、或いは、半透明の蓋で覆われており、蓋を開けて物品を取り出すことができる。現金返却口106は、現金返却ボタン107の操作に応じて投入した硬貨が返却され、装置から返却された硬貨を取り出し可能に構成されている。ここで、物品の代価に相当する枚数の硬貨が投入されていた場合には、現金返却ボタン107の操作を受け付けないようにしてもよい。一方、物品の代価の一部に相当する枚数の硬貨が投入されていた場合には、現金返却ボタン107の操作を受け付けるようにして、操作を受け付けた場合には、投入金額の全額を返却してもよい。また、物品の代価を超過する枚数の硬貨が投入されていた場合には、現金返却ボタン107の操作を受け付けるようにして、操作を受け付けた場合には、投入金額の一部または全部を返却してもよい。このとき、返却する投入金額の一部は超過分とすることができる。
【0016】
また、硬貨判別の結果として適切な種類の硬貨が投入されなかったと判別された場合、判別対象の硬貨が現金返却口106から返却される。例えば、500円と100円のみを受け付ける場合に、10円、50円、1円の硬貨や外国の硬貨が投入された場合には、適切な種類の硬貨ではないとして返却する。また、贋貨が投入された場合も、適切な種類の硬貨ではないとして返却する。
【0017】
次に、図2を参照して、実施形態に対応する物品供給装置100の保持装置102の少なくとも一部のハードウェア構成の一例を説明する。図2において、保持装置102には、制御部201が配置され、制御部201には後述する各ブロックが接続される。制御部201は、各ブロックの動作を制御すると共に、ブロックから提供されたデータ(又は情報)に基づいて、或いは、当該データの処理結果に基づいて、当該ブロック又は他のブロックの動作を制御する。また、保持装置102には外部電源210から動作用の電源が供給される。
【0018】
硬貨判別部202は、保持装置102に供給された硬貨を判別し、硬貨の種類毎に設けられた物品供給装置100内部の排出経路を介して、判別済み硬貨を排出する。また、硬貨判別部202は硬貨を検知すると、硬貨検知通知を制御部201に送信する。硬貨の排出口には、第1硬貨センサ203及び第2硬貨センサ204が配置されており、硬貨検知のタイミングに応じて第1硬貨センサ及び第2硬貨センサの撮像動作が開始される。第1硬貨センサ203及び第2硬貨センサ204は、静止画又は動画を撮像可能な撮像部として機能する。
【0019】
より具体的には、硬貨判別部202からの硬貨検知通知を制御部201が取得すると、制御部201は第1硬貨センサ203及び第2硬貨センサ204を起動し、硬貨判別部202から排出された硬貨の画像の撮像を開始する。なお、硬貨判別部202が取り外されている場合には、硬貨検知通知を制御部201が取得することができないので、制御部201は第1硬貨センサ203及び第2硬貨センサ204を起動せず、硬貨の画像の撮像を開始することもない。
【0020】
第1硬貨センサ203及び第2硬貨センサ204は、所定の時間間隔(例えば、0.1秒、或いは、排出硬貨を判別可能な品質で撮像可能な時間間隔。)で静止画の撮影を繰り返し、撮像した画像を制御部201に送信する。制御部201は、第1硬貨センサ203及び第2硬貨センサ204から提供された撮像画像を解析処理し、それぞれの硬貨の有無、種別、枚数(或いは、そのうち少なくともいずれか)を判定する処理部として機能する。よって、制御部201と、第1硬貨センサ203、第2硬貨センサとを合わせて、硬貨の有無、種別及び枚数に関する情報を取得可能な取得部として機能しうる。各センサにおける撮像動作は、ロック機構205におけるロックの解除が行われたことに応じて、ロック解除に応じてハンドル103が回動されたことに応じて、或いは、撮像画像において硬貨が確認されなくなったことに応じて、停止されてもよい。
【0021】
なお、本実施形態では2種類の硬貨を使用する場合を想定して説明するが、1種類の硬貨のみを使用可能とする場合も実施形態の範囲に含まれる。その場合、第2硬貨センサ204を無効として、第1硬貨センサ203のみを利用すればよい。
【0022】
制御部201は、各センサから提供された撮像画像に基づいて、現金投入口104から投入された硬貨が、予め定められた所定の種類の硬貨が所定枚数投入された、或いは、投入硬貨の総額が所定金額と同額になったと判定すると、ロック機構205におけるロックを解除してハンドル103を回動可能とする。また、硬貨判別部202は、更に硬貨の真贋検知を行い、贋貨を検出した場合には当該硬貨をそのまま現金返却口106に排出する。
【0023】
ロック機構205は、ハンドル103の回転を抑制する(ロックする)機構であって、ハンドルのロック状態と非ロック状態との2つの状態を有する。ロック機構205は、通常状態において、ハンドル103の回転をロックするように動作し、制御部201において所定の種類の硬貨が所定枚数投入されたことが検知されると、ロックを解除してハンドル103を回動可能とするように構成される。
【0024】
本実施形態では、現金により代価の支払いがなされる構成で説明しているが、これに限られるものではなく、電子マネー等のキャッシュレス決済(電子決済)により代価の支払いがなされる構成であってもよい。この構成の場合、各物品供給装置100には、各物品供給装置を識別可能なユニークな識別情報が表示され、当該識別情報をユーザ端末により取得することにより、電子決済が可能となり、電子決済の完了を条件として、物品の供給を可能とする(ハンドル103の回転操作を可能とする)ことができる。電子決済部206は、電子決済を実行するための処理部であり、電子決済が完了すると、完了を制御部201に通知する。電子決済部206による電子決済が可能であるのは、第1保持部303及び第2保持部304内に保持された硬貨が所定金額に達していない場合のみである。保持金額が所定金額に達した場合には、制御部201は電子決済部206による電子決済を無効として硬貨による決済のみを許可する。
【0025】
次に、図3を参照して、本実施形態に対応する、投入された硬貨を保持する保持装置102内の構造を説明する。図3(A)は、保持装置102内の保持機構300を側面のうちの一方の面(第1の面)からみた場合の構成の一例を示す図であり、図3(B)は、保持機構300を側面のうちの反対側の面(第2の面)からみた場合の構成の一例を示す図である。以下、図3(A)及び図3(B)を参照しつつ、保持機構300の構成について説明する。
【0026】
図3に示す保持機構300には、図2の制御部201に対応する構成は含まれない。制御部201は保持機構300とは別個に保持装置102内に提供されるが、保持機構300の硬貨判別部310、センサユニット308、309等と接続され、これらの動作を制御する。
【0027】
保持機構300は、本体部301の上側の現金投入口104から投入された硬貨が、硬貨判別部310に搬送される搬送路を形成する第1傾斜部302が配置される。第1傾斜部302は、複数の種別の硬貨を搬送可能な大きさ及び長さの搬送路を有しており、現金投入口104から硬貨判別部310に向かって下っていくように傾斜が付けられている。また、本体部301は、本体部301に対して着脱可能な硬貨判別部310を固定するための固定レバー306を有し、固定レバー306を用いて本体部301に硬貨判別部310が固定される。また、固定レバー306を操作することで、本体部301から硬貨判別部310を取り外すこともできる。
【0028】
硬貨判別部310は、図2の硬貨判別部202に対応しており、投入された硬貨が、所定の種別の硬貨であるかどうかを判別し、所定の種別の硬貨であれば、本体部301の下側に設けられた第1保持部303又は第2保持部304に硬貨を排出する。硬貨判別部310の縦方向の長さは、第1傾斜部302の下端と、第1保持部303又は第2保持部304の上端との間の最短距離よりも短い。
【0029】
第1保持部303は、所定の種別の硬貨のうち第1種別の硬貨を保持する。第1保持部303は、本体部301において一方端部が上側(硬貨判別部310寄り)に、他方端部が下側になるよう、傾斜して設けられている。これにより、投入硬貨が他方端部側から順に保持されるようになる。また、第1保持部303は硬貨が転動可能な第1軌道部を含み、該第1軌道部は複数枚数の第1種別の硬貨を保持可能な長さを有する。第1保持部303において保持可能な第1種別の硬貨の枚数は、突起部303aの位置を移動させることにより設定することができる。第1保持部303は、突起部303aの位置を決める凹部303bを複数有しており、凹部303bの何れかの位置に突起部303aを配置することにより、保持可能な枚数を設定することができる。第1保持部303は、保持可能な枚数以上の硬貨が投入された場合に、余剰分の硬貨を現金返却口106を介して排出するように構成されている。
【0030】
第1保持部303の上記一方端部(上側端部)と上記他方端部(下側端部)には、センサユニット308aと308bとが第1軌道部に沿って、硬貨の画像を撮像可能に配置されている。センサユニット308aは、硬貨判別部310から排出された硬貨の画像を取得する撮像センサであり、当該画像に基づいて図3に不図示の制御部201は、硬貨の種別及び枚数を判定することができる。また、センサユニット308bは、第1保持部303における硬貨の有無を判断するための硬貨の画像を取得する撮像センサであり、当該画像に基づいて制御部201は、第1保持部303における硬貨の有無を判定することができる。センサユニット308a及び308bは、図2の第1硬貨センサ203に対応する。
【0031】
なお、図2の説明において第1硬貨センサ203を所定の時間間隔で静止画の撮影を繰り返すように制御する旨を記載したが、所定の時間間隔をセンサユニット308aと308bとで異ならせてもよい。例えば、センサユニット308aは排出される硬貨を撮像するため時間間隔を短く設定する(第1時間間隔値:例えば0.1秒)一方、センサユニット308bは第1保持部303に保持されている硬貨を撮像するので時間間隔を長く設定(第2時間間隔値:例えば1秒)してもよい。
【0032】
第2保持部304は、所定の種別の硬貨のうち、第1種別とは異なる第2種別の硬貨を保持する。第2保持部304は、本体部301において一方端部が上側(硬貨判別部310寄り)に、他方端部が下側になるよう、傾斜して設けられている。これにより、投入硬貨が他方端部側から順に保持されるようになる。また、第2保持部304は、硬貨が転動可能な第2軌道部を含み、該第2軌道部は複数枚数の第2種別の硬貨を保持可能な長さを有する。第2保持部304において保持可能な第2種別の硬貨の枚数は、突起部304aの位置を移動させることにより設定することができる。第2保持部304は、突起部304aの位置を決める凹部304bを複数有しており、凹部304bの何れかの位置に突起部304aを配置することにより、保持可能な枚数を設定することができる。第2保持部304は、保持可能な枚数以上の硬貨が投入された場合に、余剰分の硬貨を現金返却口106を介して排出するように構成されている。
【0033】
第2保持部304の上記一方端部(上側端部)と上記他方端部(下側端部)には、センサユニット309aと309bとが第2軌道部に沿って、硬貨の画像を撮像可能に配置されている。センサユニット309aは、硬貨判別部310から排出された硬貨の画像を取得する撮像センサであり、当該画像に基づいて制御部201は、硬貨の種別及び枚数を判定することができる。また、センサユニット309bは、第2保持部304における硬貨の有無を判断するための硬貨の画像を取得する撮像センサであり、当該画像に基づいて制御部201は、第2保持部304における硬貨の有無を判定することができる。センサユニット309a及び309bは、図2の第2硬貨センサ204に対応する。
【0034】
なお、図2の説明において第2硬貨センサ204についても所定の時間間隔で静止画の撮影を繰り返すように制御する旨を記載したが、所定の時間間隔をセンサユニット309aと309bとで異ならせてもよい。例えば、センサユニット309aは排出される硬貨を撮像するため時間間隔を短く設定する(第1時間間隔値:例えば0.1秒)一方、センサユニット309bは第2保持部304に保持されている硬貨を撮像するので時間間隔を長く設定(第2時間間隔値:例えば1秒)してもよい。
【0035】
本実施形態では、一例として第1種別の硬貨を500円硬貨とし、第2種別の硬貨を100円硬貨とする。例えば、800円が代価として設定される場合、組み合わせとして500円硬貨1枚と100円硬貨3枚が考えらえる。本実施形態においては、500円硬貨2枚でお釣りが発生する場合や、100円硬貨8枚の場合は除外するが、これらの組合せにおいても購入可能としてもよい。よって、第1保持部は1枚の500円硬貨を保持するように突起部303aの位置が決定され、第2保持部は3枚の100円硬貨を保持するように突起部304aの位置が決定される。
【0036】
図2の制御部201は、センサユニット308a及び309aから送信された画像に基づいて第1保持部303及び第2保持部304に、それぞれ所定枚数(例えば、それぞれ第1の枚数、及び、第2の枚数)の硬貨が投入された(即ち、所定金額が投入された)こと、及び、センサユニット308b及び309bから送信された画像に基づいて第1保持部303及び第2保持部304に硬貨が保持されていることを検知すると、ハンドル103と接続している回動部307のロックを解除し、ハンドル103が回動可能となる。回動部307が回動すると、それに伴って第1保持部303及び第2保持部304は、保持していた硬貨を保持可能な状態から非保持状態に移行するために本体部に対して下側に傾くように動作し、保持されていた硬貨が不図示の硬貨収容部に排出される。硬貨の排出し、非保持状態になった後は、また新たな硬貨を保持することが可能となる。
【0037】
具体的には、上述の保持部材による第1保持部303及び第2保持部304内での硬貨の保持状態を解除すべく、第1保持部303及び第2保持部304の下側端部が下方に更に傾くように動作する。当該動作により保持状態が解除されると、保持されていた硬貨は第1保持部303及び第2保持部304の傾斜に沿って下側の硬貨収容部に排出され、非保持状態となる。これにより、センサユニット308b及び309bにおける撮像画像では硬貨の存在が確認できなくなるので、制御部201は再び回動部307をロックすると共に、各センサユニットの撮像動作を停止する。なお、各センサユニットは、第1保持部303及び第2保持部304が動作する際に一体的に動作するように各保持部に対して取り付けられている。
【0038】
硬貨収容部は、第1保持部303及び第2保持部304の下側、換言すると保持機構300の下側に配置され、第1保持部303に保持された第1種別の硬貨のみを収容する第1硬貨収容部と、第2保持部304に保持された第2種別の硬貨のみを収容する第2硬貨収容部とがある。第1硬貨収容部と第2硬貨収容部とは、各種別の硬貨を個別に収容可能であれば、一体的に構成されていてもよいし、別体として構成されていてもよい。
【0039】
第1保持部303及び第2保持部304は、それぞれ硬貨判別部310において種別が判別された硬貨を保持するための傾斜部を有しており、当該傾斜部は硬貨判別部310の種別毎の硬貨の排出口から、第1保持部303及び第2保持部304の先端に向かって下っていくように傾斜が付けられている。当該傾斜の向きは第1傾斜部302の傾斜の向きとは異なっている。第1傾斜部302の傾斜は、上側から硬貨判別部310の位置する下側に向かっており、第1保持部303及び第2保持部304の傾斜は、下側から硬貨判別部310の位置する上側に向かっている。第1保持部303及び第2保持部304の傾斜部の先端には、第1保持部303及び第2保持部304内に保持される硬貨を保持状態におくための保持部材が配置されており、当該保持部材がストッパーの役割を果たすことで、硬貨が各保持部内で保持状態におかれる。保持部材は現金返却ボタン107の操作を受け付けた場合、或いは、ハンドル103が回動された場合に解除され、各保持部内の硬貨は排出可能となる。
【0040】
硬貨判別部310は、投入された硬貨が所定の種別の硬貨でないと判別した場合、投入硬貨を第1保持部303や第2保持部304には排出せずに排出路305に排出する。排出路305は、現金返却口106と接続されており、排出路305に排出された硬貨は、現金返却口106から回収することができる。また、現金返却ボタン107が操作された場合も、第1保持部303、第2保持部304で保持されていた第1種別の硬貨及び第2種別の硬貨は、現金返却ボタン107の操作に応じて保持状態が解除されて現金返却口106に排出され、非保持状態となる。
【0041】
図4は、硬貨判別部310が取り外された状態の本体部301の構成の一例を示す。本体部301には、硬貨判別部310を装着可能な装着部311が設けられている。装着部311は、硬貨判別部310の外形に対応する凹部を有する。装着部311の下方には、排出路305につながる開口305aが設けられており、硬貨判別部310において、所定の種別の硬貨と判別されなかった硬貨は当該開口を介して排出路305に排出され、排出路305を通って開口305bから現金返却口106に排出される。
【0042】
次に、図5を参照して、本実施形態に対応する制御部201の処理の流れを説明する。図5は、制御部201の動作の一例を示すフローチャートである。
【0043】
まず、硬貨判別部202が硬貨の投入を検知すると、S501において制御部201は、硬貨判別部202から硬貨検知通知を受信する。続くS502において制御部201は、第1硬貨センサ203及び第2硬貨センサ204を起動し、画像の撮像動作を開始する。続くS503において、制御部201は、硬貨判別部202から投入硬貨が不適正な硬貨であった旨の通知を受信したかどうかを判定する。投入硬貨が不適正な場合、例えば10円、50円、1円の硬貨や外国の硬貨であった場合、或いは、贋貨が投入された場合(S503で「YES」)、処理はS504に進む。一方、投入硬貨が適正であった場合には上記通知は受信せず、処理はS505に進む。
【0044】
S504において制御部201は、投入済みの硬貨により投入金額が算出されているか(例えば、第1保持部303及び/又は第2保持部304に100円、500円硬貨が投入済みであるか)を判定し、もし、投入金額が算出されている場合には(S504において「YES」)、処理はS505に進む。この場合、投入金額が算出済みであるということは誤って10円などが投入されたおそれがあるので、各センサの動作は停止せず処理を継続する。一方、投入金額が算出されていない場合には(S504において「NO」)、処理はS511に進む。この場合、適正な硬貨が投入されていない状態であるので各センサの動作を停止する。
【0045】
S505において制御部201は、第1硬貨センサ203及び第2硬貨センサ204から撮像画像を受信する。第1硬貨センサ203及び第2硬貨センサ204は、上記のように所定の時間間隔で画像撮像を行い、撮像画像を制御部201に送信する。続くS506において、制御部201は、受信した撮像画像に基づき、公知のパターンマッチング技術等を用いて、硬貨の種別の判別を行い、種別の判別結果に従って、硬貨の有無、硬貨の投入枚数、及び、投入金額の合計を判定する。
【0046】
続くS507において制御部201は、投入金額の合計が所定金額に到達したかどうかを判定する。例えば、所定金額が800円とすると、100円玉3枚と500円玉1枚が投入されると、所定金額に到達する。所定金額に到達すると(S507で「YES」)処理はS508に進む。一方、所定金額に満たない場合(S507で「NO」)、処理はS503に戻る。
【0047】
S508において、制御部201は、ロック機構205のロックを解除する。これによりハンドル103と接続している回動部307のロックが解除されるので、ハンドル103が回動可能となる。続くS509ではハンドルが回動されたかどうかを判定する。ハンドルの回動は、例えば、センサユニット308b及びセンサユニット309bの各撮像画像の解析結果に基づき、ロック機構205のロック解除後に第1保持部303及び第2保持部304において硬貨の存在が確認できなくなったかどうかにより判定することができる。
【0048】
制御部201は、ハンドルが回動されたと判定すると(S509において「YES」)、S510において、ロック機構205を再度ロックすると共に、S511において第1硬貨センサ203、第2硬貨センサ204の動作を停止して、本処理を終了する。
【0049】
図6は、硬貨判別部310の外観構成の一例を示す。図6(A)は、硬貨判別部310の上面側の構造を示す図であり、図6(B)は、硬貨判別部310の底面側の構造を示す図である。ここに示すように硬貨判別部310は、投入された硬貨を取り込む第1開口部310aが形成されており、第1開口部310aから硬貨を取り込むと硬貨投入を検知し、その旨を制御部201に通知する(図5のS501)。また、硬貨判別部310は投入硬貨に対し真贋判別及び種別の判別を行い、真貨と判別された場合には、さらに種別が判別される。ここで、第1種別の硬貨と判別された場合には、第1保持部303につながる通路を通過して底面に形成されている第2開口部310bより第1保持部303に排出されるように構成されている。このとき排出された硬貨は、センサユニット308aにより画像が撮像され、撮像画像が制御部201に提供され、硬貨の種別、枚数を判定可能となる。また、最初に第1保持部303に排出された硬貨は、センサユニット308bにより画像が撮像され、撮像画像が制御部201に提供され、第1保持部303における硬貨の有無を判定可能となる。
【0050】
また、第2種別の硬貨と判別された場合には、第2保持部304につながる通路を通過して底面に形成されている第3開口部310cより第2保持部304に排出されるように構成されている。このとき排出された硬貨は、センサユニット309aにより画像が撮像され、撮像画像が制御部201に提供され、硬貨の種別、枚数を判定可能となる。また、最初に第2保持部304に排出された硬貨は、センサユニット309bにより画像が撮像され、撮像画像が制御部201に提供され、第2保持部304における硬貨の有無を判定可能となる。
【0051】
これにより、保持機構300においては、第1傾斜部302から硬貨判別部310を介して第1保持部303へ連通する第1通路部と、第1傾斜部302から硬貨判別部310を介して第2保持部304へ連通する第2通路部とが形成される。
【0052】
また、硬貨判別部310により贋貨と判別された場合、或いは、種別が第1または第2種別以外の第3種別の硬貨の場合には、排出路305の開口305aにつながる通路を通過して、第4開口部310dから排出されるように構成されている。また、このとき硬貨判別部310は、判別の結果、投入硬貨が不適正な硬貨であった場合はその旨を制御部201に通知する(図5、S503)。このとき排出された不適正硬貨は、センサユニット308aやセンサユニット309aにより撮像されることはなく、また、投入金額が確認されていない場合には各センサユニットの動作が停止される。第4開口部310dは、第1種別の硬貨、及び、第2種別の硬貨は通過不可能であって、これら以外の第3種別の硬貨、又は、贋貨のみが通過可能である。なお、電子決済部206により電子決済が完了済みの場合、制御部201は、硬貨判別部310を、第1種別の硬貨及び第2種別の硬貨であっても第4開口部310dを通過させるよう制御することができる。
【0053】
次に、図7を参照して、ハンドル103に対する操作に応じた動力を伝達する伝達機構について説明する。図7は、当該動力の伝達機構を説明するための概略図である。図7において、ハンドル103の回動中心軸にギア連動機構の一部を構成する主軸体701の一端が取り付けられている。この主軸体701は他端に平歯車702を固定している。平歯車702の上方には平歯車702と噛み合う小歯車703が回動可能に軸支されている。さらに、小歯車703の上方には、小歯車703と噛み合う平歯車704が、回動可能に軸支されている。平歯車704には互いに中心軸が同じとなる歯車部704Aが一体的に形成されている。
【0054】
物品収容部101の底壁を構成する中間壁の上には、回転台705が回転可能に設けられており、回転台705の底面には、歯型706が形成され、歯型706に対して歯車部704Aが噛み合っている。従って、ハンドル103を手動で矢印T1方向に回動させると、主軸体701を介して回動力が平歯車702に伝えられ、これに噛合している小歯車703および歯車704を介して矢印T2方向の回動力が回転台705に伝達される。そして、ハンドル103の操作を続けることにより回転台705が所定角度回転して、回転台705の切欠707の一つが物品収容部101の中間壁の取出孔708と一致すると、物品収容部101の中に収納された収容物Aの一つが、回転台705の切欠707を通って取出口105に送られ、取出口105から払い出される。また、平歯車702の斜め下方には、この平歯車702と噛み合う平歯車709が回動自在に軸支されている。この平歯車709の下方には、この平歯車709と噛み合う小歯車710が一端に取り付けられた中間軸711が、回動可能に軸支されている。また、中間軸711の略中央部には、傘歯車612が取り付けられている。
【0055】
ユーザがハンドル103を回動させると、主軸体701が回動して平歯車702を回動させる。これにより、一方では、小歯車703および平歯車704および歯車部704Aを介して回転台705を回転させる。また、他方では、平歯車702の回動により、平歯車709および小歯車710を介して中間軸711を回動させて、傘歯車712を回動させる。このため、傘歯車712の回動を阻止すると、ハンドル103の回動および回転台705の回転も阻止されることになる。
【0056】
傘歯車712には、傘歯車713が噛合している。従って、ハンドル103の回動に伴い、傘歯車712が回動しようとすると、傘歯車713も回動しようとするが、歯車713は回動部307と一体化されている。従って、回動部307は回動がロックされている場合には、傘歯車713は回動することができず、結果としてハンドル103の回動が阻止される。このように、回動部307のロック状態においては傘歯車712および傘歯車713も回動を阻止され、ハンドル103が回動できないので、回転台705が回転せず、収容物Aを取り出すことができない。
【0057】
なお、図7においては、ハンドル103に直接に接続されている主軸体701と、回動部307と連携する傘歯車712が取り付けられている中間軸711が別体となっているが、傘歯車712を主軸体701に設けるようにしてもよい。
【0058】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7