(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】浴場排水浄化装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20230619BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20230619BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20230619BHJP
C02F 1/461 20230101ALI20230619BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D61/04
C02F1/28 D
C02F1/461 101Z
(21)【出願番号】P 2020106086
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】399130304
【氏名又は名称】ゼオライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 謙志
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/049579(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0118780(US,A1)
【文献】特開2003-039071(JP,A)
【文献】特開2012-217975(JP,A)
【文献】特開2008-039631(JP,A)
【文献】特開2003-275761(JP,A)
【文献】特開2007-098355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
1/46 - 1/48
B01D 61/00 - 71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴場排水を被処理水として不純物を除去する逆浸透膜装置と、
前記逆浸透膜装置から排出された不純物が濃縮された濃縮水からイオン化した不純物を電圧が印加された電極に吸着させて除去した電解処理水を、前記逆浸透膜装置に被処理水として戻す電解処理装置と、
前記被処理水を、前記逆浸透膜装置へ圧送する高圧ポンプと、
前記高圧ポンプへの被処理水にスケール防止剤を投入する混合装置と、
前記逆浸透膜装置からの処理水を浴場への補給水として再利用するために前記浴場に送水する送水ポンプとを備えた
浴場排水浄化装置であり、
前記逆浸透膜装置の上流側に被処理水を貯留する貯留槽が設けられ、
前記電解処理装置は、前記電解処理水を前記被処理水として前記貯留槽へ送水する浴場排水浄化装置。
【請求項2】
前記貯留槽と前記逆浸透膜装置との間には、活性炭ろ過装置が設置された請求項
1記載の浴場排水浄化装置。
【請求項3】
前記電解処理装置は、複数台が並列に設置され、
前記複数台の電解処理装置に、濃縮水から電解処理水を生成する第1稼働状態と、前記電極の極性を反転して不純物を含む廃水を排出する第2稼働状態とのいずれかを指示して、1台以上の前記電解処理装置を前記第1稼働状態で動作させる制御盤を備えた請求項1
または2に記載の浴場排水浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜装置から排出された不純物が濃縮された濃縮水を温水のまま再利用することで、再加熱に必要な燃料を抑えつつ、水資源の節約を図る浴場排水浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プールや浴槽などの水槽からの水は、水浄化装置により浄化することで再利用される。
水浄化装置では、浄化のために様々な種類のろ過機が使用される。その中でも、RO膜とも称される逆浸透膜を用いた逆浸透膜装置は、逆浸透膜の孔が2nm以下で微小であることから、水の浄化には好適である。しかし、逆浸透膜装置では、逆浸透膜を通過することで不純物が除去された処理水の他に、逆浸透膜を通過できなかったために不純物が多く含まれた濃縮水が排水される。
従って、逆浸透膜装置は、常に濃縮水が捨てられるため、無駄が多く発生する。このような逆浸透膜装置を用いた水浄化装置に関して、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の水処理装置及び水処理方法は、被処理水を貯留する、プールや浴場の浴槽などの大型の水槽から導入された被処理水に塩素イオンを含む電解質溶液を添加して電気化学反応によって滅菌する電解槽に、被処理水を水槽から導入し、滅菌処理後に水処理経路により水槽に還流させるものであり、被処理水に含まれる溶解性物質を濃縮装置の内部に設けられた逆浸透膜によって濃縮分離するものである。濃縮装置にて分離された各種有機物やイオン類が濃縮されて水質が低下した濃縮液は、貯留槽を介して電解槽にて導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-39071号公報
【文献】特開2013-108104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の水処理装置及び水処理方法では、浴場の浴槽などの水槽から排出された被処理水を様々な処理を経て再度水槽へ戻しているため、温水のまま再利用することで、再加熱に必要な燃料を抑えることができるものと思われる。
しかし、特許文献1に記載の水処理装置及び水処理方法では、浸透膜によって濃縮分離する濃縮装置からの濃縮水が、貯留槽を介して電解槽にて導入され、電気化学反応によって滅菌する電解槽の滅菌処理後に水槽に還流させている。
そのため、特許文献1に記載の水処理装置及び水処理方法では、濃縮装置からの水質が低下した濃縮液が、電解槽を通って、水槽に還流するため、浄化が不十分である。そうなると被処理水の還流を繰り返すと、徐々に水槽の品質が低下してしまう。
濃縮装置から排出される濃縮液が十分に浄化できれば、濃縮水の再利用により、水の消費量を低減させることができる。
【0006】
そこで本発明は、濃縮水を十分に浄化して、温水のまま再利用することで、水の消費量を低減させることが可能であり、再加熱に必要な燃料を抑えることが可能な浴場排水浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の浴場排水浄化装置は、浴場排水を被処理水として不純物を除去する逆浸透膜装置と、前記逆浸透膜装置から排出された不純物が濃縮された濃縮水からイオン化した不純物を電圧が印加された電極に吸着させて除去した電解処理水を、前記逆浸透膜装置に被処理水として戻す電解処理装置と、前記被処理水を、前記逆浸透膜装置へ圧送する高圧ポンプと、前記高圧ポンプへの被処理水にスケール防止剤を投入する混合装置と、前記逆浸透膜装置からの処理水を浴場への補給水として再利用するために前記浴場に送水する送水ポンプとを備えことを特徴としたものである。
【0009】
本発明によれば、逆浸透膜装置から不純物を含む濃縮水が排出されるが、濃縮水を再利用しようとして、そのまま逆浸透膜装置へ戻すと、不純物が大量に含まれるため、逆浸透膜装置にて早期に浄化機能が低下してしまうが、電解処理装置が、この濃縮水からイオン化した不純物を除去して電解処理水として逆浸透膜装置へ戻しているので、逆浸透膜装置への負担を過度に高めることなく、濃縮水を再利用することができる。
【0010】
前記逆浸透膜装置の上流側に被処理水を貯留する貯留槽が設けられ、前記電解処理装置は、電解処理水を前記貯留槽へ送水するものとすることができる。
被処理水を貯留する貯留槽に、電解処理水を戻すことにより、貯留槽から逆浸透膜装置への流量を調整することができるため、逆浸透膜装置への流量を安定させることができる。
【0011】
前記貯留槽と前記逆浸透膜装置との間には、活性炭ろ過装置が設置されたものとすることができる。逆浸透膜装置に送水される被処理水を前処理する活性炭ろ過装置が設置されているため、活性炭が被処理水から不純物を吸着して除去すると共に、脱臭、脱色を行うので、逆浸透膜装置への負担を軽減することができる。また、電解処理装置が浄化した電解処理水も、貯留槽を介して、再び、活性炭ろ過装置にて浄化されるので、電解処理水に対して浄化することができるため、逆浸透膜装置への負担を更に軽減することができる。
【0012】
前記電解処理装置は、複数台が並列に設置され、前記複数台の電解処理装置に、濃縮水から電解処理水を生成する第1稼働状態と、前記電極の極性を反転して不純物を含む廃水を排出する第2稼働状態とのいずれかを指示して、1台以上の前記電解処理装置を前記第1稼働状態で動作させる制御盤を備えたものとすることができる。
複数台の電解処理装置を設置して、制御盤が1台以上の電解処理装置に第1稼働状態で動作させることを指示し、残りの電解処理装置が第2稼働状態で動作することを指示する。そうすることで、電解処理装置が廃水を排出している期間に、他のいずれかの電解処理装置が第1稼働状態で電解処理水を生成している。そのため、電解処理水を止めることなく生成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、電解処理装置が、逆浸透膜装置からの濃縮水からイオン化した不純物を除去して電解処理水として逆浸透膜装置へ戻しているので、逆浸透膜装置への負担を過度に高めることなく、濃縮水を再利用することができる。よって、本発明は、濃縮水を十分に浄化して、温水のまま再利用することで、水の消費量を低減させることが可能であり、再加熱に必要な燃料を抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る浴場排水浄化装置を説明するための図である。
【
図2】
図1に示す浴場排水浄化装置の前処理部を説明するための図である。
【
図3】
図1に示す浴場排水浄化装置の逆浸透膜処理部と帰還用浄化部を説明するための図である。
【
図4】
図1に示す浴場排水浄化装置の後処理部を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る浴場排水浄化装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る水浄化装置を、図面に基づいて説明する。本実施の形態1に係る水浄化装置は、入浴施設に設置され、浴場からの排水を浄化して補給水として再利用する浴場排水浄化装置である。
図1に示す浴場排水浄化装置10は、前処理部20と、逆浸透膜処理部30と、帰還用浄化部40と、後処理部50と、制御盤60とを備えている。
【0016】
(前処理部の構成)
まず、前処理部20の構成について、
図2に基づいて説明する。
図2に示すように、前処理部20は、温水である浴場排水が被処理水となって貯留される排水槽21と、排水槽21に接続されたスクリーン22と、スクリーン22に接続された生物ろ過槽23と、生物ろ過槽23に曝気槽ポンプ24を介して接続された液中膜槽25とを備えている。
曝気槽ポンプ24は、交互に運転されるために2基設置されている。
排水槽21には、曝気用の排水散気ブロワ21aからの空気を散気する散気管21bと、排水槽21の被処理水を送水する2基の送水ポンプ21cとが、槽内に配置されている。
【0017】
スクリーン22は、幅狭なスリットが多数並んだ金属板に被処理水を通過させることで垢や髪の毛などを除去するものである。
生物ろ過槽23には、曝気用の生物ろ過散気ブロワ23aからの空気を散気する散気管23bが、槽内に配置されている
液中膜槽25は、活性汚泥に含まれる好気性微生物により汚物を分解するものである。
液中膜槽25には、槽内に空気を送気するために、交互に運転される2基の液中膜ブロワ25aが配置されている。また、液中膜槽25には、槽内の被処理水を引き上げるために、並列に同時運転される2基の吸引ポンプ25bが配置されている。
液中膜槽25には、液中膜槽25から流出された被処理水が再び流入するように接続された循環管路P11に、循環ポンプ25cが設けられている。
液中膜槽25は、原水メーターM11および濁度計M12が設けられた配管P12を介して逆浸透膜処理部30に接続されている。
【0018】
(逆浸透膜処理部の構成)
次に、逆浸透膜処理部30の構成について、
図3に基づいて説明する。
図3に示すように、逆浸透膜処理部30は、前処理部20の液中膜槽25(
図2参照)に接続された中継槽31と、中継槽31とろ過ポンプ32を介して接続された活性炭ろ過装置33と、活性炭ろ過装置33に接続されたチェックフィルタ34と、チェックフィルタ34に接続された高圧ポンプ35と、高圧ポンプ35に接続された逆浸透膜装置36とを備えている。
【0019】
中継槽31は、前処理部20(
図2参照)からの被処理水を一時的に貯留する貯留槽である。また、中継槽31には、帰還用浄化部40からの処理水が送水される配管P31が接続されている。
ろ過ポンプ32は、通常時は交互に運転されるために2基設置されている。
活性炭ろ過装置33(ろ過装置)は、活性炭により被処理水をろ過する。
チェックフィルタ34は、筒状の芯材に何重にも糸を巻いた糸巻きフィルタがカートリッジフィルターとして内蔵されている。糸巻きフィルタは内側から外側に向かって不純物を通過させることにより捕捉する。
チェックフィルタ34と高圧ポンプ35との間の配管P21には、スケール防止剤を投入するための混合装置37からの配管が接続されている。
【0020】
逆浸透膜装置36は、2nm以下の孔により、水を通過させるが不純物を通過させない、RO膜とも称される逆浸透膜に、圧力を掛けた被処理水を通過させることで、被処理水から不純物を除去するものである。
逆浸透膜装置36は、被処理水から不純物が除去された水は処理水(浴槽給水)として排出され、逆浸透膜が通過できずに不純物が濃縮された水は濃縮水として排出される。
逆浸透膜装置36の処理水が送水され、後処理部50に接続される配管P22には、pH調整剤と、減菌剤とを投入するための混合装置38,39からの配管が接続されている。この配管P22には、pHを測定するためのpH計M21と、電気伝導率を測定する導電率計M22とが設けられている。
また、逆浸透膜装置36からの濃縮水が送水される配管P23には、帰還用浄化部40が接続されている。
更に、逆浸透膜装置36からの濃縮水が送水される配管P24が高圧ポンプ35の上流側に接続されている。
【0021】
(帰還用浄化部の構成)
次に、帰還用浄化部40を
図3に基づいて説明する。
図3に示すように、帰還用浄化部40は、逆浸透膜処理部30からの配管P23に接続される電解処理装置41を備えている。
配管P23には、水流計M31と、導電率計M32とが設けられている。
また、電解処理装置41からの電解処理水が送水される配管P31には、導電率計M33が設けられている。また、導電率計M33が設けられた配管P31の下流側には、電解処理装置41からの廃水が下水放流される配管P32が接続されている。
【0022】
ここで、電解処理装置41について説明する。
電解処理装置41は、一対の電極に電圧を印加して、濃縮水に含まれるイオン性の不純物を、マイナスイオン化した不純物を正極に、プラスイオン化した不純物を負極に吸着させることで、電極間に流れる不純物が除去された水を電解処理水として排出するものである。
電解処理装置41は、電極への電圧の極性を反転させることで、それぞれの電極から不純物を引きが剥がすことができる。
電解処理装置41は、例えば、特許文献2に記載の電解処理装置が使用できる。
【0023】
この電解処理装置は、陽極及び陰極の両電極の間に溶存イオンを含有する原料水を流し、電圧を印加し、溶存イオンのうち陰イオン成分を陽極に、陽イオン成分を陰極に吸着して濃縮し、両電極を短絡させるか逆電流を流す等の方法により、濃縮されたイオンを各電極から脱着させる脱イオン装置(以下、「CDI装置」という)と電解セルから構成された、というものである。
また、電解処理装置41は、シオンテック社のスマート脱イオンシステム(Smart Deionization System:SDI(商標))が使用できる。
【0024】
(後処理部の構成)
次に、後処理部50の構成について、
図4に基づいて説明する。
図4に示す後処理部50は、逆浸透膜処理部30からの配管P22からの処理水を再生水として貯留する処理水槽51と、処理水槽51と送水ポンプ52を介して接続された二次処理水槽53と、二次処理水槽53と送水ポンプ54aを介して接続された熱交換器55と、熱交換器55に接続された温水槽56と、温水槽56からの温水を補給水W3として浴場に送水する送水ポンプ57とを備えている。
【0025】
処理水槽51は、一時的に処理水を貯留するものであり、市水補給弁51aを介して市水が補給される。
処理水槽51には、処理水槽51から流出された処理水が再び流入するように接続された循環管路P41に、減菌剤を投入するための混合装置51bが接続されている。この循環管路P41には、循環ポンプ51cと残留塩素計M41が設けられている。
二次処理水槽53には、水位計53aが設置されている。二次処理水槽53からの再生水を各浴槽の給水(浴槽給水W1)に使用するための送水ポンプ54bが設けられている。
また、二次処理水槽53からの再生水を、水風呂補給水W2としたり、浴場への補給水W3としたりするための送水ポンプ54cが設けられている。
温水槽56には、水位計56aが設置されている。
また、温水槽56には、温水槽56から流出された温水が再び流入するように接続された循環管路P42に、熱交換器56bが設けられている。この循環管路P42には、循環ポンプ56cが設けられている。
【0026】
図1に示す制御盤60は、各部に設置された計器からの信号に基づいて浴場排水浄化装置10を全体制御するものである。
制御盤60は、
図2から
図4に示すように、主制御盤61と、屋内盤62と、屋外盤63(
図4参照)とから構成されている。
主制御盤61は、全体制御を行うための制御部が格納されている。
主制御盤61は、水流計、水位計、導電率計、pH計からの信号に基づいて、各ブロアとポンプとに電源を供給する。
屋内盤62は、液中膜槽25を制御すると共に、主制御盤61からの信号や電源を屋外盤63へ中継する機能を有する。
【0027】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る浴場排水浄化装置の動作および使用状態について図面に基づいて説明する。
(前処理部での処理)
まず、
図2に示すように、浴場排水からの被処理水は、排水槽21に貯留される。排水槽21に貯留された被処理水は、送水ポンプ21cのよりスクリーン22へ送水される。
スクリーン22では、髪の毛や垢が金属板に形成されたスリットを通過することで除去される。
スクリーン22から生物ろ過槽23へ送水された被処理水は、好気性微生物により溶け込んだ不純物が分解され、除去される。
更に、生物ろ過槽23から曝気槽ポンプ24により送水された被処理水は、液中膜槽25により活性汚泥に含まれた好気性微生物により不純物が分解され、除去される。
そして、吸引ポンプ25bにより生物ろ過槽23から逆浸透膜処理部30へ、配管P12を介して送水される。
【0028】
(逆浸透膜処理部での処理)
図3に示すように、逆浸透膜処理部30では、まず、中継槽31に、前処理部20からの被処理水が貯留される。中継槽31からろ過ポンプ32により送水された被処理水は、活性炭ろ過装置33へ送水される。活性炭ろ過装置33では、多孔質の活性炭により、被処理水中の有害物質および臭気物質等を吸着させ、除去して、脱色、脱臭する。
次に、チェックフィルタ34に送水された被処理水は、チェックフィルタ34の糸巻きフィルタにより、活性炭ろ過装置33では除去できなかった不純物を除去する。こうすることで、逆浸透膜装置36へ導入される前の被処理水からできるだけ不純物を除去することができる。
チェックフィルタ34から高圧ポンプ35に繋がる配管P21には、混合装置37によりスケール防止剤が投入される。
スケール防止剤が投入されることで、高圧ポンプ35より下流の配管の内周壁に、被処理水に溶解したカルシウムが析出して付着して積層してしまうことを防止することができる。
【0029】
次に、高圧ポンプ35が逆浸透膜装置36へ送水される被処理水に圧力を掛ける。高圧ポンプ35により圧力が掛かった状態の被処理水は、逆浸透膜装置36へ圧送される。
逆浸透膜装置36は逆浸透膜を通過して不純物が除去された処理水は、後処理部50へ配管P22を通じて送水される。
このとき、処理水には、pH調整剤が混合装置38により混合され、減菌剤が混合装置39により混合される。
【0030】
処理水が再生水として配管P22を通じて後処理部50に送水されるときに、pH計M21によりpH値が測定され、導電率計M22により電気伝導率が測定される。
pH計M21により測定されたpH値に基づいて主制御盤61は、
図2に示すpH調整剤を投入する混合装置38を調整する。
また、導電率計M22により測定された電気伝導率に基づいて主制御盤61は、浄化度を高めるために、各ろ過槽での除去度を高めたり、不純物が含有される度合いが低い濃縮水の場合には、逆浸透膜装置36からの濃縮水を、配管P23により帰還用浄化部40へ流さずに、配管P24により高圧ポンプ35の上流側に送水したりする。
【0031】
(後処理部での処理)
図4に示すように、後処理部50では、再生水が、まず第1次貯留槽としての処理水槽51に貯留される。このとき水量が不足するようであれば、市水補給弁51aが開栓され、市水が補充される。
また、処理水槽51から送水ポンプ52により送水された再生水は、第1次貯留槽としての二次処理水槽53に送水される。
二次処理水槽53に貯留された再生水の温度が十分であれば、送水ポンプ54bにより各浴槽へ送水される。
二次処理水槽53に貯留された再生水の温度が低い場合でも、水風呂であれば使用できる。その場合には、送水ポンプ54cにより水風呂補給水W2として送水したり、浴場の補給水W3として送水したりする。
そして、浴場で使用する補給水W3として温度が低い場合には、送水ポンプ54aにより送水される再生水を、熱交換器55により循環する温水と熱交換されることにより加熱される。
【0032】
熱交換器55により加熱された再生水は、温水槽56に貯留される。温水槽56では、再生水が循環管路P42を循環ポンプ56cにより循環することで、循環管路P42に設けられた熱交換器56bにより更に加熱される。
そして、十分に加熱された温水槽56の貯留された再生水は、送水ポンプ57により補給水W3として浴場に送水される。
【0033】
(帰還用浄化部での処理)
次に、逆浸透膜処理部30の逆浸透膜装置36により不純物を含む水として排出された濃縮水の再生について説明する。
逆浸透膜装置36から排出された濃縮水は、配管P23により帰還用浄化部40に送水される。
帰還用浄化部40に送水された濃縮水は、配管P23に設けられた水流計M31により流量が測定され、導電率計M32により電気伝導率が測定される。
そして、濃縮水が電解処理装置41に送水されると、電解処理装置41によりイオン化した不純物が除去される。
不純物が除去された濃縮水は電解処理水となって、配管P31を介して中継槽31に送水される。
【0034】
中継槽31に戻った電解処理水は、被処理水と一緒に、再度、活性炭ろ過装置33、チェックフィルタ34を介して高圧ポンプ35により逆浸透膜装置36へ圧送される。
そして、上述したように逆浸透膜装置36からの処理水が再生水となって配管P22を介して後処理部50へ送水される。
【0035】
このように、逆浸透膜装置36から不純物を含む濃縮水が排出されるが、濃縮水を再利用しようとして、そのまま逆浸透膜装置36へ戻すと、不純物が大量に含まれるため、逆浸透膜装置36にて早期に逆浸透膜が劣化して浄化機能が低下してしまう。しかし、電解処理装置41が、この濃縮水からイオン化した不純物を除去している。従って、電解処理装置41は、逆浸透膜装置36の逆浸透膜を通過できなかったイオン化した不純物を除去することができるので、濃縮水を浄化することができる。
電解処理装置41は、濃縮水を浄化した電解処理水を、被処理水として逆浸透膜装置36へ戻しているので、逆浸透膜装置36への負担を過度に高めることなく、濃縮水を再利用することができる。
【0036】
また、電解処理水は、逆浸透膜装置36が被処理水を浄化して排出された濃縮水を電解処理装置41により浄化したものであり、濃縮水は、温水である浴場排水を逆浸透膜装置36に通過させたものであるため、市水より温度が高いので、市水を加熱して使用するよりエネルギーを節約することができる。
従って、浴場排水浄化装置10は、濃縮水を十分に浄化して、温水のまま再利用することで、水の消費量を低減させることが可能であり、再加熱に必要な燃料を抑えることが可能である。
【0037】
被処理水を貯留する中継槽31に、電解処理水を戻すことにより、中継槽31から逆浸透膜装置36への流量を調整することができるため、逆浸透膜装置36への流量を安定させることができる。
【0038】
中継槽31と、逆浸透膜装置36との間には、活性炭ろ過装置33が設置されているため、活性炭ろ過装置33における活性炭が被処理水から不純物を吸着して除去すると共に、脱臭、脱色を行うので、逆浸透膜装置36への負担を軽減することができる。また、電解処理装置41が浄化した電解処理水も、中継槽31を介して、再び、活性炭ろ過装置33にて浄化されるので、電解処理水に対して浄化することができるため、逆浸透膜装置36への負担を更に軽減することができる。
【0039】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る浴場排水浄化装置を図面に基づいて説明する。
なお、
図5においては、
図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図5に示す本実施の形態2に係る浴場排水浄化装置11は、帰還用浄化部40xに複数台の電解処理装置41を設置したものである。
本実施の形態2では、電解処理装置41を2台設置している。
【0040】
電解処理装置41は、濃縮水から電解処理水を生成する第1稼働状態で一定時間稼働させると、電極に不純物が蓄積されるため、不純物を電極から除去するには、電極の極性を反転して不純物を含む廃水を排出する第2稼働状態で動作する期間が必要になる。その期間では、電解処理装置にて電解処理水の生成ができない。
そこで、2台の電解処理装置41を設置して、制御盤60が、2台うちの一方の電解処理装置41に第1稼働状態で動作させることを指示し、残りの他方の電解処理装置41が第2稼働状態で動作することを指示する。
そうすることで、電解処理装置41が廃水を排出している期間に、他のいずれかの電解処理装置41が第1稼働状態で電解処理水を生成している。そのため、電解処理水の生成を止めることなく生成することができる。
なお、本実施の形態2では、2台の電解処理装置41を交互に第1稼働状態と第2稼働状態とを切り替えてもよいが、2台同時に第1稼働状態で動作させながら、いずれか一方の電解処理装置41を第2稼働状態で動作するように指示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、水を浄化する際に好適であり、入浴施設にて浴槽排水を浄化する際に最適である。
【符号の説明】
【0042】
10,11 浴場排水浄化装置
20 前処理部
21 排水槽
21a 排水散気ブロワ
21b 散気管
21c 送水ポンプ
22 スクリーン
23 生物ろ過槽
23a 生物ろ過散気ブロワ
23b 散気管
24 曝気槽ポンプ
25 液中膜槽
25a 液中膜ブロワ
25b 吸引ポンプ
25c 循環ポンプ
30 逆浸透膜処理部
31 中継槽
32 ろ過ポンプ
33 活性炭ろ過装置
34 チェックフィルタ
35 高圧ポンプ
36 逆浸透膜装置
37,38,39 混合装置
40,40x 帰還用浄化部
41 電解処理装置
50 後処理部
51 処理水槽
51a 市水補給弁
51b 混合装置
51c 循環ポンプ
52 送水ポンプ
53 二次処理水槽
53a 水位計
54a,54b,54c 送水ポンプ
55 熱交換器
56 温水槽
56a 水位計
56b 熱交換器
56c 循環ポンプ
57 送水ポンプ
60 制御盤
61 主制御盤
62 屋内盤
63 屋外盤
M11 原水メーター
M12 濁度計
M21 pH計
M22 導電率計
M31 水流計
M32,M33 導電率計
M41 残留塩素計
P11,P41,P42 循環管路
P12,P21,P22,P23,P24,P31,P32 配管
W1 浴槽給水
W2 水風呂補給水
W3 補給水