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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】光学デバイスの位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/00 20210101AFI20230619BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
G02B7/00 A
G02B27/02 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020526249
(86)(22)【出願日】2018-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2018059551
(87)【国際公開番号】W WO2019106637
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】62/593,945
(32)【優先日】2017-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバチンスキー,リリア
(72)【発明者】
【氏名】レビン,ナアマ
(72)【発明者】
【氏名】フロマー,アビブ
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-221235(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0062119(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106054392(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0198471(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0202048(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18 - 7/24
G02B 27/00 - 30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LOEと、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)、照明プリズムアセンブリ(16)、およびコリメーティングプリズムアセンブリ(18)を有する画像投影光学デバイス(10)とを含む、光学デバイスの構成要素を位置合わせするための方法であって、
LOEを固定された既知の方向に配備する工程と、
ディスプレイソースとコリメティングプリズムアセンブリとの間の距離を調節するために、前記ディスプレイソースを変位軸に沿って変位させる工程であって、前記ディスプレイソースと照明モジュールが、前記照明モジュールによって放射される光波が、照明プリズムアセンブリを介して前記ディスプレイソースに到達するように、前記照明プリズムアセンブリと位置合わせされる工程と、
前記ディスプレイソース、前記照明プリズムアセンブリ、および前記照明モジュールを、変位軸に対して垂直な面で、一体で並進移動させる工程と、を含み、
前記並進移動及び/又は変位させる工程が、前記ディスプレイソース、前記照明プリズムアセンブリおよび前記照明モジュールを共に単一のユニットとして移動させることを含む、方法。
【請求項2】
前記変位させる工程が、前記照明プリズムアセンブリと前記コリメーティングアセンブリとの間の間隙のサイズを調節するために、前記ディスプレイソース、前記照明プリズムアセンブリおよび前記照明モジュールを共に単一のユニットとして移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ディスプレイソースと前記照明プリズムアセンブリが、前記ディスプレイソースと前記照明プリズムアセンブリとの間に間隙を作り出すように位置合わせされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記変位させる工程が、前記ディスプレイソースと前記照明プリズムアセンブリとの間の前記間隙のサイズを調節するために、前記ディスプレイソースを移動させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ディスプレイソースを前記照明プリズムアセンブリに機械的に連結させる工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記コリメティングプリズムアセンブリを前記照明プリズムアセンブリに機械的に連結させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ディスプレイソースが前記照明プリズムアセンブリの光学軸の第1の構成要素に沿って配置されるように、前記ディスプレイソースと前記照明モジュールが前記照明プリズムアセンブリと位置合わせされ、且つ、前記照明モジュールが第1の軸に直交する前記照明プリズムアセンブリの前記光学軸の第2の構成要素に沿って配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ディスプレイソースと前記照明モジュールが、前記照明プリズムアセンブリの直交する面に機械的に連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コリメティングプリズムアセンブリと前記照明モジュールが、前記照明プリズムアセンブリの直交する面に機械的に連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ディスプレイソース、前記照明モジュールおよび前記コリメティングプリズムアセンブリの少なくとも1つを、前記照明プリズムアセンブリに機械的に連結させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記機械的に連結させる工程が、前記コリメティングプリズムアセンブリと前記照明プリズムアセンブリとの間のガラス製の1つ以上のスラブを、セメントで固定すること含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光学デバイスの前記構成要素が、前記電子ディスプレイソース、前記照明モジュール、前記照明プリズムアセンブリおよび前記コリメティングプリズムアセンブリを含み、前記機械的に連結させる工程が、前記光学デバイスの前記構成要素の少なくとも2つの間にゲルを配置することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記照明プリズムアセンブリと前記照明モジュールを、既知の配向で機械的アセンブリに機械的に連結させる工程であって、前記機械的アセンブリが、少なくとも1つの配向パラメータによって定義される既知の配向にあるテストパターンを含む工程と、
画像センサが前記テストパターンと位置合わせされる第1の位置に、前記画像センサが配置される時に、前記テストパターンの画像を捕捉する工程と、
前記テストパターンの推定配向を決定するために、捕捉画像を解析する工程と、
前記テストパターンの前記既知の配向と前記テストパターンの前記推定配向との間の比較に基づいて、前記画像センサの配向パラメータを調節する工程と、
前記画像センサが前記光学デバイスと位置合わせされる第2の位置に、前記画像センサが配置される時に、前記光学デバイスによって投影される画像を捕捉する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月3日に提出された米国仮特許出願第62/593,945からの優先権を主張し、その開示は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光学デバイスおよびシステムを位置合わせするための方法とデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
画像投影光学デバイス、より具体的にはマイクロディスプレイプロジェクタ、の製造および組立の間、最良の性能を達成するために、光学デバイスの、またはそれに関係する、光学的構成要素を、位置合わせおよび集束させる必要がある。マイクロディスプレイプロジェクタの一例は、Lumus社への特許文献1に開示されており、ここでは、ディスプレイソースおよびコリメート工学系はマイクロディスプレイプロジェクタに取り付けられている。投影される画像に対応する光波は、導光路光学素子(LOE)の端に配置されることが可能で、且つ、メガネのテンプルに埋め込まれるなど、メガネに構成され得る、または、ヘッドマウントディスプレイ装置に取り付けられ得る、マイクロディスプレイプロジェクタによって、導光路光学素子の中へカップリングされる。カップリングインされた光波は、全内部反射によって、LOEを通って導かれ、1つ以上の部分反射面による画像光波として、LOEからカップリングアウトされ、ユーザー(つまり観察者(viewer))の目(または両目)の中へカップリングされる。
【0004】
従来の集束および位置合わせの方法では、マイクロディスプレイプロジェクタの様々な光学的構成要素が、変位および並進を介して、互いに対して動かされる。しかし、そのような変位および並進はしばしば、ディスプレイソースがマイクロディスプレイプロジェクタの他の主要な構成要素との位置合わせから外れる結果となり、照明の均一性の低下をもたらす。さらに、従来の集束および位置合わせ手順は通常、マイクロディスプレイプロジェクタによって投影される光波に対応する画像を捕捉する画像センサ(つまりカメラ)に頼っている。特許文献1に開示されるLOEおよびマイクロディスプレイプロジェクタの例を使用すると、従来の集束および位置合わせ手順は、マイクロディスプレイプロジェクタの構成要素を集束および位置合わせさせるために、マイクロディスプレイプロジェクタのディスプレイソースを独立して動かし、マイクロディスプレイプロジェクタからの光波をLOEの中へカップリングさせ、且つ、画像としてLOEからカップリングアウトされる光波を捕捉する必要がある。しかしながら、画像センサおよびマイクロディスプレイプロジェクタのずれは、マイクロディスプレイプロジェクタの構成要素のずれを引き起こし得る。特に、もし、画像センサが基本軸(例えば光学軸)の周りを回転すると、ディスプレイソースは最終的に、マイクロディスプレイプロジェクタの他の構成要素と正確に位置合わせされない。このことは、例えばステレオビジョンシステムで使用されるように、ユーザーのそれぞれの目のために1つの光学システムが配置される、2つの光学システム(つまり、2つのマイクロディスプレイプロジェクタと2つのLOE)を使用する際に、特に問題となる。各光学システムのマイクロディスプレイプロジェクタが適切に位置合わせされていなければ、各ディスプレイソースは異なる回転角度で画像を提供し、結果として不正確なステレオ画像となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,643,214
【発明の概要】
【0006】
本発明は、光学デバイスおよびシステムの位置合わせを実施するための方法を対象としている。
【0007】
本発明のある実施形態の教示に従い、光学デバイスの構成要素を位置合わせおよび集束させるための方法が提供される。方法は;ディスプレイソースとコリメ―ティングプリズムアセンブリとの間の距離を調節するために、ディスプレイソースを変位軸に沿って変位させる工程であって、ディスプレイソースと照明モジュールが、照明モジュールによって放射される光波が、照明プリズムアセンブリを介してディスプレイソースに到達するように、照明プリズムアセンブリと位置合わせされる工程と、ディスプレイソース、照明プリズムアセンブリおよび照明モジュールを、変位軸に対して垂直な面で、一体で並進移動させる工程と、を含む。
【0008】
随意に、並進移動させる工程が、ディスプレイソース、照明プリズムアセンブリおよび照明モジュールを共に単一のユニットとして移動させることを含む。
【0009】
随意に、変位させる工程が、照明プリズムアセンブリとコリメーティングプリズムアセンブリとの間の間隙のサイズを調節するために、ディスプレイソース、照明プリズムアセンブリおよび照明モジュールを共に単一のユニットとして移動させることを含む。
【0010】
随意に、ディスプレイソースと照明プリズムアセンブリが、ディスプレイソースと照明プリズムアセンブリとの間に間隙を作り出すように位置合わせされる。
【0011】
随意に、変位させる工程が、ディスプレイソースと照明プリズムアセンブリとの間の間隙のサイズを調節するために、ディスプレイソースを移動させることを含む。
【0012】
随意に、方法はさらに、ディスプレイソースを照明プリズムアセンブリに機械的に連結させる工程を含む。
【0013】
随意に、方法はさらに、照明モジュールを照明プリズムアセンブリに機械的に連結させる工程を含む。
【0014】
随意に、方法はさらに、ディスプレイソースを照明プリズムアセンブリに機械的に連結させる工程を含む。
【0015】
随意に、方法はさらに、コリメ―ティングプリズムアセンブリを照明プリズムアセンブリに機械的に連結させる工程を含む。
【0016】
随意に、ディスプレイソースが照明プリズムアセンブリの光学軸の第1の構成要素に沿って配置されるように、ディスプレイソースと照明モジュールが照明プリズムアセンブリと位置合わせされ、且つ、照明モジュールが第1の軸に直交する照明プリズムアセンブリの光学軸の第2の構成要素に沿って配置される。
【0017】
随意に、ディスプレイソースと照明モジュールが、照明プリズムアセンブリの直交する面に機械的に連結される。
【0018】
随意に、コリメ―ティングプリズムアセンブリと照明モジュールが、照明プリズムアセンブリの直交する面に機械的に連結される。
【0019】
随意に、方法はさらに、ディスプレイソース、照明モジュールおよびコリメ―ティングプリズムアセンブリの少なくとも1つを、照明プリズムアセンブリに機械的に連結させる工程を含む。
【0020】
随意に、機械的に連結させる工程が、コリメ―ティングプリズムアセンブリと照明プリズムアセンブリとの間のガラス製の1つ以上のスラブを、セメントで固定すること含む。
【0021】
随意に、光学デバイスの構成要素が、電子ディスプレイソース、照明モジュール、照明プリズムアセンブリおよびコリメ―ティングプリズムアセンブリを含み、機械的に連結させる工程が、光学デバイスの構成要素の少なくとも2つの間にゲルを配置することを含む。
【0022】
随意に、方法はさらに、照明プリズムアセンブリと照明モジュールを、既知の配向で機械的アセンブリに機械的に連結させる工程であって、機械的アセンブリが、既知の配向にあるテストパターンを含む工程と、画像センサがテストパターンと位置合わせされる第1の位置に、画像センサが配置される時に、テストパターンの画像を捕捉する工程と、テストパターンの推定配向を決定するために、捕捉画像を分析する工程と、テストパターンの既知の配向とテストパターンの推定配向との間の比較に基づいて、画像センサの配向パラメータを調節する工程と、画像センサが光学デバイスと位置合わせされる第2の位置に、画像センサが配置される時に、光学デバイスによって投影される画像を捕捉する工程と、を含む。
【0023】
本発明の教示の実施形態に従い、光学デバイスの構成要素を位置合わせするための方法がさらに提供される。方法は;照明プリズムアセンブリとコリメ―ティングプリズムアセンブリとの間の間隙のサイズを調節するために、ディスプレイソース、照明モジュールおよび照明アセンブリを変位軸に沿って変位させる工程であって、ディスプレイソースと照明モジュールは、照明モジュールによって放射される光波が照明プリズムアセンブリを介してディスプレイソースに到達するように、照明プリズムアセンブリと位置合わせされる工程と;ディスプレイソース、照明プリズムアセンブリ、および照明モジュールを、変位軸に対して垂直な面で、一体で並進移動させる工程と、を含む。
【0024】
本発明の教示の実施形態に従い、画像センサを光学デバイスと位置合わせさせる方法がさらに提供される。方法は;光学デバイスの少なくとも1つの構成要素を、機械的アセンブリに既知の配向で機械的に連結させる工程であって、機械的アセンブリが既知の配向のテストパターンを有する工程と、画像センサがテストパターンと位置合わせされる第1の位置に、画像センサが配置される時に、テストパターンの画像を捕捉する工程と、テストパターンの推定配向を決定するために、捕捉画像を解析する工程と、テストパターンの既知の配向とテストパターンの推定配向との間の比較に基づいて、画像センサの配向パラメータを調節する工程と、を含む。
【0025】
随意に、方法はさらに、画像センサが光学デバイスと位置合わせされる第2の位置に、画像センサが配置される時に、光学デバイスによって投影される画像を捕捉する工程を含む。
【0026】
随意に、光学デバイスが画像投影デバイスおよび光波転送基板を含み、方法はさらに、画像投影デバイスによって投影される画像に対応する光波を、光波透過基板の中へカップリングする工程と、カップンリングインされた光波を、画像光波として基板からカップリングアウトする工程と、画像センサが光波透過基板と位置合わせされる第2の位置に、画像センサが配置される時に、画像光波を画像センサで捕捉する工程と、を含む。
【0027】
随意に、画像センサの配向パラメータが、画像センサの基本軸の周りの回転の角度を含む。
【0028】
随意に、テストパターンが参照軸に対して垂直に配向される。
【0029】
随意に、テストパターンが参照軸に対して水平に配向される。
【0030】
随意に、テストパターンが参照軸に対して斜角に配向される。
【0031】
随意に、テストパターンの配向が、少なくとも1つの配向パラメータによって定義され、また、テストパターンの少なくとも1つの配向パラメータが、参照軸に対するテストパターンの角度位置を含む。
【0032】
随意に、テストパターンが、機械的アセンブリにおけるアパーチャとして形成される。
【0033】
随意に、方法はさらに、テストパターンを照らす工程を含む。
【0034】
随意に、方法はさらに、テストパターンの画像を捕捉する前に、第1の位置に画像センサを移動させる工程をと、テストパターンの画像を捕捉した後に、第2の位置に画像センサを移動させる工程と、を含む。
【0035】
随意に、光学デバイスが少なくとも、ディスプレイソース、照明モジュール、照明プリズムアセンブリおよびコリメ―ティングプリズムアセンブリを含む。
【0036】
随意に、方法はさらに、照明モジュールとディスプレイソースを、照明モジュールによって放射される光波が照明プリズムアセンブリを介してディスプレイソースに到達するように、照明プリズムアセンブリと位置合わせさせる工程と、ディスプレイソースとコリメ―ティングプリズムアセンブリとの間の距離を調節するために、変位軸に沿ってディスプレイソースを変位させる工程と、ディスプレイソース、照明プリズムアセンブリ、および照明モジュールを、変位軸に対して垂直な面で、一体で並進移動させる工程と;を含む。
【0037】
本明細書でそうでない旨が定義されないかぎり、本明細書に使用される技術的および科学的用語はすべて、発明が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。発明の実施形態の実施または試験において、本明細書に説明されるものに類似する、または、等価である方法および材料が使用され得るが、例示的な方法および/または材料が下記に説明される。矛盾する場合には、定義を含む特許明細書が優位する。加えて、材料、方法および例は例示のみであり、必ずしも限定的であると意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明のいくつかの実施形態が、添付図面を参照して、例示にのみによって、本明細書に説明される。詳細にわたる、図面への特別な参照とともに、示される詳細事項が、本発明の実施形態の例示によるものであり、且つ、例示的な議論を目的としていることが強調される。この点、図面と共になされる説明は、本発明の実施形態がどのように実践され得るかを、当業者に明らかにする。
【0039】
図面上では、同様の参照番号または参照符号が、対応するまたは同様の構成要素を示していることに、注意を向けられたい。
図1】本開示の実施形態が実施され得る例示環境における、少なくとも画像投影光学デバイス、LOE、位置合わせモジュール、画像センサおよび機械的アセンブリの概略図を示す平面図である。
図2図1の例示環境で配置されえる、電子ディスプレイソース、照明モジュール、照明プリズムアセンブリおよびコリメ―ティングプリズムアセンブリを有する、画像投影光学デバイスの構成要素の概略図を示す断面図である。
図3A】本開示の実施形態に従う、一定間隔を保つ関係で配置される、照明プリズムアセンブリおよびコリメ―ティングプリズムアセンブリを示す、図2に類似する断面図である。
図3B】本開示の実施形態に従う、コリメ―ティングプリズムアセンブリに対して変位された、電子ディスプレイソース、照明モジュール、および照明プリズムアセンブリを示す、図3Aに類似する断面図である。
図3C】本開示の実施形態に従う、コリメ―ティングプリズムアセンブリに対して並進された、電子ディスプレイソース、照明モジュール、および照明プリズムアセンブリを示す、図3Bに類似する断面図である。
図4A】本開示の実施形態に従う、一定間隔を保つ関係で配置される、電子ディスプレイソース、照明プリズムアセンブリおよびコリメ―ティングプリズムアセンブリを示す、図3Aに類似する断面図である。
図4B】本開示の実施形態に従う、照明プリズムアセンブリに対して変位された、電子ディスプレイソースを示す、図4Aに類似する断面図である。
図5】本開示の実施形態に従う、画像投影光学デバイスの構成要素の集束および位置合わせを実施するためのプロセスを示すフロー図である。
図6】本開示の実施形態に従う、画像センサの配向位置合わせを実施するために使用される位置合わせモジュールの概略図を示す断面図である。
図7】AおよびBは、本開示の実施形態に従う、位置合わせモジュールおよびLOEとそれぞれ位置合わせするように配置される画像センサを示す、図1に類似する平面図である。
図8】本開示の実施形態に従う、画像センサの動作軸に対して角度を持って配置される、位置合わせモジュールのスリットの概略図である。
図9】本開示の実施形態に従う、画像のそれぞれのエッジにおいて、画像センサおよびサンプルポイントによって捕捉されたスリットの画像の概略図である。
図10】本開示の実施形態に従う、図9の画像の各エッジにおける適合ラインの概略図である。
図11】本開示の実施形態に従う、画像センサの配向の位置合わせを実施するためのプロセスを示すフロー図である。
図12】本開示の実施形態に従う、図5および図11に示されるプロセスの1つ以上の工程を実施するための、画像センサおよびディスプレイモニタにリンクされる、例示的な処理システムの例示的アーキテクチャのブロック図である。
図13】本開示の実施形態を実施するために使用され得る、機械的アセンブリの概略図を示す等角図である。
図14】本開示の実施形態に従う、画像投影光学デバイスの構成要素に取り付けられた、機械的アセンブリのサブアセンブリの等角図である。
図15】本開示の実施形態に従う、図5および図11に示されるプロセスの1つ以上の工程を実施するための処理システムにリンクされる、例示的な制御システムの例示的アーキテクチャのブロック図である。そして、
図16】本開示の実施形態に従う、LOEの実装の概略図を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、光学デバイスおよびシステムの位置合わせを実施するための方法を対象としている。
【0041】
本発明に従う方法の原理および働きは、説明に伴う図面を参照して一層良く理解され得る。
【0042】
本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明する前に、本発明が、以下の説明および/または図面および/または実施例において規定される構成要素および/または方法の、構造と配置の詳細への適用を必ずしも限定するものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能である、または、様々な方法で実施または遂行されることが可能である。初めに、本文書全体にわたり、例えば、上方および下方、上部および底部、左および右などの方向への言及が行われる。これらの配向についての言及は、本発明およびその実施形態を示すための単なる例示である。
【0043】
概要
ここで図面を参照すると、図1は、本開示の実施形態が実施され得る例示環境(1)に配置される、画像投影光学デバイス(10)、LOE(70)、位置合わせモジュール(80)、画像センサ(90)およびディスプレイモニタ(100)の平面図の概略図を示す。環境(1)は、例えば、様々なタイプの光学的、機械的、電子的試験設備を備える、光学実験室テストベンチであり得る。
【0044】
環境(1)は、LOE(70)と共に画像投影光学デバイス(10)が機械的に取り付けられている、機械的アセンブリ(60)を含む。機械的アセンブリ(60)は、固定され且つ既知の配向でLOE(70)を保持する、1つ以上の取り付け機構を含む。LOE(70)は、LOE(70)の適切な配置を確実にするために、較正された光学テスト設備を使用して、固定された既知の配向で配置される。位置合わせモジュール(80)も、固定された既知の配向で、機械的アセンブリ(60)に取り付けられる。摺動構造体(66)は、画像センサ(つまりカメラ)(90)を機械的アセンブリ(60)に取り付ける。摺動構造体(66)によって、画像センサ(90)は、位置合わせモジュール(80)とLOE(70)との間を摺動することができる。摺動構造体(66)の第1の部分(つまりベース部分)は、機械的アセンブリ(60)のメイン部分に配置されるレールに沿って摺動する。画像センサ(90)は、機械的サブアセンブリを介して、第2の部分(つまりベース部分からの遠位の部分)で、摺動構造体(66)に機械的に取り付けられている。機械的サブアセンブリは、例えば、3つの回転自由度を可能にする1つ以上のジョイントを有するプラットフォームとして実装され得る。
【0045】
例えば液晶ディスプレイ(LCD)などとして実装される、ディスプレイモニタ(100)は、インターフェース接続(102)を介して、画像センサ(90)に接続される。インターフェース接続(102)は、例えば画像センサ(90)およびディスプレイモニタ(100)のそれぞれの入/出力ポートに接続されるケーブルとして、実装され得る。ディスプレイモニタ(100)は、環境(1)のユーザーまたはオペレータによる観察のために、画像センサ(90)によって捕捉された画像を表示するように動作する。ディスプレイモニタ(100)は、画像センサ(90)のためのビューファインダーとして機能することが可能であり、機械的アセンブリ(60)の様々な構成要素に対するユーザー主導の機械的調節に応じて、ユーザーやオペレータが、画像センサ(90)によって捕捉された画像の変化を見ることを可能にする。
【0046】
機械的アセンブリ(60)は、各々が異なる光学的および/または機械的構成要素を保持するために構成される、1つ以上のサブアセンブリを含み得る。ある実施形態では、機械的アセンブリ(60)は、少なくとも3つのメインサブアセンブリ、すなわち第1のサブアセンブリ(61)、第2のサブアセンブリ(63)、および、第3のサブアセンブリ(65)を含む。第1のサブアセンブリ(61)は、画像投影光学デバイス(10)の構成要素を保持し、画像投影光学デバイス(10)の構成要素を機械的アセンブリ(60)に取り付ける。第2のサブアセンブリ(63)は、LOE(70)を保持し、LOE(70)を機械的アセンブリ(60)に取り付ける。サブアセンブリ(61、63)は、画像投影光学デバイス(10)およびLOE(70)の協同の位置取りが可能になるように配置され、その結果、画像投影光学デバイス(10)によって作り出される光波は、LOE(70)にカップリングインされる。第3のサブアセンブリ(65)は、位置合わせモジュール(80)を保持し、位置合わせモジュール(80)を機械的アエンブリ(60)に取り付ける。
【0047】
サブアセンブリ(61、63、65)は、ブラケット構造体、グリップ構造体、および、ピン/ねじ構造体を含むがこれらに限定されない、様々な方法で実装され得る。ある実施形態では、第1のサブアセンブリ(61)は、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)を保持するように配置されることが可能で、同時に、第2のサブアセンブリ(63)は、LOE(70)およびコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)を保持するように配置され得る。機械的アセンブリ(60)および対応するサブアセンブリ(61、63、65)は、画像投影光学デバイス(10)、LOE(70)および位置合わせモジュール(80)それぞれの構成要素の位置合わせおよび配向を維持するように配置される。サブアセンブリ(61、63、65)、特に第1のサブアセンブリ(61)は、サブアセンブリによって保持される構成要素の位置付けの制御された調節を可能にするために、1つ以上のサブコンポーネントを含み得る。そのような制御された調節は、本開示の後のセクションに詳細に説明されるであろう。
【0048】
概して言えば、本開示の実施形態は、2段階の位置合わせ(つまり較正)プロセスに向けられる。集束および位置合わせ段階と呼ばれる、2段階のうちの1つにおいて、画像投影光学デバイス(10)の個々の構成要素は、画像投影光学デバイス(10)がLOE(70)出力に、シャープで焦点の合った画像を作り出すように、集束および位置合わせがなされる。集束および位置合わせは、ある性能基準が充足されるまで、LOE(70)出力に画像センサ(90)によって捕捉された画像の、画像品質測定基準を評価すると同時に、画像投影光学デバイス(10)のサブコンポーネントを移動させることによって実施される。集束および位置合わせ段階の工程を実施する前に、画像センサ(90)は無限遠に集束され、目の負担軽減距離(例えば18ミリメートル)において、および、好ましくはアイモーションボックス(eye motion box)内でLOE(70)から横切って位置付けが行われ(つまりLOE(70)と位置合わせがなされ)、LOE(70)からカップリングアウトされる画像光波の捕捉を可能にする。アイモーションボックスは、目(または画像センサ(90))が、LOE(70)からカップリングアウトされる画像光波の全視野(FOV)を有する2次元の領域であり、それは、LOE(70)へとカップリングされる、画像投影光学デバイス(10)によって作り出される入力画像全体に相当する。このように、画像センサ(90)は、ヒトの目としての役割を果たし、ディスプレイモニタ(100)に表示される画像は、光学デバイス/システム(つまり、画像投影光学デバイス(10)を備えたLOE(70))を使用している時、例えば、観察者が画像投影光学デバイス(10)とLOE(70)が埋め込まれているメガネをかけている時に、観察者の目によって見られる画像としての役割を果たす。
【0049】
配向位置合わせ段階と呼ばれる他方の段階では、画像センサ(90)の配向は、LOE(70)の位置合わせ配向とリンクされる位置合わせモジュール(80)の配向と、位置合わせするように調節される。位置合わせモジュール(80)を備えた画像センサ(90)の位置合わせは、画像投影光学デバイス(10)の構成要素の位置合わせと集束がなされる、集束および位置合わせ段階の適切な実行を可能にする。
【0050】
図1を継続的に参照しつつ、ここで、本開示の実施形態に従う集束および位置合わせの方法が実施される対象である、画像投影光学デバイス(10)の非限定的な例の構成要素の概略図を示す断面図である、図2を参照する。概して言えば、画像投影光学デバイス(10)は、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)、照明プリズムアセンブリ(16)およびコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)を含む。非限定的な実装では、電子ディスプレイソース(12)は、シリコン上の液晶(LCoS)マイクロディスプレイとして実装されている。
【0051】
照明モジュール(14)は光線ソースを含み、電子ディスプレイソース(12)の画像領域を照らすために光を透過するように構成される。照明モジュール(14)は様々な方法で実装されることが可能であり、偏光光線ソースまたは非偏光光線ソースであり得る。照明モジュール(14)の光線ソースの非限定的な実装の例は、発光ダイオード(LED)、色彩混合用の光の三原色(RGB)LEDを備える光導体、色彩混合用のダイクロイックミラーと組み合わせて各々が異なる色を発する複数のLED、ダイオードレーザー、および、色彩混合用のダイクロイックミラーと組み合わせて各々が異なる色を放射する複数のダイオードレーザー、を含むが、これらに限定されない。
【0052】
図2で示される実装などのある非限定的な実装に従い、照明モジュール(14)の光線ソースは偏光ソースであり、より具体的にはs偏光光波を生み出すソースである。照明プリズムアセンブリ(16)は、照明プリズムアセンブリ(16)の第1のプリズム(20)の光線透過面(32)を通る、照明モジュール(14)からのs偏光光波を受け取る。受け取られたs偏光光波は、(p偏光光線を透過し、s偏光光線を反射する)p偏光透過偏光ビームスプリッタ(24)から反射され、照明プリズムアセンブリ(16)から、第1のプリズム(20)の光線透過面(34)を通って、電子ディスプレイソース(12)の方へカップリングアウトされる。偏光ビームスプリッタ(24)は、第1のプリズム(20)の傾斜エッジと、照明プリズムアセンブリ(16)の第2のプリズム(22)の傾斜エッジとの間に配置される。電子ディスプレイソース(12)の画像領域におけるs偏光光波の受信照明に応じて、電子ディスプレイソース(12)が刺激(つまり活性化)され、対応するピクセル出力を、電子ディスプレイソース(12)のアクティブピクセルから発せられるp偏光光波の形で生成する。電子ディスプレイソース(12)からのp偏光光波は、光線透過面(34)を通って照明プリズムアセンブリ(16)の中へカップリングされ、偏向ビームスプリッタ(24)通過する。その後、p偏光光波は、照明プリズムアセンブリ(16)から、第2のプリズム(22)の光線透過面(36)を通って、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)の方へカップリングアウトされる。
【0053】
コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)の中へカップリングされる前に、光波は、p偏光光波をs偏光光波に変換するために、半波長遅延板(図示されず)を通過することが可能である。
【0054】
図2に説明される実装などの、ある非限定的な実装に従い、s偏光光波は、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)の第1のプリズム(26)の光線透過面(38)を通って、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)の中へカップリングされる。カップリングインされたs偏光光波は、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)の第1のプリズム(26)の傾斜エッジと第2のプリズム(28)の傾斜エッジとの間に位置する、p偏光透過偏向ビームスプリッタ(30)(p偏光光線を透過し、s偏光光線を反射する)から反射する。図面には示されていないが、コリメーティングレンズは4分の1波長遅延板と共に、最終的にコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)から退出する光波をコリメートするという役割を果たすために、プリズム(26、28)の反対側の光線透過面(40、42)に位置し得る。従って、s偏光光波は、偏向ビームスプリッタ(30)から反射し、光線透過面(40)を通ってコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)からカップリングアウトされ、4分の1波長遅延板を通過し、コリメーティングレンズによって反射され、4分の1波長遅延板を再び通過して戻り(それによって、光波をp偏光光波に変換し)、そして、光線透過面(40)を通ってコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)に再び進入する。p偏光光波は、その後、偏向ビームスプリッタ(30)を通過し、光線透過面(42)を通ってコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)からカップリングアウトされ、4分の1波長遅延板を通過し、コリメーティングレンズによって反射され、4分の1波長遅延板を再び通過して戻り(それによって、光波をs偏光光波に変換し)、そして、光線透過面(42)を通ってコリメ―ティングアプリズムセンブリ(18)に再び進入する。ここでのs偏光光波は、偏光ビームスプリッタ(30)から反射され、第2のプリズム(28)の光線透過面(44)を通ってコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)からカップリングアウトされ、そこで光線透過基板(例えばLOE)の中へカップリングされ、最終的に基板から観察者の目の中へカップリングアウトされる。光波のカップリングインは、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)およびLOE入力を繋ぎ合わせるインカップリング(in-coupling)光学面(例えばV字形のプリズムまたは角度付けされた反射面)を介して、遂行され得る。
【0055】
上述の例において特定の偏光光波経路が追跡される各実例について、偏光はどちらでにも置き換えられることに留意が必要である。換言すると、偏光ビームスプリッタの配向を変更するとすぐ、p偏光光線という言及がそれぞれs偏光光線と置き換わり、またその逆も行われる。そのため、上述の例における照明プリズムアセンブリ(16)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)の特定のビームスプリッタの特定の使用は限定的であることを意図されてはおらず、画像投影光学デバイス(10)の働きをより良く説明できるよう、例示を目的として提供されている。
【0056】
さらに、上述の照明プリズムアセンブリ(16)およびコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)のプリズムの光線透過面は一般に、平面的な面であることに留意の必要がある。明らかなように、光線透過面(34、36、38、44)は互いに平行(つまり平行面)であり、光線透過面(32)に直交している。
【0057】
画像投影光学デバイス(10)の構成要素が、図2で必ずしも尺度通りに描かれていないことに留意が必要であるが、図2より、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)、照明プリズムアセンブリ(16)およびコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)は位置合されておらず、電子ディスプレイソース(12)の照明の非均一性を引き起こし、最終的に、非均一的で焦点がぼけた画像という結果をもたらすことは明らかである。従って、電子ディスプレイソース(12)の照明を確実に均一化するために、画像投影光学デバイス(10)の主要な構成要素の集束および位置合わせが実施されるべきある。以下の段落は、集束および位置合わせ段階について詳細に説明する。
【0058】
集束および位置合わせ段階
ここで図3A-3Cを参照すると、本開示の実施形態に従う、画像投影光学デバイス(10)の構成要素の集束および位置合わせが示されている。図3Aで、照明プリズムアセンブリ(16)は、照明プリズムアセンブリ(16)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)の間に間隙(46)を作り出すために、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)に対して一定間隔を保つ関係にて配置される。間隙(46)のサイズは、光線透過面(36、38)の間の最短距離(つまり、光線透過面(36、38)に対して垂直であり、且つ、光線透過面(36、38)によって境界付けられるラインに沿った距離)として測定される。ある実施形態では、間隙(46)は、空隙として実装される空間的な間隙である一方で、別の実施形態では、その間隙は、光線透過面(36、38)の間に配置される光線透過ゲルとして実装される。さらに別の実施形態では、間隙(46)は、空隙と、例えばコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)の光線透過面(38)に光学的に取り付けられているレンズといった光学的構成要素との、組み合わせとして実装される。
【0059】
間隙(46)の初期のサイズは、画像投影光学デバイス(10)の構成要素が最初にどのように組み立てられるかによって変わり得る。典型的な構成では、間隙(46)のサイズは1ミリメートル未満で、一般的な実装ではおよそ0.5ミリメートルである。初期の間隙サイズ(つまり幅)は、図3AにWとして表示される。照明モジュール(14)は、光線透過面(32)の照明プリズム(16)に、機械的に取り付けられる。機械的な取り付けは、ある実施形態においては、機械的アセンブリ(60)の第1のサブアセンブリ(61)のサブコンポーネントである、位置合わせ機構を介して行われる。位置合わせ機構はさらに、画像投影光学デバイス(10)の名目上の光学軸を使って、照明モジュール(14)を位置合わせする。
【0060】
一般的に言うと、画像投影光学デバイス(10)の光学軸は、部分的には照明プリズムアセンブリ(16)によって定義され、さらに部分的には、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)によって定義される。画像投影光学デバイス(10)の光学軸は複数の構成要素を含み、それは図3Aに示される通り、光学軸の第1の構成要素(48a)、および、第1の構成要素(48a)に直交する、光学軸の第2の構成要素(48b)を含む。第1の構成要素(48a)は光線透過面(32)がある平面に対して垂直であり、第2の構成要素(48b)は光線透過面(34)がある平面に対して垂直である。
【0061】
そのため、前述の位置合わせ機構は、光学軸の第1の構成要素(48a)を使って、照明モジュール(14)を位置合わせする。電子ディスプレイソース(12)は、位置合わせ機構を介して、第2の構成要素(48b)と位置合わせされる。同じ位置合わせ機構が、電子ディスプレイソース(12)および照明モジュール(14)を位置合わせするために使用され得る。あるいは、電子ディスプレイソース(12)を位置合わせする位置合わせ機構は、照明モジュール(14)を位置合わせする位置合わせ機構とは異なる、第1のサブアセンブリ(61)のサブコンポーネントである可能性もある。
【0062】
電子ディスプレイソース(12)および照明モジュール(14)は、照明モジュール(14)によって放射される光波が、偏光ビームスプリッタ(24)から反射して、電子ディスプレイソース(12)を均一に照らすよう、電子ディスプレイソース(12)の画像領域に到着するように、照明プリズムアセンブリ(16)と位置合わせされる。電子ディスプレイソース(12)の画像領域は一般に、電子ディスプレイソース(12)の正面部分の中心領域(つまりLCoSの中心)に位置する。電子ディスプレイソース(12)の位置合わせは、電子ディスプレイソース(12)をX軸および/またはY軸および/またはZ軸について適度に傾けること、または、それらの軸の周りを回転させることを含み得る。
【0063】
電子ディスプレイソース(12)は、(例えば光学セメントを介して)第1のプリズム(20)の光線透過面(34)に取り付けられ得る。あるいは、電子ディスプレイソース(12)は、電子ディスプレイソース(12)と第1のプリズム(20)の光線透過面(34)との間に空隙を挟んだり挟まなかったりしながら、第1のプリズム(20)の光線透過面(34)の隣の適所に、機械的に保持され得る。電子ディスプレイソース(12)は、第1のサブアセンブリ(61)のサブコンポーネントによって、機械的な支援となり得る。
【0064】
電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)は、単一のユニット(50)(つまり、点線によって区切られている第1のサブアセンブリ(61)の単一の機械的ユニット)として一体となって、図3A-3CでZ軸である、第2の構成要素(48b)と同一線上にある変位軸に沿って変位(つまり位置がシフト)する。等価性により、変位は、第1のプリズム(20)の光線透過面(34)に垂直なラインに沿って生じる。変位アクションは、電子ディスプレイソース(12)を、実質的にコリメーティングプリズムアセンブリ(18)に近づける、または、遠ざけるように移動し、それにより、電子ディスプレイソース(12)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)との間の最短直線距離を調節する。図3Aの中の(D)として表示される直線距離は、照明プリズム(16)の配置によって導入される間隙(46)のサイズの一次関数である。具体的には、直線距離(D)は、間隙の幅W、照明プリズムアセンブリ(16)の幅(つまり、透過面(34)と(36)の間の最短距離)、および、電子ディスプレイソースの正面パネルと照明プリズムアセンブリ(16)との間の距離、の合計にほぼ等しい。 電子ディスプレイソース(12)が第1のプリズム(20)の光線透過面(34)にセメントで固定される実施形態では、電子ディスプレイソース(12)の正面パネルと照明プリズムアセンブリ(16)との間の距離が、電子ディスプレイソース(12)を光線透過面(34)に取り付けるために使用される光学セメントの層の厚さと、ほぼ等しい。
【0065】
直線距離が変化するとともに、間隙(46)のサイズも変化し、画像投影光学デバイス(10)の焦点面の位置も変化する。焦点面の位置が変化するとともに、画像投影光学デバイス(10)によって投影され、且つ、LOE(70)の出力で画像センサ(90)によって捕捉される画像の焦点も、変化する。変位アクションは、捕捉画像の画像品質測定基準、より具体的には集束品質、を評価する間、且つ、捕捉画像の最良の集束が達成されるまで、実施される。画像の画像品質測定基準(つまり集束品質)は、例えば、(例えば画像プロセッサといった、コンピュータ制御のプロセッサによって実施される)画像処理技術および方法を介して評価されることで、最良の集束を達成するために必要とされる距離調節(つまり電子ディスプレイソース(12)とコリメーティングプリズムアセンブリ(18)との間の距離調節)につての指標を提供すことが可能である。画像処理技術は、例えば、画像センサ(90)のディテクタで変調伝達関数(MTF)を評価することを含み得る。代替的に、または、画像処理技術との組み合わせで、集束品質は、ディスプレイモニタ(100)に表示される画像センサ(90)からの画像を観察することによって、環境(1)のオペレータによって視覚的に評価され得る。従って、オペレータが焦点面の位置を調節するために電子ディスプレイソース(12)を変位させると、ディスプレイモニタ(100)に表示される画像のMTFおよび/または焦点は変化する。電子ディスプレイソース(12)の変位は、MTFが画像の焦点が合っていると示す位置、および/または、オペレータがディスプレイモニタ(100)で焦点の合った画像を見るような位置に、焦点面が来るまで継続される。
【0066】
図3Bは、最も良く焦点が合うように直線変位させた後の、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)および照明プリズム(16)を示し、そこでは、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)により近い単一ユニット(50)の移動の結果、間隙(46)のサイズがW未満の値に縮小される。最良の集束を達成した後は、間隙(46)のサイズは、図3BにあるWとして表示される。
【0067】
一度、電子ディスプレイソース(12)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)との間の距離が、確実に最良の集束を達成するように調節されてしまえば、ユニット(50)は並進移動される。ユニット(50)は、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)の光線透過面(38)に対して、且つ、図3A-3CでXY面である、変位軸に対して垂直な面上を、並進移動される。換言すると、ユニット(50)は、光線透過面(34、36、38)の面に平行な面上を並進移動される。XY面上における単一ユニット(50)の並進移動は、回転無し(つまり、変位軸(つまりZ軸)またはX軸またはY軸周りの回転無し)で実施される。並進は、電子ディスプレイソース(12)および照明モジュール(14)と、照明プリズムアセンブリ(16)との位置合わせを維持するように、且つ、(画像投影光学デバイス(10)とLOE(70)との間の)光学システムのラインオブサイト(LoS)を維持するように、実施される。本文書の文脈内において、用語「LoS」は一般に、LOE(70)出力画像の適切な個々のピクセルと、電子ディスプレイソース(12)の画像領域のアクティブピクセルとの間の一致が存在する場合を指す。LoSが維持される場合、画像センサ(90)は、目の負担軽減距離にあるアイモーションボックスに位置する場合、LOE(70)によって投影される画像全体(つまりフルFOV)を捕捉する。例えば、ユニット(50)が、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)から、許可された量を越えて並進的にオフセットされる場合は、LoSは達成されないかもしれない。そのような場合、(電子ディスプレイソース(12)からの)ソース画像のピクセルの一部は、画像センサ(90)がアイモーションボックス内にある時でさえ LOE(70)に到達しないかもしれず、その結果は、ディスプレイモニタ(100)上でLOE(70)出力画像を観察する時(または、同様に、画像光波がLOE(70)から観察者の目の中へカップリングする時)に、切り取り画像の中に現れ得る。
【0068】
図3Cは、XY面における並進移動後の、画像投影光学デバイス(10)の構成要素を示す。LoSは、(例えば画像プロセッサなどの、コンピュータ制御のプロセッサによって実施される)画像処理技術を介して評価され得る、または、LOE(70)から出力され画像センサ(90)によって捕捉され、ディスプレイモニタ(100)に表示される出力画像を観察することによって、ユーザーによって視覚的に評価され得る。例えば、LOE(70)出力画像がディスプレイモニタ(100)上でユーザーによって観察される一方で、ユニット(50)は、望まれるLoSに対応する適切なピクセルマッチングが達成されるまで、XY面を並進移動され得る。電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)を、共に単一ユニットとして並進移動させることによって、(照明プリズムアセンブリ(16)を介した)照明モジュール(14)による電子ディスプレイソース(12)の均一照明が維持される。そのため、電子ディスプレイソース(12)の中心は、XY面における並進移動の間ずっと照らされる。
【0069】
単一ユニット(50)の並進移動が完了した後、照明プリズムアセンブリ(16)およびコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)は、例えば光学セメントを介して、光線透過面(36、38)で互いに、光学的に取り付けられ得る。その結果、画像投影光学デバイス(10)の主要な構成要素は、直接的または間接的に、互いに接続される。
【0070】
これまで説明された開示の実施形態は、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)と共に電子ディスプレイソース(12)を単一ユニットとして、変位および並進させることに関連してきたが、電子ディスプレイソース(12)が、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)から独立して変位される、他の実施形態が可能である。
【0071】
ここで図4A-4B、つまり、本開示の別の実施形態に従う、画像投影光学デバイス(10)の構成要素の、集束および位置合わせを参照する。図4Aでは、電子ディスプレイソース(12)および照明プリズムアセンブリ(16)は、2つの間隙、すなわち第1の間隙(47a)と第2の間隙(47b)を作り出し且つ提供するために、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)に対して、一定間隔を保つ関係にて配置される。第1の間隙(47a)は、照明プリズムアセンブリ(16)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)との間に提供され、図3A-3Cを参照する実施形態に説明される間隙(46)に類似しており、その類似性によって理解されるはずである。第2の間隙(47b)は、電子ディスプレイソース(12)と照明プリズム(16)との間に提供される。第2の間隙(47b)のサイズは、電子ディスプレイソース(12)の正面パネルと、光線透過面(34)との間の最短距離(つまり、電子ディスプレイソース(12)の正面パネルと光線透過面(34)に対して垂直で、且つ、それらによって境界付けられるラインに沿った距離)として測定される。ある実施形態では、第2の間隙(47b)は、空隙として実装される空間的な間隙である。
【0072】
間隙(47a、47b)の初期サイズは、画像投影光学デバイス(10)の構成要素が最初にどのように組み立てられるかによって変わり得る。図4Aでは、第1の間隙(47a)の初期サイズ(つまり幅)は、WG1として表示され、第2の間隙(47b)の初期サイズはWG2として表示される。
【0073】
電子ディスプレイソース(12)および照明モジュール(14)は、照明モジュール(14)によって放射される光波が、偏光ビームスプリッタ(24)から反射して、電子ディスプレイソース(12)を均一に照らすよう電子ディスプレイソース(12)の画像領域に到達するように、照明プリズムアセンブリと位置合わせされる。照明モジュール(14)を照明プリズムアセンブリ(16)と位置合わせすることに加え、照明モジュール(14)は、第1のサブアセンブリ(61)のサブコンポーネントを介して、光線透過面(32)において、照明プリズムアセンブリ(16)に機械的に取り付けられる。
【0074】
その後は、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)が適所に(つまり静的に)保持される一方で、電子ディスプレイソース(12)は、変位軸(つまり第2の構成要素(48b)の同一線上にある軸であり、つまり光線透過面(34)に対して垂直な軸)に沿って変位される。電子ディスプレイソース(12)は、第2の間隙(47b)のサイズを調節するために変位される。変位アクションは、電子ディスプレイソース(12)を、実質的に照明プリズムアセンブリ(16)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)に近づける、または、遠ざけるように移動させ、それにより、電子ディスプレイソース(12)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)との間の最短直線距離を調節する。図4AでDとして表示される直線距離は、間隙(47a、47b)のサイズの一次関数である。具体的には、直線距離Dは、間隙幅WG1、WG2と照明プリズムアセンブリ(16)の幅(つまり、透過面(34と36)との間の最短距離)との和にほぼ等しい。
【0075】
図3A-3Cを参照して上述されるものに類似して、電子ディスプレイソース(12)は、最良の集束が達成されるまで、変位される。図4Bは、最良の集束を達成するために直線変位させた後の、電子ディスプレイソース(12)を示し、そこでは、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)により近い電子ディスプレイソース(12)の移動の結果、第2の間隙(47b)のサイズはWG2未満の値に縮小される。図4Bに示されるように、第1の間隙(47a)のサイズは変わらない。最良の集束を達成した後は、第2の間隙(47b)のサイズは、図4BにあるWF2として表示される。
【0076】
一旦最良の集束が達成されれば、電子ディスプレイソース(12)は、光線透過面(34)で照明プリズムアセンブリ(16)に機械的に取り付けられる。機械的な取り付けは、第1のサブアセンブリ(61)の1つ以上のサブコンポーネントによって達成され得る。その後、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)は、望まれるLoSを維持するために、図3Cを参照して説明されるものに類似する方法で、単一ユニット(つまり、ユニット(50))として、XY面を並進移動される。
【0077】
ある実施形態では、変位軸に沿った変位は、両間隙(47aと47b)のサイズを調節するように開始され得る。そのような実施形態では、照明プリズムアセンブリ(16)が第1の間隙(47a)のサイズを調節するために照明モジュール(14)と共に変位軸(つまりZ軸)に沿って変位される一方で、電子ディスプレイソース(12)は第2の間隙(47b)のサイズを調節するために変位される。
【0078】
図3A-3Cを参照して説明される実施形態は、例えば図4A-4Bを参照して説明される実施形態における、電子ディスプレイソース(12)の近くの間隙の使用に頼る方法と比べて、ある利点を有する。1つのそのような利点は、電子ディスプレイソース(12)と照明プリズムアセンブリ(16)との間に間隙(つまり第2の間隙(47b))が無い場合に、画像投影光学デバイス(10)がより良好に光学的働きを実施することである。電子ディスプレイソース(12)の近くに間隙を持たないことにより、画像投影光学デバイス(10)の焦点面に近い領域は、清潔で汚れの無い状態を保つ。
【0079】
上述される通り、画像投影光学デバイス(10)の主要な構成要素は、直接的または間接的に、互いに接続される。その接続は、第1のサブアセンブリ(61)の1つ以上のサブコンポーネントを介した、主要コンポーネントの機械的な取り付けによって達成される。ある実施形態では、照明プリズムアセンブリ(16)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)との間の機械的な取り付けは、光線透過面(36、38)にセメントで固定される1つ以上のガラス製スラブによって達成される。他の実施形態では、画像投影光学デバイス(10)の隣接する構成要素間の望まれない間隙を充填するために、そこに光線透過ゲルが配置される。例えば、ゲルは、照明モジュール(14)と照明プリズムアセンブリ(16)との間に配置され得る。
【0080】
ここで、開示主題に従うプロセス(500)を詳述するフロー図を示す、図5に注意を向ける。プロセス(500)は、画像投影光学デバイス(10)の構成要素を集束および位置合わせさせるための工程を含む。プロセス(500)のサブプロセスの中には、環境(1)のオペレータによって手動で実施され得るもの、または、プロセッサなどの、機械的且つコンピュータ制御された様々な構成要素によって自動で実施され得るものがある。
【0081】
プロセス(500)はブロック(502)で開始し、そこでは、照明プリズムアセンブリ(16)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)との間の間隙(つまり間隙(46)、または第1の間隙(47b))を生み出すように、照明プリズムアセンブリ(16)がコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)に対して配置される。その後、プロセス(500)はブロック(504)に移り、そこでは、照明モジュール(14)によって放射される光波が、電子ディスプレイソース(12)を均一に照らすために、偏光ビームスプリッタ(24)での反射を介して電子ディスプレイソース(12)の画像領域に到達するように、照明モジュール(14)および電子ディスプレイソース(12)が、照明プリズムアセンブリ(16)と位置合わせされる。位置合わせ工程は、第1の構成要素(48a)が電子ディスプレイソース(12)の中心を通過するように、照明プリズムアセンブリ(16)の光学軸の第1の構成要素(48a)に沿って、電子ディスプレイソース(12)の位置決めを行うこと、および、第2の構成要素(48b)が照明モジュール(14)の中心を通過するように、照明プリズムアセンブリ(16)の光学軸の第2の構成要素(48b)に沿って、照明モジュール(14)の位置決めを行うこと、を含む。
【0082】
ある実施形態では、ブロック(504)で実施される位置合わせ工程は、電子ディスプレイソース(12)および照明モジュール(14)を、照明プリズムアセンブリ(16)のそれぞれの面(つまり、垂直の光線透過面(32、34))に、機械的に取り付けることを含む。他の実施形態では、ブロック(504)で実施される位置合わせ工程は、電子ディスプレイソース(12)と照明プリズムアセンブリ(16)との間の間隙(つまり第2の間隙(47b))を作り出すことを含む。
【0083】
その後、プロセス(500)はブロック(506)に移り、そこでは、最良の集束を達成するために、電子ディスプレイソース(12)が変位軸(つまりZ軸)に沿って変位され、電子ディスプレイソース(12)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)との間の距離を調節する。換言すると、電子ディスプレイソース(12)を変位させることによって、画像投影光学デバイス(10)の焦点面の位置が調節される。焦点面位置が調節されると同時に、画像投影光学デバイス(10)によって投影される画像の最良(つまり、最適)、または、最良に近い集束を達成するために、画像品質測定基準が評価される(例えばMTF)。ある実施形態では、電子ディスプレイソース(12)は、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)と共に変位され、それらは共に単一ユニットとして一体で変位される。
【0084】
他の実施形態では、電子ディスプレイソース(12)が単独で変位される一方で、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)は静止状態のままである。そのような実施形態では、ブロック(506)の変位を実施した後、電子ディスプレイソース(12)は照明プリズムアセンブリ(16)に機械的に取り付けられる。
【0085】
上に議論される通り、最良の集束は、例えばMTFを決定するなどの画像処理技術と方法を介して、(LOE(70)出力の画像センサ(90)によって捕捉される)画像の集束品質を評価することによって決定され得る。
【0086】
その後、プロセス(500)はブロック(508)に移り、そこでは、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)および照明プリズム(16)が、望まれるLoSを維持するために、XY面を一体となって並進移動される。LoSは、画像処理技術を介して評価され得る。上に議論される通り、ある実施形態では、並進移動は、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)および照明プリズム(16)を、共に単一ユニットとして移動させることにより達成される。
【0087】
上に言及される通り、画像投影光学デバイス(10)の構成要素の集束および位置合わせを実施するための方法を対象とする実施形態は、2段階のプロセスのうちの1段階(集束および位置合わせ段階と呼ばれる)を構成する。配向位置合わせ段階と呼ばれる他方の段階は、画像センサ(90)が画像投影光学デバイス(10)と適切に位置合わせすることを確実にするために実施され、その結果、集束および位置合わせ段階の方法工程実行中に、画像センサ(90)によって捕捉される画像により、電子ディスプレイソース(12)が、画像投影光学デバイス(10)の残りの構成要素と位置合わせることが可能となる。以下の段落は、配向位置合わせ段階について詳細に説明する。
【0088】
配向位置合わせ段階
図1を再び参照すると、位置合わせモジュール(80)は第3のサブアセンブリ(65)を介して、機械的アセンブリ(60)の第1の部分(62a)において、機械的アセンブリ(60)に取り付けられる。画像投影光学デバイス(10)およびLOE(70)は、第1のサブアセンブリ(61)および第2のサブアセンブリ(63)それぞれを介して、機械的アセンブリ(60)の第2の部分(62b)において機械的アセンブリ(60)に機械的に取り付けられる。画像投影光学デバイス(10)、LOE(70)および位置合わせモジュール(80)は、それぞれのサブアセンブリ(61、63、65)によって既知の固定の配向に保持される。
【0089】
ある実施形態では、機械的アセンブリ(60)は、2つの部分(62a、62b)の間に物理的分離を提供する、中心部分(64)を含む。2つの部分(62a、62b)は、中心部分(64)によって分離される機械的アセンブリ(60)の対向する端部に位置し得る。
【0090】
画像センサ(90)は、摺動構造体(66)を介して、機械的アセンブリ(60)に取り付けられる。摺動構造体(66)は、画像センサ(90)を、LOE(70)および位置合わせモジュール(80)と、交互に位置合わせするために、2つの位置の間を水平に摺動するように働く。
【0091】
図1を継続的に参照しつつ、ここで、本開示の実施形態に従う位置合わせモジュール(80)の概略図を示す断面図である、図6を参照する。位置合わせモジュール(80)は、テストパターン(86)を含む。好ましいが非限定的な実装では、テストパターン(86)は、位置合わせモジュール(80)のベース面に形成される、一般に長方形のスリット(つまり伸長されたアパーチャ)として実装される。他の実施形態では、テストパターン(86)は印刷されたパターンで、例えば、位置合わせモジュール(80)のベース面にプリントされる伸長された長方形のパターンであり得る。ある実施形態では、位置合わせモジュール(80)は、機械的アセンブリ(60)の構成要素であり、したがって、テストパターン(86)は、機械的アセンブリ(60)のアパーチャまたは開口部として形成される、機械的アセンブリ(60)の一部分と見なされ得る。
【0092】
テストパターン(86)は、機械的アセンブリ(60)に対して、固定的且つ既知の配向に配置される。テストパターン(86)の配向は、1つ以上の配向パラメータによって定義される。本開示の実施形態によれば、基準軸に対するテストパターン(86)の中心軸の角度は、メインの配向パラメータを定義する。テストパターンが長方形のスリットとして実装される実装では、中心軸は、長方形の鏡映対称の長いラインである。参照軸は、例えば、図6の紙の面である、画像センサ(90)の水平移動の軸であったり、または、画像センサ(90)の水平移動の軸に直交する垂直軸であり得る。以下でより詳細に説明される通り、画像センサ(90)は、画像処理アルゴリズムを介したテストパターン(86)の配向パラメータ(つまり角度)推定を可能にするために、画像センサ(90)が位置合わせモジュール(80)と位置合わせしている時に、テストパターン(86)の1つ以上の画像を捕捉するように働く。
【0093】
図6に示される非限定的な実施形態などの、ある実施形態では、テストパターン(86)のよりクリアでシャープな画像を作り出すために、テストパターン(86)が後部から照らされる。そのような実施形態では、ディフューザ(84)が、テストパターン(86)と、例えば1つ以上の発光ダイオード(LED)として実装される光線ソース(82)との間に配置される。光線ソース(82)から発される(概略的に光線83として表わされる)光波は、ディフューザ(84)によって拡散される。ディフューザ(84)からの拡散された(概略的に光線85として表わされる)光波は、テストパターン(86)の後部を照らす。
【0094】
ここで、画像センサ(90)を第1の位置に置くために第1のポジションにある摺動構造体(66)についての、図7のAを参照する。画像センサ(90)が第1の位置にある場合、テストパターン(86)がレンズ(92)の視野内に配置されるように、画像センサ(90)の(複数のレンズを含み得る)レンズ(92)は、位置合わせモジュール(80)と位置合わせされる。
【0095】
図8は、スリットとして実装される際のテストパターン(86)を、画像センサ(90)が位置合わせモジュール(80)と位置合わせされている(図7のA)時に、画像センサ(90)の観点から取った正面図を示す。テストパターン(86)は一般に、垂直、水平、その間の任意の角度を含む、既知且つ固定の配向で配置される。しかしながら、図8に示される通り、テストパターン(86)をほぼ30°の角度の方向に置くことは、ある画像処理アルゴリズム(例えばエッジ検出アルゴリズム)を活用する場合に有利である、というのも、そのような配向アルゴリズムは、アルゴリズムにより明白に定義されたエッジ領域を提供し、それによって、テストパターン(86)の配向の推定に対してより容易に対応できるからである。上に議論される通り、角度は、テストパターン(86)の中心軸(87)から参照軸までが測定され、参照軸は、図8では、画像センサ(90)の水平移動の軸である。
【0096】
図7のAを参照すると、画像センサ(90)が第1の位置にある場合、画像センサ(90)は、テストパターン(90)の1つ以上の画像を捕捉する。第1の位置にある場合、画像センサ(90)のレンズ(92)は、テストパターン(86)からおよそ10-15センチメートルの間隔を空けて配置される。集束および位置合わせ段階について議論する際に上に言及される通り、LOE(70)からカップリングアウトされる画像光波を捕捉する際、画像センサ(90)は無限遠に集束する。画像センサ(90)は(無限遠に恒久的に集束させた)固定焦点に維持することが望ましく、テストパターン(86)のエッジがはっきりとしており、且つ、画像処理アルゴリズムによってより容易に識別できるシャープな画像を確保するために、テストパターン(86)の画像は、好ましくは、画像センサ(90)の縮小されたアパーチャ状態で捕捉される。
【0097】
画像センサ(90)が第1の位置にある場合、テストパターン(86)の配向(つまり角度)を推定するために、画像センサ(90)によって捕捉される画像は、画像センサ(90)にリンクされたコンピュータ制御のプロセッサ(例えば画像プロセッサ)によって解析される。プロセッサは、テストパターン(86)の推定配向を、テストパターン(86)の既知の真の配向と比較する。ある実施形態では、比較は比較基準を形成し、それは例えば、推定配向と既知の配向との間の差異の絶対値をとることによって形成され得る。そのような実施形態では、推定配向が許容範囲(例えば+/-τ°)内にあるか否かの決定は、コンピュータ制御のプロセッサによってなされる。推定配向が許容範囲内にある場合、画像センサ(90)は適切に位置合わせされていると見なされる。しかしながら、推定配向が許容範囲内にない場合は、画像センサ(90)の配向パラメータが調節される。ある実施形態では、画像センサ(90)の配向パラメータの調節は、画像センサ(90)の基本軸(これはレンズ(92)の光学軸であり得る)の周りの画像センサの回転を介して(画像センサ(90)を摺動構造体(66)に取り付けるサブアセンブリを介して)実施される。配向パラメータ調節の後は別の画像が画像センサ(90)によって捕捉され、上に概説される解析および比較の工程が、推定配向が許容範囲内に入るまで繰り返される。推定配向が許容範囲内にあるか否かの指標は、停止条件が充足されるまで(つまり、テストパターン(86)の推定配向が許容範囲内に入るまで)、環境(1)のオペレータが画像センサ(90)の配向パラメータを継続的に調節することができるように、リアルタイムで提供され得る。このように、画像センサ(90)の配向パラメータ(つまり角度)が、許容範囲値内に収束するように、オペレータによって調節される。
【0098】
他の実施形態では、プロセッサは、テストパターン(86)の推定配向と既知の配向と間の比較からの出力として、補正値を提供し得る。そのような実施形態では、推定配向および既知の(つまり真の)配向が(許容範囲値内で)一致しない場合、補正値はプロセッサによって決定される。例えば、テストパターン(86)が、(図8に示されるように)30°の既知の角度で角度付けされ、且つ、推定角度が35°であると特定されている場合、補正値は5°として計算される。ある形態では、画像センサ(90)の配向は、画像センサ(90)の基本軸(これはレンズ(92)の光学軸であり得る)の周りの画像センサの回転を介して(画像センサ(90)を摺動構造体(66)に取り付けるサブアセンブリを介して)実施される。補正値は、推定角度と真の角度との間の差として計算され得る。そのような実施形態では、補正値の符号は、必要とされる回転方向を示すために使用され得る。ある実施形態では、補正値が正の場合、画像センサ(90)は画像センサ(90)の基本軸の周りを参照軸(例えば、画像センサ(90)の水平移動の軸)の方へ回転され、補正値が負の場合、参照軸から離れる方へ回転される。5°の補正値という上記の例を継続すると、画像センサ(90)は、レンズ(92)の基本軸の周りを参照軸の方へ5°回転される。
【0099】
原則として、一度、画像センサ(90)の配向が修正され、位置合わせモジュール(80)と適切に位置合わせされると、画像センサ(90)は、集束および位置合わせ段階の方法工程に従って、LOE(70)からカップリングアウトされている画像光波の捕捉を可能にするために、LOE(70)の正面に移動され得る。画像センサ(90)のLOE(70)正面への移動は、画像センサ(90)のレンズ(92)が、LOE(70)と位置合わせする第2の位置に、画像センサ(90)を置くために、摺動構造体(66)を移動させることによって達成される。概して言えば、画像センサ(90)は、第2の位置にある時は、LOE(70)から目の負担軽減距離にあるアイモーションボックス内に配置される。図7のBは、第2のポジションにある摺動構造体(66)を示し、このことにより、画像センサ(90)は第2の位置に配置される。
【0100】
ある実施形態では、画像センサ(90)によって捕捉されるテストパターン(86)の画像は、グレイスケール画像、例えば8ビットのグレイスケール画像、である。そのような実施形態では、各画像ピクセルは、最小のピクセル値と最大のピクセル値のとの間の値を呈する。8ビットのグレイスケール画像についてのある実装では、最小のピクセル値が0で最大のピクセル値は255であり得る一方、他の実装では、最小のピクセル値が-127で最大のピクセル値は128であり得る。ピクセル値は、各特定のピクセルで捕捉された光線の量を表し、より暗いピクセルはより低い値に対応し、より明るいピクセルはより高い値に対応する。
【0101】
上に言及される通り、コンピュータ制御のプロセッサは、画像センサ(90)によって捕捉されるテストパターン(86)の画像を解析する。プロセッサによって実施される画像解析は、テストパターン(86)の角度を推定するために、1つ以上の画像処理アルゴリズムの実行を含む。以下の段落は、本開示の実施形態に従う、テストパターン(86)の角度を推定するために使用され得る、例示的な画像処理アルゴリズムを説明する。
【0102】
図9は、スリットとして実装される時の、テストパターン(86)捕捉画像(88)の例を示す。ノイズおよび他の阻害因子は、テストパターン(86)のエッジ部および端部に変化を加え、その結果、捕捉された画像(88)は、テストパターン(86)を様々な欠陥を有する楕円形状として描写する。例示を明瞭にするために、画像(88)を複数のサンプルにスライスする一連の水平なストリップ(strip)(104)が、画像(88)に重ねられている。ストリップ(104)間の間隔は好ましくは均一で、例示的な画像処理アルゴリズムによって実行される画像(88)のサンプリングレートの関数である。
【0103】
各ストリップ(104)については、画像(88)のエッジに沿った点を特定するために、より暗いエッジピクセルから明るいエッジピクセルへのジャンプが特定される。図9では、画像(88)の左のエッジ(つまり側面)に沿った点は概して(106)として示され、且つ、画像(88)の右のエッジ(つまり側面)に沿った点は概して(108)として示される。実例を明瞭にするために、画像(88)のエッジにおける点のいくつかのみにラベルが付けられている。
【0104】
ジャンプは、様々な数学的方法を使用して特定され得る。例えば、画像の勾配を特定するために、画像の光線強度関数の一次導関数が求められ得る。その後、特にジャンプに相当する、画像の勾配における高値を探すことによって、画像の勾配が解析され得る。エッジ検出アルゴリズムもまた、ジャンプを特定するために様々な精度で適用され得る。
【0105】
ライン適合技法は、2つの別個のライン、点(106)に適合する1つのラインと、点(108)に適合する2つめのライン、を構成するために使用される。そのような技法の例は、例えば単純な線形回帰や、直交回帰およびデミング回帰を含む総最小二乗が含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
図10は、第1のライン(107)がポイント(106)に適合し、第2のライン(109)がポイント(108)に適合する、ライン適合の結果を示す。参照軸(例えば、画像センサ(90)の水平移動の軸)に対して測定される、第1のライン(107)および第2のライン(109)の角度が計算される。第1のライン(107)の角度はαによって表示され、第2のライン(109)の角度はβによって表示される。αとβの角度は、テストパターン(86)の推定角度を求めるために、一緒に平均化される。
【0107】
例示的な内挿ベースの画像処理アルゴリズムが、長方形スリットとして実装されるテストパターン(86)の文脈内で上記に説明されるが、同じまたは類似の内挿ベースの画像処理アルゴリズムは、テストパターン(86)が非長方形スリットとして実装される実施形態で使用され得る。テストパターン(86)の形状にかかわらず、テストパターン(86)のライン適合エッジについての同じ基本原理が適用される。参照軸に対する適合ラインの角度は計算されることが可能で、テストパターン(86)の適合ラインの各々について計算された角度は、数学的原理(例えば、統計的原理や幾何学的原理)に従って、組み合わされ得る。
【0108】
ここで、開示主題に従うプロセス(1100)を詳述するフロー図を示す、図11に注意を向ける。プロセス(1100)は、画像センサ(90)を位置合わせするための工程を含む。プロセス(1100)のサブプロセスの中には、環境(1)のオペレータによって手動で実施され得るもの、または、プロセッサなどの、機械的且つコンピュータ制御された様々な構成要素によって自動で実施され得るものがある。
【0109】
プロセス(1100)はブロック(1102)で始まり、そこでは、画像投影光学デバイス(10)およびLOE(70)が、それぞれのサブアセンブリ(61、63)を介して、既知且つ固定の配向で、機械的アセンブリに機械的に取り付けられる。その後、プロセス(1100)はブロック(1104)に移り、そこでは、画像センサ(90)が第1の位置、つまり位置合わせモジュール(80)と位置合わせの状態になるように、移動される。上に議論される通り、画像センサ(90)の移動は摺動構造体(66)の移動によって促進される。
【0110】
その後、プロセス(1100)はブロック(1106)に移り、そこでは、画像センサ(90)が、テストパターンの1つ以上の画像を捕捉する。テストパターン(86)の画像は、環境(1)のオペレータによる観察のために、ディスプレイモニタ(100)に表示され得る。その後、プロセスはブロック(1108)に移り、そこでは、テストパターン(86)の捕捉画像の各々は、テストパターン(86)の推定配向(つまり角度)を決定するために、プロセッサ(例えば画像プロセッサ)によって解析される。推定角度は、環境(1)のオペレータによる観察のために、ディスプレイモニタ(100)に表示され得る。テストパターン(86)の複数の画像が捕捉される実施形態では、プロセッサは、テストパターン(86)の配向を複数推定するために、画像の各々を別々に処理し得る。その後、複数の推定が、平均化や当該技術分野で知られる他の統計的手法を介して組み合わされ、単一の推定となり得る。あるいは、プロセッサは、画像を一緒に共同処理して単一の配向推定を形成し得る。
【0111】
上に議論される通り、様々な画像処理技術が、テストパターン(86)の配向を推定するために使用され得る。画像処理技術は、ライン適合アルゴリズム、エッジ検出アルゴリズム、および、それらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0112】
プロセス(1100)は、ブロック(1108)からブロック(1110)に移り、そこでは、比較基準を形成するために、テストパターン(86)の既知の配向と、(捕捉画像に基づく)テストパターン(86)の推定配向が比較される。比較基準は、例えば推定配向と既知の配向の間の差の絶対値をとることによって形成され得る。その後、プロセス(1100)はブロック(1112)に移り、そこでは、ブロック(1110)からの比較基準出力に基づいて、推定配向が許容範囲内にあるかどうかについて決定がなされる。ブロック(1112)の決定は、例えば、閾値基準に対して比較基準を評価することによってなされ得る。例えば、推定配向と既知の配向との間の差の絶対値が許容範囲値に対して評価され、その差が許容範囲値を超えているか、または、許容範囲値未満(あるいは許容範囲値に等しい)かが決定され得る。原則として、許容範囲値は、およそ数百分の1から10分の1または10分の2までであり得る。推定配向が許容範囲内にある場合、プロセス(1100)はブロック(1112)からブロック(1116)に移り、そこでは、画像センサ(90)が適切に位置合わせされているとみなされ、第2の位置(つまりLOE(70)と位置合わせされている)へ移動される。上に議論される通り、第2の位置への移動は摺動構造体(66)の移動によって促進される。その後、プロセス(1100)はブロック(1118)に移り、そこでは、画像センサ(90)が、LOE(70)からカップリングアウトされた画像光波を捕捉する。ブロック(1118)の実行は、プロセス(500)で実施される工程の1つ以上として実施され得る。
【0113】
しかしながら、推定配向が許容範囲内に無い(例えば既知の配向の0.1°以内ではない)場合、プロセス(1100)はブロック(1112)からブロック(1114)に移り、そこでは、画像センサ(90)の配向パラメータ、つまり画像センサ(90)の基準軸についての角度(例えば、レンズ(92)の光学軸)が調節される(つまり、画像センサ(90)がその基準軸の周りを回転させられる)。その後、プロセス(1100)はブロック(1114)からブロック(1106)に戻り、そこでは、テストパターン(86)の新しい画像が画像センサ(90)によって捕捉される。ブロック(1106-1114)は、推定配向が許容範囲内になるまで必要に応じて繰り返され、推定配向が許容範囲内になると、上に説明されるように、プロセス(1100)はブロック(1112)からブロック(1116)に移る。
【0114】
プロセス(1100)の反復的性質によって、環境(1)のオペレータが比較的短期間に画像センサ(90)を位置合わせすることが可能になる。ある実施形態では、ブロック(1106-1114)で実行される画像捕捉、解析、比較、決定、および調節は、プロセッサがオペレータに、推定配向が許容範囲内にあるか否かについての継続的またはほぼ継続的な指標を提供することができるように、実施される。推定配向が許容範囲内にあるか否かの指標は、環境(1)のオペレータに、例えばディスプレイモニタ(100)を介して、視覚的に表示され得る。
【0115】
許容範囲は、環境(1)のオペレータによって操作されるコンピュータまたはコンピュータデバイス(例えばプロセッサ、または、プロセッサにリンクされた他の処理デバイス)のメモリにプログラムされている、既定値であり得ることに留意が必要がある。ある実施形態では、様々なテストおよび実験は、プロセス(1100)の方法工程を実行する前に実施され得る。そのようなテストおよび実験は、システム性能を性能測定基準(例えば、LOE(70)からカップリングアウトされた画像の品質および精確性)に従って、画像センサ(90)およびLOE(70)との間の配向エラーの関数として評価するために、画像センサ(90)、画像投影光学デバイス(10)およびLOE(70)を使用し得る。その後、許容範囲値は、システムレベルの仕様に従うシステム性能要件条件を充足する性能測定基準に基づいて、決定かつプログラムされ得る。例えば、性能測定基準は、総合的なシステムが、許容差値が0.10°だと性能要件を充足しているが、許容差値が0.15°だとそのような要件を充足していないことを示し得る。
【0116】
上に説明されるプロセス(1100)の実施形態は、ブロック(1106-1114)で実行される通り、推定配向が許容範囲内にあるか否かについての継続的またはほぼ継続的な指標をプロセッサが提供できるように実施される画像捕捉、解析、比較、決定および調節に関係するが、ブロック(1110)で実施される比較に応じてプロセッサが個別の補正値を提供する、他の実施形態が可能である。例えば、比較出力は、画像センサ(90)の配向パラメータに適用されるための補正値として扱われる得る。そのような実施形態では、画像センサ(90)の配向パラメータは決定された補正値に基づいて調節される。そのような実施形態では、画像捕捉、比較および調節の工程は、ブロック(1106、1108および1114)それぞれで実行される通り、推定配向があらかじめ定義された許容範囲値内(例えばτがほぼ0.10°であり得る場合、+/-τ°)になるまで、繰り返され得る。
【0117】
ブロック(1104-1114)が、画像センサ(90)の位置合わせをチェック/補正するために、プロセス(500)に説明される工程の1つ以上の実行の後に実行され得る。さらに、ブロック(1116-1118)を実行した後、画像投影光学デバイス(10)およびLOE(70)は新しい画像投影光学デバイスおよびLOEと交換されることが可能で、また、位置合わせ手順は、新しい画像投影光学デバイスおよびLOEの適切な位置合わせを確実にするために継続され得る。
【0118】
あるいは、ステレオビジョンシステムに使用されるなど、画像投影光学デバイスおよびLOEの2つのセットが配置され、且つ、機械的アセンブリ(60)に機械的に取り付けられ得る(つまり、ブロック(1102)は、LOE/画像投影光学デバイスの各ペアにつき1回の、2回実施され得る)。ブロック(1104-1114)が実施された後、ブロック(1116-1118)は、LOE/画像投影光学デバイスの各ペアにつき1回の、2回行なわれ得る。
【0119】
これまでに説明された通りの本開示の実施形態は、位置合わせモジュール(80)およびLOE出力からの画像を交互に捕捉するために、2つのポジション間で移動可能な、単一の画像センサに関係していたが、画像を捕捉するために1つを超える画像センサが配置される他の実施形態が可能である。そのような実施形態では、例えば、2つの画像センサが使用されることが可能であり、第1の画像センサは第2の画像センサより低い解像度で作動する。そのような実施形態は、集束と位置合わせの段階が、粗調節が低解像度の画像センサによって捕捉される画像に基づいて行われ、微調節が高解像度の画像センサによって捕捉される画像に基づいて行われる、粗微プロセスとして実施される状況において利点を得るために使用され得る。
【0120】
プロセス(500と1100)の工程の実行について議論する際には、画像処理機能の実行と共に様々な機械的且つ光学的構成要素の移動が参照された。以下の段落は、プロセス(500と1100)に関連する方法工程を実施するために使用される計装(つまり構成要素)と技術についての、非限定的な例を説明する。
【0121】
集束および位置合わせ段階、および配向を実施するための計装および技術
上に詳細に議論される通り、プロセス(500と1100)に関連する方法工程のいくつか、特にプロセス(500)のブロック(506と508)およびプロセス(1100)のブロック(1108)は、様々な画像処理技術の実行によって実施される。画像処理技術は、コンピュータ制御のプロセッサによって実行されることが可能で、それは処理システムの一部であり得る。さらに、プロセス(1100)に関連する方法工程のいくつか、特にブロック(1110および1112)は、比較を含むロジック動作を実施すること、および、比較からの出力が閾値基準を充足するか否か(つまり、推定配向と既知の配向との間の絶対差が、許容範囲値より大きいか小さいか)を決定すること、を含む。そのようなロジック動作は、好ましくは、閾値基準に対する比較および評価の形式でコンピュータ制御のプロセッサによって実施され、それは、ある実施形態で画像処理技術を行なうのと同じプロセッサである。
【0122】
図12は、少なくとも1つのコンピュータ制御のプロセッサを含み、概して(110)と指定される、そのような処理システムの例示アーキテクチャのブロック図を示す。処理システム(110)は、画像センサ(90)から画像データを受け取り、処理された出力を表示のためにディスプレイモニタ(100)に提供するために、画像センサ(90)とディスプレイモニタ(100)にリンクされる。
【0123】
処理システム(110)は、メモリなどの記憶モジュール(114)に連結される少なくとも1つのプロセッサ(112)を含む。プロセッサ(112)は、マイクロプロセッサ、ASICおよびDSPを含むがこれらに限定されない、任意の数のコンピュータ制御のプロセッサとして実装され得る。ある非限定的な実装では、プロセッサ(112)は、画像処理プロセッサとして有利に実装される。そのようなプロセッサはすべて、例えば記憶モジュール(114)などの、非一時的なコンピュータ可読媒体を含む、または、それと通信状態である可能性がある。そのような非一時的なコンピュータ可読媒体の記憶プログラムコードまたはインストラクションのセットがプロセッサ(112)によって実行されると、プロセッサ(112)がアクションを実施する。非一時的なコンピュータ可読媒体のタイプは、プロセッサ(112)などのプロセッサにコンピュータ可読インストラクションを提供することができる、電子、光学、磁気による記憶装置または転送装置あるいは他の記憶装置または転送装置を含むが、それらに限定されない。
【0124】
ある実施形態では、プロセッサ(112)は、プロセス(500)のブロック(506と508)およびプロセス(1100)のブロック(1108)に従って画像処理機能を実施するように構成され、さらに、例えばプロセス(1100)のブロック(1110と1112)に従って様々なロジック機能を実施するように構成される。推定配向が許容範囲内にあるか否かについての決定がなされる実施形態では、記憶モジュール(114)は許容範囲値(複数可)を記憶するように構成され得る。あるいは、許容範囲値は、プロセッサ(112)の揮発性または非揮発性メモリに記憶され得る。他の実施形態では、前述の様々な画像処理およびロジック機能が別々のプロセッサによって実施され、それは同じ処理システム(110)の一部か、または、互いにリンクされる別々の類似の処理システムの一部であり得る。
【0125】
画像センサ(90)の配向パラメータに適用される補正値を決定するために、推定配向と既知の配向との間の差が使用される実施形態では、プロセッサ(112)は補正値を決定するように構成され得る。
【0126】
上にさらに議論される通り、画像処理工程は、様々な機械的且つ光学的構成要素の移動と共に実行される。そのような移動はプロセス(500と1100)に関連する方法工程、特にプロセス(500)のブロック(506-508)およびプロセス(1100)ブロック(1104、1114および1116)で概説される。議論されるとおり、前述の構成要素の移動は、機械的アセンブリ(60)の様々なサブアセンブリによってよって可能になる。以下の段落は、図13および14を参照して、本開示の実施形態に従う機械的アセンブリ(60)のより詳細で非限定的な概略図を説明し、それはプロセス(500と1100)の工程を実施する際に使用され得る。
【0127】
図13に示されるとおり、機械的アセンブリ(60)は、一般に平面的で、端部、すなわち第1の端部(604)と第2の端部(606)との間に伸びるベース(602)を含む。摺動レール(608)は、ねじなどを介して、ベース(604)に機械的に取り付けられ、2つの端部(604と606)の間に伸びる。スタンド(610)は、第2の端部(606)の近くのベースから上方に伸びる。スタンド(610)は、ねじまたはボルトなどの機械的留め具を介して、ベース(602)に固定された状態で搭載される。摺動レール(608)および、摺動構造体(66)のベース(612)は、摺動構造体(66)が2つの端部(604と606)の間をベース(602)を横切って横方向に移動することができるように対応して構成される。摺動構造体(66)は、ベース(612)から上方に伸び、且つ、ねじまたはボルトなどの機械的な留め具を介してベース(612)に取り付けられる、スタンド(614)を有す。画像センサ(90)は、画像センサ(90)の配向の調節を可能にする機械的サブアセンブリを介して、スタンド(614)の上部(615)(つまり、ベース(612)から遠位の部分)に機械的に連結される。
【0128】
ある実施形態では、ストッパが、例えばLOE(70)および位置合わせモジュール(80)(つまりテストパターン(86))の水平方向のポジションまたはその近くで、摺動レール(608)に沿った異なるポジションに配置され得る。このようにして、摺動構造体(66)は、LOE(70)および位置合わせモジュール(80)と位置合わせするために、2つの休止ポジションの間を移動し得る。ある実施形態では、摺動構造体(66)の移動は、手動(つまり、光学テストベンチのユーザーによる手動操作)で誘導される。他の実施形態では、摺動構造体(66)は電気機械的に操作され、また、その移動は、コンピュータやコンピュータデバイスに実装されるユーザーインターフェースなどを介して、光学テストベンチのユーザーに、休止ポジション間の摺動構造体(66)の移動を可能にさせる、コンピュータまたはコンピュータデバイスに連結される駆動構造体(機械的リンク機構を有するアクチュエータ)によって可能になる。また別の実施形態では、摺動構造体(66)の移動は、電気機械的な駆動構造体によって手動で誘導且つ補助される。
【0129】
図13はさらに、スタンド(610)に対して配置される部材(616)を示す。部材(616)は、LOE(70)、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)および、LOE(70)と機械的なコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)を機械的アセンブリ(60)のスタンド(610)に、固定且つ既知の配向で、固定された状態で搭載する第2のサブアセンブリ(63)の、概略図である。コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)は画像投影光学デバイス(10)の構成要素の1つと考えられ得るが、コリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)は、光学的取り付け(例えばセメント)または機械的取り付け(例えばブラケット構造体など)を介して、LOE(70)に取り付けられ得る。機械的アセンブリ(60)への部材(616)の搭載は、第2のサブアセンブリ(63)のスタンド(610)上方への機械的な取り付けを介して行われる。第2のサブアセンブリ(63)は、LOE(70)を機械的アセンブリ(60)に対して既知かつ固定のポジションと配向に保持するために配置される、1つ以上のブラケットおよび/または1つ以上のストッパを含み得る。
【0130】
単一ユニット(50)は、部材(616)の後ろに置かれる。単一ユニット(50)は、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)および照明プリズムアセンブリ(16)を保持する機械的ボディである。図14は、非限定的な例示構造に従う、第1のサブアセンブリ(61)および単一ユニット(50)の詳細図を示す。非限定的な構造では、第1のサブアセンブリ(61)は、上部クランプ部材(618)と下部クランプ部材(620)を含み、単一ユニット(50)を保持するように構成される、ダブルクランプ構造体(double clamping arrangement)として実装される。クランプ部材(618と620)は、単一ユニット(50)の上部と底部をそれぞれ保持し、中心ピン(622)および端部ジョイント(624)によって一緒に接続される。単一ユニット(50)は、電子ディスプレイソース(12)、照明モジュール(14)、およびそこに収容される照明プリズムアセンブリ(16)を有する、閉じられた、または半分閉じられた箱状の構造物として形成され得る。図14に示される非限定的な構造では、電子ディスプレイソース(12)は、ベースプレートと機械的留め具(例えばねじ)を介してハウジングに連結される。
【0131】
図面では示されていないが、ジョイント(624)は、機械的リンク機構を介してスタンド(610)に機械的に取り付けられる。調節機構(例えばノブ、ダイヤルなど)の構造体は、単一ユニット(50)がプロセス(500)に従って変位および並進移動できるように、部材(616)に対する第1のサブアセンブリ(61)の調節可能な位置決めを促進する機械的リンク機構に連結される。
【0132】
ブロック(506)に説明される変位、および、ブロック(508)に説明される並進移動に関しては、変位アクションおよび並進アクションは、第1のサブアセンブリ(61)の1つ以上のサブコンポーネントに力を加えることによって実施され得る。ある実施形態中で、変位アクションおよび並進アクションは、機械的リンク機構につながれた調節機構の1つ以上を操作するオペレータ/ユーザーによって、手動(つまり手動操作)で誘導される。そのような手動操作は、例えば、ノブまたはダイヤルを回すことを含む、1つ以上の調節機構の手動操作を含み得る。例えば、ノブまたはダイヤルの1セットを回すことは、ノブ/ダイヤルの回転の量と方向に比例する増分量、単一ユニット(50)を変位させ得る。同様に、例えば、ノブまたはダイヤルの別のセットを回すことは、ノブ/ダイヤルの回転の量と方向に比例する増分量、単一ユニット(50)を並進させ得る。
【0133】
原則として、変位および並進の量は一般に数マイクロメートル(例えば、数十マイクロメートルから数百マイクロメートル)ほどであり、光学実験室テストベンチで使用される多種の装備は、そのような計器の手動操作に基づく小さな調節量に対応することができる機械的アセンブリと計器を提供する。
【0134】
実際、照明プリズムアセンブリ(16)とコリメ―ティングプリズムアセンブリ(18)との間のインターフェース領域を提供するために、単一ユニット(50)と部材(616)との間に1つ以上のガラス製のスラブが置かれ得る。例として、スラブはプリズムアセンブリ(16、18)の隣接する光線透過面(36と38)の間に置かれ得る。単一ユニット(50)が、(プロセス(500)の方法工程によって)変位および並進移動された後、プリズムアセンブリ(16、18)間の光学取り付けを形成するために、光学セメントが、スラブとプリズムアセンブリの隣接面(16、18)との間に塗布され得る。
【0135】
図13に戻り、位置合わせモジュール(80)は、第3のサブアセンブリ(65)を介して、スタンド(610)の側面部分に機械的に連結される。第3のサブアセンブリ(65)は、部材(616)の近くのスタンド(610)の側面部分に取り付けられる。図13に示される機械的アセンブリ(60)の概略図では、第3のサブアセンブリ(65)が、第1の端部(626)で、スタンド(610)の側面部分に機械的に取り付けられる伸長アーム(628)を含む。スタンド(610)への伸長アーム(628)の機械的な取り付けは、ねじなどの機械的留め具を介してなされる。ベースプレート(630)は、伸長アーム(628)の第2の端部に配置される。テストパターン(86)は、ベースプレート(630)上に並べられる。図13には示されていないが、光線ソース(82)およびディフューザ(84)は、ベースプレート(630)の背面(つまりテストパターン(628)の後ろ)に取り付けられる。
【0136】
LOE(70)および位置合わせモジュール(80)の機械的アセンブリ(60)への取り付けは、本開示に説明される位置合わせ方法論の工程の実行前に実施されることに、留意が必要である。LOE(70)は、画像センサ(90)が目の負担軽減距離にあるアイモーションボックスに置かれる時に、LOE(70)によって投影される画像全体(つまりフルFOV)の、(画像センサ(90)によって)捕捉される画像が有効になるように、固定の配向で機械的アセンブリ(60)に取り付けられる。機械的アセンブリ(60)への、LOE(70)および位置合わせモジュール(80)の取り付けは、例えばオートコリメーターを含む様々なタイプの光学テスト装備を使用してなされ、それにより、既知且つ固定の配向で、前述の構成要素を機械的アセンブリ(60)に比較的高い精度レベルで取り付けることが容易になる。このようにして、位置合わせモジュール(80)に対する画像センサ(90)の位置合わせの補正が、LOE(70)に対する画像センサ(90)の適切な位置合わせをも確実にするために、位置合わせモジュール(80)の配向とLOE(70)の配向との間にリンクが確立される。
【0137】
単一ユニット(50)の変位アクションおよび並進アクションは、上に説明されるように、機械的アセンブリ(60)の1つ以上の調節機構の手動操作を介して誘導されることが可能であるが、そのような調節機構が電気機械的制御システムによって操作される、他の実施形態が可能である。
【0138】
図15は、そのような電気機械制御システムの例示アーキテクチャのブロック図であり、概して(120)と指定される。電気機械制御システム(120)は、処理システム(110)にリンクされ、コントローラ(122)およびアクチュエータ(124)を含む。コントローラ(122)は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、ASICおよびDSPを含むがこれらに限定されない、任意の数のコンピュータ制御のプロセッサとして実装され得る。そのようなプロセッサはすべて、実行されるとコントローラ(122)がアクションを実施するプログラムコードまたはインストラクションのセットを記憶する、非一時的なコンピュータ可読媒体を含む、または、それと通信状態である可能性がある。非一時的なコンピュータ可読媒体のタイプは、コントローラ(122)などのプロセッサにコンピュータ可読インストラクションを提供することができる、電子、光学、磁気による記憶装置または転送装置あるいは他の記憶装置または転送装置を含むが、それらに限定されない。
【0139】
アクチュエータ(124)は、コントローラ(122)からの制御された入力に応じて、第1のサブアセンブリ(61)の1つ以上のサブコンポーネントに力を加えることによって変位アクションおよび並進アクションを引き起こす、機械的アクチュエータ、例えばステッパモータであり得る。コントローラー(122)は、集束品質およびLoS評価に基づく調節機構を調節するために、アクチュエータ(124)にフィードバック制御を提供するよう、処理システム(110)からの入力として、集束品質およびLoS評価などの画質測定基準を受け取り得る。
【0140】
ある実施形態では、アクチュエータ(124)はさらに、画像センサ(90)の配向パラメータの調節を制御し得る。そのような実施形態では、摺動構造体(66)に画像センサ(90)を取り付けるサブアセンブリに力を加えることによって、アクチュエータ(124)が回転調節を引き起こす。アクチュエータ(124)は、コントローラ(122)から受け取る制御された入力に応じて、そのような回転調節を誘導する。制御された入力は、ブロック(1112)に従って、推定配向が許容範囲内にあるか否かを示す処理システム(110)からの出力に応じて、コントローラ(122)によって提供される。処理システム(110)および電気機械操作システム(120)は一緒に、許容範囲値内への収束を可能にするクローズドループシステム(closed loop system)を形成し得る。そのようなクローズドループシステムでは、電気機械的制御システム(120)が、テストパターン(86)の画像を捕捉するために画像センサ(90)を始動させる。その後、電気機械的制御システム(120)が、テストパターン(86)の捕捉画像上で実施される画像解析に由来する処理システム(110)からの入力に応じて、画像センサ(90)の配向パラメータを調節する。電気機械制御システム(120)および処理システム(110)によって実施される、始動、調節および画像解析機能は、(画像解析からの)推定配向が許容範囲値内になるまで繰り返される。
【0141】
ある実施形態では、アクチュエータ(124)はさらに、摺動構造体(66)の移動を制御し得る。そのような実施形態では、アクチュエータ(124)は、第1の位置と第2の位置との間の摺動構造体(66)を摺動させるために、コントローラ(122)から制御された入力を受け取る。そのような実施形態では、コントローラ(122)は、好ましくは、ユーザーインターフェースが実装されているコンピュータまたはコンピュータデバイスにリンクされ、摺動構造体(66)の制御された移動を開始するために、オペレータがコントローラ(122)に入力コマンドを与えることを可能にする。あるいは、摺動構造体(66)の移動は、コントローラ(122)によって完全に自動化され得る。
【0142】
ある実施形態では、1つ以上のプロセッサを有する単一の処理制御サブシステムによって、画像処理機能および制御機能が実装され得ることに留意が必要である。
【0143】
例示の導波路実装についての説明
上に議論されるように、本開示の実施形態の位置合わせ方法の方法工程を実施する際は、画像センサ(90)はLOE(70)からカップリングアウトされる画像光波を捕捉する。LOE(70)は、光波を入力光学面から出力光学面へと導く光導波路として機能する。ある非限定的な実装では、画像投影光学デバイス(10)からの画像光波は、LOE(70)の中へカップリングされ、全内部反射によってLOE(70)を通るように導かれる。導かれた光波はその後、1つ以上の部分反射面によって、画像光波としてLOE(70)からカップリングアウトされる。エンドユーザーに使用される際(つまり、眼鏡など最終アセンブリの後)には、カップンリングアウトされた光波がユーザー(つまり観察者)の目(あるいは両目)の中へ投影される。
【0144】
図16は、LOE実装の例を示す。LOEは、互いに平行な主要な下部表面(132)および主要な上部表面(134)を含む、光波透過平面基板(130)で形成される。カップリングイン光学素子(136)は、画像投影光学デバイス(10)からのコリメートされた光波(光線138で表される)によって照らされる。カップリングイン光学素子(136)は、基板(130)の傾斜エッジ(140)およびプリズム(142)を含む。エッジ(140)は、基板(130)の主要な下部表面および上部表面(132、134)対して斜角に配向されており、そこでは、αエッジは、エッジ(140)と基板(130)の主要な下部表面および上部表面(132、134)に対する垂線との間の角度である。プリズム(142)は3つの主要な面(144、146、148)を含み、面(144)は基板(130)のエッジ(140)の隣りに位置し、面(146と148)は研磨面である。ある実施形態では、プリズム(142)の反射率は基板(130)の反射率に類似しており、一方で他の実施形態では、プリズム(142)および基板(130)は異なる反射率を有する。光線(138)は、面(146)を通ってプリズム(142)に進入する。面(146)は、好ましくは、入射光線(つまり光線(138))の中心光波に垂直に配向される。その後、光線(138)は、エッジ(140)を通って基板(130)に進入するために、面(144)を通過し、それによって光線(138)は、全内部反射によってLOEの平面基板(130)の内部にトラップされる。基板(130)の主要な下部表面および上部表面(132、134)の数回の反射の後、トラップされた光波は、例えば一連の選択的部分反射面として実装されるカップリングアウト光学構造体(150)に到達し、それによって光波は基板(130)からカップリングアウトされる。
【0145】
本開示の実施形態の位置合わせ方法の方法工程を実施する際に、図16のLOEがLOE(70)として使用される場合は、カップリングアウト光学構造体(150)は、カップリングアウトされる光波が画像センサ(90)によって捕捉され得るように、光波を基板(130)からカップリングアウトさせる。
【0146】
図16は、LOEの入力面(つまり入力光波がLOEに進入する時に通る面)は傾斜エッジ(140)上にあり、LOEの出力面(つまりトラップされた光波がLOEを退出する時に通る面)は下部の主要面(132)上にある旨を描写しているが、他の構成が想定されることには留意の必要がある。1つのそのような構成では、入力面および出力面は、基板(130)の同じ側に位置し得る。そのような構成では、カップリングイン光学素子(136)は、基板(130)の主要な下部表面および上部表面(132、134)に対して斜角に配向される反射面によって実現されることが可能で、その結果、 LOEの入力面が主要な下部表面(132)上にあり、カップリングイン反射面は、入射光線を、全内部反射によって基板(130)内部にトラップされるように反射する。入力面が主要な上部表面(134)上にあり、出力面が主要な下部表面(132)上にある、さらに別の構成が想定される。
【0147】
図16のLOEがエンドユーザーによって使用される場合、カップリングアウトされる光波はユーザー(つまり観察者)の目(または両目)の中へ投影される。具体的には、カップリングアウト光学構造体(150)は、光波を基板(130)から観察者の目(152)の瞳孔(154)の中へカップリングし、それによって、観察者によって観察される画像を形成する。目(152)は、LOE(70)から目の負担軽減距離(156)に、また、アイモーションボックス(158)内に、置かれる。上に議論されるとおり、アイモーションボックス(158)は、目の負担軽減距離(156)にある二次元の領域であり、そこでは、目(152)が、LOE(70)によって投影される画像全体(つまりフルFOV)を捕捉する。
【0148】
ある実施形態では、画像投影光学デバイス(10)と共にLOE(70)が、ユーザーのために拡張現実環境を提供し、そこでは、LOE(70)カップリングアウトされる画像投影光学デバイス(10)からの画像が、現実世界のシーンに重ね合わされ得る。そのような実施形態では、現実世界のシーンからの画像は、基板(130)の主要な下部表面および上部表面(132、134)を直接通過し、一方で、LOE(70)が同時に画像(つまりバーチャル画像)を、画像投影光学デバイス(10)から目(152)の中へカップリングする。他の実施形態では、画像投影光学デバイス(10)と共にLOE(70)が、ユーザーのための仮想現実環境を提供し、そこでは、画像投影光学デバイス(10)からの仮想画像のみがユーザーによって観察される。そのような実施形態では、現実世界のシーンの外部画像が、基板(130)を通って透過される。
【0149】
LOEは、単眼の光学システムの一部として使用されることが可能で、そこでは、画像は観察者の一方の目のなかに投影される。あるいは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)アプリケーションやステレオビジョンシステムなどにある、観察者の両目の中へ画像を投影することが望ましいかもしれない。そのような選択肢では、2つの光学システムが使用されることが可能で、各々の光学システムが、観察者の異なる目の中へ画像を投影するために配置される、画像投影光学デバイスとLOEを有する。例えば、2つの光学システムを使用するHUDは、運転時のナビゲーション支援を提供したり、視界が良くない状態でドライバーの目に熱画像を投影したりするために、車両のドライバーの正面に組み込まれることが可能で、例えば車両のダッシュボードに一体化され得る。そのような実施形態では、現実世界のシーンの熱画像を捕捉するために、サーマルカメラが配置され得る。熱画像はその後、熱画像に対応する光波がLOEの中へカップリングインできるように、画像投影光学デバイス(10)に提供され得る。
【0150】
本開示の実施形態の位置合わせ方法は、HUDアプリケーションやステレオビジョンシステムなどのデュアル光学システム(つまり、LOE/画像投影光学デバイスの2つのペア)において利点を得るために使用されることが可能で、このことは、正確なステレオイメージを可能にするために、各LOE/画像投影光学デバイスペアの構成要素の適切な位置合わせ、および、2つの光学システムの互いに対する位置合わせを必要とする。
【0151】
本開示の実施形態の位置合わせ方法は、LOEとして実装される光導波路、例えば図16のLOE(70)の文脈内で、説明されてきたが、本開示の位置合わせ方法は、光波を光波透過面の中へおよび/または外へカップリングさせるために回析技術に頼る導波路を含む、別の種類の光導波路技術に適用し得る。例えば、一連の選択的部分反射面としてのカップリングアウト光学構造体(150)を実装する代わりに、カップリングアウト光学構造体(150)は、基板(130)の主要な下部表面(132)の部分に沿って伸びる、1つ以上の回折素子として実装され得る。さらなる例として、プリズム(142)を備えた傾斜エッジ(140)として、または、斜角に配向された反射面としてカップリングイン光学素子(136)を実装する代わりに、カップリングイン光学素子は、基板(130)の主要な下部表面(132)または主要な上部表面(134)のいずれかの部分に沿って伸びる、1つ以上の回折素子として実装され得る。
【0152】
本発明の様々な実施形態の説明は例示の目的で提示されるが、網羅的であること、または、開示される実施形態に限定されることは意図されていない。説明される実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の適用、または市場で見られる、技術に対する技術的改良を最もよく説明するために、または、当業者が本明細書で開示される実施形態を理解できるようにするために、選択された。
【0153】
本明細書で使用される単数形、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでない旨を指示しない限り、複数の参照を含む。
【0154】
「例示的(exemplary)」という語は、本明細書では、「例、事例、または例示として機能する」ことを意味するために使用される。「例示的」として説明されている実施形態は、他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではなく、および/または、他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するものではない。
【0155】
明確さを目的として、別個の実施形態という文脈にて記述される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態に組み合わせて提供され得ることが理解される。反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で説明される本発明の様々な特徴はまた、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで、または本発明の任意の他の説明された実施形態で、適切に提供され得る。様々な実施形態の文脈で説明されている特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0156】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内にある、そのような代替、修正、および変形のすべてを包含することが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16