(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】関節の解剖学的な動きを測定するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20230619BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A61B5/11 120
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2021526742
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 SG2019050540
(87)【国際公開番号】W WO2020101569
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10201810156P
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】521208974
【氏名又は名称】プレシックス・ピーティーイー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PRECIX PTE LTD
【住所又は居所原語表記】71 Ayer Rajah Crescent,#02-01,Singapore 139951
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ライ、カーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ソー、ギムソン
(72)【発明者】
【氏名】タン、ミエンイー
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、イーフェン
(72)【発明者】
【氏名】チョベイ、ディネシュ・クマール
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-516719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節
の動きを測定するための方法であって、
前記関節の周りの1つ又は複数の骨を測定し、
そのようにして前記関節の相対回転を測定するステップと、
前記
複数の骨のうちの1つの骨についての複数の超音波画像を取り込むステップと、
前記骨上のマーカを識別するステップと、
前記マーカの変位を追跡するステップと、
前記変位を前記関節の前記相対回転と相関させるステップと、
その結果、前記関節
の動きを測定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記測定するステップは、前記関節のいずれかの側で皮膚にそれぞれが取り付けられた一対の慣性測定ユニット(IMU)を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IMUのうちの第1のIMUは前記骨に近接している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別するステップは、連続するフレームにおける各マーカを突き合わせることを含む、請求項1
から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記追跡するステップは、指定された軸周りでの前記マーカの回転を測定するステップをさらに含む、請求項1
から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記超音波画像を取り込むステップは、前記関節に近接して取り付けられた超音波センサによって提供される、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記関節の動きを始動する筋における筋電図を作成するステップと、
その結果、前記筋内の活動データを測定するステップと、
前記活動データを較正し、その結果、前記筋によって前記関節に加えられる力を計算するステップと、をさらに備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
人の関節に
おける骨の動きを測定するためのシステムであって、
前記関節における骨の動きを測定するように配置された
診断デバイスと、
前記診断デバイスに近接する骨
についての複数の画像を取り込み、前記骨上のマーカを識別するための超音波センサと、
前記診断デバイスからの骨の動きデータを受信し、前記超音波センサによって取り込まれた前記複数の画像を受信するための制御システムと、を備え、
前記制御システムは、前記マーカの変位を測定し、前記変位を前記関節
の相対回転と相関させ、それに応じて、前記関節
の動きを測定するように構成されている、システム。
【請求項9】
前記診断デバイスは、前記関節のいずれかの側で皮膚にそれぞれが取り付けられた一対の慣性測定ユニット(IMU)を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記関節の動きを始動する筋における活動を測定し、前記活動のデータを前記制御システムに提供するための筋電図検査センサをさらに含み、前記制御システムは、前記筋によって前記関節に加えられる力を計算するように前記活動のデータを較正するようにさらに構成される、請求項
8又は9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節、たとえば膝関節または肩の動きを測定するための診断デバイスおよび方法に関する。詳細には、本発明は、たとえば診断解析の手段として関節の動的機能を定量化することに関する。
【背景技術】
【0002】
関節の動きを非侵襲的に測定するために、いくつかの技法が存在する。身体力学においては写真測量が一般的であり、これにより関節の画像が運動中に撮られ、その後、相対回転および変位を測定するために使用される。しかし、これらの技法は、実際には皮膚および周囲の組織を測定しており、関節が構成される骨を測定しない点で本来欠点がある。
【0003】
この欠点がある手法に対する代替は、運動検出のためのマーカとして働くピンを骨に直接取り付けることを含んでいた。ピンを骨に取り付けることは、明らかに非侵襲性の思想を損なう。
【0004】
MRIおよびCTスキャンなど、より貫通性の方法も可能であるが、これらには自然な運動中に診断テストを行うための可動性がない。またこれらは、専門医にとっても(資本集約的な機器)、それらの運転費用についてもコストがかかり、これは患者に転嫁される。
【0005】
したがって、関節機能の非侵襲的な定量化にとって診断ギャップがある。市場においては関節の診断評価のための非侵襲的な方法が求められているので、骨の動きを測定することができるものは、しばしば不正確であり、時間がかかり、結局主観的である。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様では、本発明は、関節の動的な動きを測定するための方法を提供し、この方法は、前記関節のいずれかの側で(又は両側で、on either side)皮膚にそれぞれが取り付けられた一対の慣性測定ユニットを使用して、関節の相対回転を測定するステップと、前記IMUのうちの第1のものに近接する骨の複数の超音波画像を取り込むステップと、前記骨上のマーカを識別するステップと、マーカの変位を追跡するステップと、前記変位を関節の相対回転と相関するステップと、その結果、関節の動的な動きを測定するステップとを含む。
【0007】
第2の態様では、本発明は、関節の動的な動きを測定するためのシステムを提供し、このシステムは、前記関節のいずれかの側で皮膚にそれぞれが取り付けられた一対の慣性測定ユニットと、前記IMUは、関節の相対回転を測定するように構成される、前記IMUのうちの第1のものに近接する骨の複数の画像を取り込み、前記骨上のマーカを識別するための超音波センサと、前記IMUからの相対回転、および前記超音波センサによって取り込まれた画像を受信するための制御システムとを備え、制御システムは、マーカの変位を測定し、前記変位を関節の相対回転と相関し、それに応じて、関節の動的な動きを測定するように構成される。
【0008】
したがって、関節の測定された相対回転を、超音波を使用して重要なマーカを識別した骨の追跡の特定の測定結果と相関することによって、関節の動きをより正確に測定することができる。
【0009】
一実施形態では、動作中、筋活動を検出するために、筋電図検査(EMG)センサが使用され得る。この実施形態では、筋活動は、筋によって関節に加えられる力の尺度を提供するために較正され得る。さらに、筋によって関節に加えられる力の測定結果は、測定された動きと相関され得る。したがって、力および動きの検出は、対象の関節の動的機能を決定するための正確な診断ツールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の可能な構成を示す添付の図面を参照して本発明についてさらに述べることは好都合となろう。本発明の他の構成も可能であり、したがって、添付の図面の詳細内容は、本発明の先行する説明の一般性に取って代わるものと理解されるべきではない。
【
図1A】本発明の一実施形態によるデバイスの立面図。
【
図1B】センサに対して骨が近いことを示す
図1Aのデバイスの側面図。
【
図2A-B】
図2Aは、本発明のさらなる実施形態による様々なセンサの位置関係の様々な図。
図2Bは、本発明のさらなる実施形態による様々なセンサの位置関係の様々な図。
【
図2C】本発明のさらなる実施形態による様々なセンサの位置関係の様々な図。
【
図3】本発明の一実施形態によるデバイスによって測定された関節における骨の動き追跡の超音波図。
【
図4】本発明の一実施形態による処理のフローチャート。
【
図5】本発明のさらなる実施形態による超音波システムの概略図。
【
図6A】本発明の一実施形態によるデバイスによって識別された骨表面に対応する特定の層についての様々な追跡超音波画像。
【
図6B】本発明の一実施形態によるデバイスによって識別された骨表面に対応する特定の層についての様々な追跡超音波画像。
【
図6C】本発明の一実施形態によるデバイスによって識別された骨表面に対応する特定の層についての様々な追跡超音波画像。
【
図7】本発明の一実施形態による、EMGおよびIMUから制御システムへのデータフローについてのフローチャート。
【
図8】本発明の一実施形態による、受信されたデータを相関するために制御システムによって操作されるアルゴリズム。
【
図9】本発明の一実施形態によるシステムが適用されている肩の詳細図。
【
図10】本発明のさらなる実施形態による関節追跡および監視システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態では、システムは、ヒトの関節の機能を定量化するように指示される。この実施形態では、システムは、1)ヒトの関節における真の解剖学的な骨の動きを検出および測定し、2)それを通って/またいで働く力の量を定量化するためにデータを相関する。この装置は、骨の動きに関する特定の情報を提供するための超音波トランスデューサと共に、皮膚上に配置された慣性測定ユニット(IMU)を主に使用し、体肢の全体の動きを検出する。さらなる実施形態では、測定された動きに対応する、関節に加えられた印加力を測定するために、筋電図(EMG)センサも使用され得る。
【0012】
本発明を使用することにおける利点は、様々な実施形態において以下を含むことができる。
【0013】
・ 真の解剖学的な関節の動きのパラメータを非侵襲的に測定することができる(それだけには限らないが動的回転安定性を含む)。
【0014】
・ 両関節(すなわち左および右)間の動的機能を評価および比較する。
【0015】
・ 損傷した関節のリハビリテーション状況を決定する。
【0016】
・ 性別、年齢、および体重に基づく母集団ノルムにわたる関節の機能を解析する。
【0017】
・ 大母集団にわたって獲得されたビッグデータ集合に対するデータ解析学を利用することによって、関節に関連する損傷を予測および防止する。
【0018】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、ここには、本発明の一実施形態による、関節の動きを動的に測定するためのシステム5が示されている。
【0019】
この実施形態では、本発明は、膝関節15に適用されている。IMU35Aは超音波トランスデューサ40に並んで取り付けられ、このセットアップは、関節15の上部10の皮膚上に配置される。高リフレッシュレート超音波トランスデューサ40は、皮膚の下方の骨25の動きを追跡する。この情報は、真の骨の動きを提供するためにIMU35Aの位置を補正するために使用され、一方、第2のIMU50セットアップは、関節をまたいで、関節15の下部20上に配置される。第2のIMU50は、関節15が動くとき第1のIMU35Aのための参照点を提供する。
【0020】
別個のEMGセンサ35Bが、皮膚の上で、第1のIMU35Aと同じ剛性体近くに、またはその上に配置される。EMG35Bは、筋収縮の振幅を最もよく拾い上げるために、関節15の活性化に対応する筋の膨大部の上に位置決めされる。収縮の振幅は、関節をまたいで加えられる力の量に相関されることになる。
【0021】
EMG信号は、関節に対して筋によって加えられる力を基準に照らすために使用される。関節15の動きに対応する筋の信号をタップすることにより、デバイスは、特定の動きについてその特定の筋からの筋活動を基準に照らすことができることになる。
【0022】
図1Aに示されているシステムを参照すると、様々な構成要素が膝装具37の形態で組み立てられており、これは、EMGセンサ35Bが筋活動を拾い上げることになる内側広筋上に効果的なように配置される。これらの信号は、ベンチマークと比較されることになる特定の身体運動について筋活動を測定するために使用される。
【0023】
超音波モジュール40は、マーカおよび大腿骨の動きを追跡する。IMU35Aは、超音波の場所を計算し、その情報は、大腿の実際の運動を決定するために使用される。
【0024】
真の骨の動きからのデータを、関節をまたいで加えられる力と組み合わせることにより、システム5は、患者の膝の真の機能的健康を決定する客観的な機能的スコアを提供するために、膝関節の運動の範囲および動的な回転安定性を決定することができることになる。
【0025】
図2Aから
図2Cを参照すると、第2のIMU50は、第1のIMU35Aから関節15をまたいで配置されている。このシステムにおける2つのIMUモジュール35A、50は、体肢および関節の運動を追跡するために使用される。患者に予備的プロファイリング身体運動をさせることにより、デバイスは、短い較正活動に基づいて関節回転の軸を計算および識別するのに用いられ得る参照点を決定することができることになる。関節場所の投影は、虚空間に対するものであり、体肢全体の動きを追跡する。内部関節マップをマップすることができるこのことは、本発明者らのデバイスを他者から区別する。
【0026】
たとえば、左の画像を参照すると、患者に予備的プロファイリングテストをさせることによって上記の思想を膝関節に適用した場合、膝関節をまたぐ第2のIMU50は、何が固定長Lであるか計算することを可能にし、したがって、どこが点M(股関節部)か決定する助けとなる。次いで、これは、膝の機能的健康スコアを決定する際に、すべての後の活動について参照点として使用することができる。
【0027】
図3は、2つの経路60、65に沿った骨の追跡を示す超音波画像を示す。超音波の場合、骨の縁部(骨の標識点またはマーカ70、75)を検出することができる。これらは、骨の回転を追跡および測定するために、マーカ70、75の変位をフレーム毎に追跡するために使用される。
【0028】
図3のプロットについては、第1の線60は、骨の回転の変化を示し、一方、第2の線65は、一致したマーカ70、75の検出を示す。検出されたマーカ70、75は、変位の差および骨の角度を計算するために使用される。次いで、回転の速さが、画像の取り込み間の時間によって測定される。
【0029】
IMU35Aは、関節の回転または動きの中心を計算および識別する。次いで、関節の識別は、股関節mおよび膝関節15の場所を識別するために使用することができる。これは、体肢の動きの追跡、および使用者によって行われた活動の識別を可能にする。
【0030】
図4、
図5、および
図6Aから
図6Cは、超音波デバイスがマーカを識別し、画像を作成し、骨の動きを測定する処理を示す。超音波アレイは、超音波パルスを発するために使用される超音波トランスデューサの2次元行列からなる。
USパルス発生器を初期化する
超音波パルスを発するように超音波トランスデューサを励起する振幅および周波数など電気パルスについてのパラメータが初期化される。
骨表面からUSエコーを受信する
トランスデューサから発せられた超音波パルスは、筋組織を通って移動し、骨表面から反射されて戻る。これらのエコーは、画像に変換されることになるRF信号を生成する行列アレイによって受信される。
超音波アレイの各列から2D画像を生成する
受信された超音波アレイのエコーは、
図6Aから
図6Cに示されているように超音波画像を生成するために処理される。画像の幅は、走査線の数によって決定され、画像の高さは、反射表面の深さを示す。
2D画像から3D骨表面を再構築する
超音波列からの画像は、骨の3D輪郭125を再構築するために固定および補間される。骨の3D表面は、骨に対する装具37の相対運動を計算し、3Dでの運動の最終計算のためにIMUデータのバイアスを補正するために使用されることになる。
超音波画像内のマーカまたは特徴を検出する
特徴またはマーカ130、135は、マーカ検出器によって定義される画像上の異なる点である。マーカ検出器の最も重要な特性は、視角など様々な条件下で同じ点を見つける繰返し性である。マーカの隣にあるものは、異なった、ロバストな一意のディスクリプタによって定義される。尺度不変および回転不変マーカ検出器を使用することができるが、適用例に基づいて、他のマーカ検出器ディスクリプタが使用されてもよい。
【0031】
例として、超音波の場合、1Dおよび2D行列を画像化する知られているシステムがあるが、大部分は1D超音波システムである。本発明に適用可能な一例は、関節をよりよく見ることを可能にする2D超音波システムを使用することである。あるいは、1D/線形システムは、骨の回転を追跡することができる。さらなる実施形態では、2つの位置合わせされた1D超音波もまた、この目的に適していることがある。さらなる実施形態では、固定グリッドの2D超音波システムもまた、処理全体におけるこのステップを達成するための実行可能な選択肢である。マーカ識別が達成される手段は本発明の範囲外であり、本発明の結果を達成する任意の実行可能な超音波がこの目的のために使用されてよいことを理解されたい。
連続するフレームにおける特徴点の推定マッチング
連続するフレーム、すなわち現在のフレームおよび前のフレーム上のマーカが、それらのディスクリプタを使用して突き合わされ、ユークリッド距離によって境界を画される。
一致した特徴点の分類
一致したマーカは、特徴ディスクリプタおよび深さに基づいて骨または組織物質として分類される。この分類は、骨の境界、したがって骨の回転を計算するために不可欠なマーカを識別するために使用される。
前のフレームに対する骨の回転の計算
次いで、骨の回転が、骨表面上の任意の2つのマーカまたはそれ以上を識別することによって計算される。連続するフレームにおける任意の識別された2つのマーカの変位が、回転軸周りでの骨の回転を計算するために使用される。この方法は、骨の回転の中心が必要とされないので、または知られていない場合、最低2つのマーカを必要とする。
【0032】
【0033】
上式で、
δxおよびδyは、前のフレームのx座標およびy座標の変化である。
δ'xおよびδ'yは、現在のフレームのx座標およびy座標の変化である。
前のフレームに対する骨の表面変位の計算
骨の表面変位の計算は、連続するフレームからの一致した特徴点の座標を使用して計算される。画像座標を標準的な単位に変換するために、倍率が適用される。
【0034】
関連の筋によって関節に加えられる力は、筋活性化によって生成される電気活動の測定値から計算される。これは、その後、力を間接的に測定することができるいくつかの活動を行う患者について較正され、その結果、EMGによる活動測定結果間の較正係数を、加えられた力に提供する。
【0035】
実際的に言えば、EMGは、より明瞭な、より異なる信号を生成するために、受信された信号にフィルタを適用する。使用されるフィルタのタイプは、従来使用可能なフィルタであってよく、以下を含む。
【0036】
・ フィルタを適用する(バリエーション:フィルタなし、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、およびバンドパスフィルタ)。次いで、信号は、パススルーエンベロープである(下記の方法など)。
【0037】
・ EMG信号を整流し(バリエーション:全波整流、半波整流)、移動平均をとる(バリエーション:移動ウィンドウのサイズを調整する)。
【0038】
・ 二乗平均(バリエーション:移動ウィンドウのサイズを調整する(ウィンドウサイズ=0.25秒))
信号は、信号の閾値を識別するために正規化され得る。この処理は、活動で使用された筋強度について識別する助けとするためのものである。
【0039】
【0040】
従来の正規化:最大随意等尺性収縮(MVCまたはMVIC)
【0041】
【0042】
この正規化方法の場合、被験者は、テスト前に参照身体運動に慣れることを必要とする。これは、最大筋出力を発揮することを必要とし、それにより再現性が不十分になる。また、これは高齢者または外科患者について実行するのが困難であり、筋力計を必要とする。
代替の正規化方法:セグメント重量動的運動(SWDM)
【0043】
【0044】
この身体運動は、中程度の活動のための正規化参照として使用されるように設計される。正規化された値は、より激しい活動について100%を上回ることになる。負荷は非常に低く、外科患者の残りの機能性を評価するために使用することができ、特別な機器は必要とされない。
【0045】
靱帯および関節の健康に関して動きの差を追跡するために、筋活動レベルが別の体肢と比較される。
【0046】
IMUが回転データを収集し、超音波が変位データを収集し、EMGが力データを収集した後、患者の関節の完全な診断評価を提供するためにそれを一体化することが必要とされる。
【0047】
図7は、制御システム220によるデータ収集処理のための概略図を提供し、較正160、および生データ165、170が修正される正規化係数150の適用の後に、フィルタリングおよび正規化140、145、155を含むEMGのための様々な構成要素が制御システム220に設けられる。
【0048】
IMUデータ185、190から、これは、較正195の後に同様に補正210され、姿勢推定器215は、補正および相関のために、超音波データで骨の姿勢位置を推定する。
【0049】
図8に示されている制御システムアルゴリズムは、IMUによって提供される回転データ、および超音波からの変位に基づいて、骨の相対姿勢を提供し、次に股関節部の位置、および知られている長さを使用し、動作中の骨のねじれに対処する。
【0050】
次いで、この識別は、関節の動的な動きに対応する様々なパラメータを計算するために使用することができる。
【0051】
前述のように、膝関節のために使用されるシステムを参照したが、このシステムは、他の関節にも等しく適用可能である。
図9は、肩270を示し、そこには、第1のIMU275Aおよび超音波センサ280が肩甲骨290の動きを追跡するために、また第2のIMU295が上腕骨285を追跡するために適用されている。また、EMGセンサ275Bが三角筋(図示せず)における活動を測定するために位置決めされ、すべてのデータは、情報を相関し、関節270の動的な動きを評価するために、制御システム(図示せず)に提供される。
【0052】
一実施形態では、システムは、使用者がいくつかの中強度から高強度の活動を実施することを課されているとき使用者の動きの連続的なデータをとることができる。動きのデータは、活動中、弱点または異常を識別する助けとなり得る。レベルの差は、医者が治療の様式について決定できるように、不全の重症度レベルを提供することができる。
【0053】
使用者は、回復の異なる段階中に、異なるレベルの活動を実施していてもよい。したがって、システムは、関節の機能的レベルを拾い上げることになり、その結果、患者が、行っているスポーツに戻るためのレベルに回復する時点まで、リハビリテーション段階の次のレベルに移動する前に、関節の機能性について監視されることになる。
【0054】
使用者は、携わっているスポーツによって行われる活動のレベルを監視することができる。監視レベルは、使用者が効率および姿勢を追跡し続けることを可能にすることになる。さらに、スポーツ関連の損傷を受けやすい使用者を、実際の損傷が発生する前に決定することができる。トレーナは、自分の競技のためのカスタマイズされたトレーニングプログラムを作成することができる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 関節の動的な動きを測定するための方法であって、
前記関節のいずれかの側で皮膚にそれぞれが取り付けられた一対の慣性測定ユニット(IMU)を使用して、前記関節の相対回転を測定するステップと、
前記IMUのうちの第1のIMUに近接する骨の複数の超音波画像を取り込むステップと、
前記骨上のマーカを識別するステップと、
前記マーカの変位を追跡するステップと、
前記変位を前記関節の前記相対回転と相関させるステップと、
その結果、前記関節の動的な動きを測定するステップと、を含む方法。
[2] 前記識別するステップは、連続するフレームにおける各マーカを突き合わせることを含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記追跡するステップは、指定された軸周りでの前記マーカの回転を測定するステップをさらに含む、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記超音波画像を取り込むステップは、前記関節に近接して取り付けられた超音波センサによって提供される、[1]から[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記関節の動きを始動する筋における筋電図を作成するステップと、
その結果、前記筋内の活動データを測定するステップと、
前記活動データを較正し、その結果、前記筋によって前記関節に加えられる力を計算するステップと
をさらに備える、[1]から[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 関節の動的な動きを測定するためのシステムであって、
前記関節のいずれかの側で皮膚にそれぞれが取り付けられた一対の慣性測定ユニット(IMU)と、前記IMUは、前記関節の相対回転を測定するように構成される、
前記IMUのうちの第1のIMUに近接する骨の複数の画像を取り込み、前記骨上のマーカを識別するための超音波センサと、
前記IMUからの前記相対回転を受信し、前記超音波センサによって取り込まれた前記複数の画像を受信するための制御システムと、を備え、
前記制御システムは、前記マーカの変位を測定し、前記変位を前記関節の前記相対回転と相関させ、それに応じて、前記関節の前記動的な動きを測定するように構成されている、システム。
[7] 前記関節の動きを始動する筋における活動を測定し、前記活動のデータを前記制御システムに提供するための筋電図検査センサをさらに含み、前記制御システムは、前記筋によって前記関節に加えられる力を計算するように前記活動のデータを較正するようにさらに構成される、[6]に記載のシステム。