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特許7297344コンクリート型枠装置の構成部材ユニット、コンクリート型枠装置の搬送方法、コンクリート型枠装置の構築方法及びコンクリート型枠装置の解体方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】コンクリート型枠装置の構成部材ユニット、コンクリート型枠装置の搬送方法、コンクリート型枠装置の構築方法及びコンクリート型枠装置の解体方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
E21D11/10 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022185600
(22)【出願日】2022-11-21
【審査請求日】2022-11-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315014567
【氏名又は名称】島工業HD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土田 実
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-172410(JP,A)
【文献】特開2022-168317(JP,A)
【文献】特開2014-202040(JP,A)
【文献】特開2015-094167(JP,A)
【文献】特開2009-209657(JP,A)
【文献】特開2020-176400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される橋架部とを備えたガントリの上部に、前記トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置において、
前記コンクリート型枠装置を構成する複数の構成部材は、一方向に揃えたうえ、組立順序に従う組合わせの設置状態で連結部材によって連結され、
前記連結部材は、第1連結部材と、第2連結部材と、を備え、
前記複数の構成部材は、複数の第1構成部材と、前記複数の第1構成部材よりも組立順序が後である複数の第2構成部材とを備え、
前記複数の第1構成部材は、前記第1連結部材によって連結されることにより第1構成部材ユニットを構成し、
前記複数の第2構成部材は、前記第2連結部材によって連結されることにより第2構成部材ユニットを構成するコンクリート型枠装置の構成部材ユニット。
【請求項2】
前記第1連結部材が前記複数の第1構成部材を起立させるための脚の機能を有する請求項1に記載のコンクリート型枠装置の構成部材ユニット。
【請求項3】
前記ガントリは、前記トンネルの幅方向に延びて前記両側壁の上部間に架設される中央足場と、前記橋架部及び前記中央足場のにおいてトンネル延長方向に延びるように設けられるビームとを備え、
前記複数の第1構成部材は、前記側壁及び前記橋架部を含み、
前記複数の第2構成部材は、前記中央足場及び前記ビームを含む請求項1に記載のコンクリート型枠装置の構成部材ユニット。
【請求項4】
前記ガントリは、前記トンネルの幅方向に延びる台梁と、レール上を転動する車輪が下端に設けられた脚部と、を備え、
前記側壁は、前記側壁の起立を補助するとともに前記側壁を昇降可能であるジャッキを取り付け可能であり、かつ、前記ジャッキにより上昇した状態で前記脚部を下端に連結可能である請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載のコンクリート型枠装置の構成部材ユニット。
【請求項5】
トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される橋架部とを備えたガントリの上部に、前記トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置において、
一方向に延びる複数の構成部材のうち複数の第1構成部材を第1連結部材によって連結することにより第1構成部材ユニットを構成し、前記複数の構成部材のうち、前記複数の第1構成部材よりも組立順序が後である複数の第2構成部材を第2連結部材によって連結することにより第2構成部材ユニットを構成し、前記第1構成部材ユニットを、前記複数の第1構成部材の長さ方向がトラックの荷台の前後方向に沿うように前記荷台に積載した状態で搬送し、前記第2構成部材ユニットを、前記複数の第2構成部材の長さ方向がトラックの荷台の前後方向に沿うように前記荷台に積載した状態で搬送するコンクリート型枠装置の搬送方法。
【請求項6】
トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される橋架部とを備えたガントリの上部に、前記トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置の構築方法において、
一方向に延びる複数の構成部材のうち複数の第1構成部材を第1連結部材によって連結することにより構成した第1構成部材ユニットを前記トンネルの建設現場に搬送し、前記複数の構成部材のうち、前記複数の第1構成部材よりも組立順序が後である複数の第2構成部材を第2連結部材によって連結することにより構成した第2構成部材ユニットを前記トンネルの建設現場に搬送し、
記トンネルの建設現場において前記第1構成部材ユニットから前記複数の第1構成部材を分離した後に、前記第2構成部材ユニットから前記複数の第2構成部材を分離して前記コンクリート型枠装置を構築するコンクリート型枠装置の構築方法。
【請求項7】
トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される橋架部とを備えたガントリの上部に、前記トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置において、
一方向に延びる複数の構成部材のうち複数の第2構成部材を分割した後に、前記複数の第2構成部材を分解順に従って第2連結部材によって連結することにより第2構成部材ユニットを構成し、前記複数の構成部材のうち、前記複数の第2構成部材よりも分解順序が後である複数の第1構成部材を分解した後に、前記複数の第1構成部材を分解順に従って第1連結部材によって連結することにより第1構成部材ユニットを構成するコンクリート型枠装置の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの覆工コンクリートを成形するためのコンクリート型枠装置に関するものである。特に、本発明は、コンクリート型枠装置の構成部材ユニット、コンクリート型枠装置の搬送方法、コンクリート型枠装置の構築方法及びコンクリート型枠装置の解体方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1~3には、コンクリート型枠装置を用いてトンネルの覆工コンクリートを効率的に打設するようにした構築方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-209657号公報
【文献】特開2014-202040号公報
【文献】特開2020-176400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3の技術においては、トンネルの覆工コンクリートを効率的に打設するということについて言及されている。しかし、特許文献1~3の技術においては、覆工コンクリートの打設だけではなく、コンクリート型枠装置の構成部材のトンネル内への搬入等の工程も含めて、トンネル建設工事の効率化を目指すものとは言い難い。例えば、コンクリート型枠装置のトンネル建設現場に対する同装置の構成部材の搬入において、従来は、同じ形状の部材をひとまとめにしてコンクリート型枠装置の構築予定位置の近くの位置まで運んで、その位置の地面に降ろす。そして、その地面上で、各種の部材を組立てて、より大きな構成部材とする。そして、その構成部材によってコンクリート型枠装置を構築する。
【0005】
従って、狭いトンネル内であっても、広いエリアが部材置き場や、部材組立てエリアとして占拠される。さらには、組立てられた構成部材の仮置場も必要になる。このため、長期間にわたって作業車両や作業人員のトンネル内の通行や移動が規制されることになる。その結果、トンネルの建設工期が長くなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンクリート型枠装置の構成部材ユニットにおいては、トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される橋架部とを備えたガントリの上部に、前記トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置において、前記コンクリート型枠装置を構成する複数の構成部材は、一方向に揃えたうえ、組立順序に従う組合わせの設置状態で連結部材によって連結され、前記連結部材は、第1連結部材と、第2連結部材と、を備え、前記複数の構成部材は、複数の第1構成部材と、前記複数の第1構成部材よりも組立順序が後である複数の第2構成部材とを備え、前記複数の第1構成部材は、前記第1連結部材によって連結されることにより第1構成部材ユニットを構成し、前記複数の第2構成部材は、前記第2連結部材によって連結されることにより第2構成部材ユニットを構成することを特徴とする。
【0007】
以上の構成部材ユニットにおいては、一方向に延びる複数の構成部材を並設状態で連結することによって、構成部材が嵩張ることなく、安定状態となる。このため、構成部材ユニットをトラックの荷台に安定した起立状態で積載することができるので、構成部材ユニットを適切に搬送できる。そして、トンネルの建設現場においては、構成部材の組立順序に従ってクレーンによって吊上げるとともに、そのまま組立予定位置に荷降ろしすれば、構成部材の組立を容易かつ短時間で行うことができる。従って、構成部材をトンネル内の地面に仮置きしたり、その仮置き位置から組立位置に移動させたりする必要がないので、作業車両等の移動規制の時間を短くできる。その結果、構成部材の組立時間が短くなることと相まって、トンネル建設の工期を短縮できる。
【0008】
本発明のコンクリート型枠装置の搬送方法においては、トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される橋架部とを備えたガントリの上部に、前記トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置において、一方向に延びる複数の構成部材のうち複数の第1構成部材を第1連結部材によって連結することにより第1構成部材ユニットを構成し、前記複数の構成部材のうち、前記複数の第1構成部材よりも組立順序が後である複数の第2構成部材を第2連結部材によって連結することにより第2構成部材ユニットを構成し、前記第1構成部材ユニットを、前記複数の第1構成部材の長さ方向がトラックの荷台の前後方向に沿うように前記荷台に積載した状態で搬送し、前記第2構成部材ユニットを、前記複数の第2構成部材の長さ方向がトラックの荷台の前後方向に沿うように前記荷台に積載した状態で搬送することを特徴とする。
【0009】
本発明のコンクリート型枠装置の搬送方法においては、構成部材を荷台のスペースを有効利用して荷台からはみ出ることなく積載できる。そして、前記のように、構成部材の搬送に際して、積載された構成部材を起立状態で安定させることができる。また、構成部材が型枠装置として組付ける順序に従ってトラック荷台に積載される。従って、構成部材をトラック荷台から組付け位置にクレーンで吊って移動するだけで、その構成部材を型枠装置の所要箇所に組けることができる。このため、型枠装置の構築を短時間で効率的に実行できる。よって、トンネル建設の工期を短縮できる。
【0010】
本発明のコンクリート型枠装置の構築方法においては、トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される橋架部とを備えたガントリの上部に、前記トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置の構築方法において、一方向に延びる複数の構成部材のうち複数の第1構成部材を第1連結部材によって連結することにより構成した第1構成部材ユニットを前記トンネルの建設現場に搬送し、前記複数の構成部材のうち、前記複数の第1構成部材よりも組立順序が後である複数の第2構成部材を第2連結部材によって連結することにより構成した第2構成部材ユニットを前記トンネルの建設現場に搬送し、前記トンネルの建設現場において前記第1構成部材ユニットから前記複数の第1構成部材を分離した後に、前記第2構成部材ユニットから前記複数の第2構成部材を分離して前記コンクリート型枠装置を構築することを特徴とする。
【0011】
従って、以上のコンクリート型枠装置の構築方法においては、前記のように、構成部材が嵩張ることなく、安定状態となるため、構成部材ユニットをトラックの荷台に安定した起立状態で積載することができる。そして、トンネルの建設現場においては、構成部材をその組立順序に従って荷降ろしできる。よって、構成部材の仮置きや、その仮置き位置から組立位置への移動等が不要になるため、トンネル建設の工期を短縮できる。
【0012】
本発明のコンクリート型枠装置の解体方法においては、トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される橋架部とを備えたガントリの上部に、前記トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置において、一方向に延びる複数の構成部材のうち複数の第2構成部材を分割した後に、前記複数の第2構成部材を分解順に従って第2連結部材によって連結することにより第2構成部材ユニットを構成し、前記複数の構成部材のうち、前記複数の第2構成部材よりも分解順序が後である複数の第1構成部材を分解した後に、前記複数の第1構成部材を分解順に従って第1連結部材によって連結することにより第1構成部材ユニットを構成することを特徴とする。
【0013】
以上のコンクリート型枠装置の解体方法においては、構成部材をその分解順序に従ってクレーンによってトラックの荷台に積載できる。そして、一方向に延びる複数の構成部材を並設状態で連結することによって、構成部材が嵩張ることなく、安定状態となる。このため、構成部材の分解を短時間でできるとともに、構成部材ユニットをトラックによって適切に撤去できる。そして、撤去の際には、構成部材をトンネル内の地面に仮置きしたり、その仮置き位置からトラックの荷台に移動させたりする必要がないので、作業車両の移動規制の時間を短くできる。その結果、構成部材の分解時間が短くなることと相まって、トンネル建設の工期を短縮できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、トンネル建設の工期を短縮できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のコンクリート型枠装置を示す正断面図。
図2図1のコンクリート型枠装置を示す側面図。
図3】脚部材の設置状態を示す正面図。
図4図3の状態を示す側面図。
図5】ガントリ,メインビーム等の組立状態を示す正面図。
図6図5の状態を示す側面図。
図7】天フォームの組付状態を示す正面図。
図8】ガントリを上昇させた状態を示す正面図。
図9】壁部材の配置状態を示す簡略図。
図10】壁部材,桁材,メインビーム等を示す斜視図。
図11】台梁,メインビーム,サブビーム,中央足場等を示す斜視図。
図12】第1位置に設置される脚部材,桁材等よりなる構成部材ユニットを第1トラックに積載した状態を示す斜視図。
図13図12の構成部材ユニットを図12とは異なる位置から見た斜視図。
図14図12の構成部材ユニットを図12及び図13とは異なる位置から見た斜視図。
図15】第2位置に設置される脚部材,桁材等よりなる構成部材ユニットを第2トラックに積載した状態を示す斜視図。
図16図15の構成部材ユニットを図15とは異なる位置から見た斜視図。
図17】第3位置に設置される脚部材,桁材等よりなる構成部材ユニットを第3トラックに積載した状態を示す斜視図。
図18図17の構成部材ユニットを図17とは異なる位置から見た斜視図。
図19】第4位置に設置される脚部材,桁材等よりなる構成部材ユニットを第4トラックに積載した状態を示す斜視図。
図20図19の構成部材ユニットを図19とは異なる位置から見た斜視図。
図21】中央足場,メインビーム及びサブビーム等よりなる構成部材ユニットを第5トラックに積載した状態を示す斜視図。
図22図21の構成部材ユニットを図21とは異なる方向から見た斜視図。
図23図21の構成部材ユニットの分解斜視図。
図24図21の構成ユニットの正面図。
図25】2基の中央足場及び4基の台梁,メインビーム及びサブビーム等よりなる構成部材ユニットを第6トラックに積載した状態を示す斜視図。
図26】(a)~(f)は、脚部材及び桁材の組付け過程を示す簡略図。
図27】(a)~(d)は、台梁,メインビーム,サブビームの組付け過程を示す簡略図。
図28】第2実施形態のコンクリート型枠装置を示す正断面図。
図29】脚部材,桁材,中央足場等の構成部材の組付け状態を示す斜視図。
図30】桁材及び中央足場を示す斜視図。
図31】桁材を重ねた状態を示す斜視図。
図32】脚部材,桁材等よりなる構成部材ユニットをトラックに積載した状態を示す斜視図。
図33図30の桁材及び中央足場を図32とは異なる方向から見た斜視図。
図34図30の桁材及び中央足場の正面図。
図35】重ねた桁材を壁部材の上面間に架設した状態を示す側面図。
図36】中央足場を展開した状態を示す側面図。
図37】(a)~(f)は、桁材の組付け過程を示す簡略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態を図1図27の図面に基づいて説明する。第1実施形態は、大断面のトンネルにおいて実施する場合に適するものである。
【0017】
〈コンクリート型枠装置11の構成及び覆工コンクリートCの打設方法〉
図1図11を中心に、前記コンクリート型枠装置(以下、型枠装置という)11の構成及び覆工コンクリートCの打設方法を説明する。
【0018】
図1に示すように、覆工コンクリートCを成形するための型枠装置11は、トンネルTNの地面S上の左右一対の平行なレールR上に、トンネルTNの延長方向に沿って移動可能に支持される。本実施形態においては、トンネルTNの幅方向である図1の左右方向を左右とする。また、図2の左右方向であって、トンネルTNの延長方向を前後方向とする。この場合、トンネルTNの入口側を前方、奥側を後方とする。
【0019】
図1に示すように、型枠装置11はガントリ12を備えている。このガントリ12は、左右一対の側壁としての装置脚13と、その装置脚13の上端間に架設された橋架部を構成する左右方向に長い前後4枚の桁材14とを備えている。各桁材14はトンネル延長方向において相互間隔を隔てている。図1図10及び図11に示すように、装置脚13は、一方向であるトンネル延長方向に延びる側壁15と、左右の側壁15の前後両端の下部に設けられた脚足16とよりなる。左右の側壁15は、それぞれトンネル延長方向に長い一対の壁部材151が前後に連結されて構成されている。脚足16の下端には、前記レールR上を転動する車輪17が設けられている。
【0020】
図1及び図9に示すように、壁部材151の左右両側面には、大きめの内部ステー18及び小さめの外部ステー19が2枚ずつ設けられている。これらのステー18,19は、各桁材14の下部に位置して、壁部材151とともに、桁材14からの荷重を受承する。図9図10及び図12に示すように、内部ステー18は、ヒンジ23を介して壁部材151に支持されており、壁部材151から突出して、前記荷重を受承する突出位置と、壁部材151に沿う折りたたみ位置とに回動可能である。なお、図10は、折りたたみ状態の内部ステー18を表しているが、この内部ステー18は、桁材14が架設される際には、後述のアウトリガージャッキ37の部分の内部ステー18を除いて折りたたみ位置から突出位置に配置される。
【0021】
図1及び図12に示すように、壁部材151の上部外側面には、工事作業者のための側部足場20が設けられている。前後の桁材14間において、左右の壁部材151間には工事作業者のための橋架部を構成する中央足場22が架設されている。
【0022】
図1図10及び図11に示すように、桁材14の上面には、柱材25,26を介して前後方向に長い前後一対で、かつ左右一対のメインビーム27が立てられている。左右のメインビーム27の下面間には左右方向に長い台梁29が両端部上面の突部28において連結されている。左右のメインビーム27間において、桁材14上及び台梁29の上面には前後方向に長い前後一対で、かつ左右一対のサブビーム31が下面の突部30において連結されている。サブビーム31の上面には前後に相互間隔をおいて複数の柱材32が立てられている。
【0023】
本実施形態においては、壁部材151,桁材14,メインビーム27,台梁29,サブビーム31,中央足場22が構成部材である。
図1及び図2に示すように、メインビーム27及び柱材32の上端には天フォーム33が支持されている。この天フォーム33は前後方向に合計7枚並べられる。各天フォーム33の両端には側フォーム34が連結されるとともに、各側フォーム34の下端には下部フォーム35が連結されている。天フォーム33,側フォーム34及び下部フォーム35によってアーチ状の全体フォーム(以下、フォームという)36が形成されている。
【0024】
そして、図1に示すように、フォーム36と、トンネルTNの内壁面との間に覆工コンクリートCが打設されるとともに、フォーム36によってその覆工コンクリートCの内周面が成形される。
【0025】
〈型枠装置11の構築方法その1及び解体方法〉
型枠装置11は、以下の手順で構築される。
図3図4及び図9に示すように、左右の側壁15は、前後各一対の壁部材151が相互に連結された状態でトンネルTNの幅方向の両側位置に起立状態で設置される。この場合、本実施形態においては、壁部材151は、トンネルTNの奥側から、図9に示す第1~第4位置P1~P4の順序に従って設置される。このとき、側壁15のトンネル中央側の前後両端に位置するように、壁部材151の端部にはそれぞれアウトリガージャッキ(以下、ジャッキという)37が取付けられている。このジャッキ37は地面S上に位置して、側壁15の起立を補助する。また、図3に示すように、壁部材151の下端部の両側には、前記ジャッキ37とともに壁部材151の起立を補助する補助脚38が取付けられる。
【0026】
なお、壁部材151が第1~第4位置P1~P4に設置されるまでは、内部ステー18は折りたたみ状態にされる。そして、壁部材151の設置後に、上部構造材からの荷重を受承するために、内部ステー18は突出位置に回動される。ただし、ジャッキ37が壁部材151に取付けられた場合には、ジャッキ37と内部ステー18との干渉を避けるために、壁部材151の設置後であっても、ジャッキ37と近接する位置の内部ステー18は折りたたみ状態に維持される。この場合、ジャッキ37が上部構造材からの荷重を受承する。そして、ジャッキ37の撤去後に、内部ステー18は突出位置に回動される。
【0027】
本実施形態において、型枠装置11の壁部材151等の部材は、ボルト(図示しない)やナット(図示しない)を用いて部材相互に着脱可能に取付けられる。また、型枠装置11の構成部材に対する前記ジャッキ37,補助脚38,連結部材を構成する後述の各部材は、同じくボルトやナットを用いて着脱可能に取付けられる。
【0028】
次に、図5図6及び図10に示すように、壁部材151,内部ステー18,突出位置の外部ステー19及びジャッキ37上に位置するように、壁部材151よりなる側壁15間に合計4基の桁材14が前後方向において相互間隔を有するように架設される。そして、図11に示すように、前後の各桁材14間に位置するように、左右の側壁15間に中央足場22が架設される。次いで、トンネルTNの延長方向に延びるように、メインビーム27が柱材25,26を介して桁材14上に支持される。
【0029】
その後、図5図6及び図11に示すように、左右のメインビーム27の下面間に台梁29がその突部28において連結される。台梁29は合計8基であって、トンネルTNの幅方向に延びるとともに、それらは前後方向に相互間隔を隔てて配置される。次いで、メインビーム27間の位置において、サブビーム31がその下面の突部30を介して桁材14上に支持される。また、台梁29がその上面の突部28を介してそのサブビーム31に連結される。
【0030】
以上のようにして、ガントリ12が構成される。
次いで、図7及び図11に示すように、サブビーム31上に柱材32が立てられる。そして、柱材32の上端及びメインビーム27の上面に合計7枚の天フォーム33が支持される。その後、図8に示すように、ジャッキ37が伸長される。このため、型枠装置11全体が上昇される。そして、装置脚13の下端に脚足16が連結されるとともに、その脚足16の車輪17がレールR上に位置する。この状態で、天フォーム33に側フォーム34及び下部フォーム35が連結される。従って、覆工コンクリートCを成形するためのフォーム36が構成される。脚足16が取付けられた後は、ジャッキ37は不要になるため、ジャッキ37は収縮されて、側壁15から分離され、次いで撤去される。これとともに、折りたたまれていた内部ステー18が荷重を受承する突出位置に配置される。なお、補助脚38は、桁材14が架設された後において、適当時期に側壁15から分離されて撤去される。
【0031】
型枠装置11の解体においては、前述した構築時とは逆順の作業が実行される。
〈型枠装置11の構成部材のトラックへの積載方法及び搬送方法〉
次に、型枠装置11の主要な構成部材よりなる構成部材ユニットのトラックに対する積載方法及びトラックによる搬送方法について説明する。
【0032】
主要な構成部材よりなる構成部材ユニットの積載及び搬送に際して、本実施形態においては、6台のトラックを用いる。これらのトラックを第1~第6トラックTR1~TR6とする。
【0033】
図12図14に示すように、第1トラックTR1の荷台TCには、トンネルTN内の奥部の一側の第1位置P1内に設置される1基の壁部材151と、1基の桁材14とが積載される。この積載状態では、壁部材151及び桁材14は、それらの長さ方向が第1トラックTR1の長さ方向に沿うように配置される。壁部材151の側面上部には側部足場20が取付けられている。壁部材151には、ジャッキ37がその背面において連結されている。また、壁部材151の両側面にはそれぞれ複数の補助脚38が取付けられている。壁部材151はジャッキ37及び補助脚38によって起立できる。
【0034】
壁部材151はアーム24が第1トラックTR1の後ろ側になるように積載される。壁部材151及び桁材14の第1トラックTR1への積載状態において、その壁部材151及び桁材14の下面間の複数位置は金具である連結バー52により連結される。連結バー52は、壁部材151及び桁材14の合計厚さ(左右方向の寸法)より長くなっている。壁部材151の内部ステー18は、ボルト止めされる保持金具53によって折りたたみ状態に保持される。壁部材151の外部ステー19の側面と桁材14の上面とは、複数位置において連結金具54によって連結されている。
【0035】
従って、図12に示すように、壁部材151及び桁材14は、連結バー52,保持金具53及び連結金具54によって並設状態に保持されるとともに、安定した状態で第1トラックTR1の荷台TCに対して第1トラックTR1の前後方向に延びた状態で積載される。連結バー52は、荷台TC上における起立状態の壁部材151及び桁材14の脚として機能する。
【0036】
図15及び図16に示すように、第2トラックTR2には、トンネルTN内の第2位置P2内に設置される1基の壁部材151と、桁材14とがそれらの長さ方向が第2トラックTR2の長さ方向に沿うように積載される。この場合においても、アーム24は第2トラックTR2の後ろ側にされる。壁部材151においては、前記と同様に、内部ステー18が折りたたまれるとともに、側部足場20が取付けられている。また、同様に、壁部材151には、ジャッキ37及び補助脚38が連結されるとともに、壁部材151及び桁材14はそれらの複数位置の下面間が連結バー52によって連結されるとともに、上部間が連結金具54によって連結されている。
【0037】
第2トラックTR2において、桁材14の側面には、その側面に沿って延びるように1基の台梁29設置される。その台梁29は、その両端部において止め金具55により桁材14に対して連結される。
【0038】
そして、壁部材151,桁材14及び台梁29は、連結バー52,連結金具54及び止め金具55によって並設状態に保持されるとともに、安定した状態で第2トラックTR2の荷台TCに積載される。この状態で、壁部材151,桁材14及び台梁29は、第2トラックTR2の前後方向に延びる。
【0039】
図17及び図18に示すように、第3トラックTR3においては、第2トラックTR2に積載される壁部材151,桁材14及び台梁29と同じ組合わせの壁部材151,桁材14及び台梁29が積載される。従って、壁部材151,桁材14及び台梁29は、同じ連結バー52,連結金具54及び止め金具55を用いて連結される。ただし、第3トラックTR3においては、壁部材151のアーム24が第3トラックTR3の前方を向くように壁部材151,桁材14及び台梁29が荷台TCに積載される。従って、壁部材151,桁材14及び台梁29は、荷台TC上において、並設状態に保持されるとともに、安定した状態に維持される。この状態で、壁部材151,桁材14及び台梁29は、第3トラックTR3の前後方向に延びる。
【0040】
図19及び図20に示すように、第4トラックTR4においては、第1トラックTR1に積載される壁部材151及び桁材14と同じ組合わせの壁部材151及び桁材14が同じ連結バー52及び連結金具54を用いて連結される。ただし、第4トラックTR4においては、壁部材151のアーム24が第4トラックTR4の前方を向くように壁部材151及び桁材14が荷台TCに積載される。従って、壁部材151及び桁材14は、荷台TC上において、並設状態に保持されるとともに、安定した状態に維持される。この状態で、壁部材151及び桁材14は、第4トラックTR4の前後方向に延びる。
【0041】
以上のようにして、壁部材151,桁材14及び台梁29よりなる構成部材ユニットが搬送される。各壁部材151は、第1~第4トラックTR1~TR4がトンネルTN内にバックで進入した場合、トンネルTN内に設置される向きと同じ向きで第1~第4トラックTR1~TR4に積載される。
【0042】
図21図23に示すように、第5トラックTR5においては、下から順に、一対のサブビーム31,同じく一対のメインビーム27,1基の中央足場22及び一対の台梁29がそれらの長さ方向が第5トラックTR5の前後方向に沿うように積層されている。両サブビーム31間には前後一対の足場板41が固定されている。足場板41の上面には、図示しないが、複数の柱材32が収容状態で載置されており、それらはワイヤ(図示しない)によって足場板41に対して結束されている。また、足場板41の上下両側面の少なくとも一方には、チャック(図示しない)を介して配管42が支持されている。この配管42はスラリー状態の覆工コンクリートCを圧送する経路となるものである。メインビーム27は、それらの上面を背中合わせにした横倒し状態で並べられている。
【0043】
中央足場22は、複数の窓口43を有する足場枠44と、窓口43を覆うように取付けられた足場板45とよりなる。
台梁29は、中央足場22の左右両側の上面において長さ方向を前後方向に沿わせた横倒し状態で載置されている。
【0044】
図22図24に示すように、両サブビーム31の上面間には1本の連結金具51が架設状態で取付けられている。また、両サブビーム31の上面間には一対の幅止め金具59が架設状態で取付けられており、この幅止め金具59の上面に一対のメインビーム27が背中合わせ状態で、かつ幅止め金具59の両端の起立片48間に把持されている。幅止め金具59は下面に一対の脚を有しており、この幅止め金具59によってサブビーム31とメインビーム27との間に上下間隔が設けられている。メインビーム27の上面には一対の連結金具58が取付けられており、この連結金具58の上面に中央足場22の足場枠44が取付けられている。
【0045】
図21図23に示すように、台梁29の両端には把持金具56が取付けられており、この把持金具56は中央足場22の足場枠44の両側を把持している。把持金具56と近接する位置において、左右の台梁29間には一対の連結金具57が介在状態で取付けられている。この連結金具57と把持金具56とによって台梁29が中央足場22の両側位置において保持されている。そして、前記のように、サブビーム31,メインビーム27,中央足場22及び台梁29が、下から順に積層されるとともに、それらは長さ方向を第5トラックTR5の前後方向に沿わせた状態で並設されている。
【0046】
図25に示すように、第6トラックTR6に積載される構成部材及びその積載方法は、第5トラックTR5に対する積載方法とほぼ同様である。ただし、第6トラックTR6においては、2基の中央足場22が重ねられている。また、上部側の中央足場22には2対の合計4基の台梁29が重ねられている。台梁29間の2本の連結金具57は、左右各2段の台梁29間をともに連結する。また、把持金具56は上下2段の台梁29を把持するとともに、上下2段の中央足場22を把持するように、高さの高いものが使用される。
【0047】
以上のようにして、第1~第6トラックTR1~TR6に積載された型枠装置11の構成部材は、その第1~第6トラックTR1~TR6によって、トンネルTNの建設現場まで搬送される。第1~第6トラックTR1~TR6は、後ろ向きで後退する(バック)することによってトンネルTN内の荷降ろし位置に進入される。そして、第1~第6トラックTR1~TR6によって、4基の壁部材151,4基の桁材14,4基のメインビーム27,4基のサブビーム31,8基の台梁29等の構成部材よりなる構成部材ユニットが搬送される。
【0048】
〈型枠装置11の構築方法その2〉
すなわち、第1~第6トラックTR1~TR6はトンネル建設現場における型枠装置11の構築位置の近傍である荷降ろし位置に進入される。そして、第1~第6トラックTR1~TR6の荷台TCに積載された型枠装置11の構成部材がクレーンによって吊られることによって、型枠装置11における組立順序に従って他の構成部材から分離される。そして、その構成部材はクレーンによって型枠装置11の構築位置に移載されて、型枠装置11の構築に供される。
【0049】
前記連結バー52を含む各種の金具51,53,54,55,56,57,58,59は構成部材に対してボルトやナットを用いて着脱可能に取付けられている。これらの連結バー52及び各種の金具51,53,54,55,56,57,58,59は、連結部材を構成する。そして、第1~第6トラックTR1~TR6の荷台TC上における型枠装置11の構成部材を荷降ろしする場合は、前記連結バー52及び各種の金具51,53,54,55,56,57,58,59が構成部材から外される。あるいは、構成部材が連結バー52や金具51,53,54,55,56,57,58,59から外される。
【0050】
まず、第1トラックTR1を前記荷降ろし位置に進入させる。そして、ジャッキ37及び補助脚38を有する壁部材151をその設置位置である図9及び図26(a)に示すトンネル奥側の第1位置P1に移動させて、同位置P1に設置する。このとき、第1トラックTR1の桁材14は第1トラックTR1の荷台TC上において連結バー52によって起立状態に保持される。
【0051】
次いで、第1トラックTR1を待機位置に後退させるとともに、それと交代で第2トラックTR2を荷降ろし位置に進入させる。そして、図26(b)に示すように、壁部材151をその設置位置であるトンネル奥側の第2位置P2に移動させて、同位置P2に設置する。引続き、第2トラックTR2上の桁材14を第1位置P1及び第2位置P2の壁部材151間に架設する。さらに、第2トラックTR2上の台梁29を壁部材151の奥側の端部間に架設状態で仮置きする。
【0052】
次に、空荷の第2トラックTR2を建設現場から後退させるとともに、第1トラックTR1を荷降ろし位置に再度進入させる。そして、図26(c)に示すように、第1トラックTR1の荷台TCに残っていた桁材14を第1,第2位置P1,P2間の壁部材151間に架設させる。
【0053】
その後、空荷の第1トラックTR1を建設現場から後退させる。次いで、第3トラックTR3を荷降ろし位置に進入させる。そして、前記と同様にして、図26(d)に示すように、第3位置P3に対して壁部材151を設置するとともに、その壁部材151を第1位置P1の壁部材151に連結する。その後、第3トラックTR3を待機位置に後退させるとともに、第4トラックTR4を荷降ろし位置に進入させる。そして、図26(e)に示すように、トンネル入口側の第4位置P4に壁部材151を設置するとともに、その壁部材151を第2位置P2の壁部材151と連結する。
【0054】
次いで、第4トラックTR4の桁材14を第3位置P3及び第4位置P4の壁部材151間に架設する。次いで、空荷の第4トラックTR4を建設現場から後退させる。そして、第3トラックTR3を荷降ろし位置に再度進入させて、図26(f)に示すように、第3トラックTR3の荷台TCに残っていた桁材14を第3位置P3,第4位置P4の壁部材151間に架設する。また、第3トラックTR3に残っていた台梁29を壁部材151の入り口側の端部間に仮置きする。
【0055】
そして、空荷の第3トラックTR3を建設現場から後退させる。
次いで、構成部材ユニットを積載した第5トラックTR5を荷降ろし位置に進入させる。そして、第5トラックTR5の中央足場22を図27(a)に示すように、トンネル奥側の桁材14間における壁部材151間に架設する。中央足場22には、台梁29が載せられている。次いで、第5トラックTR5を待機位置に後退させて第6トラックTR6を荷降ろし位置に進入させる。そして、図27(b)に示すように、第6トラックTR6の台梁29が載せられた2基の中央足場22を桁材14間におけるトンネル入口側の2箇所の壁部材151間に並設状態で架設する。
【0056】
その後、各中央足場22上の台梁29間の連結金具57を外して、中央足場22上の台梁29を組付け位置と対応する所定位置に移動させる。
次に、図27(c)に示すように、第6トラックTR6の両メインビーム27をトンネル奥側において前後の桁材14間に前後方向に延びるように架設する。さらに、サブビーム31をトンネル奥側におけるメインビーム27間であって、前後の桁材14間に架設する。
【0057】
次に、空荷の第6トラックTR6を建設現場から後退させるとともに、第5トラックTR5を荷降ろし位置に進入させて、トンネル入り口側において、前記と同様に、メインビーム27及びサブビーム31を桁材14間に架設する。最後に、空荷の第5トラックTR5をトンネル建設現場から後退させる。
【0058】
そして、図27(d)に示すように、各台梁29を図11に示す起立状態にして、メインビーム27及びサブビーム31の下面に連結する。次いで、各サブビーム31上に柱材32を立てる。
【0059】
このようにしたら、柱材32及びメインビーム27上に天フォーム33を支持する。次いで、ジャッキ37によりガントリ12を上昇させて、車輪17を有する脚足16を装置脚13に対して取付ける。このようにしたら、天フォーム33に側フォーム34を、側フォーム34に下部フォーム35を連結する。
【0060】
このようにして、型枠装置11を構築することができる。
型枠装置11の解体は、構築時とは逆の手順で実行される。すなわち、サブビーム31,メインビーム27,中央足場22,桁材14,壁部材151等の構成部材を分解するとともに、その分解された構成部材を分解順に従って並設して構成部材ユニットを構成する。そして、その構成部材ユニットを前記のように第1~第6トラックTR1~TR6に積載してトンネルTN内から搬出する。
【0061】
(第1実施形態の効果)
本実施形態においては、以下の効果がある。
(1)型枠装置11を構成する壁部材151,桁材14,メインビーム27,台梁29,サブビーム31等の構成部材が、第1~第6トラックTR1~TR6の荷台TCに対して、その荷台TCの前後方向に沿う姿勢で積載される。つまり、壁部材151,桁材14,メインビーム27,台梁29,サブビーム31等の構成部材は、その長さ方向が第1~第6トラックTR1~TR6の前後方向に延びた状態で並設される。従って、それらの構成部材を、荷台TCのスペースを有効利用して荷台TCからはみ出ることなく積載できるため、構成部材を容易にトラック搬送することができる。
【0062】
(2)構成部材の搬送に際して、積載された構成部材である壁部材151,桁材14,台梁29を連結バー52によって連結状態で起立させるとともに、その起立状態でさらに構成部材どうしを連結金具54等によって連結する。従って、構成部材を安定してトラック搬送することができるため、構成部材どうしの衝突や、構成部材の倒伏等を防止できる。
【0063】
(3)構成部材を型枠装置11として組付ける順序に従って、しかも組付ける向きでトラック荷台TCに積載する。従って、構成部材をトラック荷台TCから組付け位置にクレーンで吊って移動するだけで、その構成部材を型枠装置11の所要箇所に組けることができる。このため、型枠装置11の構築を短時間で効率的に実行できる。よって、トンネル建設の工期を短縮できる。しかも、構成部材をその組付けに際して、その構成部材を地面S上に仮置きしたり、地面S上で構成部材を組上げるための部材どうしを組付けたりする必要がない。従って、他の作業車両の通行や、物品の移動が規制されることを抑制することができる。
【0064】
(4)型枠装置11の解体に際しても、構成部材その分解順序に従ってクレーンで吊ってトラック荷台TCに積載できる。そして、構築時と同様に一方向に延びる複数の構成部材を並設状態で連結することによって、構成部材が嵩張ることなく、安定状態となる。そして、撤去の際には、構成部材をトンネルTN内の地面Sに仮置きしたりする必要がないので、作業車両の移動規制の時間を短くできる。その結果、トンネル建設の工期を短縮できる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を第1実施形態と異なる部分を中心にして図28以下の図面に基づいて説明する。
【0066】
〈型枠装置11の構成〉
第2実施形態は、小断面のトンネルTNにおいて実施する場合に適する。本実施形態の型枠装置11においては、図28及び図29に示すように、メインビーム27,サブビーム31及び台梁29が設けられていない。そして、天フォーム33を支持する柱材32は桁材14の上面に立てられる。また、台梁29に代えて、天フォーム33の下部側を支持する保持部材71が桁材14の両端面に設けられている。
【0067】
図29に示すように、第2実施形態における型枠装置11において、桁材14は、狭い前後間隔で8基設けられており、桁材14間において左右の壁部材151間に架設された中央足場22は、幅の狭いものが2枚並設されている。この中央足場22は、後述のように桁材14に支持されている。
【0068】
図35及び図36に示すように、桁材14は、トンネル奥側から順に第1~第8ポジションQ1~Q8に設置される。そして、桁材14には、第1~第3桁材14A~14Cの3種類が設けられている。図30図31及び図35(これらの図において第1~第3桁材14A~14Cは重ねられている)に示すように、第1桁材14Aは、4基であって、中央足場22を有しない。第2桁材14Bは3基であって、その前後両側面に中央足場22が下端においてヒンジ72を介して起伏回動可能に支持されている。第3桁材14Cは1基であって、その一側面に中央足場22が下端においてヒンジ72を介して起伏回動可能に支持されている。そして、中央足場22は、下方に回動されることによって、左右の壁部材151間の架設位置に配置される。
【0069】
〈構成部材の搬送方法及び型枠装置11の構築方法〉
図32図34は、第1,第3桁材14A,14Cの搬送状態を示すものである。この搬送状態では、第3桁材14Cの中央足場22が第3桁材14Cの側面に沿うように起立状態にされるとともに、保持金具60の取付けによってその状態に保持される。また、第3桁材14Cを下にして、その上面に第1桁材14Aが重ねられるとともに、第1桁材14Aが連結金具61の取付けによって第3桁材14Cから落下しないように連結される。保持金具60及び連結金具61は連結部材を構成する。
【0070】
図31及び図35に示すように、搬送時において、第1桁材14Aは、第2桁材14Bとも組合わされて、第2桁材14B上に重ねられる。この場合、第2桁材14Bの両中央足場22は前記と同様に起立状態にされるとともに、保持金具60によってその状態に維持される。また、上下の第1,第2桁材14A,14Bも連結金具61によって連結される。
【0071】
前記連結金具61及び保持金具60は、第1~第3桁材14A~14C及び中央足場22が壁部材151間に架設される際に外される。
図31及び図32に示すように、これらの第1桁材14Aと第2桁材14Bとの組合わせを2枚の中央足場22を有する双板桁材ユニット141とする。第1桁材14Aと第3桁材14Cとの組合わせを1枚の中央足場22を有する単板桁材ユニット142とする。そして、双板桁材ユニット141が3基、単板桁材ユニット142が1基形成される。合計4基の桁材ユニット141,142は、それぞれ1基の壁部材151と組合わされて搬送される。
【0072】
従って、本実施形態においては、桁材ユニット141,142及び壁部材151の搬送には、4台のトラックTRが用いられる。各トラックTRにはそれぞれ1基の壁部材151が積載される。そして、1台目,3台目及び4台目のトラックTRには壁部材151と双板桁材ユニット141との組合わせが積載される。2台目のトラックTRには壁部材151と単板桁材ユニット142との組合わせが積載される。
【0073】
そして、図32図34に示すように、桁材ユニット141,142及び壁部材151の搬送に際しては、壁部材151と各桁材ユニット141,142とは、ほぼ平行になるように並設される。この状態で、それらの底面間が連結バー52の取付けによって連結状態に保持される。また、壁部材151と各桁材ユニット141,142の上端部との間が連結金具54によって連結される。このため、壁部材151と各桁材14A~14Cとは、並設状態で、かつ安定した起立状態の構成部材ユニットになる。従って、本実施形態においては、壁部材151,桁材14A,14C及び中央足場22が主要な構成部材である。構成部材ユニットがトラックTRの荷台TCに積載されると、壁部材151及び各桁材14A~14Cは、トラックTRの前後方向に沿って延びる。壁部材151及び桁材ユニット141,142と、それらを連結する連結バー52及び連結金具54とは、壁部材151及び桁材ユニット141,142を荷台TCから降ろす際に外される。
【0074】
型枠装置11の構築に際しては、最初に、トンネルTN内に第1桁材14A及び第2桁材14Bよりなる双板桁材ユニット141と壁部材151とを積載した1台目のトラックTRを荷降ろし位置に進入させる。そして、図37(a)に示すように、壁部材151をクレーンによって地面Sに荷降ろしをしてトンネル奥側の第1位置P1に設置する。
【0075】
次いで、1台目のトラックTRを待機位置に後退させて、第1桁材14A及び第3桁材14Cの単板桁材ユニット142と壁部材151とを積載した2台目のトラックTRを荷降ろし位置に進入させる。そして、図37(b)に示すように、壁部材151をトンネル奥側の第2位置P2に設置する。また、図35及び図36に示すように、単板桁材ユニット142をクレーンによって荷降ろしをして壁部材151間の第2ポジションQ2に架設する。そして、中央足場22を下方に展開して左右の壁部材151間に架設する。また、第1桁材14Aを第3桁材14Cから分離して、その第1桁材14Aを第1ポジションQ1位置において左右の壁部材151間に架設する。なお、図37(a)~(f)においては中央足場22の図示を省略している。また、図30図36においては、第1~第3桁材14A~14Cの厚さを誇張して描いている。
【0076】
次いで、空荷の2台目のトラックTRを建設現場から後退させるとともに、1台目のトラックTRを再度荷降ろし位置に進入させて、1台目のトラックTRに積載された双板桁材ユニット141を第3ポジションQ3に架設する。そして、両側の中央足場22を下方に展開するとともに、第1桁材14Aを第2桁材14Bから分離して、その第1桁材14Aを第4ポジションQ4に架設する。
【0077】
次いで、空荷になった2台目のトラックTRを建設現場から後退させて、3台目のトラックTRを荷降ろし位置に進入させるとともに、3台目のトラックTRに積載された壁部材151を第3位置P3に設置する。
【0078】
次いで、3台目のトラックTRを待機位置に後退させて、4台目のトラックTRを荷降ろし位置に進入させる。そして、4台目のトラックTRに積載された壁部材151を第4位置P4に設置するとともに、双板桁材ユニット141を第3位置P3及び第4位置P4の壁部材151間における第5ポジションQ5に架設する。そして、両側の中央足場22を下方に展開するとともに、第1桁材14Aを第2桁材14Bから分離して、その第1桁材14Aを第6ポジションQ6に移動する。
【0079】
次いで、空荷になった4台目のトラックTRを建設現場から後退させて、3台目のトラックTRを再度荷降ろし位置に進入させる。そして、3台目のトラックTRに積載された双板桁材ユニット141を第7ポジションQ7に架設する。次いで、両側の中央足場22を下方に展開するとともに、第1桁材14Aを第2桁材14Bから分離して、その第1桁材14Aを第8ポジションQ8に架設する。空荷になった第4トラックTR4は建設現場から後退する。
【0080】
その後、各桁材14の左右両端に天フォーム33を支持するための保持部材71が取付けられる。
そして、桁材14A~14Cの上面に保持部材71及び柱材32を介して天フォーム33が支持されることに続いて、壁部材151よりなる側壁15がジャッキ37によって上昇される。この状態で側壁15の下側に脚足16が組付けられて、ガントリ12が構成される。さらに、天フォーム33の両側に側フォーム34及び下部フォーム35が組付けられる。以上のようにして、型枠装置11が構築される。
【0081】
型枠装置11の解体及び撤去は、解体時と逆の手順で遂行される。すなわち、桁材14,壁部材151等の構成部材を分解するとともに、その分解された構成部材を分解順に従って並設して構成部材ユニットを構成する。そして、その構成部材ユニットを前記のようにトラックTRに積載して搬出する。
【0082】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態においても第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
そして、第2実施形態においては、前記第1実施形態の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0083】
(1)桁材14が8基であっても、その桁材14は2基ずつ重ねて搬送される。また、中央足場22が第2,第3桁材14B,14Cにヒンジ連結されている。さらに、メインビーム27及びサブビーム31が不要である。このため、中央足場22,メインビーム27及びサブビーム31を運搬するためのトラックTRが不要になる。従って、型枠装置11の構成部材を搬送するためのトラックTRの台数を減らすことができる。
【0084】
(2)2基の第1~第3桁材14A~14Cが重ねられた桁材ユニット141,142を搬送した後に、そのまま壁部材151上に移動させる。従って、第1~第3桁材14A~14Cを嵩張ることなく搬送できる。そして、上部側の第1桁材14Aを所定位置に移動させるようにした。これによって、桁材14A~14Cを1基ずつトラックTRか上から移動させる必要がなくなるため、クレーンの負担を軽減できるとともに、作業効率を向上できる。
【0085】
(3)桁材ユニット141,142が壁部材151上に設置された状態において移動される第1桁材14Aが中央足場22を有しない軽量のものであるため、その移動を容易に行うことができる。また、クレーンのブームを伸長させることによって側壁15の最奥部に置かれる単板桁材ユニット142の中央足場22は1枚だけであるので、軽量である。そのため、単板桁材ユニット142移動させるクレーンの負担をさらに軽減できる。
【0086】
(変更例)
本発明は、前記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することもできる。この場合、両実施形態及び変更例は、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で相互に組合わせることができる。
【0087】
・前記両実施形態において、連結金具54や止め金具55に代えて、ワイヤやチェーン等の索を用いること。
・型枠装置11の前後位置に設置される張出し足場等の型枠装置11の他の構成部材を搬送時に壁部材151と別体にするとともに、連結金具を用いて、第1,第2実施形態の構成部材に対して連結して運搬すること。
【0088】
・前記第1,第2実施形態において、壁部材151,桁材14,中央足場22,メインビーム27,台梁29,サブビーム31のうちの少なくともひとつの構成部材と、その構成部材とは別の構成部材とを組合わせて構成部材ユニットとすること。
【0089】
・前記第1,第2実施形態の構成部材ユニットに代えて、壁部材151,桁材14,中央足場22,メインビーム27,台梁29,サブビーム31のうちの少なくともふたつの構成部材の組み合わせによる構成部材ユニットとすること。例えば、桁材14,メインビーム27,サブビーム31の組合わせの構成部材ユニット等、前記第1,第2実施形態の構成部材ユニットとは異なる構成部材の組合わせの構成部材ユニットとすること。
【0090】
・起立状態の壁部材151,桁材14等の構成部材の脚として機能する連結バー52を省略すること。従って、前記構成部材は、連結金具54や止め金具55によって他の構成部材と連結された状態で起立される構成部材ユニットとなる。この構成部材ユニットは、前記第1,第2実施形態の構成部材ユニットと同様に、トラックTRの荷台TCに積載されるとともに、搬送される。
【0091】
(他の技術的思想)
前記第2実施形態から把握される技術的思想は以下の通りである。
(A)トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される複数の桁材とを備えたガントリの上部に、トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置において、
前記桁材には、隣接する桁材間において前記側壁間に架設される足場を起伏可能に支持したコンクリート型枠装置。
【0092】
このコンクリート型枠装置においては、足場が桁材に支持されているため、コンクリート型枠装置の構築や解体に際して桁材を搬送すればよい。つまり、足場を単体で搬送する必要はない。従って、コンクリート型枠装置の構築及び解体を効率よく短時間で行うことができる。しかも、足場が起伏自在であるため、足場を使用しない搬送時等において、その足場を起立状態にすれば、邪魔になることはない。このため、前記の構築及び解体をさらに効率よく行うことができる。
【0093】
(B)トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される複数の桁材とを備えたガントリの上部に、トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを支持するコンクリート型枠装置において、
隣接する桁材間において前記側壁間に架設される足場を起伏可能に支持した桁材と、前記足場を有しない桁材とを隣接配置したコンクリート型枠装置。
【0094】
このように構成したコンクリート型枠装置においては、足場を有しない桁材を足場を有する桁材の上に重ねることによって、搬送される桁材の数を実質的に減らすことができる。従って、コンクリート型枠装置の構築及び解体に際して、搬送される桁材の数を少なくできるため、型枠装置の構築及び解体の作業を効率よく実行できる。
【0095】
(C)前記技術的思想(B)項に記載のコンクリート型枠装置において、
複数の前記桁材を同方向に延びるように重ねた状態で前記側壁間に架設した後に、前記足場を側壁間に架設されるように展開し、次いで上部側の前記桁材を前記側壁間の他の位置に架設するコンクリート型枠装置の構築方法。
【0096】
以上の構築方法においては、搬送される桁材の数を実質的に減らすことができる。従って、コンクリート型枠装置の構築及び解体に際して、搬送される桁材の数を少なくできるとともに、搬送トラックと構築位置との間の型枠の移動回数を少なくできるため、構築及び解体の作業を効率よく実行できる。
【0097】
(D)足場を有する桁材の上に足場を有しない桁材を重ねた状態で、桁材を側壁上に搬送し、次いで足場を展開した後に、足場を有しない桁材を移動して、足場を有する桁材間に配置する前記(C)項に記載のコンクリート型枠装置の構築方法。
【0098】
従って、足場を有する桁材間に対して足場を有しない桁材を小さな力で移動させることができる。
【符号の説明】
【0099】
11…コンクリート型枠装置
12…ガントリ
13…装置脚
15…側壁
22…中央足場
27…メインビーム
29…台梁
33…天フォーム
36…フォーム
151…壁部材
51…連結金具
52…連結バー
53…保持金具
54…連結金具
55…止め金具
56…把持金具
57…連結金具
58…連結金具
59…幅止め金具
60…保持金具
61…連結金具
C…覆工コンクリート
S…地面
TC…荷台
TN…トンネル
TR…トラック
【要約】
【課題】トンネル建設の工期を短縮すること。
【解決手段】トンネルの内部に覆工コンクリートを成形するために用いられるコンクリート型枠装置は、トンネルの幅方向の両側に設置される側壁と、その両側壁の上部間に架設される橋架部とが設けられたガントリを備える。そのガントリの上部に覆工コンクリートを成形するためのフォームが支持される。コンクリート型枠装置の構築に際しては、組立順序が連続するとともに、一方向に延びる壁部材151と、ガントリ上部を構成する桁材14とを連結部材によって並設状態で連結して構成部材ユニットを構成する。この構成部材ユニットがトラックTR1によって搬送される。
【選択図】図12
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