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特許7297379事前定義された液体クロマトグラフィプロセスを適合させるための装置、方法、およびコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】事前定義された液体クロマトグラフィプロセスを適合させるための装置、方法、およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/82 20060101AFI20230619BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20230619BHJP
   B01D 15/10 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
G01N30/82
G01N30/02 B
B01D15/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020541678
(86)(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019054188
(87)【国際公開番号】W WO2019166294
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】1803129.4
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・ヴィデハンマル
(72)【発明者】
【氏名】ケイ・ヒュッケンベリ
(72)【発明者】
【氏名】オリヤン・グレルソン
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ・マットソン
(72)【発明者】
【氏名】シェル・カールソン
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-526731(JP,A)
【文献】特開2009-281897(JP,A)
【文献】特表2017-534060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0246297(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0288473(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0209766(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0203531(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0166557(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0219633(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
B01D 15/00 -15/42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカラム(240;A、B、N)で動作するように構成され、事前定義されたプロセスを使用して標的生成物を含む試料を精製するように構成されている液体クロマトグラフィシステム(10;90;190)であって、前記液体クロマトグラフィシステムは、
- 前記事前定義されたプロセスを稼動するように前記クロマトグラフィシステムの前記動作を制御し、
- データストレージからアクセス可能なカラムデータを取り出し、前記カラムデータは各カラムに特有であり、
- カラムデータに基づき各カラムに対して前記事前定義されたプロセスの少なくとも1つのプロセスパラメータを適合させ、
それによって、前記事前定義されたプロセスは、前記標的生成物を取得し、前記液体クロマトグラフィシステムの性能を維持するように各カラムに適合させる、ように構成されているコントローラ(91;300)を備え、
各カラムは特定のタイプのものであり、前記データストレージは、前記試料の精製のために前記液体クロマトグラフィシステムにおいてすでに使用されている同じ特定のタイプに属す各カラムおよび/または複数のカラムに対する過去データを含み、前記コントローラは、前記過去データに基づき前記事前定義されたプロセスの前記少なくとも1つのプロセスパラメータをさらに適合させるように構成される液体クロマトグラフィシステム(10;90;190)。
【請求項2】
前記データストレージは、各カラムを生産するときの生産パラメータに関係するカラムデータを収容する請求項に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項3】
各カラムは、樹脂を保持するための容器を備え、前記生産パラメータは、樹脂床の高さ、圧力境界、流量仕様、材料特性、ハードウェア特有の特性、濾過器特性、および前記容器の物理的寸法を含む請求項に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項4】
センサパラメータを読み取るように適合されているセンサ(92a、92b)をさらに備え、前記少なくとも1つのプロセスパラメータの前記適合は、さらに、任意選択でUV、流量、および圧力のうちのいずれかを含む、センサ読み取り値に基づいて行われる請求項1からのいずれか一項に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項5】
少なくとも1つのカラムで動作するように構成され、事前定義されたプロセスを使用して標的生成物を含む試料を精製するように構成されている液体クロマトグラフィシステムを制御するための方法であって、前記方法は、
- 前記事前定義されたプロセスを稼動するように前記クロマトグラフィシステムの前記動作を制御するステップ(S12)と、
- データストレージからアクセス可能なカラムデータを取り出すステップ(S13)であって、前記カラムデータは各カラムに特有である、ステップ(S13)と、
- カラムデータに基づき各カラムに対して前記事前定義されたプロセスの少なくとも1つのプロセスパラメータを適合させるステップ(S14)とを含み、
それによって、前記事前定義されたプロセスは、前記標的生成物を取得し、前記液体クロマトグラフィシステムの性能を維持するように各カラムに適合され、
各カラムは特定のタイプのものであり、前記データストレージは、前記試料の精製のために前記液体クロマトグラフィシステムにおいてすでに使用されている同じ特定のタイプに属す各カラムおよび/または複数のカラムに対する過去データを含み、前記方法は、前記過去データに基づき前記事前定義されたプロセスの前記少なくとも1つのプロセスパラメータをさらに適合させるステップ(S13a)を含む方法。
【請求項6】
前記データストレージは、各カラムを生産するときの生産パラメータに関係するカラムデータを含み、前記生産パラメータは、樹脂床の高さ、圧力境界、流量仕様、材料特性、ハードウェア特有の特性、濾過器特性、および容器の物理的寸法を含み、前記方法は、前記生産パラメータに基づき前記事前定義されたプロセスの前記少なくとも1つのプロセスパラメータをさらに適合させるステップ(S13b)を含む請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記液体クロマトグラフィシステムは、センサパラメータを読み取るように適合されているセンサをさらに備え、前記方法は、UV、流量、および圧力のうちのいずれかなどの、センサ読み取り値に基づき前記少なくとも1つのプロセスパラメータをさらに適合させるステップ(S14a)をさらに含む請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセッサで実行されたときに、請求項からのいずれか一項に記載の前記方法を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させる命令を含む、液体クロマトグラフィシステムを制御するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィシステムに試料を供給するときに標的生成物を含む試料の精製のために少なくとも1つのカラムで動作するように構成されている液体クロマトグラフィシステムにおける方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロセスクロマトグラフィにおける重要な要素は、溶質に対するクロマトグラフィカラムの結合容量である。結合容量は、クロマトグラフィ工程の生産性およびコストに直接影響を及ぼす。結合容量は、動的/ブレークスルー容量に関して、または最大結合容量として、のいずれかで定義される。動的容量は、クロマトグラフィ媒質を充填したカラムを溶液が貫流する条件に依存し、カラム容積と供給流量との比、いわゆる滞留時間、として表され得る。最大結合容量は、滞留時間が無限に長かった場合にカラムのブレークスルー容量を表す。
【0003】
単一の、またはいくつかのクロマトグラフィカラムを有する、クロマトグラフィシステムにおいて使用されるプロセスの妥当性を確認するときに、プロセスからの結果が予想可能であり、プロセスの仕様から逸脱することなく繰り返すことができることが重要である。単一カラムシステムでは、カラムを変更するときに、新しいカラムの特性が同じタイプのものであり、同じ動作をすることが重要である、すなわち、妥当性を確認されたプロセスにおいて所望の結果を達成するために同一であるか、またはほとんど同一である特性を有するカラムが必要である。
【0004】
連続クロマトグラフィでは、いくつかのカラムが、方法の要求条件に応じて、カラムを直列および/または並列動作させることを可能にする配置構成で接続される。したがって、すべてのカラムは、原理上同時に、ただし、わずかに変更された方法工程で稼動させることができる。手順は繰り返すことができ、したがって、各カラムは、プロセスにおいて複数回、ロード、溶出、および再生が行われる。単一のクロマトグラフィサイクルが、試料ロード、洗浄、溶出、ストリップ、クリーンインプレース(CIP)、および再平衡化などの、いくつかの逐次的な工程に基づく「従来型」のクロマトグラフィに比べて、別のバッチでカラムが使用され得る前に、複数のカラムに基づく連続クロマトグラフィにおいて、すべてのこれらの工程が同時に、ただし各々異なるカラム上で実行される。
【0005】
最適な結果を達成するために、連続クロマトグラフィ内のカラムは同一であるか、またはほとんど同一でなければならない。カラムを、妥当性を確認されたプロセスにおいて使用される単一のクロマトグラフィカラムと置き換えるときにも同じことが当てはまる。カラムの性能の違いが大きすぎる場合、プロセスは、妥当性を確認された性能範囲外で動作することになる。
【0006】
連続クロマトグラフィは、周期的向流プロセス(periodic counter current process)の一例であるが、それは、周期的に、このシステムを含むすべてのクロマトグラフィカラムは試料流とは反対の方向に同時に移動されるからである。カラムの見かけの移動は、カラムへの/カラムからの入口および出口流の適切な方向変更によって実現される。
【0007】
歴史的に、信頼性の高い連続プロセスに対する重要な要素は、
1)使用されるカラムの品質、およびより具体的には、カラム間の類似性またはそれ以上に同一性、
2)一定の供給組成、および
3)ハードウェアの信頼性、たとえば、ポンプが一定流量を送出すること、弁の機能性、など
である。
【0008】
カラムが同一でない場合、連続クロマトグラフィプロセスを設計するために典型的に使用される理論的計算は正しくなくなり、効率的でロバストな連続クロマトグラフィプロセスを設計することが困難になる。供給濃度および流量が予測されない形で時間とともに変動する場合にも同じ議論が当てはまる。
【0009】
したがって、同一のカラムを有する、スケールアップを考慮した場合、システム内に信頼性の高いポンプがあることが重要である。しかしながら、カラムにクロマトグラフィ媒質を充填することは、繰り返し可能な結果を得るためには非常に複雑な作業である。プレートの数または他の充填特性にわずかな違いがあっても、最終結果に非常に大きな影響を及ぼし得る。さらに、クロマトグラフィ樹脂の容量は典型的には樹脂の寿命/使用期間中に変化するので、新鮮な樹脂/媒質について選択されたプロセス条件は、何度か使用された樹脂には当てはまらないことがあり得る。また供給溶液濃度が変化する場合、常時その最適な条件で動作するであろう効率的な連続クロマトグラフィプロセスを設計するのはなおいっそう複雑な作業になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の目的は、当技術分野における上述の欠点および不利点のうちの1つまたは複数を、単独で、または任意の組合せで、軽減するか、緩和するか、または排除することを求める方法、ならびに方法およびコンピュータプログラムを実行するように構成されているデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、少なくとも1つのカラムで動作するように構成され、事前定義されたプロセスを使用して標的生成物を含む試料を精製するように構成されている液体クロマトグラフィシステムによって達成される。液体クロマトグラフィシステムは、
- 事前定義されたプロセスを稼動するようにクロマトグラフィシステムの動作を制御し、
- データストレージからアクセス可能なカラムデータを取り出し、カラムデータは各カラムに特有であり、
- カラムデータに基づき各カラムに対して事前定義されたプロセスの少なくとも1つのプロセスパラメータを適合させ、
それによって、事前定義されたプロセスは、標的生成物を取得し、液体クロマトグラフィシステムの性能を維持するように各カラムに適合される、
ように構成されているコントローラを備える。
【0012】
利点は、各カラムを製造するときに製造バラツキを補正するようにプロセスパラメータが適合され得るので、より安定した、繰り返し可能な結果が液体クロマトグラフィプロセスから得られることである。
【0013】
さらなる目的および利点は、詳細な説明から当業者によって獲得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】液体クロマトグラフィを使用して標的生成物を精製するように設計されているバイオプロセス精製システムの概要を例示する図である。
図2】疑似移動床技術に基づく、任意の数のカラムを備える連続クロマトグラフィを例示する図である。
図3a】3カラムクロマトグラフィの原理を例示する図である。
図3b】3カラムクロマトグラフィの原理を例示する図である。
図3c】3カラムクロマトグラフィの原理を例示する図である。
図4】単一カラム液体クロマトグラフィシステムを例示する図である。
図5】圧力センサを備える図4の液体クロマトグラフィシステムに対する簡素化されたフローチャートである。
図6】システム圧力センサのみを備える図4の液体クロマトグラフィシステムに対する簡素化されたフローチャートである。
図7】仮想圧力センサを備える図4の液体クロマトグラフィシステムに対する簡素化されたフローチャートである。
図8】カラムをあるタイプに割り当てる概念を例示する図である。
図9】カラムおよび液体クロマトグラフィシステムを製造するように適合されているシステム内のデータフローを例示する図である。
図10】液体クロマトグラフィシステム用のカラムを製造するための方法を例示するフローチャートである。
図11】少なくとも1つのカラムで動作するように構成されている液体クロマトグラフィシステムを制御するための方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
クロマトグラフィシステムは、樹脂の少なくとも1つの充填済みカラムを使用して標的生成物(タンパク質、細胞培養/発酵に由来する生体分子、天然抽出物)を精製するように設計され、精製工程を形成する。各カラムは、洗浄および溶出などの、ロードと非ロード工程との間で切り替えられる。
【0016】
図1には、分離プロセスを使用して標的生成物を精製するように構成されている、バイオプロセス精製システム10の概要が図示されている。バイオプロセス精製システムは、細胞培養11、保持12、取り込み13、ウイルス不活化14、研磨15、および送達16に関係する多数の工程を含む。
【0017】
細胞培養工程11は、灌流培養における細胞増殖のための栄養物の連続添加と、排液および濾過を通じての、たとえば、交互接線流濾過(ATF)濾過器設備を使用する、生成物および廃棄物の連続除去とを含む灌流型培養であってよい。この工程は、生存細胞密度(VCD)に対するプロセス制御を含むものとしてよく、このプロセスにおける次の工程は、VCDが所定の値に到達したときに開始する。VCDは、培養物に供給される細胞培養培地の構成要素を適合させることによって、またはいくつかの構成要素を培養物に直接添加することによって制御され得る。代替的に、細胞培養はバッチ型である。
【0018】
標的生成物を含む試料は、無細胞抽出プロセスにおいて、たとえば、濾過、遠心分離、または別の技術によって利用される。
【0019】
保持工程12は、プロセスのニーズに応じた、たとえば、濾過器が取り込み工程13の前でインラインである場合の、任意選択の工程である。この工程は、重量に対するプロセス制御を含み、このプロセスの次の工程は、所定の体積値に達したときに、または代替的に特定の時間期間の後に、または所定の質量に達したときに、開始する。保持工程は、灌流細胞培養から一定量の濾過済み供給物を回収する、またはバッチ培養から一定量の濾過済み供給物を回収するための両方に使用され得る。
【0020】
取り込み工程13は、取り込み工程の前でインラインである濾過器を有し得る少なくとも1つのクロマトグラフィカラムを備える。取り込み工程13は、たとえば、標的生成物を含む、直接、または保持工程12を介して、細胞培養工程11からの試料の連続供給を受ける周期的向流クロマトグラフィとして稼動し得る、図2に例示されているような連続クロマトグラフィ装備を備え得る。取り込み工程は、1つまたは複数のバッチ溶出を含み、インラインUVセンサを使用するプロセス制御で、供給物濃度および樹脂容量の変動に対処する。次の工程は、所定の量の値(たとえば、体積、質量、または時間)に達したときに開始する。
【0021】
ウイルス不活化工程14において、プロセスのニーズに応じてウイルス不活化に対する異なるオプションが利用可能である。オプションの1つは、ホールドアップタンク内で30~60分間、低いpHでバッチモードを使用することである。この工程は、体積、時間、温度、およびpHに対するプロセス制御を含み得る。次の工程は、所定の時間に達したときに開始する。
【0022】
研磨工程15は、接続バッチ工程によるストレートスルー処理(straight through processing)(STP)または連続ロード工程による連続クロマトグラフィ、またはこれらの組合せであってよい。流量は、産生細胞によって必要とされる灌流量に合わせて調整されるが、これは、流量が先行する工程によって決定されることを意味する。工程は、UV、流動、および体積に対するプロセス制御を含むものとしてよく、次の工程は、所定の体積および量に達したとき、代替的にタイムアウトに達したときに、開始する。
【0023】
送達工程16は、限外濾過工程の前に、ウイルス除去工程、たとえばウイルス濾過器を置くものとしてよい。送達工程は、研磨工程からの試料のバッチ添加の濃縮工程として使用され得る。送達工程は、生成物の連続またはバッチ送達を含むものとしてよく、廃棄物の連続またはバッチ除去を含み得る。この工程は、pH、導電率、吸収率、体積、および圧力に対するプロセス制御を含むものとしてよく、送達は、事前定義された環境内で所定の生成物濃度に達したときに達成される。
【0024】
自動化層17は、プロセス内の次の工程に対する判定点を取り扱うために使用される。異なるタイプのセンサ(図示せず)、インラインセンサおよびオフラインセンサの両方がプロセスフローに組み込まれ、判定点を取り扱うために使用することが可能であろうデータを自動化層17に供給するために使用され得る異なるパラメータを監視する。センサは、限定はしないが、測定流のみ、VCD、重量、圧力、UV、体積、pH、導電率、吸収率などを含む。
【0025】
UV吸収は、精製されている試料の組成を検出するために監視されることが可能であるパラメータの一例であることに留意されたい。しかしながら、IR、蛍光発光、X線などの、他の周波数帯域において作用する他のパラメータも使用され得る。
【0026】
取り込み工程13は、図2に例示されているような、連続クロマトグラフィ設備20、または図4に例示されているような、単一カラム240を含み得る。連続クロマトグラフィでは、設置面積を減らし、生産性を改善することによってプロセス強化をサポートする。それに加えて、連続クロマトグラフィは、プロセス時間の短さは標的生成物の安定性を確実にするのを助けるので、不安定分子の精製に特に適している。
【0027】
図2では、標的生成物を含む試料は、入口21を介して連続クロマトグラフィ20内に供給され、溶出された標的生成物は、出口22のところで利用可能である。連続クロマトグラフィ20は、複数のカラムA、B、Nを備え、各カラムは、カラム入口23およびカラム出口24を設けられている。各カラムのカラム入口23およびカラム出口24は、カラムを入口21および出口22に循環的に接続し、標的生成物の連続精製を達成するように構成されている弁システム25に接続される。3つのカラムを有するシステム構成の例は、図3a図3cに関して説明されている。
【0028】
連続クロマトグラフィ20は、必要な作業を実行できるようにするために緩衝液入口26および廃棄物出口27をさらに設けられる。インラインセンサ28は、各カラムのカラム出口24の後に設けられるか、またはプロセスフローに割り当てられ、弁システム25内に一体化され得る。UVなどの重要なパラメータは、以下で説明されているように、プロセスを制御するために測定される。別のインラインセンサ28'は、各カラムの性能を直接評価できるようにするために欠くカラムのカラム入口23の前に設けられ得る。インライン入口センサ26も、連続クロマトグラフィ20内に供給される試料の組成を監視するために設けられ得る。
【0029】
連続クロマトグラフィは、また、オフラインセンサ29も備えてよく、これらのセンサはプロセスから原料を抽出し、その後、原料が廃棄物として処分される前に選択されたパラメータを評価するように設計される。
【0030】
連続クロマトグラフィは、少なくとも2つ、たとえば少なくとも3つのカラムを備え、3カラム(3C)設備内の動作原理は、図3a図3cに関して説明されている。3C設備は、2つの平行な流れを特徴とする、すなわち、1つはロードゾーン内の2つのカラムのロードのための流れ、およびもう1つは非ロード工程、たとえば、第3のカラムの溶出および再生のための流れである。
【0031】
工程1を例示する、図3aにおいて、カラムAおよびBはロードゾーン内にある。カラムAは試料を喪失することなくオーバーロードすることができ、カラムBはカラムAからのブレークスルーを取り込む。このようにして、樹脂結合容量の利用が最大化される。
【0032】
工程2を例示している、図3bにおいて、ロードゾーン内で、オーバーロードされたカラムAは切り替えられ、カラムBが第1のカラムになり、カラムCは第2のカラムになる。オーバーロードされたカラムAは、次に、平行なワークフローにおいて溶出および再生などの非ロード工程に通される。
【0033】
工程3を例示する、図3cにおいて、ロードゾーン内のオーバーロードされたカラムBは切り替えられる。次に、ロードゾーン内でカラムCは第1のカラムになり、カラムAは第2のカラムになるが、平行なワークフローではカラムBは溶出および再生に通される。これら3つの工程は、必要な標的生成物の体積、質量、または量に達するまで(または樹脂寿命に達し、カラムを再充填または交換する必要が生じるまで)循環的に繰り返される。
【0034】
図2に例示されている連続クロマトグラフィ設備は、3つより多いカラムを利用するものとしてよく、4カラム(4C)設備でも、同じ原理が適用される。しかしながら、非ロード工程は、3C設備における制限要因となり得、非ロード工程は、2つのカラムに分割され、4C設備における第3の流動経路を利用して並行して実行され得る。4C設備では、ロード工程と非ロード工程とのバランスをとることができる。カラムが多ければ多いほどシステムの柔軟性は高まるが、弁システム25の複雑度は次第に高まり厄介なものとなる。しかしながら、いくつかの連続クロマトグラフィは16以上のカラムを有する。
【0035】
図4は、2つのシステムポンプ150および151について流体源A1、A2、B1、B2から入力流体を選択するように配置構成されている、2つの三方入力弁160および161を備えるクロマトグラフィシステム190の一実施形態の概略を示している。クロマトグラフィシステム190は、
・ システムポンプの後の流動経路内のシステム圧力を記録するための圧力センサ200と、
・ ポンプによって供給される流体の適切な混合を確実にするための混合器210とをさらに備え得る。
【0036】
これらは、破線110によって示されているように、図1に例示されている細胞培養ブロック11に対応している。
【0037】
システムは、
・ 試料を流体経路内に注入するための注入弁220と、
・ 流体経路内のカラム240の接続/切断を選択的に行うためのカラム接続弁230と、
・ カラム前圧力センサ235およびカラム後圧力センサ236と、
・ カラムからの出力を検出するための紫外線(UV)モニタ250と、
・ 伝導率モニタ260と、
・ pHモニタ265と
をさらに備える。
【0038】
これらは、破線130によって示されているように、図1に例示されている取り込みブロック13に対応している。
【0039】
システムは、
・ 破線160によって示されているように、図1内の送達ブロック16に対応する、2つ以上の出力位置が、たとえば、画分捕集器280、廃棄物受容器、または同様のものに接続されている、出力選択弁270と、
・ 破線170によって示されているように、図1の自動化ブロック17に対応している、システムを通る液体流を制御するためのポンプおよび弁に、ならびに流れを監視するためのセンサおよびモニタに接続され、接続部が点線310によって例示されている、システムコントローラ300と
をさらに備える。
【0040】
図4のクロマトグラフィシステムは、単一カラムクロマトグラフィシステムがどのように設計され得るかを示す一般的な例を表しており、他の実施形態は、いくつかの構成要素のうちの2つまたはそれ以上を含む異なる設計であってよく、また潜在的に、これらの構成要素のうちの一部を欠いていてもよい。たとえば、図1に例示されているような保持12、ウイルス不活化14、および研磨15に対応する構成要素である。
【0041】
図5は、図4による液体クロマトグラフィシステム190に対する簡素化されたフローチャートである。図5では、流動経路は真っ直ぐにされており、簡潔な図になるようにいくつかの構成要素が取り除かれている。図5では、システムコントローラは、ポンプ150、圧力センサ200、カラム前圧力センサ235、およびカラム後圧力センサ236にのみ接続されているように示されているが、上で説明されているように他の構成要素にも接続されてよい。図5では、システムは、カラム前圧力センサ235およびカラム後圧力センサ236の両方を備え、それにより、カラム圧力はカラム前センサ235によって直接測定され、デルタカラム圧力はカラム後センサ236によって記録された圧力をカラム圧力から差し引くことによって測定される。
【0042】
上で簡単に述べたように、いくつかのシステムは、システム圧力センサ200とは別の圧力センサを有しない。図6は、システム圧力を記録するための1つの単一圧力センサ200を備えるそのような液体クロマトグラフィシステム190の簡素化されたフローチャートである。上で述べたように、そのようなシステムにおける圧力制御は、センサ200によって、記録されたシステム圧力にのみ依存する。図7は、本発明の一実施形態による液体クロマトグラフィシステムの簡素化されたフローチャートであり、コントローラ300は、記録されたシステム圧力、流動経路の特性、ならびにシステム内の流体の粘度および流量に基づきカラム前圧力を推定するように配置構成される。推定されたカラム前圧力は、薄い点線で図7に概略が示されている「仮想圧力センサ」と称され得る。
【0043】
一実施形態により、仮想圧力信号の計算は、流路内の圧力低下に対するベルヌーイの式に基づくものとしてよい。
流路ΔΡ[MPa]=0.000000000679*L*Q*V/D <4>、ただし
L=長さ[mm]
D=直径[mm]
Q=流量[ml/分]
V=粘度[cP]
【0044】
流動経路の長さおよび直径、ならびにシステム内の液体の粘度をシステムコントローラに提供することによって、現在の流量でカラムまでの流動経路によって引き起こされる圧力低下を計算するように配置構成され得る。いくつかのシステムにおいて、システム圧力センサ200とカラム240との間の流動経路の長さおよびサイズは標準化されてよく、これにより、事前定義されたパラメータが計算に使用され得る。他のシステムでは(最も一般的な状況である)、クロマトグラフィシステム内の構成要素間の流動経路はユーザ定義の経路であり、これにより、システムのユーザはユーザインターフェースで使用するパラメータを入力しなければならない。
【0045】
一実施形態により、システム圧力センサ200とカラム240との間の流動経路の大部分は、同じ直径の毛細管からなるものとしてよく、次いで、流動経路特性は、管の全長として推定されてよく、それにより、弁または同様のものなどの他の構成要素からの寄与分を計算から除外する。他の実施形態では、流動経路内の弁または同様のものからの寄与分が考慮され、システム定義であってよいが、管または同様のものはユーザ定義である。流動経路が異なるサイズのセクション(たとえば、異なる内径を有する管)を備える場合、全圧力低下を提供するために、各セクション上の圧力低下が個別に計算され、最終的に足し合わされなければならないことに留意されたい。
【0046】
カラム240までの流動経路内の圧力低下が、上記の計算によって推定されたときに、仮想カラム前圧力は、圧力低下をシステム圧力センサ200によって記録されているシステム圧力から差し引くことによって計算される。
【0047】
(実施例)
システム圧力が5バールであり、流動経路上の計算された圧力低下が2バールである場合、計算された仮想カラム前圧力は、3バールと推定される。
【0048】
仮想圧力センサの後のすべての圧力寄与分は自動的に補正されるが、それは、これらが測定されたシステム圧力に直接影響を及ぼすからである。したがって、たとえば、流動制限器が追加されるか、または取り外された場合に、測定されたシステム圧力は変化し、さらには計算されたカラム前圧力も変化する。システム圧力センサとカラムとの間の流動経路内の変化は、推定において考慮されなければならない。
【0049】
一実施形態により、粘度が知られていない場合、コントローラは、水が使用されており、それにより、粘度が知られている以下の式を使用して異なる温度について推定できると想定し得る。
V[cP]=A×10B/(T-C)、
ただし、T=温度[K]、A=0.02414、B=247.8K、C=140Kである。
【0050】
実際の状況では、仮想圧力推定に対する精度に影響を及ぼし得るいくつかの要因があり得る。液体の粘度が知られず、それが水であると仮定されているが、より高い粘度を有している場合に、流動経路に対する推定値ΔPは低すぎることになる。次いで、仮想圧力信号に対する計算された値は、実際の値よりも高くなり、それにより、カラムに対して実際の圧力が高くなりすぎる前に圧力アラームが発せられる。これは、流動経路内の他の構成要素(混合器、弁など)がある程度の逆圧を発生する場合でもある。その結果、水より低い粘度を有する液体について、この推定から、実際の圧力より低い仮想カラム前圧力が得られる。しかしながら、そのような液体は、たいてい、高圧カラムに使用され、たいていそのようなカラムはそれらが通常一緒に使用される以上に高い圧力に耐えるので圧力信号の高い精度は必要ない。一実施形態により、システムは、カラムの後の流動経路に対して同じ原理を使用することによってデルタカラム圧力を推定するように配置構成され、仮想カラム後圧力は仮想デルタカラム圧力を計算するために推定され、使用され得る。
【0051】
述べたように、仮想カラム前圧力およびデルタカラム圧力は、たとえば、事前定義されたもしくはユーザ定義された圧力制限に関して圧力を監視することによって、または事前定義されたカラム圧力もしくは同様の圧力でクロマトグラフィシステムを稼動させることによって、クロマトグラフィシステムの動作を制御するために使用され得る。
【0052】
本開示では、少なくとも1つのカラムで動作するように構成され、事前定義されたプロセスを使用して標的生成物を含む試料を精製するように構成されているクロマトグラフィプロセスを例示している。事前定義されたプロセスは、一般プロセス、妥当性確認済みプロセス、または特殊プロセスであってよく、メーカーから事前定義されるか、またはエンドユーザによって生成され得る。
【0053】
図9は、カラムおよび液体クロマトグラフィシステムを製造するように適合されているシステム内のデータフローを例示している。以下でより詳しく説明されているように、カラムデータはカラムの製造時に生成され、クロマトグラフィシステム90にアクセス可能なデータベースdBに記憶される。データフローは点線で示され、制御信号は破線で示されている。
【0054】
液体クロマトグラフィシステムは、事前定義されたプロセスを稼動するようにクロマトグラフィシステムの動作を制御し、データストレージdBからアクセス可能なカラムデータを取り出し、カラムデータは各カラムに特有のものであり、カラムデータに基づき各カラムに対する事前定義されたプロセスの少なくとも1つのプロセスパラメータを適合させるように構成され、それによって、事前定義されたプロセスは、標的生成物を取得し、液体クロマトグラフィシステムの性能を維持するように各カラムに適合させる、ように構成されているコントローラ91を備える。
【0055】
データストレージはデータベースであってよい(クロマトグラフィシステム内に一体化されるか、またはクラウドベースの実装形態などの、クロマトグラフィシステムの外部のソースからアクセス可能である)。別の代替的形態は、カラムデータを個別のカラム上に記憶すること、たとえば、メモリチップおよびRFIDを介したクロマトグラフィシステムとの通信の形態である。
【0056】
プロセスパラメータは、各カラムにかかる圧力、カラム内への試料の流量、カラムから出る残留物の流量、および/または試料の処理済み体積/時間期間(カラム体積/時間)を含む。
【0057】
いくつかの実施形態により、液体クロマトグラフィシステムは、試料の精製のために単一カラムで動作するように構成され、いくつかの実施形態により、液体クロマトグラフィシステムは、試料の連続精製のために少なくとも3つのカラムで動作するように構成される。
【0058】
図8は、カラムをタイプ400(ファミリとも称される)に割り当てる概念を例示している。各個別カラム401-1、401-2、401-nは、この例では、カラムに関係する所定の生産パラメータを有する特定のタイプ400に属す。この例では、生産パラメータは、使用済みカラム構成要素の異なる物理的特性およびカラムを製造するために使用される異なるプロセス特性の範囲を定義する。
【0059】
カラムは、樹脂および濾過器を保持するための容器を備え、カラム構成要素は、ハードウェア特有の特性、容器の物理的寸法(容器の高さなど)、粒径および分布などの樹脂の材料特性、濾過器の物理的特性、などを含み得る。
【0060】
樹脂床の高さ、圧力境界、流量仕様などのプロセス特性はカラムの製造プロセスに関係する。樹脂床の高さは、実際の高さ、または容器の高さであってよい。
【0061】
生産パラメータは、各カラム内の樹脂の実際の体積をさらに含み得る。
【0062】
いくつかの例示的な実施形態において、液体クロマトグラフィシステムは、センサパラメータを読み取るように適合されているセンサ92a、92bをさらに備え、少なくとも1つのプロセスパラメータの適合は、さらに、センサ読み取り値に基づいて行われる。いくつかの実施形態において、センサ読み取り値は、UV、流量、および圧力のうちのいずれかを含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、生産パラメータは、各カラム内の樹脂の実際の体積をさらに含む。
【0064】
システムによってアクセス可能である、データベースは、各個別のカラム、および/または試料の精製のために液体クロマトグラフィシステム内ですでに使用されている同じ特定のタイプ(すなわち、同じファミリ)に属すカラムに対する過去データを含み得る。コントローラからの過去データ情報は、この目的のためにデータベースに記憶されている。
【0065】
図10は、液体クロマトグラフィシステム用のカラムを製造するための方法を例示するフローチャートである。本開示は、液体クロマトグラフィシステム用の、入口および出口を備えるカラムを製造するための方法も含み、また樹脂を保持するための容器を備える。この方法は次の工程を含む。
1)標的生成物を含む試料の精製のためプロセスで使用されるように構成されているカラムのタイプを選択する、工程S2。
2)カラムのタイプに基づき樹脂(媒質である)を選択し、樹脂は媒質特性を有する、工程S3。媒質特性は、カラム内で使用されることを意図されている媒質の測定された特性および計算された特性を含む。媒質パラメータは、媒質製造プロセスおよび媒質を製造するときに使用される異なる媒質成分の許容範囲の影響を受ける。
3)樹脂を保持するための容器(すなわち、ハードウェア)を選択し、容器はハードウェア特性を有する、工程S4。ハードウェア特性は、物理的寸法(許容範囲あり)および濾過器特性(含まれる場合)などの、カラムの機能に影響を及ぼす、カラムを製造するために使用される異なる構成要素の測定された特性および計算された特性を含む。
4)樹脂床の高さを確定するためにカラムのタイプに基づき圧力を使用して容器内に樹脂床を形成するように樹脂を充填する、工程S5。
5)カラムに対するカラムデータを定義するために媒質特性およびハードウェア特性に基づき、生産パラメータを決定する、工程S6、ならびに液体クロマトグラフィシステムについてアクセス可能である、カラムデータをデータストレージに記憶すること。データストレージは、上で述べたように、カラム内に一体化されるか、またはクロマトグラフィシステムにアクセス可能であるデータベースであるものとしてよい。
【0066】
いくつかの例において、カラムは、入口と樹脂床との間に配置構成されている頂部濾過器の形態をとるハードウェアをさらに備え、この方法は、カラムのタイプに基づき、頂部濾過器特性を有する頂部濾過器を選択する工程と、カラムデータを定義するために頂部濾過器特性にさらに基づき生産パラメータを決定する工程とをさらに含む。
【0067】
いくつかの例において、カラムは、出口と樹脂床との間に配置構成されている底部濾過器の形態をとるハードウェアをさらに備え、この方法は、カラムのタイプに基づき、底部濾過器特性を有する底部濾過器を選択する工程と、カラムデータを定義するために底部濾過器特性にさらに基づき生産パラメータを決定する工程とをさらに含む。
【0068】
本開示は、液体クロマトグラフィシステム用の、入口および出口を備えるカラムを備え、また樹脂を保持するための容器を備え、カラムは、上で述べた方法に従って製造される。カラムを製造するためのシステムは、図9に例示されており、システムからの出力はカラム、およびクロマトグラフィシステムにアクセス可能なデータベースdBに記憶されるカラムデータである。
【0069】
いくつかの例において、カラムは、カラムデータを記憶するように構成されている、データストレージの形態のハードウェア、たとえば、データチップと、カラムデータを液体クロマトグラフィシステムに通信で伝達するように構成されている通信デバイスとをさらに備える。
【0070】
いくつかの実施形態において、通信デバイスは、RFIDを使用して液体クロマトグラフィシステムと通信するように構成される。
【0071】
図11は、少なくとも1つのカラムで動作するように構成されている液体クロマトグラフィシステムを制御するための方法を例示するフローチャートである。本開示は、少なくとも1つのカラムで動作するように構成され、事前定義されたプロセスを使用して標的生成物を含む試料を精製するように構成されている液体クロマトグラフィシステムを制御するための方法も含み、この方法は、
A)事前定義されたプロセスを稼動するようにクロマトグラフィシステムの動作を制御する、工程S12と、
B)データストレージからアクセス可能な、各カラムに特有のカラムデータを取り出す、工程S13とカラムデータに基づき各カラムについて事前定義されているプロセスの少なくとも1つのプロセスパラメータを適合させる、工程S15と
を含む。
【0072】
それによって、事前定義されたプロセスは、標的生成物を取得し、試料からの液体クロマトグラフィシステムの性能を維持するように各カラムに適合される。
【0073】
いくつかの例において、各カラムは特定のタイプのものであり、データストレージは、試料の精製のために液体クロマトグラフィシステムにおいてすでに使用されている同じ特定のタイプに属す各カラムおよび/または複数のカラムに対する過去データを含み、この方法は、過去データに基づき事前定義されたプロセスの少なくとも1つのプロセスパラメータを適合させる、工程S13aをさらに含む。
【0074】
いくつかの例において、データストレージは、各カラムを生産するときの生産パラメータに関係するカラムデータを含み、生産パラメータは、樹脂床の高さ、圧力境界、流量仕様、材料特性、ハードウェア特有の特性、濾過器特性、および容器の物理的寸法を含み、この方法は、生産パラメータに基づき事前定義されたプロセスの少なくとも1つのプロセスパラメータを適合させる、工程S13bをさらに含む。
【0075】
いくつかの例において、液体クロマトグラフィシステムは、センサパラメータを読み取るように適合されているセンサをさらに備え、この方法は、センサ読み取り値に基づき少なくとも1つのプロセスパラメータをさらに適合させる、工程S14aをさらに含む。センサ読み取り値は、UV、流量、および圧力のうちのいずれかを含み得る。
【0076】
データストレージは、データベースであるように選択されてよく、これは液体クロマトグラフィシステム内に一体化され得る。代替的形態は、各カラム内にデータストレージを一体化することである。
【0077】
本開示は、少なくとも1つのプロセッサで実行されたときに、上で述べた方法に従って少なくとも1つのプロセッサにこの方法を実行させる命令を含む、液体クロマトグラフィシステムを制御するためのコンピュータプログラムをさらに含む。
【0078】
本開示は、上で定義されているような液体クロマトグラフィシステムを制御するためのコンピュータプログラムを収めたコンピュータ可読記憶媒体をさらに含む。
【符号の説明】
【0079】
10 バイオプロセス精製システム
11 細胞培養
11 細胞培養ブロック
12 保持
13 取り込み
13 取り込みブロック
14 ウイルス不活化
15 研磨
16 送達
17 自動化層
20 連続クロマトグラフィ設備
21 入口
22 出口
23 カラム入口
24 カラム出口
25 弁システム
26 緩衝液入口
26 インライン入口センサ
27 廃棄物出口
28 インラインセンサ
28' インラインセンサ
29 オフラインセンサ
90 クロマトグラフィシステム
91 コントローラ
92a、92b センサ
110 破線
130 破線
150、151 システムポンプ
160、161 三方入力弁
160 破線
170 破線
190 クロマトグラフィシステム
200 圧力センサ
210 混合器
220 注入弁
230 カラム接続弁
235 カラム前圧力センサ
236 カラム後圧力センサ
240 単一カラム
250 紫外線(UV)モニタ
260 伝導率モニタ
265 pHモニタ
270 出力選択弁
280 画分捕集器
300 システムコントローラ
310 点線
400 タイプ
401-1、401-2、401-n カラム
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11